以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る除湿機を示す。この除湿機は、大略、矩形状をなす除湿機本体10の内部を除湿通路11と再生通路12とに区画し、その内部に、除湿手段を構成する加熱ヒータ42、除湿ロータ44、熱交換器55A,55Bおよび再生空気循環ファン80と、送風手段を構成する室内空気循環ファン82とを水平方向に配設するとともに、下部にタンク84を配設したものである。
具体的には、前記除湿機本体10は、図2、図3および図4に示すように、基体13の表面に、前カバー27、左カバー28、右カバー30および上面カバー34を配設するとともに、下部に下カバー39および底部材40を配設したものである。
前記基体13は、後述する加熱ヒータ42、除湿ロータ44、熱交換器55A,55B、再生空気循環ファン80および室内空気循環ファン82を固定するものである。図4および図5に示すように、この基体13の左側には、インボリュート通路を構成する壁14を備え、該壁14の内部に通気孔15を形成した室内空気循環ファン配設部16が設けられている。この室内空気循環ファン配設部16の開口部分は、後述する左カバー28の装着により閉塞される。また、この室内空気循環ファン配設部16において、図5中右側に位置する基体13の前側上部には再生空気循環ファン配設部17が設けられている。この再生空気循環ファン配設部17の開口部分は、図示しないカバーにより閉塞される。
また、図6および図7に示すように、前記基体13の右側部分には、加熱ヒータ配設部18と、除湿ロータ配設部19とが設けられている。加熱ヒータ配設部18は、除湿ロータ配設部19内において、扇形状に窪んだ凹部からなる。除湿ロータ配設部19は、後述する除湿ロータ44の保持部材46の下端縁より肉厚の周壁20の上面に、ガイド用の凹溝21を設けたものである。また、この基体13において、図6中左側に位置する前側には、下部から上部にかけて垂直に延びる断面凹字形状の溝からなり、前記再生空気循環ファン配設部17に連通するダクト部22が設けられている。このダクト部22の開口部分は、別体からなるダクトカバー23により閉塞される。このダクトカバー23には、後述する熱交換器55Aの流出口64に接続する接続パイプ部24が突設されている。さらに、この基体13の右側には、前記ダクト部22の後側上部に位置するように、前記再生空気循環ファン配設部17に連通したパイプ接続部25が設けられている。このパイプ接続部25には、後述する加熱ヒータ42を収容するヒータケース43と接続するための接続パイプ26が配設される。
図2および図3に示すように、前記前カバー27は、基体13の前部において、タンク84の上方を閉塞するものである。前記左カバー28は、前記基体13の左側部から後側部の中央にかけて略L字形状に覆うことにより、前記室内空気循環ファン配設部16の壁14の先端を閉塞するもので、その上部には複数の吹出口29が設けられている。前記右カバー30は、前記基体13の右側部から後側部の中央にかけて略L字形状に覆うもので、縦方向に延びる複数のスリットからなる吸込口31が設けられている。この右カバー30には、その後側に垂直方向に延びるフィルタ装着孔32が設けられ、このフィルタ装着孔32から右カバー30の内側に着脱可能にフィルタ部材33が装着されている。
前記上面カバー34は、基体13の上面を覆うもので、その前部には後述する操作パネル98が配設されている。この上面カバー34には、前記室内空気循環ファン配設部16の上部に位置するように、吹出口である自動回動可能なルーバー35が配設されている。また、この上面カバー34には、中央から右側部分にかけて平面視略凹字形状をなし、内向きに窪んだハンドル収容部36が設けられている。このハンドル収容部36に配設されるハンドル37は、貫通孔を通して基体13に形成された軸受部38に回転可能に軸着される。
前記下カバー39は、前記基体13の下部において両側部および後側部を覆う平面視略U字形状のものである。また、前記底部材40は、前記下カバー39の下側を覆う略長楕円形状のものである。そして、本実施形態では、前記基体13の底と、これら下カバー39および底部材40により、タンク84を収容するタンク収容室41を形成している。
