JP2006231116A - 排ガス浄化フィルタ触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】アッシュ堆積許容量を増大させるとともに、排ガス下流側部位の過昇温を抑制する。
【解決手段】フィルタ基材1のセル隔壁12に、排ガス上流側に形成され排ガスが通過可能なガス通過部3と、ガス通過部3の排ガス下流側に形成され排ガスが通過しないガス不通過部4とを形成した。
ガス不通過部4がアッシュ堆積空間となるとともに、PMはガス通過部3のセル隔壁12中に捕集され、ガス不通過部4へのPMの堆積が抑制される。しかもガス通過部3におけるPM燃焼による熱は、セル隔壁12を通過して流出側セル11へ放出されるので、ガス不通過部3の昇温も抑制される。したがって、PM燃焼時には最も高温となるはずである下流側のガス不通過部4の過昇温が抑制される。
【選択図】 図1

Description

ディーゼルエンジンからの排ガスなど、パティキュレートを含む排ガスを浄化できる排ガス浄化フィルタ触媒に関する。
ガソリンエンジンについては、排ガスの厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩とにより、排ガス中の有害成分は確実に減少している。一方、ディーゼルエンジンについては、有害成分がパティキュレート(粒子状物質:炭素微粒子、サルフェート等の硫黄系微粒子、高分子量炭化水素微粒子( SOF)等、以下PMという)として排出されるという特異な事情から、ガソリンエンジンの場合より排ガスの浄化が難しい。
現在までに開発されているディーゼルエンジン用排ガス浄化装置としては、大きく分けてトラップ型の排ガス浄化装置(ウォールフロー)と、オープン型の排ガス浄化装置(ストレートフロー)とが知られている。このうちトラップ型の排ガス浄化装置としては、セラミック製の目封じタイプのハニカム体(ディーゼルPMフィルタ(以下 DPFという))が知られている。この DPFは、セラミックハニカム構造体のセルの開口部の両端を例えば交互に市松状に目封じしてなるものであり、排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、流入側セルと流出側セルを区画するセル隔壁とよりなり、セル隔壁の空孔で排ガスを濾過してPMを捕集することで排出を抑制するものである。
しかし DPFでは、PMの堆積によって圧力損失(以下、圧損という)が上昇するため、何らかの手段で堆積したPMを定期的に除去して再生する必要がある。そこで従来は、圧損が上昇した場合に高温の排ガスを流してPMを燃焼させることで DPFを再生することが行われている。しかしながらこの場合には、PMの堆積量が多いほど燃焼時の温度が上昇し、 DPFが溶損したり、熱応力で DPFが破損する場合もある。
そこで近年では、例えば特公平07−106290号公報に記載されているように、 DPFのセル隔壁の表面にアルミナなどからコート層を形成し、そのコート層に白金(Pt)などの触媒金属を担持した排ガス浄化フィルタ触媒が開発されている。この排ガス浄化フィルタ触媒によれば、捕集されたPMが触媒金属の触媒反応によって酸化燃焼するため、捕集と同時にあるいは捕集に連続して燃焼させることで DPFを連続的に再生することができる。そして触媒反応は比較的低温で生じること、及び捕集量が少ないうちに燃焼できることから、 DPFに作用する熱応力が小さく破損が防止されるという利点がある。
また特開平09−094434号公報には、セル隔壁のみならず、セル隔壁の空孔内にも触媒金属を担持したコート層を形成した排ガス浄化フィルタ触媒が記載されている。空孔内にも触媒金属を担持することで、PMと触媒金属との接触確率が高まり、空孔内に捕集されたPMも酸化燃焼させることができる。また同公報には、コート層にさらにNOx 吸蔵材を担持することも記載されている。このようにすればNOx 吸蔵材に吸収されたNOx が高温時にNO2 として放出されるので、そのNO2 によってPMの酸化をさらに促進することができる。
