JP4325566B2 - 電動機制御装置およびその機械特性測定方法並びに制御器調整方法 - Google Patents
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Description
図11において、111は指令発生部、112は位置制御部、113は速度制御部、114はトルクフィルタ部、115は外乱信号発生部、116は加算器、117は電流制御部、118はモータ、119はメカ部、120は検出器、121は周波数応答測定部、126は差分器、127は周波数応答測定部である。
検出器120はモータ118の位置を検出し、差分器126はこのモータ位置からモータ速度を算出する。指令発生部111は位置指令を現在位置に固定する。位置制御部112はこの位置指令とモータ位置が一致するような速度指令を生成する。速度制御部113は、速度指令とモータ速度が一致するようなトルク指令を生成する。加算器116はトルクフィルタ部114からのトルク指令に外乱信号発生部115からの高速掃引波をトルク外乱として加算し新たなトルク指令とする。電流制御部117はこのトルク指令を電流指令に変換してモータ118を駆動する。周波数応答測定部121は、加算器116のトルク指令と、差分器126により算出されたモータ速度を入力し周波数応答の測定を行う。
このように、従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、周波数応答の測定を行うのである。
図12において、151はモデル位置制御部であり、152はモデル速度制御部であり、153はモデルトルクフィルタ部であり、154は外乱信号発生部であり、155は加算器であり、156はモデル電流制御部であり、157はモータモデルであり、158は差分器であり、159はモデル周波数応答測定部である。
従来のメカ特性測定方法では、先ず、制御装置モデルを用いてモータ単体での周波数特性を予め求めておく。そして、モータ単体での周波数特性と、実際のモータ制御装置により測定した周波数特性との比較を行うことによりイナーシャの同定を行う。
モデル位置制御部151は、モータモデル157の出力位置をゼロ位置に戻すような速度指令を生成して出力することにより位置制御を行っている。モデル速度制御部152は、モデル位置制御部151により出力された速度指令と差分器158の出力である速度信号が一致するようなトルク指令を生成して出力することにより速度制御を行っている。モデルトルクフィルタ部153は、モデル速度制御部152からのトルク指令を入力し、フィルタ処理を行っている。外乱信号発生部154は、高速掃引波を生成して出力する。
加算器155は、モデルトルクフィルタ部153からのトルク指令に対して外乱信号発生部154からの高速掃引波を加算して新たなトルク指令として出力している。モデル電流制御部156は、加算器155の出力であるトルク指令を電流指令に変換し、検出されたモータ電流が電流指令に一致するような電流制御を行うことによりモータモデル157の駆動を行っている。モデル周波数応答測定部159は、加算器155の出力であるトルク指令とモータ速度を入力して周波数応答を計測する。
そして、この制御装置モデルを用いて、モータ単体での周波数特性、モータモデル157のイナーシャがモータ単体のイナーシャの2倍、4倍、8倍とした場合の周波数特性をシミュレーションにより求める。
このように、従来のモータ制御装置およびメカ特性測定方法は、モータ単体での周波数特性と、モータにメカ部が接続された状態での周波数特性を比較することによりモータ+メカ部のイナーシャ合計値を同定するのである。
従来手法は、トルクフィルタ部114からのトルク指令に外乱信号発生部115の外乱信号を加えた新たなを参照基準として、検出器120が検出した応答との周波数応答を算出するので、式(101)のように、主成分分析法を実施するためにスペクトル・マトリックスの固有値解析のような演算方法が必要となり、複雑なアルゴリズムを適用する必要がある。
前記式(101)はこの主成分分析法を外乱信号から応答までの周波数応答の演算に適用したものである。
しかしながら、演算が複雑な分、桁落ちなどの演算上の誤差が生じる問題もある。
図13のように入力と応答の双方にノイズが混入する実態に対して、入力へのノイズ混入を無視して、応答のみノイズ混入を考慮した演算方法を用いると、式(102)となる。
平均化した入力のオートスペクトルで、平均化した応答と入力のクロススペクトルを割る演算を行う。
つまり、前記式(102)(103)の場合は、平均回数を増やしても、真の周波数特性Zに近づくことができない。よって、前記式(101)の方法にて誤差を抑制した演算が必要となる。但し、演算が複雑な分、桁落ちなどの演算上の誤差が生じる問題もある。
前記速度指令と前記電動機速度が一致するような駆動力指令を生成することにより速度制御を行う速度制御部と、
前記検出手段の出力を、単位系に合わせて前記位置制御部と前記速度制御部にフィードバックする単位換算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置とするものである。
前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは前記一巡開ループ周波数応答特性算出手段により前記閉ループ駆動力周波数応答特性から算出した一巡開ループ周波数応答特性と、複数の前記閉ループ外乱周波数応答特性から複数の機械特性を算出することを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の電動機制御装置とするものである。
前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力から機械特性を算出するステップと
を有することを特徴とする機械特性測定方法とするものである。
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法とするものである。
