JP2006229097A - コンデンサフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンデンサフィルム及びその製造方法において、高容量かつ高精度なコンデンサ特性を得ることができると共に層間の高い密着強度を得ること。
【解決手段】 樹脂フィルム1と、樹脂フィルム1上に形成された表面粗さ10nm以下の下部電極膜2と、下部電極膜2上に形成された誘電体膜3と、誘電体膜3上に形成された上部電極膜4と、を備え、下部電極膜2及び上部電極膜4が、スパッタリングで形成される下部電極下地層2a及び上部電極下地層4aと、これら層上に電解めっき法で形成される下部電極主層2b及び上部電極主層4bと、から構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンデンサを搭載したシート型受動部品の形成等に用いられるコンデンサフィルム及びその製造方法に関する。
従来から電子回路において、サーバ等、特に高周波ノイズを抑制するニーズの高い用途に対して、プリント回路基板中にコンデンサ層を設けてノイズを除去することが行われている。また、近年、電子機器の薄型化、小型化及び実装密度向上のために、受動部品をシート状回路基板に内蔵するシート型受動部品のニーズが高まってきている。このようなプリント回路基板やシート型受動部品等の用途にコンデンサ部を設けるために使用されるコンデンサフィルムとしては、主に樹脂フィルムの両面に銅箔を貼ることによって銅箔を電極とすると共に樹脂フィルムを誘電体とした両面銅箔付きコンデンサフィルムが用いられている。
このようなコンデンサフィルムでは、その容量を向上させるために、誘電体を薄くすることが有効である。また、コンデンサ特性の精度を向上させるためには、誘電体の厚み寸法の精度を同時に向上させる必要がある。しかしながら、単に誘電体を薄くすると電極の凹凸によって短絡してしまう不都合があった。
このため従来、例えば特許文献1には、銅箔表面に接着性樹脂層を形成する場合に、電極として銅箔表面粗度をRz(μm)としたとき、誘電体厚みAtを、1×Rz≦At≦10×Rzの範囲で制御することが提案されている。
また、電極の平坦性を向上させる方策としては、例えば特許文献2には、誘電体となる樹脂フィルムの平面にスパッタリングで薄膜を形成した後にめっきによる電極を形成し、樹脂フィルムを誘電体としてコンデンサを形成する方法が提案されている。この方法では、一般に樹脂フィルム表面の平坦性が高いため、電極の平坦性を向上させることができる。
さらに、特許文献3には、支持体層上に蒸着やめっき等で金属下部電極を形成し、その上に塗工によって接着性の誘電体層を形成し、その後その上にめっきにより金属上部電極を形成する方法が提案されている。この場合、支持体層が十分に平坦であれば、その平坦性を保ってコンデンサを形成することができる。
特開2003−60352号公報(特許請求の範囲、図1) 特開平9−17691号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2002−9416号公報(特許請求の範囲、図1)
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1に記載の技術では、一般に市販されている銅箔のシャイニー面で銅箔表面粗度Rzが1μm程度なので、実際には、誘電体厚みAtを1μm未満にすることは困難である。このように、誘電体を薄くするためには、銅箔に樹脂を塗る方法では、限界があった。また、誘電体厚みAtの寸法精度を向上させるためにも、銅箔表面粗度Rzに対して誘電体厚みAtが大きい方が有利であり、望ましくは誘電体厚みがAt>10×Rzである方がよい。
また、特許文献2に記載の技術では、樹脂フィルムが自立する必要があるため、高容量の誘電体層とするには、厚さを1μm以下にすることが実質的に不可能であった。
さらに、特許文献3に記載の技術では、電極を単にめっきや蒸着で形成するため、支持体層と下部電極との密着強度及び誘電体層と上部電極との密着強度が十分ではなく、パターン形成工程で層間への薬液侵入や積層工程での剥離等の問題が生ずるおそれが高い。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、高容量かつ高精度なコンデンサ特性を得ることができると共に層間の密着強度が高いコンデンサフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のコンデンサフィルムは、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に形成された表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜と、前記第1の金属電極膜上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された第2の金属電極膜と、を備え、前記第1の金属電極膜及び前記第2の金属電極膜が、スパッタリングで形成される薄膜層と、前記薄膜層上に電解めっき法で形成される厚膜層と、から構成されていることを特徴とする。
