JP2006227300A - 波長変換装置 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】広帯域での変換効率を高くするとともに、ポンプ光による光損傷を低減する。
【解決手段】波長変換装置は、差周波発生部31と第2高調波発生部33とを備えている。差周波発生部31は、周波数ωsの信号光71、及び周波数ωpのポンプ光73から、周波数ωmがωm=ωp−ωsの関係を満たす差周波光を発生させて、当該差周波光を中間光81として出力させる。第2高調波発生部33は、差周波発生部から出力された中間光から、周波数ωcがωc=ωm×2の関係を満たす第2高調波光を発生させて、当該第2高調波光を変換光79として出力させる。
【選択図】図2

Description

この発明は、波長多重光通信等に利用される波長変換装置に関する。
近年、インターネットの普及等により通信需要が急速に増大している。それに対応して光ファイバ等を用いた高速でかつ大容量の光ネットワークが整備されつつある。このような光ネットワークでは、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方法が注目されている。WDM光通信ネットワークを実現するためには、波長変換装置が必要とされる。例えば、光クロスコネクトノードに波長変換装置を採用すると、チャンネル間の衝突の回避や、波長の再利用が可能となる等の利点があるからである。
波長変換には様々な方法があるが、非線形光学結晶を用いて、信号光とポンプ光との差周波発生を発現させ、この結果得られる差周波光を変換光として出力する方法が通例となっている。一般的に、異なる波長間では非線形光学結晶の屈折率が異なっているため、ポンプ光と、信号光との間に伝播定数の差が生じる。この伝播定数の差に起因する位相差が、ポンプ光、及び信号光の伝播距離と共に変化するので、差周波発生の変換効率を高めることは困難である。
差周波発生の変換効率を高めるために、波長変換装置を構成する波長変換素子として、周期的ドメイン反転構造が形成された光導波路によって、擬似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)を実現して波長変換を行う、擬似位相整合型波長変換素子(以下、QPM型波長変換素子と称することもある。)が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
栖原敏明著「擬似位相整合導波路を用いた非線形光学波長変換・信号処理デバイス」応用物理第72巻第11号、pp.1381―1386、2003年
上述の従来例の波長変換装置では、周波数ωsの信号光と、周波数ωpのポンプ光との非線形光学効果により、周波数ωcの変換光が発生する。非線形光学効果が差周波発生の場合、変換光は、周波数ωcがωc+ωs=ωpの関係を満たす、差周波光となる。
波長変換装置が、1550nm付近の通信波長域で用いられる場合、信号光の波長λs(=c/ωs)と、変換光の波長λc(=c/ωc)は、ともに1550nm程度の値になるので、ポンプ光の波長λp(=c/ωp)は、775nm付近の値になる。
非線形光学効果を用いた波長変換装置の場合、信号光、変換光、及びポンプ光の間の周波数関係の他に、伝播定数の差から生じる位相差を考慮する必要がある。ポンプ光、信号光、及び変換光のそれぞれの波数kp、ks、及びkc間の波数差をΔk(=kp−ks−kc)とすると、波長変換素子を伝播した各光の位相差は、ΔkLとなる。ここで、Lは波長変換素子の素子長である。従って、伝播中に位相差が生じないためにはΔk=0とする必要がある。
nを周波数ωでの屈折率、cを光速度としたときに、波数kは、k=nω/cで表される。この関係を用いると、Δk=(npωp−nsωs−ncωc)/cが得られる。屈折率が光の周波数に依存して変化しないならば、ωc+ωs=ωpであるので、常に、Δk=0となる。
しかし、実際には、屈折率は周波数依存性を有しており、Δkは0とはならない。これを補償するために、周期的ドメイン反転構造が形成された波長変換素子であるQPM型波長変換素子が使用される。この周期的ドメイン反転構造の周期をΛとすると、波数間の関係は、Δk=kp−ks−kc−2π/Λとなる。ここで、ポンプ光の特定の波長λp0に対して、kp0−ks0−kc0=2π/ΛとなるようにΛを設定すると、この特定のポンプ光の波長λp0では、Δk=0となり、大きな変換効率が得られる。
しかし、ポンプ光の波長λpが特定の波長λp0からずれると、Δk=0とはならず、Δk=kp0−ks0−kc0−2π/Λ+(dkp/dωp)Δωp−(dks/dωs)Δωs−(dkc/dωc)Δωcとなる。なお、Δωp、Δωs、及びΔωcは、それぞれポンプ光、信号光、及び変換光のQPM条件からの周波数ずれを示している。QPM条件では、kp0−ks0−kc0=2π/Λとなるので、Δk=(dkp/dωp)Δωp−(dks/dωs)Δωs−(dkc/dωc)Δωcである。光の群速度をVgとすると、dk/dω=1/Vgであるので、位相差は異なる周波数の光の間の群速度差に対応付けられていることがわかる。差周波発生による波長変換では、ωp=ωc+ωsの関係があるため、Δωp=Δωs+Δωcとなる。従って、Δk=(1/Vgp−1/Vgc)Δωp+(1/Vgc−1/Vgs)Δωsとなる。ここで、Vgp、Vgs、及びVgcはそれぞれ、ポンプ光、信号光、及び変換光の群速度を示す。つまり、ポンプ光と変換光の群速度差、及び、変換光と信号光の群速度差を小さくすれば、それだけ広い周波数範囲、すなわち、広い波長範囲で位相差を小さく抑えることが可能となり、広帯域での変換効率が高くなる。
群速度の逆数1/Vgは、1/Vg=dk/dω=d(nω/c)/dω=(n+ωdn/dω)/cで表されるので、屈折率は周波数に依存することになる。ここで、屈折率は短波長側で大きくなるので、短波長側では群速度の逆数が大きくなる。このことから、波長λcが1550nm付近の変換光に対して、ポンプ光の波長λpが775nm程度の場合、ポンプ光と変換光の間の群速度差が大きくなり、その結果、変換効率を低下させてしまう。
また、非線形光学係数が大きいことなどから波長変換素子としてよく用いられる強誘電体結晶であるLiNbO3は、ポンプ光として短波長の光、特に、800nmよりも短い波長の光を用いると、光損傷を受けやすいという欠点を有している。
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、ポンプ光の波長を長くすることで、ポンプ光の波長と、変換光の波長との群速度差を小さくし、その結果として、広帯域での変換効率を高くすることができる波長変換装置を提供することにある。
また、この発明の他の目的は、ポンプ光の波長を長くすることで、ポンプ光による光損傷を低減する波長変換装置を提供することにある。
さらに、ポンプ光の波長選択の自由度を上げることで、ポンプ光源の集積時に、作りやすい組成の化合物半導体素子を選ぶことが可能な波長変換装置を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するために、第1の発明の波長変換装置は、差周波発生部と第2高調波発生部とを備えている。周波数ωsの信号光、及び周波数ωpのポンプ光から、周波数ωmがωm=ωp−ωsの関係を満たす差周波光を発生させて、当該差周波光を中間光として出力させる。また、第2高調波発生部は、差周波発生部から出力された中間光から、周波数ωcがωc=ωm×2の関係を満たす第2高調波光を発生させて、当該第2高調波光を変換光として出力させる。
また、第2の発明の波長変換装置は、パラメトリック発生部と差周波発生部とを備えている。パラメトリック発生部は、周波数ωsの信号光から、周波数ωmがωm=ωs/2の関係を満たすパラメトリック発生光を発生させて、当該パラメトリック発生光を中間光として出力させる。差周波発生部は、パラメトリック発生部から出力された中間光と、周波数ωpのポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp−ωmの関係を満たす差周波光を発生させて、当該差周波光を変換光として出力させる。
また、第3の発明の波長変換装置は、パラメトリック発生部と差周波発生部とを備えている。パラメトリック発生部は、周波数ωsの信号光から、周波数ωm1及びωm2がωm1+ωm2=ωsの関係を満たす周波数ωm1の第1のパラメトリック発生光、及び、周波数ωm2の第2のパラメトリック発生光を発生させて、第1のパラメトリック発生光を第1の中間光として出力させ、及び、第2のパラメトリック発生光を第2の中間光として出力させる。差周波発生部は、パラメトリック発生部から出力された第1の中間光、及び、周波数ωpのポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp−ωm1の関係を満たす差周波光を発生させて、当該差周波光を変換光として出力させる。