前記加熱ヒータ42は、図7に示すように、図示しない電源回路からの供給電力により発熱し、再生空気および除湿ロータ44を加熱するもので、連続した1巻きのコイルからなり、ヒータケース43を介して前記加熱ヒータ配設部18に配設される。このヒータケース43は、前記再生空気循環ファン配設部17に連通したパイプ接続部25と前記接続パイプ26によって接続されている。
前記除湿ロータ44は、その約3/4が除湿通路11内に位置し、約1/4が再生通路12内に位置するように、前記両通路11,12に跨って駆動モータ44aにより回転可能に配設した円板状のものである。具体的には、この除湿ロータ44は、図8に示すように、ゼオライトまたはシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなるロータ本体45を、樹脂製の保持部材46によって保持させたものである。この保持部材46の外壁部には、駆動モータ44aの出力軸に配設した歯車に噛み合う複数の凸状歯47が設けられている。
図3、図4および図8に示すように、前記除湿ロータ44において、加熱ヒータ42と対応する位置には、ロータカバー48が配設されている。このロータカバー48には、一対の熱交換器55A,55Bを積層状態で取り付けるための接続部49が設けられている。この接続部49は凸状をなす円柱形状のもので、直径が大きい第1保持部50と、該第1保持部50より直径が小さい第2保持部51とを備えたものである。前記第1保持部50には、除湿ロータ44の側である中側の熱交換器55Aが位置決め保持され、前記第2保持部51には、除湿ロータ44から離れた外側の熱交換器55Bが位置決め保持される。これら第1保持部50および第2保持部51には、熱交換器55A,55Bの流路58,72に連通する排気口52が設けられている。また、このロータカバー48において、前記接続部49の近傍には、熱交換器55A,55Bを更に位置決めするために2種の位置決め凸部53A,53Bが設けられている。一方の位置決め凸部53Aは、中側の熱交換器55Aを貫通するとともに外側の熱交換器55Bに嵌合して位置決めするものである。他方の位置決め凸部53Bは、中側の熱交換器55Aに嵌合して位置決めするものである。これら位置決め凸部53A,53Bの先端には、それぞれネジ止め用のネジ孔54が設けられている。
前記熱交換器55A,55Bは、図3および図4に示すように、前記除湿ロータ44の外側である右側に積層状態で配設されるものである。具体的には、これら熱交換器55A,55Bは、図9および図10に示すように、真空成形または圧空成形により形成した一対のパネル56A,56B,70A,70Bを溶着した樹脂製のものである。
具体的には、図9(A),(B),(C)に示すように、除湿ロータ44の側に配設される中側の熱交換器55Aのパネル56A,56Bには、互いに対称に位置する複数の仕切用凹条57A,57Bが形成され、これら仕切用凹条57A,57Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の流路58が形成されている。この流路58は、その下部の1点が最下端に位置するように傾斜され、その最下端位置にドレン部59が設けられている。また、貼り合わされた仕切用凹条57A,57Bの部位には、吸引した空気を流通させるための通孔60が設けられている。
前記パネル56A,56Bのうち、除湿ロータ44の側に位置される左側のパネル56Aには、図9(A),(C)に示すように、前記ロータカバー48の第1保持部50を貫通する円環状の凸条からなる装着部61が設けられている。この装着部61の周囲には、前記位置決め凸部53Aを貫通させる位置決め用貫通孔62が設けられるとともに、位置決め凸部53Bが嵌合される位置決め凹部63が設けられている。また、前記装着部61との対角位置には、略台形状をなし、前記ダクトカバー23の接続パイプ部24に接続される流出口64が設けられている。
