JP2006228670A - 多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 仕事関数を低減した電子放出用の多層構造体を提供する。
【解決手段】 第1金属の金属基板上に、基板の第1金属の一部を第2金属で置換した合金の中間層と、その上の第3金属の表層とを備え、中間層合金/表層金属の組み合わせが、Ni基板にはNiCr/Se, NiSn/Se, NiIn/In, NiCr/Si, NiSn/S, NiIn/S, NiCr/Ag, NiAl/Si, NiIn/Se, NiSn/Ag, NiSn/Siのいずれか1種、Pt基板にはPtSn/Sn, PtSn/In, PtSn/Te, PtSn/Pb, PtSn/P, PtSn/Se, PtIn/Mg, PtPb/Mg, PtSn/Mg, PtIn/In, PtSn/S, PtPb/In, PtIn/Pb, PtIn/P, PtPb/P, PtIn/Se, PtPb/Pbのいずれか1種であり、仕事関数が1eV以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1金属の金属基板上に、基板の第1金属の一部を第2金属で置換した合金の中間層と、その上の第3金属の表層とを備え、中間層合金/表層金属の組み合わせが、Ni基板にはNiCr/Se, NiSn/Se, NiIn/In, NiCr/Si, NiSn/S, NiIn/S, NiCr/Ag, NiAl/Si, NiIn/Se, NiSn/Ag, NiSn/Siのいずれか1種、Pt基板にはPtSn/Sn, PtSn/In, PtSn/Te, PtSn/Pb, PtSn/P, PtSn/Se, PtIn/Mg, PtPb/Mg, PtSn/Mg, PtIn/In, PtSn/S, PtPb/In, PtIn/Pb, PtIn/P, PtPb/P, PtIn/Se, PtPb/Pbのいずれか1種であり、仕事関数が1eV以下である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、仕事関数を低減して電子放出能力を高めた多層構造体に関する。
近年、種々の分野において電子放出現象を利用した装置(素子)の開発が進められている。例えば、熱電子発電装置(Thermionic Energy Converter: TEC)は、金属中の自由電子が仕事関数以上の熱エネルギーを付与されると熱電子として金属の外部へ放出される現象を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置である。その際、一次エネルギー(熱エネルギー)を二次エネルギー(電気エネルギー)へ直接変換するため高い発電効率が得られる上、可動部が不要なので静粛性が高くかつ機械的な損耗が発生せず、また小型・軽量で種々の形状を取り得る等の種々の利点がある。
また電子放出現象を利用した装置のもう1つの代表例として、電界放出ディスプレー(Field Emission Display: FED)が注目されている。これは、固体表面に強い電界が印加されたときに、固体表面に閉じ込められていた電子が表面のポテンシャル障壁の低下によりトンネル効果で真空中に飛び出しやすくなる現象を利用したディスプレー装置である。
この現象を生ずるためには固体表面に非常に大きな電圧をかけなくてはならないが、例えば先端を針のように尖らせた電極を用いて電圧印加面積を極小化することによりこれを可能としている。固体表面の極小領域から放出された電子を蛍光体の微小領域毎に衝突させて個々の画素(ピクセル)を発光させ、発光面全体として画像表示する。この点で原理的には電子銃(熱電子放出)を用いた従来のCRTと共通するため、液晶ディスプレーに比べて広視野で発色や応答速度が優れており、同時に、液晶ディスプレーと同等の薄型化が可能である。このようにFEDはCRTと液晶の長所を併せ持つ優れたディスプレーとして注目されている。
現在、電子放出現象を利用した装置は実用化に向けて種々開発が進められているが、最も基本的な要件としては、高い電子放出効率を確保することであり、そのためには電子放出素子の仕事関数を低くすることが必要である。
これまで知られている低仕事関数の材料としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のような単一元素から成る材料があるが、高温や高電界などの電子放出環境下で外囲雰囲気と反応し易く、電子放出素子には適さない。
また、これまで得られている仕事関数はφ>1.2eVであるが、実用的な電子放出効率を確保するには、仕事関数は1eV以下とすることが望まれる。
更に、材質による仕事関数の低減の限界を材料の針状化により解決しようとすると、カーボンナノチューブのような特殊な材料を用いる必要がある。
本発明は、上記従来の限界を超えて仕事関数を低減した電子放出用の多層構造体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、図1に示すように、本発明の多層構造体1は、第1金属から成る金属基板2上に、該基板2の第1金属の一部を第2金属で置換した合金から成る中間層3と、該中間層3上にあって第3金属から成る表層4とを備えている。
第1金属はNiまたはPt、第2金属はCr、Sn、In、Al、Pbのいずれか1種、第3金属はSe、In、Si、S、Ag、Mg、Pb、Pのいずれか1種であり、
中間層/表層の組み合わせが、
基板の第1金属がNiの場合には下記(1)〜(11):
(1)NiCr合金/Se、
(2)NiSn合金/Se、
(3)NiIn合金/In、
(4)NiCr合金/Si、
(5)NiSn合金/S、
(6)NiIn合金/S、
(7)NiCr合金/Ag、
(8)NiAl合金/Si、
(9)NiIn合金/Se、
(10)NiSn合金/Ag、
(11)NiSn合金/Si
のいずれか1種であり、
基板の第1金属がPtの場合には、下記(12)〜(28):
(12)PtSn合金/Sn、
(13)PtSn合金/In、
(14)PtSn合金/Te、
(15)PtSn合金/Pb、
(16)PtSn合金/P、
(17)PtSn合金/Se
(18)PtIn合金/Mg、
(19)PtPb合金/Mg、
(20)PtSn合金/Mg、
(21)PtIn合金/In、
(22)PtSn合金/S、
(23)PtPb合金/In、
(24)PtIn合金/Pb、
(25)PtIn合金/P、
(26)PtPb合金/P、
(27)PtIn合金/Se、
(28)PtPb合金/Pb
のいずれか1種であり、
かつ仕事関数が1eV以下であることを特徴とする多層構造体である。
中間層/表層の組み合わせが、
基板の第1金属がNiの場合には下記(1)〜(11):
(1)NiCr合金/Se、
(2)NiSn合金/Se、
(3)NiIn合金/In、
(4)NiCr合金/Si、
(5)NiSn合金/S、
(6)NiIn合金/S、
(7)NiCr合金/Ag、
(8)NiAl合金/Si、
(9)NiIn合金/Se、
(10)NiSn合金/Ag、
(11)NiSn合金/Si
のいずれか1種であり、
基板の第1金属がPtの場合には、下記(12)〜(28):
(12)PtSn合金/Sn、
(13)PtSn合金/In、
(14)PtSn合金/Te、
(15)PtSn合金/Pb、
(16)PtSn合金/P、
(17)PtSn合金/Se
(18)PtIn合金/Mg、
(19)PtPb合金/Mg、
(20)PtSn合金/Mg、
(21)PtIn合金/In、
(22)PtSn合金/S、
(23)PtPb合金/In、
(24)PtIn合金/Pb、
(25)PtIn合金/P、
(26)PtPb合金/P、
(27)PtIn合金/Se、
(28)PtPb合金/Pb
のいずれか1種であり、
かつ仕事関数が1eV以下であることを特徴とする多層構造体である。
本発明の多層構造体1は、金属基板2、中間層3、表層4を上記いずれかの組み合わせに限定した構成とすることにより双極子モーメントを最大化することができ、従来得られなかった低仕事関数φ≦1eVを実現できる。
本発明においては、上記作用効果を得るために、望ましくは、NiまたはPtから成る金属基板の(111)面上に上記中間層が形成される。
本発明による種々の多層構造体のサンプルを作成し、仕事関数φと対応する物性値として双極子モーメントμを求めた。これは、仕事関数φと双極子モーメントμとの間には図2に示すようなほぼ直線的な相関関係が存在するという経験的な事実に基づいている。同図から分かるように、仕事関数φが1eV以下であることは、双極子モーメントμが10debye以上であることとほぼ対応している。図中に示したように、従来の材料では仕事関数φが1eVより大、すなわち双極子モーメントμが10debye未満であった。
本発明の規定範囲を満たすサンプルとして作成対象の決定は、図3、図4に示した探索手順および探索システムを用いて行なった。すなわち、基板としてNiまたはPtを用いる前提で、基板のNiまたはPtの一部を置換してを形成する元素と、更にその上の表層を構成する元素の組合せを種々に変えて、双極子モーメントμを計算により求め、双極子モーメントμ≧10debye(≒仕事関数≦1eV)の構造を選出した。
この結果に基づき、実際にサンプルを作成して双極子モーメントを求めた。サンプルの作成は本出願人による特許第3373357号記載の方法により下記の手順で行なった。
〔実施例1〕
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのCr結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Crで置換した形のNiCr合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiCr合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiCr合金層上に、表層として2原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiCr合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のSe層が形成され、Ni基板/NiCr中間層(1原子層)/Se表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図5にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える98.5debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える98.5debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例2〕
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Snで置換した形のNiSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiSn合金層上に、表層として2原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間5secで製膜した。これにより、NiSn合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のSe層が形成され、Ni基板/NiSn中間層(1原子層)/Se表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図6にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える76.4debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える76.4debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例3〕
