JP2006217835A - 蹄鉄の製造方法 - Google Patents

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【課題】 従来よりも簡易な作業で蹄鉄を製造することができる蹄鉄の製造方法を提供する。
【解決手段】 内部に中空部12を有する棒状の金属材料11を蹄鉄の形状13に合わせて曲げ加工し、曲げ加工された金属材料13を接地面側の型と接蹄面側の型とを用いてプレス加工により蹄鉄の形状14に成形し、金属材料が接地面側の型と接蹄面側の型との間から外側に出た金属材料部分(バリ)15を除去することからなる蹄鉄の製造方法により、上記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は馬が装着する蹄鉄の製造方法に関する。具体的には、従来よりも簡易な作業で蹄鉄を製造することができる蹄鉄の製造方法に関する。
図5は、従来の蹄鉄の製造工程を示す図である。
図5に示すように、蹄鉄50の製造方法は、蹄鉄の長さと同程度の長さを有する棒状の金属材料51を準備し(図5(A))、当該金属材料51を蹄鉄50の形状52に曲げ加工し(図5(B))、当該金属材料52を蹄鉄の接地面側の型と接蹄面側の型とで挟んでプレス加工することにより蹄鉄の形状50を形成し(図5(C))、接地面側の型と接蹄面側の型との間からはみ出した金属材料部分53、いわゆるバリの部分53を除去することにより製造されることが一例として挙げられる。
また、馬の四肢の血行不良の防止効果、腱症炎の防止効果がある蹄鉄として、蹄鉄の長手方向にわたって中空部を設け、中空部内に遊動体を遊動自在に設けた蹄鉄が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−256657号公報
しかしながら、上述した従来の蹄鉄の製造方法においては、図5(B)から図5(C)に示すようにプレス加工する際に、大きな圧力を必要とするとともに、その後のバリ53を落とす作業に時間や手間がかかっていた。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、従来よりも簡易な作業で蹄鉄を製造することができる蹄鉄の製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の蹄鉄の製造方法は、内部に中空部を有する棒状の金属材料を蹄鉄の形状に合わせて曲げ加工し、曲げ加工された前記金属材料を接地面側の型と接蹄面側の型とを用いてプレス加工により蹄鉄の形状に成形し、前記金属材料が前記接地面側の型と前記接蹄面側の型との間から外側に出た金属材料部分を除去することを特徴とする。
この発明によれば、蹄鉄を製造する材料として、内部に中空部を有する棒状の金属材料を用いることにより、プレス加工時に接地面側の型と接蹄面側の型に押された中空部の各型側の金属材料が中空部に入り込むかたちになり、従来よりもプレス加工の圧力を軽くして蹄鉄を成形することができる。そのため、プレス加工用の装置の負担を低減することができる。また、内部に中空部を有する棒状の金属材料の外形が、従来の中空部を有さない棒状の金属材料と同様であれば、プレス加工した後に接地面側の型と接蹄面側の型からはみ出る金属材料(いわゆるバリ)が少量となり、本発明によれば、バリを除去する作業にかかる時間や手間、コスト等を低減することができる。
上記本発明の蹄鉄の製造方法において、前記棒状の金属材料は、当該金属材料の長手方向全体にわたって前記中空部を有することを特徴とする。
この発明によれば、金属材料の長手方向全体にわたって中空部を有することにより、プレス加工時に金属材料の各位置におけるバリの量の差を少なくすることができ、蹄鉄の密度も各位置において均一にすることができる。また、長手方向全体にわたって中空部を設けない場合に比べて、バリの量を少なくすることができ、バリを除去する作業にかかる時間や手間、コスト等を低減することができる。
上記本発明の蹄鉄の製造方法において、曲げ加工された前記金属材料をプレス加工により蹄鉄の形状に成形する際に、接地面側の型および接蹄面側の型における蹄鉄の形状の外周側に沿い、かつ、前記金属材料が型の間から外側に出ることを堰き止める堰止部材を設置して成形することを特徴とする。
