実施の形態1.
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機(弾球遊技機)の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く。)とを含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と、遊技者の操作に応じて遊技球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、所定の始動条件の成立(例えば、打球が始動入賞口14に入賞したこと)にもとづいて各々を識別可能な複数種類の演出用の飾り図柄を可変表示し表示結果を導出表示する可変表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。この実施形態では、可変表示装置9は液晶表示装置(LCD)で構成され、左・中・右の3つの表示領域に識別情報が表示制御されるように構成されている。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域などに遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄を停止表示させることである(いわゆる再変動の前の停止を除く。)。
可変表示装置9の上部には、識別情報としての特別図柄を可変表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、例えば0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に特定の停止図柄を把握しづらくさせるために、0〜99など、より多種類の数字を可変表示するように構成されていてもよい。
可変表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。すなわち、始動記憶数のうち入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、始動入賞口14に始動入賞がある毎に、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で可変表示が開始される毎に、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。この例では、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で可変表示が開始される毎に、点灯状態をシフトする。なお、この例では、始動入賞口13への入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)を設けているが、上限数を4個以上にしてもよい。
可変表示装置9の下方には、始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変表示装置9の上方には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口(可変入賞球装置)を開閉する手段である。
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口(普通入賞口)29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33,39への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、始動入賞口14や大入賞口も、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。また、複数の複数の入賞口(普通入賞口)29,30,33,39のそれぞれに入賞した遊技球を検出する1つの入賞口スイッチが設けられ、どの入賞口29,30,33,39に入賞した遊技球も、その入賞口スイッチによって検出されるようにしてもよい。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。上記のように、この実施の形態のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(「カードユニット」ともいう。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、所定の条件が成立すると継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
所定の移行条件が成立すると、大当り遊技の終了後に、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、遊技状態が確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。また、この実施の形態では、確変状態を終了させる終了条件(例えば、特別図柄表示器8において大当り図柄が導出されたとき、特定の大当り図柄(時短図柄)が導出表示されると時短状態に移行するように構成されている場合に時短図柄以外の大当り図柄が導出されたとき、あらかじめ定められている所定回の可変表示が実行されたときなど)が成立すると、遊技状態が時短状態に移行することが可能である。
遊技者にとって有利な遊技状態である有利状態(特別遊技状態)のうちの第1の有利状態としての確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が通常状態に比べて高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が、確変状態以外の状態に比べて高められ、遊技者にとってさらに有利になる。また、確変状態では、普通図柄表示器10における可変表示期間(変動時間ともいう。)が通常状態に比べて短縮されることによって、遊技者にとってさらに有利になるようにしてもよい。ただし、確変状態において、可変入賞球装置15の開放時間や開放回数の延長や普通図柄表示器10における変動時間の短縮はなされない(すなわち、特別図柄の当りの確率が高くなるだけで、可変入賞球装置15に関する有利/不利に関しては通常状態と同じ)ようにしてもよいし、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率を高めるようにしなくてもよい。また、第2の有利状態としての時短状態では、特別図柄の変動時間(可変表示期間)が、通常状態である場合に比べて短縮される。時短状態においても、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が通常状態に比べて高められるようにしたり、普通図柄表示器10における変動時間が短縮されるようにしてもよい。さらに、確変状態において、特別図柄表示器8における特別図柄の変動時間を短縮するようにしてもよい。
さらに、遊技盤6において、遊技球の通過により、確変状態に移行させる所定の移行条件を成立させるか否かを決定するための抽選領域160を遊技者に視認可能にするガラス板などの窓部が設けられている。遊技者は、窓部を通して抽選領域160を視認できる。
図2は、大当り遊技状態において遊技球が入賞可能な特別領域に設けられている役物等を示す説明図である。図2(A)に示すように、ソレノイド21によって開放状態にされた大入賞口に入賞した遊技球は、特別領域において、経路切替モータ91の軸162に連結されている遊技球誘導部材(振分経路)161によって、はずれ領域163または抽選領域160に導かれる。振分経路161は、長手方向と直交する断面が凹状であって、遊技球が凹状部分の内部を通過可能に形成されている。また、経路切替モータ91によって、図2(A)において実線で示される位置と破線で示される位置との間を移動する。また、大入賞口に入賞した遊技球は、カウントスイッチ23で検出される。図2(A)に示す例では、カウントスイッチ23として近接スイッチタイプのスイッチが用いられている。その他、第1通路通過スイッチ168として、例えば振分経路161に遊技球が当たって跳ねて2回検出されないようなクッションのような振分部材を用いてもよい。その場合、遊技球が跳ね返っても検出されないくらいに振分部材とスイッチの距離を離してもよい。はずれ領域163に導かれた遊技球は、入賞球排出経路に入る。
抽選領域160には、そこを通過する遊技球が、確変状態に移行させる所定の移行条件を成立させやすい(すなわち、所定の移行条件が成立しやすい)第1の通路164と、そこを通過する遊技球が、第1の通路164よりも所定の移行条件を成立させにくい(すなわち、所定の移行条件が成立し難い)第2の通路165とが設けられている。第1の通路164を通過した遊技球は、第1クルーン(皿部材)166に流入する。第2の通路165を通過した遊技球は、第2クルーン(皿部材)167に流入する。第1クルーン166および第2クルーン167は凹上に形成され、中央部が最も凹んでいる。よって、第1クルーン166に流入した遊技球は、第1クルーン166内を周回しつつ中央部に向かう。また、第2クルーン167に流入した遊技球は、第2クルーン167内を周回しつつ中央部に向かう。
第1の通路164は、通過検出手段としての第1通路通過スイッチ168が設けられている。この実施の形態では、第1通路通過スイッチ168として近接スイッチタイプのスイッチが用いられている。
図2(B)に示すように、第1クルーン166には、遊技球が通過可能な3つの流下口が設けられている。そのうちの2つを通過した遊技球は、検出スイッチ(特定領域通過スイッチ)171aまたは検出スイッチ(特定領域通過スイッチ)171bで検出される。従って、この実施の形態では、その2つの流下口の領域が、遊技球の入賞によって所定の移行条件を成立させる特定領域に相当する。第1クルーン166におけるいずれかの流下口を通過した遊技球は、排出検出手段としての第1通路排出スイッチ173で検出される。
第2クルーン167には、遊技球が通過可能な6つの流下口が設けられている。そのうちの1つを通過した遊技球は、検出スイッチ(特定領域通過スイッチ)171cで検出される。従って、その2つの流下口の領域も特定領域に相当する。第2クルーン167におけるいずれかの流下口を通過した遊技球は、第2通路排出スイッチ174で検出される。なお、第2通路排出スイッチ174は、第4の実施の形態等では必要であるが、この実施の形態では設けられていなくてもよい。
また、図2(B)に示すように、第1の通路164の縁にはリブ169が形成され、第1の通路164を通過する遊技球が第1の通路164から落下しないように構成されている。第2の通路165には、壁移動ソレノイド92によって駆動される壁部材170が設けられている。壁移動ソレノイド92がオン状態になると壁部材170は矢印方向に引っ込んで、遊技球が第2の通路165を通過可能になる。なお、第2の通路165にはリブは設けられていない。従って、第2の通路165を通過している遊技球は、第2の通路165から落下する可能性がある。第2の通路165から落下した遊技球は、入賞球排出経路に入る。
図3は、振分経路161の位置と第1の通路164および第2の通路165との関係を示す説明図である。振分経路161の位置が、図2(A)に実線で示す位置から回転して図3(A)に実線で示す位置になると、振分経路161を通過する遊技球が第1の通路164に導かれる。また、図3(B)に実線で示す位置になると、振分経路161を通過する遊技球が第2の通路165に導かれる。
図4は、遊技機に設けられている(具体的には遊技機裏面に設置されている)基板であって、遊技制御用マイクロコンピュータ560等が搭載された遊技制御基板(主基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、遊技機に搭載されている払出制御基板37、ランプドライバ基板35、音声出力基板70、中継基板77および演出制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、クリアスイッチ921、第1通路通過スイッチ168、特定領域スイッチ171a,171b,171c、第1通路排出スイッチ173および第2通路排出スイッチ174(設けられている場合のみ)からの信号を基本回路53に与える入力ドライバ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を駆動して大入賞口を開閉するソレノイド21、経路切替モータ91および壁移動ソレノイド92を基本回路53からの指令に従って駆動する出力回路59とが搭載されている。クリアスイッチ921は、例えば遊技機に設置されている電源基板に搭載されている。
なお、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、第1通路通過スイッチ168、特定領域スイッチ171a,171b,171c、第1通路排出スイッチ173および第2通路排出スイッチ174は、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。
基本回路53は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55およびプログラムに従って制御動作を行うCPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ560とI/Oポート部57とを含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されていてもよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560はROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、遊技制御用マイクロコンピュータ560で実現されているが、主として、遊技制御用マイクロコンピュータにおけるプログラムに従って制御を実行するCPU56で実現される。
また、RAM55は、その一部または全部がバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。なお、遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。ただし、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行う。
図5は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図5に示す例では、ランプドライバ基板35および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。
演出制御基板80は、演出制御用CPU101およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からのストローブ信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に、LCDを用いた可変表示装置(飾り図柄表示装置)9の表示制御を行わせる。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか信号を通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか信号を通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。図5には、ダイオードが例示されている。また、単方向性回路は、各信号毎に設けられる。
さらに、演出制御用マイクロコンピュータ100は、入出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してランプを駆動する信号を出力する。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、入出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、ランプを駆動する信号は、入出力ドライバ351を介してランプドライバ352に入力される。ランプドライバ352は、ランプを駆動する信号を増幅して天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51、球切れランプ52などの枠側に設けられている各ランプに供給する。また、枠側に設けられている装飾ランプ25に供給する。なお、各ランプはLEDその他の種類の発光体でもよい。
音声出力基板70において、音番号データは、入出力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
なお、ランプを駆動する信号および音番号データは、演出制御用マイクロコンピュータ100とランプドライバ基板35および音声出力基板70との間で、双方向通信(信号受信側から送信側に応答信号を送信するような通信)によって伝達される。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、可変表示装置9に表示される画像の中でも使用頻度の高いキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(飾り図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用マイクロコンピュータ100は、キャラクタROMから読み出したデータをVDP109に出力する。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
次に遊技機の動作について説明する。図6は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、プログラムの内容が正当か否かを確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。なお、割込みモード2は、遊技制御用マイクロコンピュータ56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込みベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込み番地を示すモードである。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS14)。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。この例では、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
バックアップありを確認したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。ステップS9では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。さらに、サブ基板(この実施の形態では払出制御基板35および演出制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS13)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(演出制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド等がある。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS14)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
初期化処理の実行(ステップS11〜S14)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、特別図柄表示器8に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り判定用乱数発生カウンタ)等の、カウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータが、遊技機に設けられている可変表示装置9、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り決定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
タイマ割込が発生すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、図7に示すステップS20〜S33の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電圧低下監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ24a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS22)。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、さらに、初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23,S24)。
図8は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用)
(2)ランダム2:特別図柄のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当りを発生させる特別図柄を決定する(大当り図柄決定用)
(4)ランダム4:特別図柄の変動パターンを決定する(変動パターン決定用)
(5)ランダム5:普通図柄にもとづく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)
(6)ランダム6:ランダム1の初期値を決定する(ランダム1初期値決定用)
(7)ランダム7:ランダム5の初期値を決定する(ランダム5初期値決定用)
図7に示された遊技制御処理におけるステップS22では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、(1)の大当り判定用乱数、(3)の大当り図柄決定用乱数、および(5)の普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数または初期値用乱数である。なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(7)の乱数以外の乱数も用いられていてもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS25)。特別図柄プロセス制御では、可変表示の制御と大入賞口の開放制御を行うために、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、飾り図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(飾り図柄コマンド制御処理:ステップS27)。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの何れかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS31)。また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS32)。さらに、所定の条件が成立したときに出力回路59に駆動指令を行う(ステップS33)。可変入賞球装置15や開閉板20を開状態または閉状態としたり、壁部材170の位置を切り替えたり、振分経路161の遊技球誘導部材を回転させたりするために、出力回路59は、駆動指令に応じて、ソレノイド16,21、壁移動ソレノイド92、経路切替モータ91を駆動する。その後、割込許可状態に設定する(ステップS34)。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、特別図柄表示器8において可変表示される特別図柄は、「0」〜「9」の9通りあって、特別図柄表示器8において「0」から順に特別図柄の表示が変化することによって特別図柄の変動が実現される。なお、特別図柄の変動中において、表示図柄の表示は非連続的に変化してもよい。また、特別図柄の最終停止図柄(確定図柄)が「3」または「7」の大当り図柄になった場合に大当りとなる。特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示がなされているときに、可変表示装置9では、飾り図柄の可変表示が行われる。特別図柄の最終停止図柄が大当り図柄になる場合に、可変表示開始後の所定の時期に、左右の飾り図柄が揃った状態で停止し(リーチ成立)、その後、特別図柄の最終停止図柄が表示されるときに、左中右の飾り図柄が揃った状態で最終停止する。また、特別図柄の最終停止図柄が大当り図柄にならない場合でも、可変表示開始後の所定の時期に、左右の飾り図柄が揃った状態で停止することがある。すなわち、はずれリーチになる場合がある。なお、図柄が最終停止することを、表示結果を導出するということがある。
