JP2006213881A - 自己融着性テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な自己粘着力,強度及び適度な伸びを有し、廃棄処理に際しても分離が容易であり、また燃焼処理においても有害物質を発生させることなく、また結束時にカット性に問題が生じない新規な自己融着性テープの提供。
【解決手段】スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーを含有し、厚さが40〜400μmである自己融着性テープ、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー100重量部に対してこれ以外の熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分が0から30重量部であることを特徴とする自己融着性テープ。
【選択図】なし

Description

本発明は、自己融着性テープ及び自己融着性テープからなる結束用テープに関する。
従来、野菜やパイプや電線などを束ねる結束には、粘着テープが用いられている。野菜用の粘着テープでは、ポリプロピレンなどのフィルム基材の表面にゴム系粘着剤からなる粘着剤層が設けられていものが用いられてきた。パイプや被覆電線などの結束に用いられている粘着テープでは、塩化ビニルなどのビニル系のフィルム基材にゴム系粘着剤からなる粘着剤層が設けられたものが用いられてきた。
環境問題がクローズアップされ、廃棄物の処理の合理的な対策が進められている。具体的には廃棄物の発生量をできるだけ削減・減量すること、又は使用後の製品をリサイクルして新しい製品として製造することが進められている。粘着テープに結束されている被覆電線を廃棄処理する場合には、当初に結束状態にある被覆電線と粘着テープに仕分けすることはせず、結束されている状態のままで全体を細かく裁断する。この状態で各成分毎に仕分けを行うことが行われるが、導線、被覆剤及び粘着テープに分けようとすると、粘着テープの粘着剤により裁断した小片同士がお互いに付着し、仕分けすることは非常に困難な作業となる。そこで、やむを得ず、仕分けせずに、処分場に運んで、埋め立てなどの処理を行う。ところで、埋め立てに使用する処分場の設置は困難な状況にある。また、粘着テープとして、安価な製品を求める場合には、できるだけ簡易な製法及び安価な材料を利用すること自体が検討の対象となる。このようなことから、粘着剤層そのものを設けない結束テープの開発が望まれている。また、粘着テープの基材として塩化ビニルなどが汎用されるが、これに含まれるハロゲンが、焼却処理ではダイオキシン発生の問題が懸念されており、塩化ビニルに代る強度のある基材を選択することも必要とされている。
前記のように粘着剤層を敢えて設けず、自己融着性の特性を有する材料を用いて各種添加剤を加えてシート状にし、テープとした自己融着性テープが既に提案されており、以下の特許が知られている(特許文献1〜6)。EP系エラストマーとハロゲン含有有機高分子化合物と有機過酸化物分解性有機高分子に、無機酸化物の水和物、赤燐、無機難燃剤、及び有機化酸化物架橋剤を添加して得られる難燃性自己融着絶縁テープ(特許文献1)、有機過酸化物で架橋されている非ハロゲン系ポリマ並びに有機過酸化物で分解される非ハロゲン系ポリマー、有機過酸化物、無機マグネシウム塩及び金属酸化物からなる難燃剤を含有させた低煙難燃性自己融着絶縁テープ(特許文献2)がある。これらは、難燃性、絶縁性及び重ね合せ粘着力が綜合的に優れているとされる。これらはテープ引張強度特性を確保するために有機過酸化物の分解による架橋がほどこされる。この架橋は、150℃の温度下に120分間という過酷で長時間の加熱処理が必要であるとされている。しかしながら、この処理を行うことは、生産性を低下させ、コストが高くなる結果をもたらす。
又、ポリオレフィンに対して、カーボンブラック、及びチオ尿素系化合物を配合して得られる自己融着テープ用電界緩和用組成物が知られている(特許文献6)。この組成物にはカーボンブラックやチオ尿素系化合物が添加されるので粘着力を低下させることとなる。又、特許文献3は、ポリ塩化ビニル樹脂に一定割合の酢酸ビニル及び塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体を配合した樹脂組成物であり、焼却処理時に塩素ガスや塩化水素ガスが発生し、ダイオキシン発生が懸念される。また、特許文献4や特許文献5は、オレフィン樹脂にイソブテンやブテンの重合体などの軟化剤を添加した自己粘着性テープである。この場合には、粘着力が不足する(自背面粘着力による測定結果)という問題がある。また、前述の公知のEP系エラストマーは、テープにしようとする場合には柔軟性をもたせることが必要である。そのために軟化剤を添加することは必須である。柔軟性を付与するために 、従来からエチレン・プロピレン(EPM)、エチレン・プロピレンに対してエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4ヘキサジエンなどの環状又は鎖状の非共役ジエンを用いるもの(EPDM)、スチレンブタジェンゴム(SBR)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などが用いられてきた。また、EP系エラストマーは自己融着性という点では十分ではないという問題点がある。また、強度の点でも十分ではない。また、自己融着性テープを物品の結束や結束保護に用いる場合には、テープ巻き付け後のテープ破断作業においてテープ破断面が白化することが起るなどのカット性の問題がある場合があるなどの理由から、単に融着性や強度の点で優れるというだけでは十分でなく、使用用途を考慮した自己融着性テープの必要性が高まっている。
いずれにしても、得やすい原料物質から製造されるものであり、十分な自己粘着力、強度及び適度な伸びを有し、廃棄処理に際しても他の廃棄物から分離することが容易であり、また燃焼処理においても有害物質を発生させることがないなどの問題がない新規な自己融着性テープの開発が望まれている。
特公平6−87369 特公平7−46535 特開平11−209719 特開2002−88327 特開2003−165963 特開平7−157600
