JP2006223461A - ゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセット - Google Patents

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Abstract

【課題】打出し角度が高く、かつスピン量が少なく、ギア効果が十分に発現し、飛距離を得ることができるゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセットを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、このフェース面が所定のロフト角度に形成されているものであり、フェース面が所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通るフェース面に垂直な垂線がフェース面に交わる点から水平面に至る重心高さをFGH(mm)とし、さらに、重心を通りフェース面に直交する垂直な線が前記フェース面と交わる点と、重心との前記垂直な線における距離をFGD(mm)とするとき、FGH−FGD×0.152で表わされるパラメータBが、B<17.03である。
【選択図】図1

Description

本発明は、打出し角度が高く、かつスピン量が少なく、飛距離が得られるゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセットに関する。
従来、ゴルフクラブヘッドにおいて、飛距離を得るために、ギア効果により打出し角度を高くし、さらにスピン量を低くすることが行われている。
このギア効果を高めるためには、ゴルフクラブヘッドの重心を低くするとともに、ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面よりも内側にすること(以下、深重心ともいう)が有効であることが知られている。このため、ゴルフクラブヘッドにおいて、重心の高さおよび重心の位置を規定したゴルフクラブセットが開示されている(例えば、特許文献1、および特許文献2参照)。
特許文献1には、重心の深さおよび重心高さが番手の若い順から所定順序で、増加、減少または一定になるように整理されているゴルフクラブセットが開示されている。
また、特許文献2には、上下方向および左右方向の弾道安定性を向上させるために、重心の深さおよび重心高さの下限値を設定したゴルフクラブセットが開示されている。
特公平2−20263号公報 特公平7−4437号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されたゴルフクラブセットのゴルフクラブでは、いずれも重心の深さおよび重心高さが十分ではなく、ギア効果を十分に発現させることができるものではない。
また、低重心化のために、ゴルフクラブヘッドの質量の多くをソール部の中央に集めた場合、ゴルフクラブヘッドのヒールおよびトウ側の質量がソール部の中央に比して小さくなり、ゴルフクラブヘッドの重心を通りソール面に垂直な直線を回転軸とする回転軸回りの慣性モーメント(以下、単に「慣性モーメント」ともいう)が小さくなる。
一方、重心の深さを大きくすると、ロフト角度の影響で重心の高さが高くなる。このため、従来のゴルフクラブヘッドでは、重心を低くし、かつ重心の深さを大きくして、慣性モーメントを所定の値に維持しつつ、ギア効果が十分に得られるものとすることができなかった。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、打出し角度が高く、かつスピン量が少なく、ギア効果が十分に発現し、飛距離を得ることができるゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、前記フェース面が所定のロフト角度に形成されているゴルフクラブヘッドであって、前記フェース面が前記所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通る前記フェース面に垂直な垂線が前記フェース面に交わる点から前記水平面に至る重心高さをFGH(mm)とし、さらに、前記重心を通り前記フェース面に直交する垂直な線が前記フェース面と交わる点と、前記重心との前記垂直な線における距離をFGD(mm)とするとき、FGH−FGD×0.152で表わされるパラメータBが、B<17.03であることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供するものである。
本発明においては、前記FGHと前記FGDとが、FGH−FGD×0.152(=B)<15.03の関係を満たすことが好ましく、FGH−FGD×0.152(=B)<13.03の関係を満たすことがさらに好ましい。
