JP2006205304A - 研削方法及び研削装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カップ形砥石車とワークとの接触位置を変えて、カップ形砥石車の研削作用面の一部分のみが摩耗するのを防止することができる研削方法などを提供する。
【解決手段】環状の研削作用面を有するカップ形砥石車Tと円筒状をしたワークWとを、これらの軸線が互いに直交するようにそれぞれ配置して、カップ形砥石車T及びワークWを軸線中心に回転させるとともに、研削作用面とワークW外周面とを接触させることにより、ワークW外周面を研削加工する。そして、カップ形砥石車Tの研削作用面がワークW外周面に接触した状態で、ワークWを予め設定された回数回転させる毎に、カップ形砥石車TとワークWとを、カップ形砥石車Tの軸線及びワークW軸線の双方と直交する方向に相対移動させて、研削作用面がワークW外周面と接触する位置を変える。
【選択図】図11

Description

本発明は、環状の研削作用面を有するカップ形砥石車の当該研削作用面により、円筒状をしたワークの外周面を研削加工する研削方法及び研削装置に関する。
円筒状をしたワークの一例として、例えば、図13に示すように、外周面に形成されたブレード(突起部)Waと、両端面に開口した貫通穴Wbとを備え、ロータリコンプレッサに設けられて所定の流体を圧縮するピストンWが挙げられる。尚、図13(a)は、ワークの一例を示した平面図であり、図13(b)は、図13(a)における矢示方向の側面図である。
このようなピストンW外周面の研削加工は、従来、環状の研削作用面を有するカップ形砥石車とピストンWとを、これらの軸線が互いに直交するようにそれぞれ配置して、カップ形砥石車及びピストンWを軸線中心に回転させるとともに、前記研削作用面とピストンW外周面とを接触させることにより行っていた。尚、ピストンWについては、ブレードWaがカップ形砥石車と干渉しないように正逆に回転させる。
しかしながら、この研削方法では、カップ形砥石車の研削作用面とピストンW外周面との接触部が線接触であり、研削作用面の当該接触部のみが摩耗するため、砥石寿命が短いという問題があった。
そこで、2001−47344号公報に開示されているように、カップ形砥石車及びピストンWをそれぞれ軸線中心に回転させつつ、カップ形砥石車をピストンWに対し、カップ形砥石車の軸線及びピストンW軸線の双方と直交する方向に相対的に往復移動させて、前記研削作用面とピストンW外周面とが接触する位置を随時変化させる研削方法が提案されている。尚、ピストンWについては、前述の研削方法と同様に、ブレードWaがカップ形砥石車と干渉しないように正逆に回転せしめられる。
このような研削方法によれば、研削作用面の全面がピストンW外周面と接触して当該研削作用面が略均等に摩耗するので、前述の研削方法に比べて砥石寿命が長くなる。
特開2001−47344号公報
ところが、上述の2001−47344号公報に開示された研削方法では、ピストンWの回転が完了しても、ピストンWとカップ形砥石車との相対的な往復移動がまだ完了していないといったことを生じるため、サイクルタイムが長くなるという問題があった。また、このような問題を防止するためには、カップ形砥石車とピストンWとの相対的な往復移動と、ピストンWの回転とを同期させれば良いが、同期させるようにすると、これらの動作を制御するのが複雑になる。
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、サイクルタイムが長くなるといった問題を生じることなく、また、複雑な制御などを行わなくても簡単な操作で、カップ形砥石車とワークとの接触位置を変えて、カップ形砥石車の研削作用面の一部分のみが摩耗するのを防止することができる研削方法及び研削装置の提供をその目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、
環状の研削作用面を有するカップ形砥石車と円筒状をしたワークとを、これらの軸線が互いに直交するようにそれぞれ配置して、該カップ形砥石車及びワークを軸線中心に回転させるとともに、前記研削作用面とワーク外周面とを接触させることにより、該ワーク外周面を研削加工する方法であって、
前記カップ形砥石車の研削作用面が前記ワーク外周面に接触した状態で、該ワークを予め設定された回数回転させる毎に、前記カップ形砥石車とワークとを、該カップ形砥石車の軸線及びワーク軸線の双方と直交する方向に相対移動させて、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるようにしたことを特徴とする研削方法に係る。