また、第4の発明の波長変換装置は、差周波発生部と和周波発生部とを備えている。差周波発生部では、周波数ωsの信号光、及び、周波数ωp1の第1のポンプ光から、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωsの関係を満たす第1の差周波光を発生させて、当該第1の差周波光を第1の中間光として出力させ、かつ、前記第1のポンプ光、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光から、周波数ωm2がωm2=ωp1−ωp2の関係を満たす第2の差周波光を発生させて、当該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる。和周波発生部は、差周波発生部で発生した第1の中間光及び前記第2の中間光から、周波数ωcがωc=ωm1+ωm2の関係を満たす和周波光を発生させて、当該和周波光を変換光として出力させる。
また、第5の発明の波長変換装置は、第1の差周波発生部と、第2の差周波発生部と、第3の差周波発生部とを備えている。第1の差周波発生部は、周波数ωp1の第1のポンプ光、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光から、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωp2の関係を満たす第1の差周波光を発生させて、当該第1の差周波光を第1の中間光として出力させる。第2の差周波発生部は、第1の差周波発生部で発生した第1の中間光及び周波数ωsの信号光から、周波数ωm2がωm2=ωs−ωm1の関係を満たす第2の差周波光を発生させて、当該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる。第3の差周波発生部は、第2の差周波発生部で発生した第2の中間光及び第1のポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp1−ωm2の関係を満たす第3の差周波光を発生させて、当該第3の差周波光を変換光として出力させる。
第1の発明の波長変換装置によれば、ポンプ光及び信号光から、差周波光を発生させた後、差周波光の第2高調波光を変換光として出力する。このとき、ポンプ光の周波数ωp、信号光の周波数ωs、及び変換光の周波数ωcは、ωp=ωc/2+ωsの関係を満たす。
また、第2の発明の波長変換装置によれば、信号光から、パラメトリック発生光を発生させた後、パラメトリック発生光及びポンプ光の差周波光を変換光として出力する。このとき、ポンプ光の周波数ωp、信号光の周波数ωs、及び変換光の周波数ωcは、ωp=ωs+ωc/2の関係を満たす。
信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができるので、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの3/2倍程度になる。これに対し、従来の波長変換装置では、ポンプ光及び信号光から発生した差周波光を変換光として出力しているので、ポンプ光、信号光及び変換光の間に、ωp=ωc+ωsの関係がある。従って、信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの約2倍になる。つまり、従来の波長変換装置に比べて第1、第2及び第3の発明の波長変換装置では、ポンプ光の周波数ωpを3/4倍、すなわち、波長λpを4/3倍にすることができる。
また、第3の発明の波長変換装置によれば、信号光から、第1及び第2のパラメトリック発生光を発生させた後、第1のパラメトリック発生光及びポンプ光の差周波光を変換光として出力する。このとき、ポンプ光の周波数ωp、信号光の周波数ωs、及び変換光の周波数ωcは、第2のパラメトリック発生光の周波数をωm2とすると、ωp=ωc+ωs−ωm2の関係を満たす。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。ポンプ光の周波数ωpは、第2のパラメトリック発生光の周波数ωm2に応じて、信号光の周波数の2倍よりも小さい値にすることができる。すなわち、ポンプ光の波長λpを従来よりも長くすることができる。
ポンプ光として使用する波長域を従来よりも長波長に設定することにより、ポンプ光と変換光の間の群速度差を小さくできるので、広帯域での変換効率を高めることができる。
第4の発明の波長変換装置によれば、信号光及び第1のポンプ光から、第1の差周波光を発生させて、かつ、第1のポンプ光及び第2のポンプ光から、第2の差周波光を発生させた後、第1の中間光及び第2の中間光の和周波光を変換光として出力する。また、第5の発明の波長変換装置によれば、第1のポンプ光及び第2のポンプ光から、第1の差周波光を発生させて、第1の差周波光及び信号光から、第2の差周波光を発生させて、第2の差周波光及び第1のポンプ光の差周波光を変換光として出力する。
このとき、信号光の周波数ωs、第1のポンプ光の周波数ωp1、第2のポンプ光の周波数ωp2、第1の中間光の周波数ωm1、第2の中間光の周波数ωm2、及び変換光の周波数ωcは、ωp1+(ωp1−ωp2)=ωc+ωsの関係を満たす。従って、第1のポンプ光の周波数ωp1は、第1のポンプ光と第2のポンプ光の周波数ωp2の差(ωp1−ωp2)に応じて、信号光の周波数の2倍よりも小さい値にすることができる。すなわち、第1及び第2のポンプ光の波長λp1及びλp2を、従来のポンプ光の波長よりも長くすることができる。
さらに、第1のポンプ光と第2のポンプ光の2つのポンプ光を用いると、第1の中間光と第2の中間光の周波数の和が変換光の周波数に等しくなるように、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を設定すれば良く、ポンプ光の波長の選択の自由度が増すという更なる効果が得られる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の構成および配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質および数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態の波長変換装置につき説明する。図1は、第1実施形態の波長変換装置を説明するための概略構成図である。波長変換装置11は、合波器16、波長変換部21、及び波長フィルタ18を備えている。波長変換部21は、差周波発生部31と第2高調波発生部33を備えている。
波長変換装置11には、周波数ωsの信号光(図中、矢印71で示す。)、及び、周波数ωpのポンプ光(図中、矢印73で示す。)が入力される。
信号光71及びポンプ光73は、合波器16で合波され、入力光(図中、矢印91で示す。)として、波長変換部21に送られる。合波器16として、例えば、任意好適な周知の光カプラを用いることができる。
波長変換部21の差周波発生部31は、入力光91に含まれる、信号光71及びポンプ光73から差周波発生(DFG:Difference Frequency Generation)により差周波光を発生させて、当該差周波光を中間光として出力させる。また、第2高調波発生部33は、差周波発生部31から出力された中間光から、第2高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)により第2高調波光を発生させて、当該第2高調波光を変換光として出力させる。なお、中間光及び変換光の発生の詳細については、後述する。
波長変換部21は、出力光(図中、矢印96で示す。)を出力する。この出力光96には、第2高調波発生部33で発生した変換光に加えて、信号光、ポンプ光、及び中間光を含んでいる。従って、波長フィルタ18により、出力光96に含まれる信号光、ポンプ光、及び中間光を遮断し、変換光(図中、矢印79で示す。)のみを通過させると、不要な光信号が出力されないので好適である。
波長変換部21は、波長変換効率を高めるために、例えば、光導波路121に周期的ドメイン反転構造131及び133を作りつけたQPM型波長変換素子で構成される。差周波発生部31の周期的ドメイン反転構造131は、周期的に設けられた第1ドメイン131aと第2ドメイン131bとから構成されていてその周期をΛaとしている。この周期Λaは、信号光、ポンプ光、及び中間光について擬似位相整合を実現するように設定されている。