ところが DPFにおける排ガス下流側部位は、上流側の熱が伝わるために、PM燃焼の際に最も高温となる部位である。そのため上記した排ガス浄化フィルタ触媒においても、排ガス下流側部位でのPMの堆積が進行すると、PM燃焼の際に高温となって溶損の起点となることもある。
そこで特開2003−225575号公報には、排ガス下流側に粒径1μm以下の多孔質酸化物からコート層を形成した排ガス浄化フィルタ触媒が記載されている。このように微細な多孔質酸化物からコート層を形成することで、コート層を排ガス下流側のセル隔壁の10μm以下の空孔に優先的に充填することができ、PMの堆積による圧損上昇が生じやすくなる。このことから、圧損の上昇を検出することでPMの堆積を堆積初期に検知することができ、溶損を未然に防止することができる。
特公平07−106290号 特開平09−094434号 特開2003−225575号
ところがPMが燃焼した後にはアッシュが残るため、長期間の使用後にはアッシュがセル隔壁の空孔内に堆積し、圧損が上昇する。それによって圧損が所定値より増大した場合には、交換するしかすべはなく、それが DPFの寿命となり、排ガス浄化フィルタ触媒も例外ではない。寿命を延長するためには、フィルタ基材のアッシュ堆積許容量を増大させることが有効であるが、フィルタ基材の容量を大きくすると径方向及び流れ方向共に温度勾配が大きくなり、排ガス下流側部位における溶損が生じ易くなる。
また触媒層にNOx 吸蔵還元触媒を含む場合には、NOx 吸蔵材の揮散などによる劣化を抑制するために、触媒床温を 700℃未満に抑制する必要がある。しかしPM燃焼時に排ガス下流側部位が高温となることから、排ガス下流側部位に含まれるNOx 吸蔵還元触媒の劣化を防止することは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アッシュ堆積許容量を増大させるとともに、排ガス下流側部位の過昇温を抑制することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化フィルタ触媒の特徴は、排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、流入側セルと流出側セルとを区画し排ガスが通過可能なセル隔壁と、を有するフィルタ基材と、
セル隔壁に形成された触媒層と、を備えた排ガス浄化フィルタ触媒であって、
セル隔壁は排ガス上流側に形成され排ガスが通過可能なガス通過部と、ガス通過部の排ガス下流側に形成され排ガスが通過しないガス不通過部とを有することにある。
セル隔壁の空孔率は、ガス通過部よりガス不通過部の方が低いことが望ましい。またフィルタ基材単位体積当たりの触媒層の形成量は、ガス通過部よりガス不通過部の方が多いことが望ましい。さらに、少なくともガス不通過部の触媒層にはNOx 吸蔵還元触媒が含まれていることが好ましい。
本発明の排ガス浄化フィルタ装置によれば、排ガス下流側に排ガスが通過しないガス不通過部が形成されている。そのため排ガスはセル隔壁のうちガス不通過部の上流側のガス通過部を通過するので、PMはガス通過部のセル隔壁中に捕集され、ガス不通過部へのPMの堆積が抑制されPMの燃焼が生じ難い。しかもガス通過部におけるPM燃焼による熱は、セル隔壁を通過して流出側セルへ放出されるので、ガス不通過部の昇温も抑制される。したがってPM燃焼時には、最も高温となるはずである下流側のガス不通過部の過昇温が抑制され、その部位の溶損などの不具合を回避することができる。さらにガス通過部におけるPM燃焼による熱がガス不通過部に吸収されるため、ガス通過部の過昇温も抑制できる。
PM燃焼後のアッシュは、排ガスの流動エネルギーによってガス不通過部に押し込まれ、ガス不通過部に優先的に堆積する。これによりガス通過部のセル隔壁中にアッシュが堆積するのが抑制されるため、アッシュ堆積による圧損の上昇を長期間抑制することができ、寿命を延長することができる。またアッシュ堆積によるセル隔壁の閉塞を抑制できるので、ガス通過部におけるPM燃焼による熱を流出側セルへ放出する作用を長期間維持することができ、フィルタ基材全体の過昇温をさらに抑制することができる。