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.0nmの結晶構造のIn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.0nmの結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記表層前駆体としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板と表層前駆体との界面に両者の合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、基板(Ni)と表層前駆体(In)との界面にNiIn合金層が形成され、Ni基板/NiIn中間層(1原子層)/IN表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図7にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える46.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える46.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例4〕
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Si層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Si層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのCr結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Crで置換した形のNiCr合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiCr合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiCr合金層上に、表層として1原子層のSi結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiCr合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のSi層が形成され、Ni基板/NiCr中間層(1原子層)/Si表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図8にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える42.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える42.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例5〕
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Snで置換した形のNiSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiSn合金層上に、表層として1原子層のS結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間5secで製膜した。これにより、NiSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のS層が形成され、Ni基板/NiSn中間層(1原子層)/S表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図9にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える33.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える33.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例6〕
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、S層を2原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、S層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Inで置換した形のNiIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiIn合金層上に、表層として1原子層のS結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiIn合金層上に厚さ約0.3nmの結晶構造のS層が形成され、Ni基板/NiIn中間層(1原子層)/S表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図10にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える30.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える30.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例7〕
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のAg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Ag層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiCr合金層(中間層)とその上のAg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiCr合金層を1原子層、Ag層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のCr結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のCr層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのCr結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Crで置換した形のNiCr合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiCr合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiCr合金層上に、表層として2原子層のAg結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiCr合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のAg層が形成され、Ni基板/NiCr中間層(1原子層)/Ag表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図11にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える28.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える28.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例8〕
本発明により、Ni基板上にNiAl合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiAl合金層を1原子層、Si層を2原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiAl合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiAl合金層を1原子層、Si層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のAl結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のAl層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のAl結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のAl層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのAl結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Alで置換した形のNiAl合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiAl合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiAl合金層上に、表層として2原子層のSi結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiAl合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のSe層が形成され、Ni基板/NiAl中間層(1原子層)/Si表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図12にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える27.0debyeという大きな双極子モーメントμz値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える27.0debyeという大きな双極子モーメントμz値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例9〕
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiIn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiIn合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Inで置換した形のNiIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiIn合金層上に、表層として2原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、NiCr合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のSe層が形成され、Ni基板/NiIn中間層(1原子層)/Se表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図13にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える23.1debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える23.1debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例10〕
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のAg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Ag層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のAg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Ag層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Snで置換した形のNiSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiSn合金層上に、表層として1原子層のAg結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間5secで製膜した。これにより、NiSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のAg層が形成され、Ni基板/NiSn中間層(1原子層)/Ag表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図14にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える22.6debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える22.6debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例11〕
