JP2006212172A - クッション材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 立体編物で構成され端部を縁部カバー材で縫製されたクッション材において、縁部カバー材からのモノフィラメント糸突き出しを防止し、かつ洗濯した際に縁部に水が残りにくく乾燥性に優れたクッション材を提供する。
【解決手段】 表裏編面を構成する糸と該表裏編面を連結する連結糸とから構成された立体編物を1枚もしくは複数枚、及び/又は、立体編物と他素材とを組み合わせてなるクッション材であって、その縁部がミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)突き刺し強度が2N未満のカバー材1層を含む2層以上で構成され、かつ縫製処理されているクッション材。
【選択図】 なし

Description

本発明は立体編物を使用したクッション材に関し、さらに詳しくは縁部をカバー材で縫製処理され、かつ該縁部のカバー材からの突起物の飛び出しを防止すると共に、洗濯脱水後の乾燥が早いクッション材に関する。
従来より、立体編物をクッション材として乗物用シートや家具等のシート材ならびに座布団や寝具材等に使用することは、その特異な構造から発泡ポリウレタンに変わる通気性クッション材として、考案され、実用化されてきた。
特許文献1には、同文献中で三層構造立体布と表現されている立体編物と、布、不織布等の裏打ち材と、中綿、裏布とを積層し、これらを一体的にキルトし、さらに、外周を縁部カバー材により縁縫いしたものが開示されている。この製品を夏季は立体編物が上部、即ち就寝時人体と接触する側にして使用すれば、快眠が得られるとされている。
しかしながら、このように寝具材として使用した場合、例えば、外周を縁部カバー材により縁縫いすることが記載されているとしても、その縁部カバー材の物性までは検討がなされていなかった。通常、立体編物を寝具材として使用する場合、クッション性を発揮させるために、表裏編面を構成する糸と該表裏編面を連結する連結糸には単糸繊度の大きなモノフィラメント糸の単体、モノフィラメント糸の複数本による撚糸体あるいはモノフィラメント糸とマルチフィラメントの複合体が一般に用いられている。また、モノフィラメント糸は非常に剛直性が高いために、使用時に外周縁部を突き抜けて身体部まで到達して、皮膚を刺激、極端な場合は刺し傷の原因となるため、モノフィラメント糸が突き出しにくい、突き刺し強度の高い縁部カバー材を用いる必要があった。
しかし、このような場合、モノフィラメント糸は突き出しにくいが、通水性も小さくなるため、洗濯した場合に縁部に水が残りやすく、立体編物の特徴である水切り性の良さを阻害してしまうという問題があった。
実公平06−022283号公報
本発明の課題は、寝具材、家具の座席、自動車用シートなどとして、就寝あるいは着座した時でも縁部カバー材からのモノフィラメント糸突き出しを防止し、かつ洗濯した際に縁部に水が残りにくい、乾燥性に優れたクッション材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため、縁部カバー材からのモノフィラメント糸突き出しを防止し、かつ洗濯した際に縁部に水が残りにくい、乾燥性に優れたクッション材について鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
表裏編面を構成する糸と該表裏編面を連結する連結糸とから構成され、該連結糸は単糸繊度が10〜1500dtexのモノフィラメント糸を含む立体編物を1枚もしくは複数枚、及び/又は該立体編物と他素材とを組み合わせて集合させ、その縁部をカバー材で被覆してなるクッション材であって、該カバー材がミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)突き刺し強度が2N未満のカバー材1層を含む2層以上で構成され、かつ縫製処理されていることを特徴とするクッション材。
