JP2006212324A - 医療用器具の洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機物汚れの固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようにするだけでなく、洗浄液を空気中に飛散させない状態で、医療用器具の細孔内に強い噴出力で確実に洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとする。
【解決手段】 保湿材と分解酵素とを含む洗浄液を密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクと、この洗浄液2を洗浄液タンク1の外部に導出可能に設けられた導通路3と、洗浄液2を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁4と、洗浄液2を外部に吐出可能なノズル5とを備え、洗浄液タンク1は、窒素ガス6により内部が加圧されており、ノズル5は、洗浄液2を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路3の外側端部において直線的な細管形状に形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 保湿材と分解酵素とを含む洗浄液を密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクと、この洗浄液2を洗浄液タンク1の外部に導出可能に設けられた導通路3と、洗浄液2を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁4と、洗浄液2を外部に吐出可能なノズル5とを備え、洗浄液タンク1は、窒素ガス6により内部が加圧されており、ノズル5は、洗浄液2を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路3の外側端部において直線的な細管形状に形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内視鏡など、細孔を有する医療用器具の細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄するために採用される洗浄装置および洗浄方法に関するものである。
最近、手術器材として内視鏡など、細孔を有する複雑な構造を持った医療用器具の使用頻度が多くなってきている。
このような医療用器具の細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを除去して医療用器具を再利用するには、従来は、例えばグルタルアルデヒドなどの消毒剤を用いて感染力を消失させた後、洗浄液に浸漬してブラッシング、圧縮スプレー、超音波洗浄などの物理的洗浄を行い、その後に、水洗,乾燥,滅菌あるいは消毒処理をするなどの一連の洗浄作業を行うのが一般的であった。
ここで、ブラッシングによる物理的洗浄は、簡単な器具で手軽に行えるが、内視鏡のチャンネルのような複雑な構造については、全ての箇所で確実に洗浄することが困難である。また、人によって熟練度に差があるために医療用器具の洗浄度に差が生じることが考えられる。さらに、ブラッシングは、汚染した器材に直接触れたり、血液など、汚物の飛散による医療従事者の感染が懸念されるという問題がある。
また、圧縮スプレーによる物理的洗浄は、フロンガスなどを充填した圧縮スプレーでチャンネル内の血液凝固物や組織片を物理的に吹き飛ばすものであるが、このようにフロンガスなど気体単独を吹き付けることは、チャンネル内の血液や組織片を乾燥・凝固させ、かえって汚染物の固着を増強させて、洗浄を困難にするという問題がある。また、ブラッシング同様に、血液など、汚物の飛散による医療従事者の感染が懸念されるという問題がある。
さらに、超音波洗浄は、全自動で浸漬洗浄から除菌まで6分で洗浄処理できるために、洗浄操作の手間が要らないが、一方、医療用内視鏡のチャンネル内に洗浄液が侵入しにくいために汚染物が除去されにくい。また超音波槽内でデッドスペースがあり、汚染物が除去されないところが生じる。そして医療用内視鏡本体が完全に浸漬しなければ、洗浄効果が期待できないために洗浄液は多量に必要となるなどの欠点がある。
このように、ブラッシング、圧縮スプレー、および超音波洗浄による物理的洗浄は、汚染物を排除することが困難であるだけでなく、血液などの飛散による医療従事者の感染が懸念されるという問題があった。
加えて、上述のような一連の洗浄作業は、従来は、看護師が、手術現場で行うことが多かったが、最近では、患者の処置以外に洗浄に時間をかけられないという理由や、汚染物からの感染被爆を回避するという理由から、手術現場で直接洗浄せずに、中央材料部で一括して行うことが多くなってきている。
例えば、内視鏡の中で、消化器内視鏡などの軟性鏡などの場合は、1回使用毎に、水洗し酵素洗浄液を吸引した後、ブラッシングを行い次に浸漬洗浄器で洗浄・消毒を行って手術現場で再使用しているが、硬性鏡は中央材料部で洗浄処理を行うことが多くなってきている。また、軟性鏡についても、人員の稼働率を上げるために、一括して洗浄処理を行う病院が増える傾向にある。
ところが、中央材料部での稼動回数は、ほとんどが1日2〜3回で、また夜間や休日は作業しないことが多い。夜間の緊急手術や休日前の最終手術の場合、ほとんどの場合、そのまま医療用器具を放置することが多い。
器材は使用後、2時間以上放置すると付着した血液は乾燥し、器材に固着してしまうため、中央材料部や検査の洗浄室において洗浄の洗い残し部分が出てくる可能性がある。
特に、内視鏡のチャンネルは、チャンネル口が狭く複雑な構造をしているので、チャンネル内に気泡が残存したり、血液の固着物がチャンネルをふさいだりする結果、上述のような物理的洗浄では十分に洗浄できず、洗浄の洗い残し部分が出てくるという問題がある。
そこで、最近では、これら物理的洗浄の問題点と、中央材料部での洗浄作業の集中化に起因する洗い残しの問題に対応するために、例えば、特許文献1に開示されているような化学的洗浄が種々開発されるようになってきた。特許文献1には、洗浄液として酵素洗浄剤と保湿剤およびノニオン系界面活性剤を含む洗浄剤組成物を用いる技術が開示されている。