そして、この研削方法は、以下の研削装置によってこれを好適に実施することができる。即ち、この研削装置は、
円筒状をしたワークの外周面を研削加工する装置であって、
前記ワークを保持するワーク保持手段と、
前記ワーク保持手段によって保持されたワークをその軸線中心に回転させる第1回転駆動機構と、
環状の研削作用面を有し、軸線が前記ワークの軸線と直交するように配置されるカップ形砥石車と、
前記カップ形砥石車をその軸線中心に回転自在に支持する砥石車支持手段と、
前記カップ形砥石車を軸線中心に回転させる第2回転駆動機構と、
前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを、前記カップ形砥石車の軸線と平行な第1軸方向、並びに該第1軸及びワーク軸線の双方と直交する第2軸方向に相対移動させる送り機構と、
前記各回転駆動機構を駆動して前記ワーク及びカップ形砥石車を回転させるとともに、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第1軸方向に相対移動させ、前記カップ形砥石車の研削作用面とワーク外周面とを接触させる制御手段とを備えてなり、
前記制御手段は、前記カップ形砥石車の研削作用面が前記ワーク外周面に接触した状態で、該ワークを予め設定された回数回転させる毎に、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第2軸方向に相対移動させ、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるように構成されてなることを特徴とする研削装置に係る。
この研削装置によれば、制御手段により、各回転駆動機構が駆動されてワーク及びカップ形砥石車が軸線中心に回転せしめられるとともに、送り機構が駆動されて、カップ形砥石車の研削作用面とワーク外周面とが接触するように、ワーク保持手段と砥石車支持手段とが第1軸方向に相対移動せしめられると、カップ形砥石車の研削作用面によってワークの外周面が研削加工される。
そして、このような研削加工中においては、研削作用面がワーク外周面に接触した状態で当該ワークが所定回数回転する毎に、制御手段により送り機構が駆動されてワーク保持手段と砥石車支持手段とが第2軸方向に相対移動せしめられ、研削作用面がワーク外周面と接触する位置が変えられる。
斯くして、本発明に係る研削方法及び研削装置によれば、ワークを所定回数回転させる毎に、カップ形砥石車とワークとを第2軸方向に相対移動させて研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えることで、サイクルタイムが長くなるといった問題を生じることなく、また、複雑な制御などを行わなくても簡単な操作で、研削作用面とワーク外周面との接触位置を変えることができる。そして、このようにして接触位置を変えることで、カップ形砥石車の研削作用面の一部分のみが摩耗するのを防止して、当該研削作用面を略均等に摩耗させることができ、砥石寿命を長くすることができる。
尚、上記研削方法及び研削装置では、1個のワークについての研削加工中に、当該ワークを所定回数回転させる毎にカップ形砥石車とワークとを第2軸方向に相対移動させたが、複数のワークを順次研削加工していくときにおいて、ワークを所定個数研削加工する毎にカップ形砥石車とワークとを第2軸方向に相対移動させても良い。
また、前記ワークは、完全な円筒形に限られるものではなく、外周面に突起部を備えたものであって良い。
以上のように、本発明に係る研削方法及び研削装置によれば、従来のように、サイクルタイムが長くなるといった問題を生じることなく、また、複雑な制御などを行わなくても簡単な操作で、カップ形砥石車とワーク外周面との接触位置を変えて研削作用面の一部分のみが摩耗するのを防止し、砥石寿命を長くすることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係る研削装置の概略構成を示した平面図であり、図2は、図1における矢示A方向の側面図であり、図3は、図1における矢示B−B方向の断面図である。また、図4は、図3における矢示C−C方向の断面図であり、図5は、図1における矢示D−D方向の断面図であり、図6は、図5における矢示E方向の側面図であり、図7は、図6における矢示F方向の側面図である。また、図8は、図1における矢示G−G方向の断面図であり、図9は、本実施形態に係る供給部の概略構成を示した平面図であり、図10は、図9における矢示H−H方向の断面図である。
