実施の形態1.
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く。)とを含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と遊技球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。また、可変表示装置9には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つの特別図柄始動記憶表示エリア(始動記憶表示エリア)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、表示色が変化する(例えば青色表示から赤色表示に変化)始動記憶表示エリアを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、表示色が変化している始動記憶数表示エリアを1減らす(すなわち表示色をもとに戻す)。なお、始動記憶数を表示する表示器(特別図柄始動記憶表示器)を可変表示装置9とは別個に設けてもよい。
可変表示装置9の下方には、始動入賞口14としての可変入賞球装置15が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口(可変入賞球装置)を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口(普通入賞口)29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33,39への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、始動入賞口14や大入賞口も、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。また、複数の複数の入賞口(普通入賞口)29,30,33,39のそれぞれに入賞した遊技球を検出する1つの入賞口スイッチが設けられ、どの入賞口29,30,33,39に入賞した遊技球も、その入賞口スイッチによって検出されるようにしてもよい。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。上記のように、この実施の形態のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(「カードユニット」ともいう。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確変状態への移行条件を成立させる大当り図柄(確変図柄)である場合には、大当り遊技の終了後に、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、遊技状態が確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。また、特別図柄の組み合わせが時短状態への移行条件を成立させる大当り図柄(時短図柄)である場合には、大当り遊技の終了後に、遊技状態が時短状態に移行する。さらに、特別図柄の組み合わせが確変状態への移行条件と時短状態への移行条件との双方を成立させる大当り図柄(確変時短図柄)である場合には、大当り遊技の終了後に、まず、優先的に確変状態に制御され、その後、所定条件の成立により時短状態に制御される。
遊技者にとって有利な遊技状態である有利状態(特別遊技状態:少なくとも特定有利状態と特別有利状態とを含む遊技状態を意味する)のうちの特定有利状態としての確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が通常状態に比べて高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が、確変状態以外の状態に比べて高められ、遊技者にとってさらに有利になる。また、確変状態では、普通図柄表示器10における可変表示期間(変動時間ともいう。)が通常状態に比べて短縮されることによって、遊技者にとってさらに有利になるようにしてもよい。ただし、確変状態において、可変入賞球装置15の開放時間や開放回数の延長や普通図柄表示器10における変動時間の短縮はなされない(すなわち、特別図柄の当りの確率が高くなるだけで、可変入賞球装置15に関する有利/不利に関しては通常状態と同じ)ようにしてもよいし、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率を高めるようにしなくてもよい。また、遊技者にとって有利な遊技状態である有利状態のうちの特別有利状態としての時短状態では、特別図柄の変動時間(可変表示期間)が、通常状態である場合に比べて短縮される。時短状態においても、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が通常状態に比べて高められるようにしたり、普通図柄表示器10における変動時間が短縮されるようにしてもよい。さらに、確変状態において、可変表示装置9における特別図柄の変動時間を短縮するようにしてもよい。
図2は、遊技機に設けられている(具体的には遊技機裏面に設置されている)基盤であって、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、遊技機に搭載されている払出制御基板37、ランプドライバ基板35、音声出力基板70および演出制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御用マイクロコンピュータに相当:遊技制御手段)53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。クリアスイッチ921は、例えば遊技機に設置されている電源基板に搭載されている。
なお、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報等の情報出力信号を、遊技機裏面に設置されている情報端子盤を介してホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
遊技制御用マイクロコンピュータで実現される基本回路53は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。なお、CPU56はROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU56が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。また、遊技制御手段は、遊技制御用マイクロコンピュータで実現される基本回路53で実現されているが、主として、遊技制御用マイクロコンピュータにおけるプログラムに従って制御を実行するCPU56で実現される。
また、RAM55は、その一部または全部がバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。なお、遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータで実現される演出制御手段が、遊技盤に設けられている普通図柄保留記憶表示器41および飾りランプ25等の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52の表示制御を行う。なお、各ランプはLEDその他の種類の発光体でもよい。すなわち、ランプやLEDは発光体の一例であり、以下、ランプ・LEDと総称することがある。また、可変表示装置9の上部および左右部には、可変表示装置飾りLED(センター飾りLED)が設置され、大入賞口の内部には大入賞口内飾りLEDが設置され、大入賞口の左右には、大入賞口左飾りLEDおよび大入賞口右飾りLEDが設置されている。演出制御手段は、それらの発光体の制御も行う。
なお、ランプ・LEDを駆動するための駆動信号は、ランプドライバ基板35において作成される。また、特別図柄を可変表示する可変表示装置9および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10の表示制御は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段によって行われる。
図3は、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、ROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31からのストローブ信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)106に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。VDP106は、GCL(グラフィックコントローラLSI)と呼ばれることもある。さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート104およびランプ駆動回路107を介して普通図柄表示器10の表示制御を行う。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、演出制御用CPU101、ROM、RAMおよびI/Oポートを含む。
さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート109および出力ドライバ110を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPU101に入出力するバス(アドレスバス、データバス、および書込/読出信号等の制御信号ラインを含む)はバスドライバ105を介してランプドライバ基板35まで延長されている。
ランプドライバ基板35において、演出制御用CPU101に入出力するバスは、バスレシーバ351を介して出力ポート352および拡張ポート353に接続される。出力ポート352から出力される各ランプを駆動する信号は、ランプドライバ354で増幅され各ランプに供給される。また、出力ポート352から出力される各LEDを駆動する信号は、LED駆動回路355で増幅され各LEDに供給される。
この実施の形態では、遊技機に設けられているランプ・LEDは、演出制御基板80に搭載されている演出用CPU101を含む演出制御手段によって制御される。また、可変表示装置9、普通図柄表示器10およびランプ・LED等を制御するためのデータがROMに格納されている。演出用CPU101は、ROMに格納されているデータにもとづいて可変表示装置9、普通図柄表示器10およびランプ・LED等を制御する。そして、ランプドライバ基板35に搭載されている出力ポート352および各駆動回路を介して、ランプ・LEDが駆動される。
なお、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70は独立した基板であるが、それらは、例えば、遊技機裏面において、1つのボックスに収容された状態で設置される。また、拡張ポート353は、機種変更を行う場合に、ランプ・LED等の数が増加した場合を考慮して設置されるが、設置されていなくてもよい。
音声出力基板70において、演出制御基板80からの音番号データは、入力ドライバ702を介して、例えばデジタルシグナルプロセッサによる音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じたデータを音声データROM704から読み出し、読み出したデータに応じた音声や効果音を発生し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。