外側の熱交換器55Bの側に位置される右側のパネル56Bには、図9(B),(C)に示すように、前記装着部61に対応する貫通孔65が設けられている。また、パネル56Bには、前記位置決め用貫通孔62と対応する位置決め用貫通孔66が設けられるとともに、位置決め凹部63と対応するネジ貫通孔67が設けられている。さらに、前記流出口64と対応する位置には、貼着状態で左右に一致する同一形状の接続口68が設けられている。さらにまた、このパネル56Bの上下には、外側の熱交換器55Bを位置決めするための位置決め部69が設けられている。この位置決め部69は、円形または長楕円形状に突出する凸部に、一回り小さい形状の凹部を設けたものである。
図10(A),(B),(C)に示すように、右カバー30の側に配設される外側の熱交換器55Bのパネル70A,70Bには、前記と同様に、互いに対称に位置する複数の仕切用凹条71A,71Bが形成され、これら仕切用凹条57A,57Bを除く部位により再生空気を通過させる複数の流路72が形成されている。この流路72は、熱交換器55Aの流路58と左右に対応する位置が最下端に位置するように傾斜され、その最下端位置にドレン部73が設けられている。また、貼り合わされた仕切用凹条57A,57Bの部位には、吸引した空気を流通させるための通孔74が設けられている。なお、この外側の熱交換器55Bの流路72および通孔74は、中側の熱交換器55Aの流路58および通孔60に対して前後に位相され、右カバー30から流入された空気は、通孔74および通孔60の順番で千鳥足状に流れるように構成されている。
前記パネル70A,70Bのうち、中側の熱交換器55Aの側に位置される左側のパネル70Aには、図10(A),(C)に示すように、前記ロータカバー48の第2保持部51を貫通する円環状の凸条からなる装着部75が設けられている。また、装着部75の周囲には、前記位置決め凸部53Aが嵌合される位置決め凹部76が設けられている。さらに、前記装着部75との対角位置である熱交換器55Aの接続口68との対応位置には、同一形状をなすように突出する流出口77が設けられている。さらにまた、このパネル70Aには、前記位置決め部69に対応する位置決め凸部78が設けられている。
外側の右カバー30の側に位置される右側のパネル70Bには、図10(B),(C)に示すように、前記装着部75および流出口77との対応位置を閉塞したものである。また、このパネル70Bには、前記位置決め凹部76に対応するネジ貫通孔79が設けられている。これにより、このパネル70Bの内面に、第2保持部51の閉塞された端面が当接して位置決めされるように構成している。
前記再生空気循環ファン80は、前記再生空気循環ファン配設部17に配設されるシロッコファンからなり、モータ81の駆動により回転されると、再生通路12内の再生空気を循環させるものである。具体的には、再生空気は、再生通路12を構成する再生空気循環ファン配設部17、接続パイプ26、加熱ヒータ42のヒータケース43、除湿ロータ44の一部、ロータカバー48、熱交換器55A,55B、ダクトカバー23の接続パイプ部24、ダクト部22の順番で循環させる。
前記室内空気循環ファン82は、前記再生通路12を除く外装体の内部全体からなる除湿通路11内において、室内空気循環ファン配設部16に配設されるシロッコファンからなり、モータ83の駆動により回転されると、室内の空気を吸引して再び室内に排出(供給)するものである。具体的には、室内の空気は、右カバー30の吸込口31からフィルタ部材33を通過して除湿機本体10内に吸引され、外側の熱交換器55Bの通孔74および外周部、内側の熱交換器55Aの通孔60、除湿ロータ44、室内空気循環ファン配設部16を通って吹出口29およびルーバー35から室内に循環供給される。なお、室内空気循環ファン82のモータ83は、通電量を変更することによって強風運転、中風運転および弱風運転の三段階の風量で動作可能なものが使用される。
前記タンク84は、除湿した水を貯水するもので、図11に示すように、上面開口の箱体形状をなし、その上端開口をタンクカバー90により閉塞したものである。このタンク84には、底の中央に逆U字形状をなす把持用のハンドル85が一体に設けられている。このハンドル85には、後述するサブタンク93が位置する側に突起86が設けられている。また、前記タンク84の内部には、一対の満水検出手段を構成するフロート部材87A,87Bが配設されている。これらフロート部材87A,87Bは、タンク84の底において平面視で略対角に位置するようにそれぞれ設けた支持部88に対して回動可能に取り付けられている。また、各フロート部材87A,87Bには、フロート部87aが下向きに位置し、揺動していない状態での上部に磁石89A,89Bが配設されている。
