JP2006228322A - 光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光ピックアップ1は、可動部2の重心位置Gとトラッキングコイル9によるトラッキング駆動力中心位置Faとはフォーカス方向(X方向)に関してほぼ一致しているが、この一致点が、寸法上の支持中心位置Lに対して光ディスク3側にずれている場合において、可動部がトラッキング方向に移動したときにローリングしないように、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数を、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より大きくしている。
【選択図】 図3
Description
光ピックアップは、記録媒体である光ディスクの記録面上に光たとえばレーザー光を集光させて情報の記録,再生などを行う装置である。
光ピックアップは可動部を有しており、この可動部は、複数の支持ワイヤを介して支持台に支持されて移動可能である。可動部は、通常は、レーザー光を集光させるための対物レンズと、光ディスクに対する対物レンズの位置を調整するためのフォーカスコイルおよびトラッキングコイルとを有している。
この光ピックアップは、四本のワイヤのうち光ディスク面から遠い位置に構成される二本のワイヤのばね定数が、光ディスク面に近い位置に構成される二本のワイヤのばね定数より高くなるように構成している。これにより、光ディスク法線に対する対物レンズ法線の傾く方向と、主光軸の傾き方向とが同じ方向になるようにしている。
そのため、対物レンズを有する可動部のローリングを防止することを主な目的とする本発明とは目的が異なっているので、この特許文献1の技術をそのまま本発明に適用することはできない。
この場合には、可動部がトラッキング方向に移動したときローリングして傾く恐れがあり、その結果、低域の周波数帯(低周波数域)で加速度感度の乱れや位相の乱れが発生する恐れもあった。
好ましい一実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤの直径を、前記一対の第2の支持ワイヤの直径より大きくすることにより、この一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしている。
また、他の好ましい実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤのみを、前記支持台側から平面視で見てハの字状または逆ハの字状に配置することにより、この一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしている。
さらに、他の好ましい実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台に取付けられたプリント配線板に電気的に接続されており、このプリント配線板には前記一対の第2の支持ワイヤの接続位置の近傍に切欠き部を形成することにより、前記一対の第2の支持ワイヤのばね定数を相対的に小さくしている。
さらに、他の好ましい実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤの長さ寸法を、前記一対の第2の支持ワイヤの長さ寸法より短くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしている。
さらに、好ましい他の実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台の凹部に充填されたゲル剤を介してこの支持台に支持されており、前記一対の第1の支持ワイヤを支持する一方の前記ゲル剤の粘度を、前記一対の第2の支持ワイヤを支持する他方の前記ゲル剤の粘度より高くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしている。
さらに、好ましい他の実施態様として、前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台の凹部に充填されたゲル剤を介して支持台に支持されており、前記一対の第1の支持ワイヤを支持する一方の前記ゲル剤の軸線方向の有効長さ寸法を、前記一対の第2の支持ワイヤを支持する他方の前記ゲル剤の軸線方向の有効長さ寸法より長くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしている。
図2は、光ディスク側の一対の第1の支持ワイヤのばね定数と、反光ディスク側の一対の第2の支持ワイヤのばね定数とが同じ場合の光ピックアップを示す図で、図2(A)は光ピックアップの正面図、図2(B)は、図2(A)のII−II線矢視図である。
