JP2006228606A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池を冷却する熱媒体と熱交換する熱交換器出口付近に設けられた排熱回収配管中における水中の空気による循環ポンプ低出力時の出力低下及び出力停止を抑制し、常に安定した燃料電池の排熱回収が行われ、燃料電池の電池性能が劣化することなくシステムの安定性を確保する。
【解決手段】水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池5と、燃料電池5を冷却する熱媒体が流れる冷却回路10と、冷却回路10上に設けられた熱交換器14と、熱交換器14を介して熱媒体と熱交換する水が流通する排熱回収回路12と、排熱回収回路12と接続し、熱交換器14により熱交換された温水を蓄える貯湯タンク20とを備え、排熱回収回路12上に熱交換器の出口近傍に設けられた第1の空気抜き手段17と、第1の空気抜き手段17の下流に設けられた第2の空気抜き手段19とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池により発生した熱を、排熱回収回路により回収した熱を、家庭などへ供給する燃料電池システムに関する。
従来、ヒートポンプを用いた給湯装置として、図3に示されるような給湯装置が提供されていた。
上記給湯装置は、圧縮機31で圧縮された冷媒が凝縮器として機能する水熱交換器34を介して水と熱交換し、水熱交換器34で加熱された温水が、排熱回収回路のうち水熱交換器34の下流に相当する出湯管31を流れ、貯湯タンク40の上部に戻され、貯湯タンク40の上部より温水が貯えられる。そして、貯湯タンク40上部より温水が取り出され、必要に応じて家庭のお風呂等に供給される。なお、上記排熱回収においては、水熱回収交換器で加熱された水の温度が目標温度(85℃)になるよう水熱交換器出口付近に設けられた温度センサ37で検知された温度に基づき制御手段42が循環ポンプ36の出力制御により水の流量を調節する。加熱源である圧縮機31の場合は、通常一定の出力で運転するため圧縮された冷媒の水熱交換器34での排熱も一定であり、従って循環ポンプの出力もあまり大きく変動せず一定となる。
ここで、上記給湯装置においては、貯湯タンク40から供給される温水から放出される塩素臭を取り除くために高温の温水が存在する水熱交換器34出口付近に逃がし弁38、貯湯タンク40の頂部付近に設けた空気逃し弁39とを備えるよう構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−263791号公報
上記のような加熱源から熱交換器を介して熱回収した湯を貯湯タンクに貯え、この貯湯タンクから熱負荷へ給湯するタイプの給湯装置においては、通常装置設置後に給水栓41を開放して水張り運転を実施し、排熱回収回路及び貯湯タンク40内に水を充填させる。しかしながら、貯湯タンク下部の取水口から逃がし弁38までの排熱回収回路内の水中の空気は逃し弁38より抜け、貯湯タンク40内の水中の空気は空気逃し弁39より抜けるが、逃し弁38より下流の排熱回収回路内の水中に混じった空気は通常のポンプ出力では貯湯タンク内まで押し出されにくく回路内に滞留してしまう。この状態から、通常運転を開始すると回路内に滞留した空気は水熱交換器34から出力される高温の温水により加熱され体積膨張することで排熱回収回路内の水の流量が低下してしまうという問題が生じる。
ここで、圧縮機31に代えて燃料電池を用いた燃料電池システムの場合、家庭等の電力負荷の変化に応じて燃料電池の発電量を大きく変化させるため、上述の圧縮機31の場合と異なり、発電量の変化に応じて排熱回収回路内の水の流量も大きく変動させ、水熱交換器34の出口温度を目標温度に一致させるよう制御する必要がある。
その場合、燃料電池が低出力の場合、循環ポンプ36を出力を低下させ低流量にすると上述の排熱回収回路内の空気の圧力抵抗により必要以上に流量が低下し、熱交換後の冷却水の温度が最適な運転温度よりも高くなり、燃料電池の電池性能が低下する。さらに、循環ポンプ36の最低出力近辺まで水の流量を低下させた場合には、上記問題により循環ポンプ36の出力がとまってしまい水が流れなくなってしまい、燃料電池がオーバーヒートして燃料電池システムが異常停止してしまう可能性もある。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、高い湯温を維持する燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池を冷却する熱媒体が流れる冷却回路と、前記冷却回路上に設けられた熱交換器と、前記熱交換器を介して熱媒体と熱交換する水が流通する排熱回収回路と、前記排熱回収回路と接続し、前記熱交換器により熱交換された温水を蓄える貯湯タンクとを備え、前記排熱回収回路上に熱交換器の出口近傍に設けられた空気抜き手段と、前記空気抜き手段の下流に設けられた第2の空気抜き手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムは、前記第2の空気抜き手段は、前記排熱回収回路内の水が貯湯タンクの上部に接続された戻り口に向かって上方の流れに切り替わる箇所の上流側の排熱回収回路に設けられたことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムは、少なくとも前記燃料電池と、前記熱交換器と、前記空気抜き手段とをケース内に備えた燃料電池ユニットと、前記貯湯タンクを第2のケース内に備えた貯湯ユニットから構成され、前記第2の空気抜き手段は、前記燃料電池ユニットと前記貯湯ユニットとの間に設けられたことを特徴とする。