また、本発明においては、前記ロフト角度は、20°以上であることが好ましく、さらに好ましくは25°以上である。
さらに、本発明においては、前記フェース面は、最大引張強度が600MPa以上のアルミニウム合金により形成されていることが好ましい。
本発明においては、最大引張強度が600MPa以上のアルミニウム合金とは、例えば、急冷凝固アルミニウム合金である。
また、本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブを提供するものである。
また、本発明の第3の態様は、複数本のゴルフクラブを備えるゴルフクラブセットであって、上記本発明の第2の態様のゴルフクラブを有することを特徴とするゴルフクラブセットを提供するものである。
本発明の第1の態様のゴルフクラブヘッドおよび本発明の第2の態様のゴルフクラブによれば、フェース面を、形成されている所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通るフェース面に垂直な垂線がフェース面に交わる点から水平面に至る重心高さをFGH(mm)とし、ゴルフクラブヘッドの重心を通りフェース面に直交する垂直な線がフェース面と交わる点と重心との垂直な線における距離をFGD(mm)とするとき、パラメータB(=FGH−FGD×0.152)を、B<17.03とすることにより、打出し角度が高く、かつスピン量が少なく、ギア効果が十分に発現し、飛距離が得られるものとすることができる。
また、本発明の第3の態様のゴルフクラブセットによれば、打出し角度が高く、スピン量が少なく、ギア効果が十分に発現し、飛距離が得られるゴルフクラブを有するものとなる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセットを詳細に説明する。
従来、打出し角度を高く、スピン量を少なくするために、ゴルフクラブヘッドにおいては、深重心化および低重心化が図られている。しかしながら、低重心化のために、ゴルフクラブヘッドの質量の多くをソール部の中央に集めた場合、ゴルフクラブヘッドのヒールおよびトウ側の質量がソール部の中央に比して小さくなり、ゴルフクラブヘッドの重心を通りソール面に垂直な直線を回転軸とする回転軸回りの慣性モーメントが小さくなる。
一方、深重心化を図ると、ロフト角度の影響で重心の高さが高くなる。このため、慣性モーメントを所定の値に維持しつつ、十分なギア効果を発現させる程度に深重心化および低重心化を図ることができなかった。このように、ゴルフクラブヘッドにおいては、深重心化と低重心化とは相反するものであり、慣性モーメントが所定の値を有し、重心の深さが深く、かつ重心が低いゴルフクラブヘッドは従来存在しなかった。なお、十分なギア効果を得ることができるゴルフクラブヘッドは存在しなかった。
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、比強度が高く、かつゴルフボールの打撃による衝撃に耐えうる強度を有する材質のものを用いてフェース部を作製し、ソール部には質量が大きい材質(高比重金属)を用いることにより、ゴルフクラブヘッドにおいて、FGH−FGD×0.152(=B)で表わされるパラメータBを、B<17.03とすることができ、これにより、打出し角度が高く、かつスピン量が少なく、十分なギア効果が得られ、打球の飛距離が優れたゴルフクラブヘッドが得られることを見出した。すなわち、ゴルフクラブヘッドにおいて、パラメータBを、B<17.03とすることにより、飛距離が優れたゴルフクラブヘッドを得ることができる。本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。
図1(a)は、本発明の実施例に係るゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブを示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施例のゴルフクラブヘッドの変形例を示す模式的正面図である。
図1(a)に示すように、ゴルフクラブ10は、例えば、ゴルフクラブヘッド12と、ソケット14と、ゴルフクラブシャフト16と、グリップ18とを有するものである。
また、ゴルフクラブヘッド12は、ゴルフクラブヘッド本体部13(以下、本体部13という)、およびソール部22を有し、一般的にアイアンと呼ばれる種類のヘッドである。この本体部13は、フェース部20およびホーゼル部24を有するものである。
本実施形態のゴルフクラブヘッド12において、本体部13にフェース部20が設けられており、このフェース部20は、その表面がゴルフボールを打撃するフェース面20aとなるものである。フェース面20aには、ヒールからトウ方向に伸びたスコアライン(図示せず)が複数平行に形成されている。
