JP2006221404A - 電動機制御装置およびその機械特性測定方法並びに制御器調整方法 - Google Patents

電動機制御装置およびその機械特性測定方法並びに制御器調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械特性を測定して制御器の安定度を把握し、機械特性に合わせて制御器を最適に調整可能な電動機制御装置および機械特性測定方法、制御器調整方法を提供する。
【解決手段】 電動機1または機械5の動作量を検出する検出手段2と、指令信号を発生する指令器4と、指令信号を受けて電動機1を駆動するための制御器3と、電流制御部6と、を備えた電動機制御装置において、外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部7と、制御器3が出力する駆動力を検出する駆動力検出手段8と、閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と、該外乱信号発生部7の出力と駆動力検出手段8の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11と、該閉ループ駆動力周波数応答特性と該閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段13と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体製造装置や工作機械などの位置決め装置あるいは産業用ロボットに用いられる電動機制御装置に関するもので、特に電動機に接続される機械部を含めた負荷慣性モーメントや機械共振といった機械特性を測定するための機械特性測定方法、および負荷慣性モーメントや機械共振といった機械特性を把握して、電動機制御装置の最適な動作を行うために制御器を機械特性に合わせて調整し、調整結果を確認する制御器調整方法に関する。
従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、位置ずれやトルク飽和を発生させずにメカの周波数応答を測定し、また、周波数特性の測定とイナーシャの同定を同時に行っている(例えば、特許文献1参照)。
図11は第1従来技術におけるメカ特性測定方法を行うためのモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図11において、111は指令発生部、112は位置制御部、113は速度制御部、114はトルクフィルタ部、115は外乱信号発生部、116は加算器、117は電流制御部、118はモータ、119はメカ部、120は検出器、121は周波数応答測定部、126は差分器、127は周波数応答測定部である。
検出器120はモータ118の位置を検出し、差分器126はこのモータ位置からモータ速度を算出する。指令発生部111は位置指令を現在位置に固定する。位置制御部112はこの位置指令とモータ位置が一致するような速度指令を生成する。速度制御部113は、速度指令とモータ速度が一致するようなトルク指令を生成する。加算器116はトルクフィルタ部114からのトルク指令に外乱信号発生部115からの高速掃引波をトルク外乱として加算し新たなトルク指令とする。電流制御部117はこのトルク指令を電流指令に変換してモータ118を駆動する。周波数応答測定部121は、加算器116のトルク指令と、差分器126により算出されたモータ速度を入力し周波数応答の測定を行う。
このように、従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、周波数応答の測定を行うのである。
また、図12は第2従来技術におけるメカ特性測定方法を行うためのモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図12において、151はモデル位置制御部であり、152はモデル速度制御部であり、153はモデルトルクフィルタ部であり、154は外乱信号発生部であり、155は加算器であり、156はモデル電流制御部であり、157はモータモデルであり、158は差分器であり、159はモデル周波数応答測定部である。
従来のメカ特性測定方法では、先ず、制御装置モデルを用いてモータ単体での周波数特性を予め求めておく。そして、モータ単体での周波数特性と、実際のモータ制御装置により測定した周波数特性との比較を行うことによりイナーシャの同定を行う。
モデル位置制御部151は、モータモデル157の出力位置をゼロ位置に戻すような速度指令を生成して出力することにより位置制御を行っている。モデル速度制御部152は、モデル位置制御部151により出力された速度指令と差分器158の出力である速度信号が一致するようなトルク指令を生成して出力することにより速度制御を行っている。モデルトルクフィルタ部153は、モデル速度制御部152からのトルク指令を入力し、フィルタ処理を行っている。外乱信号発生部154は、高速掃引波を生成して出力する。
加算器155は、モデルトルクフィルタ部153からのトルク指令に対して外乱信号発生部154からの高速掃引波を加算して新たなトルク指令として出力している。モデル電流制御部156は、加算器155の出力であるトルク指令を電流指令に変換し、検出されたモータ電流が電流指令に一致するような電流制御を行うことによりモータモデル157の駆動を行っている。モデル周波数応答測定部159は、加算器155の出力であるトルク指令とモータ速度を入力して周波数応答を計測する。
そして、この制御装置モデルを用いて、モータ単体での周波数特性、モータモデル157のイナーシャがモータ単体のイナーシャの2倍、4倍、8倍とした場合の周波数特性をシミュレーションにより求める。
このように、従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、モータ単体での周波数特性と、モータにメカ部が接続された状態での周波数特性を比較することによりモータ+メカ部のイナーシャ合計値を同定するのである。
特開2002−304219号公報(図1、図3)
従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、閉ループ化したモータ制御装置に外乱を加え、外乱と制御器が補償するトルクの和と応答から機械特性を把握するようになっている。また機械特性から慣性モーメント(イナーシャ)を把握するのみで、制御器の安定性を評価する一巡開ループ周波数応答特性を把握することができず、制御器の調整結果を確認できないという問題があった。
また、機械特性を求める際には、制御器が補償するトルクを含み、ノイズ成分まで含んだ波形を使用する。主成分分析のような演算方法を用いない場合は、求めた機械特性の精度が低下するので、機械に合わせた制御器の設定・調整ができないという問題もあった。さらに、演算方法が複雑な主成分分析のような演算方法を用いても、桁落ちなどの演算上の誤差が生じる問題もあった。
トルクフィルタ部114からのトルク指令は、検出器120が検出した応答に基づいた位置制御部115、速度制御部113の出力であるため、検出誤差を有する可能性がある。
従来手法は、トルクフィルタ部114からのトルク指令に外乱信号発生部115の外乱信号を加えた新たなを参照基準として、検出器120が検出した応答との周波数応答を算出するので、式(101)のように、主成分分析法を実施するためにスペクトル・マトリックスの固有値解析のような演算方法が必要となり、複雑なアルゴリズムを適用する必要がある。
ここで、G’iiは平均化したオートパワースペクトル、G’ijは平均化したクロススペクトル、λは固有値、uは固有ベクトル、hは随伴行列を示す。随伴行列とは複素共役である転置行列である。
図4で補足すると、主成分分析は、各データの横軸・縦軸の双方に誤差を含む場合に、直線と各データの距離の差eの2乗の総和が最小になるように近似するものである。
前記式(101)はこの主成分分析法を外乱信号から応答までの周波数応答の演算に適用したものである。
しかしながら、演算が複雑な分、桁落ちなどの演算上の誤差が生じる問題もある。
図13は従来のメカ特性測定方法のための入力と応答に誤差を含む周波数応答関数算出方法の入出力モデル概念図である。
図13のように入力と応答の双方にノイズが混入する実態に対して、入力へのノイズ混入を無視して、応答のみノイズ混入を考慮した演算方法を用いると、式(102)となる。
平均化した入力のオートスペクトルで、平均化した応答と入力のクロススペクトルを割る演算を行う。
ここで、Z(ω)は真値、Zp(ω)はZ(ω)の推定値、G’Qf(ω)は応答rに入力側のノイズMが加わった応答Qと観測したノイズを含まない入力fとの平均化したクロススペクトル、G’ff(ω)は観測したノイズを含まない入力fの平均化したオートパワースペクトル、G’FF(ω)は観測した入力fに入力側のノイズMを加わった総入力Fの平均化したオートパワースペクトル、G’MF(ω)は入力側のノイズMと観測した入力fに入力側のノイズMを加わった総入力Fとの平均化したオートパワースペクトル、G’NF(ω)は応答側のノイズNと観測した入力fに入力側のノイズMを加わった総入力Fとの平均化したオートパワースペクトル、G’NM(ω)は応答側のノイズNと入力側のノイズMとの平均化したオートパワースペクトル、G’MM(ω)は入力側のノイズMの平均化したオートパワースペクトルである。
お互いに相関が無いものは、十分平均化すれば0になるが、G’MM(ω)は0にならない。
つまり、前記式(102)(103)の場合は、平均回数を増やしても、真の周波数特性Zに近づくことができない。よって、前記式(101)の方法にて誤差を抑制した演算が必要となる。但し、演算が複雑な分、桁落ちなどの演算上の誤差が生じる問題もある。