また、本発明のコンデンサフィルムの製造方法では、樹脂フィルム上に表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜を形成する第1の金属電極膜形成工程と、前記第1の金属電極膜上に誘電体膜を形成する誘電体膜形成工程と、前記誘電体膜上に第2の金属電極膜を形成する第2の金属電極膜形成工程と、を有し、前記第1の金属電極膜形成工程及び前記第2の金属電極膜形成工程が、スパッタリングで薄膜層を形成するスパッタ工程と、前記薄膜層上に電解めっき法で厚膜層を形成するめっき工程と、から構成されていることを特徴とする。
すなわち、これらのコンデンサフィルム及びその製造方法では、表面の高平坦化が容易な樹脂フィルム上に、高い密着強度が得られるスパッタリングによる薄膜層及び低コストで十分な膜厚が得られるめっきによる厚膜層をこの順で形成し、樹脂フィルム表面の平坦性を保持した表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜を形成することで、高平坦性の第1の金属電極膜上に、薄い誘電体膜が高精度の厚さ制御で形成されると共に、誘電体膜と第1の金属電極膜との間で高い密着強度を得ることができる。
また、誘電体膜上にも、高い密着強度が得られるスパッタリングによる薄膜層が先に形成されると共に、この上に低コストで十分な膜厚が得られるめっきによる厚膜層が形成されて第2の金属電極膜とされるので、高い密着強度が得られる。したがって、高容量かつ高精度なコンデンサ特性を有すると共に層間の密着強度が高いコンデンサフィルムが得られる。なお、表面粗さ10nm以下としたのは、この平坦性でなければ膜厚を1μm以下の誘電体膜を高精度に得ることが困難なためである。
また、本発明のコンデンサフィルムは、前記誘電体膜が、感光性誘電体材料で形成されていることを特徴とする。すなわち、このコンデンサフィルムでは、誘電体膜が感光性誘電体材料で形成されているので、紫外線照射等によるフォトリソグラフィ技術を用いた露光・現像工程で容易にかつ高精度にパターンエッチングが可能になる。
また、本発明のコンデンサフィルムは、前記誘電体膜が、セラミックスフィラーを含有した樹脂膜であることを特徴とする。すなわち、このコンデンサフィルムでは、誘電体膜がセラミックスフィラーを含有した樹脂膜であるので、より高い誘電率を得ることができると共にセラミックスフィラーの含有率を変えることにより任意の誘電率を高精度に設定することが可能になる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るコンデンサフィルム及びその製造方法によれば、樹脂フィルム上に表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜が形成されるので、薄い誘電体膜が高精度に形成され、高容量かつ高精度なコンデンサ特性が得られる。また、樹脂フィルム上及び誘電体膜上にスパッタリングによる薄膜層及びめっきによる厚膜層からなる第1及び第2の金属電極膜が形成されるので、高い層間密着強度が得られる。
したがって、本発明によれば、高周波ノイズを抑制する高性能プリント回路基板やシート型受動部品の形成に好適な高コンデンサ特性を得ることができると共に、製造工程において耐薬品性や耐久性等に優れたコンデンサフィルムを得ることができる。
以下、本発明に係るコンデンサフィルム及びその製造方法の一実施形態を、図1から図3を参照しながら製造方法と共に構成を説明する。
まず、図1の(a)に示すように、表面粗度が5nm以下のポリイミドフィルム等の樹脂フィルム1を用意する。この樹脂フィルム1は、5μm以下の表面粗度、用途やプロセスに対する耐熱性等の要求を満たしていれば、ポリイミドに限定されず、液晶ポリマー、エポキシ樹脂等の他の材質でも構わない。