本発明の課題は、テープとして十分な自己粘着力、強度及び適度な伸びを有し、廃棄処理に際しても分離が容易であり、また燃焼処理においても有害物質を発生させることなく、また結束時のテープカットをした際に、白化現象がみられるというような問題が生じない新規な自己融着性テープを提供することである。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、スチレンブタジェンゴムの水素添加物を主として含有するエラストマーを含有するテープは、自己融着性、強度及び適度な伸びを有し、自己融着性テープとして用いることができること、また場合により副成分として、これ以外の熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分を含有させる場合においても前記と同じく自己融着性、強度、適度な伸び及び柔軟性を有し、自己融着性テープとして用いることができることを新に見出した。これらは何れも、廃棄処理に際しても分離が容易であり、また燃焼処理においても有害物質を発生せず、また、結束時にカット性の問題が生じない自己融着性テープとなるものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーを含有し、厚さが40〜400μmであることを特徴とする自己融着性テープ。
(2)前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーの外に、熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分を含有することを特徴とする(1)記載の自己融着性テープ。
(3)前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー100重量部のみ又はこれに対して熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分が0を超えて30重量部含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の自己融着性テープ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか記載の自己融着性テープに、架橋剤を含有することを特徴とする自己融着性テープ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか記載の自己融着性テープに、難燃剤を含有すること を特徴とする自己融着性テープ。
(6)片面または両面に剥離処理された剥離紙を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の自己融着性テープ。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか記載の自己融着性テープからなることを特徴とする結束用テープ。
本発明の自己融着性テープは、スチレンブタジェンゴムの水素添加物を主なエラストマー成分とする場合、さらにこれに含まれない熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分を含有させる場合であり、自己融着性テープは単層あるいは複層構造を有している。
その特性として、自己融着性、強度及び適度な伸びを有し、柔軟性、結束性、絶縁性があり、又テープを引きちぎった際のカット性に優れるなどの性能を有している。本発明の自己融着性テープは、野菜などの結束やパイプ接合部の保護や結束、とりわけ電線の結束保護などに使用することができ、また、テープ巻き付け後のテープ破断作業において前記テープ破断面が白化するというような現象がないカット性に優れたものである。難燃剤を自己融着性テープに添加することで難燃性を付与することも可能となる。また、カレンダー成型機やTダイ押し出しラミネーターなどによりフィルム状に容易に成型することが可能であるため、有機溶剤を使用せず、被着体からの分離が容易であるという、被着体のリサイクル性も良好で環境にやさしいテープである。
本発明の自己融着性テープは、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーを主成分として含有する。これらはテープとして必要な自己融着性や強度や伸びを有するものである。
また前記のエラストマーに副成分として、これ以外の熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分を含有させることにより自己融着性テープが得られる。このテープは、適度な自己融着性や強度や伸びなどのほかに柔軟性をその特性として有するものである。
前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー成分とこれ以外の熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分の割合は、前者が100重量部のみからなる場合、又は、前者が100重量部であり、これに対して熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分が0を超えて30重量部含有する場合である。
これらには、テープとするための添加剤とテープに特別の特性を付与するための添加剤が添加される。前者に関しては、着色剤(染料や顔料)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、柔軟性を付与するための可塑剤、テープ強度や粘着性を調整するための架橋剤などを挙げることができる。後者に関しては、主に難燃剤がある。
また、テープの片面または両面に剥離処理された剥離紙を配置し、テープの保存性をはかることができる。
以下に、本発明のテープを形成する前記の成分について説明する。
前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーは、スチレンブタジェンゴム中のオレフィン性二重結合の少なくとも50%、好ましくは80%以上が水素添加された状態であることを意味する。
また、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーにおけるスチレン含有量は30〜70%のものである。スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーは、スチレン及びブタジェンをブレンドして得られるゴム組成物を水素添加触媒の存在下に水素化することにより製造される。得られる分子量は、1000から100万程度であるとされている(特公平2−9042、特公平2−9043、特公平5−20446、特公平5−51639、特開平7−157600)。この組成物は製品化されており、公知の組成物である。商品名としては旭化成ケミカルズ(株)社製の「SOESSL6 01」(商標名)を挙げることができる。この製品は軟質塩化ビニル樹脂と比較して、強度及び適度の伸びを有する(旭化成資料)。
