JP2006225316A - ノルボルネン誘導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノルボルネン誘導体の製造方法は、式(2)で表されるシクロオレフィン類とシクロペンタジエン類とのディールス・アルダー反応により式(1)で表されるノルボルネン誘導体を合成する;
【化1】
(式中、R1〜R10は、水素原子;ハロゲン原子;連結基を有していてもよい炭素原子数
1〜30の1価の(置換)炭化水素基;及び極性基よりなる群から選ばれる原子又は基、a、b、c、d、e、fは0〜2の整数(但し、b=c=0である場合を除く)、Aは−(単結合);−O−;−S−;−SO−;−SO2−;−CO−;−NR11−;−SiR12 2−;又は、炭素原子数1〜30の2価の(置換)炭化水素基(R11、R12は連結基を有していてもよい炭素原子数1〜30の1価の(置換)炭化水素基))。
【選択図】 なし
Description
合成する方法を提供するものである。
素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である連結基または酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表わし、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立に0〜2の整数であり(但し、b=c=0である場合を除く)、Aは−(単結合);−O−;−S−;−SO−;−SO2−;−CO−;−NR11−;−SiR12 2−;または、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基を表す(R11およびR12はそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)。]
Aはそれぞれ前記一般式(1)で定義の通り。]
本発明ではディールス・アルダー反応時の反応混合物温度が100〜250℃の範囲内であることが好ましい。
れ1であるシクロオレフィン類を使用することも好ましい。
が好ましい。
<反応試剤>
本発明に使用する原料の内、シクロペンタジエン類としては下記一般式(3)で表されるシクロペンタジエン類および/または(4)で表されるシクロペンタジエン類が使用できるが、コストの面から好ましくはジシクロペンタジエンまたはジ(メチルシクロペンタジエン)、更に好ましくはジシクロペンタジエンである。
また、本発明に使用する原料の内、ジエノフィルとしては上記一般式(2)で表されるシクロオレフィン類を使用することができる。
ゲン原子;炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である連結基または酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表わす。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等が挙げられる。
)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)、シロキサン結合(−Si(R2)O−(こ
こで、Rはメチル、エチル等のアルキル基));あるいはこれらの2種以上が組み合わさって連なったものが挙げられる。
素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基としては上記と同じ基が挙げられ、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基としては上記と同じ基が挙げられる。また、Aが示す、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基としては、好ましくは−(CH2)n−(nは0または1〜3の整数)である。
合物を挙げることができる。
うち少なくとも6つが水素原子であるシクロオレフィン類を使用することが好ましい。
このようなシクロオレフィン類としては、好ましくはスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、
スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[2−メトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[2−エトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、より好ましくはスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[2,7−ジ
メトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[3,6−ジメトキシフルオレ
ン−9,4'−シクロペンテン]、スピロ[2−メトキシフルオレン−9,4'−シクロペンテン]、最も好ましくはスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]である。
ジオールのようなアルコール類の水酸基を、トシル基のような適切な脱離基へと変換した後、塩基の存在下でフルオレンのような活性メチレン基を有する化合物と縮合環化して得ることができる(以下「A法」と省略する)。また、例えば塩基の存在下、2等量のアリルクロライドのようなビニル化合物とフルオレンのような活性メチレン基を有する化合物とを縮合し、9,9−ジアリルフルオレンを合成した後にメタセシス反応触媒の存在下に
閉環反応を行っても得ることができる(以下「B法」と省略する)。(上記の具体的な数値および物質名は本発明を限定するものではない)
<A法の具体的説明>
A法で使用できるアルコール類としては例えば2−ブテン−1,4−ジオール、2−ペ
ンテン−1,5−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール等を挙げることができる。また、これらのオレフィン部位の幾何異性体は何れでも良く、2種の混合物であっても良いが好ましくはシス体である。
れている。これらの塩基を使用して縮合環化反応を行う際の媒体としては均一相であっても固/液または液/液の2相系であっても良く、使用する金属化合物の溶解性が低い場合には公知の相関移動触媒を少量添加しても良い。
<B法の具体的説明>
B法で使用できるビニル化合物としては、例えばアリルクロライド、アリルブロマイド、4−クロロ−1−ブテン、4−ブロモ−1−ブテン等を挙げることができる。これらのビニル化合物は1種単独でも複数を併用しても良く、また、ハロゲン交換反応によってより脱離性の高いハロゲン原子へと置換しても良い。
このような触媒としては、(I)例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を
有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
Cl3、TiCl4等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
ン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
Syn. Lett., 10, 1618 (1999).には金属カリウムの存在下、アリルブロマイドとフルオレンとの反応によりジアリルフルオレンを合成し、引き続くRu(=CHPh)[P(C6H11)3]2Cl2をメタセシス触媒として用いた閉環反応によりスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]を合成した例が開示されている。
<反応条件>
本発明は前記一般式(2)で表されるシクロオレフィン類とシクロペンタジエン類とのディールス・アルダー反応を必須の工程とするが、その反応条件としては反応混合物温度が100〜250℃の範囲内であり、好ましくは120〜240℃、更に好ましくは140〜220℃である。反応混合物温度がこれらの範囲よりも低いと反応速度が遅く生産性が悪化し、高いと逆反応(副反応)が進行して目的物の収率が低下することがある。