前記タンクカバー90は、前記タンク84の上端開口を閉塞するもので、前記ハンドル85を挿通する挿通孔91が設けられている。また、後述するサブタンク93における除湿水の滴下位置と対応する部分には、一隅部を前記挿通孔91に位置させた滴下凹部92が設けられている。即ち、前記ハンドル85を挿通させるための挿通孔91は、除湿水をタンク84内に浸水させる浸水口を構成する。
図4に示すように、前記基体13において、タンク84を装着した状態で前記滴下凹部92の上方位置には、上端開口の箱体形状をなすサブタンク93が設けられている。このサブタンク93は、前記滴下凹部92上に位置する一端(左)側が最下端となり、他端(右)側に向けて上向きに傾斜する底面を備え、その他端側に前記熱交換器55A,55Bのドレン部59,73が配設される。また、前記一端の側壁には、内部に一時的に貯留した除湿水を排水するための滴下口94が設けられている。この滴下口94は、回動動作によって開閉可能とした弁体95によって常閉される。具体的には、この弁体95は、軸受部材96によって回動可能に配設されるとともに、非動作状態では図示しないスプリング(付勢手段)によって前記滴下口94を閉塞するように付勢されている。この弁体95には、前記タンクハンドル挿通部内に突出し、前記ハンドル85の突起86が当接することにより、該弁体95を回動させて開弁するための干渉部97が設けられている。
前記上面カバー34に配設される操作パネル98は、図12に示すように、複数の入力手段であるスイッチ99A〜99Fおよび表示手段であるLED100a〜105を配設したものである。具体的には、操作パネル98の右側には、衣類乾燥コースのモードを選択するためのスイッチ99A、および、除湿動作のモードを選択するためのスイッチ99Bが設けられ、左側には、インボリュート通路内に配設した図示しないマイナスイオン発生装置をオンまたはオフさせるためのスイッチ99C、および、前記ルーバー35の自動回動をオンまたはオフさせるためのスイッチ99Dが設けられ、下側には、除湿機の運転をオンまたはオフさせるためのスイッチ99E、および、切タイマーを設定するためのスイッチ99Fが設けられている。
また、衣類乾燥コースのモード選択スイッチ99Aの左側には、節電、速乾および夜干しの3種のモードのうち、いずれのモードが選択されているかを表示するためのLED100a〜100cが設けられている。また、通常除湿コースのモード選択スイッチ99Bの左側には、「強」風運転、「自動標準」運転および「弱」風運転の3種のモードのうち、いずれのモードが選択されているかを表示するためのLED101a〜101cが設けられている。また、マイナスイオン発生装置の選択スイッチ99Cの右側には、マイナスイオン発生装置のオン(点灯)またはオフ(消灯)状態を表示するためのLED102が設けられている。また、切タイマーの時間選択スイッチ99Fの右側には、2時間、4時間、6時間および8時間の4種の時間のうち、いずれの時間が選択されているかを表示するためのLED103a〜103dが設けられている。さらに、操作パネル98の中央上側には、湿度センサ109の検出値に基づいて判断した室内の湿度が、低湿、適湿および高湿のうち、いずれかを表示するためのLED104a〜104cが設けられている。また、この湿度表示部の下側には、前記タンク84が未装着状態であること、または、タンク84が満水であることを示すためのLED105が設けられている。