前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物の他に添加する熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分は、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体であり、具体的には以下のものを挙げることができる。
ポリブタジェン、アクリロニトリルブタジェン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピルアクリレート共重合体、これらのアクリレートに不飽和シラン化合物を重合したエチレン−アクリル酸エステル−不飽和シラン3元重合体、無水マレイン酸を重合したエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−不飽和シラン3元重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸3元重合体を用いることができ、また低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等の各種ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン1、ポリブテン、エチレン−ブテン共重合体、エチレンプロピレンジエン共重合体、スチレンイソプレンブロック共重合体、アクリロニトリルスチレンブタジェン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体などを挙げることができる。
上記のポリオレフィンの中で、好ましいものとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1種である。
エチレン−プロピレン共重合体としては、エチレン/プロピレンのモル比率で20/80〜80/20、好ましくは40/60〜60/40である。エチレン−プロピレン−ジエン重合体のジエンとしては、1,4ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボーネン等が挙げられる。
エチレン−エチルアクリレート共重合体としては、エチルアクリレート含有量は、5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%である。エチレン−メチルアクリレート共重合体としては、メチルアクリレート含有量は、5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%である。エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量は、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
低密度ポリエチレンとしては、密度0.90〜0.92g/cm3 、好ましくは0.910〜0.915g/cm3 である。ポリプロピレンとしては,密度0.90〜0.91g
/cm3である。
前記熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分の製品を挙げると,以下の通りである。
(1)住友化学社製エチレンープロピレン重合体、商品名エスプレン
(2)住友化学社製スチレンーブタジェン重合体、商品名住友SBR
(3)日本合成ゴム社製エチレン−プロピレン−ジエン重合体、商品名EP−21
(4)三菱油化社製エチレン−メチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート含有量15重量%、商品名ユカロンEMA XG400E
(5)住友化学社製エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量15重量%、商品名エバテートH2020
(6)三菱油化社製 低密度ポリエチレン 商品名ユカロンZF−30R
(7)日本ポリケム社製ポリプロピレン 商品名ノバテックPP
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が例示される。前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーを主成分及びこの他に添加する熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分100重量部に対して、上記酸化防止剤の少なくとも1種を0.1〜3.0重量部程度添加すればよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤では、以下の公知のものを使用できる。例えば、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート](チバガイギー社製イルガノックス1010)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート](チバガイギー社製イルガノックス1035)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(大内新興化学工業社製ノクラック300)、4,4´−メチレン−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェノール)(英ICI社製アイオノックス220)である。
アミン系酸化防止剤としては、以下の公知のものを使用できる。例えばN,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製ノクラックホワイト)、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製ノクラックDP)、N,N´−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン(デユポン社製アンチオキシダントNo.23)、N,N´−ビス(1−メチル−ヘプチル)−p−フェニレンジアミン(Eastman chem社製Eastzone30)、フェニル,ヘキシル−p−フ
ェニレンジアミン(Pennwalt社製NTO3´3´)、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(精工化学社製Nonfelex F)、N,N´−ビス(