そしてセル隔壁の空孔率を、ガス通過部よりガス不通過部の方が低くなるようにすれば、ガス不通過部の熱容量を大きくできるため溶損をさらに抑制することができる。またガス不通過部におけるセル隔壁の厚さを薄くすることができるので、排ガスの通過抵抗を低減でき全体の圧損を低くすることができる。そしてフィルタ基材単位体積当たりの触媒層の形成量を、ガス通過部よりガス不通過部の方が多くなるようにすれば、ガス不通過部の熱容量をさらに大きくすることができる。さらに、少なくともガス不通過部の触媒層にNOx 吸蔵還元触媒が含まれるようにすれば、熱容量の増大と相まってガス不通過部の触媒床温を 700℃未満に抑制するのが容易となり、NOx 吸蔵還元触媒の劣化を抑制できるため、高いNOx 浄化性能を長期間維持することが可能となる。
本発明の排ガス浄化フィルタ触媒は、フィルタ基材と、セル隔壁に形成された触媒層と、を備えている。フィルタ基材は、コーディエライト、炭化ケイ素などの耐熱性セラミックスから製造することができる。例えばコーディエライト粉末を主成分とする粘土状のスラリーを調製し、それを押出成形などで成形し、焼成する。コーディエライト粉末に代えて、アルミナ、マグネシア及びシリカの各粉末をコーディエライト組成となるように配合することもできる。その後、一端面のセル開口を同様の粘土状のスラリーなどで市松状などに目封じし、他端面では一端面で目封じされたセルに隣接するセルのセル開口を目封じする。その後焼成などで目封じ材を固定することでハニカム構造のフィルタ基材を製造することができる。流入側セル及び流出側セルの形状は、断面三角形、断面四角形、断面六角形、断面円形など、特に制限されない。
セル隔壁は、排ガス上流側に形成され排ガスが通過可能なガス通過部と、ガス通過部の排ガス下流側に形成され排ガスが通過しないガス不通過部とを有している。ガス通過部のセル隔壁に空孔を形成するには、上記したスラリー中にカーボン粉末、木粉、澱粉、樹脂粉末などの可燃物粉末などを混合しておき、可燃物粉末が焼成時に消失することで空孔を形成することができ、可燃物粉末の粒径及び添加量を調整することで空孔の粒径と空孔率を制御することができる。この空孔により流入側セルと流出側セルは互いに連通し、PMは空孔内に捕集されるが気体は流入側セルから流出側セルへと空孔を通過可能となる。
ガス通過部におけるセル隔壁の空孔率は、50〜70%であることが望ましい。空孔率がこの範囲にあることで、触媒層を 100〜 200g/L形成しても圧損の上昇を抑制することができ、強度の低下もさらに抑制することができる。そしてPMをさらに効率よく捕集することができる。
ガス不通過部におけるセル隔壁は、排ガスが通過しなければよく、空孔が存在しない状態でもよいし、気体が通過不能な範囲で空孔を有していてもよい。このようなガス不通過部は、ガス通過部とは異なるセル隔壁で形成してもよいし、ガス通過部と同様のセル隔壁の空孔あるいは表面開口を充填することで形成することもできる。ガス通過部と同様のセル隔壁の空孔あるいは表面開口を充填するには、コージェライト粉末などを用いてもよいが、触媒層で充填することが好ましい。これにより充填と触媒層の形成を同時に行うことができ、工数を低減することができる。また、ガス不通過部の触媒層にNOx 吸蔵還元触媒を多く含ませることが可能となるので、NOx 浄化性能が向上する。
セル隔壁の空孔率は、ガス通過部よりガス不通過部の方が低いことが望ましい。このようにすることでガス不通過部の熱容量をガス通過部より大きくすることができ、ガス不通過部の過昇温をさらに抑制することができる。またガス不通過部におけるセル隔壁の厚さを薄くすることができるので、排ガスの通過抵抗を低減でき全体の圧損を低くすることができる。