さらに、イナーシャ(慣性モーメント)を求める際に、図12のように、シミュレーションにて、先ず制御装置モデルを用いてモータ単体での周波数特性を予め求め、モータ単体での周波数特性と、実際のモータ制御装置により測定した周波数特性との比較を行うことによりイナーシャの同定を行っており、従来の方法では、直接イナーシャ(慣性モーメント)を把握できず、効率が悪いという問題もあった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、機械特性を測定しながら制御器の安定度を把握し、機械特性に合わせて制御器を最適に調整できると共に、複雑な演算方法を用いることなく、しかも演算誤差を生じない電動機制御装置および機械特性測定方法、制御器調整方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、機械に取り付けられた電動機と、前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、指令信号を発生する指令器と、指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置において、前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部と、前記電動機を駆動する前記制御器から出力された駆動力を検出する駆動力検出手段と、前記制御器からの出力に対して前記外乱信号発生部により生成された外乱を加算し、得られた信号を新たな駆動力として出力する加算器と、前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段と、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段と、前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段と、を備えたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性から前記制御器と前記機械と前記フィードバックループの特性を含む一巡開ループ周波数応答特性を算出する一巡開ループ周波数応答特性算出手段とを有することを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から機械特性を算出することを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記検出手段は、前記電動機の位置または速度または加速度、あるいは前記機械の位置または速度または加速度を検出して前記動作量とすることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記外乱信号発生部の出力は、掃引正弦波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記外乱信号発生部の出力は、M系列信号であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記外乱信号発生部の出力は、ランダム波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項8に記載の発明は、前記電動機は、回転型モータであって、前記駆動力はトルクであることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項9に記載の発明は、前記電動機は、並進型モータであって、前記駆動力は推力であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項10に記載の発明は、前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ外乱周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項11に記載の発明は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ駆動力周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項12に記載の発明は、前記機械特性は周波数応答特性であって、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定する負荷慣性モーメント推定装置を備えることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項13に記載の発明は、前記負荷慣性モーメント推定装置は、前記周波数応答特性の低周波数領域の少なくとも2点を指定して負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項14に記載の発明は、前記負荷慣性モーメント推定装置は、予め電動機特性を有し、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項15に記載の発明は、前前記電動機特性は、前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値を有し、前記負荷慣性モーメント推定装置は、負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項14記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項16に記載の発明は、前記制御器は、位置指令を入力し、該位置指令と前記電動機位置が一致するような速度指令を生成することにより位置制御を行う位置制御部と、
前記速度指令と前記電動機速度が一致するような駆動力指令を生成することにより速度制御を行う速度制御部と、
前記検出手段の出力を、単位系に合わせて前記位置制御部と前記速度制御部にフィードバックする単位換算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項17に記載の発明は、前記制御器は、前記駆動力指令にフィルタ処理を施す駆動力フィルタ手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項18に記載の発明は、前記制御器は、負荷慣性モーメント値による影響を補正する負荷慣性モーメント補正手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項19に記載の発明は、前記機械特性から共振周波数を推定する共振周波数推定手段をさらに備えたことを特徴とする特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項20に記載の発明は、前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出する制御器特性算出手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、16に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項21に記載の発明は、前記検出手段を複数有し、前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は前記外乱信号発生部の出力と複数の前記検出手段の出力から複数の閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは前記一巡開ループ周波数応答特性算出手段により前記閉ループ駆動力周波数応答特性から算出した一巡開ループ周波数応答特性と、複数の前記閉ループ外乱周波数応答特性から複数の機械特性を算出することを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項22に記載の発明は、複数の機械特性から振動モードを推定する振動モード推定装置を備えることを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項23に記載の発明は、前記機械特性や前記一巡開ループ周波数応答特性などの各種周波数応答特性、もしくは前記検出手段の出力、もしくは前記駆動力検出手段の出力、もしくは負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率、もしくは共振周波数もしくは振動モードを観察する出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1、2、3、12、13、14、15、19、20、21、22に記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項24に記載の発明は、入力装置あるいは記憶装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、12、13、14、15、20、21、22、23のいずれかに記載の電動機制御装置とするものである。
また、請求項25に記載の発明は、機械に取り付けられた電動機と、前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、指令信号を発生する指令器と、指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の機械特性測定方法において、
前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力から機械特性を算出するステップと
を有することを特徴とする機械特性測定方法とするものである。
また、請求項26に記載の発明は、前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値を算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
また、請求項27に記載の発明は、前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
また、請求項28に記載の発明は、前記機械特性を算出するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
また、請求項29に記載の発明は、前記機械特性を算出するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
また、請求項30に記載の発明は、機械に取り付けられた電動機と、前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、指令信号を発生する指令器と、指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の制御器調整方法において、
前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力を入力して機械特性を算出するステップと、前記制御器によって負荷慣性モーメント値による影響を補正するステップと、動作性能・応答性に関わる前記制御器の設定値を変更するステップと、
前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップを有することを特徴とする制御器調整方法とするものである。
また、請求項31に記載の発明は、前記制御器によって慣性モーメント値による影響を補正するステップは、
前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
また、請求項32に記載の発明は、前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
また、請求項33に記載の発明は、前記機械特性から推定した共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30、32に記載の制御器調整方法とするものである。
また、請求項34に記載の発明は、前記機械特性測定を推定するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
また、請求項35に記載の発明は、前記制御器の設定値を確認するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
また、請求項36に記載の発明は、前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップは、
前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
請求項1に記載の発明によると、フィードバックループを構成している電動機制御装置に外乱を与えれば、指令0を与えて状態を管理しながら、外乱と、前記制御器から出力された駆動力と、前記検出手段の出力から、閉ループ駆動力周波数応答特性と閉ループ外乱周波数応答特性を、複雑な演算方法を使わずに算出することができ、閉ループ駆動力周波数応答特性と閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、機械特性と共に、閉ループ駆動力周波数応答特性から制御系の安定性を判定できる一巡開ループ周波数応答特性を算出することができ、それぞれを利用できる。