図1に示すように、本例の研削装置1は、ワークWを保持するワーク保持部30と、環状の研削作用面Taを有し、この研削作用面TaによってワークWの外周面を研削加工するカップ形砥石車Tと、カップ形砥石車Tをその軸線が水平となるように且つ直交2軸(後述する第1軸及び第2軸)方向に移動自在に支持する砥石車支持部10と、カップ形砥石車Tを前記直交2軸方向に移動させる送り部18と、研削加工後のワークWの外径を計測する計測部50と、ワークWをワーク保持部30及び計測部50に供給する供給部60と、カップ形砥石車Tをドレッシングするドレス部70と、これらワーク保持部30,砥石車支持部10,計測部50,供給部60及びドレス部70が配設される基台5と、ワーク保持部30,送り部18,計測部50,供給部60及びドレス部70の作動を制御する制御装置6などを備えて構成される。
前記砥石車支持部10は、図1乃至図4に示すように、カップ形砥石車Tをその軸線中心に回転自在に支持する第1部材12、及びこの第1部材12をカップ形砥石車Tの軸線と平行な第1軸方向に移動自在に支持する第2部材13を備えた砥石ヘッド11と、第1部材12に内蔵され、カップ形砥石車Tを軸線中心に回転させる駆動モータ(図示せず)と、砥石ヘッド11の第2部材13が載置され、第1軸と水平面内で直交する第2軸方向に移動自在に基台5上に配設される砥石スライド14とからなる。尚、前記駆動モータ(図示せず)は、制御装置6によってその作動が制御される。
前記第1部材12は、水平方向の両側に突出し、長手方向に沿って形成された係合突起12aを備え、前記第2部材13は、第1部材12を収容するための収容部13aと、収容部13a内面に開口し、第1部材12の各係合突起12aとそれぞれ係合する係合溝13bとを備える。また、前記砥石スライド14の底面には、第2軸と平行に基台5上に設けられたガイドレール5aと移動自在に係合するスライダ14aが固設されている。
前記送り部18は、砥石ヘッド11の第1部材12(カップ形砥石車T)を第1軸方向に移動させる第1送り機構19と、砥石スライド14(カップ形砥石車T)を第2軸方向に移動させる第2送り機構25とからなる。
前記第1送り機構19は、砥石ヘッド11の第2部材13に付設され、制御装置6によってその作動が制御される駆動モータ20と、第2部材13内部に軸中心に回転自在に支持され、駆動モータ20によって軸中心に回転せしめられるウォーム21と、ウォーム21と噛合するウォームホイール22と、第2部材13内部に軸中心に回転自在に支持され、ウォームホイール22に固設されたナット23と、軸線が第1軸と平行に配置され、ナット23と螺合したボールねじ24とを備えており、ボールねじ24の一方端側には、第1部材12の底面に形成されたブラケット12bが接続されている。
一方、前記第2送り機構25は、基台5上に付設され、制御装置6によってその作動が制御される駆動モータ26と、軸線が第2軸と平行に配置され、駆動モータ26によって軸中心に回転せしめられるボールねじ27と、砥石スライド14に固設され、ボールねじ27と螺合したナット28とを備える。
斯くして、この第1送り機構19では、駆動モータ20が駆動され、ウォーム21が軸中心に回転すると、その回転力がウォームホイール22に伝達されてナット23が回転し、ボールねじ24がその軸線方向に移動するので、第1部材12は、係合突起12a及び係合溝13bにより案内されて第1軸方向に移動する。また、第2送り機構25では、駆動モータ26が駆動されてボールねじ27が軸中心に回転し、これに沿ってナット28が移動することで、ガイドレール5a及びスライダ14aにより案内されて、砥石スライド14が第2軸方向に移動する。
前記ワーク保持部30は、外周面に形成された突起部Waと、両端面に開口した貫通穴Wbとを備える、図13に示すような前記ワークWを保持するように構成されており、図1及び図5乃至図7に示すように、軸線が鉛直方向と平行になるように配置され、上面にワークWが載置される載置部31aを上端部に備えた主軸31と、基台5上に配設され、主軸31を軸線中心に回転自在に支持する主軸支持部材32と、主軸31を軸線中心に回転させる主軸回転駆動機構(図示せず)と、主軸31の載置部31aに載置されたワークWの貫通穴Wb内周面をクランプするコレット34などから構成されたクランプ機構33と、主軸31の載置部31aに載置されたワークWの上面を押さえるテールストック35とからなる。