例えば触媒層でセル隔壁の空孔あるいは表面開口を充填してガス不通過部を形成した場合には、フィルタ基材単位体積当たりの触媒層の形成量を、ガス通過部よりガス不通過部の方が多くなるようにすることが望ましい。これによりガス不通過部の熱容量が大きくなり、ガス不通過部の溶損を抑制することができる。また触媒層における貴金属及びNOx 吸蔵材の担持密度を一定とすれば、ガス不通過部において担持量が多くなるので、ガス不通過部における浄化活性が向上するとともに、熱容量の増大と相まってガス不通過部の触媒床温を 700℃未満に抑制するのが容易となり、NOx 吸蔵還元触媒の劣化を抑制できるため、高いNOx 浄化性能を長期間維持することが可能となる。
ガス通過部の形成長さは、少なくとも排ガス浄化フィルタ触媒としての機能が維持できる範囲であればよい。またガス不通過部の長さは、少しでも存在すればその分の効果が得られるが、一般的な乗用車用の排ガス浄化フィルタ触媒の場合には少なくとも20mm以上形成することで、上記した本発明の効果が十分に発現される。
本発明の排ガス浄化フィルタ触媒は、フィルタ基材のセル隔壁に触媒層を形成している。触媒層は、セル隔壁の表面のみでもよいが、セル隔壁の内部の空孔表面にも形成することが望ましい。この触媒層は、例えば多孔質酸化物に触媒金属を担持してなるものである。多孔質酸化物は触媒金属の担体として機能するものであり、 Al2O3、ZrO2、CeO2、TiO2、SiO2などの酸化物の少なくとも一種、あるいはこれらの複数種からなる複合酸化物を用いることができる。
触媒層を形成するには、多孔質酸化物粉末をアルミナゾルなどのバインダ成分及び水とともにスラリーとし、そのスラリーをセル隔壁に付着させた後に焼成してコート層を形成し、そのコート層に触媒金属を担持すればよい。また多孔質酸化物粉末に予め触媒金属を担持した触媒粉末からスラリーを調製し、それを用いて触媒層を形成することもできる。スラリーをセル隔壁に付着させるには通常の浸漬法を用いることができるが、エアブローあるいは吸引によって、セル隔壁の空孔に強制的にスラリーを充填するとともに、空孔内に入ったスラリーの余分なものを除去することが望ましい。
この場合のコート層あるいは触媒層の形成量は、フィルタ基材の1Lあたり30〜 200gとすることが好ましい。コート層あるいは触媒層が30g/L未満では、触媒金属の耐久性の低下が避けられず、 200g/Lを超えると圧損が高くなりすぎて実用的ではない。
触媒層に含まれる触媒金属は、例えば触媒反応によってPMの酸化を促進するものを用いることができる。このような触媒金属としては、少なくともPt、Rh、Pdなどの白金族の貴金属から選ばれた一種あるいは複数種を用いることが好ましい。貴金属の担持量は、フィルタ基材1リットルあたり 0.1〜5gの範囲とすることが好ましい。担持量がこれより少ないと活性が低すぎて実用的でなく、この範囲より多く担持しても活性が飽和するとともにコストアップとなってしまう。また貴金属を担持するには、貴金属の硝酸塩などを溶解した溶液を用い、吸着担持法、含浸担持法などによって担持させることができる。
触媒層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれるNOx 吸蔵材を含むことが好ましい。触媒層にNOx 吸蔵材を含めば、触媒金属による酸化によって生成したNOx をNOx 吸蔵材に吸蔵できるので、NOx の浄化活性が向上する。このNOx 吸蔵材としては、K、Na、Cs、Liなどのアルカリ金属、Ba、Ca、Mg、Srなどのアルカリ土類金属、あるいはSc、Y、Pr、Ndなどの希土類元素から選択して用いることができる。中でもNOx 吸蔵能に優れたアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一種を用いることが望ましい。
このNOx 吸蔵材の担持量は、フィルタ基材の1リットルあたり0.15〜0.45モルの範囲とすることが好ましい。担持量がこれより少ないと活性が低すぎて実用的でなく、この範囲より多く担持すると貴金属を覆って活性が低下するようになる。またNOx 吸蔵材を担持するには、酢酸塩、硝酸塩などを溶解した溶液を用い、含浸担持法などによってコート層に担持すればよい。また多孔質酸化物粉末に予めNOx 吸蔵材を担持しておき、その粉末を用いて触媒層を形成することもできる。