また、第2高調波発生部33の周期的ドメイン反転構造133は、周期的に設けられた第1ドメイン133aと第2ドメイン133bとから構成されていて、その周期をΛbとしている。この周期Λbは、中間光、及び変換光について擬似位相整合を実現するように設定されている。
波長変換部21を構成するQPM型波長変換素子の製造方法について説明する。なお、差周波発生部31と第2高調波発生部33は、周期的ドメイン反転構造131及び133の周期が異なっているだけなので、差周波発生部31と第2高調波発生部33は同一のQPM型波長変換素子に形成することができる。第1ドメイン131a及び133aと、第2ドメイン131b及び133bとは、この波長変換部21を構成する素材である強誘電体結晶の自発分極の向きが互いに180度の関係となっている。波長変換部21を構成する素材には、例えばzカットされたLiNbO3基板が使われる。zカットされたLiNbO3基板は、その表面に直交する方向に自発分極の向きが揃えられているシングルドメイン結晶基板である。自発分極ベクトルの終端側の面を+z面、自発分極ベクトルの初端側の面を−z面と呼ぶこともある。
このLiNbO3基板の+z面に周期的にドメインを反転させて、ドメイン反転領域(第2ドメイン)131b及び133bを形成する。従って、周期的ドメイン反転構造131及び133は、シングルドメイン結晶基板としての自発分極が保たれているドメイン(第1ドメイン)131a及び133aと自発分極の方向が反転された第2ドメイン131b及び133bとで構成される。すなわち、第1ドメイン131a及び133aの自発分極の向きは、−z面から+z面に向かう方向であるのに対して、第2ドメイン131b及び133bの自発分極の向きは、+z面から−z面に向かう方向である。
QPM型波長変換素子では、第1ドメインと第2ドメインの長さを等しく、すなわち、デューティ比を1:1にすることによって、波長変換効率を最大にすることができる。ここでは、差周波発生部31の第1ドメイン131a及び第2ドメイン131bの長さを、ともにΛa/2とし、また、第2高調波発生部33の第1ドメイン133a及び第2ドメイン133bの長さを、ともにΛb/2とするのが好適である。
なお、差周波発生部31と第2高調波発生部33とは周期的ドメイン反転構造の周期が異なっているので、ポンプ光や信号光は、第2高調波発生部33で、非線形光学効果を起こさず、そのまま、通過する。従って、差周波発生部31と第2高調波発生部33との間にポンプ光及び信号光を遮断するフィルタを設ける必要が無く、簡単な構成にすることができる。
自発分極が反転している領域の形成は、zカットされたLiNbO3基板に、Tiを高温熱拡散するか或いは高電圧を印加することで行えることが知られている。Tiを高温熱拡散するには第2ドメイン131b及び133bが形成される部分に、真空蒸着法等でTi薄膜を50nmの厚さに形成し、約1000℃で10時間程度熱拡散すれば良い。また、高電圧を印加して自発分極の方向を反転させるには、LiNbO3基板の裏面全体に設けたアース電極と、第2ドメイン131b及び133bが形成される部分に設けた電極との間に高電圧を印加すれば良い。
続いて、zカットされたLiNbO3基板に形成された周期的ドメイン反転構造131及び133に交差するように光導波路121を形成する。光導波路121は、安息香酸を交換源としたH+−Li+イオン交換法(プロトン交換法とも呼ばれる。)によって形成できることが知られている。例えば、光導波路121を形成する領域のみを露出させて、その他の領域を金属マスクで覆った状態で、例えば、安息香酸の沸点以下の温度である、200℃の安息香酸中に2時間浸して、基板中のLiと安息香酸中のHを交換する。金属マスク及び安息香酸を除去した後、400℃のAr雰囲気中で6時間熱処理することにより、Hをさらに基板深く浸透させ、光導波路121を形成する。
また、化合物半導体では結晶軸を反転して成長させるプロセスを使用する。例えば、結晶の貼り付け技術を用いて、結晶軸を反転させた領域を設けることができる。この基板に半導体レーザと同様のエピタキシャルプロセスを行えば、周期的ドメイン反転構造を有する光導波路が形成される。
図2を参照して、第1実施形態の波長変換装置の動作について説明する。図2(A)は、波長変換装置の動作の模式図である。また、図2(B)は、変換光の発生の原理を説明するための図であり、縦方向に周波数の大きさを示している。
差周波発生部31は、周波数ωsの信号光71と周波数ωpのポンプ光73との差周波発生(DFG)により、周波数ωmがωm=ωp−ωsの関係を満たす、中間光(図中、矢印81で示す。)を発生させる。信号光71の波長λs(=c/ωs)が1550nmであるとき、ポンプ光73の波長λp(=c/ωp)を1033nmとすると、中間光81の波長λm(=c/ωm)は、1/λm=1/λp−1/λsの関係で与えられるので、3100nmになる。
第2高調波発生部33は、周波数ωmの中間光81の第2高調波発生(SHG)により、周波数ωcがωc=ωm×2の関係を満たす、変換光79を発生させる。中間光81の波長λmは3100nmであるので、変換光79の波長λc(=c/ωc)は、1/λc=2×(1/λm)で与えられ、1550nmになる。
ポンプ光73の波長λpを変化させると、変換光の波長λcは、1/λc=1/2(1/λp−1/λs)の関係を満たすように変化する。すなわち、ポンプ光73の光源として可変波長光源を用いれば、変換光79の波長も可変になる。ポンプ光73、信号光71及び変換光79の間には、ωc(=2×ωm)=2×(ωp−ωs)の関係があるので、ωp=ωc/2+ωsになる。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。この場合、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの3/2倍程度になる。これに対し、従来の波長変換装置では、ポンプ光、信号光及び変換光の間に、ωp=ωc+ωsの関係があるので、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの約2倍になる。つまり、従来の波長変換装置に比べて第1実施形態の波長変換装置では、ポンプ光の周波数ωpが3/4倍、すなわち、波長λpが4/3倍になるので、ポンプ光の波長λpは、従来の775nm付近から、1033nm程度まで長くすることができる。
波長λpが1033nm付近であるポンプ光の光源としては、Ybドープファイバ型レーザを使用することができる。Ybドープファイバ型レーザは、数百mWの出力と、数十nmの波長可変域を有している。
第1実施形態の波長変換装置によれば、ポンプ光と信号光との差周波発生により、中間光を出力した後、中間光の第2高調波発生により、変換光を出力するので、ポンプ光として使用する波長域を従来の波長変換装置よりも長波長域にすることができる。ポンプ光の波長を長波長にすることにより、ポンプ光の波長と変換光の波長との群速度差を小さくできるので、広帯域での変換効率を高めることができる。
また、1500nm付近の通信波長域で用いる場合、ポンプ光として使用する波長域を長波、例えば1000nm程度以上に設定することにより、LiNbO3において光損傷の影響を低減することが可能となる。
(第2実施形態)
図3を参照して、第2実施形態の波長変換装置について説明する。図3は、第2実施形態の波長変換装置を説明するための概略構成図である。波長変換装置12は、合波器16、波長変換部22、及び波長フィルタ18を備えている。波長変換部22は、パラメトリック発生部35と差周波発生部37を備えている。
波長変換装置12には、周波数ωsの信号光71、及び、周波数ωpのポンプ光73が入力される。
信号光71及びポンプ光73は、合波器16で合波され、入力光91として、波長変換部22に送られる。合波器16として、例えば、任意好適な周知の光カプラを用いることができる。
波長変換部22のパラメトリック発生部35は、入力光91に含まれる信号光からパラメトリック発生(OPG:Optical Parametric Generation)によりパラメトリック発生光を発生させて、当該パラメトリック発生光を中間光として出力させる。また、差周波発生部37は、パラメトリック発生部35から出力された中間光、及びポンプ光から差周波発生により差周波光を発生させて、当該差周波光を変換光として出力させる。なお、中間光及び変換光の発生の詳細については、後述する。