タジエン類が加熱下で溶解するものであれば特に限定されないが、例えばThe Diels-Alder Reaction(Francesco Fringuelli,Aldo Taticchi,JOHN WILEY & SONS,LTD)に記載されている溶媒が好ましく使用できる。より具体的には例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では溶解性の面から芳香族または脂肪族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。これらの反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全原料」の重量比が、通常、0:1〜10:1となる量であり、好ましくは0:1〜5:1となる量である。溶媒の使用量がこの範囲よりも多いと、反応速度が遅くなるばかりでなく容量が大きくなるため生産性の低下を招くことになる。
キノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル
)シクロヘキサン、オクタデシル・3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、3,3',3”,5,5',5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a',a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等のフェノール系またはヒドロキノン系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジンやジフェニルアミンのようなアミン系
化合物、ジチオベンゾイルジスルフィド、p,p'−ジトリルトリススルフィド、ジベンジルテトラスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドのような有機硫黄化合物、ジニトロベンゼンのようなニトロ化合物、2−メチル−2−ニトロソプロパンのようなニトロソ化合物、トリ(ベンゾイルオキシ)鉄、臭化第三鉄、塩化第三鉄、塩化第二銅のような金属塩化合物を挙げることができる。このような添加剤を使用することにより原料オレフィン類の熱重合を禁止または抑制し、目的物の収率を向上させることが可能である。
<精製方法>
このようにして得られた反応生成物は蒸留、抽出または晶析を行うか、これらを組み合わせて行うことにより精製/分離することができる。使用する原料、生成物、および副生成物の物理的および化学的性質により精製方法および精製条件は異なるが、反応生成物(一般式(1)で表されるノルボルネン誘導体)の沸点が工業的に蒸留可能な温度および圧力である場合には蒸留による精製/分離が好ましいが、蒸留前または蒸留後に抽出または晶析によりオリゴマー成分の除去やより純度を高くするための精製を行っても良い。ディールス・アルダー反応生成物の沸点が高く、蒸留が困難である場合には蒸留による沸点の低い成分の除去と抽出および/または晶析を組み合わせて精製することができる。さらに、ディールス・アルダー反応生成物と原料または副生成物との溶解性に十分な差がある場合には抽出および/または晶析により精製することができる。抽出または晶析には公知の有機溶媒を使用することができる。また、分離した原料は再利用することができる。これらの手法の精製を行うことによって次工程の開環重合または付加重合時の重合阻害剤となり得る不純物を許容濃度以下に除くことができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
cis−1,4−ジクロロ−2−ブテン 14.88g(0.12mol)、フルオレン16.60g(0.1mol)、50wt%水酸化ナトリウム水溶液 80g、トリエチ
ルベンジルアンモニウムクロライド 0.4g(0.0013mol)、ジメチルスルホ
キシド2mLを冷却管、攪拌機、温度計を備えたフラスコ中に仕込み、95〜100℃で4時間反応させた。その後、反応混合物中にトルエン40mLを加え、有機相と水相とを分離し、有機相を蒸留水20mLで3回洗浄した。この反応混合物を濃縮後、蒸留精製してスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]を70%含む混合物を得た[沸点:138〜148℃(1mmHg)、目的物収率=23%]。得られた混合物の1H−NMR
および13C−NMRスペクトル(いずれも重水素化クロロホルム中で測定)をそれぞれ図1および図2に示す。
ン]の1H−NMRスペクトル(重水素化クロロホルム中で測定)を図3に示す。
実施例1と同様にして得たスピロ[フルオレン−9,4'−シクロペンテン]を70%含む混合物1.01g(3.2mmol)とジシクロペンタジエン0.9g(3.4mmol)とをステンレス製反応容器に仕込み、200℃で7時間反応を行った。反応混合物をメタノールで再結晶してスピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]を収率9%で得た。
[比較例]
<スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]の合成>
cis−1,4−ジクロロ−2−ブテン 18.75g(0.15mol)とジシクロペンタジエン 39.66g(0.3mol)をステンレス製反応容器に仕込み、200℃
で4時間反応させた。その後、蒸留精製して5,6−ジ(クロロメチル)−2−ノルボル
ネンを90%含む混合物を得た[沸点:108〜112℃(10mmHg)、目的物収率=44%]。
水溶液 19g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 0.13g(0.0006mol)、ジメチルスルホキシド 0.6mLを冷却管、攪拌機、温度計を備えたフラス
コ中に仕込み、95〜100℃で4時間反応させた。その後、反応混合物中にトルエン20mLを加え、有機相と水相とを分離し、有機相を蒸留水20mLで3回洗浄した。有機相を濃縮後、ガスクロマトグラフィー分析により定量したスピロ[フルオレン−9,8'−
トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]の収率は0.3%であり、単離には至らなか
った。
Claims (6)
- 下記一般式(2)で表されるシクロオレフィン類とシクロペンタジエン類とのディールス・アルダー反応により下記一般式(1)で表されるノルボルネン誘導体を合成することを特徴とするノルボルネン誘導体の製造方法;
素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である連結基または酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表わし、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立に0〜2の整数であり(但し、b=c=0である場合を除く)、Aは−(単結合);−O−;−S−;−SO−;−SO2−;−CO−;−NR11−;−SiR12 2−;または、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基を表す(R11およびR12はそれぞれ独立に酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)。)
れ前記一般式(1)で定義の通り。)。 - ディールス・アルダー反応時の反応混合物温度が100〜250℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のノルボルネン誘導体の製造方法。
- シクロペンタジエン類としてジシクロペンタジエンおよび/またはシクロペンタジエン、あるいはジ(メチルシクロペンタジエン)および/またはメチルシクロペンタジエンを使用することを特徴とする請求項1または2に記載のノルボルネン誘導体の製造方法。
- 一般式(2)中のbおよびcがそれぞれ1であるシクロオレフィン類を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン誘導体の製造方法。
- 一般式(2)中のR3〜R10のうち少なくとも6つが水素原子であり、dおよびfがそ
れぞれ1であるシクロオレフィン類を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノルボルネン誘導体の製造方法。 - 一般式(1)中のaが0または1であるノルボルネン誘導体を合成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のノルボルネン誘導体の製造方法。
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