少なくともガス不通過部の触媒層には、貴金属とNOx 吸蔵材とを担持することが望ましい。これにより少なくともガス不通過部の触媒層にNOx 吸蔵還元触媒が含まれることになるので、熱容量の増大と相まってガス不通過部の触媒床温を 700℃未満に抑制するのが容易となり、NOx 吸蔵還元触媒の劣化を抑制できるため、高いNOx 浄化性能を長期間維持することが可能となる。なお、排ガスとの接触性が高いガス不通過部の流出側セルに形成された触媒層にNOx 吸蔵還元触媒を含むことが特に望ましい。
また触媒層は、低温でNOx を吸着し高温でNOx を放出するNOx 吸着材を含むことも好ましい。低温域では排ガス中のNOはNO2 としてNOx 吸着材に吸着され、高温域ではNOx 吸着材からNO2 が脱離し、脱離したNO2 によってPMの酸化浄化が促進される。このNOx 吸着材としては、ジルコニアに貴金属を担持した粉末、あるいはCeO2に貴金属を担持した粉末などを用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本実施例のフィルタ触媒を示す。このフィルタ触媒は、排ガス下流側で目詰めされた流入側セル10と、流入側セル10に隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セル11と、流入側セル10と流出側セル11を区画するセル隔壁12と、からなるフィルタ基材1と、セル隔壁12に形成された触媒層2とからなり、排ガス上流側端面から 110mmの範囲のセル隔壁12にガス通過部3が形成され、その下流側40mmの範囲のセル隔壁12にガス不通過部4が形成されている。
フィルタ基材1は、市販のコーディエライト製 DPFを用いている。この DPFは、容量2リットル(直径 129mm×長さ 150mm)、セル数 300cell/inch2(46.5cell/cm2)、セル隔壁12の厚さ 0.3mm、空孔率60%であり、流入側セル10及び流出側セル11の断面形状は一辺1.17mmの正方形である。
Al2O3粉末、TiO2粉末、ZrO2粉末、CeO2粉末、アルミナゾル及びイオン交換水からなるスラリーを調製し、固形分粒子の平均粒径が1μm以下となるようにミリングした。そして上記 DPFをこのスラリーに浸漬してセル内部にスラリーを流し込み、引き上げて浸漬側と反対側の端面から吸引することで余分なスラリーを除去し、通風乾燥後 450℃で2時間焼成した。この操作は2回行われ、流入側セル10及び流出側セル11にほぼ同量のコート層が形成されるように調整した。コート量は、 DPFの1リットルあたり50gである。コート層は、流入側セル10及び流出側セル11の表面及び空孔内に形成されている。
次に、コート層が形成された DPFを下流側端面から40mmの長さだけ上記スラリー中に浸漬し、下流側端面から吸引した後同様に焼成して、下流側端面から40mmの範囲のセル隔壁12に第2のコート層を形成した。第2のコート層の形成量は、 DPFの1リットルあたり 200gである。これにより下流側端面から40mmの範囲のセル隔壁12の空孔がコート層によって閉塞され、ガス不通過部4が形成された。
その後、所定濃度のジニトロジアンミン白金硝酸塩の水溶液の所定量を含浸させ、乾燥・焼成して、コート層にPtを2g/L担持し、その後Li、Ba及びKの各硝酸塩を用いて、コート層にNOx 吸蔵材であるLiを 0.2モル/L、Baを0.05モル/L、Kを0.05モル/Lさらに担持した。
(実施例2)
図2に本実施例のフィルタ触媒を示す。このフィルタ触媒は、排ガス下流側で目詰めされた流入側セル10と、流入側セル10に隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セル11と、流入側セル10と流出側セル11を区画するセル隔壁12と、からなるフィルタ基材1と、セル隔壁12に形成された触媒層2とからなり、排ガス上流側端面から 110mmの範囲にガス通過部3が形成され、その下流側40mmの範囲にガス不通過部4が形成されている。ガス通過部3が存在する上流側部位は実施例1と同様の DPFから形成され、ガス不通過部4が存在する下流側部位は三元触媒あるいは酸化触媒などの担体基材として用いられているハニカム基材から形成されている。