前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力を入力して機械特性を算出するステップと、前記制御器によって負荷慣性モーメント値による影響を補正するステップと、動作性能・応答性に関わる前記制御器の設定値を変更するステップと、
前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップを有することを特徴とする制御器調整方法とするものである。
前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の制御器調整方法とするものである。
図において、1は電動機、2は検出手段、3は制御器、4は指令器、5は機械、6は電流制御部、7は外乱信号発生部、8は駆動力検出手段、9は加算器、10は閉ループ外乱周波数応答特性算出手段、11は閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段、12は一巡開ループ周波数応答特性算出手段、13は機械特性算出手段、14は負荷慣性モーメント推定装置、15は電動機特性、16は電動機単体の可動子の慣性モーメント値、17は単位換算手段、18は共振周波数推定手段、19は制御器特性算出手段、20は出力手段、21は入力装置、22は記憶装置である。なお、電動機1は並進型のリニアモータを用いた例を示している。
ここでは、第1実施例の具体的な説明に入る前に、動作説明に必要な閉ループ外乱周波数応答特性ZR、閉ループ駆動力周波数応答特性Zc、一巡開ループ周波数応答特性Zo、機械特性Hの概念並びに関係について説明する。
Zo=b・G・H 式(3)
閉ループ駆動力周波数応答特性Zcと一巡開ループ周波数応答特性Zoは、図2のようなブロック図では、理論上式(4)式(5)の関係があり、一巡開ループ周波数応答特性Zoは閉ループ駆動力周波数応答特性Zcから求められる。
すなわち、機械5に取り付けられた電動機1と、電動機1または機械5からなる被検出体の動作量を検出する検出手段2と、指令信号を発生する指令器4と、指令信号を受けて電動機1を駆動するための駆動力を発生する制御器3と、駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機1に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより電動機1を駆動するための電流制御部6と、を備え、該指令信号と該動作量が一致するように制御器3を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置において、電動機1の動作に応じて生じる機械などの特性を含めた応答を把握するために外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部7と、該電動機1を駆動する制御器3から出力された駆動力を検出する駆動力検出手段8と、制御器3からの出力に対して外乱信号発生部7により生成された外乱を加算し、得られた信号を新たな駆動力として出力する加算器9と、外乱信号発生部7の出力と検出手段2の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と、該外乱信号発生部7の出力と駆動力検出手段8の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11と、該閉ループ駆動力周波数応答特性と該閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段13とを備えたものとなっている。
図1において、電動機1の動作に応じて生じる機械5などの応答特性の測定を行う場合に、指令器4は動作量として0を制御器3に指令する。検出手段2が検出した動作量は、単位換算手段17を通して制御器3にフィードバックされ、制御器3は、動作量を0にするように制御している。
外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、検出手段2により検出した応答rの時系列データを同期して取得し、FFT(Fast Fourier Transform)等により周波数分析を行いスペクトルSD(ω)、Sr(ω)を得る。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波DのスペクトルSD(ω)と、検出手段2により検出した応答rのスペクトルSr(ω)から式(6)式(7)のようにオートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGrD(ω)を得る。
GrD(ω)=Sr(ω)・SD *(ω) 式(7)
ここで、S*はSの複素共役を示す。
また、単位換算手段17を備えているので、単位を合わせて制御器3にフィードバックできれば、検出手段2は位置または速度または加速度を検出してよい。
閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10と同様の処理を行う。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τの時系列データを同期して取得し、FFT等により周波数分析を行いスペクトルSD(ω)、Sτ(ω)を得る。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波DのスペクトルSD(ω)と、駆動力検出手段8により検出した駆動力τのスペクトルSτ(ω)から式(11)式(12)のようにオートパワースペクトルGDD(ω)とクロススペクトルGτD(ω)を得る。
GDD(ω)=SD(ω)・SD *(ω) 式(11)
GτD(ω)=Sτ(ω)・SD *(ω) 式(12)
また、前記式(8)(9)(13)(14)における平均化のためのnによる除算は、オートパワースペクトルとクロススペクトルが前記式(10)式(15)のように分母、分子に現れるため、演算上省略しても良い。
