JP2006206556A - 脳記憶機能低下症状回復剤及びその調製方法 - Google Patents

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稔弘 野原
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律 山崎
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Abstract

【課題】 老化、ストレス、飲酒などに起因するヒトの脳記憶機能低下症状を効果的に回復させるための、容易に経口接取し得る治療剤を提供する。
【解決手段】 葛花乾燥物の抽出エキスからなる脳記憶機能低下症状回復剤であって、
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
により調製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、記憶学習能力を高めることにより、老化、ストレス、飲酒に起因する健忘症、脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症のような脳記憶機能低下現象の進行を抑制し、あるいは回復するための葛花抽出物からなる脳記憶機能低下回復剤及びその調製方法に関するものである。
近年、高齢化が進むとともに老人性痴呆症患者が増加する傾向にあり、その予防及び治療についての対策の必要性が高まってきている。また、ストレスや飲酒に起因する急性的又は慢性的記憶低下障害についても、これを防止し、回復させることは、生体の生理的、心理的疾患の発生を防止する上で非常に重要なことである。
このため、これまでに、うつ病、更年期障害、老人性痴呆、アルツハイマーなどの症状を予防、治療するための種々の薬剤が提案されている。これらの薬剤は、主として、サポニン系、イソフラボン又はイソフラボノイド系のものであり、例えば一般式
Figure 2006206556
(式中のRはオレアノール酸配糖体の糖鎖)
で示されるトリテルペノイドサポニン類(特許文献1参照)、ゲニステイン、ダイゼイン、ビオカニンA、ホルムオノネチン、0−デスメチルアンゴレンシン、グリシチン及びエコールの中から選ばれる単離イソフラボノイド(特許文献2参照)、プロテアソーム活性促進作用を有する大豆由来のサポニン(特許文献3参照)、イソフラボン又はイソフラボノイド配糖体(特許文献4参照)などが知られている。
また、大豆、ムラサキツメクサ、葛、亜麻、アルファルファ、茶、ココアのような植物体からの抽出物を、イソフラボン、リグナン、サポニン、カテキン及びフェノール酸の中から選ばれた少なくとも2種の化学物質で強化された組成物を用いて片頭痛又は痴呆の患者を治療する方法(特許文献5参照)も知られている。
他方、葛花(Puerariae flos)は、マメ科のクズ(Pueraria thumbergiana Benth)花部を乾燥した生薬で、以前から消酒を目的とした漢方薬として用いられている。そして、この葛花抽出物がマウス血中のアルコール、アセトアルデヒド、ケトンの濃度を低下させること(非特許文献1参照)、ヒト血中のアセトアルデヒドの消失を促進すること(非特許文献2参照)が報告されている。
しかしながら、この葛花については、同じクズ由来の生薬葛根とは異なり、その有効成分を効率よく分離するための適切な手段や、ヒトに経口摂取させるための適切な手段が見出されなかったため、その成分の薬理作用の系統的な研究は行われておらず、上記以外のヒトに対する生理作用、特に中枢作用については、これまで知られていなかった。
特開平9−100295号公報(特許請求の範囲その他) 特表2001−511117号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−179592号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−113117号公報(特許請求の範囲その他) 特開平11−221048号公報(特許請求の範囲その他) 「薬学雑誌」、日本薬学会、1989年、第109巻、p.424 「日本薬学会第121年会講演要旨集」、2001年、p.