本発明の燃料電池システムによれば、燃料電池を冷却する熱媒体と熱交換する熱交換器出口付近に設けられた排熱回収配管中における水中の空気による循環ポンプ低出力時の出力低下及び出力停止を抑制し、常に安定した燃料電池の排熱回収が行われ、燃料電池の電池性能が劣化することなくシステムの安定性を確保することができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるコージェネレーションシステムのシステム構成図である。
図1において、1は改質装置で、原料供給経路2と、燃料ガス供給経路3と、燃焼排ガス経路4とが接続されている。5は燃料電池としての高分子電解質形燃料電池で、水素極(図示せず)には燃料ガス供給経路3と排水素経路6とが、酸素極(図示せず)には空気ブロワ7と排空気経路8とが、それぞれ接続されている。9は、改質装置1に備えつけられたバーナで、排水素経路6と接続されている。10は、燃料電池5を冷却するための熱媒体である冷却水が流れる冷却水回路で、冷却水ポンプ11を有している。12は排熱回収回路で、上流から、循環ポンプ13、冷却水回路10に取付けられたメンテバルブ低温17、熱交換器14、温度検知器15、第1の空気抜き手段16、第2の空気抜き手段19、メンテバルブ高温19、第3の空気抜き手段23、貯湯タンク20の順に接続されている。21は制御装置で、電気的に、循環ポンプ13、温度検知器15に接続されている。
さらに、本実施の燃料電池システムは、燃料電池5を第1のケース内に備える燃料電池ユニットと、貯湯タンク20を第2のケース内に収める貯湯タンクユニットとを備える形で構成されている。なお、上記メンテバルブ低温17、メンテバルブ高温19は、燃料電池ユニット側内部の排熱回収回路内をメンテする際に、貯湯タンク20側からの水の流出を防止するために排熱回収回路を燃料電池ユニット側と貯湯タンクユニット側で縁切りするためのバルブであり、メンテ時にはメンテバルブ低温17、メンテバルブ高温19をそれぞれ閉じてメンテを行う。
本実施の形態の燃料電池システムにおいて、発電運転を行う場合の動作について説明する。炭化水素などの原料ガスは、原料供給経路2より改質装置1に供給され、改質装置1内でバーナ9によって加熱され、改質反応により水素に転換される。この水素は、燃料ガス供給経路3から燃料電池5の水素極に供給され、燃料電池5内で消費された後、余った水素が、排水素経路6を介してバーナ9に供給され、前記改質装置1の加熱用原料として使用される。燃料電池5の酸素極には、空気ブロワ7から空気が供給され、燃料電池5内で酸素が消費された後、排空気経路8から外部へ排出される。燃料電池5内では、水素と空気中の酸素とが反応し発電を行い、発生した直流電力は電力変換装置22によって交流に変換され、家庭等の電力負荷に供給されるものである。
つぎに、本実施の形態の燃料電池システムにおいて、発電と同時に発生する排熱を回収方法について説明する。燃料電池5は、発電運転中は反応により熱を発生させる。この熱は、冷却水回路10内の水を冷却水ポンプ11で循環させることにより、熱交換器14を介して排熱回収回路12内の水に伝えられ温水となる。そして、熱交換器14から出力された排熱回収回路12内の温水は、循環ポンプ13によって搬送され、貯湯タンク20に貯えられ、家庭などの給湯または暖房に使用することにより、コージェネレーションとしての機能を果たすものである。
ここで、上述の燃料電池システムの熱交換器14を介した排熱回収についてさらに詳しく説明する。排熱回収回路12内の水は、熱交換器14により加熱されるが、このとき温度検知器15が検知される水温が、目標温度(本実施の形態では、冷却水回路10内の温水温度70℃)になるように、制御装置21が、温度検知器15が検知される水温に基づき循環ポンプ13の出力により水の流量を制御する。具体的には、電力負荷が低下に応じて燃料電池5の電力出力が低下すれば、循環ポンプ13の出力を低下させ、温度検知器15で検知される温度を高い目標温度に維持する。このように熱交換器14から出力される排熱回収回路内の水の温度を高い目標温度に維持するよう循環ポンプの出力を制御することで、熱交換器14で熱交換された冷却水の温度も十分低下し、再び燃料電池5内に導入され燃料電池の発熱を回収し、燃料電池5の温度を適切な運転温度(本実施の形態では、70℃)に維持することが可能になる。
しかしながら、排熱回収回路内、特に熱交換器14の下流側で、かつ貯湯タンク20の上部の戻り口に向かって上方に流れが切り替わる箇所の上流に位置する空気の抜けにくい排熱回収回路に空気が存在すると、熱交換後の温水により加熱され空気の体積が膨張し、これが抵抗となり、循環ポンプ13の低出力時に上述の問題を引き起こす可能性があった。