波長変換部22は、出力光(図中、矢印96で示す。)を出力する。この出力光96は、差周波発生部37で発生した変換光に加えて、信号光、ポンプ光、及び中間光を含んでいる。従って、波長フィルタ18により、出力光96に含まれる信号光、ポンプ光、及び中間光を遮断し、変換光79のみを通過させると、不要な光信号が出力されないので好適である。
波長変換部22の構成については、パラメトリック発生部35の周期的ドメイン反転構造135の周期がΛcであり、差周波発生部37の周期的ドメイン反転構造137の周期がΛdであることを除いては、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
図4を参照して、第2実施形態の波長変換装置の動作について説明する。図4(A)は、波長変換装置の動作の模式図である。また、図4(B)は、変換光の発生の原理を説明するための図であり、縦方向に周波数の大きさを示している。
パラメトリック発生部35は、周波数ωsの信号光71のパラメトリック発生(OPG)により、周波数ωmがωm=ωs/2の関係を満たす、中間光(図中、矢印83で示す。)を発生させる。信号光71の波長λs(=c/ωs)を1550nmとすると、中間光83の波長λm(=c/ωm)は、1/λm=(1/λs)/2の関係で与えられ、3100nmになる。なお、パラメトリック発生をパラメトリックダウンコンバージョンと称することもある。
差周波発生部37は、周波数ωmの中間光83と、周波数ωpのポンプ光73の差周波発生により、周波数ωcがωc=ωp−ωmの関係を満たす、変換光79を発生させる。ポンプ光73の波長λp(=c/ωp)を1033nmとすると、中間光83の波長λm(=c/ωm)が3100nmなので、変換光の波長λc(=c/ωc)は、1/λc=1/λp−1/λmの関係で与えられ、1550nmになる。
ポンプ光73の波長λpを変化させると、変換光の波長λcは、1/λc=1/λp−(1/λs)/2の関係を満たすように変化する。すなわち、ポンプ光73の光源として可変波長光源を用いれば、変換光79の波長も可変になる。ポンプ光73、信号光71及び変換光79の間には、ωc(=ωp−ωm)=ωp−ωs/2の関係があるので、ωp=ωc+ωs/2になる。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。この場合、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの3/2倍程度になる。これに対し、従来の波長変換装置では、ポンプ光、信号光及び変換光の間に、ωp=ωc+ωsの関係があるので、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの約2倍になる。つまり、従来の波長変換装置に比べて第2実施形態の波長変換装置では、ポンプ光の周波数ωpが3/4倍、すなわち、波長λpが4/3倍になるので、ポンプ光の波長λpは、従来の775nm付近から、1033nm程度まで長くすることができる。
ポンプ光73の波長λpを可変にすることで、変換光の波長λcを可変にすることができる。波長λpが1033nm付近であるポンプ光の光源としては、Ybドープファイバ型レーザを使用することができる。Ybドープファイバ型レーザは、数百mWの出力と、数十nmの波長可変域を有している。
第2実施形態の波長変換装置によれば、信号光のパラメトリック発生により、中間光を発生した後、ポンプ光と中間光との差周波発生により、変換光を出力するので、ポンプ光として使用する波長域を従来の波長変換装置よりも長波長域にすることができる。ポンプ光の波長を長波長にすることにより、ポンプ光の波長と変換光の波長との群速度差を小さくできるので、広帯域での変換効率を高めることができる。
また、1500nm付近の通信波長域で用いる場合、ポンプ光として使用する波長域を長波、例えば1000nm程度以上に設定することにより、LiNbO3において光損傷の影響を低減することが可能となる。
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態の波長変換装置につき説明する。図5は、第3実施形態の波長変換装置を説明するための概略構成図である。波長変換装置13は、合波器16、波長変換部23、及び波長フィルタ18を備えている。波長変換部23は、パラメトリック発生部36と差周波発生部38を備えている。
波長変換装置13には、周波数ωsの信号光71、及び、周波数ωpのポンプ光(図中、矢印74で示す。)が入力される。
信号光71及びポンプ光74は、合波器16で合波され、入力光(図中、矢印92で示す。)として、波長変換部23に送られる。合波器16として、例えば、任意好適な周知の光カプラを用いることができる。
波長変換部23のパラメトリック発生部36は、入力光92に含まれる信号光71から、パラメトリック発生(OPG)により第1及び第2のパラメトリック発生光を発生させて、第1のパラメトリック発生光を第1の中間光として出力させ、及び、第2のパラメトリック発生光を第2の中間光として出力させる。また、差周波発生部38は、パラメトリック発生部36から出力された第1の中間光、及びポンプ光から差周波発生(DFG)により差周波光を発生させて、当該差周波光を変換光として出力させる。なお、第1及び第2の中間光と変換光の発生の詳細については、後述する。
波長変換部23は、出力光(図中、矢印97で示す。)を出力する。この出力光97は、差周波発生部38で発生した変換光に加えて、信号光、ポンプ光、第1の中間光及び第2の中間光を含んでいる。従って、波長フィルタ18により、出力光97に含まれる信号光、ポンプ光、第1の中間光及び第2の中間光を遮断し、変換光79のみを通過させると、不要な光信号が出力されないので好適である。
波長変換部23の構成については、パラメトリック発生部36の周期的ドメイン反転構造136の周期がΛeであり、差周波発生部38の周期的ドメイン反転構造138の周期がΛfであることを除いては、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
図6を参照して、第3実施形態の波長変換装置の動作について説明する。図6(A)は、波長変換装置の動作の模式図である。また、図6(B)は、変換光の発生の原理を説明するための図であり、縦方向に周波数の大きさを示している。
パラメトリック発生部36は、周波数ωsの信号光71のパラメトリック発生(OPG)により、周波数ωm1とωm2がωm1+ωm2=ωsの関係を満たす、周波数ωm1の第1の中間光(図中、矢印85で示す。)と周波数ωm2の第2の中間光(図中、矢印86で示す。)を発生させる。信号光71の波長λs(=c/ωs)を1550nmとすると、第1の中間光85の波長λm1(=c/ωm)、及び、第2の中間光86の波長λm2(=c/ωm)は、1/λm1+1/λm2=1/λsの関係で与えられ、例えば、第1の中間光85の波長λm1を2665nmとし、第2の中間光86の波長λm2を3709nmにすることができる。
差周波発生部38は、周波数ωm1の第1の中間光85と、周波数ωpのポンプ光74の差周波発生により、周波数ωcがωc=ωp−ωm1の関係を満たす、変換光79を発生させる。周波数ωpに対応するポンプ光74の波長λp(=c/ωp)を980nmとすると、第1の中間光85の波長λm1(=c/ωm1)が2665nmなので、変換光の波長λc(=c/ωc)は、1/λc=1/λp−1/λm1の関係で与えられて、1550nmになる。
ポンプ光74の波長λpを変化させると、変換光の波長λcは、1/λc=1/λp−1/λm1、及び1/λm1+1/λm2=1/λsの関係を満たすように変化する。すなわち、ポンプ光74の光源として可変波長光源を用いれば、変換光79の波長も可変になる。ポンプ光74、信号光71及び変換光79の間には、ωc=ωp−ωm1、ωm1+ωm2=ωsの関係があるので、ωp=ωc+ωs−ωm2になる。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。ポンプ光の周波数ωpは、第2の中間光の周波数ωm2に応じて、信号光の周波数の2倍よりも小さい値にすることができる。すなわち、ポンプ光の波長λpを従来よりも長くすることができ、例えば980nmにすることができる。波長λpが980nm付近であるポンプ光の光源としては、エルビウム添加光ファイバ増幅器の励起光源として高出力の半導体レーザを使用することができる。
第3実施形態の波長変換装置によれば、信号光のパラメトリック発生により、第1の中間光及び第2の中間光を発生した後、ポンプ光と第1の中間光との差周波発生により、変換光を出力するので、ポンプ光として使用する波長域を従来の波長変換装置よりも長波長域にすることができる。ポンプ光の波長を長波長にすることにより、ポンプ光の波長と変換光の波長との群速度差を小さくできるので、広帯域での変換効率を高めることができる。