本発明は、老化、ストレス、飲酒などに起因するヒトの脳記憶機能低下症状を効果的に回復させるための、容易に経口接取し得る治療剤を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、クズの花及び蕾(以下葛花という)に含まれる成分の、ヒトの中枢器官に対する作用について種々研究を重ねた結果、葛花の乾燥物を水又は低級アルコール類あるいはこれらの混合物で抽出したエキスを経口的に投与した場合、ヒトの老化、ストレス、飲酒などに起因する脳記憶機能低下症状を効果的に回復し得ること、及びこの回復効果は、葛根のようなクズの他の部分の抽出エキスよりも高いことを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、葛花乾燥物の抽出エキスからなる脳記憶機能低下回復剤、及び
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
を含むことを特徴とする脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法を提供するものである。
次に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、葛花すなわちクズの花や蕾を乾燥したものを原料として用いて得られるが、このクズは、マメ科の大形蔓性の多年草であって、東アジアや東南アジアを中心にして広く分布している。
本発明の原料としては、クズの中のどのような種のものを用いてもよく、制限はないが、特にプエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)又はプエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)が好適である。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、このクズの花又は蕾を乾燥したのち、これを抽出した抽出エキスからなっている。この抽出の際に用いる溶剤としては水のみでもよいが、薬理作用の大きい抽出エキスを得るには低級アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの単独又はこれと水との混合物、特に濃度70%以上のエタノール水溶液を用いるのがよい。
この抽出エキスは、所望ならばその溶液状のものをそのまま用いることができるが、抽出エキスを濃縮、乾燥して白色粉末状にしたものが、製剤しやすい点で好ましい。
このようにして得られる葛花には、イリソリドン、バイオカニンA、ゲニステイン、グリシテイン、テクトリゲニンのようなイソフラボノイド又はその配糖体や、カッカサポニンI、ソヤサポニンI、カイカサポニンIIIのようなトリテルペノイドサポニン又はそのアグリコンなどの活性物質が含まれている。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、原料の葛花乾燥物から、以下に示す(イ)〜(ニ)の工程を経て調製することができる。
(イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
(ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
(ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
(ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程。
上記の(イ)工程における溶剤としては、水又は低級アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールが用いられる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
好ましい溶剤は、水単独又はエタノール濃度30%以下の水とエタノールとの混合物である。この(イ)工程は、葛花乾燥物の質量に対して10〜50倍量の溶剤を加え、温度60〜95℃に加熱しながら1〜2時間抽出処理することによって行われる。
このようにして、淡黄色の抽出液が得られるが、これは所望に応じ300メッシュ又はそれよりも細かい篩目の金網でろ過して固形物を除去したのち、次工程に付する。
次に(ロ)工程は、クロマトグラフィーにより分画して活性成分を含む画分を得る工程である。この場合、前工程で得た抽出液をそのまま処理してもよいが、多量の抽出溶剤を用いた場合は、所望により1/2〜1/10の量になるまで濃縮したのち処理することもできる。
このクロマトグラフィーによる画分は通常の分画クロマトグラフィーの場合と同様に、充てん剤を詰めたカラムに抽出液を通したのち、溶離液を通して展開し、溶出することによって行うことができる。
この際、充てん剤としては、通常の全多孔性アルミナ、全多孔性シリカゲル保持体、表面多孔性シリカゲル保持体などの吸着用又は逆相分離用充てん剤、イオン交換体も用いることができるが、特に分取クロマトグラフィー用充てん剤として調製された吸着用、逆相用又は分配用充てん剤が好適である。
このようなものとしては、例えば関東化学社試薬事業本部から商品名「Li Chroprep Si40」として市販されている全多孔性シリカゲル、商品名「Li Chroprep RP−8」として市販されている逆相用全多孔性化学結合型シリカゲル、商品名「Li Chroprep D10L」として市販されている分配用全多孔性化学結合型シリカゲル、日本ウォーターズリミテッド社から商品名「PREP−PAKSilica」として市販されている吸着用全多孔性シリカゲル、ローム・アンド・ハース社から商品名「アンバーライトXAD16HP」として市販されている吸着分離体、三菱化学社より商品名「ダイヤイオンHP20」として市販されている吸着分離体、和光純薬社から商品名「Wakogel 100C18」として市販されているオクタデシルシリル化シリカゲルのようなシリル化シリカゲル系逆相分離剤やスチレン−ジビニルベンゼン共重合体系吸着剤、ポリスチレン系イオン交換体、トリフェニルメチルメタクリレート系吸着剤などが好適である。
(ロ)工程は、これらの充てん剤を詰めたカラムに、(イ)工程で得た抽出液又はその濃縮液を通して、活性物質を充てん剤に吸着させたのち、展開させ、溶出させる。この際の移動相すなわち展開及び溶出させるための溶剤としては、エタノール単独又は濃度70%以上のエタノール水溶液が好ましい。この際の移動相流速としては、50〜500ml/分の範囲内が選ばれる。