1−エチル,3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(ユニロイヤル社製Flexzon8−L)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(大内新興化学工業社製ノクラックMMB)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール亜鉛塩(大内新興化学工業社製ノクラックMMBZ)等を挙げることができる。
可塑剤には、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。可塑剤の含有量は、スチレンブタジェンゴムの水素添加物のエラストマー、及びこの他に添加する熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分100重量部に対して、30〜0.01重量部の範囲が好ましく、20〜0.1重量部の範囲がより好ましく、0.5〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3 −ブタンジオール、1,4 −ブタンジオール、1,6 −ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタ ル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、及びパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する可塑剤としては、上記に例示したものの中でも、特にポリエステル系可塑剤及びポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。
架橋は、主成分及び副成分からなるエラストマを架橋させテープ強度や粘着性を調整するために行うものであり、必要不可欠なものである。架橋方法には化学架橋、電子線架橋の公知の方法が適用できる。
化学架橋する場合には、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、または硫黄系加硫剤などの公知の架橋剤を1〜5重量部程度添加すればよい。さらに、公知の架橋助剤を添加することもできる。
主成分及び副成分からなるエラストマー成分100重量部に対し、架橋剤は0.5〜3重量部の範囲で配合する。さらに、公知の架橋助剤を添加することもできる。
放射線架橋するときには架橋助剤を配合することが好ましい。架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、4,4´−イソプロピリデンジフェノールビス(ジエチレングリコールメタクリレート)エーテル、トリアリルトリメリテート、2,2´−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等の芳香族多官能性化合物、syn−1,2−ポリブタジェン、1,4−ブタンジオールジアク リレート、N,N´−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、1,6−ヘキサジオールメタクリレート、テトラヘキサンジオールジメタクリレート等の脂肪族多官能性化合物、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジアクリルクロレンデート等の脂肪族多官能性環状化合物、アルミニウムアクリレート、アルミニウムメタクリレート、亜鉛アクリレート、亜鉛メタクリレート、マグネシウムアクリレート、マグネシウムメタクリレート、カルシウムアクリレート、カルシウムメタクリレート、ジルコンアクリレート、ジルコンメタクリレート等の含金属多官能性化合物等が例示され、これらの1種または2種以上を0.1〜3.0重量部程度添加すれば良い。上記架橋助剤中、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、N,N´−m−フェニレンジマレイミドが好ましい。また、グアニジン系、チオラム系等の加硫促進剤を添加してもよい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤である臭素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤及びその他の無機系難燃剤から選択される少なくとも1種の難燃剤、又は少なくとも2種の難燃剤を組合せて用いることができる。
これら難燃剤の配合量は、前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー及び熱可塑性樹脂エラストマー成分からなる配合物100重量部に対し、30〜150重量部の割合で用いられる。
ハロゲン系難燃剤の中では難燃効果が高く、環境負荷の比較的少ない臭素系難燃剤を使用する。この臭素系難燃剤の具体例としては、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、1,1−スルホニル[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロムビスフェノール−S、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、トリブロモネオペンチルアルコール、ブロム化ポリスチレン、ブロム化ポリエチレン、テトラブロムビスフェノール−A、テトラブロムビスフェノール−A誘導体、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーまたはポリマー、ブロム化フェノールノボラックエポキシなどのブロム化エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーまたはポリマー、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2−ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ジブロモネオペンチルグリコール、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、N,N'−エチレン−ビス−テトラブロモテレフタルイミドなどが挙げられ
る。なかでも、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂が好ましい。
ハロゲン系難燃剤中の塩素系難燃剤は、難燃剤として使用することは可能であるが、塩素系難燃剤は、現状の環境負荷物質である塩化ビニルがダイオキシン発生の懸念があるため最終ユーザーにおいて使用を避ける傾向があり、これと同様の理由により使用を避けることが通常である。
また、ジフェニルまたはジフェニルエーテル骨格をもつハロゲン系難燃剤は、ダイオキシン発生の問題が懸念されるため、前記と同様の理由により使用を避けることが通常である。