図3は、一対の第1の支持ワイヤのばね定数を一対の第2の支持ワイヤのばね定数より大きくした本発明の一実施例にかかる光ピックアップを示す図である。図3(A)は光ピックアップの正面図、図3(B)は図3(A)のIII−III線矢視図である。
図2,図3は、可動部の重心位置と、トラッキングコイルによるトラッキング駆動力中心位置とが、フォーカス方向に関して一致し、この一致点が、寸法上の支持中心位置に対してフォーカス方向に関してずれている場合を示している。
図4(A),(B)は、周波数特性を示すグラフで、横軸,縦軸はそれぞれ周波数,感度を示している。図4(A)は、低域の周波数帯における可動部の加速度感度の乱れと位相の乱れが発生している場合を、図4(B)は、低域の周波数帯における可動部の加速度感度の乱れと位相の乱れが解消された場合を、それぞれ示している。
図1ないし図4において、光ピックアップでは、対物レンズやトラッキングコイル9などを有する可動部2の重心位置Gと、トラッキングコイル9によるトラッキング駆動力中心位置Faと、フォーカス方向に関する可動部を支持する寸法上の中心位置(すなわち、寸法上の支持中心位置)Lとが一致していれば、可動部2は、トラッキング方向に移動したときに、ローリングして傾くことはなく、平行移動する。
これら三つの位置G,Fa,Lのうち、可動部の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faは、可動部2におけるトラッキングコイル9の配置位置を調整すれば、フォーカス方向(X方向)に関して容易に一致させることができる。
一方、光ピックアップを薄型化するのに、可動部2の本体部16を薄型化する必要性があり、また、可動部本体部16と光ディスク3の表面3aとの間には、光ピックアップのカバー(図示せず)などを配置するためのスペースを確保しなければならないので、可動部本体部16を光ディスク表面3aからある程度離して配置する必要がある。
すなわち、可動部2の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとの一致点が、寸法上の支持中心位置Lに対して光ディスク表面3a側にずれて構成されると、可動部2は、トラッキング方向に移動したときにローリングして傾くことになる(図2(B))。その結果、低域の周波数帯における可動部2の加速度感度の乱れと位相の乱れが発生する場合がある(図4(A))。
そして、可動部2がトラッキング方向に移動したときにローリングをしないように、光ディスク3側に位置する一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数を、反光ディスク側(光ディスクから離れた遠い方の位置)に位置する一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくしている(図3)。
これにより、可動部2がトラッキング方向に移動したとき、この可動部2のローリングを防止し(図3(B))、その結果として、低域の周波数帯における可動部の加速度感度の乱れと位相の乱れを解消している(図4(B))。
図1,図3に示すように、本発明の光ピックアップ1は可動部2を備えている。なお、参考図である図2に示す光ピックアップにおいても、図3に示す光ピックアップ1と同一または相当部分には同一符号を付している。
可動部2には、フォーカスコイル8およびトラッキングコイル9と、光ディスク3の記録面(表面3a)上にレーザー光などの光を集光させるための対物レンズ4とが設けられている。可動部2のフォーカスコイル8とトラッキングコイル9にそれぞれ電流を流すことにより、記録媒体である光ディスク3に対する対物レンズ4の位置を調整することができる。
光ディスク3としては、DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,CD,CD−ROM,CD−R,CD−RW,MD,MOなどがある。
本実施例では、対物レンズ4が可動部2の中央部より一方側に偏心して配置された「レンズオフセットタイプ」の光ピックアップ1の場合を示している。なお、本発明は、対物レンズが可動部のほぼ中央部に配置された「レンズセンタータイプ」の光ピックアップにも適用可能である。
複数の支持ワイヤ5a,5bは、光ディスク3側(光ディスク3に近い距離の位置)に設けられた一対の第1の支持ワイヤ5aと、反光ディスク側(光ディスク3から離れた遠い方の位置)に設けられた一対の第2の支持ワイヤ5bとにより構成されている。
支持ワイヤ5a,5bは、可動部2の両端にY方向とほぼ平行にそれぞれ二本ずつ合計四本設けられている。互いにほぼ平行な四本の支持ワイヤ5a,5bは、その一端部(支持台6から遠い方の端部)が可動部2側に固定され、他端部が支持台6側に固定されている。
フォーカスコイル8とトラッキングコイル9との間でそれぞれ磁気回路を構成する永久磁石19a,19bが、ヨーク部7のヨーク7a,7bにそれぞれ取付けられている。フォーカスコイル7とトラッキングコイル8は、永久磁石19a,19bによる磁束がそれぞれ鎖交するように配置されている。