前記テールストック35は、基台5上に配設される支持アーム36と、鉛直方向に設けられ、支持アーム36によって支持されるガイドレール37と、ガイドレール37と移動自在に係合するスライダ38aが付設された移動部材38と、ガイドレール37及びスライダ38aによる案内の下、移動部材38を昇降させる昇降機構42と、ワークWの上面に当接する環状の当接面39aが下面に形成された押さえ部材39と、押さえ部材39を水平回転自在に支持する支持ブロック40と、移動部材38の下面と支持ブロック40の上面とを接続する接続部材41と、主軸31の載置部31aに載置されたワークWの回転方向の位置決めをする位置決めチャック45とを備える。
前記昇降機構42は、支持アーム36に固設され、移動部材38の上面に接続した昇降ロッド43aを有する空圧シリンダ43と、一端側が支持アーム36に接続するとともに、他端側が移動部材38に接続し、当該移動部材38を上方に付勢するばね体44とから構成されており、空圧シリンダ43が作動して昇降ロッド43aを降下させることで、移動部材38を下降させて押さえ部材39の当接面39aをワークW上面に当接させる。尚、前記ばね体44は、移動部材38や支持ブロック40などが相当の重量を有していることから、昇降ロッド43aが急激に下降するのを防止したり、昇降ロッド43aの上昇時に円滑な動作をさせる役割を果たす。
前記位置決めチャック45は、ワークWの突起部Waの両側面を把持可能な把持爪46と、把持爪46を支持してこれを開閉させる開閉機構47と、支持アーム36に固設されたブラケット49に取り付けられ、開閉機構47(把持爪46)を支持して斜め方向に昇降させるための空圧シリンダ48とを備えている。
尚、前記主軸回転駆動機構(図示せず),クランプ機構33,昇降機構42の空圧シリンダ43,位置決めチャック45の開閉機構47及び空圧シリンダ48は、前記制御装置6によってその作動が制御される。
前記計測部50は、基台5上に配設される支持台51と、支持台51上に固設され、上面にワークWが載置される載置部材52と、載置部材52上面に載置されたワークWの貫通穴Wb内周面をクランプするクランプ機構(図示せず)と、載置部材52の上方に配置され、ワークWの上面に当接する当接面53aが下面に形成された押さえ部材53と、押さえ部材53の上面に接続して鉛直方向に設けられる昇降ロッド54aを有し、この昇降ロッド54aを降下させることで、押さえ部材53を下降させてその当接面53aをワークW上面に当接させる空圧シリンダ54と、支持台51上に配設され、空圧シリンダ54を支持する支持アーム55と、ワークWの外径を測定する計測ヘッド56と、支持台51上に固設され、接続部材57を介し計測ヘッド56を支持して前記第2軸方向に移動させる空圧シリンダ58とを備える。尚、前記クランプ機構(図示せず)、空圧シリンダ54や空圧シリンダ58、計測ヘッド56は、前記制御装置6によってその作動が制御される。
前記供給部60は、図1,図9及び図10に示すように、回転部材61と、回転部材61に円周方向等間隔で取り付けられた3つのワーク載置板62と、基台5上に配設され、回転部材61を矢示方向に水平回転自在に且つ鉛直方向に移動自在に支持する支持部材63と、回転部材61を水平回転させるとともに、鉛直方向に移動させる駆動機構(図示せず)とからなる。
前記ワーク載置板62は、ワークWの外形形状と略同形状に形成され、ワークWの突起部Waが回転部材61の回転中心を、ワークWの軸線が鉛直方向を向くように当該ワークWが載置される凹部62aを備えており、この凹部62aには、前記主軸31や載置部材52の外径よりも若干大きい貫通穴62bが形成されている。
前記駆動機構(図示せず)は、回転部材61を水平回転させて、ワーク載置板62(ワーク載置板62に載置されたワークW)を、回転方向の、供給・排出位置P,加工位置Q(ワーク保持部30の主軸31上方位置),計測位置R(計測部50の載置部材52上方位置)の3つの位置に割り出すように構成されており、前記制御装置6によってその作動が制御される。
前記ドレス部70は、ドレッサ71,72を軸中心に回転させるとともに矢示方向に旋回させて、その外周面によりカップ形砥石車Tの研削作用面Taをドレッシングすることができるように構成されている。
前記制御装置6は、駆動モータ(図示せず)を駆動してカップ形砥石車Tを、主軸回転駆動機構(図示せず)を駆動して主軸31(即ち、ワークW)を、これらの軸線中心に回転させるとともに、第1送り機構19を駆動して砥石ヘッド11の第1部材12を第1軸方向に、第2送り機構25を駆動して砥石スライド14を第2軸方向に移動させ、即ち、カップ形砥石車Tを直交2軸方向に移動させ、当該カップ形砥石車Tの研削作用面TaをワークW外周面と接触させることにより、粗研削と仕上研削とを1個のワークWについてそれぞれ実行する。