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Si層を1原子層とした。
本発明により、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSi層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Si層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、基板のNiを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のNiを一部Snで置換した形のNiSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Ni基板/NiSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のNiSn合金層上に、表層として1原子層のSi結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間5secで製膜した。これにより、NiSn合金層上に厚さ約0.3nmの結晶構造のSi層が形成され、Ni基板/NiSn中間層(1原子層)/Si表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図15にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える18.0debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える18.0debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔比較例1〕
本発明の範囲外の比較例として、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Sn層を2原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Ni基板上にNiSn合金層(中間層)とその上のSn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、NiSn合金層を1原子層、Sn層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Ni基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.2nmの結晶構造のSn層が形成された。
まず、Ni基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.2nmの結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記表層前駆体としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板と表層前駆体との界面に両者の合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、基板(Ni)と表層前駆体(Sn)との界面にNiSn合金層が形成され、Ni基板/NiSn中間層(1原子層)/Sn表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図16にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない−11.7という負のμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない−11.7という負のμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
〔実施例12〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のSn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Sn層を2原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のSn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Sn層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.2nmの結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.2nmの結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記表層前駆体としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板と表層前駆体との界面に両者の合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、基板(Pt)と表層前駆体(Sn)との界面にPtSn合金層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/Sn表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図17にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える68.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える68.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例13〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のIn層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/In表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図18にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える63.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える63.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例14〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Te層を2原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Te層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として2原子層のTe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧2kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のTe層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/Te表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図19にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える57.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える57.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例15〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として2原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.5nmの結晶構造のPb層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/Pb表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図20にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える55.6debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える55.6debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例16〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として1原子層のP結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のP層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/P表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図21にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える55.0debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える55.0debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例17〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Se層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Se層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として1原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のSe層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/Se表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図22にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える49.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える49.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例18〕
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtIn合金層上に、表層として1原子層のMg結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のMg層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/Mg表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図23にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える41.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える41.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例19〕