先ず実施例1で用いた DPFの下流側端面から40mmの範囲を切除した。一方、三元触媒あるいは酸化触媒などの担体基材として用いられている、ストレートフロー構造をなし、 DPFと同一の直径と同一のセル数をもち、セル隔壁の厚さが 0.1mmのコーディエライト製のハニカム基材を用意し、40mmの長さとした。これを上記の40mmの範囲が切除された DPFとセル位相を合わせて接合し、ハニカム基材の端面をコーディエライト系スラリーで市松状に位相を合わせて目詰めして、実施例1と同様の形状のフィルタ基材1を作製した。下流側のハニカム基材部分におけるセル隔壁12の空孔率は、DPFのセル隔壁12の空孔率より格段に小さいので、下流側のハニカム基材部分にガス不通過部4が形成され、その上流側にガス通過部3が形成されている。
このフィルタ基材1を用い、実施例1と同様のスラリーを用いて同様に1リットルあたり50gのコート層を形成し、ガス不通過部4をもつ範囲のみにさらに 200g/Lの第2のコート層を形成した。そして実施例1と同様にPt及びNOx 吸蔵材を担持した。
(実施例3)
図3に本実施例のフィルタ触媒を示す。このフィルタ触媒は、実施例2と同様のフィルタ基材1と、ガス通過部3をもつ範囲の流入側セル10と流出側セル11に形成された上流側触媒層20と、ガス不通過部4をもつ範囲の流出側セル11に形成された下流側触媒層21と、から構成されている。
先ず実施例2と同様のフィルタ基材1を用い、実施例1と同様のスラリーを用いて、ガス通過部3をもつ範囲のみに1リットルあたり50gのコート層を形成した。次に、実施例1と同様のスラリーを下流側端面(ハニカム基材の端面)から40mmの範囲に含浸させ、同じく下流側端面から吸引することで、ガス不通過部4をもつ範囲の流出側セル11のみにコート層を 150g/L形成した。そして実施例1と同様にPt及びNOx 吸蔵材を両コート層に担持し、上流側触媒層20及び下流側触媒層21を形成した。
(比較例1)
容量が 1.5Lであること以外は実施例1と同様のフィルタ基材を用い、実施例1と同様のスラリーを用いて、同様に1リットルあたり50gのコート層を形成した。そして実施例1と同様にPt及びNOx 吸蔵材を担持した。つまり本比較例のフィルタ触媒は、実施例1のフィルタ触媒からガス不通過部4を除いたものに相当する。
(比較例2)
実施例1と同様のフィルタ基材を用い、実施例1と同様のスラリーを用いて、全体に1リットルあたり50gのコート層を形成した。そして実施例1と同様にPt及びNOx 吸蔵材を担持した。つまり本比較例のフィルタ触媒は、容量が異なること以外は比較例1と同様であり、実施例1のフィルタ触媒においてガス不通過部4をガス通過部3に代えたものに相当する。
(比較例3)
実施例1と同様のフィルタ基材を用い、実施例1と同様のスラリーを用いて、全体に1リットルあたり 100gのコート層を形成した。そして実施例1と同様にPt及びNOx 吸蔵材を担持した。つまり本比較例のフィルタ触媒は、実施例1のフィルタ触媒においてガス不通過部4をガス通過部3に代え、全体のコート量と触媒担持量を実施例1と同等としたものに相当する。
<試験・評価>
アッシュの堆積が可能な容量として、流入側セル10の容積の合計量を各フィルタ触媒について算出し、比較例1のフィルタ触媒の値を基準とした相対値をアッシュ容量として表1に示す。
先ず、各実施例及び各比較例のフィルタ触媒を大気中にて 650℃で50時間保持する耐久試験を行った。