図9は、大当り判定用乱数と大当り判定値との関係の一例を示す説明図である。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、所定の時期に、大当り判定用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数値とするのであるが、大当り判定用乱数値が図9に示す大当り判定値に一致すると、大当りとすることに決定する。
確変状態では、特別図柄の変動の結果(最終停止図柄、単に停止図柄ともいう。)が大当り図柄となる確率が、確変状態でない状態(低確率状態)に比べて高められる。すなわち、確変状態では高確率で当り/はずれが判定される。この実施の形態では、確変状態では大当り図柄となる確率が10倍に高められている。
大当りとすることに決定された場合には、特別図柄および飾り図柄の可変表示が終了すると、大入賞口が所定回を限度として繰り返し開放する大当り遊技状態になる。そして、大当り遊技状態において、遊技球が特別領域内の特定領域に入賞すると、確変状態に移行する状態になる。
また、この実施の形態では、第1の遊技者にとって有利な状態(有利状態)としての確変状態が終了すると、時短状態を開始する条件が成立していれば、遊技状態が、第2の有利状態としての特別図柄変動時間短縮(時短)状態に移行するように制御される。時短状態では、特別図柄の変動時間(可変表示期間)が、時短状態でない場合に比べて短縮される。なお、短縮の態様(各変動パターンについてどの程度短くするのか、どの変動パターンを短くするのか等)は、確変状態(確変時短状態を含む。)における態様と同一でもよい。
時短状態を開始する条件は、遊技状態を確変状態にする制御がなされてから所定回の特別図柄の変動が終了する前に確変状態が終了したことである(例えば、特別図柄表示器8において大当り図柄が導出されたとき、特定の大当り図柄(時短図柄)が導出表示されると時短状態に移行するように構成されている場合に時短図柄以外の大当り図柄が導出されたときなど)。この実施の形態では、所定回は、100回とする。従って、遊技状態を確変状態にする制御がなされてから100回の特別図柄の変動が終了する前に確変状態が終了した場合には、残りの回数の特別図柄の変動について時短状態に制御される。例えば、遊技状態を確変状態にする制御がなされてから30回の特別図柄の変動がなされた場合に確変状態が終了したときには、残り70回の特別図柄の変動について時短状態に制御される。なお、所定回を抽選によって複数種類のうちから選択してもよい。時短状態は、所定回の特別図柄の変動が終了するまで(上の例では残り70回の特別図柄の変動が終了するまで)、または、大当りが発生するまで継続する。時短状態では、特別図柄の変動時間が短縮されるので、特別図柄の変動が開始される頻度が高くなり(換言すれば、保留記憶の消化が速くなる。)、結果として、大当り遊技が行われる可能性が高まる。また、時短状態においても、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が通常状態に比べて高められ、始動入賞が生じやすくなるよう構成されている場合には、大当り遊技が行われる可能性はより高まる。
図10は、この実施の形態で用いられる特別図柄および飾り図柄の変動パターン(変動時間)を示す説明図である。
図10に示す例では、変動パターン#1〜#6の6種類が用いられるが、通常状態の時である通常時(確変状態でもなく時短状態でもない遊技状態)に比べて、確変状態および時短状態では、変動時間は短い。なお、図10の左側に示すデータ(通常時の変動時間)は、ランダム4のとりうる値に対応させて通常時変動パターンテーブル(第1の可変表示パターンテーブル)としてROM54に記憶されている。図10の右側に示すデータ(確変/時短時の変動時間)は、ランダム4のとりうる値に対応させて確変/時短時変動パターンテーブル(第2の可変表示パターンテーブル)としてROM54に記憶されている。つまり、抽出されたランダム4の値を元に、通常時変動パターンテーブルまたは確変/時短時変動パターンテーブルを参照すると、1つの変動パターンが決定される。
図10に示すように、第2の可変表示パターンテーブルに設定されている変動パターン(可変表示パターン)の平均可変表示時間は、第1の可変表示パターンテーブルに設定されている可変表示パターンの平均可変表示時間よりも短い。すなわち、同じ変動パターン(同じ乱数値にもとづいて選択される変動パターン)で、第2の可変表示パターンテーブルに設定されているものは、第1の可変表示パターンテーブルに設定されているものよりも変動時間が短い。なお、第1の可変表示パターンテーブルに設定されているものの変動時間よりも第2の可変表示パターンテーブルに設定されているものの変動時間が長い変動パターンがあったとしても、変動パターン全ての平均を取ると、第1の可変表示パターンテーブルについてよりも、第2の可変表示パターンテーブルについての方が短くなっていればよい。また、変動時間そのものではなく、例えば、リーチ態様が同じであって、リーチとなる前の時間に差を付ける(第2の可変表示パターンテーブルについての方が短い)ように構成してもよい。
なお、この実施の形態では、確変状態でも時短状態でも同じ第2の可変表示パターンテーブルが用いられるが、確変状態では第1の可変表示パターンテーブルを用い時短状態では第2の可変表示パターンテーブルを用いるようにしてもよい。また、通常時/確変時/時短時で、それぞれ、異なる内容のパターンテーブルを用いるようにしてもよい。
また、図10に示すEXTとは、それぞれの変動パターンに対応した演出制御コマンド(2バイト構成)の2バイト目のデータである。よって、この実施の形態では、通常時と確変時/時短時とで変動パターンコマンド(変動パターンを指定する演出制御コマンド)が兼用されることになる。例えば、2バイト目が01(H)の変動パターンコマンドは、通常時でも使用され、確変時/時短時でも使用される。しかし、通常時と確変時/時短時とで変動パターンコマンドを全く別にしてもよい。その場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動パターンコマンドによって、遊技状態が通常時か否か判定することができる。また、通常時、確変時、時短時で、変動パターンコマンドを全く別にしてもよい。その場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動パターンコマンドによって、遊技状態が、通常時か、確変時か、時短時かを判定することができる。また、通常時、確変時、時短時で、同じ種類の変動パターンについてはEXTのデータを同じにして、演出制御コマンドの1バイト目を変えることによって、通常時か、確変時か、時短時かを判定することができるようにしてもよい。
図11は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄プロセス処理は、図7のフローチャートにおけるステップS25の具体的な処理である。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄プロセス処理において、遊技盤6に設けられている始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14に入賞する始動入賞が発生していたら(ステップS311)、始動口スイッチ通過処理(ステップS312)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。始動口スイッチ通過処理では、始動入賞記憶数(保留記憶数)が最大値である4に達しているかどうか確認し、保留記憶数が4に達していなければ、保留記憶数の値を1増やし、大当り判定用乱数等の各乱数(ランダム1〜ランダム4)の値を抽出し、それらを保留記憶数の値に対応した保存領域に格納する。なお、保留記憶数の値を1増やすことは、具体的には、保留記憶数カウンタの値を1増やすことである。また、乱数を抽出するとは、乱数を生成させるためのカウンタからカウント値を読み出して、読み出したカウント値を乱数値とすることである。また、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタや保存領域は、RAM55に形成されている。「RAMに形成されている」とは、RAM内の領域であることを意味する。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄の可変表示を開始できる状態になるのを待つ。特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数を確認する。保留記憶数が0でなければ、最も古い保留記憶についての抽選等により、特別図柄の可変表示の結果、大当りとするか否か決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に移行するように更新する。
特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の停止図柄を決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。
変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(可変表示パターン、ここでは変動時間に相当)を、始動入賞発生時に抽出した変動パターン決定用乱数(ランダム4)の値に応じて、通常時変動パターンテーブルまたは確変/時短時変動パターンテーブルを参照して、複数種類の変動パターンの中から選択する。また、変動パターンに応じた変動時間タイマをスタートさせる。このとき、演出制御基板80に対して、大当りとするか否かの情報と変動パターンを指令する情報とが演出制御コマンドとして送信される。そして、特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示を開始した後、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。
特別図柄変動処理(ステップS303):所定時間(ステップS302の変動時間タイマで示された時間)が経過すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄表示器8における可変表示を停止して停止図柄を表示させる。そして、大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に応じた値に更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS300に応じた値に更新する。なお、演出制御基板80における演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動時間が経過すると独自に飾り図柄の可変表示を停止させる制御を実行するが、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、可変表示装置9において飾り図柄が停止されるように制御してもよい。その場合、例えば、変動時間が経過したときに、飾り図柄停止を示す演出制御コマンド(飾り図柄停止コマンド)を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信し、演出制御用マイクロコンピュータ100が、飾り図柄停止コマンドの受信に応じて飾り図柄の停止図柄を導出表示(停止表示)すればよい。
大入賞口開放前処理(ステップS305):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、大当り中フラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。
大入賞口開放中処理(ステップS306):大入賞口ラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立していたら、大入賞口を閉鎖する。また、最後の大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新し、そうでない場合には内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。
特定領域有効時間処理(ステップS307):遊技球が特定領域に入賞するか否かを所定時間検出する。遊技球が特定領域に入賞したことを検出せずに所定時間が経過したら、または、遊技球が特定領域に入賞したことが検出されたら、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に移行するように更新する。ただし、この回の大当り遊技中に既に遊技球が特定領域に入賞したことが検出されている場合には、所定時間の経過を待たずに内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に移行するように更新するようにしてもよい。
大当り終了処理(ステップS308):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御手段に行わせるための制御を行う。そして、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
図12は、大当り遊技中における振分経路161と壁部材170の動作の一例を示す説明図である。なお、図12に例示する動作は、遊技制御用マイクロコンピュータ560によって、大当り遊技状態を構成する各ラウンド(大入賞口が開放している状態)毎に制御される。また、振分経路161は、大当り遊技が開始されるまでは、開閉板20と平行な状態に維持されている。
ラウンドが開始すると、振分経路161は、経路切替モータ91によって、遊技球がはずれ領域(非抽選領域)163に誘導される状態(図2(A)参照)になるように移動される。なお、移動中に振分経路161に流入した遊技球は、振分経路161の先端からこぼれ落ちて入賞球排出経路に入る。図2(A)に示す状態で所定期間停止した後、振分経路161は、経路切替モータ91によって、遊技球が第1の通路164に誘導される状態(図3(A)参照)になるように移動される。図3(A)に示す状態で所定期間停止した後、振分経路161は、経路切替モータ91によって、遊技球が第2の通路165に誘導される状態(図3(B)参照)になるように移動される。図3(B)に示す状態で所定期間停止した後、振分経路161は、経路切替モータ91によって、はずれ領域163に誘導される状態(図2(A)参照)になるように移動される。ラウンドが終了するまで、以上の動作を繰り返す。
遊技球が第1の通路164に誘導される状態において(図3(A)参照)、遊技球が大入賞口の内部の特別領域に入ると、遊技球は、第1クルーン166に誘導される。第1クルーン166に誘導された遊技球は、比較的高い割合で特定領域に入賞する。また、遊技球が第2の通路165に誘導される状態において(図3(B)参照)、遊技球が大入賞口の内部の特別領域に入ると、遊技球は、第2クルーン167に誘導される。第2クルーン167に誘導された遊技球は、比較的低い割合で特定領域に入賞する。
また、遊技球が第2の通路165に誘導される状態において、壁部材170の状態は、壁移動ソレノイド92によって、交互に、遊技球の通過を可能にする状態と通過を阻止する状態とになる。壁部材170が遊技球の通過を阻止する状態になっているときには、第2の通路165に進入した遊技球は壁部材170で跳ね返されて入賞球排出経路に入る。
以上のように、遊技球が第1の通路164に誘導される場合には、遊技球が特定領域に入賞して、遊技状態を通常状態から確変状態に移行させるための所定の移行条件が成立しやすい。また、遊技球が第2の通路165に誘導される場合には、所定の移行条件が成立しにくい。従って、遊技者は、遊技球が第1の通路164に誘導されることを強く期待するとともに、第1の通路164に誘導されるようなタイミングで遊技球を発射する傾向になる。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560が特別領域内の役物(部材)を複雑に制御することによって、遊技者に対して、従来の遊技機にはない新たな興趣を与えることができる。さらに、ラウンド毎に特別領域内の役物の動作態様を変えたり、ROM54に複数種類の役物の動作パターンを記憶させ、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、例えば乱数を用いた抽選等によって、使用する動作パターンを決定し、決定した動作パターンをROM54から読み出して、それに従って役物を制御するように構成してもよい。
さらに、この実施の形態では、大当り遊技状態において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、可変表示装置9で、抽選演出を行う。抽選演出とは、第1ラウンドが開始されてから抽選結果(遊技球が特定領域に入賞するか、特定領域に入賞しないことが確定すること)がでるまで実行される表示演出であり、特定領域に入賞する可能性の程度を遊技者に報知するための表示演出である。また、可能性の程度とは、特定領域に遊技球が入賞する可能性がどの程度であるかを示す概念であり、可能性の程度が高いということは特定領域に遊技球が入賞する可能性が高い(例えば、特定領域が設けられている領域に流入した遊技球が多い、非特定領域が設けられている領域に流入した遊技球が少ない、特定領域が設けられている部材が移動可能に設けられている場合に部材の位置が特定領域に遊技球が流入し易い位置になったときに遊技球がその部材に流入、特定領域が設けられている領域の手前に遊技球を貯留する部材が設けられている場合にその部材に貯留された遊技球の数が多いなど)ことを意味し、可能性の程度が低いということは特定領域に遊技球が入賞する可能性が低いことを意味する。
図13および図14は、抽選演出の一例を示す説明図である。この例では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ラウンド開始時に、川に架かった橋の画像が可変表示装置9に表示されるように制御する(図13(A)参照)。また、橋を渡り始める人が可変表示装置9に表示されるように制御する。なお、2ラウンド目以降において、すでに遊技球が特定領域を通過している場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ラウンド開始時に、図13(A)に示す表示を行わない。
ラウンドが開始され、遊技球が第1通路通過スイッチ168で検出された後、遊技球が特定領域を通過していないうちは、演出制御用マイクロコンピュータ100は、可変表示装置9において人が橋を渡ってるような表示がなされるように制御する(図13(B)参照)。また、ラウンド開始後、遊技球が特定領域を通過したときには、演出制御用マイクロコンピュータ100は、可変表示装置9において人が橋を渡りきったような表示がなされるように制御する(図14(C)参照)。そして、ラウンドの終了条件が成立しても、遊技球が特定領域を通過しなかった(具体的には、ラウンドの終了条件が成立した後、第1通路通過スイッチ168で検出された遊技球が第1通路排出スイッチ173で検出されるまでの時間が経過するまで判定される)場合には、可変表示装置9において人が橋から落ちたような表示がなされるように制御する(図14(D)参照)。なお、ラウンドの終了条件は、例えばカウントスイッチ23が10個の遊技球を検出したこと、または、カウントスイッチ23が10個の遊技球を検出する前にあらかじめ決められている時間が経過したことである。
また、図13および図14に示す抽選演出は一例であって、遊技者に役物によって確変状態とするか否かの抽選が行われていることを報知できれば、どのような抽選演出の態様を用いてもよい。例えば、可変表示装置9において表示されるキャラクタによって抽選演出を実行する場合に、ラウンド中に第1の通路を通過した遊技球数(通過数)と第1クルーン166から排出された遊技球数(排出数)とが同数になったらキャラクタを初期位置に戻すような演出を行ったり、遊技球が第1通路通過スイッチ168で検出されたら可変表示装置9の画面全体を抽選演出の画面に切り替えて抽選演出を開始し、通過数と排出数とが同数になったら、可変表示装置9の画面を、抽選演出開始前に行われていた大当り遊技の演出に戻すようにしてもよい。
図15は、主基板31から演出制御基板80に送出される演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。この実施の形態では、演出制御コマンドは2バイト構成である。1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。なお、そのようなコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。
図15に示す例において、コマンド8001(H)〜8006(H)は、特別図柄の可変表示に対応して可変表示装置9において可変表示される飾り図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンドである。なお、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。
コマンド9000(H)は、飾り図柄の最終停止図柄を大当り図柄(特別図柄の表示結果が大当り図柄であることを遊技者に想起させるような図柄、一般に左中右の図柄が揃った状態)とすることを指定する演出制御コマンドであり、コマンド9001(H)は、飾り図柄の最終停止図柄を大当り図柄としないことを指定する演出制御コマンドである。
コマンドBXXX(H)は、大当り遊技開始から大当り遊技終了までの間に送出される演出制御コマンドである。
コマンドD000(H)は、客待ちデモンストレーションを指定する演出制御コマンドである。コマンドD001(H)は、エラー表示を指示する演出制御コマンドである。コマンドD002(H)は、エラー表示の解除を指示する演出制御コマンドである。