さらに、高速掃引波Dを低速掃引波Dとして、低速掃引波Dと、駆動力検出手段8により検出した駆動力τの時系列データを長時間計測し、複数に分割し、それぞれを処理して、平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルを得ても良い。
図3は本発明の第1実施例を示す応答に誤差を含む周波数応答関数算出方法の入出力モデル概念図である。図4は本発明の第1実施例を示す周波数応答関数算出の概念図である。ここで、周波数応答関数とは閉ループ外乱周波数応答特性ZRと閉ループ駆動力周波数応答特性Zcである。
つまり、検出手段2により検出した応答rや駆動力検出手段8により検出した駆動力τには、検出誤差成分が含まれている可能性がある。
外乱信号発生部7の出力Dは、外乱信号発生部が作成したそのままを、閉ループ外乱周波数応答特性算出手段10、閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段11にて処理するため、ノイズ成分が混入することが無い。
一方、検出手段2は、電動機1がついた機械5のテーブルの動作量を検出するため、検出手段2に関わるノイズ成分が応答rに混入する恐れがある。さらに応答rをフィードバックして制御器3が出力する補償駆動力τにもノイズが混入する恐れがある。
前記式(10)式(15)による閉ループ外乱周波数応答特性ZR、閉ループ駆動力周波数応答Zcの算出は、入力を外乱信号発生部7の出力Dとし、出力を検出手段2の出力である応答rもしくは駆動力検出手段8の出力である補償駆動力τを用いているので、図3のノイズ成分が無い入力fと、ノイズ成分Nが出力qに含まれる入出力モデルからZの特性を得る方法と同じである。
R(ω)=Z(ω)・f(ω)+N(ω) 式(16)
Z(ω)の特性を得るため、その推定値をZp(ω)として、Z(ω)とZp(ω)の誤差を最小にする。
図4によって補足すると、最小二乗法による直線近似と同じである。図4では、入力側の横軸は真値とし、出力側の縦軸のデータ値と近似する直線との誤差εを、最小となるようにする。データは複数あり、その差は正負あるので、式(17)のように誤差εの二乗値の総和Eを最小にする。
前記式(17)を周波数応答関数の算出にあてはめると、式(18)となる。
したがって、周波数応答Z(ω)の推定値Zp(ω)は式(21)となる。
閉ループ外乱周波数応答特性ZRと機械特性Hには、前記式(1)と式(2)のような関係があるため、前記式(3)の一巡開ループ周波数応答特性ZOを使って式(23)のように機械特性Hを算出できる。
H=−ZR・(1+b・G・H)=−ZR・(1+Zo) 式(23)
また、前記式(5)のように、閉ループ駆動力周波数応答特性ZCと一巡開ループ周波数応答特性ZOの関係があるので、一巡開ループ周波数応答特性ZOから、理論上前記式(3)の特性となる閉ループ駆動力周波数応答特性ZCを算出できる。
機械特性Hを算出する手順を入力装置21にて指定しても良い。
制御器特性bGは制御系のみの特性なので、制御器3の設定値を変えた場合を比較することができる。
同様に、閉ループ外乱周波数応答特性ZRや、閉ループ駆動力周波数応答特性ZCや、一巡開ループ周波数応答特性ZO、機械特性H、制御器特性bGや制御器3の設定値など様々な結果を記憶装置22に記憶させても良い。
負荷慣性モーメント推定装置14は、機械特性Hから負荷慣性モーメントを算出する。
機械特性Hは、図5に示すように周波数領域のデータになっており、出力手段20にグラフを横軸Log周波数で出力すれば図のようになる。機械特性Hのゲインの低周波数領域の左上から右下にほぼ直線で表される部分の傾きから負荷慣性モーメントを算出できる。
最小二乗法により直線近似すれば、負荷慣性モーメント推定装置14は負荷慣性モーメントを算出できる。
負荷慣性モーメントJのとき、駆動力から速度応答の剛体系の機械特性Hは式(28)となる。共振が存在する場合にも低周波数領域の特性は変わらない。
出力手段20に出力した機械特性Hのグラフの低周波数領域の直線部分の任意の2点を、入力装置21から指定して、図中の直線の式を求め、負荷慣性モーメント推定装置14が負荷慣性モーメントを算出しても良い。
図6は本発明の第1実施例を示す制御器の内部ブロック図であり、図1および図2の制御器3の中身を詳しく示している。Gは制御特性であり、26は負荷慣性モーメント補正手段、25は駆動力フィルタ手段である。負荷慣性モーメント補正手段26の特性はg、駆動力フィルタ手段25の特性はfで示している。
制御器3の設定値を変え、応答性が変わったら、閉ループ外乱周波数応答特性ZRや、閉ループ駆動力周波数応答特性ZCや、一巡開ループ周波数応答特性ZO、制御器特性bGが変化する。
前記の操作を再度行えば、負荷慣性モーメント補正手段26や駆動力フィルタ手段25を含む制御器3の設定値が変化した後の閉ループ外乱周波数応答特性ZRや、閉ループ駆動力周波数応答特性ZCや、一巡開ループ周波数応答特性ZO、制御器特性bGを再度算出できる。
また、一巡開ループ周波数応答特性ZOは、ゲイン余裕・位相余裕を観察できるので、制御器3の設定値の安定性を評価することができる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
図において、第2実施例が第1実施例と異なるのは、機構系のうち、電動機1が回転型モータの例を示すと共に、電動機1がボールねじを介してテーブル(機械5)を並進運動させるようになっている点である。また、制御系については、回転型モータの動作量を検出する検出手段2aと、テーブルの動作量を検出する検出手段2bを有したフルクローズド構成になっている。これに応じて、16は電動機単体の回転子の慣性モーメント値を示すものとなっている。さらに、第2実施例の制御器の構成が第1実施例のものと異なる点については以下に述べる。
図において、23は位置制御部、24は速度制御部、25は駆動力フィルタ手段、26は負荷慣性モーメント補正手段である。機械特性Hには、電動機1と機械5を包含して記載している。