そして、この樹脂フィルム1上に、スパッタリングにより厚さ1μm以下の下部電極下地層(薄膜層)2aを直接形成する(スパッタ工程)。スパッタリングにより下部電極下地層2aを成膜するのは、表面粗度5nm以下の樹脂フィルム1上では、単なる蒸着やめっきでは高いアンカー効果が期待できないため、スパッタリングにより十分な密着強度を得るためである。また、この下部電極下地層2aは、Ni、Cr、Cu、Ti等の材料が用いられ、樹脂フィルム1に応じて任意に選択される。なお、本実施形態では、Cuを用いている。
さらに、下部電極下地層2a上に、図1の(b)に示すように、電極として十分な膜厚を得るために電解めっき法により厚さ10μm程度の下部電極主層(厚膜層)2bを形成することにより(めっき工程)、下部電極膜(第1の金属電極膜)2を形成する(第1の金属電極膜形成工程)。
このようにして形成された下部電極膜2の表面粗度は、樹脂フィルム1の表面粗度とほぼ同等のレベルを維持しており、10μm以下となっている。なお、下部電極主層2bを厚くすることによって、表面粗度は徐々に粗くなるため、下部電極主層2bの膜厚が15μmを超えないように制御される。また、下部電極主層2bの材質は、下部電極下地層2aと同じものでも異なるものでも構わない。なお、本実施形態では、下部電極下地層2aと同じCuを用いている。
続いて、図1の(c)に示すように、下部電極主層2b上に、セラミックスフィラーを含有した樹脂からなる誘電体膜3を1μm以下の膜厚で形成する(誘電体膜形成工程)。この際、所望の誘電率が得られるように、樹脂とセラミックスフィラー量とを調整し、さらに溶媒量と塗布量とを調節し、乾燥後に所望の膜厚となるように設定する。なお、セラミックスフィラーは、TiO、BaTiO、(Ba,Sr)TiO、PbZrO等、誘電率を高めるものであれば特に材料は問わない。
また、マトリックス(母材)の樹脂は、下部電極膜2との接着性を保つためにエポキシ系の接着剤に使用されるものが望ましい。誘電体膜3の塗布方法は、薄く均一な膜を製造するという目的には、グラビアコーターが適しているが、特に方法は問わない。誘電体膜3に用いる上記樹脂としては、フォトリソグラフィ技術を利用したパターニングを可能にするため、感光性樹脂(感光性誘電体材料)を用いることが好ましい。この感光性樹脂としては、ラジカル重合反応により架橋するアクリル基を含む樹脂(いわゆるレジスト材料等)等、一般的に用いられるもので構わない。
このように、誘電体膜3がセラミックスフィラーを含有した樹脂膜であるので、より高い誘電率を得ることができると共にセラミックスフィラーの含有率を変えることにより任意の誘電率を高精度に設定することが可能になる。
次に、誘電体膜3上に、図1の(d)に示すように、スパッタリングにより上部電極下地層4aを形成し(スパッタ工程)、さらにこの上に電解めっきにより上部電極主層4bを形成する(めっき工程)。すなわち、下部電極膜2と同様の構成で、上部電極下地層4a及び上部電極主層4bからなる上部電極膜(第2の金属電極膜)4を形成することにより(第2の金属電極膜形成工程)、コンデンサフィルム5が作製される。
次に、このように形成されたコンデンサフィルム5を用いてコンデンサ部を形成する方法について、図2を参照して以下に説明する。
まず、図2の(a)に示すコンデンサフィルム5において、上部電極膜4を塩化第二鉄エッチャント、塩化第二銅エッチャントやアルカリエッチャントによるウェットエッチングによりパターンエッチングを施して、図2の(b)に示すように、コンデンサ部の一方の電極となる上部電極14を形成する。
次に、図2の(c)に示すように、上部電極膜4のパターンエッチングで露出した誘電体膜3に対して、反応性プラズマによるドライエッチング等でパターンエッチングを施してコンデンサ部の誘電体部13を形成する。なお、誘電体膜3の樹脂に感光性樹脂を用いた場合には、紫外線照射等によるフォトリソグラフィ技術を用いた露光・現像工程でパターンエッチングを容易に行うことができる。この場合、上部電極14がマスクの代わりとなる。
さらに、誘電体膜3のパターンエッチングで露出した下部電極膜2に対して、図2の(d)に示すように、塩化第二鉄エッチング等によりパターンエッチングを施して下部電極12を形成して、この下部電極12と上部電極14との間に誘電体部13が配されたコンデンサ部Cを形成する。
次に、このコンデンサ部Cが形成されたコンデンサフィルムを用いて、シート型受動部品の基板内蔵方法について一例を、図3を参照して以下に説明する。