また、コマンドE400(H)は、有利状態としての特別遊技状態(確変状態または時短状態)から通常状態になったときに送信される演出制御コマンドであり、コマンドE401(H)は、通常状態から確変状態(高確率状態)になったときに送信される演出制御コマンドであり、コマンドE402(H)は、確変状態から時短状態になったときに送信される演出制御コマンドである。
コマンドE501(H)は、特殊演出(この例では抽選演出)の開始を指定する演出制御コマンドである。コマンドE502(H)は、特殊演出の終了を指定する演出制御コマンドである。コマンドE600(H)は、遊技球が特定領域を通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。
コマンドE7XX(H)は、遊技球が抽選領域に設けられているセンサ(この例では、第1通路通過スイッチ168)を通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、通過遊技球の累積数が設定される。コマンドE8XX(H)は、遊技球が抽選領域から排出されたことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、排出遊技球の累積数が設定される。この実施の形態では、コマンドE8XX(H)は、遊技球が第1通路排出スイッチ173を通過したことが検出されたときに送信される。
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560から上述した演出制御コマンドを受信すると図15に示された内容に応じて可変表示装置9の表示状態を変更するとともに、ランプやLEDの表示状態を変更し、音声出力基板70に対して音番号データを出力する。なお、図15に示された演出制御コマンド以外の演出制御コマンドも主基板31から演出制御基板80に送信される。例えば、大当り遊技に関するより詳細な演出制御コマンドも主基板31から演出制御基板80に送信される。
図16,図17は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大当り遊技中において、遊技球が特定領域に入賞すると、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100に、特定領域通過指定コマンド(E600(H)の演出制御コマンド)を送信する。その後、その大当り遊技中では、さらに遊技球が特定領域に入賞しても特定領域通過指定コマンドを送信しない。すなわち、特定領域通過指定コマンドは、大当り遊技中において1回だけ送信される。もちろん、大当り遊技中において遊技球が特定領域に入賞しなかった場合には1回も送信されない。また、ラウンド間(2ラウンド目以降の大入賞口開放前処理)および最終ラウンド後に実行される特定領域通過有効時間処理において、ラウンド中に第1の通路164を通過した遊技球が全て抽選領域160から排出されたときに、特殊演出終了指定コマンド(E502(H)の演出制御コマンド)を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する。なお、特定領域通過指定コマンドを送信した後には、第1の通路164を通過した遊技球が全て抽選領域160から排出されたか否か確認する処理を行わない。
特別図柄通常処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動を開始することができる状態(例えば特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合)には(ステップS51)、保留記憶数(始動入賞記憶数)の値を確認する(ステップS52)。具体的には、保留記憶数カウンタのカウント値を確認する。なお、特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合とは、可変表示装置9において図柄の変動がなされていず、かつ、大当り遊技中でもない場合である。
保留記憶数が0でなければ、保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS53)、保留記憶数の値を1減らし(保留記憶数カウンタの値を1減らし)、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS54)。すなわち、保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、保留記憶数=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、可変表示の開始条件が成立する毎に、各保存領域の内容をシフトする処理を実行する。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数格納バッファから大当り判定用乱数を読み出し(ステップS55)、大当り判定モジュールを実行する(ステップS56)。大当り判定モジュールは、大当り判定用乱数が、あらかじめ決められている大当り判定値(図9参照)と一致したら大当りとすることに決定するプログラムである。すなわち、通常時には図9の左側に示す通常時大当り判定値テーブルの設定値と大当り判定用乱数とを比較し、確変時には図9の右側に示す確変時大当り判定値テーブルの設定値と大当り判定用乱数とを比較する。大当りとすることに決定した場合には(ステップS57)、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大当りフラグをセットする(ステップS58)。そして、確変フラグがセットされている場合にはステップS65に移行する(ステップS59)。時短フラグがセットされている場合にはステップS74に移行する。ステップS57で大当りとすることに決定されていない場合にはステップS61に移行する。
ステップS61では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、確変フラグがセットされているか否か確認する(ステップS61)。セットされていれば、確変回数カウンタの値を−1する(ステップS62)。確変回数カウンタは、あと何回の特別図柄の変動がなされたら確変状態が終了するのかを示す回数(可変表示可能回数)が設定されているカウンタである。また、時短回数カウンタの値も−1する(ステップS63)。ただし、既に0になっている場合には減算しない。時短回数カウンタは、あと何回の特別図柄の変動がなされたら時短状態が終了するのかを示す回数(可変表示可能回数)が設定されているカウンタである。この実施の形態では、遊技状態を確変状態にする制御がなされてから所定回の特別図柄の変動が終了する前に確変状態が終了した場合には、残りの回数の特別図柄の変動について時短状態に制御されるので、ステップS63の処理が実行される。
そして、確変回数カウンタの値が0になった場合には、確変フラグをリセットして確変状態を終了させる(ステップS64,S65)。そのとき、時短回数カウンタがまだ0になっていないことを条件として、時短フラグをセットして遊技状態を時短状態に移行させ(ステップS66,S67)、時短表示指定コマンド(E402(H)の演出制御コマンド)が演出制御基板80に送信されるように制御する(ステップS68)。なお、演出制御コマンドを送信する際に、具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御コマンドに応じたコマンド送信テーブル(あらかじめROMにコマンド毎に設定されている)のアドレスをポインタにセットする。そして、演出制御コマンドに応じたコマンド送信テーブルのアドレスをポインタにセットして、飾り図柄コマンド制御処理(ステップS27)において時短表示指定コマンドを送信する。そして、ステップS76に移行する。ステップS66で時短回数カウンタの値が既に0になっていることを確認したら、ステップS75に移行する。
ステップS61において確変フラグがセットされていないことを確認したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、時短フラグがセットされているか否か確認する(ステップS71)。セットされていれば、時短回数カウンタの値を−1する(ステップS72)。時短回数カウンタの値が0になった場合には(ステップS73)、時短フラグをリセットして時短状態を終了させ(ステップS74)、演出制御基板80に対して、通常状態に戻ったことを通知するために、通常表示指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS75)。そして、RAM55に形成されている特別図柄プロセスフラグの値を、特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301)に対応した値に更新する(ステップS76)
図18,図19は、特別図柄プロセス処理における第1ラウンド開始前またはラウンド間(ラウンドインターバル)において実行される大入賞口開放前処理(ステップS305)を示すフローチャートである。大入賞口開放前処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1ラウンド開始前であるか否か確認し、第1ラウンド開始前であればステップS121に移行する(ステップS91)。
第1ラウンド開始前でなければ、すなわち第2ラウンド以降の開始前であれば、遊技球が特定領域を通過したことを示す特定領域通過フラグがセットされているか否か確認する(ステップS92)。特定領域通過フラグがセットされていれば、大当り遊技中に確変状態に移行させるための所定の移行条件が既に成立しているので、ステップS93以降の処理を実行せずにステップS121に移行する。ステップS93以降の処理は、抽選演出に関わる処理である。
ステップS93において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、監視用タイマが既に動作中でなければ(ステップS93)、監視用タイマとして使用されるRAM55の領域に監視用タイマ値をセットする(ステップS94)。監視用タイマは、遊技球が第1通路通過スイッチ168で検出された後、所定期間(ラウンド開始からの所定期間)内に第1通路排出スイッチ173で検出されなかったことを監視するためのタイマである。すなわち、遊技球が抽選領域160に停留していることを監視するためのタイマである。
この実施の形態では、図2に示されたようなクルーンが抽選領域160内の役物として設けられているが、そのような役物は一例であって、他のタイプの役物を採用することもできる。例えば、役物として、幾つかの遊技球が貯留されると初めて遊技球が特定領域に入賞可能になるものを採用することもできる。その場合、不正に遊技球を貯留させて不正に遊技球を特定領域に入賞させるといった不正行為がなされることが予想される。そこで、そのような役物を採用した場合を考慮し、遊技球を不正に貯留させる不正行為を監視するために監視用タイマが用いられている。なお、不正行為がなされない場合には、一般に、役物に流入した遊技球は、所定時間内に役物から流出するはずである。
そして、第1通路通過スイッチ168がオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている通過数カウンタの値を+1する(ステップS95,S96)。また、通過数カウンタの値をEXTバイトに設定した通過遊技球数コマンド(E7XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS97)。
また、第1通路排出スイッチ173がオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている排出数カウンタの値を+1する(ステップS99,S100)。また、排出数カウンタの値をEXTバイトに設定した排出遊技球数コマンド(E8XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS101)。
さらに、いずれかの特定領域スイッチ171a,171b,171cがオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている特定領域通過フラグをセットし(ステップS102,S103)、特定領域通過指定コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS104)。
また、通過数カウンタの値と排出数カウンタの値とを比較し(ステップS105)、それらが一致していたら、監視用タイマをクリアした後(ステップS116)、特殊演出終了指定コマンドを演出制御基板80に送信し(ステップS117)、ステップS121に移行する。一致していない場合には、ステップS111に移行する。
ステップS111では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、監視用タイマの値を−1する。監視用タイマの値が0になっていない(タイムアウトしていない)場合には(ステップS112)、処理を終了する。
監視用タイマがタイムアップした場合には、エラー表示指定コマンド(D001(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する(ステップS113)。エラー表示指定コマンドを受信した演出制御用マイクロコンピュータ100は、可変表示装置9にエラーを報知するための表示を行う。
その後、遊技店員等が操作可能なスイッチが押下されるのを待ち(ステップS114)、押下されたことを検出したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、エラー解除指定コマンド(D002(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信し(ステップS117)、ステップS121に移行する。なお、遊技店員等が操作可能なスイッチは、例えば遊技盤6の裏面に設置される。遊技店員等が操作可能なスイッチとしてクリアスイッチ921を兼用してもよい。
なお、監視用タイマはラウンドインターバルの開始時にセットされたが、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ラウンドの開始時に監視用タイマ(1ラウンドの継続可能時間+ラウンドインターバル時間として定められている時間、例えば35秒)をセットするようにしてもよい。また、ラウンドインターバルは、所定時間継続するが、所定時間(ラウンドインターバル時間)を計測するためのタイマに関する制御は図18および図19のフローチャートでは省略されている。
以上のような制御によって、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、最終ラウンドよりも前(所定回未満)のそれぞれのラウンド(回)の入賞容易状態の開始(ラウンド開始)から所定時間以内に、通過検出手段としての第1通路通過スイッチ168により検出された全ての遊技球が排出検出手段としての第1通路排出スイッチ173により検出されないときには、次回の入賞容易状態への制御を停止するので、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。
また、入賞容易状態の開始から所定時間以内に、通過検出手段により検出された全ての遊技球が排出検出手段により検出されないときに、演出制御用マイクロコンピュータ100が報知手段としての可変表示装置9にその旨を表示して方するので、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。なお、この実施の形態では、可変表示装置9でエラーが発生したことを報知するが、ランプなど他の装置を用いてエラーが発生したことを報知してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、入賞容易状態の開始から所定時間以内に、通過検出手段により検出された全ての遊技球が排出検出手段により検出されないときに、遊技の進行を停止させる(ステップS114でループして遊技進行制御が進まない)ので、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。なお、この実施の形態では、遊技の進行を停止させているときに、入賞が生じた場合に賞球払出は行われないが(ステップS114でループするので)、次ラウンドへの遊技の進行を停止させているときに入賞が生じた場合には賞球払出を行うようにしてもよい。その場合には、ステップS114でループせず、遊技の進行を停止させている旨の内部フラグをセットして大入賞口開放前処理を終了させる。そして、次に(2ms後およびその後の2ms毎)大入賞口開放前処理を開始するときに、操作スイッチのオンを検出するようにして、操作スイッチのオンを検出したらステップS115に移行する。
なお、この実施の形態では、遊技球が特定領域を通過した後にはステップS111〜ステップS115のエラー報知のための処理は実行されないが、遊技球が特定領域を通過した後でも、ステップS111〜ステップS115の処理を実行するようにしてもよい。例えば、あるラウンドにおいて遊技球が特定領域を通過した場合に、それより後のラウンドにおいて、監視用タイマを用いてステップS111〜ステップS115の処理を実行するようにしてもよい。
ステップS121では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大入賞口を開放する制御を行う。すなわち、ソレノイド21を駆動させる。また、開放時間タイマに開放許容時間に相当する値をセットし(ステップS122)、RAM55に形成されている大入賞口入賞カウンタの値をクリアする(ステップS123)。さらに、大入賞口開放時表示コマンド(B1XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信し(ステップS124)、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放中処理(ステップS306)に応じた値に更新する(ステップS125)。
図20,図21は、特別図柄プロセス処理における大入賞口開放中処理(ステップS306)を示すフローチャートである。大入賞口開放中処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、開放時間タイマの値を−1する(ステップS131)。開放時間タイマの値が0になっていたら(タイムアウトしたら)、ステップS136に移行する、
開放時間タイマがタイムアウトしていない場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、カウントスイッチ23がオンしたら(遊技球を検出したら)、大入賞口入賞カウンタの値を+1する(ステップS134)。大入賞口入賞カウンタの値が10になったらラウンド終了として、ステップS136に移行する。
ステップS136では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大入賞口を閉成する処理を行う。また、そのラウンドが最終ラウンドであれば、監視タイマをセットし(ステップS137,S139)、特別図柄プロセスフラグの値を特定領域通過有効時間処理(ステップS307)に対応した値に更新する(ステップS140)。なお、ステップS139でセットされた監視タイマは、特定領域通過有効時間処理で使用される。そのラウンドが最終ラウンドでなければ、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理(ステップS305)に対応した値に更新して(ステップS138)、処理を終了する。
ラウンドが終了していない場合には、第1通路通過スイッチ168がオンしたら、通過数カウンタの値を+1する(ステップS141,S142)。また、通過数カウンタの値をEXTバイトに設定した通過遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS143)。さらに、通過数カウンタの値が0から1に変化したときには、特殊演出開始指定コマンド(E501(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS144)。また、第1通路排出スイッチ173がオンしたらは、排出数カウンタの値を+1する(ステップS145,S146)。また、排出数カウンタの値をEXTバイトに設定した排出遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS147)。
さらに、いずれかの特定領域スイッチ171a,171b,171cがオンした場合には、特定領域通過フラグをセットし(ステップS148,S149)、特定領域通過指定コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS150)。なお、ステップS148〜S150の処理は、大当り遊技中において1回だけ実行される。既に、ステップS148〜S150が実行されている場合には、ステップS148〜S150を再度実行することはない(ステップS148A)。
また、通過数カウンタの値と排出数カウンタの値とを比較し(ステップS151)、それらが一致していたら、通過数カウンタおよび排出数カウンタをクリアする(ステップS151,S152)。通過数カウンタの値と排出数カウンタの値とが一致したということは、第1クルーン166に流入した全ての遊技球が第1クルーン166から排出されたことを意味する。つまり、所定の移行条件を成立させやすい領域から遊技球がなくなったことを意味する。従って、遊技者には、所定の移行条件が成立しやすい状況にないと視認する。後述するように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、通過数カウンタおよび排出数カウンタがクリアされたときには、所定の移行条件が成立しにくくなったような演出を行う。
そして、通過数カウンタの値(この場合には0)をEXTバイトに設定した通過遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS153)。また、排出数カウンタの値(この場合には0)をEXTバイトに設定し排出遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS154)。
図22は、大入賞口の開放処理において最終ラウンドと判定されたあとに実行される特定領域通過有効時間処理(ステップS307)を示すフローチャートである。特定領域通過有効時間処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特定領域通過フラグがセットされていることを確認したら(ステップS161)、特別図柄プロセスフラグを大当り終了処理(ステップS308)に相当する値に更新して(ステップS178)、処理を終了する。
特定領域通過フラグがセットされていない場合には、第1通路通過スイッチ168がオンしたら、通過数カウンタの値を+1する(ステップS162,S163)。また、通過数カウンタの値をEXTバイトに設定した通過遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS164)。
また、第1通路排出スイッチ173がオンしたら、排出数カウンタの値を+1する(ステップS165,S166)。また、排出数カウンタの値をEXTバイトに設定した排出遊技球数コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS167)。