次に遊技機の動作について説明する。図4は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、プログラムの内容が正当か否かを確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。なお、割込みモード2は、遊技制御用マイクロコンピュータ56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込みベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込み番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS14)。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。この例では、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。ステップS9では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。さらに、サブ基板(この実施の形態では払出制御基板35および演出制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS13)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(演出制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド等がある。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS14)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
初期化処理の実行(ステップS11〜S14)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り判定用乱数発生カウンタ)等の、カウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータが、遊技機に設けられている可変表示装置9、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜S33の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電圧低下監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ24a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS22)。CPU56は、さらに、初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23,S24)。
図6は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用)
(2)ランダム2−1〜2−3(ランダム2):特別図柄の左中右のはずれ図柄決定用(特別図柄左中右)
(3)ランダム3:大当りを発生させる特別図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用)
(4)ランダム4:特別図柄の変動パターンを決定する(変動パターン決定用)
(5)ランダム5:大当りを発生させない場合にリーチとするか否かを決定する(リーチ判定用)
(6)ランダム6:普通図柄にもとづく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)
(7)ランダム7:ランダム1の初期値を決定する(ランダム1初期値決定用)
(8)ランダム8:ランダム6の初期値を決定する(ランダム6初期値決定用)
(9)ランダム9:確変継続回数(確変状態における特別図柄の変動回数)を決定する(確変回数決定用)。なお、この実施の形態では、確変継続回数は、ランダム9の値に応じて、10回、20回または50回に決定されるとする。なお、確変継続回数を、この実施の形態における時短回数(時短状態における特別図柄の変動可能回数)である100よりも多い回数(例えば150回)に決定してもよい。時短回数よりも多い確変継続回数が存在する場合には、後述する確変時短状態の終了時に時短状態に移行できないことになるので遊技状態の変化のバリエーションをより豊富にすることができる。
(10)ランダム10:確変状態を終了させるか否かを決定する(抽選判定用)。ランダム10は0〜49の範囲の値をとる。遊技制御手段は、確変状態において、例えば、ランダム10があらかじめ決められている1つの値と一致した場合には、確変状態を終了させる。従って、確変状態は、1/50の確率で終了(確変パンク)する。なお、ランダム10と比較される値が1つ設定されている判定値テーブルと2つ以上設定されている判定値テーブルを用意し、確変状態を終了させるか否かを決定する際に何れの判定値デーブルを用いるか決定し、決定した判定値テーブルに設定されている値とランダム10が一致した場合に確変状態を終了させるようにしてもよい。具体的には、例えばランダム10と比較される値が1つ設定されている判定値テーブルと2つ設定されている判定値テーブルを用意して選択して用いるようにすればよい。この場合、使用される判定値テーブルによって、確変状態は、1/50または1/25の確率で終了(確変パンク)することになる。
(11)ランダム11:確変状態の終了条件を決定する(終了条件決定用)。ランダム11は0〜1の範囲の値をとる。遊技制御手段は、確変状態とすることに決定したときに、例えば、ランダム11が0であれば確変状態の終了条件を回数判定によることとし、ランダム11が1であれば確変状態の終了条件を抽選判定によりこととする。
図5に示された遊技制御処理におけるステップS22では、CPU56は、(1)の大当り判定用乱数、(3)の大当り図柄決定用乱数、および(6)の普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数または初期値用乱数である。なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(11)の乱数以外の普通図柄に関する乱数等も用いられていてもよい。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS25)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU56は、特別図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS27)。また、普通図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの何れかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
そして、CPU56は、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS31)。また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS32)。本例では、試験信号として、確変状態であるか否かなどに関する確率変動情報、時短状態であるか否かなどに関する時短情報などが出力される。さらに、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS33)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。その後、割込許可状態に設定する(ステップS34)。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
この実施の形態では、左中右の特別図柄は、それぞれ、「0」〜「11」の12通りあって、可変表示装置9において「0」から順に特別図柄の表示が変化することによって特別図柄の変動が実現される。なお、特別図柄の変動中において、表示図柄の表示は非連続的に変化してもよい。また、特別図柄の最終停止図柄(確定図柄)が左中右揃った場合に大当りとなり、左右が揃った場合にリーチとなる。
図7は、この実施の形態で用いられる特別図柄の停止図柄と、制御される遊技状態との関係を示す説明図である。図7に示す例では、特別図柄の左中右図柄が1、5または9で揃うと、大当り遊技終了後に、遊技状態(遊技機の制御状態)が確変状態に移行する。また、11で揃うと、大当り遊技終了後に、遊技状態が時短状態に移行する。そして、3または7で揃うと、大当り遊技終了後に、遊技状態が確変状態および時短状態に移行する。ただし、その場合には、確変状態が優先され、確変状態の終了時に時短状態に移行される。
確変状態では、特別図柄の変動の結果(最終停止図柄、単に停止図柄ともいう。)が大当り図柄となる確率が、確変状態でない状態(低確率状態)に比べて高められる。このことを、以下、「確変状態では高確率で当り/はずれが判定される」と表現することがある。この実施の形態では、確変状態では大当り図柄となる確率が10倍に高められているとする。
また、確変状態が終了すると、特別有利状態としての特別図柄変動時間短縮(時短)状態に移行するように制御されることがある。時短状態では、特別図柄の変動時間(可変表示期間)が、時短状態でない場合に比べて短縮される。なお、短縮の態様(各変動パターンについてどの程度短くするのか、どの変動パターンを短くするのか等)は、確変状態(確変時短状態を含む。)における態様と同一でもよい。時短状態は、所定回の特別図柄の変動が終了するまで、または、大当りが発生するまで継続する。この実施の形態では、所定回は、100回とするが、所定回を抽選によって複数種類のうちから選択してもよい。時短状態では、特別図柄の変動時間が短縮されるので、特別図柄の変動が開始される頻度が高くなり(換言すれば、保留記憶の消化が速くなる。)、結果として、大当り遊技が行われる可能性が高まる。
なお、有利状態は、確変状態(特定有利状態)と時短状態(特別有利状態)とを含み、有利状態でない遊技状態(遊技機の状態)が通常状態である。また、高確率状態は確変状態であり、低確率状態は、時短状態と通常状態とを含む。
図8は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図8に示す特別図柄プロセス処理は、図5のフローチャートにおけるステップS25の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)を行い、遊技盤6に設けられている始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14に入賞する始動入賞が発生していたら(ステップS311)、始動口スイッチ通過処理(ステップS312)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。変動短縮タイマは、特別図柄の変動時間が短縮される場合に、変動時間を設定するためのタイマである。始動口スイッチ通過処理では、始動入賞記憶数(保留記憶数)が最大値である4に達しているかどうか確認し、保留記憶数が4に達していなければ、保留記憶数を1増やし、大当り判定用乱数等の各乱数(ランダム1〜ランダム5およびランダム9)の値を抽出し、それらを保留記憶数の値に対応した保存領域(特別図柄判定用バッファ)に格納する。なお、乱数を抽出するとは、乱数を生成させるためのカウンタからカウント値を読み出して、読み出したカウント値を乱数値とすることである。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄の可変表示を開始できる状態になるのを待つ。特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数を確認する。保留記憶数が0でなければ、特別図柄の可変表示の結果、大当りとするか否か決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に移行するように更新する。