前記構成の除湿機には、前記タンク84内が満水であるか否、および、タンク84の装着状態および未装着状態を検出する手段として、一対の満水検出手段が搭載されている。これら満水検出手段は、前記タンク84内に配設したフロート部材87A,87B、各フロート部材87に配設した磁石89A,89B、および、前記基体13において前記磁石89A,89Bの上部に設けたリードスイッチ106A,106Bにより構成される。また、図13に示すように、前記ファン80,82の故障対策である安全機構として、除湿通路11内における除湿ロータ44の下流側で、前記ヒータケース43の手前の接続パイプ26の外周部(図7参照)にサーミスタなどの温度検出手段107が配設されている。さらに、前記除湿ロータ44の故障対策である安全機構として、前記除湿ロータ44の周囲(図8参照)にフォトインタラプタなどの光学式のセンサからなるロータロック検出手段108が配設されている。
前記各構成部品は、吸込口31の近傍に配設した湿度センサ109の検出値に基づいて、回路基板に実装された制御手段であるマイコン110により、予め記憶されたプログラムに従って動作される。具体的には、マイコン110は、操作パネル98のスイッチ99Eがオン状態になり、除湿機本体10のタンク収容室41にタンク84がセットされ、かつ、満水状態でない場合に、スイッチ99Aが操作されると衣類乾燥制御を開始し、スイッチ99Bが操作されると通常の除湿制御を開始する。そして、これらの制御が開始されると、前記除湿ロータ44の駆動モータ44a、再生空気循環ファン80のモータ81、加熱ヒータ42、および、室内空気循環ファン82のモータ83に対して電力が通電され、各部品が動作される。
まず、通常の除湿制御では、ユーザがスイッチ99Bの操作により「強」風運転を選択している場合、駆動モータ44aへの通電量を大として前記室内空気循環ファン82を高速で動作させ、加熱ヒータは常に電力を供給して高温(強)状態で動作させる。また、ユーザが「弱」風運転を選択している場合、駆動モータ44aへの通電量を小として前記室内空気循環ファン82を低速で動作させ、加熱ヒータ42はデューティー制御により低温(弱)状態で動作させる。また、ユーザが「自動標準」運転を選択している場合、湿度センサ109の検出値に基づいて前記「強」風運転、「弱」風運転およびこれらの中間である「中」風運転を、予め設定されたプログラムに従って自動選択して動作させる。
また、本実施形態の衣類乾燥制御では、開始後の最初の第1設定時間T1(1時間)は前記湿度センサ109による検出値に拘わらず運転を継続し、この第1設定時間T1の経過後は前記湿度センサ109による検出値が予め設定したしきい値L以下を第2設定時間T2継続すると動作を停止する。さらに、この衣類乾燥制御は安全タイマー機能を備え、前記湿度センサ109による検出値に拘わらず、制御開始後に、第3設定時間T3が経過すると制御を停止するように構成している。そして、本実施形態では、前記しきい値Lおよび第3設定時間T3は、操作パネル98のスイッチ99A,99Fの操作により変更可能としている。なお、以下に衣類乾燥コースにおける各モードでの初期設定値を示す。
表1に示すように、ユーザがスイッチ99Aの操作により「速乾」モードを選択している場合、湿度センサ109の検出値に拘わらず強制的に運転させる第1設定時間T1を15分に設定している。また、衣類が乾燥したと判断するために、30秒毎に検出する湿度のしきい値Lを35%に設定し、その継続する時間の第2設定時間T2を30分に設定している。さらに、安全タイマーである第3設定時間T3を10時間に設定している。そして、この条件の下で、前記室内空気循環ファン82は連続的に加熱量が「強」風運転され、加熱ヒータ42は「強」状態で動作される。
また、ユーザが「節電」モードを選択している場合、第1設定時間T1を30分、しきい値Lを50%、第2設定時間T2を60分、第3設定時間T3を10時間に設定している。そして、この条件の下で、前記室内空気循環ファン82は連続的に「強」風運転され、加熱ヒータ42は加熱量が「弱」状態で動作される。
さらに、ユーザが「夜干し」モードを選択している場合、第1設定時間T1を60分、しきい値Lを50%、第2設定時間T2を120分、第3設定時間T3を10時間に設定している。そして、この条件の下で、前記室内空気循環ファン82は連続的に「弱」風運転され、加熱ヒータ42は加熱量が「弱」状態で動作される。
