JP2006206918A - 光学材料用組成物、光学用材料およびその製造方法 - Google Patents

光学材料用組成物、光学用材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適正な粘度を持ち、ボイドの発生が抑制された硬化物を与える硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、及び、(D)熱可塑性樹脂を含む光学材料用組成物であって、温度23℃における当該組成物の粘度が100ポイズ以下であることを特徴とする光学材料用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用組成物、光学用材料、その製造方法およびそれを用いた発光ダイオードに関するものであり、更に詳しくは、光学的透明性が高く、強靭性を有する光学用材料用組成物、光学用材料、その製造方法およびそれを用いた発光ダイオードに関するものである。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、及び、ヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物が知られている(特許文献1参照)。
WO01−81475
我々は、上記硬化性組成物に熱可塑性樹脂を添加した組成物を硬化して得られる硬化物は強靭性が優れていることを見出した。しかし、上記強靭性が優れる硬化物はボイドの発生が多いという問題がある。強靭性改良効果を有し、かつ、ボイドの発生を抑制した硬化性樹脂組成物は見出されていない。
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、ヒドロシリル化触媒及び熱可塑性樹脂を必須成分とする光学材料用組成物を、温度23℃における粘度を10Pa・s以下とすることにより、ボイドが見られない強靭性に優れる硬化物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、及び、(D)熱可塑性樹脂を含む光学材料用組成物であって、温度23℃における当該組成物の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする光学材料用組成物(請求項1)であり、
光学材料用組成物100重量%に対する(D)熱可塑性樹脂の含量が25重量%以下であり、かつ、(D)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が50,000以上である請求項1記載の光学材料用組成物(請求項2)であり、
(D)熱可塑性樹脂が、ブチルアクリレート系重合体、ブチルメタクリレート系重合体、及び、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体から選ばれる1種または複数種の重合体である請求項1又は2記載の光学材料用組成物(請求項3)であり、
光学用材料が発光ダイオードのモールド部材である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学材料用組成物(請求項4)であり、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料用組成物を硬化させて得られることを特徴とする光学用材料(請求項5)であり、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料用組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基の一部または全部を反応させることを特徴とする、光学用材料の製造方法(請求項6)である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等の、シロキサン単位(Si−O−Si)を含む化合物以外のものが好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含む化合物の場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(A)成分は、単独で用いても良いし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系の化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
有機単量体系化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;鎖状、環状等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;これらの混合物等が挙げられる。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 2006206918
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。上記一般式(I)で示される基のうち、原料の入手の容易さから、
Figure 2006206918
で示される基が特に好ましい。
さらに、(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
Figure 2006206918
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。2つのRは同じであってもよいし異なっていてもよい。)このうち、原料の入手の容易さから、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
Figure 2006206918
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない置換基がより好ましい。上記2価以上の置換基の例としては、
Figure 2006206918
Figure 2006206918
が挙げられる。また、例示した2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
(A)成分の骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 2006206918
が挙げられる。
(A)成分の有機化合物としては、骨格部分と炭素−炭素二重結合を有する基とに分けて表現しがたい低分子量化合物も用いることができる。上記低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(A)成分の具体的な例としては、上述のほか、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、それらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 2006206918
Figure 2006206918
、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるという観点からは、(A)成分中における芳香環の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の個数は、1分子当たり少なくとも2個あればよいが、耐熱性をより向上し得るという観点から、2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましく、4個以上であることが特に好ましい。ただし(A)成分が種々の化合物の混合物であり、各化合物の上記炭素−炭素二重結合の個数が同定できない場合には、上記混合物全体に関して1分子あたりの上記炭素−炭素二重結合の平均個数を求め、それを、(A)成分の上記炭素−炭素二重結合の個数とする。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合及び良好な作業性を得るためには、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。(A)成分は、線状でも枝分かれ状でもよい。(A)成分の分子量は特に制約はないが、50〜1000の任意のものが好適に使用できる。(A)成分としては、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(A)成分としては、入手性、反応性の点から、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ジアリルフタレート、ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、耐熱性・耐光性の点からトリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