特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示後の左中右図柄の停止図柄を決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。
変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(可変表示態様)を、ランダム4の値に応じて決定する。また、変動パターンに応じた変動時間タイマをスタートさせる。このとき、演出制御基板80に対して、左中右最終停止図柄と変動態様(変動パターン)を指令する情報とが演出制御コマンドとして送信される。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。
特別図柄変動処理(ステップS303):所定時間(ステップS302の変動時間タイマで示された時間)が経過すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。
特別図柄停止処理(ステップS304):可変表示装置9において表示される全図柄が停止されるように制御する。具体的には、特別図柄停止を示す演出制御コマンドが送信される状態に設定する。そして、停止図柄が大当り図柄である場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
大入賞口開放開始処理(ステップS305):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、大当り中フラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。
大入賞口開放中処理(ステップS306):大入賞口ラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。最後の大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態をステップS307に移行するように更新する。
特定領域有効時間処理(ステップS307):V入賞スイッチ22の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行う。大当り遊技状態継続の条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態をステップS305に移行するように更新する。また、所定の有効時間内に大当り遊技状態継続条件が成立しなかった場合、または、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態をステップS308に移行するように更新する。
大当り終了処理(ステップS308):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御手段に行わせるための制御を行う。そして、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
図9は、遊技状態が変化する様子の一例を示す説明図である。図9には、確変時短図柄が最終停止表示され、大当り遊技状態が終了したときに確変状態に制御され、50回の特別図柄の変動が終了したら、時短状態に制御される例が示されている。
図9には、回数切りによって確変状態の終了条件が判定されることに決定されたときに遊技状態が変化する様子が示されている。「回数切り」とは、確変状態の継続可能期間、および確変時短状態における確変状態の継続可能期間を、あらかじめ決められている回数から選択し、選択した回数分の継続可能期間が経過したときに確変状態を終了させることを意味する。
なお、図9には、後述する確変回数カウンタおよび時短回数カウンタの値も示されている。時短回数カウンタは、確変状態に制御されたときから歩進される。図9に示す例では、確変回数カウンタおよび時短回数カウンタは、1回の可変表示が行われる毎に1減算され、0になったら、確変状態または時短状態は終了する。
また、図9に示す例では、確変状態が終了したときに、その旨を示す確変終了報知が実行される。確変終了報知は、例えば、可変表示装置9に確変終了報知画像(図16(A)参照)を表示することで実行される。
図10は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、特別図柄の変動を開始することができる状態(例えば特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合)には(ステップS51)、始動入賞記憶数(保留記憶数)の値を確認する(ステップS52)。具体的には、始動入賞記憶カウンタのカウント値を確認する。なお、特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合とは、可変表示装置9において図柄の変動がなされていず、かつ、大当り遊技中でもない場合である。
保留記憶数が0でなければ、保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS54)、保留記憶数の値を1減らし(始動入賞記憶カウンタの値を1減らし)、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS55)。すなわち、保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、保留記憶数=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、CPU56は、可変表示の開始条件が成立する毎に、各保存領域の内容をシフトする処理を実行する。
次いで、CPU56は、抽選判定フラグがセットされている場合には(ステップS57)、ステップS65の大当り判定を実行する前に、確変終了とするか否かの判定を抽選により行う(ステップS58〜S64b)。抽選判定フラグがセットされていない場合には、ステップS65に移行する。
抽選判定フラグは、確変状態であるか否か、および確変状態の終了条件の成立の有無を抽選によって判定することを示すフラグである。抽選判定フラグがセットされているときは、確変状態であり、かつ、その確変状態の継続の有無を抽選によって判定することが決定されていることを意味する。
抽選判定フラグがセットされている場合には(ステップS57)、CPU56は、確変終了用乱数(ランダム10)を保存領域から読み出して(ステップS58)、読み出したランダム10の値が、確変終了値と一致するか否か判定し(ステップS59)、一致する場合には、抽選判定フラグおよび確変時短フラグをリセットして確変状態(確変時短状態を含む。)を終了させる(ステップS60,S61)。
そして、時短回数カウンタが0でない場合には、時短フラグをセットして遊技状態を時短状態に移行させ(ステップS62,S63)、さらに確変状態が終了したことを示す確変終了指定の演出制御コマンドを演出制御手段に送信する制御を行う(ステップS64a)。
また、時短回数カウンタが0(なお、確変時短状態ではない単なる確変状態であったときにも時短回数カウンタの値は0である)であれば、通常状態に戻ったことを示す通常状態指定の演出制御コマンドを演出制御手段に送信する制御を行う(ステップS64b)。従って、ランダム10の値にもとづいて確変状態が終了したときに、ステップS65の大当り判定において低確率状態にもとづく抽選が実行される。
次いで、CPU56は、乱数格納バッファから大当り判定用乱数を読み出し(ステップS65)、大当り判定モジュールを実行する(ステップS66)。大当りとすることに決定した場合には(ステップS67)、CPU56は、大当りフラグをセットする(ステップS68)。そして、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄停止図柄設定処理に対応した値に更新する(ステップS69)。大当り判定モジュールは、大当り判定用乱数が、あらかじめ決められている大当り判定値と一致したら大当りとすることに決定するプログラムである。
図11は、特別図柄の変動時間が経過したときに実行される特別図柄停止処理(ステップS304)を示すフローチャートである。特別図柄停止処理において、CPU56は、特別図柄停止を示す演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS71)。
次いで、CPU56は、停止図柄が大当り図柄であるか否か確認する(ステップS72)。大当り図柄であれば、確変時短フラグ、抽選判定フラグ、回数判定フラグおよび時短フラグをリセットし(ステップS73,S74,S75,S76)、演出制御基板80に対して、通常状態になったことを通知するために、通常状態指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS77)。そして、ステップS93に移行する。
回数判定フラグは、確変状態であるか否か、および確変状態の終了条件の成立の有無を回数切りによって判定することを示すフラグである。回数判定フラグがセットされているときは、確変状態であり、かつ、その確変状態の継続の有無を回数切りによって判定することが決定されていることを意味する。
停止図柄が大当り図柄でなければ、確変状態または確変時短状態(確変時短図柄で大当りが発生した後、優先的に確変状態に制御された状態)であることを示す回数判定フラグがセットされているか否か確認する(ステップS78)。セットされていれば、確変回数カウンタの値を−1する(ステップS79)。確変回数カウンタは、あと何回の特別図柄の変動がなされたら確変状態が終了するのかを示す回数(可変表示可能回数)が設定されているカウンタである。
また、確変時短フラグがセットされている場合(確変時短状態であることを示すフラグ)には、時短回数カウンタの値も−1する(ステップS80,S81)。ただし、既に0になっている場合には減算しない。時短回数カウンタは、あと何回の特別図柄の変動がなされたら時短状態が終了するのかを示す回数(可変表示可能回数)が設定されているカウンタである。確変時短フラグがセットされている場合には、実際には遊技状態は確変状態であるが、このように、時短回数カウンタも−1される。
そして、確変回数カウンタの値が0になった場合には、回数判定フラグをリセットして確変状態を終了させる(ステップS82,S83)。また、確変時短フラグがセットされている場合には(ステップS84)、この時点で確変状態から時短状態に移行させる条件が成立したことになり、確変時短フラグをリセットして(ステップS85)、時短回数カウンタがまだ0になっていないことを条件として、時短フラグをセットして遊技状態を時短状態に移行させる(ステップS86,S87)。なお、ステップS84にて確変時短フラグがセットされていなければ、確変状態が終了したことを通知するために、確変終了指定の演出制御コマンドを演出制御基板80に対して送信する処理を行う(ステップS92a)。また、ステップS86にて時短回数カウンタが0になっていれば、確変状態と時短状態とが終了して通常状態に戻ったことになるので、ステップS77に移行する。
ステップS78において回数判定フラグがセットされていないことを確認したら、CPU56は、時短フラグがセットされているか否か確認する(ステップS88)。セットされていれば、時短回数カウンタの値を−1する(ステップS89)。時短回数カウンタの値が0になった場合には(ステップS90)、時短フラグをリセットして時短状態を終了させ(ステップS91)、演出制御基板80に対して、時短状態が終了したことを通知するために、時短終了指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS92b)。