次に直径 150mm、長さ50mmのストレートフロー構造のコージェライト製ハニカム基材( 300cpsi、壁厚 200μm、空孔率35%)にPtを担持した触媒層を形成した酸化触媒を排ガス上流側に、耐久試験後の各フィルタ触媒をその下流側に配置してタンデム触媒とし、これを 2.0Lディーゼルエンジンの排気管にそれぞれ装着した。そしてエンジン回転数2450rpm×35Nm、リーン定常入りガス温度 250℃の条件にて運転し、PM堆積量と圧損を測定した。
そしてPMが7g堆積した時点における圧損を測定し、結果を表1に示す。またPMが7g堆積した時点で燃料の供給を停止し、エアのみを 650℃で流すPM強制燃焼を実施した。その時のフィルタ触媒の最高床温を測定し、結果を表1に示す。さらに、強制燃焼後に入りガス温度 300℃におけるNOx 吸蔵量をそれぞれ測定し、結果を表1に示す。
Figure 2006231116
表1より、各実施例のフィルタ触媒は各比較例に比べて強制燃焼時の最高床温が低く、溶損などの不具合に対する信頼性が高いことがわかる。例えば実施例1と比較例3とを比較すると、PM堆積時の圧損は同等であるが、最高床温は実施例1の方が低い。最高床温は触媒フィルタの下流側端面の中央部近傍で観測されるものであるので、実施例1ではガス不通過部4の過昇温が抑制されたことが明らかである。
また各実施例のフィルタ触媒は、各比較例に比べて強制燃焼後のNOx 吸蔵量が多い。すなわち各実施例のフィルタ触媒はNOx 吸蔵還元触媒の劣化が抑制されていることが明らかであり、これは触媒層の過昇温が抑制されたためである。そして触媒量が同一の実施例1と比較例3との比較から、ガス不通過部4にNOx 吸蔵還元触媒を多く含む実施例1が優れた結果を示し、過昇温が抑制されるガス不通過部4にNOx 吸蔵還元触媒を含むことが好ましいことが明らかである。
さらに実施例1と実施例2との比較から、ガス不通過部4のセル隔壁の厚さを薄くすることでアッシュ容量が増大し、過昇温を抑制しつつ圧損を低くすることができることがわかる。また最高床温もほぼ同等である。これはガス不通過部4のセル隔壁の空孔率が小さなことに起因している。つまりセル隔壁が薄くとも熱容量が大きいため、ガス不通過部4の過昇温が抑制され、セル隔壁が薄い分だけアッシュ容量が増大するとともに圧損が低くなっている。
そして実施例2と実施例3との比較から、ガス不通過部4の流入側セル10に触媒層を形成しないことで、さらにアッシュ容量が増大し、過昇温を抑制しつつ圧損の増大を抑制できることがわかる。また、このようにしても、強制燃焼後のNOx 吸蔵量を十分に確保することができ、これは過昇温が抑制されたガス不通過部4にNOx 吸蔵還元触媒含む触媒層を形成した効果である。
本発明の一実施例に関わる排ガス浄化フィルタ触媒の説明断面図である。 本発明の第2実施例に関わる排ガス浄化フィルタ触媒の説明断面図である。 本発明の第3実施例に関わる排ガス浄化フィルタ触媒の説明断面図である。
符号の説明
1:フィルタ基材 2:触媒層 3:ガス通過部
4:ガス不通過部 10:流入側セル 11:流出側セル
12:セル隔壁

Claims (4)

  1. 排ガス下流側で目詰めされた流入側セルと、該流入側セルに隣接し排ガス上流側で目詰めされた流出側セルと、該流入側セルと該流出側セルとを区画し排ガスが通過可能なセル隔壁と、を有するフィルタ基材と、
    該セル隔壁に形成された触媒層と、を備えた排ガス浄化フィルタ触媒であって、
    該セル隔壁は排ガス上流側に形成され排ガスが通過可能なガス通過部と、該ガス通過部の排ガス下流側に形成され排ガスが通過しないガス不通過部とを有することを特徴とする排ガス浄化フィルタ触媒。
  2. 前記セル隔壁の空孔率は、前記ガス通過部より前記ガス不通過部の方が低い請求項1に記載の排ガス浄化フィルタ装置。
  3. 前記フィルタ基材単位体積当たりの前記触媒層の形成量は、前記ガス通過部より前記ガス不通過部の方が多い請求項1に記載の排ガス浄化フィルタ触媒。
  4. 少なくとも前記ガス不通過部の前記触媒層にはNOx 吸蔵還元触媒が含まれている請求項1に記載の排ガス浄化フィルタ触媒。
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