さらに、いずれかの特定領域スイッチ171a,171b,171cがオンした場合には、特定領域通過フラグをセットし(ステップS168,S169)、特定領域通過指定コマンドを演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS170)。なお、既に特定領域通過フラグがセットされている場合には、ステップS169,S170の処理を行わない(ステップS161)。
また、通過数カウンタの値と排出数カウンタの値とを比較し(ステップS171)、それらが一致していたら、特殊演出終了指定コマンドを演出制御基板80に送信し(ステップS177)、ステップS178に移行する。一致していない場合には、ステップS172に移行する。
ステップS172では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、監視タイマの値を−1する。監視タイマの値が0になっていない(タイムアウトしていない)場合には、処理を終了する。
監視タイマがタイムアップした場合には、エラー表示指定コマンド(D001(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する(ステップS173,S174)。エラー表示指定コマンドを受信した演出制御用マイクロコンピュータ100は、可変表示装置9にエラーを報知するための表示を行う。監視用タイマがタイムアップしていなければ、処理を終了する。
その後、ステップS174の処理を実行したら、遊技店員等が操作可能なスイッチが押下されるのを待ち(ステップS175)、押下されたことを検出したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、エラー解除指定コマンドを演出制御基板80に送信し(ステップS176)、ステップS177に移行する。
図23は、特別図柄プロセス処理における大当り終了処理(ステップS308)を示すフローチャートである。大当り終了処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御用マイクロコンピュータ100に、大当り終了コマンドを送信する(ステップS191)。そして、特定領域通過フラグがセットされているか否か確認する(ステップS192)。特定領域通過フラグがセットされていなければステップS197に移行する。特定領域通過フラグがセットされていれば、特定領域通過フラグをリセットし(ステップS193)、確変フラグをセットし(ステップS194)、確変回数カウンタに100をセットし(ステップS195)、時短回数カウンタに所定値(例えば、100)をセットする(ステップS196)。そして、ステップS187に移行する。ステップS197では、特別図柄プロセスフラグを、特別図柄通常処理(ステップS300)に応じた値に更新する。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図24は、演出制御用マイクロコンピュータ100が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用マイクロコンピュータ100は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)の確認を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用マイクロコンピュータ100は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用マイクロコンピュータ100は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。
この実施の形態では、タイマ割込は33ms毎にかかる。すなわち、演出制御処理は、33ms毎に起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な演出制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で演出制御処理を実行してもよい。
演出制御処理において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、受信されている演出制御コマンドを解析する(コマンド解析実行処理:ステップS704)。次いで、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。そして、予告演出において用いられる予告乱数カウンタを更新する処理を実行する(ステップS706)。その後、ステップS702のタイマ割込フラグの確認を行う処理に戻る。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御コマンドとともにコマンドの取込を指示するための取込信号を出力し、取込信号は演出制御用マイクロコンピュータ100の割込端子に入力され、演出制御用マイクロコンピュータ100は、割込処理によって演出制御コマンドを受信する。
図25は、図24に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS705)を示すフローチャートである。演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御プロセス処理において、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S806のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):コマンド受信割込処理によって、変動時間を特定可能な演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を受信したか否か確認する。具体的には、変動パターンコマンドが受信されたことを示すフラグ(変動パターン受信フラグ)がセットされたか否か確認する。変動パターン受信フラグは、コマンド解析処理によって、変動パターン指定の演出制御コマンドが受信されたことが確認された場合にセットされる。変動パターンコマンドを受信した場合には、演出制御プロセスフラグの値を予告選択処理(ステップS801)に対応した値に更新する。
予告選択処理(ステップS801):例えばキャラクタ画像を用いた予告演出(特別図柄の停止図柄が大当り図柄となること、またはリーチが発生することを事前に報知するための演出)を行うか否かと、行う場合の予告演出の種類を決定する。そして、演出制御プロセスフラグの値を全図柄変動開始処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
全図柄変動開始処理(ステップS802):左中右の飾り図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
図柄変動中処理(ステップS803):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する。また、左右図柄の停止制御を行う。変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を全図柄停止待ち設定処理(ステップS804)に対応した値に更新する。
全図柄停止待ち設定処理(ステップS804):飾り図柄の変動を最終停止し停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行う。そして、大当りとする場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS805)に対応した値に更新する。そうでない場合には、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(ステップS805):変動時間の終了後、大当りとする場合には、大当り表示の制御を行う。そして、大当りとする場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当たり遊技中処理(ステップS806)に対応した値に更新する。
大当たり遊技中処理(ステップS806):大当たり遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放前表示や大入賞口開放時表示の演出制御コマンドを受信したら、ラウンド数の表示制御等を行う。大当り遊技が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
図26,図27は、演出制御プロセス処理における大当たり遊技中処理(ステップS806)を示すフローチャートである。
大当たり遊技中処理において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から大当り終了指定コマンド(B001(H)の演出制御コマンド)を受信して大当り遊技の終了を認識したら(ステップS901)、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する(ステップS902)。
大当り遊技が終了していない場合には、特殊演出中であるか否か確認し(ステップS903)、特殊演出中でなければ(特殊演出が開始されていなければ)、特殊演出開始指定コマンドを受信しているか否か確認する(ステップS904)。特殊演出開始指定コマンドを受信していれば、可変表示装置9において特殊演出を開始されるように制御する(ステップS905)。具体的には、VDP109に、抽選演出の表示を行わせるためのデータを出力する。VDP109は、可変表示装置9に、図13(A)に示すような特殊演出に関する初期状態を表示する。そして、ステップS906に移行する。特殊演出中であれば、そのままステップS906に移行する。
ステップS906では、遊技球が特定領域を通過したか否か確認する。具体的には、特定領域通過指定コマンドを受信したか否か確認する。遊技球が特定領域を通過した場合には、抽選によって確変状態とすることに決定されたことを遊技者に想起させるような表示演出が行われるように制御する(ステップS907)。具体的には、VDP109に、図14(C)に示すような画像を表示させるためのデータを出力する。そして、処理を終了する。
特殊演出終了指定コマンドを受信した場合には(ステップS908)、抽選によって確変状態とすることには決定されないことを遊技者に想起させるような表示演出が行われるように制御する(ステップS909)。具体的には、VDP109に、図14(D)に示すような画像を表示させるためのデータを出力する。そして、処理を終了する。なお、図14(D)に示すような画像を表示させたときも、特殊演出は終了したとする。また、特殊演出終了指定コマンドは、最初の遊技球が特定領域を通過した後には遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信されてこない。よって、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特定領域通過指定コマンドと特殊演出終了指定コマンドとのうちのいずれかを受信したら、特殊演出は終了したと判断できる。
ステップS908において特殊演出終了指定コマンドを受信していないことを確認した場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から受信した通過遊技球数コマンドによって第1の通路164を通過した遊技球の累計が増加したか否か確認する(ステップS912)。増加したことを確認した場合には、橋を渡っている人が前進するような表示がなされるように制御する(ステップS913:図13(B)参照)。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560から受信した排出数コマンドによって第1クルーン166から排出された遊技球の累計が増加したか否か確認する(ステップS914)。増加したことを確認した場合には、橋を渡っている人が後退するような表示がなされるように制御する(ステップS915:図13(B)参照)。
なお、ステップS912〜S915の制御が実行されるときには、遊技球は未だ特定領域を通過していないので、遊技者に、確変状態とするための所定の移行条件が成立していない間、所定の移行条件を成立させやすい第1の通路164を遊技球が通過すると人が前進し、特定領域を通過せずに遊技球が第1クルーン166から排出されたら人が後退するような表示演出を見せることができる。
さらに、演出制御用マイクロコンピュータ100は、通過遊技球数コマンドおよび排出数コマンドによって通過数および排出数(具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560における通過数カウンタの値および排出数カウンタの値)が0になったことを確認したら、特殊演出に係る表示状態を、図13(A)に示すような初期状態にさせる制御を行う(ステップS916,S917)。
また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、エラー表示指定コマンドを受信した場合には、VDP109にエラーが発生した旨の画面を表示させ(ステップS918,S919)、エラー解除指定コマンドを受信した場合には、VDP109にエラーが発生した旨の画面を消去させる(ステップS920,S921)。
以上に説明したように、この実施の形態では、特別領域に入賞した遊技球を抽選領域160に導く通路であって、所定の移行条件を成立させやすい第1の通路164と、第1の通路164とは異なる通路であり特別領域に入賞した遊技球を抽選領域160に導く通路であって、所定の移行条件を成立させ難い第2の通路165とが設けられ、第1の通路164に遊技球の通過を検出する通過検出手段(第1通路通過スイッチ168)が設けられ、通過検出手段が設けられている通路を介して抽選領域から排出された遊技球を検出する排出検出手段(第1通路排出スイッチ173)と、通過検出手段が遊技球を検出したことにもとづいて、所定の移行条件を成立させるか否かについての抽選演出を可変表示装置9で実行し、排出検出手段が遊技球を検出したことにもとづいて抽選演出を終了する構成になっているので、特別遊技状態にするか否かの抽選結果を遊技者に提示するまでのプロセスを複雑にすることによって、特別遊技状態が発生することの遊技者の期待感をより高めることができる。また、第1の通路164の通路を通過した遊技球が排出されたら抽選演出を終了するので、抽選演出をむやみに長引かせて遊技者が興ざめしてしまうようなことを防止できる。
なお、抽選演出の種類は1種類に限られず、複数種類用意されていてもよい。複数種類の抽選演出がある場合には、例えば、複数種類の抽選演出を示すデータと選択値とが対応付けられて設定された演出パターンテーブルをROMにあらかじめ格納し、演出制御用マイクロコンピュータ100が、例えば乱数を発生させて、発生した乱数値に一致する選択値に対応した抽選演出を演出パターンテーブルから選択する。
また、ここでは、特定領域スイッチ171a,171b,171cが遊技球を検出したことにもとづいて抽選演出(特殊演出)を終了させ、特定領域スイッチ171a,171b,171cが遊技球を検出しなかった場合には、第1通路通過スイッチ168で検出された遊技球が全て第1通路排出スイッチ173で検出されたときに抽選演出を終了させたが(図18,図19に示す大入賞開放前処理を参照、特にステップS105,S117)、特定領域スイッチ171a,171b,171cが遊技球を検出した場合でも、第1通路通過スイッチ168で検出された遊技球が全て第1通路排出スイッチ173で検出されたときに抽選演出を終了させるようにしてもよい。
なお、図20,図21に示す大入賞口開放中処理では、第1通路通過スイッチ168で検出された遊技球が全て第1通路排出スイッチ173で検出されたときに抽選演出を終了させる処理を行っていないが、そのような処理を大入賞口開放中処理でも行ってもよい。大入賞口開放中処理でもそのような処理を行う場合には、例えば、1個目の遊技球が第1通路通過スイッチ168で検出され、その遊技球が、2個目の遊技球が大入賞口に入賞する前に第1通路排出スイッチ173で検出されたときには、その時点で、抽選演出は終了する。
また、確変フラグや時短フラグがセット/リセットされたときの変動開始時に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、試験端子処理(図7におけるステップS32)において、その状態を示す信号を、例えば主基板31に実装可能なコネクタに対して出力するようにしてもよい。コネクタに、外部装置に接続されるケーブルを接続することによって、試験装置等の外部装置において、確変フラグや時短フラグの状態を観測することができる。このように、特別遊技状態の開始および終了を遊技機外部に出力する信号出力手段を設けることにより、役物によって確変抽選を行うようにしても、特別遊技状態の開始および終了を外部装置で把握することができる。
また、この実施の形態では、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲に設置されている装飾LEDやランプが、演出制御用マイクロコンピュータ100によって、ランプドライバ基板35を介して制御されるが、それらのLEDやランプを遊技制御用マイクロコンピュータ560が制御してもよい。その場合に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、確変フラグや時短フラグがセット/リセットされたときに、その変化を把握可能にLEDやランプの点灯状態を制御するようにしてもよい。このように、遊技状態を報知するための報知手段を設け、特別遊技状態の開始および終了を認識可能に報知手段を制御する報知制御手段を遊技制御手段に含めることによって、遊技者は、より容易に遊技状態を把握することができる。
なお、この実施の形態では、遊技球が第2の通路165を通った後、特定領域に入賞して確変状態に移行する条件が成立した場合には、抽選演出が行われないが、その場合に、図14(C)に例示されたような確変状態となることを報知するための演出を行ってもよい。また、第2の通路165を遊技者に視認不能に構成して、遊技球が第1の通路164を通って抽選演出が開始された後、他の遊技球が第2の通路165を通った後、特定領域に入賞して確変状態に移行する条件が成立した場合には、一旦、確変状態とならないことを報知するための演出(図14(D)参照)を行ってから、図14(C)に例示されたような確変状態となることを報知するための演出を行ってもよい。その場合、復活演出とかが可能になり、遊技者に期待感とか意外性を提供できる。
実施の形態2.
上記の実施の形態では、1個の遊技球が特定領域に入賞すると所定の移行条件が成立するようにしたが、所定個の遊技球が特定領域に入賞すると所定の移行条件が成立するようにしてもよい。その場合には、図28に示すように、第1の実施の形態に比べて、特定領域の数を増やす。図28に示す例では、6個の特定領域スイッチ171a,171b,171c,171d,171e,171fが設けられている。従って、この実施の形態(第2の実施の形態)では、特定領域スイッチ171a,171b,171c,171d,171e,171fが設けられている6つの流下口の領域が、遊技球の入賞によって所定の移行条件を成立させる特定領域に相当する。
第1の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技球が特定領域に入賞した場合に、最初の1個についてのみ特定領域通過指定コマンドを送信したが、この実施の形態では、遊技球が特定領域に入賞する度に特定領域通過指定コマンドを送信する。そして、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特定領域通過指定コマンドの受信回数をカウントして、所定個(一例として75個)の遊技球が特定領域に入賞したと判定すると、所定の条件が成立したような表示演出を行う。
図29,図30は、この実施の形態での演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する大当り遊技中処理を示すフローチャートである。第1の実施の形態における大当り遊技中処理(図26,図27参照)と異なる点は、抽選によって確変状態とすることに決定されたことを遊技者に想起させるような表示演出(図14(C)参照)が行われるように制御する(ステップS907)ための条件が、遊技球が特定領域を通過したことを判定すること(ステップS906)ではなく、所定の移行条件(具体的には、所定個(一例として75個)の遊技球が特定領域に入賞したこと)が成立することになっている点である(ステップS906A)。
また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特定領域通過指定コマンドを受信すると(ステップS931)、特定領域通過カウンタの値を+1する(ステップS932)。従って、ステップS906Aでは、特定領域通過カウンタの値が所定個に相当する所定数になったときに所定の移行条件が成立したとする。
さらに、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、所定の移行条件が満たされる可能性の程度に応じて、複数種類の抽選演出から、実行する抽選演出を選択する。一例として、ステップS913Aでは、抽選演出として、図31に示すような表示演出を行う。すなわち、抽選演出を開始するときには、可変表示装置9において、橋の構成の一部が表示されるように制御する(図31(A)参照)。そして、例えば、特定領域通過カウンタの値が1以上20以下であれば、橋の構成が増えたように表示する(図31(B)参照)。さらに、特定領域通過カウンタの値が21以上40以下であれば、橋の構成がより増えたように表示する(図31(C)参照)。そして、特定領域通過カウンタの値が41以上であれば、橋の構成が完成したように表示する(図31(D)参照)。このような表示制御によって、抽選演出の実行期間において、演出のバリエーションを増やして抽選演出の演出効果を高めることができ、また、所定の移行条件(例えば75個の遊技球が特定領域に入賞したこと)に対する満足度を遊技者に容易に把握させることができる。
なお、この実施の形態では、所定の移行条件が成立しない限り、各ラウンドの開始時に、一瞬図31(A)に示すような表示が可変表示装置9になされ、その後に、特定領域通過カウンタの値(第2大当り遊技中の累積値)に応じて、図31(B),(C),(D)に示すような表示がなされることになる。しかし、各ラウンドの開始時に図31(A)に示すような表示をせず、そのときの特定領域通過カウンタの値に応じて、図31(A)〜(D)のいずれかに示す表示を開始してもよい。その場合には、各ラウンドの開始時に図31(A)に示すような表示を挟まずに、第2大当り遊技の期間を通して、図31(A)〜(D)に示す表示が徐々に変わっていくように遊技者に見せることができる。
また、抽選演出の対象は1種類でもよいが、多種類の抽選演出のなかから選択した抽選演出を実行するようにしてもよい。例えば、固定的に設置されたクルーンに代えて、内部に複数の領域(特定領域および非特定領域)を有する回転体を用い、報知演出を開始するタイミングでの回転体の位置(特定領域の位置)の違いに応じて抽選演出の種類を変えるようにしてもよい。つまり、回転体の位置を検出するセンサを設け、球通路を遊技球が通過したときに、センサで検出された回転体の位置が遊技球が特定領域に入賞しやすい位置である場合には、特定領域に入賞しやすいことを遊技者に想起させるような抽選演出を行い、回転体の位置が遊技球が特定領域に入賞しにくい位置である場合には、特定領域に入賞しにくいことを遊技者に想起させるような抽選演出を行う。
実施の形態3.