次に本発明における(B)成分について説明する。
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。なかでも、(A)成分との相溶性が良いという観点から、下記一般式(III)
Figure 2006206918
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンがより好ましい。なお、一般式(III)で表される化合物中の置換基Rは、C、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましい。
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンと、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物(以降(E)成分と称する)との反応物も好ましい。この場合、反応物の(A)成分との相溶性をさらに高めるために、反応物から未反応のシロキサン類等を脱揮等により除去したものを用いることもできる。
(E)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物であって、前記(A)成分と同じものも使用できる。
(B)成分の(A)成分に対する相溶性が高くし得るという観点からは、(E)成分の好ましい具体例として、トリアリルイソシアヌレート、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ジアリルフタレート、フタル酸のビス(2−アリルオキシエチル)エステル、スチレン、α−メチルスチレン、アリル末端ポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。(E)成分の有機化合物は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
光学特性が良好であるという観点からより好ましい(B)成分としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとビニルシクロヘキセンの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとジシクロペンタジエンの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテルの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと1,2,4−トリビニルシクロヘキサンの反応物が挙げられる。特に好ましい(B)成分としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテルの反応物、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと1,2,4−トリビニルシクロヘキサンの反応物等が挙げられる。
(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限り特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の総数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の総数(X)に対する比が、2.0≧Y/X≧0.9であることが好ましく、1.8≧Y/X≧1.0がより好ましい。Y/X>2.0の場合は、十分な硬化性が得られず、充分な強度が得られない場合があり、Y/X<0.9の場合は炭素−炭素二重結合が過剰となり着色の原因となり得る。
次に本発明における(C)成分について説明する。
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
白金化合物以外のヒドロシリル化触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記ヒドロシリル化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ光学材料用組成物のコストを比較的低く抑えるため、好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
次に本発明における(D)成分について説明する。
(D)成分である熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、硬化時のボイド抑制の観点から、ブチルアクリレート系重合体、ブチルメタクリレート系重合体、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体から選ばれる1種または複数種の重合体が好ましい。特に(A)成分にトリアリルイソシアヌレートを用いた場合、これらの(D)成分と(A)成分との相溶性が良好であり、本発明の光学材料用組成物を硬化させて得られる光学用材料の耐光性が高くなる。
好ましい(D)成分の1つであるブチルアクリレート系重合体は、アクリル酸−n−ブチル50〜100重量%好ましくは80〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%好ましくは0〜20重量%との共重合体からなる。
上記ビニル系単量体としては特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸−2−アリロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸等のアクリル酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル、アクリル酸アリル、アクリル酸−2−アリロキシエチル等のアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系化合物等が挙げられる。上記ビニル系単量体は単独で用いてもよいし、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、入手しやすさの点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸アリル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルが好ましい。
上記ブチルアクリレート系重合体の具体例としては、アクリル酸−n−ブチルの単独重合体、アクリル酸−n−ブチル85〜100重量%とアクリル酸アリル0〜15重量%の共重合体、アクリル酸−n−ブチル85〜100重量%とメタクリル酸アリル0〜15重量%の共重合体、アクリル酸−n−ブチル50〜100重量%とメタクリル酸−n−ブチル0〜50重量%の共重合体等を挙げることができる。
好ましい(D)成分の1つであるブチルメタクリレート系重合体は、メタクリル酸−n−ブチル50〜100重量%好ましくは80〜100重量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%好ましくは0〜20重量%との共重合体からなる。この場合のビニル系単量体およびその好ましい例としては、上記ブチルアクリレート系重合体の場合のビニル系単量体およびその好ましい例と同じものが挙げられる。
上記ブチルメタクリレート系重合体の具体例としては、メタクリル酸−n−ブチルの単独重合体、メタクリル酸−n−ブチル85〜100重量%とアクリル酸アリル0〜15重量%の共重合体、メタクリル酸−n−ブチル85〜100重量%とメタクリル酸アリル0〜15重量%の共重合体、メタクリル酸−n−ブチル50〜100重量%とアクリル酸−n−ブチル0〜50重量%の共重合体等を挙げることができる。