本発明のクッション材は、寝具材、家具の座席、自動車用シートなどとして、就寝あるいは着座した時でも縁部カバー材からのモノフィラメント糸突き出しを防止し、かつ、洗濯した際に縁部に水が残りにくく、乾燥性に優れるという効果を有する。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のクッション材に供する立体編物は、表裏編地と表裏編地とこれらを連結する連結糸とから構成される。該立体編物は、2列の針列を有するダブルラッシェル機、ダブル丸編機等で編成できる。表裏編地は特に限定されるものではなく、メッシュ編地、マーギゼット編地等のように複数の開口部を有する編地を用いると、通気性が向上するので好ましい。表裏編地は同じ編組織か、異なる組織であってもよい。
立体編物の表裏編面に用いられる繊維の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系等の合成繊維やキュプラ、レーヨン等の再生セルロース繊維、ウール、木綿等の天然繊維等が挙げられる。また、繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、四つ葉型、八つ葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
立体編物の表裏編面を連結する連結糸は、繊維種類、単糸繊度、断面形状等を限定するものではないが、少なくとも単糸繊度が10〜1500dtex、好ましくは15〜1000dtexの合成繊維モノフィラメント糸単体、モノフィラメント糸の撚糸体又はモノフィラメント糸とマルチフィラメントを複合したものであることが好ましく、より好ましくは10〜1500dtexのモノフィラメント糸を少なくとも30重量%以上使用することが、立体編物の表裏編面間の空間を維持する上で好ましく、また通気性とクッション性に優れる効果がある。また、連結糸の単糸繊度が10dtex未満では、繊維の曲げ剛性が小さいため、立体編物の表裏編面間の空間を維持するのが難しく、通気性とクッション性を損なうことになる。さらに、連結糸の単糸繊度が1500dtexを超えると、曲げ剛性が大き過ぎて立体編物の製編が困難となる。
立体編物の厚みは1.5〜20mmの範囲が好ましく、厚みが1.5mm未満では、充分な通気性が得られず、また、厚みが20mmを超えると編地の生産性が悪いため、コストアップとなる。
立体編物と組み合わせる他素材としては、天然綿、合成繊維綿、またはこれらの繊維を複合した綿、ならびにこれらの繊維綿を適宜圧縮した綿やそれらの綿に合成樹脂を施して圧縮回復性を改良したもの、または、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン等の発泡体、ならびにこれらの発泡体と綿とを組み合わせたもの、または、熱可塑性樹脂や熱可塑性弾性樹脂からなる繊維が互いに不規則に交絡し、交絡により接触した接点を形成する厚さが5〜50mm程度の立体的構造体等が挙げられる。また、それらを立体編物と一体化させるために綿布や合成繊維布等を使用してもよい。
本発明者は、このように編成された立体編物を1枚もしくは複数枚、及び/又は、立体編物と他素材とを組み合わせてなるクッション材の外周を縁部カバー材で縫製処理したクッション材であって、その縁部のミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)突き刺し強度と積層数が、クッション材からのモノフィラメント糸の突き抜けと洗濯後の乾燥性に大きな相関があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明では、立体編物を1枚もしくは複数枚、及び/又は、立体編物と他素材とを組み合わせてなるクッション材の外周を縁部カバー材で縫製処理したクッション材であって、その縁部カバー材がミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)突き刺し強度が2N未満、好ましくは0.01N以上であり、かつその積層数が2層以上で構成されることが必要である。
同ミシン針の突き刺し強度が2N以上では、通水性が悪く、洗濯脱水後に縁部に水が残りやすく乾燥までに時間がかかる。洗濯脱水後の残水分率が15%未満であれば、気温20℃、湿度65%RH環境下での影干しで6時間以内に乾燥させることが可能であり、速乾性を高めるには、洗濯脱水後の残水分率が15%未満であることが好ましく、より好ましくは10%未満である。