上記の各実施の形態では、遊技球が特定領域に入賞したことにもとづいて所定の移行条件が成立するようにしたが、遊技球が非特定領域に入賞したことにもとづいて所定の移行条件が成立しないようにしてもよい。すなわち、大当り遊技中に、遊技球が非特定領域に入賞しないことを条件に、所定の移行条件を成立させる。
図32は、非特定領域に非特定領域スイッチ171g、171hが設けられたこの実施の形態(第3の実施の形態)における抽選領域160の構成を示す説明図である。図32に示すように、第1の経路164には、相対的に(非特定領域スイッチ171hが設けられていない領域である特定領域に対して)少数の非特定領域が設けられ、第2の経路165には、相対的に多数の非特定領域が設けられている。なお、図32に示された構成以外の遊技機の構成は、第1の実施の形態の場合と同じである。
また、図33には、この実施の形態における演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。ただし、図33には一部のみが示されている。図示されていない部分は、図15に示された内容と同じである。図33に示すように、この実施の形態では、特定領域通過指定コマンドに代えて、非特定領域通過指定コマンド(E601(H)の演出制御コマンド)が用いられる。
第1の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技球が特定領域に入賞したときに特定領域通過指定コマンドを送信したが、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、非特定領域スイッチ171g、171hによって、遊技球が非特定領域に入賞したときに非特定領域通過指定コマンドを送信する。その他の遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御は、第1の実施の形態の場合と同じである。
図34は、この実施の形態における演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する大当り遊技中処理を示すフローチャートである。図34には大当り遊技中処理の一部が示されているが、大当り遊技中処理におけるその他の部分は、第1の実施の形態の場合と同じである。図34に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ステップS906Bで、遊技球が非特定領域を通過したか否か確認する。具体的には、非特定領域通過指定コマンドを受信したか否か確認する。遊技球が非特定領域を通過した場合には、抽選によって確変状態とすることには決定されないことを遊技者に想起させるような表示演出が行われるように制御する(ステップS907B)。具体的には、VDP109に、図14(D)に示すような画像を表示させるためのデータを出力する。
また、特殊演出終了指定コマンドを受信した場合には(ステップS908)、最終ラウンドが終了した場合には(ステップS909A)、抽選によって確変状態とすることに決定されたことを遊技者に想起させるような表示演出が行われるように制御する(ステップ909B)。具体的には、VDP109に、図14(C)に示すような画像を表示させるためのデータを出力する。そして、処理を終了する。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、最初の遊技球が非特定領域を通過した後には、非特殊演出終了指定コマンドを送信しない。よって、演出制御用マイクロコンピュータ100は、非特定領域通過指定コマンドと最終ラウンドにおける特殊演出終了指定コマンドとのうちのいずれかを受信したら、特殊演出は終了したと判断できる。
以上のように、この実施の形態でも、特別領域に入賞した遊技球を抽選領域160に導く通路であって、所定の移行条件を成立させやすい第1の通路164と、第1の通路164とは異なる通路であり特別領域に入賞した遊技球を抽選領域160に導く通路であって、所定の移行条件を成立させ難い第2の通路165とが設けられ、第1の通路164に遊技球の通過を検出する通過検出手段(第1通路通過スイッチ168)が設けられ、通過検出手段が設けられている通路を介して抽選領域から排出された遊技球を検出する排出検出手段(第1通路排出スイッチ173)と、通過検出手段が遊技球を検出したことにもとづいて、所定の移行条件を成立させるか否かについての抽選演出を可変表示装置9にて実行し、排出検出手段が遊技球を検出したことにもとづいて抽選演出を終了する抽選演出手段とを備えた構成になっているので、特別遊技状態にするか否かの抽選結果を遊技者に提示するまでのプロセスを複雑にすることによって、特別遊技状態が発生することの遊技者の期待感をより高めることができる。また、第1の通路164の通路を通過した遊技球が排出されたら抽選演出を終了させることによって、抽選演出をむやみに長引かせて遊技者が興ざめしてしまうようなことを防止できる。
なお、この実施の形態では、1個の遊技球が非特定領域に入賞すると所定の移行条件が成立しないようにしたが、所定個の遊技球が非特定領域に入賞すると所定の移行条件が成立しないようにしてもよい。その場合、演出制御用マイクロコンピュータ100が非特定領域通過指定コマンドの受信回数をカウントしてカウント値にもとづいて所定の移行条件が成立しないようになったか否か判定してもよいし、遊技制御用マイクロコンピュータ560が非特定領域に入賞した遊技球数をカウントしてカウント結果にもとづいて所定の移行条件が成立しなかったことを示す演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態では、特別領域に入賞した遊技球を抽選領域160に導く通路であって、所定の移行条件を成立させやすい第1の通路164に通路通過スイッチが設けられていたが、第2の通路165に通路通過スイッチを設け、その通路通過スイッチが遊技球を検出したことにもとづいて、所定の移行条件を成立させるか否かについての抽選演出を可変表示装置9で実行するようにしてもよい。
実施の形態4.
第1の実施の形態では、遊技球が第1の通路164を通過したことが検出されると、抽選演出が開始されたが、この実施の形態では、第1の通路164と第2の通路165とのそれぞれに通路通過スイッチを設け、いずれかの通路を遊技球が検出したら、抽選演出を開始する。例えば、図35に示すように、第1の通路164に第1通路通過スイッチ168Aを設け、第2の通路165に第2通路通過スイッチ168Bを設ける。なお、第2通路通過スイッチ168Bは、第2クルーン167に進入する遊技球を検出するような位置に設けられる。よって、第2通路排出スイッチ174(図2等参照)は、第2クルーン167に進入した全ての遊技球を検出する。また、図35に示された構成以外の遊技機の構成は、第1の実施の形態の場合と同じである。ただし、第2通路排出スイッチ174の検出信号は遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力されている。
そして、この実施の形態では、第1通路通過スイッチ168Aが先に遊技球を検出した(第1の通路164を通過した)場合と、第2通路通過スイッチ168Bが先に遊技球を検出した(第2の通路165を通過した)場合とで、特殊演出(抽選演出)の演出態様を別にする。
例えば、図36に示すように、遊技球が第1の通路164を通過した場合には、演出態様Aで特殊演出を実行し、遊技球が第2の通路165を通過した場合には、演出態様Bで特殊演出を実行する。図36に示す例では、演出態様Aと演出態様Bとは、橋の態様が異なっている。なお、図36(A)〜(D)に示す演出態様を表すデータは、演出制御用マイクロコンピュータ101におけるROMに記憶されている。
また、図37は、この実施の形態における演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。ただし、図37には一部のみが示されている。図示されていない部分は、図15に示された内容と同じである。図37に示すように、この実施の形態では、コマンドE7XX(H)を第1通過遊技球数指定の演出制御コマンドとし、コマンドE8XX(H)を第1排出遊技球数指定の演出制御コマンドとする。また、コマンドE9XX(H)を第2通過遊技球数指定の演出制御コマンドとし、コマンドEAXX(H)を第2排出遊技球数指定の演出制御コマンドとする。
コマンドE7XX(H)は、遊技球が第1通路通過スイッチ168Aを通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、通過遊技球の累積数が設定される。コマンドE8XX(H)は、遊技球が第1通路排出スイッチ173を通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、排出遊技球の累積数が設定される。また、コマンドE9XX(H)は、遊技球が第2通路通過スイッチ168Bを通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、通過遊技球の累積数が設定される。コマンドEAXX(H)は、遊技球が第2通路排出スイッチ174を通過したことが検出されると送信される演出制御コマンドである。2バイト目のXXには、排出遊技球の累積数が設定される。
図38,図39は、この実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する大入賞口開放前処理を示すフローチャートである。図38には大入賞口開放前処理の一部が示されているが、その他の部分は、図18,図19に示す第1の実施の形態の場合と同じである。
大入賞口開放前処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1通路通過スイッチ168Aがオンした(遊技球を検出した状態)になった場合には、RAM55に形成されている第1通過数カウンタの値を+1する(ステップS95A,S96A)。また、第1通過数カウンタの値をEXTバイトに設定した第1通過遊技球数コマンド(E7XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS97A)。そして、ステップS99Aに移行する。
また、第2通路通過スイッチ168Bがオンした(遊技球を検出した状態)になった場合には、RAM55に形成されている第2通過数カウンタの値を+1する(ステップS95B,S96B)。また、第2通過数カウンタの値をEXTバイトに設定した第2通過遊技球数コマンド(E9XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS97B)。そして、ステップS99Bに移行する。
ステップS99Aでは、第1通路排出スイッチ173がオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている第1排出数カウンタの値を+1する(ステップ100A)。また、第1排出数カウンタの値をEXTバイトに設定した第1排出遊技球数コマンド(E8XX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS101A)。
ステップS99Bでは、第2通路排出スイッチ174がオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている第2排出数カウンタの値を+1する(ステップ100B)。また、第2排出数カウンタの値をEXTバイトに設定した第2排出遊技球数コマンド(EAXX(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS101B)。
いずれかの特定領域スイッチ171a,171b,171cがオンした(遊技球を検出した状態になった)場合には、RAM55に形成されている特定領域通過フラグをセットし(ステップS102,S103)、特定領域通過指定コマンド(E600(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(ステップS104)。
そして、演出態様Aコマンドが送信されている後であれば、第1通過数カウンタの値と第1排出数カウンタの値とが一致し、かつ、第2通過数カウンタの値と第2排出数カウンタの値とが一致していたら(ステップS105A)、ステップS116に移行する。いずれかが一致していない場合には、ステップS111に移行する。その後の制御は第1の実施の形態の場合と同じである。
演出態様Aコマンドが送信されている後でなければ(演出態様Bコマンドが送信されている後であれば)、第1通過数カウンタの値と第1排出数カウンタの値とが一致し、かつ、第2通過数カウンタの値と第2排出数カウンタの値とが一致していたら(ステップS105B)、ステップS116に移行する。いずれかが一致していない場合には、ステップS111に移行する。その後の制御は第1の実施の形態の場合と同じである。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大入賞口開放中処理でも、ステップS95A〜ステップ101Bの処理と同様の処理を実行する。また、この実施の形態では、大入賞口開放中処理で、第1通過数カウンタの値が0から1に変化したときには、演出態様Aコマンド(F001(H)の表示制御コマンド)と特殊演出開始指定コマンド(E501(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う。また、第2通過数カウンタの値が0から1に変化したときには、演出態様Bコマンド(F002(H)の表示制御コマンド)と特殊演出開始指定コマンド(E501(H)の演出制御コマンド)を演出制御基板80に送信する制御を行う(図21におけるステップS144の変形)。ただし、演出態様Aコマンドを送信したら、その後に第2通過数カウンタの値が0から1に変化しても演出態様Bコマンドを送信しない。また、演出態様Bコマンドを送信したら、その後に第1通過数カウンタの値が0から1に変化しても演出態様Aコマンドを送信しない。
図40は、この実施の形態における演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する大当り遊技中処理を示すフローチャートである。図40には大当り遊技中処理の一部が示されているが、その他の部分は、第1の実施の形態の場合と同じである。図40に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特殊演出開始コマンドを受信したら、演出態様Aコマンドを受信している場合には、演出態様Aの特殊演出(図36参照)を開始し、演出態様Bコマンドを受信している場合には、演出態様Bの特殊演出(図36参照)を開始する(ステップS905C)。
以上のような制御によって、第1の通路164を通過する遊技球を検出する第1の通過検出器(第1通路通過スイッチ168A)と、第2の通路165を通過する遊技球を検出する第2の通過検出器(第2通路通過スイッチ168B)とを備えた遊技機において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第1の通過検出器に対応する抽選演出(演出態様A)と第2の通過検出器(演出態様B)に対応する抽選演出とのうち、先に遊技球を検出した方の通過検出器に対応する抽選演出を実行することができる。そして、後に遊技球を検出した方の通過検出器に対応する抽選演出を無効にする(ステップS903,S904,S905C)。ここで、無効にするとは、実行しないことを意味する。このような実施の形態でも、特別遊技状態にするか否かの抽選結果を遊技者に提示するまでのプロセスを複雑にすることによって、特別遊技状態が発生することの遊技者の期待感をより高めることができる。また、この実施の形態では、特別領域における遊技球の通過状態と抽選演出とを整合させることができる。さらに、抽選演出が中途半端に終わることなく、遊技者の期待感を削いでしまうようなことが防止される。
なお、この実施の形態では、先に遊技球を検出した方の通過検出器に対応(先に遊技球が通過した方の通路に対応)する抽選演出を実行したが、所定の移行条件を成立させ難い第2の通路165に対応する抽選演出が開始された後、第1の通路164を遊技球が通過したときには、抽選演出の態様を、第1の通過検出器に対応する抽選演出に切り替えるようにしてもよい。すなわち、遊技者が注目する方の通路に対応する抽選演出を優先するようにしてもよい。この場合には、第2の通路165に対応する抽選演出が無効にされる。
また、先に遊技球が通過した方の通路に対応した抽選演出を開始した後、その遊技球がクルーンから排出された場合に、他方の通路を通過した遊技球(後の遊技球)が未だクルーンから排出されていないときには、その通路に対応した抽選演出に切り替えるようにしてもよい。
さらに、所定の移行条件を成立させやすい第1の通路164に対応する抽選演出が開始された後、第1の通路164から遊技球が排出されたら、可変表示装置9の画面を抽選演出開始前に行われていた大当り遊技の演出に戻し、その後、第2の通路165を遊技球が通過したときには、あらためて第2の通路165に対応する抽選演出を行うようにしてもよい。また、遊技球が第1の通路164または第2の通路165を通過したら、可変表示装置9の画面全体を抽選演出の画面に切り替えて抽選演出を開始し、通過数と排出数とが同数になったら、可変表示装置9の画面を、抽選演出開始前に行われていた大当り遊技の演出に戻し、その後、遊技球が遊技球が第1の通路164または第2の通路165を通過したら、大当り遊技の演出への切り替え以前に行われていた抽選演出に戻すようにしてもよい。
次に、図41の説明図を参照して第4の実施の形態の変形例を説明する。第4の実施の形態では、図41(A)に示すように、第1の通過検出器が先に遊技球を検出した場合(第1通過数カウンタの値が0から1に変化した場合)、演出態様Aの抽選演出が開始され、その後に、第2の通過検出器が遊技球を検出した場合(第2通過数カウンタの値が0から1に変化した場合)でも、演出態様Bは選択されない。換言すれば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出態様Bの選択を無効にする。また、第2の通過検出器が先に遊技球を検出した場合、演出態様Bの抽選演出が開始され、その後に、第1の通過検出器が遊技球を検出した場合)でも、演出態様Aは選択されない(図示せず)。そして、所定の抽選演出終了条件が成立すると(ステップS105A,S105B参照)、抽選演出が終了するように制御される。
しかし、図41(B)に示す変形例のように、抽選演出終了条件が成立したときに、選択が無効にされた方の演出態様を開始してもよい。図41(B)では、演出態様B(具体的には、演出態様Bでの抽選演出)が開始される例が示されている。また、図41(B)では、演出態様A(具体的には、演出態様Aでの抽選演出)の実行中に演出態様Bに対応する第2の通路165を通った遊技球のうち演出態様Aの終了後に第2クルーン167から排出されないものがある(第2通過数カウンタ≠第2排出数カウンタ)ときに、演出態様Bが開始される例が示されている。
また、図41(C)に示す変形例のように、抽選演出が開始された後、抽選演出の態様を変化させるようにしてもよい。図41(C)には、演出態様Aの抽選演出が開始された場合が例示されている。そして、図41(C)に示す例では、第1の通過検出器がさらに遊技球を検出した場合に、抽選演出の態様を演出態様A(発展型)に変化させる。演出態様A(発展型)とは、特定領域に遊技球が入賞する可能性がさらに高くなったことを遊技者に想起させるような演出である。例えば、橋上の歩行者の態様を、活気づけられたように変えたりする。また、第1の通過検出器がさらに遊技球を検出したら、さらに抽選演出の態様を、特定領域に遊技球が入賞する可能性がより高くなったことを遊技者に想起させるような演出に変えるようにしてもよい。
また、図41(A)〜(C)に例示した演出方法を単独で実行してもよいが、それらを任意に組み合わせて実行してもよい。
実施の形態5.