このような化学的洗浄は、一般に噴霧ノズルを有する詰め替え式の手動式噴霧器で噴霧するように行われるので、手軽に医療用器具を洗浄することができる。また、医療用器具の洗浄度に差が生じることがない。さらに、汚物の飛散による医療従事者の感染も回避することができる。
また、圧縮スプレーによる物理的洗浄のように、チャンネル内の血液や組織片を乾燥・凝固させ、洗浄を困難にすることもない。
さらに、有機物汚れが乾燥することを防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができるので、手軽に有機物汚れの固着を防止し、長時間放置した医療用器具も洗浄することができるようになる結果、中央材料部や検査の洗浄室において洗浄の洗い残し部分を少なくすることができる。
特開2001−31999号公報
しかしながら、上述の化学的洗浄は、従来は、その噴霧力を手動にたよっていたために、洗浄液の圧力が弱く、内視鏡のチャンネル内の複雑な構造部分に対してや、チャンネル内に血液などの凝固物があった場合などは、チャンネル全体に洗浄液が浸透しにくく、洗浄が不確実なものとなりやすかった。
また、従来は、洗浄液を霧状に噴霧するものであったために、洗浄液が拡散してしまい、チャンネル内に浸透させにくいという不具合があった。
さらに、従来のような洗浄液を霧状に噴霧するものでは洗浄液を空気中に飛散させ易く、酵素洗浄液などの場合、使用時に医療従事者の目や粘膜を刺激する可能性があった。
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、有機物汚れの固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようにするだけでなく、洗浄液を空気中に飛散させない状態で、医療用器具の細孔内に強い噴出力で確実に洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための本発明に係る医療用器具の洗浄装置は、細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する洗浄装置であって、上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを含む洗浄液を密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクと、この洗浄液タンクの洗浄液を洗浄液タンクの外部に導出可能に設けられた導通路と、導通路に設けられ、洗浄液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁と導通路の先端に設けられ、洗浄液を外部に吐出可能なノズルとを備え、上記洗浄液タンクは、洗浄液を外部へ圧送する窒素ガスにより内部が加圧されており、上記ノズルは、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを含む洗浄液を携帯可能な洗浄液タンクに密封貯蔵し、この洗浄液を導通路と開閉弁とノズルとを介して、医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
また、洗浄液タンクの内部が、窒素ガスにより加圧されるとともに、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、ノズルが、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されているので、洗浄液を医療用器具の細孔に圧送することができる結果、洗浄液を空気中に飛散させない状態で、医療用器具の細孔内に強い噴出力で洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができる。
また、上記課題を解決するための本発明に係るもう一つの医療用器具の洗浄装置は、医療用器具に付着した生物由来の有機物汚れの固着を防止して、医療用器具の洗浄を容易ならしめる洗浄装置であって、上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材を密封貯蔵する携帯可能な保湿材タンクと、有機物汚れの分解を促進する分解酵素を密封貯蔵する携帯可能な分解酵素タンクと、これら、保湿材タンクと分解酵素タンクとにそれぞれに設けられ、それぞれの内容液をそれぞれのタンクの外部に導出可能に設けられた各導通路と、各導通路に設けられ、各内容液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能なそれぞれの開閉弁と各導通路の先端に共通に設けられ、保湿材と分解酵素とを混合した洗浄液を外部に吐出可能なノズルとを備え、上記保湿材タンクと分解酵素タンクとは、保湿材と分解酵素とをそれぞれ圧送するとともに、上記両者を混合して洗浄液としてノズルから外部に吐出する窒素ガスによりそれぞれ内部が加圧されており、上記ノズルは、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によっても、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを含む洗浄液を導通路と開閉弁とノズルとを介して、医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
特に、このように保湿材タンクと分解酵素タンクとの二連式にし、分解酵素を保湿材と別にすることによって、分解酵素の寿命を長期間にすることができるようになる。
また、保湿材タンクと分解酵素タンクの内部が、窒素ガスにより加圧されるとともに、ノズルが、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されているので、保湿材と分解酵素とを混合した洗浄液を医療用器具の細孔に圧送することができる結果、洗浄液を空気中に飛散させない状態で、医療用器具の細孔内に強い噴出力で確実に洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができる。