また、請求項3に記載の発明によると、制御系の安定性を判定できる一巡開ループ周波数応答特性と閉ループ外乱周波数応答特性から機械特性を算出することができ、それぞれを利用できる。
また、請求項4に記載の発明によると、前記検出手段では、前記電動機の位置または速度または加速度、あるいは前記機械の位置または速度または加速度を検出することができるので、検出手段の種類や位置を様々に選択できる。
また、請求項5に記載の発明によると、前記外乱信号発生部で作成する信号に掃引正弦波を選択できるので、各種状況に応じた外乱信号を利用できる。
また、請求項6に記載の発明によると、前記外乱信号発生部で作成する信号にM系列信号を選択できるので、各種状況に応じた外乱信号を利用できる。
また、請求項7に記載の発明によると、前記外乱信号発生部で作成する信号にランダム波を選択できるので、各種状況に応じた外乱信号を利用できる。
また、請求項8に記載の発明によると、前記電動機に回転型モータを利用することができる。
また、請求項9に記載の発明によると、前記電動機に並進型モータを利用することができる。
また、請求項10に記載の発明によると、一般的な演算方法である最小二乗法を利用して、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから閉ループ外乱周波数応答特性を算出することができる。
また、請求項11に記載の発明によると、一般的な演算方法である最小二乗法を利用して、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから閉ループ駆動力周波数応答特性算出することができる。
また、請求項12に記載の発明によると、計測した機械特性から電動機に関わる負荷慣性モーメント値を推定でき、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項13に記載の発明によると、任意の2点を指定して、計測した機械特性から電動機に関わる負荷慣性モーメント値を推定でき、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項14に記載の発明によると、機械特性から電動機に関わる負荷慣性モーメント値を推定値と予め有している電動機特性を利用して、計測した機械特性を校正して、機械の主要な特性を物理的な単位で数値化できる。
また、請求項15に記載の発明によると、電動機単体の回転子の慣性モーメント値を有しているので、電動機に関わる負荷慣性モーメント値の比率を算出することができ、負荷と電動機単体の相対的な大きさを認識することができる。
また、請求項16に記載の発明によると、位置を管理する位置制御することができ、同時に速度制御することができ、電流制御することができるので、位置ズレを生じることなく、機械特性を求めることができる。
また、請求項17に記載の発明によると、駆動力にフィルタ処理を施すことができ、駆動力の任意の成分を取り除いて安定的に電動機を制御することができる。
また、請求項18に記載の発明によると、電動機単体に対する電動機制御装置全体の負荷の大きさを補正することができ、負荷の大きさの影響を意識せずに制御器を調整することができる。
また、請求項19に記載の発明によると、共振周波数を推定することができるので、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項20に記載の発明によると、制御器の制御器特性を算出することができ、制御器特性を把握しながら制御器を調整することができる。
また、請求項21に記載の発明によると、複数の機械特性を算出することができるので、詳細な機械特性を把握できる。
また、請求項22に記載の発明によると、振動モードにより、機械の主要な特性を数値化したうえで、より詳しく把握することができる。
また、請求項23に記載の発明によると、各種結果を明確に観察することができる。
また、請求項24に記載の発明によると、入力装置によって各種条件や設定などを操作することができ、さらに、記憶装置によって各種条件や設定などを記憶することができ、日時や場所を変えて作業することができる。
また、請求項25に記載の発明によると、電動機を駆動し、前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測することができ、機械特性を算出することができ、電動機の制御に必要な制御対象の情報を得ることができる。
また、請求項26に記載の発明によると、負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出し、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項27に記載の発明によると、前記機械特性から共振周波数を推定することができ、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項28に記載の発明によると、前記機械特性測定を算出する際、複雑な演算方法を使わずに閉ループ外乱周波数応答特性や閉ループ駆動力周波数応答特性を算出することができ、さらに機械特性を算出することができる。
また、請求項29に記載の発明によると、前記機械特性測定を算出する際、前記閉ループ駆動力周波数応答特性から制御系の安定性を判定できる一巡開ループ周波数応答特性を算出することができ、さらに機械特性を算出することができる。
また、請求項30に記載の発明によると、制御対象である機械の特性を把握した上で、機械の特性を数値化し、負荷慣性モーメント値による影響を補正し、動作性能・応答性に関わる制御器の設定値を変更し、制御器の設定値を確認し、機械の特性に合わせた制御器の調整ができる。
また、請求項31に記載の発明によると、前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することができ、負荷と電動機単体の相対的な大きさを認識することができる。
また、請求項32に記載の発明によると、前記機械特性から共振周波数を推定することができ、機械の主要な特性を数値化できる。
また、請求項33に記載の発明によると、前記機械特性から推定した共振周波数の影響を抑制することができる。
また、請求項34に記載の発明によると、閉ループ外乱周波数応答特性を算出することができ、機械特性を算出することができる。
また、請求項35に記載の発明によると、複雑な演算方法を使わずに閉ループ外乱周波数応答特性や閉ループ外乱周波数応答特性や制御系の安定性を判定でき一巡開ループ周波数応答特性を算出し、同時に機械特性を算出することができる。
また、請求項36に記載の発明によると、制御器の制御器特性を算出することができ、制御器特性を把握しながら制御器を調整することができる。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の全体構成図である。
図において、1は電動機、2は検出手段、3は制御器、4は指令器、5は機械、6は電流制御部、7は外乱信号発生部、8は駆動力検出手段、9は加算器、10は閉ループ外乱周波数応答特性算出手段、11は閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段、12は一巡開ループ周波数応答特性算出手段、13は機械特性算出手段、14は負荷慣性モーメント推定装置、15は電動機特性、16は電動機単体の可動子の慣性モーメント値、17は単位換算手段、18は共振周波数推定手段、19は制御器特性算出手段、20は出力手段、21は入力装置、22は記憶装置である。なお、電動機1は並進型のリニアモータを用いた例を示している。
また、図2は第1実施例における電動機制御装置の動作に関連する部分を模式的に表した図である。図2の符号が図1と同じものについては同一の構成要素を示している。なお、制御器3は制御特性Gと単位換算手段17の単位換算特性を含めたフィードバック特性bを包含すると共に、機械特性Hには、電動機1と機械5を包含して記載している。
ここでは、第1実施例の具体的な説明に入る前に、動作説明に必要な閉ループ外乱周波数応答特性Z、閉ループ駆動力周波数応答特性Zc、一巡開ループ周波数応答特性Zo、機械特性Hの概念並びに関係について説明する。
図2において、閉ループ外乱周波数応答特性Zは、理論上式(1)で定義される。指令器4の出力を0として、外乱信号発生部7が出力した指令信号Dと、検出手段2が出力した応答信号rを観察して得られる閉ループ状態の外乱から応答までの特性である。
また、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcは、同じく図2に示すように、理論上式(2)で定義されると共に、外乱信号発生部7が出力した指令信号Dと、指令器4の出力を0として動作量0指令を維持するように制御器3が出力した補償量である駆動力τを観察して得られる。閉ループ状態の外力から一巡補償駆動力までの特性である。
さらに、一巡開ループ周波数応答特性Zoは、同じく図2に示すように、理論上式(3)で定義されると共に、制御器3の特性Gと機械特性Hとフィードバック特性bを開ループ状態で直結した場合の特性である。
Zo=b・G・H 式(3)
閉ループ駆動力周波数応答特性Zcと一巡開ループ周波数応答特性Zoは、図2のようなブロック図では、理論上式(4)式(5)の関係があり、一巡開ループ周波数応答特性Zoは閉ループ駆動力周波数応答特性Zcから求められる。
次に、本発明の特徴は以下のとおりである。
すなわち、機械5に取り付けられた電動機1と、電動機1または機械5からなる被検出体の動作量を検出する検出手段2と、指令信号を発生する指令器4と、指令信号を受けて電動機1を駆動するための駆動力を発生する制御器3と、駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機1に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより電動機1を駆動するための電流制御部6と、を備え、該指令信号と該動作量が一致するように制御器3を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置において、電動機1の動作に応じて生じる機械などの特性を含めた応答を把握するために外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部7と、該電動機1を駆動する制御器3から出力された駆動力を検出する駆動力検出手段8と、制御器3からの出力に対して外乱信号発生部7により生成された外乱を加算し、得られた信号を新たな駆動力として出力する加算器9と、外乱信号発生部7の出力と検出手段2の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と、該外乱信号発生部7の出力と駆動力検出手段8の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11と、該閉ループ駆動力周波数応答特性と該閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段13とを備えたものとなっている。