第1の通路164に第1通路通過スイッチ168Aを設け、第2の通路165に第2通路通過スイッチ168Bを設けた場合に、この実施の形態(第5の実施の形態)では、演出制御用マイクロコンピュータ100がさらに複雑な制御を行うことによって、抽選演出の興趣をさらに高める。なお、遊技機のハードウェア構成は、第4の実施の形態の場合と同じである。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御内容も、第4の実施の形態の場合と同じである(図38〜図40等参照)。
図42は、この実施の形態における特殊演出(抽選演出)を説明するための説明図である。図42(A)に示す演出態様は、図36(B)に示された態様と同じである。この実施の形態では、例えば演出態様A(図36参照)での特殊演出を開始した後、第2通路通過スイッチ168Bにより第2の通路165を遊技球が通過したことが検出されると、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ラウンド中の演出態様を変える。
図43は、この実施の形態における演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する大当り遊技中処理を示すフローチャートである。図43には大当り遊技中処理の一部が示されているが、その他の部分は、第1の実施の形態の場合と同じである。図43に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第1の実施の形態の場合と同様に、遊技制御用マイクロコンピュータ560から受信した第1通過遊技球数コマンドによって第1の通路164を通過した遊技球の累計が増加したことを確認した場合には、橋を渡っている人が前進するような表示がなされるように制御する(ステップS912A,S913:図36(B)参照)のであるが、第2通過遊技球数コマンドによって第2の通路165を通過した遊技球の累計が増加したことを確認した場合には、橋を渡っている人が後ろ向きになるような表示がなされるように制御する(ステップS925,S926:図42(B)参照)。なお、ここでは、演出態様Aの特殊演出が開始されたとする。
このように、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、第1の通過検出器(第1通路通過スイッチ168A)が検出した遊技球の数をカウントし、第2の通過検出器(第2通路通過スイッチ168B)が検出した遊技球の数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータ100が、遊技制御用マイクロコンピュータ560による第1通過数カウンタのカウント値と第2通過数カウンタのカウント値とに応じて抽選演出の態様を変化させるので、特別領域における遊技球の通過状態に対応した抽選演出を行うことができ、遊技者に遊技の進行状況を把握させやすくすることができる。
実施の形態6.
遊技機には、大当り遊技よりも遊技価値が低いが遊技者にとって有利な遊技状態となる(以下、小当り遊技という。)制御を行うものがある。例えば、特別図柄の停止図柄があらかじめ決められた小当り図柄になると小当り遊技が開始される。大当り遊技では、大入賞口が15回開放するが、小当り遊技では、15回よりも少ない回数(例えば5回、1回でもよい)大入賞口が開放する。なお、大入賞口の開放回数を同じにして、開放時間を、大当り遊技の場合に比べて、少なくしてもよい。
そのような小当り遊技中でも特殊演出(抽選演出)を行うようにすれば、遊技の興趣はさらに向上する。この実施の形態(第6の実施の形態)では、小当り遊技を行うことが可能な遊技機を対象とする。
図44は、この実施の形態における大当り判定値および小当り判定値の一例を示す説明図である。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、所定の時期(例えば、大当り判定を行ってはずれと判定されたとき、すなわち、大当りの事前判定を行うときと同じとき)に、小当り判定用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を抽出して抽出値を小当り判定用乱数値とするのであるが、小当り判定用乱数値が図44に示す小当り判定値に一致すると、小当りとすることに決定する。なお、この実施の形態では、小当り判定用乱数を発生するためのカウンタは、大当り判定用乱数を発生するためのカウンタと兼用されている。ただし、カウンタを別にしてもよい。その場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大当りと小当りとが同時に発生しないように、大当りの判定および小当りの判定を行う(例えば、大当りとすることに決定したら小当りの判定を行わないなど)。なお、この実施の形態では、通常時において、小当りが発生する確率と大当りが発生する確率とは同じであるが、小当りが発生する確率の方を高くしてもよい(具体的には、小当り判定値の数を増やす)。その場合には、長期間にわたって大当りが発生しないようなときでも小当りが発生する可能性が高くなり、小当りから確変状態に移行させる状況を遊技者に多めに提示することができ、遊技者を飽きさせないような効果を提供することができる。
この実施の形態では、大当り遊技中である場合と、小当り遊技中である場合とで、特殊演出(抽選演出)の演出態様を別にする。例えば、図45に示すように、大当り遊技中である場合には、橋を渡る人が服を着ているような特殊演出を実行し、小当り遊技中である場合には、橋を渡る人が服を着ていないような特殊演出を実行する。
図46は、この実施の形態における特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。図46に示すように、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大当り判定用乱数が、あらかじめ決められている小当り判定値と一致したら小当りとすることに決定する(ステップS81,S82)。そして、ステップS61に移行する。その他の処理は、第1の実施の形態の場合と同じである。
図47は、この実施の形態における演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。ただし、図47には一部のみが示されている。図示されていない部分は、図15に示された内容と同じである。図47に示すように、この実施の形態では、コマンド9002(H)を小当りとすることを指定する演出制御コマンドとし、コマンドB002(H)を小当り開始指定の演出制御コマンドとし、コマンドB003(H)を小当り開始終了の演出制御コマンドとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1の実施の形態の場合と同様に例えば特別図柄停止処理(ステップS304)で大当りすることに決定されているときには大当り開始指定コマンドを送信するのであるが、この実施の形態では、小当りすることに決定されているときには小当り開始指定コマンドを送信する。また、小当り遊技中では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、図18〜図22に示された処理と同様の処理を実行する。ただし、ステップS137(図20参照)に相当する処理において、最終ラウンドを判定するための数(ラウンド数)が異なる。
図48は、この実施の形態における演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する大当り遊技中処理を示すフローチャートである。図48には大当り遊技中処理の一部が示されているが、その他の部分は、第1の実施の形態の場合と同じである。図48に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特殊演出開始コマンドを受信したら、大当り開始指定コマンドを受信している場合には、大当り時の特殊演出(図45参照)を開始し、小当り開始指定コマンドを受信している場合には、小当り時の特殊演出(図45参照)を開始する(ステップS905D)。その他の処理は、第1の実施の形態の場合と同じである。
この実施の形態では、小当り遊技中でも特殊演出(抽選演出)を行い、かつ、大当り遊技中である場合と、小当り遊技中である場合とで、特殊演出(抽選演出)の演出態様を別にするので、特殊演出の興趣をより高くすることができる。なお、この実施の形態では、上記の各実施の形態の場合と同様に確変状態では可変表示が開始される毎に時短回数カウンタの値を−1し、確変状態が終了したとき(例えば、大当りが発生したとき、または所定回の可変表示が実行されたとき)に時短回数カウンタの値が0でなければ時短状態に移行させるのであるが、小当り時に確変状態とすることに決定された場合には、確変状態の終了後に時短状態に移行させないようにしてもよい。
なお、小当り遊技中で使用される演出パターンテーブルと、大当り遊技中で使用される演出パターンテーブルとを別個にしておくことが好ましい。
また、上記のように小当り遊技中では図18〜図22に示された処理と同様の処理が実行されるので、第2大当り遊技の場合と同様に、有利状態制御手段(遊技状態を小当り遊技状態に制御する手段、具体的には遊技制御用マイクロコンピュータ560)は、複数回である特定回未満のそれぞれの回の入賞容易状態の開始から所定時間以内に、通過数カウント手段によりカウントされた数の遊技球が排出検出手段により検出されないときに、次回の入賞容易状態への制御を停止する制御停止手段を含むことになる。その結果、小当り遊技中でも、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。
また、有利状態制御手段は、第2大当り遊技の場合と同様に、複数回である特定回未満のそれぞれの回の入賞容易状態の開始から所定時間以内に、通過数カウント手段によりカウントされた数の遊技球が排出検出手段により検出されないときに、次回の入賞容易状態への制御を停止する制御停止手段に加えて、その制御停止手段が次回の入賞容易状態への制御を停止するときに、その旨を報知するための制御を行う報知制御手段とを含むことになる。その結果、小当り遊技中でも、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。
また、有利状態制御手段は、第2大当り遊技の場合と同様に、複数回である特定回未満のそれぞれの回の入賞容易状態の開始から所定時間以内に、通過数カウント手段によりカウントされた数の遊技球が排出検出手段により検出されないときに、次回の入賞容易状態への制御を停止する制御停止手段に加えて、その制御停止手段が次回の入賞容易状態への制御を停止するときに、遊技の進行を停止させる遊技進行停止手段とを含むことになる。その結果、小当り遊技中でも、特別領域に遊技球を不正に停留させて不正に特別遊技状態に移行させるような不正行為を防止することができる。
以上に説明したように、上記の各実施の形態では、所定の移行条件を成立させるか否かについての抽選演出を可変表示装置9で実行し、排出検出手段が遊技球を検出したことにもとづいて抽選演出を終了するので、特別遊技状態にするか否かの抽選結果を遊技者に提示するまでのプロセスを複雑にすることによって、特別遊技状態が発生することの遊技者の期待感をより高めることができる。また、抽選演出がむやみに長く実行されることはない。
なお、上記の実施の形態では、特定遊技状態として確変状態を例にしたが、特定遊技状態は時短状態であってもよい。
また、上記の実施の形態では、確変状態の開始時に時短回数カウンタに所定値を設定し、確変状態では可変表示が開始される毎に時短回数カウンタの値を−1し、確変状態が終了したときに時短回数カウンタの値が0でなければ時短状態に移行させたが、確変状態が終了したときから、所定回の可変表示について時短状態とするようにしてもよい。その場合には、時短回数カウンタによるカウントを、時短状態になってから開始する。また、確変状態が終了したときに、あらためて時短回数カウンタに所定値(時短継続可能回数)をセットするようにしてもよい。
また、上記の実施の形態では、確変状態に移行させるための所定の移行条件は、遊技球による抽選領域160での抽選でのみ成立するとしたが、それに加えて、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、大当りとするか否か決定するときに、確変大当り(可変表示の終了後に確変状態に移行させることが認識できる大当り)とするか否か抽選によって決定するようにしてもよい。その場合、大当りとするか否か決定するときに確変大当りとしないことに決定したときに、上記の各実施の形態のような役物を用いた抽選を行う。また、大当りとするか否か決定するときに確変大当りと決定したときには、役物を用いた抽選を行わなくてよい。
さらに、特定遊技状態が確変状態である場合には、確変状態の終了後に時短状態に移行しないように構成してもよい。
また、上記の実施の形態では、抽選領域160を遊技者に視認可能になるように構成したが、遊技者が視認できないようにしてもよい。その場合には、遊技者は、可変表示装置9において行われる抽選演出によって、所定の移行条件が成立したか否か把握することができる。
また、上記の実施の形態では、大当り中または小当り中の各ラウンドにおいて、最終ラウンド以外では継続権が発生して次ラウンドが開始されたが、特別領域にいわゆるV入賞領域を例えば入賞球排出経路に設け(具体的には遊技球検出スイッチを設ける)、V入賞領域に遊技球が入賞したことを条件に、継続権を発生させるようにしてもよい。
実施の形態7.