磁気回路を構成しているフォーカスコイル7,トラッキングコイル8,ヨーク部7および永久磁石19a,19bは、可動部2を移動させるための駆動部11を構成している。
トラッキングコイル9に電流を流して、可動部2をトラッキング方向に移動させるときに、可動部2に対してトラッキング方向に作用する駆動力(トラッキング駆動力)の中心となる位置(トラッキング駆動力中心位置Fa)は、各図中「○」印または「・」印で示されている。
トラッキング駆動力中心位置Faは、トラッキングコイル9における上下方向(X方向、すなわちフォーカス方向)に関する中心位置である。また、可動部2の重心位置Gは、各図中「×」印または「・」印で示されている。
そして、光ピックアップ1は、光ディスク3の記録面(表面3a)上に対物レンズ4で光(たとえば、レーザー光)を集光させて、光ディスク3に対して情報の記録,再生などを行う。
これにより、可動部2がトラッキング方向に移動したとき、可動部2のローリングを防止し、その結果として、低域の周波数帯(低周波数域)における可動部2の加速度感度の乱れと位相の乱れを解消している。
ここで「可動部2の基本位置」とは、たとえば、フォーカスコイル8とトラッキングコイル9に電流を供給しないで可動部2が静止している状態のとき、可動部2の上下,左右の中心線がともに基準線(図示せず)と一致しているときの、可動部2の位置をいう。好ましくは、対物レンズ4の光軸Bが、水平面に対して直角になるとともに、Z方向の基準線(中心線)と一致する位置にあるときに、可動部2が基本位置Sにあることになる。
本体部16は、本体部16と光ディスク3の表面3aとの間に光ピックアップ1のカバー(図示せず)などを配置するためのスペースを確保するために薄型に形成されている。
本体部16は、対物レンズ4を支持するレンズ支持部17と、コイル8,9を支持し、平面視でほぼ矩形のコイル支持部18とを有している。コイル支持部18の内方には、一つのフォーカスコイル8と、Z方向に並んだ一対のトラッキングコイル9とが設けられている。こうして、対物レンズ4,フォーカスコイル8およびトラッキングコイル9などは、本体部16の所定位置に取付けられている。
可動部2は、フォーカスコイル8とトラッキングコイル9に電流が供給されていないときの基本位置Sから、フォーカスコイル8とトラッキングコイル9の一方または両方に電流を供給することにより、上下方向(X方向)や左右方向(Z方向)に移動(シフト)することができる。
支持ワイヤ5a,5bの他端部またはその近傍は、プリント配線板13の孔を通ってプリント配線板13に電気的に接続されるとともに、支持台6側に固定されている。支持ワイヤ5a,5bの一端部またはその近傍は、可動部2の支持片12に固定されるとともに、フォーカスコイル8またはトラッキングコイル9に電気的に接続されている。
フォーカスコイル8と二つのトラッキングコイル9は、支持ワイヤ5a,5bと、この支持ワイヤ5a,5bが電気的に接続されたプリント配線板13とを介して、制御部(図示せず)に電気的に接続されている。
光検出器は、光ディスク3の記録面で反射したレーザー光を受光し、再生信号を検出するとともに、フォーカスエラー信号,トラッキングエラー信号なども検出する。
まず、光ディスク装置において、光ディスク3が駆動モータにより回転駆動されている状態で、移動機構により光ピックアップ1を所望の位置に移動させる。そして、光学系で発生したレーザー光を対物レンズ4で記録面上に集光させて、光ディスク3に対して情報の記録,再生などを行う。
光ピックアップ1の状態(可動部2の位置,姿勢など)を制御する場合には、光検出器で検出された光ディスク3の傾きなどの姿勢制御に関する情報を変換部で電気信号に変換し、制御部に電気信号(フォーカスエラー信号,トラッキングエラー信号など)として出力する。
制御部では、変換部から出力された電気信号(フォーカスエラー信号,トラッキングエラー信号など)に基づいて、フォーカスコイル8に流す電流とトラッキングコイル9に流す電流をそれぞれ制御する。
同様に、制御部が、対物レンズ4の移動すべき方向および移動量に応じた制御電流を、支持ワイヤ5a,5bを介して二つのトラッキングコイル9に供給する。すると、トラッキングコイル9により生じる電磁力により、可動部2が光ディスク3に対してトラッキング方向(Z方向)に移動(シフト)して、対物レンズ4の位置を調整する。
このようにして、可動部2は、フォーカス方向,トラッキング方向にそれぞれ移動するようにその位置が制御される。
その結果、寸法上の支持中心位置Lは、重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとがフォーカス方向に関して一致する点から、反光ディスク側に(下方に)距離dだけずれている。