次に、電動機制御装置の各種特性の測定について説明する。
図1において、電動機1の動作に応じて生じる機械5などの応答特性の測定を行う場合に、指令器4は動作量として0を制御器3に指令する。検出手段2が検出した動作量は、単位換算手段17を通して制御器3にフィードバックされ、制御器3は、動作量を0にするように制御している。
外乱信号発生部7により生成された高速掃引波を、加算器9を介して外乱として加算し、得られた信号を新たな駆動力の指令として出力して電流制御部6電流指令に変換し、検出されたモータ電流がこの電流指令に一致するように電流制御を行い電動機1に電流を供給し、電動機1を動作させる。
電動機1の動作によって生じる機械5の特性を含む応答を、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dに同期して、検出手段2と駆動力検出手段8にて検出し、外乱信号発生部7高速掃引波Dと検出手段2により検出した応答rを閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10に送り、高速掃引波Dと駆動力検出手段8により検出した駆動力τを閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11に送る。
閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10は、図2のブロック図では理論的に前記式(1)のようになる閉ループ外乱周波数応答特性Zを算出する。
外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、検出手段2により検出した応答rの時系列データを同期して取得し、FFT(Fast Fourier Transform)等により周波数分析を行いスペクトルS(ω)、S(ω)を得る。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波DのスペクトルS(ω)と、検出手段2により検出した応答rのスペクトルS(ω)から式(6)式(7)のようにオートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGrD(ω)を得る。
DD(ω)=S(ω)・S (ω) 式(6)
rD(ω)=S(ω)・S (ω) 式(7)
ここで、SはSの複素共役を示す。
電動機1の動作と、高速掃引波Dと応答rの取得と、周波数分析、オートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGτD(ω)の演算を、複数回実施して、式(8)式(9)のように最終的に平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)とクロススペクトルG’DD(ω)を得る。
ここで、nは平均回数である。
閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10は、平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)とクロススペクトルG’DD(ω)を用いて、式(10)のように、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段Z(ω)を算出する。
なお、外乱信号発生部7は高速掃引波を生成するとしたが、M系列信号やランダム波を生成しても良い。
また、単位換算手段17を備えているので、単位を合わせて制御器3にフィードバックできれば、検出手段2は位置または速度または加速度を検出してよい。
さらに、本例では平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)とクロススペクトルG’DD(ω)を、電動機1の動作を複数回実施したが、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、検出手段2により検出した応答rの時系列データを長時間計測し、複数に分割し、それぞれを処理して、平均化したートパワースペクトルとクロススペクトルを得ても良い。
閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11は、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τから、閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する。閉ループ駆動力周波数応答特性Zcが求まれば、前記式(4)のように一巡開ループ周波数応答特性Zoが求まり、前記式(3)のように電動機1と機械5と制御器3を含めた特性において、制御系の安定度を評価・判断できるようになる。
また、閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11は、図2のブロック図では理論的に前記式(2)のようになる閉ループ駆動力周波数応答特性Zcを算出する。
閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と同様の処理を行う。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τの時系列データを同期して取得し、FFT等により周波数分析を行いスペクトルS(ω)、Sτ(ω)を得る。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波DのスペクトルS(ω)と、駆動力検出手段8により検出した駆動力τのスペクトルSτ(ω)から式(11)式(12)のようにオートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGτD(ω)を得る。
DD(ω)=S(ω)・S (ω) 式(11)
τD(ω)=Sτ(ω)・S (ω) 式(12)
電動機1の動作と、高速掃引波Dと応答rの取得と、周波数分析、オートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGτD(ω)の演算を、複数回実施して、式(13)式(14)のように最終的に平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)とクロススペクトルG’τD(ω)を得る。
閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11は、平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)と平均化したクロススペクトルG’τD(ω)を用いて、式(15)のように、閉ループ駆動力周波数応答特性Zc(ω)を算出する。
なお、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcの算出には、周波数分析や、オートパワースペクトルとクロススペクトルの演算や、平均化など、共通部分が多いので、取り扱うデータを区別すれば、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11の演算機能を共有しても良い。
また、前記式(8)(9)(13)(14)における平均化のためのnによる除算は、オートパワースペクトルとクロススペクトルが前記式(10)式(15)のように分母、分子に現れるため、演算上省略しても良い。
さらに、本例では平均化したオートパワースペクトルG’DD(ω)とクロススペクトルG’τD(ω)を、電動機1の動作を複数回実施したが、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τの時系列データを長時間計測し、複数に分割し、それぞれを処理して、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルを得ても良い。
さらに、高速掃引波Dを低速掃引波Dとして、低速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τの時系列データを長時間計測し、複数に分割し、それぞれを処理して、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルを得ても良い。
また、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcの算出に、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルを用いる理由を図3、図4を用いて補足説明する。
図3は本発明の第1実施例を示す応答に誤差を含む周波数応答関数算出方法の入出力モデル概念図である。図4は本発明の第1実施例を示す周波数応答関数算出の概念図である。ここで、周波数応答関数とは閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcである。
閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcの算出は、図3の入出力モデル概念図で説明することができる。
つまり、検出手段2により検出した応答rや駆動力検出手段8により検出した駆動力τには、検出誤差成分が含まれている可能性がある。
図2に示したように、指令を0とし、閉ループ状態で外乱Dを与え、応答rの動作量が指令0に一致するように制御器が機能した場合のデータを取得する。
外乱信号発生部7の出力Dは、外乱信号発生部が作成したそのままを、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10、閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11にて処理するため、ノイズ成分が混入することが無い。
一方、検出手段2は、電動機1がついた機械5のテーブルの動作量を検出するため、検出手段2に関わるノイズ成分が応答rに混入する恐れがある。さらに応答rをフィードバックして制御器3が出力する補償駆動力τにもノイズが混入する恐れがある。
前記式(10)式(15)による閉ループ外乱周波数応答特性Z、閉ループ駆動力周波数応答Zcの算出は、入力を外乱信号発生部7の出力Dとし、出力を検出手段2の出力である応答rもしくは駆動力検出手段8の出力である補償駆動力τを用いているので、図3のノイズ成分が無い入力fと、ノイズ成分Nが出力qに含まれる入出力モデルからZの特性を得る方法と同じである。
出力qにノイズNが含まれる場合は、式(16)の状態となる。なお、周波数データを処理するため各要素をf(ω)、Z(ω)、r(ω)、N(ω)、R(ω)と記す。
R(ω)=Z(ω)・f(ω)+N(ω) 式(16)
Z(ω)の特性を得るため、その推定値をZp(ω)として、Z(ω)とZp(ω)の誤差を最小にする。
図4によって補足すると、最小二乗法による直線近似と同じである。図4では、入力側の横軸は真値とし、出力側の縦軸のデータ値と近似する直線との誤差εを、最小となるようにする。データは複数あり、その差は正負あるので、式(17)のように誤差εの二乗値の総和Eを最小にする。
図4の複数のデータは、周波数応答関数を算出するためにオートパワースペクトルとクロススペクトルの平均化のために複数のデータを取得していたことに対応し、図4の近似した直線は、その傾きが算出した結果であり、周波数応答関数の各周波数の値に対応する。