第2実施例は、第1実施例と同様に、機械特性の測定を行う場合には、指令器4は位置の動作量0を制御器3に指令し、検出手段2aが検出した動作量Rは、単位換算手段17のb1を介して位置情報としてフィードバックされ、制御器3の位置制御部23で位置の動作量0を保つように制御される。検出手段2bが検出した動作量rは、単位換算手段17のb2を介して速度情報としてフィードバックされ、制御器3の速度制御部24で速度の制御を行う。駆動力フィルタ手段25と負荷慣性モーメント補正手段26は当初、設定されておらず、その特性g、fは作用しない。外乱信号発生部7により生成された高速掃引波を、加算器9を介して外乱として加算し、得られた信号を新たな駆動力の指令として出力して電流制御部6電流指令に変換し、検出されたモータ電流がこの電流指令に一致するように電流制御を行い電動機1に電流を供給し、電動機1を動作させる。
Zo=(b1・G1・HD+b2・Hv)・G2・g・f 式(35)
よって、一巡開ループ周波数応答特性算出手段12は、閉ループ駆動力周波数応答特性Zcから一巡開ループ周波数応答特性Zoを算出できる。
つまり、第1実施例の前記式(23)(24)と同様に、式(36)(37)のように演算すれば、2種類の機械特性HD、Hrを算出できることが判る。
また、共振周波数推定手段18は、機械特性HD、Hrに含まれる共振を検出し、共振周波数を第1実施例と同様に、求めることができる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
図において、27は振動モード推定装置であり、2a、2b、2c、・・・2nは検出手段である。機械特性は、電動機1と機械5を含めて記載しており、検出手段2と同数のH1、H2、H3、・・・Hnを有する。
制御器3は、制御特性Gと単位換算手段17を含めたフィードバック特性bのみを示し、簡易的に示している。また、検出手段2aのみからフィードバック特性bを介して閉ループ化されている。
第3実施例が第2実施例と異なる点は、同様に、振動モード推定装置27と、複数の検出手段2と複数の機械特性を備えた点である。また、複数の検出手段2を有してはいるが、フィードバックは1つの検出手段2から行う構成にしていて、第2実施例のようなフルクローズド構成ではない。なお、制御器3は第2実施例とは異なり簡略化して示している。
Zo、一巡開ループ周波数応答特性Zoを考慮すると、機械特性、H2、H4、・・・、Hnは式(42)である。
図9には省略し詳述していないが、こうした機械特性に合わせて、制御器3の中身を設定して、適切な制御器3の設定ができるようになる。
また、入力装置21によって各段階の操作ができる。
図のフローチャートは、その目的によって大きく2つに分けられる。
STP1、STP2は、機械特性測定方法、STP3、STP4は制御器調整方法の処理手順である。
STP1で電動機を駆動し、応答を計測する。STP2で機械特性を算出する。機械特性を把握できれば、STP2aで負荷慣性モーメントを求め、STP2bで機械特性から共振周波数を推定する。
STP2aの結果を使って、STP3aで制御器の負荷慣性モーメントの影響を補正する。また、STP2bの結果を使って、STP3bで、共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定する。
STP3では、制御器の設定を変更して、電動機制御装置の応答性など性能を調整する。
最後に、STP4では、安定性などを含めて制御器の設定値を確認する。STP4の結果が良ければ、制御器の調整までが完了する。STP4の結果が不良であれば、STP3に戻り、制御器を再調整する。
このように、機械特性の把握をしてから制御器を調整するので、機械特性に合致した制御器の性能を発揮できるようになる。
第1実施例のように予め準備された電動機単体の慣性モーメントに対する負荷分の比率にて表してもよい。
また、最終的にゲイン余裕・位相余裕を観察して安定性を評価できる一巡開ループ周波数応答特性や機械特性を記録でき、量産された個々の電動機制御装置における制御系の調整結果を定量的に示すことができるので、品質管理記録として利用できるという用途にも適用できる。
さらに、制御器を閉ループ化するので、位置制御部を用いて位置管理しながら本発明の動作をすることができるので、垂直方向の位置を保つように構成された電動機を用いた機械特性の把握や制御器の調整という用途にも適用できる。
2 2a、2b、2c、・・・・2n 検出手段
3 制御器
4 指令器
5 機械
6 電流制御部
7 外乱信号発生部
8 駆動力検出手段
9 加算器
10 閉ループ外乱周波数応答特性算出手段
11 閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段
12 一巡開ループ周波数応答特性算出手段
13 機械特性算出手段
14 負荷慣性モーメント推定装置
15 電動機特性
16 電動機単体の可動子(回転子)の慣性モーメント値
17 単位換算手段
18 共振周波数推定手段
19 制御器特性算出手段
20 出力手段
21 入力装置
22 記憶装置
23 位置制御部
24 速度制御部
25 駆動力フィルタ手段
26 負荷慣性モーメント補正手段
27 振動モード推定装置
Claims (36)
- 機械に取り付けられた電動機と、
前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
指令信号を発生する指令器と、
指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置において、
前記電動機の動作に応じて生じる機械の特性を含めた応答を把握するために外乱入力する指令を生成する外乱信号発生部と、
前記電動機を駆動する前記制御器から出力された駆動力を検出する駆動力検出手段と、