図49は、第7の実施の形態のパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
この実施の形態では、遊技盤6において、可変表示装置として、所定の始動条件の成立にもとづいて各々を識別可能な複数種類の演出用の飾り図柄を可変表示し表示結果を導出表示する第1可変表示部9aと、所定の始動条件の成立にもとづいて各々を識別可能な複数種類の演出用の飾り図柄を可変表示し表示結果を導出表示する第2可変表示部9bとが配置されている。この実施形態では、第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9はそれぞれ液晶表示装置(LCD)により構成され、左・中・右の3つの表示領域に識別情報としての飾り図柄が表示制御されるように構成されている。
第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9bの上部には、特別図柄表示装置として、識別情報としての特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。以下、第1特別図柄表示器8aにおいて可変表示される識別情報を第1特別図柄といい、第2特別図柄表示器8bにおいて可変表示される識別情報を第2特別図柄ということがある。また、第1特別図柄と第2特別図柄とを、特別図柄と総称することがある。
第1可変表示部9aは、第1特別図柄表示器8aによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。また、第2可変表示部9bは、第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。飾り図柄の可変表示を行う第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9bは、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。以下、第1可変表示部9aにおいて可変表示される識別情報を第1飾り図柄といい、第2可変表示部9bにおいて可変表示される識別情報を第2飾り図柄ということがある。また、第1飾り図柄と第2飾り図柄とを、飾り図柄と総称することがある。
可変表示装置の上方には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21Aによって開状態とされる開閉板20Aと、ソレノイド21Bによって開状態とされる開閉板20Bとが設けられている。開閉板20A,20Bは、それぞれの大入賞口を開放する手段である。開閉板20Aは、第1特別図柄表示器8aでの特別図柄の表示結果が大当り図柄になると開放する。また、開閉板20Bは、第2特別図柄表示器8bでの特別図柄の表示結果が大当り図柄になると開放する。
可変表示装置の左右側方には、第1抽選領域161Aと第2抽選領域161Bとが設けられている。第1抽選領域161Aと第2抽選領域161Bのそれぞれの構成は、第1の実施の形態における抽選領域160の構成と同じである。ただし、第1抽選領域161Aと第2抽選領域161Bとは左右対称に形成されている。また、第1抽選領域161Aと第2抽選領域161Bのそれぞれに至る経路に設けられている各部材の構成も、第1の実施の形態における抽選領域160の構成と同じである。以下、第1抽選領域161Aにおける特定領域を第1特定領域といい、第2抽選領域161Bにおける特定領域を第2特定領域という。
この実施の形態では、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に遊技球が入賞したときに、第1特別図柄表示器8aおよび第1可変表示部9aと、第2特別図柄表示器8bおよび第2可変表示部9bとのうちで、可変表示がなされていないものがあれば、可変表示がなされていない特別図柄表示器および可変表示部で可変表示が開始される。また、いずれにおいても可変表示がなされているときには、保留記憶数が、4を上限として1増やされる。
なお、第1特別図柄表示器8aおよび第1可変表示部9aは、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことにもとづいて可変表示を開始し、第2特別図柄表示器8bおよび第2可変表示部9bは、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことにもとづいて可変表示を開始するように構成されていてもよい。以下の説明では、そのような構成について説明を行う。また、その場合には、特別図柄保留記憶表示器は2つ設けられていることが好ましい。
図50は、この実施の形態における主基板31の回路構成の一例を示すブロック図である。図4に示された第1の実施の形態における主基板31の回路構成と異なる点は、入力ドライバ回路58に、第1始動口13に入賞した遊技球を検出するための第1始動口スイッチ13aの検出信号と、第2始動口14に入賞した遊技球を検出するための第2始動口スイッチ14aの検出信号とが入力されることである。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、出力回路59を介してソレノイド20A,20Bを駆動する。さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとの表示制御を行う。
また、ランプドライバ基板37には、保留記憶数を表示するための特別図柄保留記憶表示器18が接続されている。演出制御基板80の回路構成は第1の実施の形態の場合と同じであるが、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100およびVDP109は、第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9bの表示制御を行う。
この実施の形態では、タイマ割込が発生すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、図51に示すステップS20〜S33の遊技制御処理を実行する。図7に示された遊技制御処理と異なる点は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、第1特別図柄プロセス処理(ステップS25A)を行うこと、および第2特別図柄プロセス処理(ステップS25B)を行うことである。第1特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じて、第1可変表示部9a、第1特別図柄表示器8aおよび第1大入賞口(開閉板21Aによって開放される側)を所定の順序で制御するための第1特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。第1特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。第2特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じて、第2可変表示部9b、第2特別図柄表示器8bおよび第2大入賞口(開閉板21Bによって開放される側)を所定の順序で制御するための第2特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。第2特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
なお、この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bの2つの表示器によって第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行される。そして、この実施の形態では、2つの表示器において同時に大当りが発生しないような制御を行う。
図52は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する第1特別図柄プロセス処理(ステップS25A)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、第1特別図柄プロセス処理では第1可変表示部9a等を制御するための処理が実行される。なお、第2特別図柄プロセス処理(ステップS25B)のプログラムも同様に構成される。すなわち、以下の説明において、「第1」を「第2」と読み替え、「第2」を「第1」と読み替え、「第1特別図柄表示器8a」,「第1可変表示部9a」を「第2特別図柄表示器8b」,「第2可変表示部9a」と読み替えれば、第2特別図柄プロセス処理が説明されることになる。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄プロセス処理を行う際に、遊技盤6に設けられている第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13aがオンしていたら、すなわち遊技球が第1始動入賞口13に入賞する始動入賞が発生していたら(ステップS411)、保留記憶数が上限値に達していないことを条件に(ステップS412)、保留記憶数を示す第1保留記憶カウンタの値を1増やす(ステップS413)。その後、内部状態(具体的には、第1特別図柄プロセスフラグの値)に応じて、ステップS400〜S407のうちのいずれかの処理を行う。
なお、第1保留記憶カウンタの値を1増やす際に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタの値等を抽出し、それらを、抽出した乱数値として第1保留記憶カウンタの値に対応する第1保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行する。第1保留記憶バッファにおいて、保存領域は、保留記憶数の上限値と同数確保されている。なお、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタや第1保留記憶バッファは、RAM55に形成されている。
第1特別図柄通常処理(ステップS400):遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、第1保留記憶カウンタに記憶されている記憶数(保留記憶数)を確認する。そして、第1保留記憶カウンタのカウント値が0でなければ、通常時には図9の左側に示す通常時大当り判定値テーブルの設定値と大当り判定用乱数とを比較し、確変時には図9の右側に示す確変時大当り判定値テーブルの設定値と大当り判定用乱数とを比較して、第1特別図柄の可変表示の結果、当りとするか否か(特定表示結果とするか否か)を決定する。当りとする場合には第1大当りフラグをセットする。そして、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS401に応じた値に更新する。
第1特別図柄停止図柄設定処理(ステップS401):可変表示後の第1特別図柄の停止図柄を決定する。そして、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS402に応じた値に更新する。
第1変動パターン設定処理(ステップS402):第1特別図柄の可変表示の変動パターン(ここでは変動時間に相当)を、始動入賞発生時に抽出した変動パターン決定用乱数(表示用乱数の一つ)の値に応じてあらかじめ定められた複数種類の変動パターン(図10参照)の中から選択する。その際に、通常時(確変フラグおよび時短フラグがリセットされているとき)には通常時変動パターンテーブル(第1の可変表示パターンテーブル)の中から選択し、特別遊技状態時(確変フラグまたは時短フラグがセットされているとき)には確変/時短時変動パターンテーブル(第2の可変表示パターンテーブル)の中から選択する。また、決定された変動パターンにもとづいて、第1特別図柄が可変表示され導出表示されるまでの可変表示時間を第1特別図柄プロセスタイマにセットした後、第1特別図柄プロセスタイマをスタートさせる。また、特別図柄表示器8において特別図柄が可変表示を開始させる。このとき、演出制御基板80に対して、変動パターンを指令する情報(変動パターンコマンド、図15参照)を送信する。演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動パターンコマンドの受信に応じて可変表示装置9において飾り図柄の可変表示を開始させる。従って、特別図柄と飾り図柄がともに変動を開始する。そして、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS403に応じた値に更新する。なお、ここでは、確変フラグまたは時短フラグがセットされているときには確変/時短時変動パターンテーブル(第2の可変表示パターンテーブル)の中から選択するが、第2の可変表示パターンテーブルとは内容が異なる第3の可変表示パターンテーブル(時短時変動パターンテーブル)を設け、時短時には、第3の可変表示パターンテーブルから変動パターンを選択するようにしてもよい。
第1特別図柄変動中処理(ステップS403):第1変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS402でセットされた第1特別図柄プロセスタイマがタイムアウト)すると、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS404に応じた値に更新する。
第1特別図柄停止処理(ステップS404):第1特別図柄表示器8aにおける可変表示を停止して停止図柄を表示させる。そして、第1大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS405に応じた値に更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS400に応じた値に更新する。なお、演出制御基板80における演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動時間が経過すると独自に第1飾り図柄の可変表示を停止させる制御を実行するが、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、第1可変表示部9aにおいて第1飾り図柄が停止されるように制御してもよい。例えば、変動時間が経過したときに、飾り図柄停止を示す演出制御コマンド(飾り図柄停止コマンド)を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するようにしてもよい。
第1大入賞口開放前処理(ステップS405):第1大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21Aを駆動して第1大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって第1大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS406に応じた値に更新する。
第1大入賞口開放中処理(ステップS406):大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御基板80に送出する制御や第1大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。まだ残りラウンドがある場合には、内部状態をステップS405に応じた値に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態をステップS307に応じた値に更新する。
第1特定領域有効時間処理(ステップS307):遊技球が第1特定領域に入賞するか否かを所定時間検出する。所定時間が経過したら、または、遊技球が第1特定領域に入賞したことが検出されたら、内部状態(第1特別図柄プロセスフラグ)をステップS408に移行するように更新する。
第1大当り終了処理(ステップS407):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ100に行わせるための制御を行う。そして、内部状態をステップS400に応じた値に更新する。
図53は、この実施の形態における演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。ただし、図53には一部のみが示されている。図示されていない部分は、図15に示された内容と同じである。ただし、大当りに関わる演出制御コマンド(大当り指定コマンドや大当り開始コマンド等)は、第1可変表示部9aに関わる第1のコマンドと第1可変表示部9bに関わる第2のコマンドとに分かれている。
図53に示すように、コマンドA100(H)は、第1可変表示部9aでの飾り図柄の可変表示の中断を指示する演出制御コマンドであり、コマンドA101(H)は、第1可変表示部9aでの飾り図柄の可変表示の再開を指示する演出制御コマンドである。コマンドA200(H)は、第2可変表示部9bでの飾り図柄の可変表示の中断を指示する演出制御コマンドであり、コマンドA201(H)は、第2可変表示部9bでの飾り図柄の可変表示の再開を指示する演出制御コマンドである。
次に、第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9bにおける表示態様について説明する。図54,図55は、第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9bにおける演出表示の一例を示す説明図である。この実施の形態では、第1可変表示部9aと第2可変表示部9bとの2つの可変表示部において、飾り図柄の変動表示を並行して行うことが可能である。すなわち、第1可変表示部9aにおいて第1飾り図柄a〜cの変動表示が実行されているときに、第2可変表示部9において第2飾り図柄d〜fの変動表示が並行して実行されることがある。図54,図55において、(1)→(8)の順に表示状態が遷移する。なお、図54〜図55において、飾り図柄としての矢印は、飾り図柄が変動中であることを示す。図54,図55に例示するような表示演出は、演出制御用マイクロコンピュータ100によって実行される。
図55に示すように、第2可変表示部9bにおいて第2飾り図柄d,e,fの変動が行われていた場合には、第1大当り遊技が行われ第1可変表示部9aにおいて大当り遊技中の表示演出が行われているときには、第2可変表示部9bにおける変動は中断されている(図55の(5)〜(7)参照)。このとき、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動時間を計測するための変動時間タイマ(変動開始時にスタート、タイムアップで変動を停止させるためのタイマ)を停止させている。そして、第1大当り遊技が終了すると、第2可変表示部9bにおける変動が再開される。このとき、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、変動時間タイマの停止を解除して計時を再開させる。
また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第2可変表示部9bで変動が中断されるときにははずれ図柄を一旦停止表示させる(図55の(5)参照)。停止表示させる時点において可視表示(例えば可変表示部の中央に表示されていること)させていた飾り図柄をそのまま停止表示させてもよいが(停止図柄が大当り図柄になる場合には左中右のうちの任意の図柄をずらす)、乱数を発生させて乱数に応じて中断時の図柄を決定したり、あらかじめ決められている順序で中断時の図柄を選択したりしてもよく、中断時の図柄の選定の方法は任意である。
また、図55の(6)および(7)に示すように、第1大当り遊技が実行され第1可変表示部9aにおいて大当り遊技中の表示演出が行われているときに、可変表示を中断している第2可変表示部9bにおいて、所定の案内情報などを表示するようにしてもよい。案内情報とは、例えば、遊技者に対して、リーチの種類、遊技情報、キャラクタの種類、キャラクタの出現による効果などを教示するための情報である。案内情報が表示されたことによって、遊技者は可変表示が正常に中断されていること(可変表示の停止がエラーではないこと)を容易に把握できる。また、可変表示を中断している第2可変表示部9bにおいて、第1大当り遊技に関する情報を表示するようにしてもよい。例えば、第1大当り遊技に関するラウンド数や第1大入賞口への入賞球数を表示するようにしてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄プロセス処理における第1特別図柄通常処理および第2特別図柄プロセス処理における第2特別図柄通常処理において、第1の実施の形態における特別図柄通常処理(図16および図17参照)と同様の処理を行うのであるが、第1特別図柄通常処理において第2大当り遊技中フラグがセットされているときには、変動開始可能でないとする(ステップS51参照)。また、第2特別図柄通常処理において第1大当り遊技中フラグがセットされているときには、変動開始可能でないとする(ステップS51参照)。第1大当り遊技中フラグは、第1特別図柄プロセス処理において、第1大当り遊技の開始時にセットされ、第1大当り遊技の終了時にリセットされるフラグであり、第1大当り遊技中であることを示すフラグである。第2大当り遊技中フラグは、第2特別図柄プロセス処理において、第2大当り遊技の開始時にセットされ、第2大当り遊技の終了時にリセットされるフラグであり、第2大当り遊技中であることを示すフラグである。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄プロセス処理における第1大入賞口開放前処理、第1大入賞口開放中処理および第1特定領域有効時間処理を、第1の実施の形態における対応する処理(大入賞口開放前処理、大入賞口開放中処理および特定領域有効時間処理)と同様に行う(図18〜図22参照)。また、第2特別図柄プロセス処理における第2大入賞口開放前処理、第2大入賞口開放中処理および第2特定領域有効時間処理を、第1の実施の形態における対応する処理(大入賞口開放前処理、大入賞口開放中処理および特定領域有効時間処理)と同様に行う(図18〜図22参照)。