図3で観測できるのは入力fと出力Qであり、推定値Zp(ω)に入力f(ω)を掛けた結果と出力Q(ω)の差が誤差である。
前記式(17)を周波数応答関数の算出にあてはめると、式(18)となる。
ここで、nは平均化回数である。
誤差Eを最小にするためには、式(19)のようにZp(ω)により微分して0と置く。
前記式(19)から、周波数応答Z(ω)の推定値Zp(ω)が式(20)にて求められる。
前記式(20)の分母は、入力のオートパワースペクトルの平均値、分子は、応答と入力のクロススペクトルの平均値に対応している。
したがって、周波数応答Z(ω)の推定値Zp(ω)は式(21)となる。
前記式(16)をクロススペクトルに適用すると、式(22)となり、右辺の第2項はノイズと入力のクロススペクトルとなる。
ノイズと入力のクロススペクトルは、本来無相関であるべきため、十分に平均化すれば、0となる。
以上のようにして、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τと、検出手段2により検出した応答rから、最小二乗法を用いてノイズ成分を抑制した閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zを算出するのである。
閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcを算出した後は、機械特性Hを求める。機械特性Hは電動機1および機械5の特性であり、制御対象の特性なので、機械系の共振等が把握でき、制御対象に合わせた制御方法を選択することができるようになる。
機械特性算出手段13は、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zを用いて、機械特性Hを算出する。
閉ループ外乱周波数応答特性Zと機械特性Hには、前記式(1)と式(2)のような関係があるため、前記式(3)の一巡開ループ周波数応答特性Zを使って式(23)のように機械特性Hを算出できる。
H=−Z・(1+b・G・H)=−Z・(1+Zo) 式(23)
また、前記式(5)のように、閉ループ駆動力周波数応答特性Zと一巡開ループ周波数応答特性Zの関係があるので、一巡開ループ周波数応答特性Zから、理論上前記式(3)の特性となる閉ループ駆動力周波数応答特性Zを算出できる。
よって、機械特性算出手段13は、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zから式(24)のように機械特性Hを算出しても良い。
また、機械特性算出手段13が、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zを用いて、機械特性Hを算出した場合でも、後述する制御器3の調整のため、一巡開ループ周波数応答特性算出手段12は、閉ループ駆動力周波数応答特性Zから一巡開ループ周波数応答特性Zを算出し、記憶装置22に記憶させても良い。
機械特性Hを算出する手順を入力装置21にて指定しても良い。
なお、閉ループ駆動力周波数応答特性Zc、閉ループ外乱周波数応答特性Z、一巡開ループ周波数応答特性Z、機械特性Hを把握できたので、制御器特性算出手段19は、制御器特性bGを、前記式(3)を用いて、式(25)のように一巡開ループ周波数応答特性Zと機械特性Hから求めても良い。
制御器特性bGは制御系のみの特性なので、制御器3の設定値を変えた場合を比較することができる。
ここで、制御器特性bGは、制御器特性G、単位換算特性を含めたフィードバック系特性bを合わせた特性である。
また、制御器特性算出手段19は、前記式(4)の関係があるので、制御器特性算出手段19は、制御器特性bGを、式(26)のように、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcと機械特性Hから求めても良い。
さらに、制御器特性算出手段19は、前記式(1)の関係があるので、制御器特性算出手段19は、制御器特性bGを、式(27)のように、閉ループ外乱周波数応答特性Zと機械特性Hから求めても良い。
出力手段20は、これまでの閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、機械特性H、制御器特性bGなど様々な結果を出力しても良い。
同様に、閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、機械特性H、制御器特性bGや制御器3の設定値など様々な結果を記憶装置22に記憶させても良い。
以上のようにして、機械特性Hが算出できれば、負荷慣性モーメント推定装置14や、共振周波数推定手段18により、慣性モーメントや共振などの機械特性の数値が判る。
図5は、本発明の第1実施例を示す負荷慣性モーメントの算出方法および機械特性を示す図である。
負荷慣性モーメント推定装置14は、機械特性Hから負荷慣性モーメントを算出する。
機械特性Hは、図5に示すように周波数領域のデータになっており、出力手段20にグラフを横軸Log周波数で出力すれば図のようになる。機械特性Hのゲインの低周波数領域の左上から右下にほぼ直線で表される部分の傾きから負荷慣性モーメントを算出できる。
最小二乗法により直線近似すれば、負荷慣性モーメント推定装置14は負荷慣性モーメントを算出できる。
負荷慣性モーメントJのとき、駆動力から速度応答の剛体系の機械特性Hは式(28)となる。共振が存在する場合にも低周波数領域の特性は変わらない。
ここで、sはラプラス演算子である。
そこで、負荷慣性モーメント推定装置14は、以下のような手順で負荷慣性モーメントを算出することもできる。
出力手段20に出力した機械特性Hのグラフの低周波数領域の直線部分の任意の2点を、入力装置21から指定して、図中の直線の式を求め、負荷慣性モーメント推定装置14が負荷慣性モーメントを算出しても良い。
なお、求めた機械特性Hの単位系が異なり校正が必要ならば、負荷慣性モーメント推定装置14が有する電動機特性15を用いて機械特性Hを校正してよい。
また、負荷慣性モーメント推定装置14は、算出した負荷慣性モーメントのうち電動機1に付加された部分を、予め準備している電動機単体の回転子の慣性モーメント値16に対する比率として算出してもよい。
図5のような機械特性Hのグラフの山は、共振である。共振周波数推定手段18は、機械特性Hのゲインの凹凸から山のピークを検索することで、共振周波数を検出できる。
機械特性Hから負荷慣性モーメントや共振周波数を把握できれば、制御器3の設定値に機械特性を反映できる。
図6は本発明の第1実施例を示す制御器の内部ブロック図であり、図1および図2の制御器3の中身を詳しく示している。Gは制御特性であり、26は負荷慣性モーメント補正手段、25は駆動力フィルタ手段である。負荷慣性モーメント補正手段26の特性はg、駆動力フィルタ手段25の特性はfで示している。
負荷慣性モーメント補正手段26へは、前記負荷慣性モーメント推定装置14が所有する電動機単体の回転子の慣性モーメント値16に対する、電動機1に付いた負荷慣性モーメントの電動機1単体に対する比率によって設定してもよい。
なお、電動機制御装置が電動機に応じた単位で駆動されていれば、前記負荷慣性モーメント推定装置14は、電動機特性15に基づき、算出した負荷慣性モーメントを物理的な単位に変換しても良い。負荷慣性モーメント補正手段26は、物理単位量で得た負荷慣性モーメントを電動機に応じた単位に換算して設定しても良い。
駆動力フィルタ手段25は、機械特性Hの共振周波数をノッチフィルタとして設定してよい。また、ノッチフィルタを複数設定しても良い。あるいは、ローパスフィルタを設定しても良い。
このように制御器3に機械特性Hを反映できたので、電動機制御装置は指令器4からの指令に対して適切な応答となるよう、制御器3の他の設定値を変えることができる。
制御器3の設定値を変え、応答性が変わったら、閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGが変化する。
前記の操作を再度行えば、負荷慣性モーメント補正手段26や駆動力フィルタ手段25を含む制御器3の設定値が変化した後の閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGを再度算出できる。
記憶装置22に記憶させていた制御器3の設定値が変化する前の閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGを出力手段20に呼び出し、制御器3の設定値を変えた後の閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGと相対比較して良い。
また、一巡開ループ周波数応答特性Zは、ゲイン余裕・位相余裕を観察できるので、制御器3の設定値の安定性を評価することができる。
出力手段20には、以上の手順の各段階の結果を出力して内容を確認できる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
本発明の第1実施例は上記の構成にしたので、機械特性Hを把握して、機械特性Hを補償する制御器3の設定ができ、制御器3の設定値を変更して、最適な動作を行う電動機制御装置を提供することができる。また、最適な動作を行う制御器3の設定値を閉ループ外乱周波数応答特性Z、閉ループ駆動力周波数応答特性Z、一巡開ループ周波数応答特性Z、あるいは制御器特性bGによって観察することができる。それから、一巡開ループ周波数応答特性Zからはゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価することができる。
図7は本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の全体構成図である。なお、第2実施例の構成要素が第1実施例と同じものについては同一符号を付して説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図において、第2実施例が第1実施例と異なるのは、機構系のうち、電動機1が回転型モータの例を示すと共に、電動機1がボールねじを介してテーブル(機械5)を並進運動させるようになっている点である。また、制御系については、回転型モータの動作量を検出する検出手段2aと、テーブルの動作量を検出する検出手段2bを有したフルクローズド構成になっている。これに応じて、16は電動機単体の回転子の慣性モーメント値を示すものとなっている。さらに、第2実施例の制御器の構成が第1実施例のものと異なる点については以下に述べる。
図8は本発明の第2実施例を示す電動機制御装置のブロック図であり、図は電動機制御装置の動作に関連する部分を、制御器3を中心にして詳述したものである。なお、図8の符号が図7と同じ符号については同一の構成要素を示している。
図において、23は位置制御部、24は速度制御部、25は駆動力フィルタ手段、26は負荷慣性モーメント補正手段である。機械特性Hには、電動機1と機械5を包含して記載している。
すなわち、第2実施例の制御器3は、位置制御部23、速度制御部24、負荷慣性モーメント補正手段26、駆動力フィルタ手段25、電流制御部6を備え、単位換算手段17の単位換算特性を含めたフィードバック特性b1、b2を持ち、機械特性Hvの応答rが速度制御部24に、機械特性Hの応答Rが位置制御部23にフィードバックされている点で、第1実施例の制御器と異なっている。