なお、本実施例においては、ロフト角度θは、20°以上であることが好ましく、さらに好ましくは、25°以上である。このロフト角度については、後に詳細に説明する。
ソール部22は、フェース部20に連続して下方に設けられるものである。本実施例においては、例えば、ソール部22の中央部に切欠部が形成されており、この切欠部に重心調整用錘28が設けられている。
この重心調整用錘28は、重心位置、重心の深さおよび慣性モーメントを調整するために設けられるものである。重心調整用錘28は、例えば、タングステンまたはタングステン合金などの密度が高い材質のものが用いられる。
なお、本実施例において、ソール部22に重心調整用錘28を固定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、重心調整用錘28の両端部にそれぞれ貫通孔を形成し、切欠部に、各貫通孔と整合する位置に雌ねじを形成して、ねじにより重心調整用錘28を切欠部に固定する。
また、本実施例においては、図1(b)に示すゴルフクラブヘッド12aのように、ソール部22および重心調整用錘28に、トウからヒール方向に向かう方向に貫通する貫通孔22aを形成する。そして、この貫通孔22aに両端に、例えば、雌ねじが形成された軸29を挿通させて、ソール部22の外側から雄ねじにより重心調整用錘28をソール部22に固定させる。このように、本実施例において、重心調整用錘28をねじ止めして固定することにより、脱落を防止でき、耐久性を向上させることができる。なお、図1(b)に示すゴルフクラブヘッド12aは、図1(a)に示すゴルフクラブヘッド12と同様の構成であり、同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
さらに、重心調整用錘28の固定方法は、ねじ止めに限定されるものではなく、例えば、図1(b)に示す上述の貫通孔22aに軸29を挿通し、軸29の両端を貫通孔22aでかしめることにより重心調整用錘28を固定してもよい。
また、ソール部22の切欠部に重心調整用錘28を焼き嵌めにより固定してもよい。また、ゴルフクラブ10の使用時に、密度が高い重心調整用錘28がソール部22から脱落することを防止できれば、これ以外の固定方法も適宜用いることができる。
慣性モーメントは、具体的にはゴルフクラブヘッド12に設定されている所定のロフト角度になるように水平面Hに配置したとき、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通り、水平面Hに直交する鉛直線(図示せず)周りの慣性モーメントである。そして、重心調整用錘28の調整により、ゴルフクラブヘッド12は、例えば、慣性モーメントが1100g・cm〜3100g・cmに調整されている。
この慣性モーメントは、フェース面20aがトウ側またはヒール側に向きを変えて回転するときの慣性モーメントである。この慣性モーメントは、打球の方向安定性に影響を与えるものであり、大きい方が打撃時にゴルフクラブヘッド12のフェース面20aがヒール側またはトウ側に回転しにくくなる。これにより、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通り、水平面Hに直交する鉛直線を回転軸とするフェース面20aの回転が抑制され、ゴルフボールの飛弾方向のばらつきが小さくなる。このように、慣性モーメントを規定することにより、ゴルフボールの飛弾方向のばらつきを小さくできる。
ホーゼル部24は、ゴルフクラブシャフト16をゴルフクラブヘッド12に固定するものであり、フェース部20のヒール側に一体的に設けられている。このホーゼル部24には、ゴルフクラブシャフト16が挿入される開口部26が設けられている。ゴルフクラブシャフト16は、ゴルフクラブヘッド12にソケット14を介して固定される。
本実施例においては、例えば、ゴルフボールを打撃するフェース面20aを有するフェース部20およびホーゼル部24が一体的に本体部13として、例えば、最大引張強度が600MPa以上の高強度アルミニウム合金により形成されている。この高強度アルミニウム合金は、溶融した合金を急冷凝固させる急冷凝固法により得ることができる。具体的には、高強度アルミニウム合金は、主元素をAlとし、所定の添加元素を含む合金組成を有する溶融金属を急冷することにより、非晶質相、非晶質と微細結晶質の混合相あるいは微細結晶質相に調整することによって得ることができ、この高強度アルミニウム合金は、高強度と超塑性を有する。例えば、溶融金属をガスアトマイズ法によって急冷凝固粉末を作製し、この粉末を押し出し固化して、高強度アルミニウム合金の板材等の部材を製造することができる。この高強度アルミニウム合金としては、例えば、特許3205495号明細書において規定された組成を有する合金が挙げられる。また、日本軽金属株式会社製、MESO−10(Al−9.5Zn−3Mg−1.5Cu−0.04Ag)が挙げられる。