本発明で用いられるリン系難燃剤は特に限定されることはなく、通常一般に用いられるリン系難燃剤を用いることができ、代表的にはリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物や、赤リンが挙げられる。
上記の有機リン系化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、などのリン酸エステルを挙げることができる。
また、有機リン系化合物としては、下記(1)式の芳香族縮合リン酸エステルを挙げることができる。
Figure 2006213881
(上式において、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は、同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。また、Xは下記の(2)〜(4)式から選択される構造を示し、下記(2)〜(4)式中、R1〜R8は同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO2、C(CH3) 2、CH2、CHPhを表
し、Phはフェニル基を表す。また、(1)式のnは0以上の整数である。また、(1)式のk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
なお、かかる芳香族縮合リン酸エステルは、異なるnや、異なる構造を有する芳香族縮合リン酸エステルの混合物であってもよい。
Figure 2006213881
Figure 2006213881
Figure 2006213881
前記式(1)の式中nは0以上の整数であり、上限は難燃性の点から40以下が好ましい。好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。
又、k、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
又、前記式(2)〜(4)の式中、R1〜R8は同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
又、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なる、ハロゲンを含有しない芳香族基を表す。かかる芳香族基としては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、インデン骨格、アントラセン骨格を有する芳香族基が挙げられ、なかでもベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格を有するものが好ましい。これらはハロゲンを含有しない有機残基(好ましくは炭素数1〜8の有機残基)で置換されていてもよく、置換基の数にも特に制限はないが、1〜3個であることが好ましい。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などの芳香族基が挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
なかでも下記化合物(5)、(6)が好ましく、特に化合物(5)が好ましい。
Figure 2006213881
Figure 2006213881
また、芳香族縮合リン酸エステルの具体例としては、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの縮合リン酸エステルを挙げることができる。このような市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば大八化学社製PX−200、PX−201、PX−202、CR−733S、CR−741、CR747を挙げることができる。
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩
、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン塩、メラミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
また、上記の他、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
また、赤リンとしては、未処理の赤リンのみでなく、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜からなる群より選ばれる1種以上の化合物被膜により処理された赤リンを好ましく使用することができる。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、赤リンを被膜できる樹脂 であれば特に制限はなく、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2種以上に積層されていてもよい。
上記リン系難燃剤の中でも、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リンが好ましく、縮合リン酸エステルがさらに好ましく、芳香族縮合リン酸エステルが特に好ましい。
本発明で用いられる窒素化合物系難燃剤としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミド、芳香族アミド、尿素、チオ尿素などを挙げることができる。なお、上記リン系難燃剤で例示したようなポリリン酸アンモニウムなど含窒素リン系難燃剤はここでいう窒素化合物系難燃剤には含まない。脂肪族アミンとしては、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロオクタンなどを挙げることができる。芳香族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミンなどを挙げることができる。含窒素複素環化合物としては、尿酸、アデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリン、2,4,6−トリアミノピリジン、トリアジン化合物などを挙げることができる。シアン化合物としては、ジシアンジアミドなどを挙げることができる。脂肪族アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。芳香族アミドとしては、N,N−ジフェニルアセトアミドなどを挙げることができる。