前記粗研削において、制御装置6は、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの内周面とが接近した状態から、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの外周面とが接近した状態となるように、当該ワークWを突起部Waがカップ形砥石車Tと干渉しないように正回転させる動作と、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの外周面とが接近した状態から、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの内周面とが接近した状態となるように、当該ワークWを突起部Waがカップ形砥石車Tと干渉しないように逆回転させる動作とを交互に繰り返すが、正回転から逆回転への切り換わり時や、逆回転から正回転への切り換わり時に、カップ形砥石車Tを第2軸方向に移動させて、当該カップ形砥石車Tの研削作用面TaがワークW外周面と接触する、当該研削作用面Taの幅方向における位置を変えるとともに、所定の切り込み量を有するようにカップ形砥石車Tを第1軸方向のワークW側に移動させる。
具体的には、例えば、図11(a)及び(a’)に示すように、まず、研削作用面Taの中心線Lよりも内側の部分PaをワークW外周面に接触させてワークWを正回転させた後、図11(b)及び(b’)に示すように、研削作用面Taの中心線Lよりも外側の部分PbをワークW外周面に接触させてワークWを逆回転させ、ついで、図11(c)及び(c’)に示すように、研削作用面Taの外縁側の部分PcをワークW外周面に接触させてワークWを正回転させ、次に、図11(d)及び(d’)に示すように、研削作用面Taの内縁側の部分PdをワークW外周面に接触させてワークWを逆回転させる。
一方、前記仕上研削においては、例えば、図11(e)及び(e’)に示すように、カップ形砥石車Tの研削作用面TaとワークW外周面との接触位置Peが、当該研削作用面Taの幅方向中央部付近となるように、当該カップ形砥石車Tを第2軸方向に移動させるとともに、所定の切り込み量を有するように当該カップ形砥石車Tを第1軸方向のワークW側に移動させた後、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの内周面とが接近した状態から、ワークWの突起部Waとカップ形砥石車Tの外周面とが接近した状態となるように、当該ワークWを突起部Waがカップ形砥石車Tと干渉しないように正回転させる。
また、制御装置6は、1個のワークWの研削加工が終了すると、新たな未研削のワークWを研削加工するように制御するが、このとき、図12に示すように、図11に示した例とは反対にワークWを回転させる。即ち、図11に示した例では、正回転,逆回転,正回転,逆回転,正回転の順番でワークWを回転させるのに対し、図12に示した例は、逆回転,正回転,逆回転,正回転,逆回転の順番でワークWを回転させる。このように、制御装置6は、図11に示した順番と図12に示した順番とを交互に実行しつつ、即ち、ワークW回転方向の順番を交互に変更しつつ、複数のワークWを連続的に研削加工する。
以上のように構成された本例の研削装置1によれば、以下に説明するようにして、複数のワークWが連続的に研削加工される。即ち、まず、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62上に1個目のワークWが載置され、回転部材61がワーク載置板62とともに上昇した後、水平回転し、これにより、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62が加工位置Qに移動する。
この後、回転部材61が降下すると、その降下途中で、ワーク載置板62上のワークWが主軸31の載置部31a上に載置されるとともに、ワークWの貫通穴Wb内にクランプ機構33のコレット34が挿入される。そして、回転部材61及びワーク載置板62は、下降端位置まで降下する。尚、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62上には、2個目のワークWが載置される。
ついで、位置決めチャック45の開閉機構47及び把持爪46が降下せしめられ、開閉機構47によって把持爪46が閉じられる。これにより、把持爪46によってワークWの突起部Waが把持され、ワークWの回転方向の位置決めがされる。
次に、昇降機構42により押さえ部材39が降下せしめられ、その当接面39aがワークW上面に当接し、ワークWは、当該押さえ部材39及び主軸31の載置部31aによって挟持された状態となる。そして、コレット34によりワークWの貫通穴Wb内周面がクランプされた後、把持爪46が開き、開閉機構47及び把持爪46が上昇する。