言い換えれば、重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとが一致する点(一致点)と、第1の支持ワイヤ5aと第2の支持ワイヤ5bとによる寸法上の支持中心位置Lとの間には、距離dのずれがある。
このように、可動部2の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faは、寸法上の支持中心位置Lから距離dだけ上方に(すなわち、光ディスク3側に)位置しているので、トラッキングコイル9を駆動して可動部2をトラッキング方向に移動させる場合、図2に示すように、光ディスク3側の一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数と、反光ディスク側の一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数とが同じだと、可動部2は不安定になる。
また、トラッキング駆動力中心位置Faと寸法上の支持中心位置Lとが距離dだけずれているので、可動部2がトラッキングシフトしたときローリングを生じることになり、これが、加速度感度と位相の各乱れの原因にもなっていた(図4(A))。
光ピックアップ1では、可動部2の本体部16をできるだけ薄型化する必要性があるが、可動部本体部16と光ディスク3の表面3aとの間には、光ピックアップ1のカバー(図示せず)などを配置するためのスペースを確保しなければならないので、本体部16を光ディスク表面3aからある程度離して配置する必要がある。
こうして、ワーキングディスタンスDが短く(すなわち、対物レンズの焦点距離が短く)、また、本体部16が光ディスク表面3aからある程度離して配置されている状況下においては、可動部2の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとをフォーカス方向に関して一致させることはできるものの、この一致点(重心位置Gと中心位置Faの一致点)が、寸法上の支持中心位置Lに対して光ディスク表面3a側にずれた構造をどうしても採らざるを得ず、可動部2の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faと寸法上の支持中心位置Lとの三点を一致させることが不可能な場合が生じる。
その結果、可動部2の重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとの一致点が、寸法上の支持中心位置Lに対して光ディスク表面3a側にずれて構成されると、可動部2は、トラッキング方向に移動したときにローリングして傾きが生じ、これにより、低域の周波数帯における可動部の加速度感度の乱れと位相の乱れが発生する場合がある。
そのため、光ピックアップ1では、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数を、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくしている。これは、支持ワイヤ5a,5bによる上下方向(X方向)に関する力学的な支持中心位置(この場合には、仮想上の支持中心位置)を、トラッキング駆動力中心位置Faとほぼ一致させるかまたはその近傍に位置させていることに相当する。その結果、可動部2が、基本位置Sからトラッキング方向(Z方向)に移動したときにローリングを起こさない。
こうして、光ピックアップ1は、重心位置Gとトラッキング駆動力中心位置Faとが一致する点に対して、支持ワイヤ5a,5bによる寸法上の支持中心位置Lが距離dだけずれていることを前提として、可動部2のトラッキングシフト時の傾きを防止する構成にしている。
その結果、図3(B)に示すように、可動部2を基本位置Sからトラッキング方向(Z方向)に移動させたとき、可動部2は、傾くことなく平行移動することができる。
このようにすれば、光ピックアップ1の支持ワイヤ5a,5b以外の構成部材の設計変更が不要であるので、設計,製作上好ましい。
可動部2の重心位置Gと、トラッキングコイル9によるトラッキング駆動力中心位置Faとが、フォーカス方向(X方向)に関して一致していても、この一致点が、寸法上の支持中心位置Lに対してフォーカス方向に関して光ディスク3側にずれており、且つ、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数と一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数とが同じであれば(図2)、可動部2が基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたときに、可動部2がローリングして傾く(図2(B))。
その結果、図4(A)に示すように、周波数f0〜1KHzの間の周波数で(たとえば、周波数f1のとき)、加速度感度の乱れと位相の乱れが発生する場合がある。