また、同ミシン針の突き刺し強度が2N未満であっても、縁部カバー材1層では、クッション材上に就寝又は着座した時に立体編物の連結糸に使用されているモノフィラメント糸が縁部カバー材を簡単に突き抜けてきて、身体部まで到達し、皮膚を刺激、極端な場合は刺し傷の原因となる。また、同ミシン針の突き刺し強度が0.01N未満では、積層数を2層以上としてもモノフィラメント糸が突き出てしまう可能性があるため、0.01N以上の縁部カバー材を使用することが好ましい。
縁部カバー材の積層数は2層以上であることが必要であり、縫製性等を考慮すると、2〜3層程度がより好ましい。また、縁部カバー材の積層方法や組合せは、特に限定されるものではなく、同一のものを積層しても、異なるものを積層してもよいし、また、1枚のものを折りたたむことで積層体としてもよい。
縁部カバー材に使用する繊維素材は、特に限定するものではなく、合成繊維、再生セルロース繊維、天然繊維あるいはそれらを複合した繊維でもよい。また、それらの繊維の繊度も限定するものではない。
また、縁部カバー材は、織物、編物ならびにその密度を限定するものではない。また、縁部カバー材用に細幅にスリットしたものは、ストレートカット、バイアスカットを問わない。
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明に用いられる評価方法は以下の通りである。
(1)ミシン針の突き刺し強度評価方法
(イ)ミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)を島津オートグラフAG−B型(株式会社島津製作所製)のチャック部に動かないようにチャック部の上下移動方向に平行に取り付け、縁部カバー材を直径20mmのピンがついた円盤状圧縮治具に固定したのち、50mm/minの速度で突き刺し、貫通時の最大応力を求める。
(2)洗濯脱水後残水分率の評価方法
(イ)後述する評価用サンプル(サイズ2m×1m)を各水準3枚ずつ用意する。
(ロ)(イ)の評価用サンプルを重量測定した後、そのサンプルを家庭用全自動洗濯機(松下電器産業(株)製ナショナルNA−F60HP1)の所定の条件(水:水道水(常温)、水位:57L、洗剤(花王(株)製アタック):37g)及び所定のコース(洗い12分、すすぎ2回、脱水3分)で洗濯し、再び重量測定する。洗濯前の重量をW1、洗濯脱水後の重量をW2とする。
(ハ)洗濯脱水後残水分率を算出する(洗濯脱水後残水分率=(W2−W1)/W1×100)。
(ニ)上記の評価を各水準3回繰返し、その平均値を求める。
(3)モノフィラメント糸突き出し有無の評価方法
(イ)後述する評価用サンプル(サイズ40cm×40cm)を各水準3枚づつ準備する。
(ロ)(イ)の評価用サンプル1枚を事務用イスの上に乗せ、その上に着席している総時間が20時間を越えた時点で、縁部カバー材を貫通しているモノフィラメント糸の有無を観察する。
(ハ)(ロ)の評価を各水準、サンプルを変えて被験者A、B、Cの3人で実施する。尚、被験者の体重は、50〜80kgの範囲の人の中から選定し、実際には、被験者Aは58kg、被験者Bは65kg、被験者Cは74kgであった。
(ニ)総合評価は、被験者3人の内、モノフィラメント糸の突き出しが2人以上で認められた場合は「有り」、同1人以下の場合は「無し」とする。
(参考例1)
〔立体編物の製編〕
立体編物A: 6枚筬を装備した18ゲージ、釜間5.6mmのダブルラッシェル機を用い、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)から連結糸として200dtexのナイロン6モノフィラメント糸糸を供給し、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)から表編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を、編機背面に位置する二枚の筬(L5、L6)から裏編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸をL1、L4、L5ガイドに1イン1アウト、L2、L3、L6に1アウト1インの配列で供給した。打ち込み20.7コース/2.5cmに設定して、以下に示す編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。
得られた立体編物を70℃で精練後、幅出し熱セット(180℃)した。得られた立体編物の性量は、厚み4.0mm、27.0コース/2.5cm、13.0ウエール/2.5cmであった。
(編組織)