また、1500nm付近の通信波長域で用いる場合、ポンプ光として使用する波長域を長波、例えば1000nm程度以上に設定することにより、LiNbO3において光損傷の影響を低減することが可能となる。
(第4実施形態)
図7を参照して、第4実施形態の波長変換装置につき説明する。図7は、第4実施形態の波長変換装置を説明するための概略構成図である。波長変換装置14は、合波器16、波長変換部24、及び波長フィルタ18を備えている。波長変換部24は、差周波発生部41と和周波発生部43を備えている。
波長変換装置14には、周波数ωsの信号光71、周波数ωp1の第1のポンプ光(図中、矢印75で示す。)、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光(図中、矢印76で示す。)が入力される。
信号光71、第1のポンプ光75、及び第2のポンプ光76は、合波器16で合波され、入力光(図中、矢印93で示す。)として、波長変換部24に送られる。合波器16として、例えば、任意好適な周知の光カプラを用いることができる。
波長変換部24の差周波発生部41は、入力光93に含まれる、信号光71及び第1のポンプ光75から差周波発生(DFG)により、第1の差周波光を発生させて、当該第1の差周波光を第1の中間光として出力させる。また、第1のポンプ光75及び第2のポンプ光76から差周波発生(DFG)により第2の差周波光を発生させて、当該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる。一方、和周波発生部43は、第1の中間光及び第2の中間光から、和周波発生(SFG:Sum Frequency Generation)により和周波光を発生させて、当該和周波光を変換光として出力させる。なお、第1の中間光、第2の中間光、及び変換光の発生の詳細については、後述する。
波長変換部24は、出力光(図中、矢印98で示す。)を出力する。この出力光98は、和周波発生部43で発生した変換光に加えて、信号光、第1のポンプ光、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光を含んでいる。従って、波長フィルタ18により、出力光98に含まれる信号光、第1のポンプ光、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光を遮断し、変換光79のみを通過させると、不要な光信号が出力されないので好適である。
波長変換部24の構成については、差周波発生部41の周期的ドメイン反転構造141の周期がΛgであり、和周波発生部43の周期的ドメイン反転構造143の周期がΛhであることを除いては、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
図8を参照して、第4実施形態の波長変換装置の動作について説明する。図8(A)は、波長変換装置の動作の模式図である。また、図8(B)は、変換光の発生の原理を説明するための図であり、縦方向に周波数の大きさを示している。
差周波発生部41は、周波数ωsの信号光71と周波数ωp1の第1のポンプ光75との差周波発生(DFG)により、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωsの関係を満たす、第1の中間光(図中、矢印87で示す。)を発生させる。信号光71の波長λs(=c/ωs)を1550nmとし、及び、第1のポンプ光75の波長λp1(=c/ωp1)を980nmとすると、第1の中間光87の波長λm1(=c/ωm1)は、1/λm1=1/λp1−1/λsの関係で与えられ、2665nmになる。
また、差周波発生部41は、周波数ωp1の第1のポンプ光75と周波数ωp2の第2のポンプ光76との差周波発生(DFG)により、周波数ωm2がωm2=ωp1−ωp2の関係を満たす、第2の中間光88を発生させる。第1のポンプ光75の波長λp1(=c/ωp1)を980nmとしているので、第2のポンプ光76の波長λp2(=c/ωp2)を1333nmとすると、第2の中間光88の波長λm2(=c/ωm2)は、1/λm2=1/λp1−1/λp2の関係で与えられ、3709nmになる。
和周波発生部43は、第1の中間光87と、第2の中間光88の和周波発生(SFG:Sum Frequency Genaeration)により、周波数ωcがωc=ωm1+ωm2の関係を満たす、変換光79を発生させる。第1の中間光87の波長λm1が2665nmであり、第2の中間光88の波長λm2が3709nmなので、変換光79の波長λcは、1/λc=1/λm1+1/λm2の関係で与えられ、1550nmになる。
信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。この場合、従来の波長変換装置では、ポンプ光、信号光及び変換光の間に、ωp=ωc+ωsの関係があるので、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの約2倍になる。これに対し、第4実施形態の波長変換装置では、信号光の周波数ωs、第1のポンプ光の周波数ωp1、第2のポンプ光の周波数ωp2、第1の中間光の周波数ωm1、第2の中間光の周波数ωm2、及び変換光の周波数ωcは、ωm1=ωp1−ωs、ωm2=ωp1−ωp2、及びωc=ωm1+ωm2の関係を満たす。従って、ωp1+(ωp1−ωp2)=ωc+ωsの関係が得られる。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができ、第1のポンプ光の周波数ωp1は、第1のポンプ光と第2のポンプ光の周波数ωp2の差(ωp1−ωp2)に応じて、信号光の周波数の2倍よりも小さい値にすることができる。すなわち、第1及び第2のポンプ光の波長λp1及びλp2を、従来のポンプ光の波長よりも長くすることができる。
第1のポンプ光75と第2のポンプ光76と2つのポンプ光を用いることで、それぞれの波長の選択の自由度が増す。例えば、第1実施形態の構成の場合は、変換光の波長を1つに定めると、それに応じて、ポンプ光の波長も1つに定まる。これに対し、第4実施形態の構成では、変換光の波長(すなわち、周波数)を1つに定めた場合に、第1の中間光と第2の中間光の周波数の和が変換光の周波数に等しくなるように、第1のポンプ光及び第2のポンプ光の波長を設定すれば良い。従って、高出力強度や、広波長可変域を備える光源の適用が容易になる。また、LiNbO3では、2800nmから2900nm付近に、小さな光吸収域が存在するので、その光吸収域を避けるように中間光の波長を設定することも可能になる。
(第5実施形態)
図9を参照して、第5実施形態の波長変換装置につき説明する。図9は、第5実施形態の波長変換装置を説明するための概略構成図である。波長変換装置15は、合波器16、波長変換部25、及び波長フィルタ18を備えている。波長変換部25は、第1の差周波発生部45、第2の差周波発生部47、及び第3の差周波発生部49を備えている。
波長変換装置15には、周波数ωsの信号光71、周波数ωp1の第1のポンプ光75、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光76が入力される。
信号光71、第1のポンプ光75、及び第2のポンプ光76は、合波器16で合波され、第1の入力光93として、波長変換部25に送られる。合波器16として、例えば、任意好適な周知の光カプラを用いることができる。
波長変換部25の第1の差周波発生部45は、入力光93に含まれる、第1のポンプ光75及び第2のポンプ光76から差周波発生(DFG)により第1の差周波光を発生させて、当該第1の差周波光を第1の中間光として出力させる。第2の差周波発生部47は、信号光71及び第1の中間光から差周波発生(DFG)により第2の差周波光を発生させて、当該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる。また、第3の差周波発生部49は、第2の中間光及び第1のポンプ光75から差周波発生(DFG)により第3の差周波光を発生させて、当該第3の差周波光を変換光として出力させる。なお、第1の中間光、第2の中間光、及び変換光の発生の詳細については後述する。
波長変換部25は、出力光98を出力する。この出力光98は、第3の差周波発生部49で発生した変換光に加えて、信号光、第1のポンプ光、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光を含んでいる。従って、波長フィルタ18により、出力光98に含まれる信号光、第1のポンプ光、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光を遮断し、変換光79のみを通過させると、不要な光信号が出力されないので好適である。