そして、可動部2がトラッキング方向に移動したときにローリングをしないように、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数を、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくしている。
その結果、可動部2が基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたときに、可動部2はローリングを起こさず傾くこともない(図3(B))。したがって、図4(B)に示すように、低域の周波数帯(たとえば、周波数がf0〜1KHz)において、可動部2の加速度感度と位相の各乱れが解消されていることが分かる。
図5(A1),(A2)は、本実施例の第1の変形例にかかる光ピックアップ1aのそれぞれ平面図,正面図、図5(B1),(B2)は、第2の変形例にかかる光ピックアップ1bのそれぞれ平面図,正面図である。
図6は、第3の変形例にかかる光ピックアップ1cを示す図である。図6(A1)は光ピックアップ1cの斜視図、図6(A2)は図6(A1)のVI線矢視図、図6(B)はさらに他の変形例を示す図、図6(C)はプリント配線板を示す図である。
図7,図8,図9は、それぞれ第4の変形例,第5の変形例,第6の変形例を示す図である。図7は、第4の変形例にかかる光ピックアップ1dの正面図である。図8(A)は、第5の変形例にかかる光ピックアップ1eの正面図、図8(B)は支持台6eの斜視図である。図9(A)は、第6の変形例にかかる光ピックアップ1fの正面図、図9(B)は支持台6fの斜視図である。
ヨーク部7には、支持台6,6e,6fが取付けられている。対物レンズ4が設けられた可動部2は、光ディスク3に対する対物レンズ4の位置をフォーカスコイル8とトラッキングコイル9で調整可能になっている。
そして、可動部2がトラッキング方向に移動したとき(たとえば、基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたとき)にローリングをしないように、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数を、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくしている。
これにより、可動部2がトラッキング方向に移動したとき、この可動部2のローリングを防止し、その結果として、低域の周波数帯における可動部2の加速度感度の乱れと位相の乱れを解消している(図4(B))。
その結果、光ピックアップ1a,1bでは、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数が、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくなる。このようにすれば、全部の支持ワイヤ5a,5bを同じ直径のワイヤで構成することができ、部品の種類が増えないので、設計,製作上好ましい。
そして、図6(A1),(A2)に示すように、プリント配線板13には、一対の第2の支持ワイヤ5bの接続位置の近傍に切欠き部30a(図6(B)では、切欠き部30b)を形成している。
その結果、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数が、第1の支持ワイヤ5aのばね定数より相対的に小さくなる。言い換えれば、第1の支持ワイヤ5aのばね定数は、第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくなっている。
したがって、光ピックアップ1cでは、可動部2が基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたときにローリングを起こすことがなくなる。また、プリント配線板13に切欠き部30a(または、30b)を形成すればよいので設計,製造が容易である。
なお、図6(C)は、従来の基板形状または前記実施例の基板形状を有し、切欠き部30a,30bが形成されていないプリント配線板13を示している。
この場合には、支持ワイヤ5a,5bの長さ寸法と、これを支持する支持片12の位置を調整すればよいので、部品の種類が増えることはない。
また、一対の第1の支持ワイヤ5aを支持する一方のゲル剤32aの粘度を、一対の第2の支持ワイヤ5bを支持する他方のゲル剤32bの粘度より相対的に高くしている。これにより、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数が、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくなる。