また、本実施例が特許文献1と異なる点は、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10、閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11、一巡開ループ周波数応答特性算出手段12、機械特性算出手段13と、負荷慣性モーメント推定装置14、共振周波数推定手段18、制御器特性算出手段20を備え、負荷慣性モーメント推定装置14には電動機特性15と電動機単体の回転子の慣性モーメント値16を備えた点である。さらに、検出手段2a、2bを2つ有したフルクローズド構成になっている点である。
以下では、制御器3の構成とフルクローズド構成による特徴を中心に説明する。
第2実施例は、第1実施例と同様に、機械特性の測定を行う場合には、指令器4は位置の動作量0を制御器3に指令し、検出手段2aが検出した動作量Rは、単位換算手段17のb1を介して位置情報としてフィードバックされ、制御器3の位置制御部23で位置の動作量0を保つように制御される。検出手段2bが検出した動作量rは、単位換算手段17のb2を介して速度情報としてフィードバックされ、制御器3の速度制御部24で速度の制御を行う。駆動力フィルタ手段25と負荷慣性モーメント補正手段26は当初、設定されておらず、その特性g、fは作用しない。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波を、加算器9を介して外乱として加算し、得られた信号を新たな駆動力の指令として出力して電流制御部6電流指令に変換し、検出されたモータ電流がこの電流指令に一致するように電流制御を行い電動機1に電流を供給し、電動機1を動作させる。
電動機1の動作によって機械5の特性を含む応答を、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dに同期して、検出手段2aと検出手段2bと駆動力検出手段8にて検出し、外乱信号発生部7高速掃引波Dと検出手段2aと検出手段2bにより検出した2種類の応答Rとrを閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10に送り、高速掃引波Dと駆動力検出手段8により検出した駆動力τを閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11に送る。
閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10は、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、検出手段2aと検出手段2bにより検出した2種類の応答Rとrから、2種類の閉ループ外乱周波数応答特性ZRD、RDを算出する。
閉ループ外乱周波数応答特性ZRD、RDは図8のブロック図では理論的に式(29)(30)のようになる。
実際には、第1実施例と同様に、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、検出手段2aと検出手段2bにより検出した2種類の応答Rとrからから式(31)(32)のように閉ループ外乱周波数応答特性ZRDを求める。
閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11は、第1実施例と同様に、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τから、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcを算出する。閉ループ駆動力周波数応答特性Zcはフルクローズド構成の場合も第1実施例と同様であるが、図8のブロック図では理論的には式(33)のような特性である。
実際には、第1実施例と同様に、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τから式(34)のように閉ループ駆動力周波数応答特性Zcを求める。
閉ループ駆動力周波数応答特性Zcと一巡開ループ周波数応答特性Zoは前記式(4)の関係があるので、図8のブロック図では理論的には式(35)のような特性となる。
Zo=(b・G・H+b・H)・G・g・f 式(35)
よって、一巡開ループ周波数応答特性算出手段12は、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcから一巡開ループ周波数応答特性Zoを算出できる。
機械特性算出手段13は、第1実施例と同様の方法を適用すれば、2種類の閉ループ外乱周波数応答特性ZRD、RDと閉ループ駆動力周波数応答特性Zまたは一巡開ループ周波数応答特性Zoを用いて、2種類の機械特性H、Hrを算出できる。
つまり、第1実施例の前記式(23)(24)と同様に、式(36)(37)のように演算すれば、2種類の機械特性H、Hrを算出できることが判る。
閉ループ駆動力周波数応答特性Zc、一巡開ループ周波数応答特性Z、2種類の閉ループ外乱周波数応答特性ZRD、RD、2種類の機械特性H、Hrを把握できたので、第1実施例のように、制御器特性算出手段19は、式(38)式(39)のように2種類の制御器特性[b・G]、[b・G]を求めてもよい。
但し、2種類の制御器特性には、機械特性H、Hrの特性が含まれる。
負荷慣性モーメント推定装置14は、機械特性H、Hrに含まれる負荷慣性モーメント成分を第1実施例と同様に、求めることができる。
また、共振周波数推定手段18は、機械特性H、Hrに含まれる共振を検出し、共振周波数を第1実施例と同様に、求めることができる。
第1実施例と同様に、機械特性H、Hrから数値化した負荷慣性モーメントや共振周波数を制御器3の設定値として、負荷慣性モーメント補正手段26や駆動力フィルタ手段25に機械特性を反映できる。
第1実施例と同様に、電動機制御装置は指令器4からの指令に対して適切な応答となるよう、制御器3の他の設定値を変えることができる。
第1実施例と同様に、前記の操作を再度行えば、負荷慣性モーメント補正手段26や駆動力フィルタ手段25を含む制御器3の設定値が変化した後の閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGを再度算出でき、制御器3の設定値の安定性を評価することができる。
第1実施例と同様に、出力手段20には、以上の手順の各段階の結果を出力して内容を確認できる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
なお、第2実施例では、制御機3の中身を位置制御部23と速度制御部24としたが、フィードフォワード部を設け、何らかの機能を付加しても良いし、フィードバックに何らかの機能を付加しても良い。
本発明の第2実施例は上記の構成にしたので、フルクローズド構成の場合も、第1実施例と同様に、機械特性Hを把握して、機械特性Hを補償する制御器3の設定ができ、制御器3の設定値を変更して、最適な動作を行う電動機制御装置を提供することができる。また、最適な動作を行う制御器3の設定値を閉ループ外乱周波数応答特性Z、閉ループ駆動力周波数応答特性Z、一巡開ループ周波数応答特性Z、あるいは制御器特性bGによって観察することができる。それから、一巡開ループ周波数応答特性Zからはゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価することができる。
図9は本発明の第3実施例を示す電動機制御装置の全体構成図である。なお、第3実施例の構成要素が第2実施例と同じものについては同一符号を付して説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図において、27は振動モード推定装置であり、2a、2b、2c、・・・2nは検出手段である。機械特性は、電動機1と機械5を含めて記載しており、検出手段2と同数のH1、H2、H3、・・・Hnを有する。
制御器3は、制御特性Gと単位換算手段17を含めたフィードバック特性bのみを示し、簡易的に示している。また、検出手段2aのみからフィードバック特性bを介して閉ループ化されている。
第3実施例が特許文献1と異なる点は、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10、閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11、一巡開ループ周波数応答特性算出手段12、機械特性算出手段13、振動モード推定装置27と、複数の検出手段2と複数の機械特性を備えた点である。
また、第3実施例が第1実施例と異なる点は、振動モード推定装置27と、複数の検出手段2と複数の機械特性を備えた点である。
第3実施例が第2実施例と異なる点は、同様に、振動モード推定装置27と、複数の検出手段2と複数の機械特性を備えた点である。また、複数の検出手段2を有してはいるが、フィードバックは1つの検出手段2から行う構成にしていて、第2実施例のようなフルクローズド構成ではない。なお、制御器3は第2実施例とは異なり簡略化して示している。
第3実施例は、第1実施例の前記式(1)と同様に、外乱信号発生部7が出力した指令信号Dと、制御器3にフィードバックする検出手段2a応答信号rを観察して得られる閉ループ状態の外乱から応答までの閉ループ外乱周波数応答特性ZR、r1は図9のブロック図では理論上、式(40)のようになる。
なお、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcは第1実施例の前記式(2)と同様、一巡開ループ周波数応答特性Zoは第1実施例の前記式(3)、および機械特性H1は第1実施例の前記式(23)もしくは(24)、制御器特性bGは前記式(25)(26)もしくは(27)と特性は同じとなる。添字の表現が異なる場合があるが、ここでは明記しない。
外乱信号発生部7が出力した指令信号Dと、検出手段2b、2c、・・・2nの応答r2、r3、・・・、rnから得る閉ループ外乱周波数応答特性ZR、iは、図9のブロック図では理論上、式(41)となる。
ここでi≠1、i=2、3、・・・n
前記式(41)の閉ループ外乱周波数応答特性ZR、r1や一巡開ループ周波数応答特性
Zo、一巡開ループ周波数応答特性Zoを考慮すると、機械特性、H2、H4、・・・、Hnは式(42)である。
ここでi≠1、i=2、3、・・・n
つまり、第1実施例や第2実施例と同様に、駆動力周波数応答特性Zcもしくは一巡開ループ周波数応答特性Zoから機械特性H1、H2、H3、・・・Hnが算出できる。
共振周波数推定手段18は、第1実施例と同様に、複数の機械特性H1、H2、H3、・・・Hnから共振周波数を検出してよい。
さらに機械特性H1、H2、H3、・・・、Hnから振動モード推定装置27により各共振周波数における振動モードを算出し、出力手段20により振動モードを観察し、より詳細な機械特性を把握できる。
制御器3の設定の確認などは、第1実施例、第2実施例と同様に実施できる。
図9には省略し詳述していないが、こうした機械特性に合わせて、制御器3の中身を設定して、適切な制御器3の設定ができるようになる。
第1実施例と同様に、電動機制御装置は指令器4からの指令に対して適切な応答となるよう、制御器3の他の設定値を変えることができる。