このようにして、カラムから溶出してくる液を、例えばフラクションコレクターを用いて分取し、所要の画分を得る。
次いで、(ハ)工程において、このようにして得た画分について、脳記憶機能低下に対する回復効果の試験を行い、効果を示す画分を回収する。
(ニ)工程においては、このようにして回収した活性を示す画分から、必要に応じろ過又は遠心分離して不溶分を除去したのち、減圧下で濃縮し、その濃縮液を噴霧乾燥する。この際の濃縮は、噴霧乾燥を容易にするために行うのであるから、場合によっては省略することもできる。また、噴霧乾燥の代りに凍結乾燥することもできる。
このようにして、所望の脳記憶機能低下症状回復剤が褐色粉末として得られる。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、これに経口用賦形剤を配合し、常法に従って調製することにより、経口用製剤とすることができる。この製剤の剤形としては、液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、丸剤などがある。
この際に用いる賦形剤としては、例えばヨウ化ナトリウム、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、タルク、ホウ酸などの無機系賦形剤、ブドウ糖、乳糖、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、塩化ベンザルコニウム、シロップ、レモン油、ユーカリ油、エタノールなどの有機系賦形剤を挙げることができる。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、体重1kg当り10〜500mgを1日2〜3回に分けて投与するが、この投与量は症状の軽重に応じて適宜増減することが必要である。
このようにして、本発明の脳記憶機能低下症状回復剤を投与することにより、アルコールにより誘因された痴呆又は健忘症や脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症による記憶機能低下症状を効果的に回復させることができる。
本発明によれば、これまで適切な経口投与手段がなく、また中枢作用に対する影響が知られていなかったため利用されていなかった葛花を原料として、従来のクズ由来の漢方薬に匹敵もしくは優れた治療効果を有する記憶機能低下患者のための治療薬が提供される。
次に、実施例により、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
乾燥した葛花(Pueraria lobata Ohwi)3kgに水60リットルを加え、90℃で1時間かき混ぜながら抽出した後、金網を通してろ過し、さらに高速遠心分離して抽出液を調製した。予めエタノール、次いで水を用いてステンレス鋼管に充てんした吸着樹脂(ローム・アンド・ハース社製、商品名「アンバーライトXAD16HP」)に負荷させて目的物質を吸着させ、水洗後、エタノールで目的物質を溶離した。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤96gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過しその10μlを高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す)で定量したところ、カッカライド43.3%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液を薄層クロマトグラフィー(以下TLCと略す)で分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
乾燥した葛花(Pueraria lobata Ohwi)3kgに20%エタノール60リットルを加え、85℃で1時間かき混ぜながら抽出した後、金網を通してろ過し、さらに高速遠心分離して抽出液を調製した。予めアルコール、次いで水でステンレス鋼管に充てんした吸着樹脂(三菱化学社製、商品名「ダイヤイオンHP20」)に負荷させて目的物質を吸着させ、水洗後、エタノールで目的物質を溶離した。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約170gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgにメタノール5mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過しその10μlをHPLCで定量するとカッカライド43.1%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
乾燥した葛花(Pueraria lobata Ohwi)2kgに10%エタノール40リットルを加え、90℃で1時間かき混ぜながら抽出した後、金網を通してろ過し、さらに高速遠心分離して抽出液を調製した。次に、この抽出液を予めエタノール、次いで10%エタノールでステンレス鋼管に充てんしたオクタデシルシリル化シリカゲルに負荷させて目的物質を吸着させ、80%エタノールで目的物質を溶離した。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮したのち、当該濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約61gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過し、その10μlをHPLCで定量したところ、カッカライド46.2%含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
乾燥した葛花(Pueraria thunbergiana Benth)2kgに10%エタノール40リットルを加え、90℃で2時間かき混ぜながら抽出した後、金網を通してろ過し、さらに高速遠心分離して抽出液を調製した。この抽出液を予めエタノール、次いで水でステンレス鋼管に充てんした実施例1で用いたのと同じ吸着樹脂に負荷させて目的物質を吸着させ、エタノールで目的物質を溶離した。