したがって、可動部2は、基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたときにローリングをせず平行移動することができる。四つの凹部32eは同じ形状で互いに平行に形成されているので、各凹部32eに充填されるゲル剤32a,32bの形状も同一である。この変形例では、ゲル剤32a,32bの粘度を変えるだけで本発明の前記作用効果を奏する。
この変形例では、一対の第1の支持ワイヤ5aを支持する一方のゲル剤32a1の軸線方向の有効長さ寸法Eaを、一対の第2の支持ワイヤ5bを支持する他方のゲル剤32b1の軸線方向の有効長さ寸法Ebより相対的に長くしている。なお、一方のゲル剤32a1と他方のゲル剤32b1の粘度は同じである。
その結果、一対の第1の支持ワイヤ5aのばね定数が、一対の第2の支持ワイヤ5bのばね定数より相対的に大きくなるので、可動部2は、基本位置Sからトラッキング方向にシフトしたときにローリングをせず平行移動する。
その結果、可動部2がトラッキング方向に移動したとき、可動部2は、ローリングすることなく平行移動するので(図3(B))、低域の周波数帯における可動部2の加速度感度の乱れと位相の乱れが解消される(図4(B))。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
2 可動部
3 光ディスク
4 対物レンズ
5a 第1の支持ワイヤ
5b 第2の支持ワイヤ
6,6e,6f 支持台
8 フォーカスコイル
9 トラッキングコイル
13 プリント配線板
19a,19b 永久磁石
30a,30b 切欠き部
31e,31f1,31f2 凹部
32a,32a1 一方のゲル剤
32b,32b1 他方のゲル剤
Ea,Eb 有効長さ寸法
Fa トラッキング駆動力中心位置
G 重心位置
L 寸法上の支持中心位置
Claims (7)
- 光ディスクの記録面上に光を集光させるための対物レンズが設けられ、前記光ディスクに対する前記対物レンズの位置をフォーカスコイルおよびトラッキングコイルで調整可能な可動部と、
この可動部を移動可能に支持するために、前記光ディスク側および反光ディスク側にそれぞれ設けられた一対の第1の支持ワイヤおよび一対の第2の支持ワイヤと、
この一対の第1の支持ワイヤと一対の第2の支持ワイヤとを支持する支持台と、
前記フォーカスコイルおよび前記トラッキングコイルとの間でそれぞれ磁気回路を構成する永久磁石が取付けられたヨーク部とを備えた光ピックアップであって、
前記可動部の重心位置と前記トラッキングコイルによるトラッキング駆動力中心位置とはフォーカス方向に関してほぼ一致しているが、この一致点が、寸法上の支持中心位置に対して前記光ディスク側にずれている場合において、
前記可動部がトラッキング方向に移動したときにローリングをしないように、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を、前記一対の第2の支持ワイヤのばね定数より大きくしたことを特徴とする光ピックアップ。 - 前記一対の第1の支持ワイヤの直径を、前記一対の第2の支持ワイヤの直径より大きくすることにより、この一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記一対の第1の支持ワイヤのみを、前記支持台側から平面視で見てハの字状または逆ハの字状に配置することにより、この一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台に取付けられたプリント配線板に電気的に接続されており、
このプリント配線板には前記一対の第2の支持ワイヤの接続位置の近傍に切欠き部を形成することにより、前記一対の第2の支持ワイヤのばね定数を相対的に小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。 - 前記一対の第1の支持ワイヤの長さ寸法を、前記一対の第2の支持ワイヤの長さ寸法より短くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台の凹部に充填されたゲル剤を介してこの支持台に支持されており、
前記一対の第1の支持ワイヤを支持する一方の前記ゲル剤の粘度を、前記一対の第2の支持ワイヤを支持する他方の前記ゲル剤の粘度より高くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。 - 前記一対の第1の支持ワイヤと前記一対の第2の支持ワイヤは、前記支持台の凹部に充填されたゲル剤を介して支持台に支持されており、
前記一対の第1の支持ワイヤを支持する一方の前記ゲル剤の軸線方向の有効長さ寸法を、前記一対の第2の支持ワイヤを支持する他方の前記ゲル剤の軸線方向の有効長さ寸法より長くすることにより、前記一対の第1の支持ワイヤのばね定数を相対的に大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
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