前記制御器からの出力に対して前記外乱信号発生部により生成された外乱を加算し、得られた信号を新たな駆動力として出力する加算器と、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出する閉ループ外乱周波数応答特性算出手段と、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出する閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段と、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記閉ループ外乱周波数応答特性から、機械特性を算出する機械特性算出手段と、
を備えたことを特徴とする電動機制御装置。 - 前記閉ループ駆動力周波数応答特性から前記制御器と前記機械と前記フィードバックループの特性を含む一巡開ループ周波数応答特性を算出する一巡開ループ周波数応答特性算出手段とを有することを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から機械特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
- 前記検出手段は、前記電動機の位置または速度または加速度、あるいは前記機械の位置または速度または加速度を検出して前記動作量とすることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記外乱信号発生部の出力は、掃引正弦波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記外乱信号発生部の出力は、M系列信号であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記外乱信号発生部の出力は、ランダム波であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記電動機は、回転型モータであって、前記駆動力はトルクであることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記電動機は、並進型モータであって、前記駆動力は推力であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ外乱周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
- 前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力を平均化したオートパワースペクトルとクロススペクトルから最小二乗法により前記閉ループ駆動力周波数応答特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
- 前記機械特性は周波数応答特性であって、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定する負荷慣性モーメント推定装置を備えることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記負荷慣性モーメント推定装置は、前記周波数応答特性の低周波数領域の少なくとも2点を指定して負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置。
- 前記負荷慣性モーメント推定装置は、予め電動機特性を有し、周波数応答特性の低周波数領域から、負荷慣性モーメント値を推定することを特徴とする請求項12記載の電動機制御装置。
- 前記電動機特性は、前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値を有し、前記負荷慣性モーメント推定装置は、負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項14記載の電動機制御装置。
- 前記制御器は、位置指令を入力し、該位置指令と前記電動機位置が一致するような速度指令を生成することにより位置制御を行う位置制御部と、
前記速度指令と前記電動機速度が一致するような駆動力指令を生成することにより速度制御を行う速度制御部と、
前記検出手段の出力を、単位系に合わせて前記位置制御部と前記速度制御部にフィードバックする単位換算手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。 - 前記制御器は、前記駆動力指令にフィルタ処理を施す駆動力フィルタ手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置。
- 前記制御器は、負荷慣性モーメント値による影響を補正する負荷慣性モーメント補正手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項16に記載の電動機制御装置。
- 前記機械特性から共振周波数を推定する共振周波数推定手段をさらに備えたことを特徴とする特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置。
- 前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出する制御器特性算出手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、16に記載の電動機制御装置。
- 前記検出手段を複数有し、前記閉ループ外乱周波数応答特性算出手段は前記外乱信号発生部の出力と複数の前記検出手段の出力から複数の閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性算出手段は、前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記機械特性算出手段は、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは前記一巡開ループ周波数応答特性算出手段により前記閉ループ駆動力周波数応答特性から算出した一巡開ループ周波数応答特性と、複数の前記閉ループ外乱周波数応答特性から複数の機械特性を算出することを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の電動機制御装置。 - 複数の機械特性から振動モードを推定する振動モード推定装置を備えることを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置。