この発明によれば、堰止部材を設置した蹄鉄の外周側には金属材料が出ないため、当該外周側のバリを除去する作業が不要となる。そのため、バリを除去する作業にかかる時間や手間、コスト等をより低減することができる。
上記本発明の蹄鉄の製造方法において、前記棒状の金属材料は、アルミニウムを含む材料であることを特徴とする。
この発明によれば、蹄鉄の材料がアルミニウムを含む軽い材料であるため、プレス加工がし易くなるとともに、製造された蹄鉄は競走馬用の蹄鉄に適したものとなる。
上記本発明の蹄鉄の製造方法において、前記棒状の金属材料として、長手方向における中心の位置を含み接地面における外周側に沿う溝を有し、蹄鉄の硬さを補強するための補強芯材を当該溝に嵌合させた前記棒状の金属材料を用いることを特徴とする。
この発明によれば、補強芯材を加工前の棒状の金属材料に組み込むことにより、当該金属材料を蹄鉄の形状にするためのプレス加工と同時に補強芯材を金属材料に押し付けることができ、金属材料の溝に補強芯材を嵌合させて固定することができる。そのため、従来は補強芯材用の溝を形成した蹄鉄を作製した後、当該溝に補強芯材を組み込み、さらにプレス加工することにより、補強芯材を金属材料に嵌合させて固定していたのに対し、本発明は製造工程の数が減り、補強芯材を有する蹄鉄の製造が容易になる。
上述のように、本発明の蹄鉄の製造方法によれば、蹄鉄の材料として内部に中空部を有する金属材料を使用するため、従来よりもプレス加工の圧力を軽くして蹄鉄を成形することができるとともに、プレス加工に用いられる型からはみだすバリが少量となり、バリを除去する作業にかかる時間や手間、コスト等を低減することができる。
以下に、本発明の蹄鉄の製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の蹄鉄の製造方法により製造される蹄鉄の各例を示す接地面側正面図およびその側面図であり、図2は、本発明の蹄鉄の製造工程を示す図である。図3および図4は、本発明の蹄鉄の製造工程における他の形態を示す図である。
本発明の蹄鉄の製造方法は、図1(A)に示すように一種類の金属材料からなる蹄鉄10または図1(B)に示すように二種類の金属材料からなり、一種類の金属材料の一部に他の種類の金属からなる補強芯材27を嵌合した蹄鉄20を対象とする。なお、図1(C)は、図1(A)または図1(B)に示す蹄鉄10または20を右側面(矢印側)から見た図を示し、図1(C)の上側が接蹄面、同図の下側が接地面となる。
はじめに、図1(A)に示す一種類の金属材料からなる蹄鉄10の製造方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
まず、図2(A)に蹄鉄の金属材料の接地面側平面図、図2(B)に図2(A)における蹄鉄の半径方向A−A断面図を示す。図示するように、本発明の製造方法にあっては、内部に中空部12を有する棒状の金属材料11を準備する。棒状の金属材料11は、製造される蹄鉄10の長さと同程度か、または若干長めのものが好ましい。
この金属材料11を、図2(C)に示すように、蹄鉄の形状13に合わせて曲げ加工し、曲げ加工された金属材料13を接地面側の型と接蹄面側の型とを用いてプレス加工により蹄鉄の形状14に成形する。プレス加工された後の金属材料14を図2(D)に、図2(D)における蹄鉄の半径方向B−B断面図を図2(E)に示す。このように、プレス加工された後において、金属材料の一部が接地面側の型と接蹄面側の型との間から外側に出てバリ15となっている。
そして、図2(D)および図2(E)に示すバリ15を切断し、または削り取る等により除去し、釘溝16を開けることにより、図1(A)に示すような蹄鉄10が製造される。
この蹄鉄10の製造方法によれば、蹄鉄10を製造する材料として、内部に中空部12を有する棒状の金属材料11を用いることにより、従来よりもプレス加工の圧力を軽くして蹄鉄10を成形することができる。また、プレス加工した後に接地面側の型と接蹄面側の型からはみ出るバリ15が従来よりも少量となり、バリ15を除去する作業にかかる時間や手間、コスト等を低減することができる。
次いで、図2に示す蹄鉄10の製造工程における変形形態について、図3を参照して説明する。
