JP2006206556A - 脳記憶機能低下症状回復剤及びその調製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 葛花乾燥物の抽出エキスからなる脳記憶機能低下症状回復剤であって、
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
により調製する。
【選択図】 なし
Description
で示されるトリテルペノイドサポニン類(特許文献1参照)、ゲニステイン、ダイゼイン、ビオカニンA、ホルムオノネチン、0−デスメチルアンゴレンシン、グリシチン及びエコールの中から選ばれる単離イソフラボノイド(特許文献2参照)、プロテアソーム活性促進作用を有する大豆由来のサポニン(特許文献3参照)、イソフラボン又はイソフラボノイド配糖体(特許文献4参照)などが知られている。
また、大豆、ムラサキツメクサ、葛、亜麻、アルファルファ、茶、ココアのような植物体からの抽出物を、イソフラボン、リグナン、サポニン、カテキン及びフェノール酸の中から選ばれた少なくとも2種の化学物質で強化された組成物を用いて片頭痛又は痴呆の患者を治療する方法(特許文献5参照)も知られている。
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
を含むことを特徴とする脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法を提供するものである。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、葛花すなわちクズの花や蕾を乾燥したものを原料として用いて得られるが、このクズは、マメ科の大形蔓性の多年草であって、東アジアや東南アジアを中心にして広く分布している。
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程。
このようにして、淡黄色の抽出液が得られるが、これは所望に応じ300メッシュ又はそれよりも細かい篩目の金網でろ過して固形物を除去したのち、次工程に付する。
このようにして、カラムから溶出してくる液を、例えばフラクションコレクターを用いて分取し、所要の画分を得る。
このようにして、所望の脳記憶機能低下症状回復剤が褐色粉末として得られる。
このようにして、本発明の脳記憶機能低下症状回復剤を投与することにより、アルコールにより誘因された痴呆又は健忘症や脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症による記憶機能低下症状を効果的に回復させることができる。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤96gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過しその10μlを高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す)で定量したところ、カッカライド43.3%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液を薄層クロマトグラフィー(以下TLCと略す)で分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約170gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgにメタノール5mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過しその10μlをHPLCで定量するとカッカライド43.1%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮したのち、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約61gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過し、その10μlをHPLCで定量したところ、カッカライド46.2%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮し、この濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約101gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過し、その10μlをHPLCで定量したところ、テクトリジン13.1%、テクトリゲニン7‐O‐キシロシルグルコサイド14.8%を含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
目的画分を約70μmで精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮し、この濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約6.1kgを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加えて溶解し、さらにメタノールを加えて、全量50mlとしたのち、ろ過して不溶分を除去した。このろ液の10μlをHPLCで定量したところ、テクトリジン11.6%、テクトリゲニン‐O‐キシロシルグリコシド12.5%を含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
ddY系6週令雄性マウスへ葛花抽出物を経口投与し、10分後に30%エタノール10ml/kgを経口投与し、さらに20分後にステップ・スルー(step−through)法による受動的回避反応を観察した。
すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、葛花抽出物は1%CMC−Naに懸濁し、対照群には溶媒を投与した。
また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、30%エタノールの代わりに精製水を経口投与した。
この結果を表1に示す。
暗室へ入るまでの潜時は、表1に示す通り正常群に比べてアルコールの投与した群では短縮する傾向が認められ、アルコールによる思考能力の低下が示唆されたが、対照群と脳記憶機能低下症状回復剤投与群との違いは認められなかった。
一方、翌日行ったテスティング・トライアルにおいては正常群では14例中13例まで5分間の観察時間中暗室へ移動しなかったが、対照群及び脳記憶機能低下症状回復剤投与群ではすべての動物が暗室へ移動した。
その潜時については対照群では正常群に比べて有意に短縮した。一方、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して用量依存的に潜時の延長が認められ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
また、テスティング・トライアルの際、個々の動物が暗室へ入るに当って脳記憶機能低下症状回復剤投与群では繰り返し逡巡(暗室へ入ろうか入るまいか迷う)の動きが観察された。
以上の結果、葛花抽出物はアルコール誘発性健忘症状の中でも記憶登録障害モデルに対して抑制する作用を示すことが分る。