なお、フェース部20およびホーゼル部24を構成するものは、高強度アルミニウム合金に限定されるものではなく、比強度が高く、かつゴルフボールの打撃による衝撃に耐えうる強度を有するものであれば、特に限定されるものではない。
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブシャフト16がソケット14を介してゴルフクラブヘッド12のホーゼル部24に取り付けられている。また、ゴルフクラブシャフト16は、ゴルフクラブヘッド12が取り付けられる反対側にグリップ18が取り付けられている。
また、後に詳細に説明するゴルフクラブヘッド12の重心高さFGHは、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線Lがフェース面20aと交わる点gの水平面Hからの高さである。この重心高さFGHが、例えば、17.0mm〜19.4mmに調整される。
本実施例において、重心高さFGHは、打出し角度およびスピン量に影響を与えるものである。重心高さFGHが低い方が、ゴルフボールの下側を打撃することができる。このため、打出し角度を大きくすることができる。また、重心高さFGHが低い方が、低スピン化できる。
さらに、後に詳細に説明するゴルフクラブヘッド12の重心の深さFGDは、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線Lがフェース面20aと交わる点gと、重心Gとの垂直な線Lにおける距離である。この重心Gの深さFGDが、例えば、0mm〜16mmに調整される。重心高さFGHおよび重心の深さFGDの調整は、重心調整用錘28の質量および配置位置によりなされる。
この重心の深さFGDは、スピン量に影響を与えるものであり、重心の深さFGDが大きい方が、打撃時に、ロフト角度θが大きくなるようにフェース面20aが回転したときの打撃点の移動量が相対的に大きくなる。これにより、よりバックスピン量を減らし、スピン量を少なくすることができる。
本発明においては、重心高さFGHを低くし、重心の深さFGDを深くすることにより、打出し角度が高くなり、スピン量が少なくなり、十分なギア効果を得ることができる。
このような重心高さFGHおよび重心の深さFGDの調整は、フェース面20aを有する本体部13が引張最大強度で600MPa以上の高強度アルミニウム合金で構成されているため、従来、用いられていた7075アルミニウム合金に比べてフェース部の厚さを、例えば、2.5〜3.5mmと薄くすることができる。このため、本体部13の質量を軽減することができる。これにより、従来と同等の質量のゴルフクラブヘッドを作製する場合、タングステン合金等の高比重金属からなる重心調整用錘28の質量を従来に比べて多くすることができる。したがって、重心調整用錘28によって重心高さFGH、および重心の深さFGDならびに慣性モーメントの調整量を多くすることができる。
このため、本実施例のゴルフクラブヘッド12においては、FGH−FGD×0.152(=B)で表わされるパラメータBを、B<17.03とすることができる。
本発明においては、パラメータBの値を17.03未満(B<17.03)とする。ことにより、従来では、重心高さFGHおよび重心の深さFGDが相反するため実現されていなかった打出し角度が高く、かつスピン量が少ないものとなり、ギア効果が十分に発現し、飛距離の向上を図ることができる。
一方、本発明においては、パラメータBの値が17.03以上である場合、高打出し角度および低スピンを実現することができない。すなわち、ギア効果が十分に発現することがなく、飛距離を向上させることができない。従って、本発明においては、パラメータBの値を17.03未満(B<17.03)とする。なお、パラメータBは、B<15.03であることが好ましく、さらに好ましくは、B<13.03である。
なお、本実施例においては、FGHは、17.0mm〜19.4mmであることが好ましい。また、FGDは、0〜16mmであることが好ましい。
さらに、慣性モーメントを、例えば、1100g・cm〜3100g・cmとすることにより、ゴルフクラブヘッド12のスイートエリアをある程度広く確保することが可能になり、ゴルフボールの打撃位置が重心点gからずれてもゴルフボールが飛ぶ方向を安定させることができる。
以下、重心高さFGHの測定方法について詳細に説明する。
重心高さFGHは、図2に示すように、重心Gを通るフェース面20aに垂直な垂線Lがフェース面20aと交わる点gを定め、フェース面20aがゴルフクラブヘッド12に設定されている所定のロフト角度θになるように水平面Hに配置したとき、すなわち、ゴルフクラブ10を水平面Hに通常のアドレスポジションに設置したときの水平面Hから点gに至る高さをいう。