第1実施例や第2実施例と同様に、前記の操作を再度行えば、負荷慣性モーメント補正手段26や駆動力フィルタ手段25を含む制御器3の設定値が変化した後の閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGを再度算出でき、制御器3の設定値の安定性を評価することができる。
第1実施例や第2実施例と同様に、出力手段20には、以上の手順の各段階の結果を出力して内容を確認できる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
本発明の第3実施例は上記の構成にしたので、第1実施例や第2実施例と同様に、機械特性Hを把握して、機械特性Hを補償する制御器3の設定ができ、制御器3の設定値を変更して、最適な動作を行う電動機制御装置を提供することができる。また、最適な動作を行う制御器3の設定値を閉ループ外乱周波数応答特性Z、閉ループ駆動力周波数応答特性Z、一巡開ループ周波数応答特性Z、あるいは制御器特性bGによって観察することができる。それから、一巡開ループ周波数応答特性Zからはゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価することができる。
図10は本発明の第4実施例を示す機械特性測定方法および制御器調整方法の処理手順を示すフローチャートである。この図を用いて本発明の第4実施例を、順を追って説明する。
図のフローチャートは、その目的によって大きく2つに分けられる。
STP1、STP2は、機械特性測定方法、STP3、STP4は制御器調整方法の処理手順である。
STP1で電動機を駆動し、応答を計測する。STP2で機械特性を算出する。機械特性を把握できれば、STP2aで負荷慣性モーメントを求め、STP2bで機械特性から共振周波数を推定する。
STP2aの結果を使って、STP3aで制御器の負荷慣性モーメントの影響を補正する。また、STP2bの結果を使って、STP3bで、共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定する。
STP3では、制御器の設定を変更して、電動機制御装置の応答性など性能を調整する。
最後に、STP4では、安定性などを含めて制御器の設定値を確認する。STP4の結果が良ければ、制御器の調整までが完了する。STP4の結果が不良であれば、STP3に戻り、制御器を再調整する。
このように、機械特性の把握をしてから制御器を調整するので、機械特性に合致した制御器の性能を発揮できるようになる。
STP1の電動機を駆動し、応答を計測するステップでは、第1実施例や第2実施例もしくは第3実施例と同様に、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波を、加算器9を介して外乱として加算して電動機1を動作させ、外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dに同期して、検出手段2と駆動力検出手段8にて応答と駆動力を検出し、計測する。
STP2の機械特性を算出するステップでは、第1実施例や第2実施例もしくは第3実施例と同様に、STP1で計測したデータを用いて、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcを算出し、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcもしくは、閉ループ外乱周波数応答特性Zと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcから求めた一巡開ループ周波数応答特性Zoから機械特性Hを算出する。
STP2aの負荷慣性モーメントを求めるステップでは、第1実施例や第2実施例と同様に、STP3で算出した機械特性Hの低周波数領域から負荷慣性モーメントを求める。
第1実施例のように予め準備された電動機単体の慣性モーメントに対する負荷分の比率にて表してもよい。
STP2bの機械特性から共振周波数を推定するステップでは、第1実施例や第2実施例もしくは第3実施例と同様に、STP3で算出した機械特性Hのゲインの凹凸から共振周波数を推定する。
STP3aの制御器の負荷慣性モーメントの影響を補正するステップでは、第1実施例や第2実施例と同様に、STP2aで求めた負荷慣性モーメントを用いて、制御器に負荷慣性モーメントの影響を補正するように設定する。
STP3bの共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定するステップでは、第1実施例や第2実施例もしくは第3実施例と同様に、STP2bで求めた共振周波数を用いて、制御器に共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定する。
STP3の制御器の設定を変更するステップでは、第1実施例や第2実施例もしくは第3実施例と同様に、電動機制御装置が指令器からの指令に対して適切な応答となるよう、制御器の設定値を変える。
STP4の制御器の設定値を確認するステップでは、STP1とSTP2の手順を再び行うことで、新たな一巡開ループ周波数応答特性Zを得て、ゲイン余裕・位相余裕を観察して制御器の設定値の安定性を判断し、最初のSTP2で得た閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGと、新たな結果を比較して制御器の設定値を確認できる。
電動機制御装置の性能が十分であれば、制御器の設定が完了するが、不十分であれば、STP3に戻り、再度制御器の設定を行う。
本発明の第4実施例に関わる機械特性測定方法および制御器調整方法は上記手段を用いたので、機械特性Hを把握して、機械特性Hを補償する制御器3の設定を行うことができ、制御器3の設定値を変更して、最適な動作を行う電動機制御装置を提供することができる。また、最適な動作を行う制御器3の設定値を閉ループ外乱周波数応答特性Zや、閉ループ駆動力周波数応答特性Zや、一巡開ループ周波数応答特性Z、制御器特性bGによって観察することができる。一巡開ループ周波数応答特性Zからはゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価することができる。
本発明は、制御系の調整前に制御対象の機械特性と共に、制御系の安定度を示す一巡開ループ周波数応答特性を計測することができるので、制御系調整前の制御系の安定度が判り、制御系の調整可能なパラメータの数値範囲が事前に判るので、効率的に制御系を調整するという用途にも適用できる。
また、最終的にゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価できる一巡開ループ周波数応答特性や機械特性を記録でき、量産された個々の電動機制御装置における制御系の調整結果を定量的に示すことができるので、品質管理記録として利用できるという用途にも適用できる。
さらに、制御器を閉ループ化するので、位置制御部を用いて位置管理しながら本発明の動作をすることができるので、垂直方向の位置を保つように構成された電動機を用いた機械特性の把握や制御器の調整という用途にも適用できる。
本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の全体構成図 本発明の第1実施例を示す電動機制御装置のブロック図 本発明の第1実施例を示す応答に誤差を含む周波数応答関数算出方法の入出力モデル概念図 本発明の第1実施例を示す最小二乗法の概念図 本発明の第1実施例を示す負荷慣性モーメントの算出方法および機械特性を示す図 本発明の第1実施例を示す制御器の内部ブロック図 本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の全体構成図 本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の制御ブロック図 本発明の第3実施例を示す電動機制御装置の全体構成図 本発明の第4実施例を示す機械特性測定方法および制御器調整方法の処理手順を示すフローチャート 第1従来技術におけるメカ特性測定方法を行うためのモータ制御装置の構成を示すブロック図 第2従来技術におけるメカ特性測定方法を行うためのモータ制御装置の構成を示すブロック図 従来のメカ特性測定方法のための入力と応答に誤差を含む周波数応答関数算出方法の入出力モデル概念図
符号の説明
1 電動機
2 2a、2b、2c、・・・・2n 検出手段
3 制御器
4 指令器
5 機械
6 電流制御部
7 外乱信号発生部
8 駆動力検出手段
9 加算器
10 閉ループ外乱周波数応答特性算出手段
11 閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段
12 一巡開ループ周波数応答特性算出手段
13 機械特性算出手段
14 負荷慣性モーメント推定装置
15 電動機特性
16 電動機単体の可動子(回転子)の慣性モーメント値
17 単位換算手段
18 共振周波数推定手段
19 制御器特性算出手段
20 出力手段
21 入力装置
22 記憶装置
23 位置制御部
24 速度制御部
25 駆動力フィルタ手段
26 負荷慣性モーメント補正手段
27 振動モード推定装置

Claims (36)

  1. 機械に取り付けられた電動機と、
    前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
    指令信号を発生する指令器と、
    指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
    前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
    前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置において、
    前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部と、
    前記電動機を駆動する前記制御器から出力された駆動力を検出する駆動力検出手段と、
    前記制御器からの出力に対して前記外乱信号発生部により生成された外乱を加算し、得られた信号を新たな駆動力として出力する加算器と、
    前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段と、
    前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段と、
    前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段と、
    を備えたことを特徴とする電動機制御装置。