そして、本実施形態では、衣類乾燥制御のモード選択状態である前記スイッチ99Aの操作時に所定時間(3秒)以上連続して操作することにより、前記しきい値Lおよび第3設定時間T3の設定変更処理に移行する。そして、この設定変更処理では、LED103a〜103dおよびLED104a〜104cを全て点滅させ、これらとスイッチ99A,99Fを使用してしきい値Lおよび第3設定時間T3を変更するように構成している。
具体的には、しきい値Lは、スイッチ99Aおよび湿度表示のLED104a〜104cを使用して変更可能としており、スイッチ99Aの操作の度に、適湿→高湿→低湿→適湿→…と順番にLED104b,104c,104a,104b,…を消灯(選択)する。そして、低湿のLED104aを選択した場合には−5%、適湿のLED104bを選択した場合には±0%、高湿のLED104cを選択した場合には+5%、前記初期設定値に加算して変更するように構成している。
また、第3設定時間T3は、スイッチ99Fおよび切タイマーの設定時間表示のLED103a〜103dを使用して変更可能としており、スイッチ99Fの操作の度に、2時間→4時間→6時間→8時間→なし→2時間→…と順番にLED103a〜103d,103aを消灯(選択)する。そして、2時間のLED103aを選択した場合には2時間、4時間のLED103bを選択した場合には4時間、6時間のLED103cを選択した場合には6時間、8時間のLED103dを選択した場合には8時間、消灯なし(全て点滅)を選択した場合には±0時間、前記初期設定時間T3に加算して変更するように構成している。
次に、前記マイコン110による制御について具体的に説明する。
ユーザが商用電源に電源コードを接続すると、マイコン110は、スイッチ99Eの操作により運転を開始(オン)されるまで待機する。そして、スイッチ99Eが操作されると、記憶された前回の動作条件を読み込み、同一の衣類乾燥制御または通常の除湿制御を開始する。そして、マイコン110は、湿度センサ109の検出値に基づいて衣類乾燥制御または除湿制御を継続しながら、いずれかのスイッチ99A〜99Fの操作を検出し、操作を検出した場合には、対応するスイッチ99の入力処理を実行する。
具体的には、除湿制御モードの選択スイッチ99Bの操作を検出すると、衣類乾燥制御を実行中の場合には通常の除湿制御を開始し、除湿制御を実行中の場合にはモードを切り換える。マイナスイオン発生装置のスイッチ99Cの操作を検出すると、マイナスイオン発生装置を動作中である場合には動作を停止し、動作の停止中である場合には動作を開始させる。ルーバー35のスイッチ99Dの操作を検出すると、自動回動を実行中である場合には自動回動を停止し、実行中でない場合には自動回動を開始させる。切タイマーのスイッチ99Eの操作を検出すると、その操作の度に切タイマー時間を2時間→4時間→6時間→8時間→0時間(切タイマー設定なし)→2時間→…と、動作中の衣類乾燥制御または除湿制御の制御終了時間を設定する。運転のスイッチ99Fの操作を検出すると、実行中の衣類乾燥制御または除湿制御を停止するとともに、そのモードを記憶する。
次に、マイコン110による衣類乾燥コースのモード選択スイッチ99Aの操作を検出した場合の入力処理について具体的に説明する。
この衣類乾燥スイッチ入力処理では、図14に示すように、マイコン110は、まず、ステップS1で、実行中の制御が衣類乾燥制御であるか否かを検出する。そして、衣類乾燥制御を実行中でない場合、即ち、除湿制御の実行中である場合にはステップS2に進み、衣類乾燥制御処理を開始してリターンする。また、衣類乾燥制御を実行中である場合にはステップS3に進む。
ステップS3では、内蔵した3秒カウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS4で、衣類乾燥の選択スイッチ99Aの操作が停止されたか否かを検出する。そして、操作の停止を検出した場合にはステップS5に進み、衣類乾燥コースにおける運転モードを変更してリターンする。また、操作の停止を検出しない場合、即ち、選択スイッチ99Aが連続して操作し続け(所謂長押し)られている場合にはステップS6に進む。