目的画分を約70μmの間隔で精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮し、この濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約101gを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加え溶解し、さらにメタノールを加え50mlとした溶液をろ過し、その10μlをHPLCで定量したところ、テクトリジン13.1%、テクトリゲニン7‐O‐キシロシルグルコサイド14.8%を含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
乾燥した葛花(Pueraria thunbergiana Benth)150kgに20倍量の熱湯を加え、95℃で2時間かき混ぜながら抽出した後、金網を通してろ過し、抽出液を濃縮し、その濃縮物を噴霧乾燥することにより、約40kgの乾燥エキスを得た。次いで、このエキス末40kgを7倍量の温湯で再溶解し、不溶部を高速遠心分離で除き、先ずエタノール、次いで水でステンレス鋼管に充てんした実施例2で用いたのと同じ吸着樹脂に負荷させて目的物質を吸着させ、水洗後、薄めたエタノール約600リットルで目的物質を溶離した。
目的画分を約70μmで精ろ過した後、減圧下で約1/3量まで濃縮し、この濃縮液を噴霧乾燥することにより、脳記憶機能低下症状回復剤約6.1kgを褐色粉末として回収した。
この物質50mgに水25mlを加えて溶解し、さらにメタノールを加えて、全量50mlとしたのち、ろ過して不溶分を除去した。このろ液の10μlをHPLCで定量したところ、テクトリジン11.6%、テクトリゲニン‐O‐キシロシルグリコシド12.5%を含有することが確認された。
また、このメタノール抽出液をTLCで分析したところ、トリテルペノイドサポニンのスポットが確認された。
実施例1で回収した脳記憶機能低下症状回復剤を用いて、アルコール誘発性記憶登録障害に対する回復効果を以下のとおり試験した。
ddY系6週令雄性マウスへ葛花抽出物を経口投与し、10分後に30%エタノール10ml/kgを経口投与し、さらに20分後にステップ・スルー(step−through)法による受動的回避反応を観察した。
すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、葛花抽出物は1%CMC−Naに懸濁し、対照群には溶媒を投与した。
また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、30%エタノールの代わりに精製水を経口投与した。
この結果を表1に示す。
Figure 2006206556
ラーニング・トライアルとして初日に明室へ入れたマウスは試行錯誤の末すべて3分以内に暗室へ入り電気ショックを経験した。
暗室へ入るまでの潜時は、表1に示す通り正常群に比べてアルコールの投与した群では短縮する傾向が認められ、アルコールによる思考能力の低下が示唆されたが、対照群と脳記憶機能低下症状回復剤投与群との違いは認められなかった。
一方、翌日行ったテスティング・トライアルにおいては正常群では14例中13例まで5分間の観察時間中暗室へ移動しなかったが、対照群及び脳記憶機能低下症状回復剤投与群ではすべての動物が暗室へ移動した。
その潜時については対照群では正常群に比べて有意に短縮した。一方、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して用量依存的に潜時の延長が認められ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
また、テスティング・トライアルの際、個々の動物が暗室へ入るに当って脳記憶機能低下症状回復剤投与群では繰り返し逡巡(暗室へ入ろうか入るまいか迷う)の動きが観察された。
以上の結果、葛花抽出物はアルコール誘発性健忘症状の中でも記憶登録障害モデルに対して抑制する作用を示すことが分る。
次のようにして、実施例1で回収した脳記憶機能低下症状回復剤のアルコール誘発性記憶呼出障害に対する効果を試験した。
ddY系6週令雄性マウスを用い、ステップ・スルー法による受動的回避反応を観察した。すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして脳記憶機能低下症状回復剤を投与後10分後に40%エタノール 4g/kg(p.o.)を投与し、さらに20分後に再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、40%エタノールの投与により筋弛緩を誘発し全く歩行不能となったマウスはデータより除外した。 葛花抽出物は1%CMC−Naに懸濁し、対照群は溶媒を投与した。
また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、40%エタノールの代わりに精製水を経口投与した。この結果を表2に示す。
Figure 2006206556
ラーニング・トライアルとして初日に明室へ入れたマウスは試行錯誤の末すべて3分以内に暗室へ入り電気ショックを経験した。翌日行ったテスティング・トライアルにおいては正常群では14例中13例まで5分間の観察時間中暗室へ移動しなかったが、対照群では筋弛緩により歩行不能となった動物を除き、すべての動物が暗室へ移動したのに対して、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では暗室へ移動しない動物が125〜500mg/kg投与群においてそれぞれ1例ずつ認められた。
各々潜時について比較すると、対照群では正常群に比べて有意に短縮したが、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して潜時の延長が見られ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
また、テスティング・トライアルの際、個々の動物が暗室へ入るにあたって、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では繰り返し逡巡(暗室へ入ろうか入るまいか迷う)の動きが観察された。
以上の結果、脳記憶機能低下症状回復剤はアルコール誘発性健忘症状の中でも記憶登録障害の改善に加えて、記憶の呼出しの障害に対しても改善する作用を示すことが分った。