好ましい(D)成分の1つであるメチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体は、メタクリル酸メチル10〜60重量%好ましくは20〜55重量%と、アクリル酸−n−ブチル40〜90重量%好ましくは45〜80重量%の混合物50〜100重量%好ましくは80〜100重量%と、これらと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%好ましくは0〜20重量%との共重合体からなる。この場合のビニル系単量体およびその好ましい例としては、上記ブチルアクリレート系重合体の場合のビニル系単量体およびその好ましい例と同じものが挙げられる。
上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体の具体例としては、メタクリル酸メチル10〜60重量%とアクリル酸−n−ブチル40〜90重量%の共重合体、メタクリル酸メチル10〜60重量%とアクリル酸−n−ブチル40〜90重量%の混合物90〜100重量%とメタクリル酸アリル0〜10重量%の共重合体、メタクリル酸メチル10〜60重量%とアクリル酸−n−ブチル40〜90重量%の混合物90〜100重量%とアクリル酸アリル0〜10重量%の共重合体等を挙げることができる。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては、直鎖状、環状、分岐状、星型等、各種形状の重合体を用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等、いずれのタイプの共重合体でもよい。
(D)成分の各種重合体の末端構造は本発明の要件を満たす限り特に限定はなく、必要に応じ適当な官能基が導入されていてもよい。官能基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のラジカル重合性不飽和基、アリル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基あるいはハロゲン基等が挙げられる。
(D)成分の熱可塑性樹脂のガラス転位温度としては特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転位温度は粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
(D)成分の熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を側鎖に有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
(D)成分の熱可塑性樹脂の分子量としては、小量で増粘効果が達成されるという点から、重量平均分子量が50,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。また、ボイド抑制効果を達成するためには数平均分子量が50,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましく、300,000以上であることがさらに好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、成形加工性が良好である点から分子量分布が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
分子量はクロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用したGPC測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を行い、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量を求めることが出来る。分子量分布は分子量分布=(重量平均分子量)/(数平均分子量)で定義される。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、硬化時のボイド抑制の観点から、組成物全体100重量%に対して25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。また、3重量%以上が好ましい。少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと製品表面への染み出しが顕著になりやすい。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては、目的とする光の透過率が80%以上であるものが好ましい。目的とする光とは用途によって異なるが、用途が発光ダイオードの場合は発光素子から発せられる光である。熱可塑性樹脂の光の透過率は厚さ1mm相当での光の透過率であり、分光硬度計等の従来公知の方法によって測定することによって求められる。
(D)成分の熱可塑性樹脂の屈折率としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる光学材料用組成物を硬化させた硬化物の屈折率との差が±0.05以下であることが好ましい。屈折率はアッベ屈折計によって測定することによって求められる。
(D)成分の熱可塑性樹脂は、(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、(D)成分の熱可塑性樹脂を(A)成分及び/又は(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。(D)成分の熱可塑性樹脂はは均一に含有させてもよいし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。
(D)成分の熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、その平均粒子径としては、目的とする光の波長以下であることが好ましい。この場合、目的の光とは前述の通りである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、光学材料用組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては、耐光劣化性が高くなりやすいという点においては、フェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものがより好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは、上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換した基を示す。
(D)成分の熱可塑性樹脂としては、耐光劣化性が高くなりやすいという点においては、炭素−炭素二重結合の含有量が低いものが好ましい。具体的には(D)成分中の炭素−炭素二重結合の含有量が、0.01mol/g以下であるものが好ましく、0.001mol/g以下であるものがより好ましく、0.0001mol/g以下であるものがさらに好ましい。
複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(D)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
本発明の組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、耐熱性が良好であるという観点からは、組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが50℃以上となるものが好ましく、100℃以上となるものがさらに好ましく、150℃以上となるものが特に好ましい。
本発明の組成物の粘度は、硬化時のボイド抑制の点から、10Pa・s以下が好ましく5.0Pa・s以下がさらに好ましく、3.0Pa・s以下が特に好ましい。粘度は粘性率とも標記され、流体の速度の勾配に比例する接線応力の比例定数と定義される。粘度は市販のE型粘度計で測定することが可能である。本願明細書では測定温度:23℃、サンプル量:1.2mLで、各回転数(0.5,1,2.5,5,10,20,50,100rpm)での目盛り(1〜100)を読み取り、読み取った値を粘度に換算し、算術平均した値を粘度とした。