ここで、ゴルフクラブ10を通常のアドレスポジションに設置するとは、ゴルフクラブヘッド12をライ角度通りに設置し、かつ、図3に示すようにゴルフクラブ10のシャフト軸Sとリーディングエッジ13aとが互いに平行になるように設置することをいう。ライ角度通りに設置とは、図2において、ソール部22のラウンドと水平面Hとのなす隙間がトウ側及びヒール側にて略等しくなる状態に設置することをいう。ソール部22のラウンドが不明瞭な場合は、フェース面20aに描かれるスコアライン(図3参照)が水平面Hに平行になるように設置してもよい。ソール部22のラウンドが不明瞭でかつスコアラインが直線状でない等により水平面Hとの平行が判別できない場合は、ライ角度は、ライ角度(度)=(100−クラブ長さ(インチ))にて設定される。例えば、40インチのクラブ長さであれば、ライ角度は100−40=60°になる。
ここで、クラブ長さは、社団法人日本ゴルフ用品協会が定める測定法により測定される。測定器としては、株式会社鴨下精衡所製のクラブ・メジャーIIが挙げられる。即ち、ヒール側の端部とグリップエンドとの間の距離をクラブ長さとするのである。
アドレスポジションにおいて、リーディングエッジ13aの方向はフェース面20aが指す方向と直角な方向に設定される。
上述のようにフェース面20aの方向を特定し、通常のアドレスポジションを設定した状態で行うゴルフクラブヘッドの寸法測定は、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等の測定器により可能である。このような測定器は公知のものであれば良く、本発明において特に限定されるものではない。
一方、上述した重心高さFGHを規定する点gは、図4に示すような重心測定器40によって求められる。重心測定器40は、上部に重心測定対象物を支持する支持部42を備え、この支持部42が測定対象物を平衡に支持する測定対象物の位置を知ることができるものである。すなわち、重心の測定方法は、図5(a)に示すようにゴルフクラブヘッド12を、支持部42に載せ、手を放しても落ちない平衡な位置を探しだす。つまり、図5(a)に示すように、フェース面20aと支持部42の接触部に点gを含んでいれば、ゴルフクラブヘッド22を支持部42に載せて手を放しても落ちないが、図5(b)に示すように、フェース面20aと支持部42の接触部に点gを含んでいなければ、ゴルフクラブヘッド12は、支持部42に載せて手を放すと落ちる。このことを利用して点gを求めるものである。
支持部42は平面または3点以上で支持する形態であることが好ましい。また、支持部42の面積は、15mm以下であることが好ましい。また、下限はゴルフクラブヘッドが支えられる限り特に限定されない。支持部42の面積は、平面であれば平面部分の面積、3点以上で支持する形態であれば各点を結んだ図形の面積によって示される。支持部の面積を上記の範囲に設定することによって、より正確に点gを求めることができる。
支持部42によって支持された平面は水平または概ね水平になることが好ましい。ここで、概ね水平とは、水平面に対する傾きが2°以内、好ましくは1°以内のことである。水平または概ね水平になっているか否かは、例えば、図6に示すように、支持部42に平面板44を載せて支持させ、平面板44の上に水準器46を置き、確認し、調整することができる。上記範囲内に設定することによって、より正確に点gを求めることが可能になる。
また、本発明でいうロフト角度θ(°)は、図2に示すように、シャフト軸Sとフェース面20aとの成す角度であり、図7に示されるようなロフト角度測定器50により測定される。図7は、本実施例のゴルフクラブ10をロフト角度測定器50に取り付けた例を示し、図8は、図7中のゴルフクラブヘッド12の周辺を拡大して示している。
ロフト角度θの測定は、ゴルフクラブ10をロフト角度測定器50に取り付けた状態において、ゴルフクラブ10が基準面52に対してライ角度通りに設置するようにライ角度調整部53において取り付け角度が調整され、次いで、ロフト角度測定器50に取り付けられたゴルフクラブ10は、ソール部22が基準面52に接するように、かつ、フェース角度調整具56の先端部56aにフェース面20aが密着するように、すなわち、フェース角が0°になるように、ゴルフクラブ10がチャック部58で固定される。
その後、図9に示すように、ゴルフクラブヘッド12のフェース面20aの基準面52に垂直に立てた分度器60を用いてロフト角度θが測定される。フェース面20aが平面の場合、上記測定によってロフト角度θが得られる。
ロフト角度θの測定は、上述のように、ゴルフクラブによって測定する他、ゴルフクラブヘッド単体にシャフトピンを差し込んで測定することも可能である。ゴルフクラブヘッド単体で測定して得られるロフト角度θの数値は、上述のゴルフクラブによって測定して得られるロフト角度θと実質的に同じである。
