JP2006220319A - マイクロ熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロ熱交換器1は、幅と高さまたは内径が1〜1000μmの断面を有するマイクロ流路を配設した第一及び第二のプレート2、3を交互に積層した。第一のプレート2には主液Aを流す第一のマイクロ流路4を設ける。第二のプレート3には加熱流体Bを流す第二のマイクロ流路5をマイクロ流路4に直交して配列する。第二のマイクロ流路とは別に冷却流体Cを流す第三のマイクロ流路6を設ける。第三のマイクロ流路6は第一のマイクロ流路3と同一方向に配列した複数の主流路6aと、主流路6aに上下流側端部で連通する供給側流路6b及び排出側流路6cとで構成する。主液が熱交換器の第一マイクロ流路4で温度変化しても第二マイクロ流路5の加熱流体Bで熱交換して温度調整し、第三マイクロ流路6の冷却流体Cで熱交換して急冷する。
【選択図】 図2
Description
このマイクロデバイスは、流体を流すためのマイクロ流路を備えたプレートを複数積層してなり、上下に積層された各プレートのマイクロ流路は同一方向または直交する方向に配設されている。そして各プレートのマイクロ流路に異なる温度の熱交換流体を流すことで、相互に熱交換を行うようになっている。
例えば、一方のプレートのマイクロ流路に高温の加熱流体を流すと共に、直接または隔壁を介して隣接する他方のプレートに冷却流体を流すことで熱交換して、加熱流体を急速冷却することで、流体の濃度調整をしたり粘度調整したりすること等が行われている。
このような欠点を改善するために、例えばマイクロ熱交換器の加熱流体のマイクロ流路入り口をヒータ等で加熱しておいて供給される加熱流体の温度低下が生じないようにすることも考えられるが、1つのプレートに複数配列されたマイクロ流路を同一温度に制御することは困難であり、各マイクロ流路間で急冷処理できなかったり反応がばらついてしまう等という不具合が生じる。また、マイクロ熱交換器をヒータ等で加熱すると、他方のプレートのマイクロ流路内を流れる冷却流体の温度が熱伝導の影響を受けて上昇して同様に急速冷却等をできなくなるという不具合も発生する。
本発明によれば、マイクロ熱交換器における第一のプレートの第一のマイクロ流路に供給する第一の流体が入り口等で温度変化したり温度調整されていなかったとしても、第二のプレートにおける他のマイクロ流路である第二のマイクロ流路を流れる別の流体と熱交換することで所要の温度に調整することができ、更に他のマイクロ流路である第三のマイクロ流路を流れる別の流体によって所要の熱変換を行うことができるため、急冷等の所期の処理を確実に行うことができる。
複数組の他のマイクロ流路として、例えば第一のマイクロ流路と直交する方向に別の流体が流れるマイクロ流路を設ければ簡単な構成で熱交換でき、二組目以降の他のマイクロ流路として任意の構成の流路を採用できる。また、第一のマイクロ流路に沿って第一の流体と同一方向または逆方向に別の流体が流れるマイクロ流路を設ければ、他のマイクロ流路は第一のマイクロ流路に沿うために熱交換を長時間且つ確実に行うことができる。
第一のマイクロ流路を流れる第一の流体に対して、第二のマイクロ流路に加熱流体を流すことで熱交換して第一の流体を所定の温度に加熱または調整でき、更に第三のマイクロ流路を流れる冷却流体と熱交換することで第一の流体を所定の温度から急冷させることができる。
なお、複数組の他のマイクロ流路のうちの少なくとも1組のマイクロ流路は、第一のマイクロ流路に直交する方向に配設されていてもよい。
また、複数組の第二のマイクロ流路のうちの少なくとも1組のマイクロ流路は、第一のマイクロ流路に沿って同一方向に別の流体が流れるように配設されていてもよく、これによって熱交換を確実に行える。
また、複数組の第二のマイクロ流路のうちの少なくとも1組の第二のマイクロ流路は、第一のマイクロ流路に沿って第一の流体と逆方向に別の流体が流れるように配設されていてもよく、これによっても熱交換を確実に行える。
図1乃至図4は本発明の第一実施例を示すもので、図1は第一実施例によるマイクロ熱交換器の継手部を含めた概略全体構成を示す水平断面図、図2は第一実施例によるマイクロ熱交換器の斜視図、図3は図2における2種類のプレート構造を示す分解斜視図、図4はマイクロ熱交換器内における主液の温度変化を示す図である。
図1乃至図3に示す第一実施例によるマイクロデバイスからなるマイクロ熱交換器1は、例えば同一の長方形板状からなる第一プレート2と第二プレート3とが複数交互に積層されて構成されている。両プレート2,3に設けた後述する例えば3本のマイクロ流路の入り口側と出口側には主液A、加熱流体B,冷却流体Cを各マイクロ流路内に流すためのコネクタ30とジョイント部31とからなる継手部32がそれぞれ連結されている(図1参照)。