上記において例示したトリアジン化合物は、トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物であり、トリアジン、メラミン、ベンゾグアナミン、メチルグアナミン、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、トリメチルトリアジン、トリフェニルトリアジン、アメリン、アメリド、チオシアヌル酸、ジアミノメルカプトトリアジン、ジアミノメチルトリアジン、ジアミノフェニルトリアジン、ジアミノイソプロポキシトリアジンなどを挙げることができる。
メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートとしては、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物を挙げることができる。また、公知の方法で製造されるが、例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良い。また、樹脂に配合される前の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度、表面性の点から100〜0.01μmが好ましく、更に好ましくは80〜1μmである。
窒素化合物系難燃剤の中では、含窒素複素環化合物が好ましく、中でもトリアジン化合物が好ましく、さらにメラミンシアヌレートが好ましい。
また、上記窒素化合物系難燃剤の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や公知の表面処理剤などを併用してもよい。
本発明で用いられるシリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルを挙げることができる。前記シリコーン樹脂は、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する樹脂などを挙げることができる。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した置換基を示す。前記シ リコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン、及びポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、またはトリフロロメチル基の選ばれる少なくとも1つの基により変性された変性ポリシロキサン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明で用いられるその他の無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛などを挙げることができる。中でも、水酸化マグネシウム、フッ素系化合物、膨潤性黒鉛が好ましい。
本発明において上記難燃剤は、2種以上併用して用いることができるが、難燃剤として、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リンを用いる場合には、他の難燃剤と組み合わせることなく単独で使用しても、本発明効果を奏する。なお、これらの中から2種以上を選択して使用することも勿論可能である。
上記難燃剤の中では、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤またはその他の無機系難燃剤のいずれか2種以上を用いることが好ましい。ただし、リン系難燃剤とその他の無機系難燃剤を併用する場合は、アンチモン化合物は用いないことが好ましい。また、リン系難燃剤と窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤またはその他の無機系難燃剤を併用する場合、難燃剤の総量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましく、10〜30重量部であることがさらに好ましい。また、リン系難燃剤100重量部に対して、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤またはその他の無機系難燃剤を100重量部未満1重量部以上用いることが好ましい。
リン系難燃剤としては、縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リンのいずれか1種以上が好ましい。また、縮合リン酸エステルと窒素化合物系難燃剤を併用するか、ポリリン酸塩と窒素化合物系難燃剤を併用することがさらに好ましく、窒素化合物系難燃剤を縮合リン酸エステルやポリリン酸塩よりも少ない量で用いると、難燃効果が高く好ましい。また、縮合リン酸エステルとしては、芳香族縮合リン酸エステルが好ましく、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートが好ましく、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートの市販例としては大八化学製PX−200を挙げることができる。また、窒素化合物系難燃剤としては、メラミンシアヌレートやメラミンイソシアヌレートが好ましい。
また、上記難燃剤の中では、臭素系難燃剤、その他の無機系難燃剤のいずれか2種以上用いることができ、この場合には、臭素系難燃剤とその他の無機系難燃剤を併用することがさらに好ましく、臭素系難燃剤100重量部に対して、その他の無機系難燃剤を100〜1重量部併用することが特に好ましい。
自己融着性テープを製造する場合には、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー及び熱可塑性樹脂又は他のエラストマー成分からなる配合物に、前記添加物を添加し、十分に混合する。
本発明の樹脂組成物の製造方法については特に限定されるものではないが、スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー及び熱可塑性樹脂又は他のエラストマー 成分からなる配合物、難燃剤及び必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、樹脂の融点以上において、1軸または2軸押出機を用いて均一に溶融混練する方法や、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが、共重合などで難燃剤を含有させる方法よりも好ましく用いられる。
混合機には公知の機種は、2軸押し出し機、バンパリーミキサー、加圧ニーダーなどの各種ニーダー、ミキシングロールなどが用いられる。得られた混合物を取り出して、カレンダー成型機やTダイ押し出し、ラミネーターなどによりフィルム状に成形する。このフィルムから自己融着性テープを製造する。