特に、上述の医療用器具の洗浄装置は、いずれも酵素不活性ガスである窒素ガスが充填され、無酸素状態となっているので、分解酵素の効力が失活することがない結果、各内容液を安定して長期間保存が可能である。また、窒素ガスは、一般のスプレーガスに用いられるLPGガスや炭酸ガスよりも安定して各内容液を長期間保存することが可能である。
また、加圧ガスとして窒素ガスを用いることにより、各内容液を安定して長期間保存することが可能であるので、洗浄液の分解酵素を低濃度に保持できる結果、洗浄液のコストを低コストに抑えることができるだけでなく、使用者の安全性も確保することができる。
上記ノズルは、細孔内に集中して吐出した洗浄液が、細孔の外に逆流することを防止可能なように、細孔の入り口において細孔とノズルとの間隙を塞ぐ弾性材料からなる封止部が設けられていることが好ましい。
このようにすれば、細孔の入り口において細孔とノズルとの間隙を塞ぐ弾性材料からなる封止部がノズルに設けられており、細孔内に吐出した洗浄液が、細孔の外に逆流することを防止することができるので、細孔のより深部にまで洗浄液を集中して吐出することができる結果、細孔内に浸入した洗浄しにくい有機物汚れもより容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
上記ノズルの封止部は、概ね円錐形に形成され、この封止部の円錐面が細孔に対向するように、かつこの封止部の円錐形の中心軸にノズルの軸が概ね沿うように、ノズルの外側に設けられていることが好ましい。
このようにすれば、ノズルの封止部が、概ね円錐形に形成されているので、多様な内径の細孔を弾性的に塞ぐことができるようになる。
また、上記洗浄装置は、上記ノズルから吐出される洗浄液の飛沫から、洗浄装置を保持する手や眼を防護する概ね板状のプロテクターを備えていることが好ましい。
このようにすれば、洗浄液の噴出時において素手で噴出しても洗浄液の跳ね返りが、手、指、眼などにかからないようにすることができる。
上記医療用器具は医療用内視鏡であり、上記細孔は、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルであることが好ましい。
このようにすれば、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルに浸入した有機物汚れへ洗浄液を圧送することができるので、手軽に細孔内の有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れのチャンネル内における固着を防止して、汚れの付着後、長時間放置した医療用内視鏡も容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
また、上記課題を解決するための本発明に係る医療用器具の洗浄方法は、細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する医療用器具の洗浄方法であって、上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と、有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを混合して洗浄液としたものを密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクの内圧を窒素ガスで加圧し、この洗浄液タンクの洗浄液を、洗浄液タンクの外部に導出可能に設けられた導通路と、導通路に設けられ、洗浄液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁と、導通路の先端に設けられ、洗浄液を外部に直線的に吐出可能な細管形状に形成されたノズルとを介して、外部に吐出して有機物汚れを洗浄することを特徴とする医療用器具の洗浄方法である。
本発明によれば、洗浄液タンクの内部を、窒素ガスにより加圧して、導通路と開閉弁とノズルとを介して、保湿材と分解酵素とを含む洗浄液を医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に細孔内の有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、汚れの付着後、長時間放置した医療用器具も容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
また、上記課題を解決するための本発明に係る医療用器具のもう一つの洗浄方法は、細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する医療用器具の洗浄方法であって、上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材を密封貯蔵する保湿材タンクと、有機物汚れの分解を促進する分解酵素を密封貯蔵する分解酵素タンクのそれぞれの内圧を窒素ガスで加圧し、これら、保湿材と分解酵素とを、保湿材タンクと分解酵素タンクのそれぞれに設けられ、それぞれの内容液をそれぞれのタンクの外部に導出可能に設けられた各導通路と、各導通路に設けられ、各内容液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能なそれぞれの開閉弁と、各導通路の先端に共通に設けられ、保湿材と分解酵素とを混合した洗浄液を直線的に外部に吐出可能な細管形状に形成されたノズルとを介して、外部に洗浄液として吐出して有機物汚れを洗浄することを特徴とする医療用器具の洗浄方法である。
本発明によっても、保湿材タンクと分解酵素タンクの内部を、窒素ガスにより加圧して、導通路と開閉弁とノズルとを介して、保湿材と分解酵素とを含む洗浄液を医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に細孔内の有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、汚れの付着後、長時間放置した医療用器具も容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