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として1原子層のMg結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtPb合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のMg層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/Mg表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図24にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える34.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える34.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例20〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のMg層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、Mg層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として1原子層のMg結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のMg層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/Mg表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図25にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える33.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える33.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例21〕
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.0nmの結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約1.0nmの結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記表層前駆体としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板と表層前駆体との界面に両者の合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、基板(Pt)と表層前駆体(In)との界面にPtIn合金層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/In表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図26にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える30.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える30.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例22〕
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtSn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtSn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のSn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のSn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのSn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Snで置換した形のPtSn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtSn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtSn合金層上に、表層として1原子層のS結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtSn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のS層が形成され、Pt基板/PtSn中間層(1原子層)/S表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図27にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える29.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える29.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例23〕
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のIn層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、In層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として2原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtPb合金層上に厚さ約0.3nmの結晶構造のIn層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/In表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図28にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える19.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える19.9debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例24〕
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtIn合金層上に、表層として2原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.5nmの結晶構造のPb層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/Pb表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図29にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える18.2debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える18.2debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例25〕
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtCr合金層上に、表層として1原子層のP結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のP層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/P表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図30にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える14.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える14.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例26〕
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のP層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、P層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として1原子層のP結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧7kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtCr合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のP層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/P表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図31にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える13.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える13.3debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例27〕
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Se層を1原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Se層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtIn合金層上に、表層として1原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のSe層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/Se表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図32にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える11.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える11.8debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔実施例28〕
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