実施例1で回収した脳記憶機能低下症状回復剤を用いて、スコポラミン誘発性健忘症状に対する効果を試験した。
ddY系6週令雄性マウスへ脳記憶機能低下症状回復剤を経口投与し、10分後にスコポラミン0.5mg/kg(i.p.)を投与し、さらに20分後にステップ・スルー法による受動的回避反応を観察した。
すなわち、ラーニング・トライアルとして等容積の明室及び暗室よりなるオープンフィールドのうち明室領域へマウスを3分間入れ、マウスが暗室へ入るまでの時間を測定するとともに、尾部が完全に暗室へ入った時点で0.4mAの電気刺激を与えた。
翌日、テスティング・トライアルとして再びマウスを明室内へ5分間入れ、暗室へ入るまでの時間(潜時)を測定した。
なお、脳記憶機能低下症状回復剤は1%CMC−Naに懸濁し、対照群は溶媒を投与した。 また、正常群は被検薬物の代わりに溶媒を、スコポラミンの代わりに生理食塩水を投与した。この結果を表3に示す。
Figure 2006206556
ラーニング・トライアルとして初日に明室へ入れたマウスは試行錯誤の末すべて3分以内に暗室へ入り電気ショックを経験した。翌日行ったテスティング・トライアルにおいては正常群では13例中11例まで5分間の観察時間中暗室へ移動しなかったが、対照群では13例中12例までが暗室へ移動したのに対して、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では暗室へ移動しない動物が125及び250mg/kg投与群で13例中3例、500mg/kg投与群では12例中6例ほどそれぞれ認められた。
各々潜時について比較すると、対照群では正常群に比べて有意に短縮したが、脳記憶機能低下症状回復剤投与群では対照群と比較して潜時の延長が見られ、正常群の値へと回復する傾向がみられた。
特に500mg/kg投与群では対照群に比べて有意な延長が認められた。
以上の結果、脳記憶機能低下症状回復剤はスコポラミン誘発性健忘症状に対しても改善する作用を示すことが分った。
本発明の脳記憶機能低下症状回復剤は、老化、ストレス、飲酒に起因する健忘症患者や脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症患者の治療薬として有用である。

Claims (17)

  1. 葛花乾燥物の抽出エキスからなる脳記憶機能低下症状回復剤。
  2. 葛花乾燥物がプエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)又はプエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)に由来する葛花乾燥物である請求項1記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  3. 抽出エキスが水及び低級アルコールの中から選ばれた少なくとも1種の溶剤による抽出エキスである請求項1又は2記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  4. 低級アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールの中から選ばれた少なくとも1種である請求項3記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  5. イソフラボノイド、トリテルペノイドサポニン及びそれらの配糖体の中から選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  6. イソフラボノイドがイリソリドン、バイオカニンA、ゲニステイン、グリシテイン又はテクトリゲニン及びそれらの配糖体である請求項5記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  7. トリテルペノイドサポニンがカッカサポニンI、ソヤサポニンI、カイカサポニンIII又はそれらのアグリコンである請求項5記載の脳記憶機能低下症状回復剤。
  8. (イ)葛花乾燥物を水と低級アルコールのいずれか一方又は両方からなる溶剤で抽出する工程、
    (ロ)この抽出液又はその濃縮液をカラムクロマトグラフィーにより分画する工程、
    (ハ)脳記憶機能低下症状回復作用を有する画分を回収する工程、及び
    (ニ)この回収した画分を濃縮乾燥する工程
    を含むことを特徴とする脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  9. (イ)工程における溶剤が水及び低級アルコールの中から選ばれた少なくとも1種である請求項8記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  10. (イ)工程を葛花乾燥物に対し10〜50倍体積量の溶剤を用い、抽出温度60〜95℃、抽出時間1〜2時間で行う請求項8又は9記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  11. (ロ)工程をスチレン−ジビニルベンゼン共重合体系吸着剤、ポリスチレン系イオン交換体、トリフェニルメチルメタクリレート系吸着剤又はシリル化シリカゲル系逆相分離剤を充填したカラムを用いて行う請求項8ないし10のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  12. (ロ)工程を溶出剤としてエタノール又は濃度70%以上のエタノール水溶液を用いて行う請求項8ないし11のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  13. (ニ)工程を減圧濃縮後、噴霧又は凍結乾燥することによって行う請求項8ないし12のいずれかに記載の脳記憶機能低下症状回復剤の調製方法。
  14. 葛花乾燥物の抽出エキスと経口用賦形剤からなる経口用製剤。
  15. 液剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、カプセル剤又は丸剤の剤形を有する請求項14記載の経口用製剤。
  16. アルコールにより誘因される痴呆又は健忘症状を回復させるための請求項14又は15記載の経口用製剤。
  17. 脳血管性又はアルツハイマー型痴呆症状を回復させるための請求項14又は15記載の経口用製剤。
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