L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:6868/6464/6868/2020/6868/6464/4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L4:4242/4646/4242/810810/4242/4646/6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/4446/4442/4446/4442/4446/4442/
立体編物B: 5枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッシェル機を用い、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)から連結糸として56dtexのナイロン6モノフィラメント糸を供給し、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)から表編地用糸として、110dtex/60fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント異型断面糸(テクノファイン(登録商標)、旭化成(株)製)の仮撚加工糸を、編機背面に位置する一枚の筬(L5)から裏編地用糸として、110dtex/36fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸をそれぞれL1、L3のガイドに2イン2アウト、L2、L4のガイドに2アウト2インの配列で供給し、L5のガイドにはオールインの配列で供給した。打ち込み33.0コース/2.5cmの設定で、以下に示す編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。
得られた立体編物を70℃で精練後、幅出し熱セット(180℃)した後、さらに界面活性剤(ナイスポール(登録商標)PR−99、日華化学(株)製)2%水溶液に浸漬して吸水加工を施した。得られた立体編物の性量は、厚み3.1mm、41.0コース/2.5cm、20.0ウエール/2.5cmであった。
(編組織)
L1:2022/4644/2022/4666/81088/6466/81088/6444/
L2:81088/6466/81088/6444/2022/4644/2022/4666/
L3:2020/4646/2020/4646/810810/6464/810810/6464/
L4:810810/6464/810810/6464/2020/4646/2020/4646/
L5:2220/2224/
[縁部カバー材の構成]
PETタフタa:
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの157dtex/48fのウーリー加工糸をタテ糸とヨコ糸に使用し、密度をタテ75本/2.54cm、ヨコ60本/2.54cmになるように製織、ヒートセットして仕上げた。
PETタフタb:
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの56dtex/24fの糸をタテ糸に、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの84dtex/24fの糸をヨコ糸に使用し、密度をタテ114本/2.54cm、ヨコ82本/2.54cmになるように製織、ヒートセットして仕上げた。
[実施例1]
立体編物Aをタテ2m×ヨコ1mに裁断したものを使用して、1枚のミシン針突き刺し強度が1.74NであるPETタフタaを2層に重ねて縁部カバー材とし、その立体編物の外周を縫製した。この方法でサンプル3枚を作成し、洗濯脱水残水分率を評価した結果、10%未満であり、脱水後の水分は少なかった。
また、立体編物Aをタテ40cm×ヨコ40cmに裁断したものを使用して、PETタフタaを2層に重ねて縁部カバー材とし、その立体編物の外周を縫製した。この方法でサンプルを3枚作成し、モノフィラメント糸突き出し有無の評価方法に従って、モノフィラメント糸が縁部カバー材を貫通しているか否かを観察したが、モノフィラメント糸の貫通は観られなかった。
結果を表1にまとめて記す。
[実施例2]
立体編物として立体編物Aと立体編物Bを重ね合わせたものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、洗濯脱水残水分率を評価した結果、10%未満であり、脱水後の水分は少なかった。
また、立体編物として立体編物Aと立体編物Bを重ね合わせたものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で、モノフィラメント糸突き出し有無の評価方法に従って、モノフィラメント糸が縁部カバー材を貫通しているか否かを観察したが、モノフィラメント糸の貫通は観られなかった。
結果を表1にまとめて記す。
[比較例1]
縁部カバー材にPETタフタa1層を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、モノフィラメント糸突き出し有無の評価方法に従い、モノフィラメント糸が縁部カバー材を貫通しているか否かを観察したところ、被験者Aではモノフィラメント糸の貫通は観られなかったが、他の被験者では縁部の数箇所からモノフィラメント糸の貫通が観られた。
結果を表1にまとめて記す。
[比較例2]
縁部カバー材にPETタフタb1層を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、洗濯脱水残水分率を評価した結果、15%以上であり、脱水後に水分が多く残っていた。
結果を表1にまとめて記す。
Figure 2006212172

Claims (1)

  1. 表裏編面を構成する糸と該表裏編面を連結する連結糸とから構成され、該連結糸は単糸繊度が10〜1500dtexのモノフィラメント糸を含む立体編物を1枚もしくは複数枚、及び/又は該立体編物と他素材とを組み合わせて集合させ、その縁部をカバー材で被覆してなるクッション材であって、該カバー材がミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)突き刺し強度が2N未満のカバー材1層を含む2層以上で構成され、かつ縫製処理されていることを特徴とするクッション材。

































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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015192801A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 東洋紡Stc株式会社 下敷材

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