この後、制御装置6による制御の下、上述のようにしてワークWの回転及びカップ形砥石車Tの直交2軸方向における位置が制御されて、当該ワークWの外周面が研削加工されると、昇降機構42によって押さえ部材39が上昇せしめられるとともに、コレット34によるワークWの貫通穴Wb内周面のクランプが解除される。
次に、回転部材61が上昇し、その上昇途中では、主軸31の載置部31a上のワークWがワーク載置板62上に載置されて上昇端位置まで上昇する。そして、回転部材61が水平回転すると、加工位置Qにあるワーク載置板62が計測位置Rに、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62が加工位置Qに移動する。
ついで、回転部材61が降下すると、計測位置Rのワーク載置板62上に載置された1個目のワークWは、その降下途中において載置部材52上に載置され、回転部材61及びワーク載置板62は、下降端位置まで降下する。この後、載置部材52上のワークWは、その貫通穴Wb内周面がクランプ機構(図示せず)によってクランプされるとともに、押さえ部材53が降下して上面に当接することで、当該押さえ部材53及び載置部材52に挟持される。
そして、ワークWは、空圧シリンダ58により第2軸方向ワークW側に移動せしめられた計測ヘッド56によって外径が測定され、所定の寸法範囲内にあるか否かが確認され、この後、当該計測ヘッド56は、第2軸方向のワークWから離れる方向に移動し、また、押さえ部材53が上昇するとともに、クランプ機構(図示せず)によるワークWの貫通穴Wb内周面のクランプが解除される。
一方、回転部材61の降下により、加工位置Qのワーク載置板62上に載置された2個目のワークWは、その降下途中において、主軸31の載置部31a上に載置されるとともに、貫通穴Wb内にコレット34が挿入される。そして、上記と同様にして固定された後、研削加工されるが、このとき、当該2個目のワークWの回転方向は、前記1個目のワークWのときとは、その順番が反対となっている。尚、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62上には、3個目のワークWが載置される。
この後、回転部材61が上昇すると、その上昇途中で、主軸31の載置部31a及び載置部材52上の各ワークWがワーク載置板62上に載置されて上昇端位置まで上昇し、当該回転部材61の水平回転により、計測位置Rにあるワーク載置板62が供給・排出位置Pに、加工位置Qにあるワーク載置板62が計測位置Rに、供給・排出位置Pにあるワーク載置板62が加工位置Qに移動する。
そして、回転部材61が降下すると、2個目及び3個目の各ワークWが載置部材52及び主軸31の載置部31a上にそれぞれ載置されて、外径の寸法測定や研削加工が実施される。尚、3個目のワークWの研削加工時において、その回転方向の順番は、前記2個目のワークWとは反対、即ち、前記1個目のワークWと同じである。一方、1個目のワークWは、ワーク載置板62上から排出されて、4個目のワークWが載置される。
以降、上述と同様の操作が繰り返されて研削加工が進められ、n個目までのワークWが当該研削装置1によって順次研削加工される。
斯くして、本発明に係る研削装置1によれば、ワークWを1回転させる毎に(ワークWの回転方向を変える毎に)、カップ形砥石車Tを第2軸方向に移動させて研削作用面TaがワークW外周面と接触する位置を変えることで、サイクルタイムが長くなるといった問題を生じることなく、また、複雑な制御などを行わなくても簡単な操作で、研削作用面TaとワークW外周面との接触位置を変えることができる。そして、このようにして接触位置を変えることで、カップ形砥石車Tの研削作用面Taの一部分のみが摩耗するのを防止して、当該研削作用面Taを略均等に摩耗させることができ、砥石寿命を長くすることができる。
また、ワークW毎にその回転方向の正逆の順番を変えるようにしているので、当該ワークWの研削代のバラツキなどにより、カップ形砥石車Tの研削作用面Taの摩耗量にバラツキが生じるのを防止して、当該研削作用面Taをより均一に摩耗させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
上例では、粗研削時に、カップ形砥石車Tの研削作用面TaとワークW外周面とが接触する位置を、研削作用面Taの中心線Lよりも内側の部分Pa、研削作用面Taの中心線Lよりも外側の部分Pb、研削作用面Taの外縁側の部分Pc、研削作用面Taの内縁側の部分Pdの順番で変えるようにしたが、このような順番に限られるものではなく、どのような順番であっても良い。