本発明の光学材料用組成物には、硬化遅延剤を配合することができる。硬化遅延剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレエート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等のトリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスホン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。硫黄含有化合物としては、単体硫黄、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
上記硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。光学特性の点からは、1−エチニル−1−シクロヘキサノールがより好ましい。
硬化遅延剤は貯蔵安定性と硬化性のバランスを確保するため、(A)成分と(B)成分の総量100重量部に対して0.1重量部〜1重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.2重量部〜0.8重量部の範囲である。
本発明においては、耐光耐久性、耐熱性及び硬化時のボイド抑制の点から、(A)成分がトリアリルイソシアヌレートであり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物であり、(C)成分が白金−ビニルシロキサン錯体であり、(D)成分が、重量平均分子量が80,000〜500,000のブチルアクリレート系重合体及び/又はブチルメタクリレート系重合体及び/又はメチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体である組成物が特に好ましい。
本発明の光学材料用組成物には、その他、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(蛍光体)
本発明の光学材料用組成物には、蛍光体を配合しても良い。これにより、発光素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、発光素子の色調と異なる色調を有する発光ダイオードを提供することができるからである。
発光ダイオードに使用される蛍光体は、主に、青色に発光する蛍光体、緑色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体の少なくともいずれか1以上の蛍光体を使用することができる。これらの蛍光体は、本発明に係る光学材料用組成物中に投入し、ほぼ均一になるまで混合する。この混合物を、発光素子の周辺部に載置する。この蛍光体は、発光素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、発光素子の光と異なる波長の光を放出する。これにより、発光素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部と、が混合して、白色を含む多色系の発光ダイオードを作製することができる。
上述のような青色に発光する蛍光体、緑色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体には、種々の蛍光体がある。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl1225:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Euなどがある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POCl:Eu,Mnなどがある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<R<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Euなどがある。
但し、緑色、青色、黄色、赤色等に発光する蛍光体は、上記の蛍光体に限定されず、種々の蛍光体を使用することができる。
本発明の光学材料用組成物には必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加すると、組成物の流動性の防止、材料の高強度化に効果がある。無機フィラーとしては光学特性を低下させない、微粒子状なものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
フィラーを添加する方法としては、例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法も挙げることができる。
本発明の光学材料用組成物には、特性を改質する目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂が好ましい。
透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂をヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
本発明の光学材料用組成物には種々の発光ダイオード特性改善のための添加剤を添加してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、石英ガラス等の酸化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような各種無機あるいは有機拡散材、ガラス、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性フィラー等を挙げることができる。
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。この様なフィラー含有樹脂部は発光面前面のモールド部材用の樹脂を型に流した後、引き続いて、フィラーを含有させた樹脂を流し発光面後方のモールド部材として形成させることができる。また、モールド部材形成後リード端子を表裏両面からテープを張り付けることによって覆い、この状態でリードフレーム全体をフィラー含有樹脂を溜めたタンク内に発光ダイオードのモールド部材の下半分を浸漬した後、引き上げて乾燥させフィラー含有樹脂部を形成させても良い。
本発明の光学材料用組成物を用いて発光ダイオードを製造することができる。この場合、発光ダイオードは本発明の光学材料用組成物によって発光素子を被覆することによって製造することができる。
上記発光素子としては特に限定されず、発光ダイオードに用いられ得る発光素子を用いることができる。例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作製したものが挙げられる。
上記基板としては特に限定されないが、例えば、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイアが好ましい。
積層される上記半導体材料としては特に限定されないが、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(InGaAlN)が好ましい。上記半導体材料は付活剤等を含んでいてもよい。
上記発光素子の構造としては特に限定されないが、例えば、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
上記発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。
上記発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては特に限定されないが、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤー等が挙げられる。銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂に充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線が好ましい。
本発明においては、垂直方向の光度が1cd以上を示す発光素子が好ましい。垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がより顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がさらに顕著である。