ここで、上記医療用器具は医療用内視鏡であり、上記細孔は、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルであることが好ましい。
このようにすれば、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルに浸入した有機物汚れへ洗浄液を圧送することができるので、手軽に細孔内の有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れのチャンネル内における固着を防止して、汚れの付着後、長時間放置した医療用内視鏡も容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、有機物汚れの固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようにするだけでなく、洗浄液を空気中に飛散させない状態で、医療用器具の細孔内に強い噴出力で洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができるという顕著な効果を奏する。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る洗浄装置10の構成を示す説明図であり、図2は、洗浄装置10において、開閉弁4が閉の状態を示す概略の断面図を、図3は、洗浄装置10において、開閉弁4が開の状態を示す概略の断面図を、それぞれ示している。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る洗浄装置10は、細孔を有する医療用器具の細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄するいわゆるスプレー缶と呼ばれる加圧噴出器であって、洗浄液2を密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンク1と、この洗浄液2を洗浄液タンク1の外部に導出可能に設けられた導通路3と、導通路3に設けられた開閉弁4と、同じく導通路3の先端に設けられ、洗浄液2を外部に吐出可能なノズル5とを備えている。
上記医療用器具としては、本実施形態においては、医療用内視鏡を対象とし、上記細孔は、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルを対象としている。
一般に、医療用内視鏡のチャンネルには吸引・鉗子チャンネルなどの細孔が、複数あり、これら医療用内視鏡のチャンネルは、チャンネル口が狭く複雑な構造をしているために、チャンネル内に気泡が残存したり、血液の固着物がチャンネルをふさいだりすることが多い。本実施形態に係る洗浄装置10は、これらの医療用内視鏡に付着した有機物汚れを除去して医療用内視鏡を再利用するために用いられる。
上記洗浄液タンク1は、洗浄液2を密封貯蔵する携帯可能なアルミニウム製の容器で構成される。この洗浄液2には、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と、有機物汚れの分解を促進する分解酵素と、ノニオン系界面活性剤が配合されており、そのために、洗浄液タンク1の内壁には、分解酵素によるアルミニウムの腐食を防止するためのPP樹脂1b(図2)がコートされている。
この洗浄液は、例えば、湿度50%、温度27゜Cの雰囲気中で保湿効果が96時間以上保持することができるものであり、それ故、この洗浄液は、夏季の病院においても長期間保湿効果が保持できる。
また、この洗浄液タンク1は、洗浄液2を外部へ圧送する窒素ガス6(図2)により内部が加圧されており、窒素ガス6の充填圧力は0.8メガパスカルに調整されている。この窒素ガス6は分解酵素に対して不活性であり、酵素を安定して洗浄液タンク1内部に保持することができるものである。
上記導通路3は、この洗浄液タンク1の洗浄液2を洗浄液タンク1の外部に導出可能に設けられたものであり、洗浄液タンク1の底部から導通路3に洗浄液2を導入するフレキシブルチューブ3aと、開閉弁4とノズル5とを管路接続する揺動部3bとを備えている。
フレキシブルチューブ3aは、入り口にウェイト部3cを有しており、重力で常にフレキシブルチューブ3aの先端が洗浄液タンク1の底部に位置するように構成されている。
また、揺動部3bは、開閉弁4からノズル5に洗浄液2を供給する管路3e(図2)を内部に備えており、洗浄液タンク1の頂部に取り付けられるプラスチックカバー7に設けられた揺動軸7aを中心に揺動可能に設けられ、引きレバー3dを洗浄液タンク1側に変位させて後述する開閉弁4の突起管4aを押圧して開閉弁4を開の状態にする押圧姿勢と、開閉弁4の突起管4aを解放して開閉弁4を閉の状態にする解放姿勢との間で、揺動可能に設けられている。
上記開閉弁4は、導通路3に設けられ、洗浄液2を洗浄液タンク1の外部に吐出可能とするものであり、本発明を限定するものではないが、本実施形態においては、図2に示すように、上下に変位可能な管状の突起管4aと、突起管4aに延設される弁体4bと、弁体4bが当接することにより洗浄液2の流れを停止させる弁座4cと、弁体4bを弁座4cに付勢する付勢部材4dと、フレキシブルチューブ3aを弁座4cに接続するフレキシブルチューブ取り付け部4eとを備えている。そして、洗浄液2を外部に導出する開口姿勢(図3)と、この導出を停止する閉止姿勢(図2)との間で姿勢変更可能になっている。
上記ノズル5は、ノズル5から吐出される洗浄液2を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路3の外側端部において直線的な細管形状に形成されていることを特徴とするものである。ノズル5からの洗浄液の噴出は霧状でなく、直線状および泡状に噴出される。
このノズル5は、細孔内に集中して吐出した洗浄液2が、細孔の外に逆流することを防止可能なように、細孔の入り口において細孔とノズル5との間隙を塞ぐ弾性材料からなる封止部8が設けられている。