ステップS93では、特別図柄の変動の停止図柄が大当り図柄であった場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS300に移行するように更新する。
図12は、大当り遊技が終了したときに実行される大当り終了処理を示すフローチャートである。大当り終了処理において、CPU56は、大当り遊技の起因となった特別図柄の停止図柄(大当り図柄である)が確変時短図柄であったか否か確認する(ステップS101)。確変時短図柄であった場合には、確変時短フラグをセットするとともに(ステップS102)、後述する終了条件決定処理を実行し(ステップS103)、さらに、時短回数カウンタに所定値をセットする(ステップS104)。なお、この実施の形態では、時短回数カウンタには100が設定される。また、演出制御手段に、大当り遊技状態の終了と、特別遊技状態(確変状態または時短状態)への移行とを通知するために、特定大当り終了表示指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS105)。そして、特別図柄プロセスフラグの値を、特別図柄通常処理(ステップS300)に応じた値にする(ステップS106)。
特別図柄の停止図柄が確変時短図柄でなかった場合には、特別図柄の停止図柄が確変図柄であったか否か確認する(ステップS107)。確変図柄であった場合には、後述する終了条件決定処理を実行する(ステップS108)。そして、ステップS105に移行する。
特別図柄の停止図柄が確変図柄でなかった場合には、特別図柄の停止図柄が時短図柄であったか否か確認する(ステップS109)。時短図柄であった場合には、時短フラグをセットし(ステップS110)、さらに、時短回数カウンタに所定値をセットする(ステップ111)。そして、ステップS105に移行する。特別図柄の停止図柄が時短図柄でもなかった場合には、大当り遊技状態の終了を通知するために、非特定大当り終了表示指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS112)。そして、ステップS106に移行する。
図13は、確変状態とすることに決定されたときに実行される終了条件決定処理(ステップS103,S108)を示すフローチャートである。終了条件決定処理では、確変状態の終了条件を抽選判定と回数判定(回数切り)とのいずれにするかの決定処理等が実行される。
終了条件決定処理において、CPU56は、終了条件決定用乱数(ランダム11)を抽出し(ステップS121)、抽出した値が所定の判定値と一致したら確変状態の終了条件を抽選判定により判定することに決定し、他の判定値と一致したら確変判定の終了条件を回数判定により判定することに決定する(ステップS122)。
確変状態の終了条件を抽選判定により判定することに決定した場合には、CPU56は、抽選判定フラグをセットし(ステップS123)、さらに、偽確変回数を決定する(ステップS124)。ステップS124では、確変状態の偽の継続可能期間が、あらかじめ決められている回数から選択される。本例では、偽確変回数は、確変状態の終了条件が回数判定により判定されることになった場合に確変回数カウンタに実際に設定される回数のいずれかとされ、例えばランダム9(始動入賞時または変動開始時に抽出されてRAM55に保存されている)に応じて、10、20または50回とすることに決定される。なお、ステップS124にて決定された偽確変回数は偽確変回数カウンタに設定され、特別図柄の変動表示が実行される毎に偽確変回数カウンタの値が減算されるものとする。
そして、CPU56は、決定した偽確変回数の報知を指定するための偽確変回数報知指定コマンドを演出制御基板80に対して送信する(ステップS125)。
一方、確変状態の終了条件を回数判定により判定することに決定した場合には、CPU56は、回数判定フラグをセットし(ステップS126)、さらに、確変回数カウンタに所定値をセットする(ステップ127)。なお、この実施の形態では、確変回数カウンタは、ランダム9(始動入賞時または変動開始時に抽出されてRAM55に保存されている)に応じて、10、20または50が確変回数カウンタに設定される。
そして、CPU56は、確変回数カウンタに設定した確変回数の報知を指定するための確変回数報知指定コマンドを演出制御基板80に対して送信する(ステップS128)。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図14は、演出制御用CPU101が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)の確認を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。
この実施の形態では、タイマ割込は33ms毎にかかる。すなわち、演出制御処理は、33ms毎に起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な演出制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で演出制御処理を実行してもよい。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信されている演出制御コマンドを解析する(コマンド解析実行処理:ステップS704)。次いで演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。そして、予告乱数カウンタを更新する処理を実行する(ステップS706)。その後、ステップS702のタイマ割込フラグの確認を行う処理に戻る。なお、遊技制御手段は、演出制御コマンドとともにコマンドの取込を指示するための取込信号を出力し、取込信号は演出制御用CPU101の割込端子に入力され、演出制御用CPU101は、割込処理によって演出制御コマンドを受信する。
ここで、変動パターンテーブル毎に設定されているプロセスデータについて説明する。プロセスデータは、プロセスタイマ設定値と演出制御実行データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている。演出制御実行データは、表示制御実行データとランプ制御実行データとを含む。表示制御実行データは、図柄の変動期間中における可変表示装置9の表示状態を示すデータが設定されている。また、ランプ制御実行データは、図柄の変動期間中におけるランプ・LEDの表示状態を示すデータが設定されている。そして、図柄の変動期間中において、表示状態を切り替えるタイミング(例えば可変表示装置9において新たなキャラクタが登場するタイミング、ランプ・LEDを点灯状態から消灯状態に切り替えるタイミング)が到来すると、演出制御手段は、プロセスデータにおける次の演出制御実行データに従って、可変表示装置9およびランプ・LEDの表示状態を制御する。プロセスタイマ設定値には、切替のタイミングに応じた時間が設定されている。
プロセスデータは、演出制御基板80におけるROMに格納されている。また、プロセスデータは、図柄の変動パターンのそれぞれに応じて用意されている。
このように、演出制御手段が、ROMに記憶されているプログラムおよびプロセスデータにもとづいて演出手段を制御し、複数の演出手段(この実施の形態では可変表示装置9およびランプ・LED)の制御に関わるプログラムが、演出制御基板80に搭載されているROMに格納されている。そして、それらのプログラムを格納するROMを1つのROMとして構成することができる。
図15は、図14に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S806のうちのいずれかの処理が行われる。各処理において、以下のような処理が実行される。
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):コマンド受信割込処理によって、変動時間を特定可能な演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を受信したか否か確認する。具体的には、変動パターンコマンドが受信されたことを示すフラグ(変動パターン受信フラグ)がセットされたか否か確認する。変動パターン受信フラグは、コマンド解析処理によって、変動パターン指定の演出制御コマンドが受信されたことが確認された場合にセットされる(ステップS623)。
予告選択処理(ステップS801):例えばキャラクタ画像を用いた予告演出(特別図柄の停止図柄が大当り図柄となること、またはリーチが発生することを事前に報知するための演出)を行うか否かと、行う場合の予告演出の種類を決定する。
全図柄変動開始処理(ステップS802):左中右図柄の変動が開始されるように制御する。
図柄変動中処理(ステップS803):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する。また、左右図柄の停止制御を行う。
全図柄停止待ち設定処理(ステップS804):変動時間の終了時に、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(特別図柄停止の演出制御コマンド)を受信していたら、図柄の変動を停止し停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行う。
大当り表示処理(ステップS805):変動時間の終了後、確変大当り表示または通常大当り表示の制御を行う。
大当たり遊技中処理(ステップS806):大当たり遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放前表示や大入賞口開放時表示の演出制御コマンドを受信したら、ラウンド数の表示制御等を行う。
図16は、可変表示装置9の表示部に表示される確変報知画像の一例を示す説明図である。図16(A)に示す画像は、回数判定にて確変状態が終了したとき(確変回数カウンタの値が0になったとき)に表示される確変終了報知画像である。なお、図16(A)に示す画像は、抽選判定にて確変状態は継続しているが偽確変回数カウンタの値が0になったときに表示される偽確変終了報知画像としても用いられる。
図16(B)は、偽確変終了報知画像によって偽りの確変終了報知が実行されたあと、確変状態が継続していることを報知するための確変継続報知画像である。
なお、本例では、確変状態中は、例えば可変表示装置9の表示部に、終了条件が回数判定であるときには確変回数の残り(確変回数カウンタの値)が表示され、終了条件が抽選判定であるときには偽りの確変変動回数の残り(偽確変回数カウンタの値)が表示される。演出制御手段は、確変回数報知指定コマンドを受信したことをコマンド解析処理(ステップS704)にて確認したときにその確変回数報知指定コマンドによって確変回数を認識し、その後は特別図柄の可変表示を実行する毎(変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)にて変動パターンコマンドの受信を確認する毎)に1減算していくことで、遊技制御手段における確変回数カウンタの値を知ることができる。また、演出制御手段は、偽確変回数報知指定コマンドを受信したことをコマンド解析処理(ステップS704)にて確認したときにその偽確変回数報知指定コマンドによって偽確変回数を認識し、その後は特別図柄の可変表示を実行する毎(変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)にて変動パターンコマンドの受信を確認する毎)に1減算していくことで、遊技制御手段における偽確変回数カウンタの残りを知ることができる。