図2(A)および図2(B)においては、棒状の金属材料11が、当該金属材料11の長手方向全体にわたって一の中空部12を有する態様について説明した。しかしながら、用いる棒状の金属材料11が有する中空部12の位置等は、特に限定されず、図3(A)に示すように、金属材料11の長手方向において部分的に中空部12が設けられていてもよく、図3(B)に断面図を示すように、金属材料11の切断面における二ヶ所または複数ヶ所に中空部12を有していてもよい。
また、棒状の金属材料11の断面は、図2(B)や図3(B)に示す長方形等の四角形に限定されず、断面は円形や長円形、楕円形等であってもよい。棒状の金属材料11の長さや断面積、中空部12の空隙率等は、特に限定されず、製造される蹄鉄10の寸法に合わせて適宜設定される。
図2(D)等においては、棒状の金属材料13を接地面側の型と接蹄面側の型のみを用いてプレス加工する態様について説明したため、蹄鉄14の内周面側および外周面側にバリ15が生じている。しかしながら、プレス加工の態様はこれに限定されず、図3(C)に示すように、曲げ加工された金属材料13をプレス加工により蹄鉄の形状14に成形する際に、接地面側の型および接蹄面側の型における蹄鉄の形状14の外周側に沿い、かつ、金属材料が型の間から外側に出ることを堰き止める堰止部材30を設置して成形することとしてもよい。この場合、図3(C)のC−C断面図を図3(D)に示すように、蹄鉄の形状の外周側にはバリが生じないため、バリ15を除去する作業が少なくなり、手間やコストがより低減される。なお、従来の中空部を有さない棒状の金属材料を用いた場合に上述の堰止部材を使用すると、プレス加工の圧力が極度に大きくなり、余分な金属材料の逃げ場が無くなるため、成形することができない。
棒状の金属材料11の材質は、特に限定されないが、アルミニウムを含む材料、すなわち、アルミニウム、アルミニウム合金等が軽量であるため好適に用いられ、その他、鉄や鉄合金などを用いることもできる。これらの材質は、馬の競走レース用、調教用等の用途により、適宜選択される。
本発明の蹄鉄の製造方法において、棒状の金属材料11を加工する際の温度は特に限定されないが、曲げ加工やプレス加工をしやすい温度に適宜調整して金属材料を加工することができる。また、本発明の蹄鉄の製造方法において、曲げ加工後の金属材料13をプレス加工する際の圧力は、特に限定されない。本発明の蹄鉄の製造方法においては、従来の加圧力の約2分の1程度とすることができ、小型のプレス機でも加工が可能となるため、省エネを実現できる。
次に、図1(B)に示すような二種類の金属材料からなり、一種類の金属材料11の一部に他の種類の金属からなる補強芯材27を嵌合した蹄鉄20の製造方法について、図4を用いて説明する。このように、補強芯材27を先端(馬の進行方向側)を含む位置に組み込んだ蹄鉄20は、馬が地面を蹴る際に、蹄鉄20がアルミニウム製であるために摩耗することや変形することを防止し、蹄鉄20を補強することができる。
まず、図4(A)に蹄鉄の金属材料の接地面側平面図、図4(B)に図4(A)における蹄鉄の半径方向D−D断面図を示す。図示するように、本発明の製造方法にあっては、内部に中空部22を有する棒状の金属材料21であって、当該金属材料21の長手方向における中心の位置Cを含み、蹄鉄20の接地面における外周側に沿う溝28を有し、蹄鉄20の硬さを補強するための補強芯材27を当該溝28に嵌合させた棒状の金属材料21を準備する。
図4(C)に示すように、この金属材料21を蹄鉄の形状に合わせて曲げ加工し、曲げ加工された金属材料23を接地面側の型と接蹄面側の型とを用いてプレス加工により蹄鉄の形状に成形する。プレス加工された後の金属材料24を図4(D)に、図4(D)における蹄鉄の半径方向E−E断面図を図4(E)に示す。このように、プレス加工された後、金属材料が接地面側の型と接蹄面側の型との間から外側に出てバリ25となっている。
そして、図4(D)および図4(E)に示すバリ25を切断し、または削り取る等により除去し、釘溝26を開けることにより、図1(B)に示すような蹄鉄20が製造される。