波長変換部25の構成については、第1の差周波発生部45の周期的ドメイン反転構造145の周期がΛiであり、第2の差周波発生部47の周期的ドメイン反転構造147の周期がΛjであり、及び、第3の差周波発生部49の周期的ドメイン反転構造149の周期がΛkであることを除いては、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
図10を参照して、第5実施形態の波長変換装置の動作について説明する。図10(A)は、波長変換装置の動作の模式図である。また、図10(B)は、変換光の発生の原理を説明するための図であり、縦方向に周波数の大きさを示している。
波長変換部25の第1の差周波発生部45は、周波数ωp1の第1のポンプ光75と周波数ωp2の第2のポンプ光76との差周波発生(DFG)により、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωp2の関係を満たす、第1の中間光(図中、矢印89で示す。)を発生させる。第1のポンプ光75の波長λp1(=c/ωp1)を980nmとし、及び、第2のポンプ光76の波長λp2(=c/ωp2)を1333nmとすると、第1の中間光89の波長λm1(=c/ωm1)は、1/λm1=1/λp1−1/λp2の関係で与えられ、3709nmになる。
第2の差周波発生部47は、周波数ωsの信号光71と周波数ωm1の第1の中間光89との差周波発生(DFG)により、周波数ωm2がωm2=ωs−ωm1の関係を満たす、第2の中間光90が発生する。信号光71の波長λs(=c/ωs)を1550nmとすると、第1の中間光89の波長λm1は、3709nmなので、第2の中間光90の波長λm2(=c/ωm2)は、1/λm2=1/λp1−1/λm1の関係で与えられ、2665nmになる。
第3の差周波発生部49は、第2の中間光90と第1のポンプ光75との差周波発生(DFG)により、周波数ωcがωc=ωp1−ωm2の関係を満たす、変換光を発生させる。第2の中間光の波長λm2は、2665nmであり、第1のポンプ光75の波長λp1は、980nmなので、変換光の波長λc(=c/ωc)は、1/λc=1/λp1−1/λm2の関係で与えられ、1550nmになる。
信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができる。この場合、従来の波長変換装置では、ポンプ光、信号光及び変換光の間に、ωp=ωc+ωsの関係があるので、ポンプ光の周波数ωpは、信号光の周波数ωsの約2倍になる。これに対し、第5実施形態の波長変換装置では、信号光の周波数ωs、第1のポンプ光の周波数ωp1、第2のポンプ光の周波数ωp2、第1の中間光の周波数ωm1、第2の中間光の周波数ωm2、及び変換光の周波数ωcは、ωm1=ωp1−ωp2、ωm2=ωs−ωm1、及びωc=ωp1−ωm2の関係を満たす。従って、ωp1+(ωp1−ωp2)=ωc+ωsの関係が得られる。信号光と変換光が同じ通信波長域の場合、ωsとωcはほぼ等しいと考えることができ、第1のポンプ光の周波数ωp1は、第1のポンプ光と第2のポンプ光の周波数ωp2の差(ωp1−ωp2)に応じて、信号光の周波数の2倍よりも小さい値にすることができる。すなわち、第1及び第2のポンプ光の波長λp1及びλp2を、従来のポンプ光の波長よりも長くすることができる。
第1のポンプ光と第2のポンプ光と2つのポンプ光を用いることで、それぞれの波長の選択の自由度が増す。例えば、第1実施形態の構成の場合は、変換光の波長を1つに定めると、それに応じて、ポンプ光の波長も1つに定まる。これに対し、第5実施形態の構成では、変換光の波長(すなわち、周波数)を1つに定めた場合に、第1の中間光と第2の中間光の周波数の和が変換光の周波数に等しくなるように、第1のポンプ光及び第2のポンプ光の波長を設定すれば良い。従って、高出力強度や、広波長可変域を備える光源の適用が容易になる。また、LiNbO3では、2800nmから2900nm付近に、小さな光吸収域が存在するので、その光吸収域を避けるように中間光の波長を設定することも可能になる。
(擬似位相整合)
図11(A)、(B)及び(C)を参照して、QPM型波長変換素子をLiNbO3結晶に形成した場合の、差周波発生におけるポンプ光の波長λpと中間光の波長λmの関係について説明する。同図中、ポンプ光の波長λpが約930nmから約1060nmまでの範囲内となる場合について示してある。図11(A)は、信号光の波長λsが1550nmの場合の、差周波発生部での、ポンプ光の波長λpと中間光の波長λmの関係を示す図である。図11(A)では、横軸にポンプ光の波長λpをとり、及び、縦軸に中間光の波長λmをとっている。
ポンプ光の波長λpが、信号光の波長λs(ここでは、1550nm)より小さい場合、ポンプ光の波長λpを大きくしていくと、中間光の波長λmも大きくなる。ポンプ光の波長λpが約775nmの時(図示を省略する。)、中間光の波長λmが1550nm程度であり、従来の波長変換装置では、この中間光を、変換光として出力している。
LiNbO3結晶では、波長が4000nm以上の長波長側で光吸収の影響が現れる。第1実施形態の波長変換装置11の差周波発生部31、及び、第2実施形態の波長変換装置12の差周波発生部37では、ポンプ光の波長λpが1033nmであり、この場合、中間光の波長λmは、3100nmか若しくはその程度になる。また、第3実施形態の波長変換装置13の差周波発生部38、及び、第5実施形態の波長変換装置15の第3の差周波発生部49では、第1のポンプ光の波長λp1が980nmであり、この場合、第1の中間光の波長λm1は、2665nmか若しくはその程度になる。いずれの場合も、中間光の波長が4000nm未満なので、LiNbO3結晶の光吸収の影響を受けない。
図11(B)は、差周波発生部での、ポンプ光の波長λpと周期的ドメイン反転構造の周期Λの関係を示す図である。図11(B)では、横軸に、ポンプ光の波長λpをとり、及び、縦軸に、QPM型波長変換素子の周期的ドメイン反転構造の周期(以下、QPM周期と称することもある。)Λをとっている。ポンプ光、信号光、及び中間光のそれぞれの波数kp、ks、及びkm間の波数差をΔkとすると、QPM周期Λの周期的ドメイン反転構造では、Δk=kp−ks−km−2π/Λの関係が得られる。ポンプ光の波長λpが特定の波長λp0のときに、QPM条件を満たすとすると、QPM条件では、kp0−ks0−km0=2π/Λとなるので、Δk=(dkp/dωp)Δωp−(dks/dωs)Δωs−(dkm/dωm)Δωcである。光の群速度をVgとすると、dk/dω=1/Vgであるので、位相差は光周波数間の群速度差に対応付けられていることがわかる。差周波発生では、ωp=ωm+ωsの関係があるため、Δωp=Δωm+Δωsとなる。従って、Δk=(1/Vgp−1/Vgm)Δωp+(1/Vgm−1/Vgs)Δωsとなる。なお、Δωmは、中間光の周波数ずれを示しており、また、Vgmは中間光の群速度を示している。
ポンプ光の波長λpが信号光の波長λsよりも短い場合、QPM周期Λは、ポンプ光の波長λpが1000〜1100nmで最大となり、そのときのQPM周期Λは30μm程度である。図11(B)では、波長λpが1033nm若しくはその当りで、QPM周期は、30.6μm若しくはその程度となっている。従って、第1実施形態の波長変換装置11の差周波変換部31、第2実施形態の波長変換装置12の差周波変換部37、第3実施形態の波長変換装置13の差周波発生部38、及び、第5実施形態の波長変換装置15の第3の差周波発生部49の周期的ドメイン反転構造の周期Λa、Λd、Λf、及びΛkはいずれも30μm程度の値になる。従来の775nmのポンプ光を用いた場合は、QPM周期Λが18μm程度であるので、ポンプ光の波長λpを1000nm程度とすることにより、QPM周期Λが30μm若しくはその程度と長くなり、QPM型波長変換素子の作成が容易になる。
図11(C)を参照してポンプ光の波長λpと、群速度差Δ(c/Vg)の関係について説明する。図11(C)は、ポンプ光の波長λpと群速度差Δ(c/Vg)の関係を示す図である。図11(C)では、横軸に、ポンプ光の波長λpをとり、及び、縦軸に、群速度差ΔVgをとっている。ここで、曲線Iは、ポンプ光と中間光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgp−1/Vgm)を示し、曲線IIは、中間光と信号光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgm−1/Vgs)を示している。