上記発光素子の発光出力としては特に限定されず、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がより顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がさらに顕著である。
上記発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで特に限定されないが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に本発明の効果が特に顕著である。上記発光素子は一種類を用いて単色発光させてもよいし、複数を用いて単色又は多色発光させてもよい。
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては特に限定されないが、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましい。リード端子の電気抵抗としては特に限定されないが、300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ・cm以下である。上記リード端子の材料としては特に限定されないが、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。上記リード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
本発明の発光ダイオードは、本発明の光学材料用組成物によって上記発光素子を被覆することによって製造することができる。上記被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。具体的には、上記発光素子を本発明の光学材料用組成物で直接、従来用いられる種々の方法で封止してもよいし、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂やガラスで発光素子を封止した後に、その上あるいは周囲を本発明の光学材料用組成物で被覆してもよい。また、上記発光素子を本発明の光学材料用組成物で封止した後、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等でモールディング(封止ともいう)してもよい。これらの方法によって、屈折率や比重の差を利用してレンズ効果等の種々の効果を持たせることも可能である。
封止の方法としても各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して加熱等により硬化させてもよいし、固体状あるいは高粘度液状の組成物を加熱する等して流動させ同様にパッケージ凹部等に注入してさらに加熱する等して硬化させてもよい。上記パッケージは種々の材料を用いて作製することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂等を挙げることができる。また、モールド型枠中に組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後硬化させる方法も適用することができるし、発光素子を挿入した型枠中にディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等により組成物による封止層を成形、硬化させてもよい。単に液状または流動状態とした組成物を発光素子状に滴下あるいはコーティングして硬化させてもよい。発光素子上に孔版印刷、スクリーン印刷、あるいはマスクを介して塗布すること等により硬化性樹脂を成形させて硬化させることもできる。あらかじめ板状、あるいはレンズ形状等に部分硬化あるいは硬化させた組成物を発光素子上に固定する方法によってもよい。さらには、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、発光素子上のパッシベーション膜として用いることもできる。また、パッケージ基板として用いることもできる。
被覆部分の形状も特に限定されず種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458記載の形状等が挙げられる。これらの形状は組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
本発明の発光ダイオードは、種々のタイプとすることができ、例えば、ランプタイプ、SMDタイプ、チップタイプ等いずれのタイプでもよい。SMDタイプ、チップタイプのパッケージ基板としては、種々のものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。
本発明の発光ダイオードには種々の方式が適用できる。例えば、発光素子背面に光を反射あるいは集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質あるいは液状のモールド部材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料をあらかじめ成形してから発光素子とともにモールドする方式、特開平6−244458に記載のとおりモールド部材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式等を挙げることができる。
本発明の発光ダイオードは従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、バックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
本発明の光学材料用組成物は種々の光学材料に適用可能である。本発明で言う光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中に通過させる用途に用いる材料一般を示す。
より具体的には、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶用フィルム等の液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)のモールド部材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、また発光ダイオード表示装置に使用される発光素子のモールド部材、発光ダイオードのモールド部材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、モールド部材、接着剤等である。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、モールド部材、接着剤等である。光センシング機器のレンズ用材料、モールド部材、接着剤、フィルム等である。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子のモールド部材、接着剤等である。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、モールド部材、接着剤等である。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、発光素子のモールド部材、接着剤等である。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子のモールド部材、接着剤等である。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与材、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子のモールド部材、接着剤等である。
本発明の光学材料用組成物を硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、100〜250℃がより好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。
反応時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点においてので好ましい。