このようなロフト角度θの測定器は、上述の寸法測定と同様に、市販されている公知のものであればよく、例えば、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等の測定器が例示される。このような測定器は公知のものであれば良く、本発明において特に限定されるも
次に、重心の深さFGDの測定方法について説明する。
本発明においては、重心の深さFGDは、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線Lがフェース面20aと交わる点gと重心Gとの垂直な線Lにおける距離をいう。
以下、図10を参照して、重心の深さFGD(mm)の測定方法について説明する。
ここで、図10は、ゴルフクラブヘッドの重心の深さを測定する測定装置を示す模式的斜視図である。
重心の深さFGD(mm)は、図10に示す天秤計70により測定される。この天秤計70は、水平面Hに設けられた支点72と、アーム74と、治具76と、おもり78とを有する。天秤計70においては、支点72にアーム74が載置され、アーム74の支点72の上面に治具76が設けられている。また、アーム74の端部には、おもり78が載置される。このアーム74は、支点72により垂直方向に揺動可能である。
治具76の端面76aにゴルフクラブヘッド12のフェース面20aが固定される。この治具76の端面76aは、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線L(図2参照)がアーム74の長手方向に平行となるようにロフト角度に応じた斜面に形成されている。
また、天秤計70においては、アーム74に治具76を載置した状態では、アーム74が水平状態となる。すなわち、釣り合っている状態となる。
治具76に質量Wのゴルフクラブヘッド12を固定し、アーム74上に質量Waのおもり78を支点72から距離r離れた位置に載置する。このとき、おもり78の重心の位置は、ゴルフクラブヘッド12の重心Gを通りフェース面20aに直交する垂直な線L(図2参照)上とする。そして、アーム74が水平となる位置に、おもり78の距離rを変える。
図10に示すように、おもり78の距離r、および治具76の支点72からの端面76aまでの距離rは既知であり、ゴルフクラブヘッド12の質量Wと、おもり78との質量Waも既知である。
支点72を中心とした釣合いの式から、ゴルフクラブヘッド12とおもり78との関係は、W×r=Wa×rである。これにより、r=(Wa×r)/Wである。
一方、図10に示すように、重心の深さFGD(mm)はr−rである。ここで、端面76aまでの距離rが既知であるから、重心の深さFGDは、FGD(mm)=(Wa×r)/W−rにより求めることができる。
なお、本実施例においては、このような重心の深さの測定器としては、株式会社鴨下精衡所製の重心測定器が挙げられる。
本発明においては、以上のように、重心高さFGHおよび重心の深さFGDが測定される。
ここで、図11は、縦軸に重心高さFGHをとり、横軸に重心の深さFGDをとって、本発明のパラメータBの範囲を示すグラフである。
図11に示すように、直線αは、パラメータB=17.03の直線であり、直線βは、パラメータB=15.03の直線であり、直線γは、パラメータA=13.03の直線である。図11において、領域Deは、本発明の範囲(B<17.03)であり、領域Dcは、本発明の範囲からはずれる領域である。また、領域DGDは、重心の深さFGDの好ましい範囲(0〜16mm)であり、領域DGHは、重心高さFGHの好ましい範囲(17.0mm〜19.4mm)である。重心の深さFGDおよび重心高さFGHの好ましい範囲かつ、パラメータB<17.03の領域Dbが、本発明において最も好ましい範囲である。
このように、本発明のゴルフクラブヘッドおよびこのゴルフクラブヘッドを用いたゴルフクラブにおいては、パラメータB、B<17.03とすることにより、打出し角度が高く、かつスピン量が少なくなり、打球の飛距離を向上させることができる。
次に、本実施例のゴルフクラブを少なくとも1本有するゴルフクラブセットについて説明する。
図12は、本発明の実施例に係るゴルフクラブセットを示す模式図である。
図12に示すように、ゴルフクラブセット100は、例えば、3番アイアン(A3)から9番アイアン(A9)、及びピッチングウェッジ(AP)、アプローチウェッジ(AA)、サンドウェッジ(AS)までの各番手のアイアン(A3〜AS)10本によって構成される。アイアンのうち、少なくとも1本は、本実施例のゴルフクラブ10に相当するものであり、本実施例のゴルフクラブ10と同様の構成には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