第一プレート2は、図3に示すように一方の面2aに断面凹溝形状の第一マイクロ流路4(第一のマイクロ流路)をプレートの長手方向に沿って所定間隔で複数本配列形成してなる。本実施例では、第一マイクロ流路4内を処理すべき主液Aが流れ、図1、2に示すように一方の短面2bから供給されて他方の短面2cへ向けて流れて排出される。
第三マイクロ流路6(第三のマイクロ流路)はプレート3の長手方向に沿って複数本配列された主流路6aと、主流路6aの上流側及び下流側端部でそれぞれ第二マイクロ流路5とほぼ平行に配設されて各主流路6aに連通する供給側流路6b及び排出側流路6cとを備えている。供給側流路6bと排出側流路6cは2回直角に屈曲してプレート3の両側面からそれぞれ外部に開口している。
なお、第三マイクロ流路6の各主流路6aについて第一マイクロ流路5との位置関係は任意であるが、好ましくは隣り合う2本の第一マイクロ流路4、4間に位置するように積層方向に配列し、更に好ましくは各第一マイクロ流路4に積層方向に重なるように配列する。
ここで、マイクロ熱交換器を用いた一の処理方法として、主液Aと冷媒(冷却流体C)を積層方向にずらした各マイクロ流路に流すことで主液Aは急冷され、溶解前よりも微細な結晶として析出するようにしている。例えばMEKに溶解する前の原料段階のカルナバワックスの粒子は平均粒径40〜50μmであり、これを急冷して晶析することでカルナバワックスの粒子を平均粒径10μm以下、例えば4〜5μm程度に小さくできる。
図1及び図2において、例えばカルナバワックス20wt%をMEK(メチルエチルケトン)80wt%に溶解した主液Aを予め70℃に加熱した状態で、コネクタ30及びジョイント部31からなる継手部32を経てマイクロ熱交換器1の各第一プレート2の供給口2bへ供給する。このとき、継手部32を正確に加熱制御するのは困難なため、供給された主液Aの温度を第一プレート2の各マイクロ流路5への供給口2bで70℃に均一に保持することができず、温度低下を来すことになる。
そして、第一マイクロ流路4を流れる主液Aが第二プレート3の第二マイクロ流路5の領域に到達すると、その上下の第二マイクロ流路5では70℃以上に加熱した加熱流体Bが第一マイクロ流路4に直交する方向に流れているため、温度低下した主液Aは加熱流体Bとの熱交換によって再び70℃に加熱され、その温度を維持できる(図4参照)。
このようにして、当初、平均粒径が40〜50μmにばらついていたカルナバワックスの粒子が、70℃の主液A中でMEK中に溶解した後、急速冷却されることで平均粒径10μm以下、例えば4〜5μm程度に小さい粒子として析出することになる。そしてMEKと分離することで平均粒径が4〜5μmと小さい粒子のカルナバワックスを得ることができ、これを例えば平均粒径10μm以下のコピー用トナー粉末の周囲に付着させることで滑り性のよいトナーを得られることになる。
なお、第一実施例のマイクロ熱交換器1に代えて、従来の技術に示す1種類のマイクロ流路を有するプレートを各マイクロ流路が互いに直交する方向に向けて積層したマイクロ熱交換器を複数設け、これらをコネクタ30やジョイント部31からなる継手部32を介して直列に接続しても同様な流路を構成できるが、この場合では主液Aが継手部32を通過する際に、温度低下や温度変化等を引き起こしてしまうため主液Aの温度制御は困難である。
なお、上述の実施例では、主液Aを第一マイクロ流路4内に供給するに先立って予め温度調整するようにしたが、予め温度調整しない主液Aを供給してもよい。
図5及び図6に示す第二実施例によるマイクロ熱交換器10は、第一プレート2と第三プレート8(第二のプレート)とが交互に積層されて一体に固着されている。第一プレート2は第一実施例に示すものと同じ構成を有していて、長さ方向に複数の第一マイクロ流路4が配列されている。
第三プレート8は第一プレート2と同一寸法の長方形板状に形成されており、その一方の面8aには、第二プレート3と同様に第一マイクロ流路4の流体供給側から第一マイクロ流路4の流路方向に沿って第二マイクロ流路5の組と、第三マイクロ流路6の組とが間隔を開けて順次配設されている。そして、第三マイクロ流路6の組に対して第一マイクロ流路4の出口側に、間隔を開けて第四マイクロ流路9が配設されている。
第四マイクロ流路9は第二マイクロ流路5の組と略同一構成を有しており、第一マイクロ流路4に直交する方向に複数の第四マイクロ流路9が平行に配列されて他のマイクロ流路5、6の組とは別個の組を構成している。