図17は、上述した実施の形態における遊技状態が変化する様子の一例を示す説明図である。図17には、図9に示した変化の様子と異なり、確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定され、そして、大当り遊技状態が終了したときに確変状態に制御され、50回の特別図柄の変動が終了しても、確変状態が終了しない、すなわちランダム10にもとづく確変パンクが生じなかった例が示されている。この例では、偽確変回数が50回に決定されたものとする。偽確変回数カウンタの初期値が50であり時短回数カウンタの初期値は100であるが、確変状態に制御されたときから歩進されるので、50回の変動が終了すると時短回数カウンタの値は50になる。その後、抽選判定によって確変状態の終了条件が成立したときに、未だ時短回数カウンタの値が0になっていなければ、確変状態の終了に時短状態が開始されることになる。
この例では、演出制御手段(具体的には演出制御用CPU101)は、偽確変回数カウンタの値が0になると、図16(A)に例示された画像を偽確変終了報知画像として可変表示装置9に表示する制御を行う。本例では、演出制御手段は、自己が認識している遊技制御手段での偽確変回数カウンタの値が0になったと判定すると、偽確変終了報知画像を表示する制御を行う。
なお、遊技制御手段(具体的にはCPU56)が、確変状態の継続中に偽確変回数カウンタの値が0になった場合に、その旨を示す演出制御コマンドを演出制御手段に送信するようにしてもよい。この場合、演出制御手段は、そのような演出制御コマンドを受信すると、所定期間(例えば5秒間)、図16(A)に例示された偽確変終了報知画像を可変表示装置9に表示する。
そして、演出制御手段は、偽確変終了報知画像を表示したあと、所定回数(例えば演出制御手段が、偽確変回数カウンタの値が0になったと判定したときに、抽選により1回、3回、5回などあらかじめ定められている複数種類の回数の中から決定する)の識別情報の変動表示を行ったときに、まだ抽選判定により確変状態が終了されていなければ(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドあるいは確変終了指定コマンドの何れも受信していない状態であれば)、確変状態が継続していることを遊技者に報知するために、図16(B)に例示された確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する。その後、演出制御手段は、抽選判定により確変状態が終了されたことを確認すると(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドまたは確変終了指定コマンドの何れかの受信を確認したとき)、偽確変終了報知画像と同じ画像である図16(A)に例示された画像を確変終了報知画像として可変表示装置9に表示する。
以上に説明したように、この実施の形態では、確変状態の終了条件が抽選判定により判定されたときに、偽りの確変回数である偽確変回数を可変表示装置9に表示し、特別図柄の可変表示が偽確変回数消化されたときに、未だ抽選判定による確変状態の終了条件が成立していなくても、確変状態が終了した旨の偽りの報知を実行する構成としたので、確変状態が終了した旨の偽の報知がなされた場合だけでなく、たとえ確変状態が終了した旨の真の報知がなされた場合であっても、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができ、大当りの発生への期待を遊技者に継続して持たせることができる。よって、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを同じ内容で行う構成としているので、確変状態が終了したか否かを確実に識別不能とすることができ、確変状態が終了した旨の真の報知がなされた場合であっても、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができる。なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを一部異なる内容としてもよい。この場合、例えば遊技者に相違点が認識され難くしておくようにすればよい。また、確変状態であるときは特定の演出態様による可変表示演出(例えば予告演出、リーチ演出)の出現頻度を高めるようにして、確変状態が継続しているのか否かを示唆するようにしてもよい。
なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを、同じ内容の報知用の画像を表示する演出表示を行うことによって実行していたが、その演出表示にて、パンク抽選などの演出を行うようにしてもよい。具体的には、確変状態が終了した旨の真の報知および確変状態が終了した旨の偽りの報知にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に落選(確変継続となる選択がなされたことを意味する)した様子を示す動画像を表示するようにすればよい。なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知がなされたあと、確変継続報知の演出表示にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に当選(確変終了となる選択がなされたことを意味する)してしまった様子を示す動画像を表示するようにしてもよい。この抽選結果に当選してしまった様子を示す確変継続報知演出は、偽りの確変終了報知を行うことなく実行するようにしてもよい。
上記のパンク抽選による確変終了報知演出や、偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出は、例えば、確変回数または偽確変回数における最後の特別図柄の変動表示の際に行うようにすればよい。この場合、パンク抽選演出にて、例えば、特別図柄の変動表示を通常通り実行し、登場キャラクタの種類・動作、標識、文字などによって、抽選結果の当落を報知するようにすればよい。また、パンク抽選演出にて、例えば、可変表示の表示結果が所定の図柄であるか否かによって、抽選結果の当落を報知するようにしてもよい。当選したことを示す表示結果としては、例えば左中右図柄がそれぞれ「7,6,7」である場合や「1,2,3」である場合などが考えられる。「7,6,7」を当選結果とした場合には、大当りとなるか否か、および確変が継続するか否かについて同時に報知する演出を実行することができ、その回の変動に対する興趣を高めさせることができる。
また、上述した実施の形態では、確変状態が終了した旨の偽りの報知を行ったあとに、確変状態が継続している旨の確変継続報知を行う構成としているので、確変状態が終了した旨の報知(真報知または偽報知)が実行されたあとに、確変継続報知が実行されるか否かの期待を遊技者に持たせることができ、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができる。
また、上述した実施の形態では、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたときに、確変継続報知を行う時機を抽選により決定し、決定した時機が到来したときに確変継続報知を行う構成としたので、確変状態が継続していることを遊技者に報知するタイミングをランダムにすることができ、確変状態の終了条件が成立したあとの特定遊技状態の発生への遊技者の期待感をより向上させることができ、遊技の興趣をより向上させることができる。なお、報知タイミング(確変継続報知を行う時機)は、具体的には、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと何回目の特別図柄の可変表示が実行されたあとのタイミングとするか、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと次に実行される特別図柄の可変表示の実行中におけるどのタイミングとするか、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと何回目の特別図柄の可変表示のあとに実行される特別図柄の可変表示の実行中におけるどのタイミングとするかなどによりランダムにすることが考えられる。
また、上述した実施の形態において、確変状態の終了条件が抽選判定により判定される場合に、遊技制御手段が、複数の抽選確率の何れかを選択し、選択した抽選確率に従って抽選終了条件が成立した否かを判定する構成とした場合には、確変状態の継続率を異ならせることができ、遊技の興趣をより向上させることができる。
また、上述した実施の形態では、特定有利状態(確変状態)の終了条件が成立したと判定されたときに特別有利状態(時短状態)に移行させるので(ステップS59〜S63,ステップS82〜S87参照)、遊技者に対して、特別有利状態の開始時点をわかりづらくすることができる。その結果、特別有利状態の継続回数を遊技者が容易に把握できないようにすることができる。また、遊技者が特定有利状態が終了する時点を把握することが困難になって、特別有利状態への移行時点や特別有利状態の継続回数を遊技者が容易に把握できないようにすることができる。よって、特定有利状態に移行したときに報知された期間が経過したあとであっても特定遊技状態の発生への遊技者の期待感を持続させるようにすることができ、遊技の興趣をより向上させることができる。
また、上述した実施の形態では、確変状態の終了条件を抽選判定により判定するときには、大当り判定処理の前に確変終了条件を成立させるか否か判定するので(図10参照)、確変終了条件を成立させるときには、高確率で大当り判定がなされないようにすることができる。また、確変終了条件が成立した直後に抽選判定フラグをリセットするとともに大当り判定処理を実行することによって、抽選判定により判定する確変終了条件が全く使用されないまま長時間放置されるようなことはなく、確変終了条件成立と大当り判定処理との間で、不正行為を受ける可能性やデータ化けの可能性を低減できる。なお、確変終了条件が成立したときに、可変表示の表示結果を特定の表示結果としないようにしてもよい。その場合には、確変時短状態が終了したときに、大当りを発生させないようにして、時短回数カウンタが0でない場合に、必ず時短状態に移行させることができる。
また、上述した実施の形態では、遊技制御手段が、確変状態の終了条件を抽選判定により判定することに決定したときに(ステップS122のY参照)、偽確変回数を決定して偽確変回数報知指定コマンドを送信し(ステップS125参照)、演出制御手段が、受信した偽確変回数報知指定コマンドが示す偽確変回数を可変表示装置9に表示する構成としていたが、遊技制御手段が、確変状態の終了条件を抽選判定により判定することに決定したときに(ステップS122のY参照)、偽確変回数を決定することなく、確変状態の終了条件を抽選判定により判定する旨を通知するための演出制御コマンド(抽選判定選択指定コマンド)を送信することとし、演出制御手段が、抽選判定選択指定コマンドを受信したことにもとづいて、確変状態が開始したときに、可変表示装置9に「抽選判定!」などの確変状態の終了条件を抽選判定により判定する旨を遊技者に報知するための表示や演出を行うようにしてもよい。すなわち、確変状態の終了条件を抽選判定により判定するときに、偽確変回数を報知することなく、確変状態の終了条件を抽選判定により判定することを遊技者に報知する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、確変状態の終了条件を抽選判定により判定するときに、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化される前に確変終了条件が成立した場合には、例えば、可変表示装置9にて特別図柄の変動表示を特別の変動態様(例えばスーパーリーチ)にて実行し、その特別の変動態様での変動表示が実行されているときに、報知されている偽確変回数の残りを0にするようにすればよい。上記のように構成すれば、確変状態が突然終わったことが遊技機の故障などにもとづくものと誤認されてしまうことを防止することができる。
実施の形態2.