本発明により、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のPb層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Pb層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.7nmの結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、表層前駆体として3原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間7secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.7nmの結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記表層前駆体としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧1kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板と表層前駆体との界面に両者の合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、基板(Pt)と表層前駆体(Pb)との界面にPtPb合金層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/Pb表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図33にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルは10debyeを超える10.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
得られたサンプルは10debyeを超える10.7debyeという大きな双極子モーメントμ値、すなわち1eV未満の低仕事関数φ値が得られた。
〔比較例2〕
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtIn合金層上に、表層として1原子層のS結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のS層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/S表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図34にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない9.7debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない9.7debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
〔比較例3〕
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のSe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Se層を2原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として1原子層のSe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧5kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtPb合金層上に厚さ約0.4nmの結晶構造のSe層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/Se表層(2原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図35にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない6.7debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない6.7debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
〔比較例4〕
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Te層を1原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtIn合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtIn合金層を1原子層、Te層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のIn結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のIn層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのIn結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Inで置換した形のPtIn合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtIn合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtIn合金層上に、表層として1原子層のTe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧2kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のTe層が形成され、Pt基板/PtIn中間層(1原子層)/Te表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図36にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない6.0debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない6.0debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
〔比較例5〕
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のS層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、S層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として1原子層のS結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧3kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtPb合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のS層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/S表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図37にサンプルの構造を模式的に示す。
双極子モーメントは10debyeに満たない5.4debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
双極子モーメントは10debyeに満たない5.4debyeという小さなμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
〔比較例6〕
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Te層を1原子層とした。
本発明の範囲外の比較例として、Pt基板上にPtPb合金層(中間層)とその上のTe層(表層)とを備えた多層構造体を下記の手順で作成した。ただし、PtPb合金層を1原子層、Te層を1原子層とした。
<サンプル作成手順>
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
まず、Pt基板の(111)面上に、基板のPtを一部置換する合金成分として1原子層のPb結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧1kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより基板上に厚さ約0.2nm(1原子層分)の結晶構造のPb層が形成された。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)内で、上記合金成分としてのPb結晶層の表面に電子線照射を行なった。照射条件は、ガン電圧7kV、照射角度90度、照射時間10秒、照射面積2×2mm2とした。この電子線照射により、極めて浅い領域を限定的に活性化することでイオンミキシングが起こり、基板表面のPtを一部Pbで置換した形のPtPb合金層が原子層オーダーの厚さで形成される。すなわち照射領域では、Pt基板/PtPb合金層(1原子層)から成る2層体が得られた。
次に、上記2層体のPtPb合金層上に、表層として1原子層のTe結晶層を形成した。これは、Arイオン転写法を用い、ガン電圧2kV、ガン電流0.5mA、試料回転数2rpm、Arイオン照射角度10度、照射時間4secで製膜した。これにより、PtIn合金層上に厚さ約0.2nmの結晶構造のS層が形成され、Pt基板/PtPb中間層(1原子層)/Te表層(1原子層)から成る多層構造体が得られた。
得られたサンプルの層構成および特性(μz値)を表1に示し、図38にサンプルの構造を模式的に示す。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない−3.2debyeという負のμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
得られたサンプルの双極子モーメントは10debyeに満たない−3.2debyeという負のμ値であり、1eV未満の低仕事関数φ値は得られなかった。
本発明は、従来の限界を超えて1eV以下の低仕事関数を実現できる電子放出用の多層構造体を提供する。
Claims (2)
- 第1金属から成る金属基板上に、該基板の第1金属の一部を第2金属で置換した合金から成る中間層と、該中間層上にあって第3金属から成る表層とを備え、
第1金属はNiまたはPt、第2金属はCr、Sn、In、Al、Pbのいずれか1種、第3金属はSe、In、Si、S、Ag、Mg、Pb、Pのいずれか1種であり、
中間層/表層の組み合わせが、
基板の第1金属がNiの場合には下記(1)〜(11):
(1)NiCr合金/Se、
(2)NiSn合金/Se、
(3)NiIn合金/In、
(4)NiCr合金/Si、
(5)NiSn合金/S、
(6)NiIn合金/S、
(7)NiCr合金/Ag、
(8)NiAl合金/Si、
(9)NiIn合金/Se、
(10)NiSn合金/Ag、
(11)NiSn合金/Si
のいずれか1種であり、
基板の第1金属がPtの場合には、下記(12)〜(28):
(12)PtSn合金/Sn、
(13)PtSn合金/In、
(14)PtSn合金/Te、
(15)PtSn合金/Pb、
(16)PtSn合金/P、
(17)PtSn合金/Se
(18)PtIn合金/Mg、
(19)PtPb合金/Mg、
(20)PtSn合金/Mg、
(21)PtIn合金/In、
(22)PtSn合金/S、
(23)PtPb合金/In、
(24)PtIn合金/Pb、
(25)PtIn合金/P、
(26)PtPb合金/P、
(27)PtIn合金/Se、
(28)PtPb合金/Pb
のいずれか1種であり、
かつ仕事関数が1eV以下であることを特徴とする多層構造体。 - 請求項1において、上記金属基板の(111)面上に上記中間層が形成されていることを特徴とする多層構造体。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN102651298A (zh) * | 2011-02-23 | 2012-08-29 | 中国科学院微电子研究所 | 红外探成像装置及其制备方法 |
-
2005
- 2005-02-21 JP JP2005044206A patent/JP2006228670A/ja active Pending
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