この封止部8は、概ね円錐形に形成され、封止部8の円錐面が細孔に対向するように、かつこの封止部8の円錐形の中心軸にノズル5の軸が概ね沿うように、ノズル5の外側に設けられており、ノズル5と一体に形成されている。医療用内視鏡のチャンネルは、それぞれチャンネルの内径が異なっており、また、製造メーカーや用途によっても鉗子チャンネルの内径が異なる。この封止部8は、吸着性のゴムや樹脂などの弾性材料から構成されているので、チャンネルの入り口に対して接着性があり、口径の異なったチャンネルに装着しても、分解酵素が漏れるのを防止できるようになっている。
この封止部8に用いられる吸着性のゴムや樹脂などの弾性材料としては分解酵素の腐食性に対して耐性を有しているものが選択される。
また、この洗浄装置10は、ノズル5から吐出される洗浄液2の飛沫から、洗浄装置10を保持する手を防護するプロテクター9を備えている。このプロテクター9は、合成樹脂からなる概ね板状の部材であり、洗浄液タンク1の底部に装着される鞘状の装着部9aと一体に形成され、この鞘状の装着部9aの開口端部から延設されてノズル5の周囲に洗浄装置10の本体を覆うように設けられている。そして、ノズル5は、このプロテクター9に設けられたスリット9bを通して上下に揺動することができるようになっている。
次に図2と、図3とを参照して、第1の実施の形態に係る洗浄装置10の作用と洗浄方法について説明する。図2は、洗浄装置10において、開閉弁4が閉の状態を示す概略の断面図を示している。この状態では、引きレバー3dが洗浄液タンク1と反対側に変位して開閉弁4の突起管4aを解放する解放姿勢の状態になっており、開閉弁4が、閉止姿勢の状態で開閉弁4を閉の状態にし洗浄液2の導出を停止し、洗浄液タンク1の中で、洗浄液2が密封貯蔵されている。
図3は、洗浄装置10において、開閉弁4が開の状態を示す概略の断面図を示している。この状態では、引きレバー3dが洗浄液タンク1側に変位することにより、揺動部3bが、洗浄液タンク1の頂部に取り付けられるプラスチックカバー7に設けられた揺動軸7aを中心に揺動して、押圧姿勢の状態となり、開閉弁4の突起管4aを押圧し、開閉弁4が、開口姿勢の状態となって開閉弁4を開の状態にし、洗浄液2を外部に導出する。
その結果、窒素ガス6が、洗浄液2を圧送し、洗浄液タンク1の底部からフレキシブルチューブ3aに洗浄液2が導入される。
そして、フレキシブルチューブ3aと揺動部3bとを含む導通路3と、ノズル5とを通って洗浄液タンク1の洗浄液2が洗浄液タンク1の外部に導出される。
この時、ノズル5は、霧状でなく、直線状および泡状にノズル5から洗浄液2を細孔内に集中して吐出する。
また、ノズル5の外側に設けられている封止部8の円錐面が細孔の入り口において細孔に対向するようにして細孔とノズル5との間隙を塞ぐので、口径の異なったチャンネルに装着しても、細孔内に集中して吐出した洗浄液2が、細孔の外に逆流することが防止される。
そして、洗浄液2の保湿材が、ノズル5が挿入されている細孔内に付着した生物由来の有機物汚れの乾燥を防止し、分解酵素が、有機物汚れの分解を促進する。
その後、中央材料部で、水洗,乾燥,滅菌あるいは消毒処理をするなどの一連の作業を一括して行うことにより、医療用器具に付着した有機物汚れが除去されて医療用器具が再利用可能になる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る洗浄装置10によれば、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを含む洗浄液2を携帯可能な洗浄液タンク1に密封貯蔵し、この洗浄液2を導通路3と開閉弁4とノズル5とを介して、医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
また、洗浄液タンク1の内部が、窒素ガス6により加圧されるとともに、洗浄液2を細孔内に集中して吐出可能なように、ノズル5が、導通路3の外側端部において直線的な細管形状に形成されているので、洗浄液2をノズル5から吐出して医療用器具の細孔に圧送することができる結果、医療用器具の細孔内に強い噴出力で洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができる。
特に、洗浄装置10は、酵素不活性ガスである窒素ガス6が充填され、無酸素状態となっているので、分解酵素の効力が失活することがない結果、洗浄液を安定して長期間保存が可能である。また、窒素ガス6は、一般のスプレーガスに用いられるLPGガスや炭酸ガスよりも安定して洗浄液を長期間保存することが可能である。
また、加圧ガスとして窒素ガス6を用いることにより、洗浄液を安定して長期間保存することが可能であるので、洗浄液の分解酵素を低濃度に保持できる結果、洗浄液のコストを低コストに抑えることができるだけでなく、使用者の安全性も確保することができる。
また、洗浄装置10によれば、細孔の入り口において細孔とノズル5との間隙を塞ぐ弾性材料からなる封止部8がノズル5に設けられており、細孔内に吐出した洗浄液2が、細孔の外に逆流することを防止することができるので、細孔のより深部にまで洗浄液2を集中して吐出することができる結果、細孔内に浸入した洗浄しにくい有機物汚れもより容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
また、洗浄装置10によれば、ノズル5の封止部8が、概ね円錐形に形成されているので、多様な内径の細孔を弾性的に塞ぐことができるようになる。
また、洗浄装置10によれば、ノズル5から吐出される洗浄液2の飛沫から、洗浄装置10を保持する手を防護するプロテクター9を備えているので洗浄液の噴出時において素手で噴出しても、洗浄液の跳ね返りが、手、指、眼などにかからないようにすることができる。
また、洗浄装置10によれば、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルに浸入した有機物汚れへ洗浄液2を圧送することができるので、手軽に細孔内の有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れのチャンネル内における固着を防止して、汚れの付着後、長時間放置した医療用内視鏡も容易に、かつ確実に洗浄することができるようになる。