ステップS6では、3秒カウンタがカウントアップしたか否かを検出する。そして、3秒カウンタがカウントアップしていない場合にはステップS4に戻る。また、3秒カウンタがカウントアップしている場合にはステップS7に進み、衣類乾燥制御の設定変更処理を実行してリターンする。
前記設定変更処理では、図15に示すように、マイコン110は、まず、ステップS7−1で、内蔵した5秒カウンタをリセットしてスタートさせた後、ステップS7−2で、スイッチ99A〜99Fのいずれかが操作されたか否かを検出する。そして、いずれのスイッチ99A〜99Fの操作も検出しない場合にはステップS7−3に進み、いずれかのスイッチ99A〜99Fの操作を検出した場合にはステップS7−5に進む。
ステップS7−3では、5秒カウンタがカウントアップしたか否かを検出する。そして、5秒カウンタがカウントアップしていない場合にはステップS7−2に戻る。また、カウントアップしている場合にはステップS7−4に進み、変更された設定を更新記憶してリターンする。
一方、ステップS7−5では、操作されたスイッチ99A〜99Fが衣類乾燥の選択スイッチ99Aであるか否かを検出する。そして、スイッチ99Aである場合にはステップS7−6に進み、しきい値Lの設定を変更してステップS7−1に戻る。また、スイッチ99Aでない場合にはステップS7−7に進む。
ステップS7−7では、操作されたスイッチ99A〜99Fが切タイマーの選択スイッチ99Eであるか否かを検出する。そして、スイッチ99Eである場合にはステップS7−8に進み、第3設定時間T3の設定を変更してステップS7−1に戻る。また、スイッチ99Eでない場合にはステップS7−4に進み、変更された設定を更新記憶してリターンする。
次に、マイコン110による衣類乾燥制御処理について具体的に説明する。なお、通常の除湿制御処理は従来と同一であるため、詳細な説明は省略する。
衣類乾燥制御処理では、図16に示すように、マイコン110は、まず、ステップS10で、ユーザが操作パネル98を操作することにより設定変更がなされたか否かを検出する。そして、設定変更がある場合にはステップS11に進み、設定変更がない場合にはステップS14に進む。ここで、前記「設定変更」とは、通常の除湿制御の実行状態から衣類乾燥制御に変更された状態、および、前記設定変更処理により衣類乾燥制御に関するしきい値Lまたは第3設定時間T3が変更された状態を含む。
ステップS11では、図示しない記憶手段から制御条件を読み込んだ後、ステップS12で、第1,第3,第4設定時間T1,T3,T4を計測するためのタイマーをリセットしてスタートさせる。その後、ステップS13で、除湿ロータ44の駆動モータ44a、再生空気循環ファン80のモータ81、室内空気循環ファン82のモータ83、および、加熱ヒータ42に対して電力を通電し、各部品の動作を開始してステップS14に進む。ここで、前記第4設定時間T4は、ユーザが操作パネル98のスイッチ99Eを操作することによる切タイマーの設定時間である。
ステップS14では、第1タイマーの計測により第1設定時間T1が経過したか否かを検出する。そして、第1設定時間T1が経過している場合にはステップS15に進み、第1設定時間T1が経過していない場合にはステップS10に戻る。
ステップS15では、第4タイマーの計測によりユーザが設定した切タイマーの時間である第4設定時間T4が経過したか否かを検出する。そして、第4設定時間T4が経過している場合にはステップS23に進み、第4設定時間T4が経過していない場合にはステップS16に進む。
ステップS16では、第3タイマーの計測により第3設定時間T3が経過したか否かを検出する。そして、第3設定時間T3が経過している場合にはステップS23に進み、第3設定時間T3が経過していない場合にはステップS17に進む。
ステップS17では、湿度センサ109によって室内の湿度を検出した後、ステップS18で、その検出値がしきい値L以下であるか否かを判断する。そして、検出値がしきい値L以下でない場合、即ち、しきい値Lより大きい場合にはステップS19に進み、検出値がしきい値L以下である場合にはステップS20に進む。