ポンプ光の波長λpが、信号光の波長λs(ここでは、1550nm)より小さい場合、ポンプ光の波長λpを大きくすると、ポンプ光と中間光の群速度差ΔVg(=1/Vgp−1/Vgm)が小さくなる(曲線I)。例えば、従来の波長変換装置では、ポンプ光の波長λpを775nmとしていて、この場合、群速度差ΔVgは、0.09程度であった。これに対し、ポンプ光の波長λpが1033nmの時には、最低点近くであり、このとき、波長変換の帯域幅が5倍以上になっている。
図12(A)、(B)及び(C)を参照して、第1のポンプ光と第2のポンプ光を用いる場合の、差周波発生におけるポンプ光の波長と中間光の波長の関係について説明する。同図中、第1のポンプ光の波長λp1が約930nmから約1060nmまでの範囲内となる場合について示してある。第1のポンプ光と第2のポンプ光を用いる場合、第1の中間光と第2の中間光が発生する。この場合、第1のポンプ光の波長λp1と第2のポンプ光の波長λp2は、第1の中間光と第2の中間光の和周波発生によって、波長が1550nmの変換光が発生するように設定すれば良い。
図12(A)は、信号光の波長λsが1550nmの場合の、差周波発生における、第1のポンプ光の波長λp1と、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光の波長λp2、λm1及びλm2の関係を示す図である。図12(A)では、横軸に第1のポンプ光の波長λp1をとり、及び、縦軸に、第2のポンプ光及び中間光の波長をとっている。
第1のポンプ光の波長λp1と、第1の中間光の波長λm1との関係(曲線III)は、図11(A)を参照して説明したポンプ光の波長λpと中間光の波長λmとの関係と同じである。第2のポンプ光の波長は、第1の中間光と第2の中間光の和周波発生によって、変換光が発生するように設定される。従って、第2のポンプ光の波長λp2は、第1のポンプ光の波長λp1に対応して決まる(曲線IV)。また、第1のポンプ光と第2のポンプ光の差周波発生によって発生する第2の中間光の波長λm2も、第1のポンプ光の波長λp1に対応して決まる(曲線V)。例えば、第1のポンプ光の波長λp1が980nmの場合は、第1の中間光の波長λm1が2665nmになる。このとき、第1の中間光との和周波発生により発生する変換光の波長λcが1550nmになるためには、第2の中間光の波長λm2は3709nm程度になる必要がある。波長λp1が980nmの第1のポンプ光との差周波発生により、波長λm2が3709nmの第2の中間光を発生させるためには、第2のポンプ光の波長λp2は1333nmにすれば良い。
図12(B)は、差周波発生部での、第1のポンプ光の波長λp1と周期的ドメイン反転構造の周期Λの関係を示す図である。図12(B)では、横軸に、第1のポンプ光の波長λpをとり、及び、縦軸に、QPM型波長変換素子の周期的ドメイン反転構造のQPM周期Λをとっている。
第1のポンプ光、第2のポンプ光、及び第2の中間光のそれぞれの波数kp1、kp2、及びkm2間の波数差をΔkとすると、周期Λの周期的ドメイン反転構造では、Δk=kp1−kp2−km2−2π/Λの関係が得られる。ポンプ光の波長λp2が特定の波長λp20のときに、QPM条件を満たすとすると、QPM条件では、kp10−kp20−km20=2π/Λとなるので、Δk=(dkp1/dωp1)Δωp1−(dkp2/dωp2)Δωp2−(dkm2/dωm2)Δωm2である。光の群速度をVgとすると、dk/dω=1/Vgであるので、位相差は光周波数間の群速度差に対応付けられていることがわかる。差周波発生では、ωp1=ωm2+ωp2の関係があるため、Δωp1=Δωm2+Δωp2となる。従って、Δk=(1/Vgp1−1/Vgm2)Δωp1+(1/Vgm2−1/Vgp2)Δωp2となる。なお、Δωp1及びΔωp1は、第1及び第2のポンプ光の周波数ずれを示している。
第1のポンプ光の波長λp1が信号光の波長λsよりも短い場合、周期Λは、ポンプ光の波長λp1が長くなるに従って、大きくなる。第5実施形態の波長変換装置15の第1の差周波変換部45では、第1のポンプ光の波長λp1が980nmで、第2のポンプ光の波長λp2が1333nmであり、この場合、第1の差周波変換部45の周期的ドメイン反転構造145の周期Λiは、28μm程度である。従って、従来の775nmのポンプ光を用いた場合の、周期Λが18μm程度に比べて長くなり、QPM型波長変換素子の作成が容易になる。
図12(C)を参照して第1のポンプ光の波長λp1と、群速度差Δ(c/Vg)の関係について説明する。図12(C)は、第1のポンプ光の波長λp1と群速度差Δ(c/Vg)の関係を示す図である。図12(C)では、横軸に、第1のポンプ光の波長λp1をとり、及び、縦軸に、群速度差Δ(c/Vg)をとっている。ここで、曲線VIは、第1のポンプ光と第2の中間光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgp1−1/Vgm2)を示し、曲線VIIは、第2の中間光と第2のポンプ光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgm2−1/Vgp2)を示している。
第1のポンプ光の波長λp1が、信号光の波長λs(ここでは、1550nm)より小さい場合、第1のポンプ光の波長λp1を大きくすると、第2のポンプ光と第2の中間光の群速度差ΔVg(=1/Vgp2−1/Vgm2)が小さくなる(曲線VII)。例えば、従来の波長変換装置では、ポンプ光の波長λpを775nmとしていて、この場合、群速度差Δ(c/Vg)は、0.09程度であった。これに対し、第1のポンプ光の波長λpが980nmの時には、波長変換の帯域幅が2倍以上になっている。
図13(A)及び(B)を参照して、和周波発生におけるポンプ光の波長と変換光の波長の関係について説明する。図13(A)は、和周波発生部での、第1のポンプ光の波長λp1と周期的ドメイン反転構造の周期Λの関係を示す図である。図13(A)では、横軸に、第1のポンプ光の波長λp1をとり、及び、縦軸に、QPM型波長変換素子の周期的ドメイン反転構造の周期Λをとっている。同図中、第1のポンプ光の波長λp1が約930nmから約1060nmまでの範囲内となる場合について示してある。
第1の中間光、第2の中間光、及び変換光のそれぞれの波数km1、km2、及びkc間の波数差をΔkとすると、周期Λの周期的ドメイン反転構造では、Δk=kc−km1−km2−2π/Λの関係が得られる。第1の中間光の波長λm1が特定の波長λm10のときに、QPM条件を満たすとすると、QPM条件では、kc0−km10−km20=2π/Λとなるので、Δk=(dkc/dωc)Δωc−(dkm1/dωm1)Δωm1−(dkm2/dωm2)Δωm2である。光の群速度をVgとすると、dk/dω=1/Vgであるので、位相差は光周波数間の群速度差に対応付けられていることがわかる。和周波発生では、ωc=ωm1+ωm2の関係があるため、Δωc=Δωm1+Δωm2となる。従って、Δk=(1/Vgc−1/Vgm1)Δωm1+(1/Vgc−1/Vgm2)Δωm2となる。なお、Δωm1及びΔωm2は、第1及び第2の中間光の周波数ずれを示している。
第1及び第2の中間光の波長λm1及びλm2は、第1のポンプ光の波長λp1に依存して定まる。従って、和周波発生部の周期的ドメイン反転構造のQPM周期Λも第1のポンプ光の波長λp1に対応付けることができる。例えば、第1のポンプ光の波長λp1が980nmの場合は、第1の中間光の波長λm1が2665nm、及び、第2の中間光の波長λm2が3709nmになり、第1及び第2の中間光と変換光との擬似位相整合が実現されるためには、周期的ドメイン反転構造の周期Λを34μm程度にすれば良い。
図13(B)を参照して第1のポンプ光の波長λp1と、群速度差Δ(c/Vg)の関係について説明する。図13(B)は、第1のポンプ光の波長λp1と群速度差Δ(c/Vg)の関係を示す図である。図13(B)では、横軸に、第1のポンプ光の波長λp1をとり、及び、縦軸に、群速度差Δ(c/Vg)をとっている。ここで、曲線VIIIは、変換光と第1の中間光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgc−1/Vgm1)を示し、曲線IXは、変換光と第2の中間光の群速度差Δ(c/Vg)=c(1/Vgc−1/Vgm2)を示している。