このように、洗浄装置10によれば、洗浄液タンク1を携帯可能なスプレー缶にすることによって、場所を取らず、持ち運びが容易なものとなる。
また、中央材料部での本洗浄までの間に、汚染部分を保湿し、分解酵素で分解することによって、本洗浄での洗浄力を高めることができるようになる。
また、従来のような手動式噴霧器のような低圧噴霧と異なり、高圧噴出させることによって、チャンネル内に固着した血液などの汚染物の塊や気泡を物理的に吹き飛ばすという効果もある。
また、分解酵素を含む洗浄液を霧状に噴霧すると空気中に分解酵素が飛散し、使用中に目や鼻の粘膜に障害を与える可能性があるが、直線状に噴出することによって空気中に飛散することがなく、使用者の人体への危険性を回避することができるようになる。
さらに、直線状に噴出することによって、分解酵素自体は泡状と成り、汚染物に、効果的に接触することによって保湿効果や洗浄効果を高めることができる。
次に、図4〜図6を参照しながら第2の実施の形態に係る洗浄装置20について詳述する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る洗浄装置20の構成を示す説明図であり、図5は、図4の概略の断面図である。なお、第2の実施の形態に係る洗浄装置20において、第1の実施の形態に係る洗浄装置10と同様の構成には、同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
図4を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る洗浄装置20は、保湿材22aを貯蔵する保湿材タンク21aと、分解酵素22bを貯蔵する分解酵素タンク21bと、これら保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bそれぞれの内容液をそれぞれのタンクの外部に導出可能に設けられた各導通路23と、各導通路23に設けられた開閉弁24と、各導通路23の先端に共通に設けられたノズル25とを備え、保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bとの内部が窒素ガス6によりそれぞれ加圧され、保湿材22aと分解酵素22bとをそれぞれ圧送するとともに、両者を混合して洗浄液としてノズル25から外部に吐出するように構成されている。
上記保湿材タンク21aは、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材22aとノニオン系界面活性剤とを密封貯蔵する容器であり、分解酵素タンク21bは、有機物汚れの分解を促進する分解酵素22bを密封貯蔵する容器である。これら保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bとは、携帯可能なアルミニウム製の容器で構成され、内壁はそれぞれアルミニウムの腐食を妨げるためにPP樹脂がコートされている。
また、これら保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bとは、窒素ガス6により内部が加圧されており、窒素ガス6の充填圧力は0.8メガパスカルに調整されている。
上記各導通路23は、これら保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bの内容液を外部に導出可能に設けられたものであり、それぞれのタンク21a、21bの底部から各導通路23に各内容液22a、22bを導入する各フレキシブルチューブ23aと、保湿材22aと分解酵素22bとを混合した洗浄液22をノズル25に管路接続する揺動部23bとを備えている。
フレキシブルチューブ23aは、第1の実施の形態に係る洗浄装置10と同様に入り口にウェイト部23cを有しており、常にそれぞれのタンク21a、21bの底部に位置するように構成されている。
また、揺動部23bは、それぞれのタンク21a、21bからノズル25に洗浄液2を供給する管路23d(図5)を内部に備えており、タンク21a、21bの頂部に取り付けられるプラスチックカバー27に設けられた揺動軸27aを中心に揺動可能に設けられ、押しレバー23eをタンク21a、21b側に変位させて後述するそれぞれの開閉弁24の各突起管24aを押圧してそれぞれの開閉弁24を開の状態にする押圧姿勢と、それぞれの開閉弁24の各突起管24aを解放してそれぞれの開閉弁24を閉の状態にする解放姿勢との間で、揺動可能に設けられている。
上記開閉弁24は、各導通路23に設けられ、各内容液22a、22bを外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な弁であり、それぞれの構成は、第1の実施の形態に係る洗浄装置10と同様である。
ノズル25は、各導通路23の先端に共通に設けられ、保湿材22aと分解酵素22bとを混合した洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路23の外側端部において直線的な細管形状に形成されている。
また、この洗浄装置20は、ノズル25から吐出される各内容液22a、22bの飛沫から、洗浄装置20を保持する手を防護するプロテクター29を備えている。このプロテクター29は、合成樹脂からなる概ね板状の部材であり、ノズル25と一体に形成されるか、もしくは洗浄装置20の使用時にノズル25に対して嵌め込むことができるように別体に設けられ、ノズル25の周囲において洗浄装置20の本体を覆うように形成されている。それ故、このプロテクター29は、ノズル25とともに上下に揺動するようになっている。