このようして得られた本発明の自己融着性テープは、その厚さが40〜400μmの範囲であることが必要である。40μmに満たない場合はテープ強度が不足し、結束したあとにテープが破断してしまうような問題が生じるし、400μmを超える場合には、テープ強度が強く、原因の詳細は不明であるが粘着性も低下するため、やはり結束力が弱くなるという問題が生じるため、好ましくは60〜300μmの範囲であることが望ましい。
自己融着性テープは、必要に応じて剥離紙を有していてもよい。使用できる剥離紙としては特に限定されず、加工紙あるいはフィルムから適宜選択して用いればよい。自己融着性テープの片面または両面に設けることができる。
以下に、本発明の実施例により具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
スチレンブタジェンゴムの水素添加物(旭化成ケミカルズ(株)社製のSOESSL601)100重量部に、臭素系難燃剤(テトラブロモビスフェノールA(TBBA):「ファイアガード3000」帝人化成株式会社製)120重量部、三酸化アンチモン50重量部及びカーボンブラック24重量部を混合し、Tダイから押し出し、フィルム状にし、テープ(厚さ110μm)を製造した。さらに、剥離処理された剥離紙を接して積層して設けた。断面図を図1に示した。自己融着性テープ(11)に、剥離処理された剥離紙(1
2)が、接して積層して設けられている。
実施例1と同様の組成からなるテープ(厚さ160μm)を製造した。
スチレンブタジェンゴムの水素添加物(旭化成ケミカルズ(株)社製のSOESSL601)により製造されたテープ(厚さ160μm)を製造した。
実施例1と同様の組成からなるテープ(厚さ70μm)と、実施例3と同様なテープ(厚
さ60μm)からなる2層に積層されたテープを製造した。
比較例5
実施例1と同様の組成からなるテープ(厚さ30μm)を製造した。
比較例6
実施例1と同様の組成からなるテープ(厚さ450μm)を製造した。
比較例7
(株)寺岡製作所製ビニル粘着テープNo.303(商標名)(基材は塩化ビニル 厚 さ165μm、粘着剤はゴム系粘着剤 厚さ35μm)を製造した。断面図を図2に示した。塩化ビニルフイルム(13)の表面に溶剤系ゴム系粘着剤層(14)が設けられている。
比較例8
(株)寺岡製作所製ビニル粘着テープNo.3610(商標名)(基材はポリオレフィ
ンフィルム 厚さ60μm、粘着剤はアクリル系粘着剤 厚さ 30μm、難燃剤を添加せず。)を製造した。
実施例1から4のテープについて以下の評価を行った。結果を表2にまとめた。
比較例9
比較例5〜8について以下の評価を行った。結果を表2にまとめた。
評価項目及び評価方法
厚さ: JIS C 2107の4項に従って行った。
自背面粘着力: JIS C 2107の11項に従って行った。
引張強度及び伸び: JIS C 2107の8項に従って行った。
絶縁破壊電圧: JIS C 2107の17項に従って行った。
難燃性: UL510の難燃性試験項目の内容に従って行った。
耐端末剥がれ性: 直径8mmのガラス棒に約2周巻き付け、23℃で1日後、テープ端末の剥がれを測定した。
テープカット性: 上記の引張強度試験において、テープ破断面が白化していないかどうかについて観察した。
ダイオキシンの懸念:塩化ビニルを使用していないものを○、使用しているものを×とした。工程数:基材に粘着剤層を有するテープの場合には、基材作成工程と粘着剤塗布工程からなる2工程とカウントした。
リサイクル性:被覆電線被覆剤などの被着体とテープの分離が容易でないもの(テープに粘着剤層を有するもの)を×とし、容易なものを○とした。
Figure 2006213881
表1の結果から、本発明の自己融着性テープ(実施例1、2、及び4)は、テープ厚さ( 110μm、160μm、190μm、130μm)の場合であり、自背面粘着力、引張強度、伸び、絶縁破壊電圧の評価結果は良好であることがわかる。又、難燃剤を添加した実施例1及び2では難燃性を十分に有していることがわかる。比較例5の自己融着性テープ(テープ厚さ30μm)の場合には、自背面粘着力が十分でなくて破断すること、絶縁破壊電圧が測定不可となり、引張強度が弱いなどの問題点がある。テープの厚さが薄すぎる場合には、使用に耐えないものであることがわかる。比較例6の自己粘着性テープ(テープ厚さ440μm)の場合には、自背面粘着性が低下するため使用に耐えないものであることがわかる。
粘着テープの場合(比較例7、8)では、工程数、リサイクル性、ダイオキシン発生やテープカット性の点で、自己融着性テープより問題があることがわかる。
本発明(実施例1)の自己融着性テープの断面図である。 従来品(比較例7)のビニル粘着テープの断面図である。
符号の説明
11:自己融着性テープ
12:剥離紙
13:塩化ビニルフイルム
14:溶剤系ゴム系粘着剤層

Claims (7)

  1. スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーを含有し、厚さが40〜400μmであることを特徴とする自己融着性テープ。
  2. 前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマーの外に、熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分を含有することを特徴とする請求項1記載の自己融着性テープ。
  3. 前記スチレンブタジェンゴムの水素添加物からなるエラストマー100重量部のみ又はこれに対して熱可塑性樹脂または他のエラストマー成分が0を超えて30重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載の自己融着性テープ。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか記載の自己融着性テープに、架橋剤を含有することを特徴とする自己融着性テープ。
  5. 前記請求項1〜4のいずれか記載の自己融着性テープに、難燃剤を含有することを特徴とする自己融着性テープ。
  6. 片面または両面に剥離処理された剥離紙を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の自己融着性テープ。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか記載の自己融着性テープからなることを特徴とする結束用テープ。
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