図5において、上述したカルナバワックスとポリエステル樹脂とMEKの溶液を主液Aとして、これを予め75℃に加熱した状態で、マイクロ熱交換器1の各第一プレート2のマイクロ流路4内に供給する。マイクロ熱交換器1の各マイクロ流路4自体と継手部32の温度は75℃より低いため、主液Aは継手部32やマイクロ流路3内面に接触して例えば65℃程度近くにまで低下してしまう。そして、第一マイクロ流路4を流れる主液Aが第三プレート8の第二マイクロ流路5の領域に到達すると、第二マイクロ流路5内を75℃以上に加熱された加熱流体Bが第一マイクロ流路4に直交する方向に流れているため、温度低下した主液Aは再び75℃に加熱または維持される。
このとき、主液Aは75℃の状態から4℃まで急冷却されることにより粘度が上昇するため、第四マイクロ流路9を流れる20℃の加温流体Dによって加温して粘度を下げて流動性を上げた状態で外部に取り出すことができる。このようにして主液Aについて所要の粘度または濃度に調整して取り出すことができるので、次工程に適した状態で主液Aを処理することが可能になる。
図7において、第一プレート2に設けた第一マイクロ流路4は上述した第一実施例によるものと同一である。更に第一プレート2と同一形状の第四プレート21(第二のプレート)を設ける。この第四プレート21の一方の面21aには、第一マイクロ流路4の上流側に複数配列された第二マイクロ流路5の組が設けられている。第二マイクロ流路5は第一マイクロ流路1に直交する方向に延びている。
そして、第四プレート21において第二マイクロ流路5の組と間隔を開けて同様な構成の第五マイクロ流路22(第二のマイクロ流路;別のマイクロ流路)の組が配設されている。第五マイクロ流路22は第二マイクロ流路5と同一の断面凹溝形状を有している。
そのため、第一実施例と同様に、カルナバワックス20wt%をMEK(メチルエチルケトン)80wt%に溶解した主液Aを第一マイクロ流路4に流すと、第四プレート21の第二マイクロ流路5を流れる70℃以上の加熱流体Bが第一マイクロ流路4に直交する方向に流れて、マイクロ熱交換器20で温度低下した主液Aを熱交換によって再び70℃に加熱または維持する。
更に第一マイクロ流路4内の主液Aが第五マイクロ流路22の領域に到達すると、第五マイクロ流路22では0℃の冷却流体Cが第一マイクロ流路4の主液Aに直交する方向に流れる。そのため、主液Aは冷却流体Cと熱交換して急速に冷却されて温度低下を引き起こし、所望の平均粒径の粒子を析出できる。
この場合、第一実施例よりも若干急速冷却の効果は落ちるが、同様にカルナバワックスの平均粒径を小さくした粒子を得るという効果を奏する。
或いは上述した他のプレートに設けた複数の独立したマイクロ流路に関して、加熱流体と冷却流体を交互に流して主液Aの加熱と冷却を繰り返して、主液A中の粒子の平均粒径や主液Aの粘度や濃度等を制御・調整するようにしてもよい。
また、第一プレート2に設けた第一マイクロ流路4の主液Aと熱交換するための他のプレートの他のマイクロ流路の配列構成については、第一マイクロ流路4と直交する方向、平行で同一方向または逆方向に他の熱交換流体を流す方向、第一マイクロ流路4に対して傾斜した方向等、適宜の方向に、また任意の順序で配列して構成してもよく、相互に熱交換できればよい。
2 第一プレート(第一のプレート)
3 第二プレート(第二のプレート)
4 第一マイクロ流路
5 第二マイクロ流路(第二のマイクロ流路;別のマイクロ流路)
6 第三マイクロ流路(第三のマイクロ流路;別のマイクロ流路)
8 第三プレート(第二のプレート)
9 第四マイクロ流路(第四のマイクロ流路;別のマイクロ流路)
21 第四プレート(第二のプレート)
22 第五マイクロ流路(第三のマイクロ流路;別のマイクロ流路)
A 主液(第一の流体),
B 加熱流体(第二の流体;別の流体)
C 冷却流体(第三の流体;別の流体)
D 加温流体(第四の流体;別の流体)
Claims (3)
- 幅と高さまたは内径が1〜1000μmの断面を有するマイクロ流路を配設した第一及び第二のプレートを交互に積層してなるマイクロ熱交換器において、
第一のプレートには第一の流体を流す第一のマイクロ流路を設け、第二のプレートには別の流体をそれぞれ流すための複数組の他のマイクロ流路を配列して、前記第一の流体と複数の別の流体とで複数回の熱交換を行うようにしたことを特徴とするマイクロ熱交換器。 - 前記複数組の他のマイクロ流路は、前記第一のマイクロ流路と直交する方向に別の流体が流れるマイクロ流路、前記第一のマイクロ流路に沿って第一の流体と同一方向または逆方向に別の流体が流れるマイクロ流路の少なくともいずれか1種類または複数種類のマイクロ流路を組み合わせて構成されている請求項1に記載のマイクロ熱交換器。
- 前記複数組の他のマイクロ流路のうち、第一のマイクロ流路の上流側に位置する第二のマイクロ流路には加熱流体が流れ、第一のマイクロ流路の下流側に位置する第三のマイクロ流路には冷却流体が流れるようにした請求項1または2に記載のマイクロ熱交換器。
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