次に図5と、図6とを参照して、第2の実施の形態に係る洗浄装置20の作用と洗浄方法について説明する。図5は、洗浄装置20において、開閉弁24が閉の状態を示している。この状態では、押しレバー23eがそれぞれのタンク21a、21bの方向と反対方向に変位してそれぞれの開閉弁24の各突起管24aを解放する解放姿勢の状態になっており、それぞれの開閉弁24が、閉止姿勢の状態でそれぞれの開閉弁24を閉の状態にし、各内容液22a、22bの導出を停止し、それぞれのタンク21a、21bの中で、各内容液22a、22bが密封貯蔵されている。
図6は、洗浄装置20において、それぞれの開閉弁24が開の状態を示す概略の断面図を示している。この状態では、押しレバー23eをそれぞれのタンク21a、21b側に変位させることにより、揺動部23bが、それぞれのタンク21a、21bの頂部に取り付けられるプラスチックカバー27に設けられた揺動軸27aを中心に揺動して、押圧姿勢の状態となり、それぞれの開閉弁24の各突起管24aを押圧し、それぞれの開閉弁24が、開口姿勢の状態となってそれぞれの開閉弁24を開の状態にし、保湿材22aと分解酵素22bとを外部に導出する。
その結果、窒素ガス6が、保湿材22aと分解酵素22bとを圧送し、それぞれのタンク21a、21bの底部からフレキシブルチューブ23aに保湿材22aと分解酵素22bとが導入される。
そして、導通路23と、開閉弁24と、ノズル25とを通ってそれぞれのタンクの保湿材22aと分解酵素22bとがそれぞれのタンクの外部に導出される。
そして、保湿材22aが、ノズル25が挿入されている細孔内に付着した生物由来の有機物汚れの乾燥を防止し、分解酵素22bが、有機物汚れの分解を促進する。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る洗浄装置20によっても、有機物汚れの乾燥を防止する保湿材22aと有機物汚れの分解を促進する分解酵素22bとを含む洗浄液を導通路23と開閉弁24とノズル25とを介して、医療用器具の細孔に浸入した有機物汚れへ圧送することができるので、手軽に有機物汚れの乾燥を防止するとともに、その有機物汚れの分解を促進することができる結果、有機物汚れの細孔内における固着を防止して、医療用器具を容易にかつ確実に洗浄することができるようになる。
特に、このように保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bとの二連式にし、分解酵素22bを保湿材22aと別にすることによって、分解酵素22bの寿命を長期間にすることができるようになる。
また、保湿材タンク21aと分解酵素タンク21bの内部が、窒素ガス6により加圧されるとともに、ノズル25から吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、ノズル25が、導通路23の外側端部において直線的な細管形状に形成されているので、保湿材22aと分解酵素22bとを混合した洗浄液を医療用器具の細孔に圧送することができる結果、医療用器具の細孔内に強い噴出力で確実に洗浄液を浸透させて洗浄を確実なものとすることができる。
特に、上述の医療用器具の洗浄装置20は、いずれも酵素不活性ガスである窒素ガス6が充填され、無酸素状態となっているので、分解酵素22bの効力が失活することがない結果、洗浄液を安定して長期間保存が可能である。また、窒素ガス6は、一般のスプレーガスに用いられるLPGガスや炭酸ガスよりも安定して分解酵素22bを長期間保存することが可能である。
また、加圧ガスとして窒素ガス6を用いることにより、分解酵素22bを安定して長期間保存することが可能であるので、分解酵素22bを低濃度に保持できる結果、分解酵素22bのコストを低コストに抑えることができるだけでなく、使用者の安全性も確保することができる。
また、洗浄装置20によっても、ノズル25から吐出される各内容液22a、22bの飛沫から、洗浄装置20を保持する手を防護するプロテクター29を備えているので洗浄液の噴出時において素手で噴出しても、各内容液22a、22bの跳ね返りが、手、指、眼などにかからないようにすることができる。
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
例えば、本発明の対象の医療用器具は、医療用内視鏡に限定されるものではない。細孔を有する医療用器具であれば、その他の手術器具などにも適用可能である。
洗浄液タンク1、保湿材タンク21a、分解酵素タンク21bは、アルミニウム製の容器に限定されない。容器の材質は種々の設計変更が可能である。
洗浄液2、保湿材22aの界面活性剤は、必ずしもノニオン系界面活性剤に限定されない。アニオン系界面活性剤など、その他の界面活性剤が採用可能である。
窒素ガス6の充填圧力も0.8メガパスカルに限らず、容器の大きさ、強度に応じて種々の設計変更が可能である。
開閉弁4、24の構成は、本発明を限定するものではなく、必ずしも図示の形状、構成に限定されない。広くスプレー缶に用いられる一般の弁機構が採用可能であるなど、種々の設計変更が可能である。
図7は、本実施形態の変形例に係る封止部38の説明図であり、(a)は、封止部38の外形図を、(b)は、封止部38の断面図を、それぞれ示している。このように、封止部8は、概ね円錐形に形成され、封止部8の円錐面が細孔に対向するように、かつこの封止部8の円錐形の中心軸にノズル5、25の軸が概ね沿うように、ノズル5、25の外側に設けられているものであれば、例えば、図7の封止部38のように、傘状に構成されたものでも採用可能であるなど、種々の設計変更が可能である。
また、プロテクター9、29は、必ずしも図示の実施形態に限定されない。洗浄装置10にプロテクター9の形式のものを採用したり、洗浄装置20にプロテクター29の形式のものを採用することも可能である。このように、プロテクター9、29は、ノズル5、25から吐出される洗浄液2、各内容液22a、22bの飛沫から、洗浄装置10、20を保持する手を防護するものであれば、寸法、形状など種々の設計変更が可能である。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
1 洗浄液タンク
2 洗浄液
3、23 導通路
4、24 開閉弁
5、25 ノズル
6 窒素ガス
8 封止部
9 プロテクター
10、20 洗浄装置
21a 保湿材タンク
21b 分解酵素タンク