ステップS19では、計測中、または、停止中である第2タイマーをストップ(停止)してステップS10に戻る。ここで、このステップS19を経てステップS10に戻り、ステップS10で設定変更がない場合には、第1タイマーによって計測した第1設定時間T1が既に経過しているため、直ぐにステップS15に進むことになる。一方、このステップS19まで進んだ状態であっても、ユーザが設定変更を行った場合には、ステップS10からステップS11に進み、第1タイマーによる第1設定時間T1の計測から始めることになる。
一方、ステップS20では、第2タイマーが動作中であるか否かを検出する。そして、第2タイマーが動作中でない(停止中)場合にはステップS21に進み、第2タイマーをリセットしてスタートさせてステップS22に進む。一方、動作中である場合にはそのままステップS22に進む。
ステップS22では、第2タイマーの計測により第2設定時間T2が経過したか否かを検出する。そして、第2設定時間T2が経過している場合にはステップS23に進み、第2設定時間T2が経過していない場合にはステップS10に戻る。
即ち、第1設定時間T1の経過後は、第2設定時間T2、第3設定時間T3、または、第4設定時間が経過するまで衣類乾燥制御が継続され、いずれかが経過すると、ステップS23に進み、衣類乾燥制御の停止処理を実行して全体の制御を停止する。
なお、マイコン110により除湿制御または衣類乾燥制御が開始されると、室内空気循環ファン82により除湿機本体10内に吸引された空気は、除湿通路11に配設した熱交換器55A,55Bの通孔60,74を通過する際に、高温の再生空気と熱交換されることにより加熱された後、除湿ロータを通過する際に含有した水分が除去(吸着)される。その後、除湿された乾燥空気の状態で室内に循環供給される。
また、再生空気循環ファン80により循環される再生通路12内の再生空気は、加熱ヒータ42で加熱され、除湿ロータ44を通過する際に該除湿ロータ44が吸着した水分を吸着する。ついで、熱交換器55A,55Bに分流され、通孔60,74を通過する室内空気と熱交換して冷却されることにより含有した水分を放出する。その後、ダクト部22内を通って上昇する際に、更に冷却効果が得られ、熱交換器55A,55Bでは放出されなかった水分を更に放出し、再び加熱ヒータ42へと供給される。
さらに、前記熱交換器55A,55Bで放出された除湿水は、熱交換器55A,55B内の流路58,72を通ってドレン部59,73からサブタンク93に排出され、該サブタンク93の滴下口94からタンクカバー90上に滴下される。その後、浸水口であるハンドル85の挿通孔91からタンク84内に滴下される。
このように、本発明の除湿機では、衣類乾燥制御開始後の第1設定時間T1が経過するまでは、湿度センサ109に拘わらず運転を継続するため、衣類の乾燥を促進できる。また、第1設定時間T1の経過後は、湿度センサ109による検出値がしきい値L以下を第2設定時間T2継続するまで動作し続ける。そのため、確実に衣類を乾燥できるとともに、ユーザは煩わしい停止作業を行う必要がないため、利便性を向上できる。
また、本実施形態では、制御を強制停止するための第3設定時間T3(安全タイマー)を設けているため、湿度センサ109が故障した場合などでも制御が続けられるという問題を防止できる。しかも、この第3設定時間T3、および、衣類が乾燥したと判断するためのしきい値Lは、入力手段であるスイッチ99A〜99Fをユーザが操作することにより変更できるため、ユーザ毎に異なる生活環境に応じて調整することが可能になり、確実に衣類を乾燥させることができる。
なお、本発明の除湿機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、第1設定時間T1の計測中には湿度センサ109によって湿度を検出しない構成としたが、検出する構成としてもよい。この場合、この第1設定時間T1が経過するまでの検出値は、衣類が乾燥したか否かを判断する対象から除くようにする。このようにすれば、湿度センサ109を動作させるためのプログラムを簡素化することができる。
また、操作パネル98の表示手段は、LEDに限らずセグメント方式またはドットマトリクス方式の液晶表示としてもよい。この場合、しきい値Lおよび第3設定時間T3の変更操作を、具体的な数値を表示しながら変更することができる。