ここで、上述の3番アイアン等の「3番」は番手といい、番手とは、主にロフト角度の異なったゴルフクラブをロフト角度の順番に並べることのできるように、各ゴルフクラブに付与した数字(自然数)、文字、または記号等によって表されたロフト角度の順番に関する識別情報の内容であり、各番手のロフト角度は、一定、または概ね一定の間隔で当業者によって適宜設定されている。また、本発明において番手が大きいとは、ロフト角度が大きい番手を指す。
これらのアイアンA3〜ASのロフト角度θ(°)は、例えば、A3が21°、A4が24°、A5が27°、A6が30°、A7が34°、A8が38°、A9が42°、APが47°、AAが52°、ASが57°と番手が大きくなるにつれ、ロフト角度θ(°)が大きくなっている。そして、ロフト角度θが20°以上41°以下の番手は、A3〜A8の6本の番手となっている。なお、アイアンA3〜ASのロフト角度は、A3からA6までは3°の刻み幅で大きくなり、A7からA9までは4°の刻み幅で大きくなり、APからASまでは5°の刻み幅で大きくなっているが、アイアンA3〜ASのロフト角度の刻み幅は、これに限定されず、3°または4°等の一定の刻み幅であってもよい。
また、グリップ18の端部からゴルフクラブヘッド12の下端までの長さ(クラブ長さ)は、番手が大きくなるにつれ次第に短くなっている。すなわち、番手が小さいものの方がゴルフクラブシャフト16の長さが長い。
このようなゴルフクラブセット100では、ロフト角度が20°以上41°以下の、A3、A4、A5、A6、A7、A8の各ゴルフクラブを番手の順番に並べて、A3を番号1、A4を番号2、A5を番号3、A6を番号4、A7を番号5、A8を番号6とする。
本実施例のゴルフクラブセット100を構成する10本のゴルフクラブのうち、少なくとも1本が、本実施例のゴルフクラブである。なお、ゴルフクラブのうち、ロフト角度が20°以上であるものであることが好ましい。例えば、A3よりも番手が大きいものであることが好ましい。この場合、ゴルフクラブのゴルフクラブヘッド12は、パラメータBがB<17.03であることはもちろんである。
なお、本発明において規定されるゴルフクラブのロフト角度を20°以上41°以下とするのは、ロフト角度が20°以上41°以下のゴルフクラブは、ゴルフクラブセットにおいて特に、番手に応じて精度良く打ち分けることが要求されるからである。
ロフト角度が20°未満のゴルフクラブはドライバー等のウッド系のゴルフクラブである。このようなゴルフクラブは、主にティーアップして打球することが目的のゴルフクラブであり、必ずしも地上からの重心高さを重視するような設計にする必要がない。また、ロフト角度が20°未満のゴルフクラブは、ゴルフクラブの供給業者においても積極的に単品のゴルフクラブとして販売していることからわかるように、主にゴルフボールの飛距離を稼ぐことを目的とし、必ずしもゴルフクラブセットの中で番手によって精度良く打ち分けることが要求されるものではない。
一方、ロフト角度が41°を超えるウェッジ等のゴルフクラブはゴルフクラブセットとして構成するよりも、むしろ単品のゴルフクラブとして購入されることが多く、アプローチショット等のコントロールショットに用いられ、バックスピン量が特殊な初期弾道特性を生み出す必要がある。このため、ロフト角度が41°を超えるゴルフクラブは特殊な重心位置設計が必要となり、本発明におけるゴルフクラブセットから除外される。
本実施形態は、10本のアイアンをゴルフクラブセットとしたものであるが、本発明のゴルフクラブセットには、アイアンゴルフクラブセットのみならず、ウッドゴルフクラブセット、ウッドゴルフクラブセットとアイアンゴルフクラブセットの境界を取り払ったようなゴルフクラブセット、ロングアイアンに相当するもののみのゴルフクラブセット、また、ウッドゴルフクラブとアイアンゴルフクラブの中間的性能を備えてどちらにも分類しがたいいわゆるユーティリティゴルフクラブを含めたゴルフクラブセット等、ロフト角度θ(°)が20°〜41°の範囲にあり、これらのロフト角度が異なる複数本のゴルフクラブによって構成されるものも含まれる。
以上、本発明のゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブセットについて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明のゴルフクラブの実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
本実施例においては、下記表1に示す実施例1、実施例2および比較例1のゴルフクラブヘッドについて、打球の上がり易さ(打出し角度の高さ)および打球の方向性(方向安定性)を評価項目として、評価試験を行った。各項目の評価結果を下記表2に示す。