上記の実施の形態では、確変状態の終了条件を抽選判定により判定するときに、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたときに未だ確変終了条件が成立していなければ、偽りの確変終了報知(例えば図16(A)による報知)を行うとともに、その後に確変継続報知(例えば図16(A)による報知)を行うようにしていたが、確変状態の終了条件を回数判定により判定するときに、確変終了条件が成立する前に偽りの確変終了報知を行うとともに確変継続報知を行うようにしてもよい。以下、確変状態の終了条件を回数判定により判定するときに偽りの確変終了報知や確変継続報知を行う第2の実施の形態を説明する。
図18は、第2の実施の形態において演出制御手段が実行する確変状態報知処理の例を示すフローチャートである。図18に示す確変状態報知処理は、演出制御手段が実行する処理のうち、偽確変終了報知、確変継続報知、および確変終了報知に関わる部分まとめて示す処理である。具体的には、確変状態報知処理における各処理は、コマンド解析処理(ステップS704)や演出制御プロセス処理(ステップS705)内で実行される処理である。
確変状態報知処理において、演出制御用CPU101は、遊技制御手段からの確変報知指定コマンドを受信すると(ステップS851)、確変報知指定コマンドが示す確変回数内で、確変状態に移行したあとの何回目の特別図柄の可変表示が実行されるときに偽確変終了報知を実行するかを示す偽確変終了報知回数を決定するとともに(ステップS852)、確変状態に移行したあとの何回目の特別図柄の可変表示が実行されるときに確変継続報知を実行するかを示す確変継続報知回数を決定する(ステップS853)。なお、確変継続報知回数は、偽確変終了報知回数以上の回数とされる。偽確変終了報知回数および確変継続報知回数は、例えば、あらかじめ定められた複数種類の回数から選択されることで決定される。
なお、ステップS851〜S853は、例えばコマンド解析処理(ステップS704)内で実行される。
次いで、演出制御用CPU101は、確変大当りとなったあとの大当り遊技が終了して確変状態に移行すると(ステップS854のY)、特別図柄の可変表示を実行する毎(例えばステップS800にて変動パターンコマンドを受信したことを確認する毎)に、自己が認識している確変状態に移行したあとの特別図柄の可変表示の実行回数を1加算して更新し、更新後の実行回数が偽確変終了報知回数に達したか否か確認する(ステップS855)。
偽確変終了報知回数に達していれば、演出制御用CPU101は、例えば今回の特別図柄の可変表示の実行を終了したあとに、遊技者に対して確変状態が終了した旨の偽りの報知である偽確変終了報知を行う(ステップS856)。具体的には、例えば、図16(A)に示した偽りの確変終了報知を行うための偽確変終了報知画像を可変表示装置9に表示する処理を行う。
偽確変終了報知を実行した後、演出制御用CPU101は、特別図柄の可変表示を実行する毎に、自己が認識している確変状態に移行したあとの特別図柄の可変表示の実行回数を1加算して更新し、更新後の実行回数が確変継続報知回数に達したか否か確認する(ステップS857)。
確変継続報知回数に達していれば、演出制御用CPU101は、例えば今回の特別図柄の可変表示の実行を終了したあとに、遊技者に対して確変状態が継続している旨の報知である確変継続報知を行う(ステップS858)。具体的には、例えば、図16(B)に示した確変継続報知を行うための確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する処理を行う。
確変継続報知を行うと、演出制御用CPU101は、特別図柄の可変表示を実行する毎に、自己が認識している確変状態に移行したあとの特別図柄の可変表示の実行回数を1加算して更新し、更新後の実行回数が確変回数に達したか否か確認する(ステップS859)。
確変回数に達していれば、演出制御用CPU101は、例えば今回の特別図柄の可変表示の実行を終了したあとに、遊技者に対して確変状態が終了した旨の真の報知である確変終了報知を行う(ステップS860)。具体的には、例えば、図16(A)に示した真の確変終了報知を行うための確変終了報知画像を可変表示装置9に表示する処理を行う。
図19は、第2実施の形態における遊技状態が変化する様子の一例を示す説明図である。図19には、確変図柄が最終停止表示され、回数判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定され、そして、大当り遊技状態が終了したときに確変状態に制御され、50回の特別図柄の変動が終了する前に、偽確変終了報知と確変継続報知が実行された例が示されている。この例では、確変回数が50回に決定され、偽確変終了報知回数が20回に決定され、確変継続報知回数が23回に決定されたものとする。
この例では、演出制御手段(具体的には演出制御用CPU101)は、遊技制御手段からの確変報知指定コマンドを受信すると(ステップS851参照)、確変報知指定コマンドが示す確変回数の50回以内で、偽確変終了報知回数を20回に決定するとともに(ステップS852参照)、確変継続報知回数を23回に決定する(ステップS853参照)。
次いで、演出制御手段は、確変大当りとなったあとの大当り遊技が終了して確変状態に移行すると(ステップS854のY参照)、特別図柄の可変表示を実行する毎に、可変表示の実行回数が偽確変終了報知回数である20回に達したか否か確認する(ステップS855参照)。本例では、演出制御手段は、可変表示の実行回数が偽確変終了報知回数に達するまで、偽確変終了報知回数の残回数を、確変回数の偽の残回数として可変表示装置9に表示する制御を行う。なお、確変回数の偽の残回数は表示しないようにしてもよい。
偽確変終了報知回数である20回に達していれば、演出制御手段は、その20回目の特別図柄の可変表示の実行を終了したあとに偽確変終了報知を行う(ステップS856参照)。
偽確変終了報知を実行した後、演出制御手段は、特別図柄の可変表示を実行する毎に、可変表示の実行回数が確変継続報知回数である23回に達したか否か確認し、達していれば確変継続報知を行う(ステップS857,S858参照)。本例では、演出制御手段は、確変継続報知を行ったあと、可変表示の実行回数が確変回数に達するまで、順次更新しながら確変回数の残回数を可変表示装置9に表示する制御を行う。よって、確変状態の継続を知った遊技者に残りの確変回数を認識させることができる。なお、確変継続報知の際に確変回数の残回数を可変表示装置9に表示し、その後は確変回数の残回数を表示しないようにしてもよい。また、確変回数の残回数を一切表示しないようにしてもよい。
そして、確変継続報知を実行した後、演出制御手段は、特別図柄の可変表示を実行する毎に、可変表示の実行回数が確変回数である50回に達したか否か確認し、達していれば確変終了報知を行う(ステップS859,S860)。
以上に説明したように、第2の実施の形態では、確変状態の終了条件が回数判定により判定されるときに、確変状態での特別図柄の実行回数が確変回数に達する前に、偽の確変終了報知を行ったあと確変継続報知を行う構成としたので、確変状態が終了した旨の偽の報知がなされた場合だけでなく、たとえ確変状態が終了した旨の真の報知がなされた場合であっても、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができ、大当りの発生への期待を遊技者に継続して持たせることができる。よって、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第2の実施の形態においても、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを同じ内容で行う構成としているので、確変状態が終了したか否かを確実に識別不能とすることができ、確変状態が終了した旨の真の報知がなされた場合であっても、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができる。なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを一部異なる内容としてもよい。この場合、例えば遊技者に相違点が認識され難くしておくようにすればよい。また、確変状態であるときは特定の演出態様による可変表示演出(例えば予告演出、リーチ演出)の出現頻度を高めるようにして、確変状態が継続しているのか否かを示唆するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、確変状態の終了条件を回数判定により判定するときに、偽りの確変終了報知や確変継続報知を行う時機(実行時期、実行条件)をあらかじめ決定し、その時機が到来したときに偽りの確変終了報知や確変継続報知を行う構成としていたが、確変回数内の特別図柄の可変表示を実行する毎に偽りの確変終了報知を実行するか否か抽選し、抽選結果に応じて偽りの確変終了報知を行い、その後は、確変状態の終了条件がまだ成立していなければ、確変回数内の特別図柄の可変表示を実行する毎に確変継続報知を実行するか否か抽選し、抽選結果に応じて確変継続報知を行うようにしてもよい。
また、上述した第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成および処理をなす部分についてはその詳細な説明を省略したが、第1の実施の形態において説明したが、第1の実施の形態において説明した各構成や処理を適用することができることは勿論である。
なお、上述した各実施の形態では特に言及していないが、確変状態であるときは、通常状態であるときと比較して、大当りとなる確率が高められていること以外は何ら変わるところがないことが望ましい。具体的には、例えば、可変表示の変動時間、可変表示装置9・ランプ・スピーカ27による演出内容などの見た目を含む演出の様子、可変入賞球装置15の開放条件などが、確変状態であるときと通常状態であるときとで全く同一であることが望ましい。このような制御は、例えば、確変状態であるときと通常状態であるときとで同一の制御プログラムおよび同一の制御用データを用いて制御を実行することで実現される。