- 前記機械特性や前記一巡開ループ周波数応答特性などの各種周波数応答特性、もしくは前記検出手段の出力、もしくは前記駆動力検出手段の出力、もしくは負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率、もしくは共振周波数もしくは振動モードを観察する出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1、2、3、12、13、14、15、19、22に記載の電動機制御装置。
- 入力装置あるいは記憶装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、12、13、14、15、22のいずれかに記載の電動機制御装置。
- 機械に取り付けられた電動機と、
前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
指令信号を発生する指令器と、
指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の機械特性測定方法において、
特性を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力から機械特性を算出するステップと
を有することを特徴とする機械特性測定方法。 - 前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値を算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
- 前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。
- 前記機械特性を算出するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。 - 前記機械特性を算出するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項25に記載の機械特性測定方法。 - 機械に取り付けられた電動機と、
前記電動機または前記機械からなる被検出体の動作量を検出する検出手段と、
指令信号を発生する指令器と、
指令信号を受けて前記電動機を駆動するための駆動力を発生する制御器と、
前記駆動力を入力し、該駆動力を電流指令に変換し、電動機に供給する電流が変換した該電流指令と一致するような電流制御を行うことにより前記電動機を駆動するための電流制御部と、を備え、
前記指令信号と前記動作量が一致するように前記制御器を介して制御するためのフィードバックループを構成した電動機制御装置の制御器調整方法において、
特性を把握するために、前記制御器の出力である駆動力指令に、外乱信号発生部が生成する外乱信号を加えた信号を新たな駆動力指令して電動機を駆動し、前記駆動力指令と前記検出手段の出力と前記駆動力検出手段の出力を計測するステップと、
前記外乱が加えられた駆動力指令と、前記検出手段の出力と、前記駆動力検出手段の出力を入力して機械特性を算出するステップと、前記制御器によって負荷慣性モーメント値による影響を補正するステップと、動作性能・応答性に関わる前記制御器の設定値を変更するステップと、
前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップを有することを特徴とする電動機制御装置の制御器調整方法。 - 前記制御器によって慣性モーメント値による影響を補正するステップは、
前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値と前記機械特性から負荷慣性モーメント値と前記電動機単体の回転子の慣性モーメント値の比率を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。 - 前記機械特性から共振周波数を推定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
- 前記機械特性から推定した共振周波数の影響を抑制するフィルタを設定するステップをさらに有することを特徴とする請求項30、32に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
- 前記機械特性測定を推定するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記閉ループ駆動力周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。 - 前記制御器の設定値を確認するステップは、
前記外乱信号発生部の出力と前記検出手段の出力から閉ループ外乱周波数応答特性を算出し、
前記外乱信号発生部の出力と前記駆動力検出手段の出力から閉ループ駆動力周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ駆動力周波数応答特性から一巡開ループ周波数応答特性を算出し、
前記閉ループ外乱周波数応答特性と前記一巡開ループ周波数応答特性から、機械特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。 - 前記一巡開ループ周波数応答特性を求めて前記制御器の設定値を確認するステップは、
前記機械特性もしくは、前記閉ループ駆動力周波数応答特性もしくは、前記閉ループ外乱周波数応答特性あるいは前記一巡開ループ周波数応答特性から、前記制御器の制御器特性を算出することを特徴とする請求項30に記載の電動機制御装置の制御器調整方法。
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