蹄鉄20の製造方法によれば、補強芯材27を加工前の棒状の金属材料21に組み込むことにより、当該金属材料21、23を蹄鉄の形状24にするためのプレス加工と同時に補強芯材27を金属材料24に押し付けることができ、金属材料24の溝28に補強芯材27を嵌合させて固定することができる。そのため、従来は補強芯材用の溝を形成した蹄鉄を作製した後、当該溝に補強芯材を組み込み、さらにプレス加工することにより、補強芯材を金属材料に嵌合させて固定していたのに対し、本発明は製造工程の数が減るため、補強芯材を有する蹄鉄20の製造が容易になる。また、図1(B)や図4に示すように蹄鉄20の全体にわたり補強芯材27を組み込む場合、従来はプレス加工して補強芯材用の溝を形成した後の蹄鉄に、溝の端から補強芯材27を挿入して蹄鉄20を作製していたが、曲げ加工およびプレス加工の前に上から補強芯材27を嵌入させることが可能となり、工程が簡易なものとなる。
なお、図1(B)や図4においては、蹄鉄20の先端(馬の進行方向側)を含むほぼ全体にわたり補強芯材27を組み込んだ態様としているが、補強芯材27の大きさや長さはこれに限定されず、図1(B)や図4(D)の蹄鉄20先端付近に破線で示すように補強芯材27を小さく(短く)してもよい。
この蹄鉄20の製造方法においても、上述の図3の各図を用いて説明した各変形形態を適用することができる。また、図4(F)に示す断面形状のように、金属材料21の中空部22を2箇所に設け、一方を上述の釘溝26を形成するための中空部、他方を補強芯材27用の溝28を形成するための中空部としてもよい。この場合には、曲げ加工前にプレス加工により先に釘溝26と補強芯材27用の溝を形成し、後に補強芯材27を溝28の上部または端部から組み込むことが可能である。そして、その後に曲げ加工し、さらにプレス加工して蹄鉄20が製造される。蹄鉄20の材質は、蹄鉄10について上述した材質と同様であり、補強芯材27の材質は、特に限定されないが、通常、蹄鉄20の他の部分よりも硬い材質のものが用いられ、鋼鉄(スチール)が好ましく用いられる。
本発明の製造方法により製造された蹄鉄10、20は、通常、図1(C)に示すように、接蹄面側の外周側中心に、馬蹄の前側側面に接して馬蹄と蹄鉄を固定する略三角形の固定部材19、29が設けられている。固定部材19、29の位置は、特に限定されず、また、複数の位置に設けられていてもよい。このように、本発明の蹄鉄の製造方法は、従来公知の種々の蹄鉄の形状に適用できるものである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
蹄鉄の各例を示す接地面側正面図およびその側面図である。 本発明の蹄鉄の製造工程を示す図である。 本発明の蹄鉄の製造工程における他の形態を示す図である。 本発明の蹄鉄の製造工程におけるさらに他の形態を示す図である。 従来の蹄鉄の製造工程を示す図である。
符号の説明
10、20…蹄鉄
11、21…棒状の金属材料
12、22…中空部
13、23…曲げ加工後の金属材料
14、24…プレス加工後の金属材料
15、25…バリ
16、26…釘溝
27…補強芯材
28…補強芯材用の溝
30…堰止部材
50、51、52、53…従来の製造工程における蹄鉄の材料

Claims (5)

  1. 内部に中空部を有する棒状の金属材料を蹄鉄の形状に合わせて曲げ加工し、
    曲げ加工された前記金属材料を接地面側の型と接蹄面側の型とを用いてプレス加工により蹄鉄の形状に成形し、
    前記金属材料が前記接地面側の型と前記接蹄面側の型との間から外側に出た金属材料部分を除去することを特徴とする蹄鉄の製造方法。
  2. 前記棒状の金属材料は、当該金属材料の長手方向全体にわたって前記中空部を有することを特徴とする請求項1に記載の蹄鉄の製造方法。
  3. 曲げ加工された前記金属材料をプレス加工により蹄鉄の形状に成形する際に、接地面側の型および接蹄面側の型における蹄鉄の形状の外周側に沿い、かつ、前記金属材料が型の間から外側に出ることを堰き止める堰止部材を設置して成形することを特徴とする請求項1または2に記載の蹄鉄の製造方法。
  4. 前記棒状の金属材料は、アルミニウムを含む材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蹄鉄の製造方法。
  5. 前記棒状の金属材料として、長手方向における中心の位置を含み接地面における外周側に沿う溝を有し、蹄鉄の硬さを補強するための補強芯材を当該溝に嵌合させた前記棒状の金属材料を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蹄鉄の製造方法。
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