ddY系6週令雄性マウスを用い、ステップ・スルー法による受動的回避反応を観察した。すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして脳記憶機能低下症状回復剤を投与後10分後に40%エタノール 4g/kg(p.o.)を投与し、さらに20分後に再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、40%エタノールの投与により筋弛緩を誘発し全く歩行不能となったマウスはデータより除外した。 葛花抽出物は1%CMC−Naに懸濁し、対照群は溶媒を投与した。
また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、40%エタノールの代わりに精製水を経口投与した。この結果を表2に示す。
各々潜時について比較すると、対照群では正常群に比べて有意に短縮したが、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して潜時の延長が見られ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
また、テスティング・トライアルの際、個々の動物が暗室へ入るにあたって、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では繰り返し逡巡(暗室へ入ろうか入るまいか迷う)の動きが観察された。
以上の結果、脳記憶機能低下症状回復剤はアルコール誘発性健忘症状の中でも記憶登録障害の改善に加えて、記憶の呼出しの障害に対しても改善する作用を示すことが分った。
ddY系6週令雄性マウスへ脳記憶機能低下症状回復剤を経口投与し、10分後にスコポラミン0.5mg/kg(i.p.)を投与し、さらに20分後にステップ・スルー法による受動的回避反応を観察した。
すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、脳記憶機能低下症状回復剤は1%CMC−Naに懸濁し、対照群は溶媒を投与した。 また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、スコポラミンの代わりに生理食塩水を投与した。この結果を表3に示す。
各々潜時について比較すると、対照群では正常群に比べて有意に短縮したが、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して潜時の延長が見られ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。
特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
以上の結果、脳記憶機能低下症状回復剤はスコポラミン誘発性健忘症状に対しても改善する作用を示すことが分った。
Claims (17)
- 葛花乾燥物の抽出エキスからなる脳記憶機能低下症状回復剤。
- 葛花乾燥物がプエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)又はプエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)に由来する葛花乾燥物である請求項1記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- 抽出エキスが水及び低級アルコールの中から選ばれた少なくとも1種の溶剤による抽出エキスである請求項1又は2記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- 低級アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールの中から選ばれた少なくとも1種である請求項3記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- イソフラボノイド、トリテルペノイドサポニン及びそれらの配糖体の中から選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- イソフラボノイドがイリソリドン、バイオカニンA、ゲニステイン、グリシテイン又はテクトリゲニン及びそれらの配糖体である請求項5記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- トリテルペノイドサポニンがカッカサポニンI、ソヤサポニンI、カイカサポニンIII又はそれらのアグリコンである請求項5記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
- (イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
を含むことを特徴とする脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。 - (イ)工程における溶剤が水及び低級アルコールの中から選ばれた少なくとも1種である請求項8記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
- (イ)工程を葛花乾燥物に対し10〜50倍体積量の溶剤を用い、抽出温度60〜95℃、抽出時間1〜2時間で行う請求項8又は9記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
- (ロ)工程をスチレン−ジビニルベンゼン共重合体系吸着剤、ポリスチレン系イオン交換体、トリフェニルメチルメタクリレート系吸着剤又はシリル化シリカゲル系逆相分離剤を充填したカラムを用いて行う請求項8ないし10のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
- (ロ)工程を溶出剤としてエタノール又は濃度70%以上のエタノール水溶液を用いて行う請求項8ないし11のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
- (ニ)工程を減圧濃縮後、噴霧又は凍結乾燥することによって行う請求項8ないし12のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
- 葛花乾燥物の抽出エキスと経口用賦形剤からなる経口用製剤。
- 液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤又は丸剤の剤形を有する請求項14記載の経口用製剤。
- アルコールにより誘因される痴呆又は健忘症状を回復させるための請求項14又は15記載の経口用製剤。
- 脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症状を回復させるための請求項14又は15記載の経口用製剤。
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JP2005024620A JP2006206556A (ja) | 2005-01-31 | 2005-01-31 | 脳記憶機能低下症状回復剤及びその調製方法 |
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KR101556849B1 (ko) | 2014-04-25 | 2015-10-02 | 경희대학교 산학협력단 | 소야사포닌-i을 포함하는 신경줄기세포 또는 신경전구세포의 분화 또는 증식 촉진용 조성물 |
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