図56は、第1特別図柄プロセス処理における第1特別図柄変動中処理(ステップS403)を示すフローチャートである。第1特別図柄変動中処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第2大当り遊技中フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS181)。第2大当り遊技中フラグがセットされていない場合には、中断フラグがセットされているか否か確認する(ステップS182)。中断フラグがセットされていたら、中断フラグをリセットして(ステップS183)、再開指定の演出制御コマンド(中断コマンド:A101(H))を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS184)。演出制御用マイクロコンピュータ100は再開コマンドを受信すると、第1可変表示部9aにおける第1飾り図柄の変動表示を再開させる制御を実行する。
ステップS181〜S184の制御によって、第1可変表示部9aにおいて第1飾り図柄の変動が中断されていた場合に、第2特別図柄表示器8bの表示結果が大当り図柄であったときに実行される大当り遊技(第2大当り遊技)が終了すると、第1可変表示部9aにおいて第1飾り図柄の変動が再開される。なお、ここでは、第1特別図柄プロセス処理について説明を行っているが、第2特別図柄プロセス処理でも、同様に、第2可変表示部9bにおいて第1飾り図柄の変動が中断されていた場合に、第1特別図柄表示器8aの表示結果が大当り図柄であったときに実行される大当り遊技(第1大当り遊技)が終了すると、第2可変表示部9bにおいて第2飾り図柄の変動が再開される。
ステップS182で中断フラグがセットされていないことを確認したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1特別図柄プロセスタイマを1減算し(ステップS185)、第1特別図柄プロセスタイマがタイムアウトしたら(ステップS186)、第1特別図柄プロセスフラグの値を第1特別図柄停止処理(ステップS404)に対応した値に更新する(ステップS187)。第1特別図柄プロセスタイマがタイムアウトしていない場合には、第1特別図柄プロセスフラグの値を更新せずに第1特別図柄変動中処理を終了する。
ステップS181で第2大当り遊技中フラグがセットされていることを確認したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、中断フラグがセットされているか否か確認する(ステップS188)。中断フラグがセットされている場合には、処理を終了する。中断フラグがセットされていない場合には、中断フラグをセットし(ステップS189)、中断指定の演出制御コマンド(中断コマンド:A100(H))を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS80)。演出制御用マイクロコンピュータ100は中断コマンドを受信すると、第1可変表示部9aにおける第1飾り図柄の変動表示を中断させる制御を実行する。
ステップS181,S188〜S190の制御によって、第2特別図柄表示器92の表示結果が大当り図柄であったときに実行される大当り遊技(第2大当り遊技)が開始されると、第1可変表示部9aにおいて第1飾り図柄の変動が中断される。なお、ここでは、第1特別図柄プロセス処理について説明を行っているが、第2特別図柄プロセス処理でも、同様に、第1特別図柄表示器8aの表示結果が大当り図柄であったときに実行される大当り遊技(第1大当り遊技)が開始されると、第2可変表示部9bにおいて第2飾り図柄の変動が中断される。
このように、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1可変表示部9a(または第2可変表示部9b)において第1飾り図柄(または第2飾り図柄)の変動表示が実行されているときに第2大当り遊技中フラグ(または第1大当り遊技中フラグ)がセットされると、変動時間を計測する特別図柄プロセスタイマの減算を中断するとともに、演出制御基板80に第1飾り図柄(または第2飾り図柄)の変動表示の中断を指示するコマンドを送信して、第2特別図柄表示器8b(または第1特別図柄表示器8a)に大当り図柄(特定表示結果)が導出表示されたことにもとづく大当り遊技状態(特定遊技状態)が発生してから、大当り遊技状態が終了するまでは第1可変表示部9a(または第2可変表示部9b)における第1飾り図柄(または第2飾り図柄)の変動表示を中断させる処理を実行する。なお、ここでの説明において、それぞれの(または・・・)の記述は対応している。つまり、全ての(または・・・)の記述が、直前の記述と置き換えられるように説明がなされている。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図57は、演出制御用マイクロコンピュータ100が実行するメイン処理を示すフローチャートである。図24に示された第1の実施の形態におけるメイン処理と異なる点は、演出制御用マイクロコンピュータ100が第1演出制御プロセス処理(ステップS705A)および第2演出制御プロセス処理(ステップS705B)を実行することである。第1演出制御プロセス処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第1可変表示部9aの表示制御を行うために、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。第2演出制御プロセス処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第2可変表示部9bの表示制御を行うために、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。
図58は、図57に示されたメイン処理における第1演出制御プロセス処理(ステップS705A)を示すフローチャートである。第1演出制御プロセス処理では、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS810〜S816のうちのいずれかの処理を行う。各処理は、第1の実施の形態における演出制御プロセス処理で実行されるステップS800〜S806の各処理に相当する(図25参照)。なお、第2演出制御プロセス処理(ステップS705B)も、制御対象が第2可変表示部9bであるという違いはあるが、第1演出制御プロセス処理と同様に構成される。
従って、第1の実施の形態の場合と同様に、遊技制御用マイクロコンピュータ560から受信した演出制御コマンドに応じて、可変表示装置(この例では、第1可変表示部9aと第2可変表示部9bのそれぞれ)において特殊演出(抽選演出)が実行される。なお、開閉板21Aが開放して第1大入賞口が開いているとき、すなわち抽選領域160Aに遊技球が流入可能なときには、第1可変表示部9aで抽選演出が実行され、開閉板21Bが開放して第2大入賞口が開いているとき、すなわち抽選領域160Bに遊技球が流入可能なときには、第2可変表示部9bで抽選演出が実行される。
図59は、第1演出制御プロセス処理における第1図柄変動中処理(ステップS812)を示すフローチャートである。第1図柄変動中処理において演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、変動中断フラグがセットされているか否か確認し(ステップS821)、変動中断フラグがセットされていなければ中断コマンドを受信したか否か確認する(ステップS822)。中断コマンドを受信していれば変動中断フラグをセットし(ステップS823)、第1可変表示部9aにはずれ図柄を停止表示する(ステップS824)。
また、ステップS821で変動中断フラグがセットされていることを確認したら、演出制御用マイクロコンピュータ100は、再開コマンドを受信したか否か確認する(ステップS831)。再開コマンドを受信していれば、変動中断フラグをリセットするとともに(ステップS832)、第1可変表示部9aにおいて飾り図柄の変動を再開させる(ステップS833)。再開コマンドを受信していなければ、処理を終了する。なお、変動中断フラグがセットされている場合には(ステップS821参照)、再開コマンドを受信するまでは(ステップS831参照)、変動時間タイマを−1する制御は実行されず、飾り図柄の変動時間を計測するためのタイマは停止している。
ステップS822で中断コマンドを受信していないことを確認したら、演出制御用マイクロコンピュータ100は、変動時間タイマを1減算する(ステップS825)。変動時間タイマは、第1飾り図柄の変動開始時にセットされている。変動時間タイマがタイムアウトしていれば(ステップS826)、第1演出制御プロセスフラグの値を第1全図柄停止待ち処理(ステップS814)に応じた値に更新する(ステップS827)。
以上のように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第2可変表示部9bに大当り図柄が導出表示されて大当り遊技状態となったときには、中断コマンドを受信したことにもとづいて変動中断フラグをセットするとともに変動中断処理(ステップS824の処理)を行う。そして、再開コマンドを受信するまでステップS825,S826の処理を実行しないように制御する。すなわち、第1飾り図柄の変動を中断する制御がなされる。
なお、主基板31から中断コマンドおよび再開コマンドを送信することなく、演出制御用マイクロコンピュータ100に第1飾り図柄の変動を停止させる指示を行うように構成してもよい。例えば、ステップS822の処理において、中断コマンドの受信を監視する処理に代えて、第1大当り開始コマンドの受信を監視し、ステップS831の再開コマンドの受信の監視に代えて、第1大当り終了コマンド(第1大当り終了指定の演出制御コマンド)の受信を監視してもよい。
以上に説明したように、第1可変表示部9aにおいて特定表示結果が導出表示されたときに第2可変表示部9bにおける識別情報(飾り図柄)の可変表示を中断することによって、複数の可変表示部において同時に大当り遊技状態となる表示結果が導出されることを防ぐことができる。また、第1可変表示部9aに特定表示結果が導出表示されるまで第2の可変表示部9bで識別情報の可変表示が行われるので、第1可変表示部9aに特定表示結果が導出表示されることを遊技者に把握され難くすることができる。
また、第1の実施の形態の場合と同様に、可変表示装置において特殊演出(抽選演出)が実行されるので、特別遊技状態にするか否かの抽選結果を遊技者に提示するまでのプロセスを複雑にすることによって、特別遊技状態が発生することの遊技者の期待感をより高めることができる。
なお、この実施の形態では、第1の実施の形態における抽選の仕方を用いる場合を例にしたが、第2〜第6の実施の形態における抽選の仕方を用いることもできる。
さらに、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1可変表示部9aで可変表示が開始されるときでも第2可変表示部9bで可変表示が開始されるときでも、遊技状態が確変状態であれば、図10に示された確変時/時短時の変動パターンテーブルを使用する。すると、例えば、第1可変表示部9aで変動時間が長い可変表示が行われているときに第2可変表示部9bで可変表示が開始され、かつ、その変動時間が短い場合には、繰り返し第2可変表示部9bでの可変表示が開始される可能性がある。確変状態では平均の変動時間が短いので、そのような状況が現れやすくなる。ところが、この実施の形態では、可変表示の開始時に特別図柄の停止図柄を大当り図柄とすることに決定された場合または確変回数カウンタが0になった場合に確変フラグがリセットされるので(図17のステップS65参照)、可変表示が終了した後に(大当り遊技を伴う場合には大当り遊技が終了した後)確変フラグをリセットする場合に比べて、上記のような可能性が低減する。すなわち、特別遊技状態の終了条件が成立した場合に、識別情報の可変表示が終了してから状態データを非特別状態に設定するときには、その可変表示の可変表示時間が長い場合には、他方の可変表示装置において多数回の可変表示(第2の可変表示パターンテーブルから可変表示パターンが選択されたもの)が実行される可能性があるが、識別情報の可変表示を開始するときに、状態データを非特別状態に設定すれば、そのような可能性が低減する。また、以後、図9の左側に示す通常時大当り判定値テーブル(大当り判定値が少ない)の設定値と大当り判定用乱数とを比較する。上記のような可能性が高いと、例えば確変終了条件が成立するときに第1可変表示部9aで変動時間が長い可変表示が行われているときに、たまたま第2可変表示部9bで短い変動時間が続いた場合とそうでない場合とで遊技者に与えられる利益に相違がでる(短い変動時間が続いた方が有利)。しかし、この実施の形態では、遊技者に与えられる利益に相違がでるといった不公平が是正される。なお、このことは、比較的有利な遊技状態から比較的不利な遊技状態に移行する場合(確変状態から時短状態もしくは通常状態に移行する場合、または時短状態から通常状態に移行する場合)に当てはまる。
また、表示制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100およびVDP109が、遊技状態(通常状態、確変状態、時短状態)に応じて可変表示装置(第1可変表示部9aおよび第2可変表示部9b)の背景(画面における飾り図柄およびキャラクタ以外の部分)の色や内容を変えるように制御してもよい。このことは、第1〜第6の実施の形態についても同様である。第1〜第6の実施の形態に適用する場合には、可変表示装置9の背景を変える。その場合に、確変状態から通常状態に移行したときや、時短状態から通常状態に移行したときに、移行時から所定回(1回でもよい)の可変表示が行われる間、移行前の遊技状態に応じた背景を使用するようにしてもよい。このように、表示制御手段が、実際に遊技状態が変更されてから所定回の可変表示については変更前の遊技状態に応じた遊技状態報知を行うことによって、遊技者が遊技状態を把握しづらくなって遊技の興趣が向上する。すなわち、この実施の形態では、特別遊技状態が終了する場合には、可変表示が開始される前に遊技状態が変更される。具体的には、遊技状態を示す確変フラグや時短フラグの状態が変更される。遊技状態の変更をそのまま背景等に反映すると遊技者は遊技状態を把握しやすくなるが、特別遊技状態を終了させる条件が大当りの発生である場合には、背景等の変更によって可変表示の表示結果が大当りとなることを遊技者が認識できてしまう。遊技状態が変更されても背景等を変更しないことによって、可変表示の開始時において、可変表示の表示結果を遊技者に認識されないようにすることができる。
また、この実施の形態では特別遊技状態における可変表示の実行可能回数を遊技者に報知していないが、例えば可変表示装置等に、特別遊技状態における可変表示の実行可能回数を表示することによって、遊技者に残り回数を報知するようにしてもよい。このことは、第1〜第6の実施の形態についても同様である。そのように構成する場合に、演出制御用マイクロコンピュータ100は、確変状態に移行したときや時短状態に移行したときに、確変状態における可変表示の実行可能回数や時短状態における可変表示の実行可能回数を遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御コマンドとして受信する。また、受信したコマンドが示す回数をRAMに記憶する。そして、可変表示が実行される毎にRAMに記憶されている回数を−1し、RAMに記憶されている回数を可変表示装置に表示(可変表示装置を用いて報知)する制御を行う。さらに、演出制御用マイクロコンピュータ100が、所定の乱数を発生して発生した乱数に応じて回数を決定し、決定した回数を可変表示の実行可能回数を報知するとともに、可変表示が実行される毎に−1した回数を報知するようにしてもよい。最初に報知される実行可能回数は、実際の実行可能回数よりも多いことが好ましい。そのような制御を行うことによって、演出制御用マイクロコンピュータ100が正確な実行可能回数を認識しなくても(例えば遊技制御用マイクロコンピュータ560から通知を受けなくても)、実行可能回数に関する報知演出を行うことができる。
さらに、第7の実施の形態では、以下のような特徴的事項も開示されている。
所定の始動条件の成立(例えば、第1始動入賞口13への遊技球の入賞、第2始動入賞口14への遊技球の入賞)にもとづいて各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、第1特別図柄および第2特別図柄、または第1特別図柄および第2特別図柄とそれぞれ同期した第1飾り図柄a〜cおよび第2飾り図柄e〜f)の可変表示を行って表示結果を導出表示する複数の可変表示部(例えば、第1可変表示部9a、第2可変表示部9b)を備え、複数の可変表示部のうちのいずれかの可変表示部に特定表示結果(例えば大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)に制御する遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、複数の可変表示部の表示結果をその導出表示以前に決定する事前決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS56の大当り判定を実行する部分)と、事前決定手段による決定結果にもとづいて複数の可変表示部それぞれにおける識別情報の可変表示を開始してから表示結果を導出表示するまでの可変表示時間を示す可変表示データをあらかじめ定められた複数種類の可変表示データ(例えば変動パターン、図10参照)の中から選択する可変表示データ選択手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS402の処理を実行する部分)と、可変表示データ選択手段によって選択された可変表示データにもとづく可変表示時間を計測する可変表示時間計測手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS185の処理を実行する部分)と、可変表示時間計測手段により計測された可変表示時間が経過したかを判定する可変表示時間判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS186の処理を実行する部分)と、複数の可変表示部の表示制御を行うとともに可変表示時間が経過したときに識別情報の表示結果を導出表示する表示制御手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS403,S404の処理を実行する部分、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS813,S814の第1図柄変動中処理および第1全図柄停止待ち処理を実行する部分)とを備え、可変表示時間計測手段が、複数の可変表示部のうち第1可変表示部に特定表示結果が導出表示され(図54の(4)参照)、かつ、第1可変表示部とは異なる第2可変表示部にて識別情報の可変表示が実行されているとき(図54の(4)参照)、第1可変表示部にて特定表示結果が導出表示された第1の時点(例えば、第1特別図柄停止処理で第1大当り遊技中フラグがセットされた時点)で第2可変表示部における可変表示時間の計測を中断(例えば、第2特別図柄プロセスタイマの減算を行わない)し、第1可変表示部にて特定表示結果が導出表示されたことにもとづく特定遊技状態への制御が終了した第2の時点(例えば、第1大当り終了処理で第1大当り遊技中フラグがリセットされた時点)で可変表示時間の計測を再開(例えば、第2特別図柄プロセスタイマの減算を再開)する計測中断再開手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560における第2特別図柄プロセスタイマに係る制御を実行する部分、図56におけるステップS182,S183およびステップS188,S189参照、ただし、図56は第1特別図柄プロセス処理の一部なので、第2特別図柄プロセス処理の場合には、図56の記載において、「第1特別図柄」を「第2特別図柄」と、「第2大当り」を「第1大当り」と読み替える)を含み、表示制御手段が、第1の時点で計測中断再開手段により第2可変表示部における可変表示時間の計測を中断したときに第2可変表示部における識別情報の可変表示を中断させる識別情報一時停止手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100における図59のステップS823を実行する部分、ただし、図59は第1可変表示部に係る第1演出制御プロセス処理の一部なので、第2演出制御プロセス処理の場合には、図59の記載において、「第1演出制御」を「第2演出制御」と、「第1飾り図柄」を「第2飾り図柄」と読み替える)と、第2の時点で計測中断再開手段により第2可変表示部における可変表示時間の計測を再開したときに第1の時点で第2可変表示部において中断した識別情報の可変表示を再開させる識別情報再可変表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100における図59のステップS833を実行する部分、ただし、図59は第1可変表示部に係る第1演出制御プロセス処理の一部なので、第2演出制御プロセス処理の場合には、図59の記載において、「第1演出制御」を「第2演出制御」と、「第1飾り図柄」を「第2飾り図柄」と読み替える)とを含むことを特徴とする遊技機。
識別情報一時停止手段が、特定表示結果とは異なる表示態様である非特定表示結果を停止表示させる(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、第2可変表示部9bで変動が中断されるときにははずれ図柄を一旦停止表示させる(図55の(5)参照)遊技機。
表示制御手段が、第2の可変表示部において実行中の識別情報の可変表示を中断したときに、その旨を報知する中断報知手段(例えば、図55の(6)および(7)に示すように、第1大当り遊技が実行され第1可変表示部9aにおいて大当り遊技中の表示演出が行われているときに、可変表示を中断している第2可変表示部9bにおいて、所定の案内情報などを表示する)を備えた遊技機。