まず、図3の(a)に示すように、前述のコンデンサ部Cが形成された樹脂フィルム1下面に、エポキシ系等の下部接着剤層21を塗布又は張設により形成し、さらに、下部接着剤層21及び樹脂フィルム1を貫通すると共に下部電極12に到達する下部レーザビア22を開ける。次に、下部レーザビア22内に、Agペースト等の導電ペーストを充填して硬化させ、図3の(b)に示すように、下部電極12に電気的に接続される下部貫通電極23を、下部接着剤層21及び樹脂フィルム1に貫通状態に形成する。さらに、下部接着剤層21の下面に下部銅箔24を接着する。
続いて、図3の(c)に示すように、上部電極14及び樹脂フィルム1の上面に、エポキシ系等の上部接着剤層25を介して樹脂層26を貼り付ける。さらに、上部接着剤層25及び樹脂層26を貫通すると共に上部電極14に到達する上部レーザビアを開ける。次に、樹脂層26の上面に、銅めっきを施すことによって、上部電極14に電気的に接続された上部貫通電極27と上部銅配線層28とを同時に形成することにより、シート型受動部品が基板内に内蔵される。
このように作製されたシート型受動部品では、上部銅配線層28と上部電極14とが上部貫通電極27を介して電気的に接続されていると共に、下部銅箔24と下部電極12とが下部貫通電極23を介して電気的に接続されている。したがって、上部銅配線層28及び下部銅箔24をパターンエッチングして配線を形成することにより、回路としてコンデンサ部Cとの接続が可能になる。
本実施形態では、表面の高平坦化が容易な樹脂フィルム1上に、高い密着強度が得られるスパッタリングによる下部電極下地層2aと、低コストで十分な膜厚が得られるめっきによる下部電極主層2bと、をこの順で形成し、樹脂フィルム1表面の平坦性を保持した表面粗さ10nm以下の下部電極膜2を形成することで、膜厚1μm以下の薄い誘電体膜3が高精度の厚さ制御で形成されると共に、誘電体膜3と下部電極膜2との間で高い密着強度を得ることができる。
また、誘電体膜3上にも、高い密着強度が得られるスパッタリングによる上部電極下地層4aが先に形成されると共に、この上に低コストで十分な膜厚が得られるめっきによる上部電極主層4bが形成されるので、高い密着強度が得られる。したがって、高容量かつ高精度なコンデンサ特性を有すると共に層間の密着強度が高いコンデンサフィルム5が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明に係るコンデンサフィルム及びその製造方法の一実施形態において、製造工程を工程順に示す断面図である。 本実施形態において、コンデンサ部の形成方法を工程順に示す断面図である。 本実施形態において、コンデンサフィルムを用いたシート型受動部品の作製方法を工程順に示す断面図である。
符号の説明
1…樹脂フィルム、2…下部電極膜(第1の金属電極膜)、2a…下部電極下地層(薄膜層)、2b…下部電極主層(厚膜層)、3…誘電体膜、4…上部電極膜(第2の金属電極膜)、4a…上部電極下地層(薄膜層)、4b…上部電極主層(厚膜層)、5…コンデンサフィルム、C…コンデンサ部

Claims (4)

  1. 樹脂フィルムと、
    前記樹脂フィルム上に形成された表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜と、
    前記第1の金属電極膜上に形成された誘電体膜と、
    前記誘電体膜上に形成された第2の金属電極膜と、を備え、
    前記第1の金属電極膜及び前記第2の金属電極膜が、スパッタリングで形成される薄膜層と、前記薄膜層上に電解めっき法で形成される厚膜層と、から構成されていることを特徴とするコンデンサフィルム。
  2. 請求項1に記載のコンデンサフィルムにおいて、
    前記誘電体膜が、感光性誘電体材料で形成されていることを特徴とするコンデンサフィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のコンデンサフィルムにおいて、
    前記誘電体膜が、セラミックスフィラーを含有した樹脂膜であることを特徴とするコンデンサフィルム。
  4. 樹脂フィルム上に表面粗さ10nm以下の第1の金属電極膜を形成する第1の金属電極膜形成工程と、
    前記第1の金属電極膜上に誘電体膜を形成する誘電体膜形成工程と、
    前記誘電体膜上に第2の金属電極膜を形成する第2の金属電極膜形成工程と、を有し、
    前記第1の金属電極膜形成工程及び前記第2の金属電極膜形成工程が、スパッタリングで薄膜層を形成するスパッタ工程と、前記薄膜層上に電解めっき法で厚膜層を形成するめっき工程と、から構成されていることを特徴とするコンデンサフィルムの製造方法。
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