また、上述した各実施の形態では、大当り遊技状態であるときには、V入賞領域に遊技球を入賞させて継続権を獲得した場合にのみ、次回のラウンドに移行する構成としていたが、第1ラウンドから第2ラウンドに移行するときには継続権の有無を問わないなど、数回までのラウンド移行や、特定の一部のラウンドへのラウンド移行については、移行するか否かを判定するときに継続権を有することを要求しない構成としてもよい。なお、上述した特別図柄の可変表示結果が大当り表示結果になると大当り遊技状態に移行する遊技機に限らず、例えば始動入賞口に入賞したことに応じて開放される可変入賞球装置内の特定領域に遊技球が入賞することで、可変入賞球装置が所定回数または所定数の入賞があるまで開放する大当り遊技状態に移行する遊技機についても同様である。そのような遊技機については、例えば、特定領域に遊技球が入賞して大当り遊技状態に移行したときに、第1ラウンドから第2ラウンドに移行するときには、特定領域に遊技球が入賞したことによって獲得される継続権の有無を問わない構成とすればよい。
また、上述した各実施の形態では、情報出力信号として遊技機の外部に出力される情報に、制御状態に関わる情報(確変状態であるか否か、時短状態であるか否か、通常状態であるか否かに関する情報を含む)を含めない構成としている。すなわち、制御状態に関わる情報が遊技店に設置されているホールコンピュータなどで把握されないようにしている。このため、特定有利状態に関わる情報が遊技機外部で把握されてしまうことを防止でき、特定有利状態に関わる情報にもとづいて不正に特定有利状態を作り出すなどの不正行為を防止することができる。つまり、例えば、遊技店において不正に開店前に特定有利状態を作りだすような行為が行われることを防止することができる。
また、上述した各実施の形態では、制御状態に関わる情報(確変状態であるか否か、時短状態であるか否か、通常状態であるか否かに関する情報を含む)を試験信号としては出力可能な構成としている。試験信号は、試験信号解析用のコンピュータによって受信される。この試験信号解析用のコンピュータは、試験信号を外部で取得するための試験信号端子基板(図20参照)を遊技機に取り付け、試験信号端子基板を介して遊技機に接続される。このように、出力手段(試験端子基板、試験信号出力用の端子あるいはコネクタに接続されるコネクタなどの出力部材)を取り付けなければ外部で取り出すことができない試験情報として制御状態に関わる情報を外部出力することができ、容易に不正行為を行うことができない手法であれば、制御状態に関わる情報が遊技機外部で把握されるようにすることができる。
図20は、主基板31、払出制御基板37および演出制御基板80の試験信号(遊技機から外部装置に出力される試験用の信号)の出力に関わる部分を示すブロック図である。主基板31において、各スイッチ(クリアスイッチを除く)からの信号は、入力ポート572に入力されるとともに、コネクタ71を介して試験信号端子基板(中継基板)90に出力される。なお、図20に示す入力ポート572は、図2における入出力ポート57の一部である。
また、主基板31において、CPU56は、所定の試験信号を作成して、出力ポート571およびコネクタ72を介して試験信号端子基板90に出力する。出力ポート571は、図2における入出力ポート57の一部である。また、出力ポート571は、複数の8ビットポートを含む。出力ポート571からソレノイド回路59に出力される駆動信号(制御信号)は、分岐してコネクタ72を介して試験信号端子基板90に出力される。
払出制御基板37において、スイッチ(払出個数カウントスイッチ301)からの信号は入力ポート372fに入力されるとともに、AND回路379およびコネクタ378を介して試験信号端子基板90出力される。AND回路379の他方の入力には、払出制御用CPU371から出力される賞球払出中であることを示す信号が入力される。なお、スイッチからの信号を、AND回路を介さず、そのままコネクタ378に接続してもよい。
演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、所定の試験信号を作成して、出力ポート111およびコネクタ112を介して試験信号端子基板90に出力する。
図21に示すように、試験信号端子基板90には、試験信号端子(1)111〜試験信号端子(9)119が搭載されている。試験信号端子111〜119は、外部装置としての試験装置からのプローブを接続可能な信号ピンや試験装置からのケーブルを接続可能なコネクタで構成される。コネクタを用いる場合には、オス型のものが使用される。オス型を使用すれば、試験装置等から延びるケーブル端部に設けられるコネクタをメス型とすることができ、試験装置等からのケーブル端部のコネクタが破損する可能性が低減する。なお、この実施の形態では、試験時にのみ試験信号端子基板90を遊技機と試験装置との間に介在させ、試験終了後には試験信号端子基板90は取り払われるが、試験信号端子111〜119を、主基板31、払出制御基板37または演出制御基板80に実装することによって試験信号端子基板90を不要にしてもよい。また、コネクタを用いる場合には、主基板31、払出制御基板37または演出制御基板80にコネクタ接続用の配線パターンを用意しておいて、試験時にのみコネクタを搭載するようにしてもよい。
図22は、試験信号端子(1)111の試験信号配置例の一部を示す説明図である。なお、ここでは、試験信号端子111〜119は、一例として、片側68ピンの2列コネクタとする。例えば、図22に示す試験信号が試験信号端子111の一方の側の68ピンに接続される。
なお、図22に示されている試験信号のうちには、機種に応じて使用されないものがある。例えば、この実施の形態では、実際には、賞球信号1,2のうち賞球信号1のみ使用される。すなわち、他の遊技機に対して同一の試験装置を用いることができるように、全ての機種で使用されるわけではないが、あらかじめ定義されている試験信号がある。
図22に示す各試験信号は、主基板31に入力される各種スイッチの信号が分岐された信号、またはソフトウェアで作成される信号である。例えば、始動口1,2,3有効信号はソフトウェア(遊技制御用プログラム)で作成されCPU56から出力される信号である。図22に示された各試験信号において、発射球信号1,2は、発射球センサの出力信号である。発射球センサの出力信号とは、図1には示されていないが、打球流出部(打球レールから遊技領域7に遊技球が流入する部分)の内側(打球レール側)と、打球流出部の外側(遊技領域7側)とに発射球センサが設けられている場合の発射球センサの出力である。
賞球信号1,2は、主基板31または払出制御基板37(この実施の形態では払出制御基板37)から出力される賞球検出信号(払出カウントスイッチ301の出力)である。
発射位置指定信号1,2,3は、CPU56が、遊技状態に応じて作成する信号である。発射位置指定信号1,2,3は、遊技球の発射を停止させる操作をすべきか、または、打球発射装置の発射強度を複数段階の発射強度のうちいずれの強度に調整する操作をすべきかを外部装置に対して指定するための信号である。例えば、発射位置指定信号1は、遊技者が左打ち(遊技領域7の左側の領域を狙って遊技球を発射する遊技方法)を行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。発射位置指定信号2は、遊技者が中打ち(遊技領域7の中央領域を狙って遊技球を発射する遊技方法)を行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。発射位置指定信号3は、遊技者が右打ちを行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。このように、発射位置指定信号1,2,3は、遊技領域7におけるいずれの領域に向けて打球発射装置から遊技球が発射されるのかを示す発射状態を示す信号である。なお、遊技状態とは、遊技領域7に設けられている可変表示装置9の表示状態や役物の状態(例えば、遊技球が入賞しやすい状態、遊技球が入賞し難い状態、開放状態(入賞しやすい状態の一例)、閉成状態(遊技球が入賞しない状態))などを表す、遊技機における構成部材の状態に相当する。また、満タンスイッチ48や球切れスイッチ187がオンして球払出を禁止するときなど、遊技機の制御状態も含む概念である。
遊技機エラー状態信号は、この実施の形態では、払出制御手段が、下皿満タンや補給球切れ等遊技球の払い出しを停止する状態において出力する信号である。
次に、遊技制御手段が実行するステップS32(図5参照)の試験端子処理について説明する。図23は、試験端子処理における発射位置指定信号1,2,3の出力に関わる処理例を示すフローチャートである。なお、図23では、発射位置指定信号1,2,3以外の試験信号を出力する処理は省略されている。
試験端子処理において、CPU56は、まず、出力ポートバッファのうちの試験信号出力バッファにおける発射位置指定信号1,2,3のビットをクリアする(ステップS901)。そして、条件装置が作動している場合には(ステップS902)、試験信号出力バッファにおける発射位置指定信号3のビットをセットする(ステップS903)。条件装置が作動していないときには、当り図柄を停止図柄とする図柄の変動が終了した時点であれば(ステップS904)、試験信号出力バッファにおける発射位置指定信号2のビットをセットする(ステップS905)。