反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。加水分解縮合により発生する揮発分を除きやすいという点においては、減圧状態で反応させることが好ましい。
硬化させて得られる光学用材料の形状も用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えばフィルム状、シート状、チューブ状、ロッド状、塗膜状、バルク状等の形状とすることができる。
成形する方法も従来の熱硬化性樹脂の成形方法をはじめとして種々の方法をとることができる。例えば、キャスト法、プレス法、注型法、トランスファー成形法、コーティング法、RIM法等の成形方法を適用することができる。成形型は研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を適用することができる。また、成形型との離型性を向上させるためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を適用することができる。
成形時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために組成物あるいは一部反応させた組成物を遠心、減圧等により脱泡する処理、プレス時に一旦圧力を開放する処理等を適用することもできる。
本発明の光学材料用組成物は、適正な粘度を持ち、ボイドの発生が抑制された硬化物を与えるため発光ダイオード用モールド部材として用いることが出来る。
また、本発明は、極めて高い耐湿性、耐熱性、熱衝撃性を持つ光学材料用組成物及びそれを用いた発光ダイオードを提供することができる。
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが本発明は以下により限定されるものではない。
(合成例1)
5Lのセパラブルフラスコにトルエン1.8kg、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.44kgを加え、内温が104℃になるように加熱した。そこにトリアリルイソシアヌレート200g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mL、トルエン200gの混合物を滴下した。120℃のオイルバス中で7時間加熱還流させた。1−エチニル−1−シクロヘキサノール1.7gを加えた。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去した。H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したもの(部分反応物Aと称す、SiH価:9.0mmol/g、アリル価:0.13mmol/g)であることがわかった。
(実施例1)
トリアリルイソシアヌレート9.9g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)70mg、合成例1で得られた部分反応物A13.9g、市販ブチルアクリレート重合体(Mw=430,000、総研化学製 KK−1−1)1.2g(5重量%配合)、1−エチニル−1−シクロヘキサノール70mgを攪拌、脱泡した。温度23℃における粘度は6.0Pa・sに向上し攪拌脱泡機では脱泡可能であった。このものを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間空気中で加熱を行い、無色透明のシート状硬化物を得た。得られた成形体にはボイドが見られなかった。
(実施例2)
トリアリルイソシアヌレート9.6g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)70mg、合成例1で得られた部分反応物A14.2g、市販ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体(Mw=390,000、総研化学製 KK−1−3)1.2g(5重量%配合)、1−エチニル−1−シクロヘキサノール70mgを攪拌、脱泡した。温度23℃における粘度は3.6Pa・sに向上し攪拌脱泡機では脱泡可能であった。このものを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間空気中で加熱を行い、無色透明のシート状硬化物を得た。得られた成形体はボイドの発生が見られなかった。
(比較例1)
トリアリルイソシアヌレート6.1g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)60mg、合成例1で得られた部分反応物A8.2g、市販ブチルアクリレート重合体(Mw=33,000、総研化学製MNB−1000−1)5.7g(28重量%配合)、1−エチニル−1−シクロヘキサノール54mgを攪拌、脱泡した。温度23℃における粘度は12.8Pa・sに向上したが攪拌脱泡機では脱泡困難であった。このものを、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに流し、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間空気中で加熱を行い、無色透明のシート状硬化物を得た。得られた成形体はボイドの発生が激しいものであった。
(参考例1)
実施例1で作製したシート状硬化物を適当な形状に切断し、キャンタイプ用の金属キャップに設けた光透過用窓の部分に固定する。一方で、MOCVD(有機金属気相成長)法によりサファイア基板上に形成した、SiとZnがドープされたInGaN活性層をn型とp型のAlGaNクラッド層で挟んだダブルへテロ構造の発光素子を用意する。続いて、この発光素子をキャンタイプ用の金属のステムに載置した後、p電極、n電極をそれぞれのリードにAu線でワイヤーボンディングする。これを上記のキャンタイプ用の金属キャップで気密封止する。この様にしてキャンタイプの発光ダイオードを作製することができる。
(参考例2)
洗浄したサファイヤ基板上にMOCVD(有機金属気相成長)法により、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、Siドープのn型電極が形成されn型コンタクト層となるGaN層、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、次に発光層を構成するバリア層となるGaN層、井戸層を構成するInGaN層、バリア層となるGaN層(量子井戸構造)、発光層上にMgがドープされたp型クラッド層としてAlGaN層、Mgがドープされたp型コンタクト層であるGaN層を順次積層させる。エッチングによりサファイア基板上の窒化物半導体に同一面側で、pn各コンタクト層表面を露出させる。各コンタクト層上に、スパッタリング法を用いてAlを蒸着し、正負各電極をそれぞれ形成させる。出来上がった半導体ウエハーをスクライブラインを引いた後、外力により分割させ発光素子である発光素子を形成させる。
表面に銀でメッキされた鉄入り銅から構成されるマウントリードのカップ底面上に、ダイボンド樹脂としてエポキシ樹脂組成物を利用して上記発光素子をダイボンドする。これを170℃で75分加熱しエポキシ樹脂組成物を硬化させ発光素子を固定する。次に、発光素子の正負各電極と、マウントリード及びインナーリードとをAu線によりワイヤーボンディングさせ電気的導通を取る。
実施例1と同様にして調製した硬化性組成物を砲弾型の型枠であるキャスティングケース内に注入させる。上記の発光素子がカップ内に配置されたマウントリード及びインナーリードの一部をキャスティングケース内に挿入し100℃1時間の初期硬化を行う。キャスティングケースから発光ダイオードを抜き出し、窒素雰囲気下において120℃1時間で硬化を行う。これにより砲弾型等のランプタイプの発光ダイオードを作製することができる。
(参考例3)
実施例1に記載の方法で硬化性組成物を作製する。
エッチングにより一対の銅箔パターンをガラスエポキシ樹脂上に形成させることによって、リード電極を持った基板を形成する。発光素子をエポキシ樹脂を用いてガラスエポキシ樹脂上にダイボンドする。発光素子の各電極と、各リード電極とをそれぞれAu線でワイヤボンディングし電気的導通を取る。基板上にマスク兼側壁としてとして貫通孔があいたガラスエポキシ樹脂をエポキシ樹脂により固定配置させる。この状態で真空装置内に配置させると共に発光素子が配置されたガラスエポキシ樹脂基板上に硬化性組成物をディスペンスし、貫通孔を利用したキャビティ内に硬化性組成物を充填する。この状態で、100℃1時間、さらに150℃1時間硬化させる。各発光ダイオードチップごとに分割させることでチップタイプ発光ダイオードを作製することができる。