22a 保湿材
22b 分解酵素
2 洗浄液
3、23 導通路
4、24 開閉弁
5、25 ノズル
6 窒素ガス
8 封止部
9 プロテクター
10、20 洗浄装置
21a 保湿材タンク
21b 分解酵素タンク
22a 保湿材
22b 分解酵素
Claims (9)
- 細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する洗浄装置であって、
上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを含む洗浄液を密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクと、
この洗浄液タンクの洗浄液を洗浄液タンクの外部に導出可能に設けられた導通路と、
導通路に設けられ、洗浄液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁と、
導通路の先端に設けられ、洗浄液を外部に吐出可能なノズルとを備え、
上記洗浄液タンクは、洗浄液を外部へ圧送する窒素ガスにより内部が加圧されており、
上記ノズルは、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されていることを特徴とする医療用器具の洗浄装置。 - 医療用器具に付着した生物由来の有機物汚れの固着を防止して、医療用器具の洗浄を容易ならしめる洗浄装置であって、
上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材を密封貯蔵する携帯可能な保湿材タンクと、有機物汚れの分解を促進する分解酵素を密封貯蔵する携帯可能な分解酵素タンクと、
これら、保湿材タンクと分解酵素タンクとにそれぞれ設けられ、それぞれの内容液をそれぞれのタンクの外部に導出可能に設けられた各導通路と、
各導通路に設けられ、各内容液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能なそれぞれの開閉弁と、
各導通路の先端に共通に設けられ、保湿材と分解酵素とを混合した洗浄液を外部に吐出可能なノズルとを備え、
上記保湿材タンクと分解酵素タンクとは、保湿材と分解酵素とをそれぞれ圧送するとともに、上記両者を混合して洗浄液としてノズルから外部に吐出する窒素ガスによりそれぞれ内部が加圧されており、
上記ノズルは、ノズルから吐出される洗浄液を細孔内に集中して吐出可能なように、導通路の外側端部において直線的な細管形状に形成されていることを特徴とする医療用器具の洗浄装置。 - 上記ノズルは、細孔内に集中して吐出した洗浄液が、細孔の外に逆流することを防止可能なように、細孔の入り口において細孔とノズルとの間隙を塞ぐ弾性材料からなる封止部が設けられていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の医療用器具の洗浄装置。
- 上記ノズルの封止部は、概ね円錐形に形成され、この封止部の円錐面が細孔に対向するように、かつこの封止部の円錐形の中心軸にノズルの軸が概ね沿うように、ノズルの外側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の医療用器具の洗浄装置。
- 上記ノズルから吐出される洗浄液の飛沫から、上記洗浄装置を保持する手を防護する概ね板状のプロテクターを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の医療用器具の洗浄装置。
- 上記医療用器具は医療用内視鏡であり、上記細孔は、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の医療用器具の洗浄装置。
- 細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する医療用器具の洗浄方法であって、
上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材と、有機物汚れの分解を促進する分解酵素とを混合して洗浄液としたものを密封貯蔵する携帯可能な洗浄液タンクの内圧を窒素ガスで加圧し、
この洗浄液タンクの洗浄液を、洗浄液タンクの外部に導出可能に設けられた導通路と、導通路に設けられ、洗浄液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能な開閉弁と、導通路の先端に設けられ、洗浄液を外部に直線的に吐出可能な細管形状に形成されたノズルとを介して、外部に吐出して有機物汚れを洗浄することを特徴とする医療用器具の洗浄方法。 - 細孔を有する医療用器具の上記細孔内に付着した生物由来の有機物汚れを洗浄する医療用器具の洗浄方法であって、
上記有機物汚れの乾燥を防止する保湿材を密封貯蔵する保湿材タンクと、有機物汚れの分解を促進する分解酵素を密封貯蔵する分解酵素タンクのそれぞれの内圧を窒素ガスで加圧し、
これら、保湿材と分解酵素とを、保湿材タンクと分解酵素タンクのそれぞれに設けられ、それぞれの内容液をそれぞれのタンクの外部に導出可能に設けられた各導通路と、各導通路に設けられ、各内容液を外部に導出する開口姿勢と、この導出を停止する閉止姿勢との間で姿勢変更可能なそれぞれの開閉弁と、各導通路の先端に共通に設けられ、保湿材と分解酵素とを混合した洗浄液を直線的に外部に吐出可能な細管形状に形成されたノズルとを介して、外部に洗浄液として吐出して有機物汚れを洗浄することを特徴とする医療用器具の洗浄方法。 - 上記医療用器具は医療用内視鏡であり、上記細孔は、医療用内視鏡に設けられた細孔状のチャンネルであることを特徴とする請求項7または請求項8のいずれかに記載の医療用器具の洗浄方法。
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JP2005030558A JP2006212324A (ja) | 2005-02-07 | 2005-02-07 | 医療用器具の洗浄装置および洗浄方法 |
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