なお、ここで説明した周期的ドメイン反転構造のQPM周期Λは、第1の中間光、第2の中間光、及び変換光の3つの波長間の関係で定まるものであり、和周波発生に限定されるものではない。例えば、第1の中間光の波長λm1が2665nm、第2の中間光の波長λm2が3709nm、及び、変換光の波長λcが1550nmの場合、第1の中間光と第2の中間光を入力すれば、和周波発生により変換光が発生する。この場合、第1の中間光に変えて、変換光の波長λcに等しい波長の信号光λsを入力すると、差周波発生により、第1の中間光が発生することになる。すなわち、何れの光を入力光、出力光としても良い。
従って、第3実施形態の波長変換装置13のパラメトリック発生部36、第4実施形態の波長変換装置14の和周波発生部43、及び、第5実施形態の波長変換装置15の第2の差周波発生部47の周期的ドメイン反転構造136、143及び147の周期Λe、Λh、及びΛjを34μmにすることができる。
また、第1のポンプ光の波長λp1を1033nmにすると、第1の中間光及び第2の中間光の波長λm1及びλm2のいずれも3100nmになる。第1の中間光及び第2の中間光は同じ波長の光になるので、第1の中間光及び第2の中間光を単に中間光と称し、波長をλmとする。第1実施形態の波長変換装置11の第2高調波発生部33の周期的ドメイン反転構造133の周期Λbは、第1のポンプ光の波長λp1を1033nmにした場合に対応し、このとき、Λbは35μmになる。なお、周期的ドメイン反転構造133の周期Λbは、中間光の波長λmと、変換光の波長λcによって定まる値であり、同じ周期的ドメイン反転構造に、変換光の波長λcに等しい波長λsの信号光を入力すれば、パラメトリック発生により、波長λmの中間光が発生する。従って、第2の実施形態の波長変換装置12のパラメトリック発生部35の周期的ドメイン反転構造135の周期Λcを35μmにすれば良い。
第4実施形態の差周波発生部41は、信号光と第1のポンプ光との差周波発生により、第1の中間光を発生させるとともに、第1のポンプ光と第2のポンプ光との差周波発生により、第2の中間光を発生させる。
第4実施形態では、例として信号光の波長λsを1550nmにし、及び、第1のポンプ光の波長λp1を980nmにして説明したので、第1の中間光の波長λm1は、1/λm1=1/λp1−1/λsの関係で与えられ、2665nmになるとしている。また、第2のポンプ光の波長λp2を1333nmにしているので、第2の中間光の波長λm2は、1/λm2=1/λp1−1/λp2の関係で与えられ、3709nmになるとしている。
差周波発生部41の周期的ドメイン反転構造141は、信号光、第1のポンプ光、及び第1の中間光の3つの光に対してQPM条件を満たすQPM周期Λ1と、第1のポンプ光、第2のポンプ光、及び第2の中間光の3つの光に対してQPM条件を満たすQPM周期Λ2とを重畳したものにすればよい。例えば、周期的ドメイン反転構造141のQPM周期Λgを1/Λg=1/Λ1+1/Λ2を満たすように設定し、QPMの強度が周期1/Λ1−1/Λ2のコサイン関数で変調したものになるように、デューティ比を変化させる。信号光、第1のポンプ光、及び第1の中間光の3つの光の組と、第1のポンプ光、第2のポンプ光、及び第2の中間光の3つの光の組のそれぞれに対して、波長変換効率は最大にはならないものの、両方の組に対して高い波長変換効率を得ることができる。
第1実施形態の波長変換装置を説明するための概略的な模式図である。 第1実施形態の波長変換装置の動作を説明するための模式図である。 第2実施形態の波長変換装置を説明するための概略的な模式図である。 第2実施形態の波長変換装置の動作を説明するための模式図である。 第3実施形態の波長変換装置を説明するための概略的な模式図である。 第3実施形態の波長変換装置の動作を説明するための模式図である。 第4実施形態の波長変換装置を説明するための概略的な模式図である。 第4実施形態の波長変換装置の動作を説明するための模式図である。 第5実施形態の波長変換装置を説明するための概略的な模式図である。 第5実施形態の波長変換装置の動作を説明するための模式図である。 差周波発生における、ポンプ光の波長と中間光の波長の関係を示す図である。 差周波発生における、第1のポンプ光の波長と、第2のポンプ光、第1の中間光、及び第2の中間光の波長との関係を示す図である。 和周波発生における、第1のポンプ光の波長と周期的ドメイン反転構造の周期の関係を示す図である。
符号の説明
11〜15 波長変換装置
16 合波器
18 波長フィルタ
21〜25 波長変換部
31、37、38、41 差周波発生部
33 第2高調波発生部
35、36 パラメトリック発生部
43 和周波発生部
45 第1の差周波発生部
47 第2の差周波発生部
49 第3の差周波発生部
121〜125 光導波路
131、133、135、136、137、138 周期的ドメイン反転構造
131a、133a、135a、136a、137a、138a 第1ドメイン
131b、133b、135b、136b、137b、138b 第2ドメイン
141、143、145、147、149 周期的ドメイン反転構造
141a、143a、145a、147a、149a 第1ドメイン
141b、143b、145b、147b、149b 第2ドメイン

Claims (5)

  1. 周波数ωsの信号光、及び周波数ωpのポンプ光から、周波数ωmがωm=ωp−ωsの関係を満たす差周波光を発生させて、該差周波光を中間光として出力させる差周波発生部と、
    前記中間光から、周波数ωcがωc=ωm×2の関係を満たす第2高調波光を発生させて、該第2高調波光を変換光として出力させる第2高調波発生部と
    を備えることを特徴とする波長変換装置。
  2. 周波数ωsの信号光から、周波数ωmがωm=ωs/2の関係を満たすパラメトリック発生光を発生させて、該パラメトリック発生光を中間光として出力させるパラメトリック発生部と、
    前記中間光、及び周波数ωpのポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp−ωmの関係を満たす差周波光を発生させて、該差周波光を変換光として出力させる差周波発生部と
    を備えることを特徴とする波長変換装置。
  3. 周波数ωsの信号光から、周波数ωm1及びωm2がωm1+ωm2=ωsの関係を満たす周波数ωm1の第1のパラメトリック発生光、及び、周波数ωm2の第2のパラメトリック発生光を発生させて、前記第1のパラメトリック発生光を第1の中間光として出力させ、及び、前記第2のパラメトリック発生光を第2の中間光として出力させるパラメトリック発生部と、
    前記第1の中間光、及び、周波数ωpのポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp−ωm1の関係を満たす差周波光を発生させて、該差周波光を変換光として出力させる差周波発生部と
    を備えることを特徴とする波長変換装置。
  4. 周波数ωsの信号光、及び、周波数ωp1の第1のポンプ光から、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωsの関係を満たす第1の差周波光を発生させて、該第1の差周波光を第1の中間光として出力させ、かつ、前記第1のポンプ光、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光から、周波数ωm2がωm2=ωp1−ωp2の関係を満たす第2の差周波光を発生させて、該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる差周波発生部と、
    前記第1の中間光及び前記第2の中間光から、周波数ωcがωc=ωm1+ωm2の関係を満たす和周波光を発生させて、該和周波光を変換光として出力させる和周波発生部と
    を備えることを特徴とする波長変換装置。
  5. 周波数ωp1の第1のポンプ光、及び、周波数ωp2の第2のポンプ光から、周波数ωm1がωm1=ωp1−ωp2の関係を満たす第1の差周波光を発生させて、該第1の差周波光を第1の中間光として出力させる第1の差周波発生部と、
    前記第1の中間光及び周波数ωsの信号光から、周波数ωm2がωm2=ωs−ωm1の関係を満たす第2の差周波光を発生させて、該第2の差周波光を第2の中間光として出力させる第2の差周波発生部と、
    前記第2の中間光及び前記第1のポンプ光から、周波数ωcがωc=ωp1−ωm2の関係を満たす第3の差周波光を発生させて、該第3の差周波光を変換光として出力させる第3の差周波発生部と
    を備えることを特徴とする波長変換装置。
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