本実施例においては、各ゴルフクラブヘッドに全て同じゴルフクラブシャフトを取り付けてゴルフクラブを作製し、評価試験を行った。
また、本実施例の各試験は、特に断りがないかぎり、ゴルフボールには、横浜ゴム社製
TRX(商品名)ボールを用いた。
Figure 2006223461
Figure 2006223461
上がり易さ(打出し角度の高さ)については、ヘッドスピードが34m/秒〜50m/秒の範囲のアマチュアゴルファとプロゴルファの合計100人を対象として、実施例1、実施例2および比較例1のゴルフクラブヘッドを装着したゴルフクラブを用いて、各人が各10球ずつ打撃して打球が上がったか否か、すなわち、打出し角度が高いか否かを判断した結果であり、相対的な評価である。評価項目の上がり易さは、○が打球が上がり易いことを示し、×が打球が上がりにくいことを示す。
方向性(方向安定性)は、上記と同様に各10球ずつ試打して得られた、目標に対しどれぐらいばらついたかを示すものである。評価項目の方向性は、各人が各10球ずつ打撃して打球がばらついたか否かを判断した結果であり、相対的な評価である。評価項目の方向性は、○が打球がばらつかないことを示し、△が打球がややばらつくことを示す。
上記表2に示すように、パラメータBの値が本発明の範囲に入る実施例1および実施例2は、打球が上がり易く、さらには打球の方向性も優れたものであった。
一方、パラメータBの値が本発明の範囲から外れた比較例1は、打球が上がりにくいものであり、さらに打球の方向性もやや悪いものであった。
(a)は、本発明の実施例に係るゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブを示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の実施例のゴルフクラブヘッドの変形例を示す模式的正面図である。 本発明のゴルフクラブセットにおいて定められる重心高さおよび重心の深さを説明するための模式図である。 ゴルフクラブをアドレスポジションに設置する状態を説明するための模式図である。 本発明における重心高さを規定するために用いる重心測定器を示す模式図である。 (a)および(b)は、図2中の点gを見出すときの重心測定器を用いた測定方法を説明するための模式図である。 重心測定器を用いる時の測定方法の一部を説明する説明図である。 ロフト角度測定器を用いたゴルフクラブのロフト角度の測定を説明する説明図である。 図7に示す説明図の部分拡大図である。 図7に示すロフト角度測定器を用いたゴルフクラブのロフト角度の測定を説明する説明図である。 重心の深さを測定する測定装置を示す模式図である。 縦軸に重心高さFGHをとり、横軸に重心の深さFGDをとって、本発明のパラメータBの範囲を示すグラフである。 本発明の実施例に係るゴルフクラブセットを示す模式図である。
符号の説明
10 ゴルフクラブ
12 ゴルフクラブヘッド
13 ゴルフクラブヘッド本体部(本体部)
14 ソケット
16 ゴルフクラブシャフト
18 グリップ
20 フェース部
20a フェース面
22 ソール部
24 ホーゼル部
26 開口部
28 重心調整用錘
70 天秤計
72 支点
74 アーム
76 治具
78 おもり
100 ゴルフクラブセット
H 水平面

Claims (5)

  1. ゴルフボールを打撃するフェース面を有し、前記フェース面が所定のロフト角度に形成されているゴルフクラブヘッドであって、
    前記フェース面が前記所定のロフト角度になるように水平面に配置した際、ゴルフクラブヘッドの重心を通る前記フェース面に垂直な垂線が前記フェース面に交わる点から前記水平面に至る重心高さをFGH(mm)とし、
    さらに、前記重心を通り前記フェース面に直交する垂直な線が前記フェース面と交わる点と、前記重心との前記垂直な線における距離をFGD(mm)とするとき、
    GH−FGD×0.152で表わされるパラメータBが、B<17.03であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記ロフト角度は、20°以上である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記フェース面は、最大引張強度が600MPa以上のアルミニウム合金により形成されている請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブ。
  5. 複数本のゴルフクラブを備えるゴルフクラブセットであって、
    前記請求項4に記載のゴルフクラブを有することを特徴とするゴルフクラブセット。
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