(参考例4)
実施例1に記載の方法で硬化性組成物を作製する。
インサート成形によりPPS樹脂を用いてチップタイプ発光ダイオードのパッケージを形成させる。パッケージ内は、発光素子が配される開口部を備え、銀メッキした銅板を外部電極として配置させる。パッケージ内部で発光素子をエポキシ樹脂を用いてダイボンドして固定する。導電性ワイヤーであるAu線を発光素子の各電極とパッケージに設けられた各外部電極とにそれぞれワイヤーボンディングし電気的に接続させる。パッケージ開口部内にモールド部材として硬化性組成物を充填する。この状態で、100℃1時間、さらに150℃1時間硬化させる。この様にして、チップタイプ発光ダイオードを作製することができる。
(参考例5)
本参考例では、一対の外部電極が上面に形成されたガラスエポキシ樹脂基板と該ガラスエポキシ樹脂基板上に設けられるモールド部材との接触面を100%とし、外部電極とモールド部材との接触面を75%と特定されてなる発光ダイオードを形成する。
本参考例の発光ダイオードは、モールド部材の接触面全体において外部電極との接触面の割合を50%以上90%以下と特定すると共に、前記モールド部材に、吸湿率の低い本願発明の熱硬化性組成物を用いることにより、樹脂基板とモールド部材底面との界面の密着性が強化され、厳しい使用環境下においても高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードが得られる。
近年、表面実装型発光ダイオードの使用が広まり、電気機器の小型化、高密度化が実現されている。このような表面実装型発光ダイオードは、クリームはんだが印刷された回路基板上に搭載され、これらを一括して赤外線加熱炉であるリフロー装置を通過することにより、前記クリームはんだを溶融し実装固着させる。また、現在、環境問題から、使用するはんだは鉛が含有されていないことが好ましいとされており、このような鉛を有しないはんだの融点は非常に高く、発光ダイオードに要求される耐熱温度はさらに高まっている。
特に、発光ダイオードの場合、外部電極の表面には、載置される発光素子からの光を良好に外部へ取り出すため、光反射率の高い貴金属膜が形成されている。このような貴金属は、表面に酸化膜が形成されないため、樹脂成分との密着力が低いと考えられる。外部電極が上面に形成された樹脂基板と該樹脂基板上に設けられたモールド部材との接触面を100%とした場合において、前記外部電極と前記モールド部材との接触面が50%以上である場合、パッケージ開口部底面とモールド部材底面との密着性は乏しく、発光ダイオードに致命的機能を与える程の剥離が生じる傾向にある。
そこで、外部電極との接触性能を向上させることを目的とし、分子内に多数の水酸基を有する化学構造もしくは硬化後に水酸基を生成する化学構造を備えたエポキシ樹脂を用いることが考えられるが、エポキシ樹脂からなるモールド部材を具備する発光ダイオードを、温度環境の厳しい条件下においてリフローはんだ実装すると、モールド部材と外部電極との界面剥離が多発する傾向にある。
モールド部材の吸湿性が高い場合、外気と接しているモールド部材表面から吸湿された水分が内部の外部電極と接しているモールド部材底面まで拡散され、モールド部材と外部電極との界面に水分が介在すると考えられる。このため、外部電極とモールド部材との界面における密着性が良好な発光ダイオードであっても、前記界面に水分が介在する場合、高温にさらされることにより前記界面に存在する水分が水蒸気爆発を起こし、前記界面に剥離が生じると考えられる。これを抑制するためには、保管条件が厳しくならざるを得ない。
一方、モールド部材とパッケージとの剥離度合いは、上述の如くモールド部材と外部電極との接触面に依存するといえる。そこで、前記開口部底面において露出される外部電極の面積を可能な限り削減することで、モールド部材とパッケージとの密着性を高めることが考えられている。
しかしながら、外部電極の面積を極端に減少すると、放熱性が低下するため、出力の高い発光素子を信頼性高く載置することが困難となる。また、モールド部材との接触面において、外部電極よりも光反射率の小さい樹脂部の占有面積が大きくなると、モールド部材内部に配される発光素子の光取り出し効率が低下してしまう。また、外部電極の面積が小さくなると複数の発光素子を載置し導通を取ることは難しく、発光装置の多機能化が不可能になる。
本願発明では、耐熱性、接着性良好、及び低い吸湿性を同時に満たす硬化性組成物の硬化物であるモールド部材を用いることにより、多機能化を損なわず高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードを提供することを可能とする。
(参考例6)
本参考例で用いられるパッケージが、底面と側壁とからなる開口部を備え、前記底面の面積を100%とした場合において、底面にて露出される外部電極の占有面積が75%である以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、同様の効果が得られる。
本参考例の発光ダイオードは、モールド部材の接触面全体において外部電極との接触面の割合を50%以上90%以下と特定すると共に、前記モールド部材を、吸湿率の低い本願発明の熱硬化性組成物を用いることにより、樹脂パッケージとモールド部材底面との界面の密着性が強化され、厳しい使用環境下においても高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードが得られる。
(参考例7)
パッケージ開口部の底面において、正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出しており、さらに各外部電極においてパッケージの成形樹脂が露出されてなる少なくとも一対の樹脂露出部が設けられている以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成する。このようなパッケージは、上記樹脂露出部を設けない場合と比較して、前記開口部を封止するモールド部材とパッケージとの接合強度を強くすることが出来る。また、その一対の露出部は、各外部電極の対向する一端面に垂直な中心線の軸に対して左右対称に設けられていることが好ましく。これにより発光装置の指向特性を左右対称とすることが出来る。また、この樹脂露出部は、外部電極に切り込み等を形成してその切り込み等の内部に成形樹脂が形成されてなるものであり、これにより、外部電極と成形樹脂とを強固に固定でき、これらの剥離も防止することが出来る。
(参考例8)
本参考例では熱硬化性部材中に高融点結晶が含有されてなる半結晶性ポリマー樹脂基板上にエッチングにより一対の銅箔パターンを形成させることによって、リード電極を持った基板を形成する以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、さらに信頼性の高い発光ダイオードが得られる。
なお、本明細書において、半結晶性ポリマー樹脂とは、結晶化度が10wt%〜60wt%であるポリマー樹脂のことをいう。本参考例で用いる半結晶性ポリマー樹脂は、熱硬化性樹脂中に融点が280℃であり結晶化度が25wt%である芳香族ポリフタルアミド樹脂であり、ガラス転移温度は100℃である。このように、ガラス転移温度の低い樹脂からなるパッケージは、等方性材料であると共に吸湿率が低いため、熱応力によるモールド部材との剥離を抑制することが出来る。また、半結晶性ポリマー樹脂中に、目的に応じて種々の添加剤を含有することができる。例えば、反射性向上材料となる酸化チタン、機械的強度の向上剤となるガラス繊維、離型剤となるパラフィンワックス、難燃剤となる臭化剤を、好適に含有させることができる。
また、本参考例に限らず、少なくともモールド部材が設けられる表面を、従来から用いられている種々の洗浄方法にて洗浄した後にモールド部材を設けると、より各部材間の密着性を向上させることができる。
また、半結晶性ポリマー樹脂は、液晶ポリマーよりも本願発明の硬化性組成物との接触角が小さく(接触角69.3)表面エネルギーが大きく、濡れ性が良好である。このため、半結晶性ポリマーからなるパッケージと本願発明の硬化性組成物からなるモールド部材との密着性は良好となる。例えば、モールド樹脂を充填し硬化工程における冷却時にパッケージとモールド樹脂との界面に剥離が発生する場合があるが、半結晶性ポリマーである芳香族ポリアミドでは結晶性ポリマーと比較して界面剥離は極めて少ない。