なお、条件装置が作動しているとは、第1種パチンコ遊技機における大当り遊技状態、第3種パチンコ遊技機における権利発生状態のときである。そのような状態では、遊技制御手段は、試験信号としての条件装置作動信号を出力(オン状態に)する。また、役物連続作動装置が作動しているとは、第1種パチンコ遊技機や第3種パチンコ遊技機における大入賞口が開放している状態のことである。そのような状態では、遊技制御手段は、例えば試験端子処理において、試験信号としての役物連続作動装置作動信号を出力(オン状態に)している。すなわち、遊技制御手段は、遊技状態に応じて、可変入賞装置の状態を変化させるか否かを判定する可変入賞判定処理(例えば、遊技制御手段のうちで特別図柄プロセス処理を実行する手段による大入賞口を開閉する処理(ステップS306))を実行するとともに、可変入賞判定処理により可変入賞装置(例えば大入賞口)を第1状態(例えば開放状態)に変化させることが判定されたときに、可変入賞装置を第1状態に変化させることを示す可変入賞信号(例えば役物連続作動装置作動信号)を遊技機の外部に出力するための可変入賞信号出力処理(例えば、遊技制御手段のうちの試験信号としての役物連続作動装置作動信号を出力(オン状態に)する手段による処理)を実行し、可変入賞判定処理により可変入賞装置を第1状態に変化させることが判定されたときに、試験端子処理において発射装置の発射強度を変更すべき条件が成立したと判定するように構成される。なお、可変入賞装置としての大入賞口はソレノイド21によって開放状態とされ、ソレノイド21への駆動信号はソレノイド出力処理(ステップS33)で出力されるが、ソレノイド出力処理において駆動信号を出力するか否か判定する処理が存在する場合には、その処理において駆動信号を出力すると決定した場合に、発射装置の発射強度を変更すべき条件が成立したとしてもよい。
ステップS904において図柄の変動が終了した時点でないことを確認した場合には、遊技制御手段は、発射停止状態であれば(ステップS906)、試験信号出力バッファにおける発射位置指定信号1のビットをセットする(ステップS907)。発射停止状態でもなければ、発射位置指定信号1,2,3の何れのビットもセットされない。そして、CPU56は、試験信号出力バッファの内容を出力ポートに出力することによって(ステップS908)、試験信号としての発射位置指定信号1,2,3を試験信号端子111に伝達する。また、上記のように、この例では、遊技状態が通常状態(大当りや確変、時短などが何も発生していない状態)であるときには、発射位置指定信号1,2,3は強制的にオフ状態(例えばローレベル)になる。
図24は、発射位置指定信号1,2,3の出力例を示すタイミング図である。図24に示すタイミングは、図23に示された処理に対応している。図24に示す例では、当り図柄での図柄の変動停止後に所定時間(T1,停止図柄が確定するまでの期間)が経過したら、遊技状態が、遊技領域7に設けられている特別領域への入賞を許可する状態(特別領域有効状態)に制御される(図示せず)。また、遊技球が特別領域を通過すると、試験信号として条件装置作動領域通過信号が出力されるとともに、条件装置作動信号が出力される。
よって、図23に示された処理が実行されると、図24に示すように、通常状態(条件装置作動信号がオフしている状態および特別領域非有効状態)では、左打ちに対応する発射位置指定信号1,2,3の全てが停止され、特別領域有効状態では、中打ちに対応する発射位置指定信号2のみが出力され、条件装置作動信号が出力されている状態では、右打ちに対応する発射位置指定信号3のみが出力される。また、図24に示すように、発射停止状態であるときに、発射位置指定信号1のみが出力される。なお、ここでは、特別領域が遊技領域における中央領域に設けられ、大入賞口としての可変入賞球装置が遊技領域における右側領域に設けられているとする。また、図柄の変動を開始させる条件を成立させる始動入賞口が遊技領域における左側領域に設けられているとする。
なお、役物連続作動装置作動信号は、大入賞口としての可変入賞球装置を駆動するためのソレノイド等への駆動信号が分岐されて試験信号とされたものである。また、例えば、遊技領域7の右側領域に大入賞口が設けられている第1種パチンコ遊技機では、大入賞口が開放するときに出力される役物連続作動装置作動信号が出力されたことを条件に、すなわち、大入賞口を開放状態(遊技球が入賞可能な状態)にさせるための制御信号(駆動信号)の出力状態に合わせて、右打ちに対応する発射位置指定信号3が出力される。なお、大入賞口を開放状態にさせるための制御信号の出力状態は、そのときの遊技状態に対応している。また、発射位置指定信号の出力状態をハードウェア回路により変更するようにしてもよい。一例として、出力ポートの外側に設けられるハードウェア回路により、出力ポートから出力された発射位置指定信号と、可変入賞球装置を駆動するためのソレノイド等への駆動信号との論理積(AND)をとって試験信号とする。ここでの例では、発射位置指定信号3に対して大入賞口を開放状態にさせるための(駆動信号)でANDをとる。
このように、電動役物を駆動するための信号の出力状態に合わせて発射位置指定信号の出力状態を設定すれば、制御上遊技状態が変更されたときよりも、むしろ、実際に役物が開放状態になってから遊技球の打ち方を変えることが多い遊技者の遊技方法に合わせて発射位置指定信号の出力状態を設定できる。
遊技機からの各試験信号は、例えば、パーソナルコンピュータなどの試験装置(外部装置)に入力される。そして、発射位置指定信号1,2,3の出力状態が、例えば試験装置の表示部に表示されることによって、試験者に報知される。タッチセンサ基板91において外部からの発射試験信号に応じて発射強度を調整可能な遊技機を使用している場合には、試験者は、報知に応じて、試験装置に組み込まれている試射試験装置、または試験装置と連動する試射試験装置から、発射位置指定信号1,2,3の出力状態に応じた強度を示す発射試験信号が出力されるように試射試験装置を調整する。従って、遊技機の遊技状態に応じた発射試験信号を直ちに出力することができ、遊技状態に応じた試射試験を実行することができる。
また、試射試験装置におけるアーム状の部材を遊技機の操作ノブ5に接続して機械的に操作ノブ5を操作することによって試射試験を行う場合には、発射位置指定信号1,2,3の出力状態に応じて、手動で、または自動的にアーム状の部材の回動量等を調整する。なお、この場合には、さらに、発射停止スイッチを操作するためのアーム状の停止用部材もあり、発射位置指定信号1,2,3が発射を停止させる操作をすべきことを示している場合には、停止用部材を操作することによって遊技球の発射を停止する。発射位置指定信号1,2,3の出力状態が遊技球の発射を停止させる操作をすべきことを示している場合(例えば、下皿満タンや補給球切れなどの払出禁止状態となったことに起因して発射位置指定信号1のみが主ツされている場合)に、遊技球の発射を継続すると、入賞が発生したにもかかわらず遊技球が払い出されないので正確な遊技機の稼働状況の試験が行えなかったり、入賞発生後エラー状態が解除されて初めて払い出しがなされることによって入賞発生時から遅れて払い出しがなされ、時間当たりの遊技機の稼働状況のデータが不正確になったりする。しかし、この実施の形態では、発射位置指定信号1,2,3の出力状態にもとづいて、遊技機の遊技状態に応じた適切な試射試験を行うことができる。
上記のように、この実施の形態では、遊技機の遊技状態に応じた発射位置指定信号1,2,3を試験信号として出力することによって、試験の際に、遊技機の遊技状態に応じて正確な試射試験データを得ることができるようになる。
なお、上記の例では、エラー状態であるときに発射停止状態とし、そのような発射停止状態であるときに発射位置指定信号1を出力するようにしていたが、大当り遊技状態における各ラウンド間のインターバル中には遊技者が遊技球の発射を停止することが考えられるため、大当り遊技状態における各ラウンド間のインターバル中は発射停止状態であることとして発射位置指定信号1を出力するようにしてもよい。このように構成すれば、試験の際に、実際の稼働状態に近い状態でより正確な試射試験データを得ることが期待できるようになる。
なお、上記の各実施の形態では、大当り図柄をランダム3によって決定し、決定された図柄にもとづいて、確変時短状態、確変状態または時短状態に制御されるが、確変時短状態、確変状態または時短状態に制御するか否かを抽選し、その後に、停止図柄を決定するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態では、1つの演出制御手段が、可変表示装置9等の表示手段、ランプ・LEDおよび音発生手段を制御したが、演出制御手段は、それぞれマイクロコンピュータを含む複数の制御手段によって実現されていてもよい。例えば、可変表示装置9等の表示手段を制御する表示制御手段、ランプ・LEDを制御する発光体制御手段、および音発生手段を制御する音制御手段が別個に設けられていてもよい。また、可変表示装置9の表示状態を、主基板31に搭載されている遊技制御手段が制御するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になるパチンコ遊技機であり、かつ、プリペイドカードによって球貸しを行うカードリーダ(CR:Card Reader )式のパチンコ遊技機であったが、プリペイドカードによって球貸しを行うCR式パチンコ遊技機だけでなく、現金によって球貸しを行うパチンコ遊技機にも適用可能である。さらに、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になるパチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続するパチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。さらに、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、スロット機などの他の遊技機に本発明を適用することもできる。