本実施の形態の燃料電池システムは、上記問題を解決するために熱交換器14の出口近傍に第1の空気抜き手段16を設け、第1の空気抜き手段16の下流に第2の空気抜き手段を設けたことを特徴とする。
次に、これらの排熱回収回路12の空気抜き手段16、19を用いて水張り運転時に熱交換器16の下流の排熱回収回路12内の空気抜きを実施する方法について説明する。
まず、貯湯タンクの水張りを次の手順で行う。
貯湯タンクを第2のケース内に備える貯湯タンクユニットの電源を入れ、次に貯湯タンク上部から給湯する配管と分岐した配管上に設けた空気抜き弁24を開放し、給水栓25を開放する。オーバーフロー管26より水が連続的に排出されたら貯湯タンク内に水が満水になったと判断して、逃がし弁を閉じ、最後に給水栓を閉める。
次に、排熱回収配管12に水張りを行う手順について図2をもとに説明する。
まず、給水栓を開放し(S2)、次にメンテバルブ高温18を閉じ(S3)、メンテバルブ低温17を開放する(S4)。ここで、フロートタイプである第1の空気抜き手段から上流に存在した空気は抜ける。次に、第2の空気抜き手段19を開放し(S5)、第2の空気抜き手段19より水が連続的に排出されたところで第2の空気抜き手段を閉じる(S6)。これにより、第1の空気抜き手段より下流に位置する第2の空気抜き手段19までの排熱回収配管に存在する空気が大気に抜ける。そして、メンテバルブ高温18を開けることで、排熱回収回路12及び貯湯タンク20を含む排熱回収系内の水張りが完了する。
なお、上記第2の空気抜き手段は、燃料電池5を第1のケース内に備える燃料電池ユニットと貯湯タンク20を第2のケース内に備える貯湯ユニットとの間に設けれられているため、容易に手動で開放できることから操作が容易である。さらに、通常、排熱回収配管は、貯湯タンク20内部に導入されると速やかに上方に向かって流れが切り替わるように構成されているため、上述の空気の抜けにくい排熱回収回路内の大部分の空気が大気に抜けることになり、操作の容易性を確保しながら、排熱回収配管の大部分の空気を抜くことが可能となる。
また、メンテバルブ高温を閉じた状態で、第2の空気抜き手段を開放することで、貯湯タンク側からの水が第2の空気抜き手段から放出されることを防止し、第2の空気抜き手段より下流に存在する排熱回収回路の空気を確実に抜くことが可能になる。
以上のように、上述の本実施の形態の燃料電池システムにより、家庭等の変化の大きい電力負荷に電力を供給する場合であっても、燃料電池の発熱を回収する排熱回収回路内の空気により所望の流量値以上に流量が低下して燃料電池の排熱が十分回収できず燃料電池の運転温度上昇を招き、電池性能を低下させる可能性が低減され、燃料電池システムの安定性を確保することが可能になる。特に、本実施の形態のように燃料電池として高分子電解質形燃料電池を用いた場合には、通常の運転温度(60〜70℃)を超えた温度を運転を行うと高分子電解質膜の劣化が進行し、膜の耐久性を著しく低下するが、上述の本実施の形態の燃料電池システムの構成によりこのような問題が起こる危険性が低下する。
本発明にかかる燃料電池システムは、常に安定した燃料電池の排熱回収が行われ、燃料電池の電池性能が劣化することなくシステムの安定性を確保するという効果を有し、家庭などへ供給する定置用発電設備等として有用である。
本発明の実施の形態1における燃料電池システムの構成図 本発明の実施の形態1における燃料電池システムの排熱回収配管の水張り動作のフローチャート 従来の給湯装置の構成図
符号の説明
5 燃料電池
12 排熱回収回路
13 循環ポンプ
14 熱交換器
15 温度検知器
16 第1の空気抜き手段
17 メンテバルブ低温
18 メンテバルブ高温
19 第2の空気抜き手段
20 貯湯タンク
21 制御装置

Claims (3)

  1. 水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池を冷却する熱媒体が流れる冷却回路と、前記冷却回路上に設けられた熱交換器と、前記熱交換器を介して熱媒体と熱交換する水が流通する排熱回収回路と、前記排熱回収回路と接続し、前記熱交換器により熱交換された温水を蓄える貯湯タンクとを備え、前記排熱回収回路上に熱交換器の出口近傍に設けられた空気抜き手段と、前記空気抜き手段の下流に設けられた第2の空気抜き手段とを備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記第2の空気抜き手段は、前記排熱回収回路内の水が貯湯タンクの上部に接続された戻り口に向かって上方の流れに切り替わる箇所の上流側の排熱回収回路に設けられたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池システムは、少なくとも前記燃料電池を第1のケース内に備えた燃料電池ユニットと、前記貯湯タンクを第2のケース内に備えた貯湯ユニットから構成され、前記第2の空気抜き手段は、前記燃料電池ユニットと前記貯湯ユニットとの間に設けられたことを特徴とする燃料電池システム。
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