なお、モールド部材が接して設けられる樹脂基板もしくはパッケージとなる材料の接触角を測定するためには、共和界面化学(株)接触角計CA−X150型(液体試料は純水である)を用いることができる。
(参考例9)
実施例1に記載の方法で光学材料用組成物を作製する。
参考例9の発光ダイオードは、青色系に発光する発光素子と、該発光素子が配置される底面と側壁とからなる開口部を有するパッケージと、該開口部を封止するモールド部材と、を備える。このモールド部材には、実施例1に記載の方法で作製された組成物と、(Y0.8Gd0.2Al12:CeのYAG系蛍光体と、を用いる。この実施例1の組成物と、YAG系蛍光体とを均一に混合した後、この混合物を、発光素子を配置するパッケージの開口部内に注入する。この混合物を注入した後、熱風乾燥機中で60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間加熱し硬化する。これにより白色系に発光する発光ダイオードを作製することができる。
参考例9の発光ダイオードは、青色系に発光する発光素子と、緑色から黄色に発光するYAG系蛍光体とを組み合わせて使用している。このYAG系蛍光体は、本発明に係る樹脂中に均一に混合している。YAG系蛍光体は、発光素子からの青色光により励起され、緑色から黄色に発光する。この発光素子からの青色光と、YAG系蛍光体からの緑色から黄色の光とが混合し、白色系に発光する。
参考例9の発光ダイオードは、樹脂の耐熱性、熱衝撃性が極めて優れている。このことから、熱衝撃性試験による封止樹脂の耐クラック性に優れているため、発光ダイオードの不灯などの致命的な故障を防ぐことができる。発光ダイオードの駆動試験、高温、高温高湿の保管試験において、該発光ダイオードの樹脂部分は、黄変が非常に起こりにくい。樹脂の黄変が起こりにくいことから、本発明の発光ダイオードは、光出力の低下を防止することができる。
また、表面実装型のプラスチック・パッケージは、以下の問題を有している。表面実装型のプラスチック・パッケージを吸湿させた後、リフローを行うことにより、そのリフロー時に水蒸気爆発が起きる。この水蒸気爆発により、発光素子とパッケージとの界面に、剥離が生じる。この剥離により、発光素子とパッケージとの界面に隙間が生じる。通常、発光素子とパッケージとの界面に隙間がない状態では、発光素子を通電させたとき、発光素子から発生する熱がパッケージを介して放熱される。そのため、発光素子の劣化は、ほとんど生じない。これに対し、剥離により発光素子とパッケージとの界面に隙間が生じた場合では、発光素子を通電させたとき、発光素子から発生する熱がパッケージに十分伝達されない。そのため、発光素子から発生した熱が外部に放出されにくくなる。これによって、発光素子の劣化が促進される。また、剥離によって生じた隙間に水分や不純物が侵入し、発光素子を腐食させる。また、パッケージ・クラックがパッケージ表面まで達したり、パッケージが膨れて変形したりすると、外観不良となり、商品価値が失われる。
このことから、色調の変化が起こりにくい発光ダイオードを提供することができる。
(参考例10)
パッケージの開口部内の外部電極上に、発光素子の半導体層を該半導体積層方面に挟んで設けられる一対の電極を具備する発光素子を導電部材を介して載置する以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成すると、参考例6と同様の効果が得られる。
外部電極と該外部電極上に載置された上記発光素子との界面の剥離は、該素子を覆うモールド部材の熱膨張に起因する。本参考例の如く、外部電極と該外部電極上に載置される発光素子との界面にて導通が取られている場合、前記界面の剥離は不灯につながる。しかしながら本参考例では、本発明の硬化性組成物とパッケージとを組み合わせることにより、モールド部材の熱膨張を抑制し、内部に配された発光素子と外部電極との剥離を防止することができる。
(参考例11)
前記パッケージの開口部内に露出された外部電極上に、前記発光素子と共に保護素子としてツェナーダイオードを載置した後、モールド部材を形成する以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成する。本参考例で用いられるパッケージは、開口部底面において露出される外部電極の面積は75%であり、外部電極上に複数個の素子を載置することが十分可能であると共に、本発明の硬化性組成物にて前記開口部内にモールド部材を形成することにより、前記外部電極と各素子との界面の密着性を維持することができる。これにより、発光素子と共に保護素子を載置することにより、さらに発光装置の信頼性を高めることができる。このようにして得られた発光ダイオードに、上記前処理および吸湿実験を行うと、参考例5と同様の効果が得られる。このように、本発明の発光ダイオードは、本参考例のように複数個の素子を載置しても各構成部材間に剥離が生じることなく高い信頼性を得ることができる。
(参考例12)
パッケージの開口部内に露出された外部電極上に、発光素子として前記発光素子の構成を有する青色発光LED、緑色発光LED、およびGaAs系半導体層を挟んで一対の電極が設けられてなる赤色発光LEDを載置する以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、参考例5と同様の効果が得られる。このように、複数個の発光素子を有する発光ダイオードにおいて、特にそれぞれの発光色が補色関係にある場合、少なくとも1つの発光素子の導通が切れてしまうと、発光ダイオードの発光面にて観測される発光色が大きく変化してしまう。しかしながら、本参考例では、吸湿性が少なくかつ接着性に優れた硬化性組成物からなるモールド部材と、モールド部材との密着性を高めることが可能なパッケージを組み合わせることにより、前記GaAs系発光素子の底面側に設けられた電極と前記外部電極との導通接合界面の剥離を防止することができ、光学特性および信頼性に優れた発光ダイオードが得られる。
本発明の光学材料用組成物は、適正な粘度を持ち、ボイドの発生が抑制された硬化物を与えるため発光ダイオード用モールド部材として用いることが出来る。
また、本発明は、極めて高い耐湿性、耐熱性、熱衝撃性を持つ光学材料用組成物及びそれを用いた発光ダイオードを提供することができる。

Claims (6)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、及び、(D)熱可塑性樹脂を含む光学材料用組成物であって、温度23℃における当該組成物の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする光学材料用組成物。
  2. 光学材料用組成物100重量%に対する(D)熱可塑性樹脂の含量が25重量%以下であり、かつ、(D)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が50,000以上である請求項1記載の光学材料用組成物。
  3. (D)熱可塑性樹脂が、ブチルアクリレート系重合体、ブチルメタクリレート系重合体、及び、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート系共重合体から選ばれる1種または複数種の重合体である請求項1又は2記載の光学材料用組成物。
  4. 光学用材料が発光ダイオードのモールド部材である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学材料用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料用組成物を硬化させて得られることを特徴とする光学用材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料用組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基の一部または全部を反応させることを特徴とする、光学用材料の製造方法。
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