  2. 前記閉ループ駆動力周波数応答特性から前記制御器と前記機械と前記フィードバックループの特性を含む一巡開ループ周波数応答特性を算出する一巡開ループ周波数応答特性算出手段とを有することを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  3. 前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から機械特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  4. 前記検出手段は、前記電動機の位置または速度または加速度、あるいは前記機械の位置または速度または加速度を検出して前記動作量とすることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  5. 前記外乱信号発生部の出力は、掃引正弦波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  6. 前記外乱信号発生部の出力は、M系列信号であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  7. 前記外乱信号発生部の出力は、ランダム波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  8. 前記電動機は、回転型モータであって、前記駆動力はトルクであることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  9. 前記電動機は、並進型モータであって、前記駆動力は推力であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  10. 前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ外乱周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  11. 前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ駆動力周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  12. 前記機械特性は周波数応答特性であって、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定する負荷慣性モーメント推定装置を備えることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  13. 前記負荷慣性モーメント推定装置は、前記周波数応答特性の低周波数領域の少なくとも2点を指定して負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置。
  14. 前記負荷慣性モーメント推定装置は、予め電動機特性を有し、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置。
  15. 前記電動機特性は、前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値を有し、前記負荷慣性モーメント推定装置は、負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項14記載の電動機制御装置。
  16. 前記制御器は、位置指令を入力し、該位置指令と前記電動機位置が一致するような速度指令を生成することにより位置制御を行う位置制御部と、
    前記速度指令と前記電動機速度が一致するような駆動力指令を生成することにより速度制御を行う速度制御部と、
    前記検出手段の出力を、単位系に合わせて前記位置制御部と前記速度制御部にフィードバックする単位換算手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
  17. 前記制御器は、前記駆動力指令にフィルタ処理を施す駆動力フィルタ手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置。
  18. 前記制御器は、負荷慣性モーメント値による影響を補正する負荷慣性モーメント補正手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置。
  19. 前記機械特性から共振周波数を推定する共振周波数推定手段をさらに備えたことを特徴とする特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
  20. 前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出する制御器特性算出手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、16に記載の電動機制御装置。
  21. 前記検出手段を複数有し、前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は前記外乱信号発生部の出力と複数の前記検出手段の出力から複数の閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
    前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは前記一巡開ループ周波数応答特性算出手段により前記閉ループ駆動力周波数応答特性から算出した一巡開ループ周波数応答特性と、複数の前記閉ループ外乱周波数応答特性から複数の機械特性を算出することを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の電動機制御装置。
  22. 複数の機械特性から振動モードを推定する振動モード推定装置を備えることを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置。
  23. 前記機械特性や前記一巡開ループ周波数応答特性などの各種周波数応答特性、もしくは前記検出手段の出力、もしくは前記駆動力検出手段の出力、もしくは負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率、もしくは共振周波数もしくは振動モードを観察する出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1、2、3、12、13、14、15、19、22に記載の電動機制御装置。
  24. 入力装置あるいは記憶装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、12、13、14、15、22のいずれかに記載の電動機制御装置。
  25. 機械に取り付けられた電動機と、
    前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
    指令信号を発生する指令器と、
    指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
    前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
    前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の機械特性測定方法において、
    特性を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
    前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力から機械特性を算出するステップと
    を有することを特徴とする機械特性測定方法。
  26. 前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値を算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
  27. 前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
  28. 前記機械特性を算出するステップは、
    前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
    前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
  29. 前記機械特性を算出するステップは、
    前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
    前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
  30. 機械に取り付けられた電動機と、
    前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
    指令信号を発生する指令器と、
    指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
    前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
    前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の制御器調整方法において、
    特性を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
    前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力を入力して機械特性を算出するステップと、前記制御器によって負荷慣性モーメント値による影響を補正するステップと、動作性能・応答性に関わる前記制御器の設定値を変更するステップと、
    前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップを有することを特徴とする電動機制御装置の制御器調整方法。
  31. 前記制御器によって慣性モーメント値による影響を補正するステップは、
    前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
  32. 前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
  33. 前記機械特性から推定した共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30、32に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
  34. 前記機械特性測定を推定するステップは、
    前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
    前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
  35. 前記制御器の設定値を確認するステップは、
    前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
    前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
    前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
  36. 前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップは、
    前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
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