また、研削作用面TaがワークW外周面と接触する位置を、4つの部分の間で変えるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、研削作用面Taの幅方向中央部、研削作用面Taの外縁側部分、研削作用面Taの内縁側部分の3つの部分の間で変えるようにしても良い。
また、更に、ワークWを1回転させる毎に(ワークWの回転方向を変える毎に)、研削作用面TaがワークW外周面と接触する位置を変えるようにしているが、ワークWを複数回転させる毎に(ワークWの回転方向を複数回変える毎に)、研削作用面TaのワークW外周面との接触位置を変えるようにしても良く、また、ワークWの回転方向の正逆の順番についても、ワークWを1個研削加工する毎にではなく、複数個のワークWを研削加工する毎に変えるようにしても良い。
また、ワークWを1個研削加工する毎や、複数個のワークWを研削加工する毎に、研削作用面TaがワークW外周面と接触する位置を変えるようにしても良い。
また、ワークWは、外周面に突起部Waを備えたものに限られるのではなく、完全な円筒形のものであっても良い。
本発明の一実施形態に係る研削装置の概略構成を示した平面図でる。 図1における矢示A方向の側面図である。 図1における矢示B−B方向の断面図である。 図3における矢示C−C方向の断面図である。 図1における矢示D−D方向の断面図である。 図5における矢示E方向の側面図である。 図6における矢示F方向の側面図である。 図1における矢示G−G方向の断面図である。 本実施形態に係る供給部の概略構成を示した平面図である。 図9における矢示H−H方向の断面図である。 ワークの回転方向及びカップ形砥石車とワークとの位置関係を示した説明図である。 ワークの回転方向及びカップ形砥石車とワークとの位置関係を示した説明図である。 ワークの概略構成を示した説明図である。
符号の説明
1 研削装置
5 基台
6 制御装置
10 砥石車支持部
11 砥石ヘッド
14 砥石スライド
18 送り部
19 第1送り機構
25 第2送り機構
30 ワーク保持部
31 主軸
34 コレット
35 テールストック
39 押さえ部材
45 位置決めチャック
50 計測部
52 載置部材
53 押さえ部材
56 計測ヘッド
60 供給部
61 回転部材
62 ワーク載置板
70 ドレス部
P 供給・排出位置
Q 加工位置
R 計測位置
T カップ形砥石
W ワーク

Claims (4)

  1. 環状の研削作用面を有するカップ形砥石車と円筒状をしたワークとを、これらの軸線が互いに直交するようにそれぞれ配置して、該カップ形砥石車及びワークを軸線中心に回転させるとともに、前記研削作用面とワーク外周面とを接触させることにより、該ワーク外周面を研削加工する方法であって、
    前記カップ形砥石車の研削作用面が前記ワーク外周面に接触した状態で、該ワークを予め設定された回数回転させる毎に、前記カップ形砥石車とワークとを、該カップ形砥石車の軸線及びワーク軸線の双方と直交する方向に相対移動させて、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるようにしたことを特徴とする研削方法。
  2. 環状の研削作用面を有するカップ形砥石車の該研削作用面により、円筒状をした複数のワークについてその外周面を順次研削加工していく方法であって、
    前記各ワークについては、前記カップ形砥石車とワークとを、これらの軸線が互いに直交するようにそれぞれ配置して、該カップ形砥石車及びワークを軸線中心に回転させるとともに、前記研削作用面とワーク外周面とを接触させることにより、該ワーク外周面をそれぞれ研削加工するように構成された研削方法において、
    前記ワークを予め設定された個数研削加工する毎に、前記カップ形砥石車とワークとを、該カップ形砥石車の軸線及びワーク軸線の双方と直交する方向に相対移動させて、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるようにしたことを特徴とする研削方法。
  3. 円筒状をしたワークの外周面を研削加工する装置であって、
    前記ワークを保持するワーク保持手段と、
    前記ワーク保持手段によって保持されたワークをその軸線中心に回転させる第1回転駆動機構と、
    環状の研削作用面を有し、軸線が前記ワークの軸線と直交するように配置されるカップ形砥石車と、
    前記カップ形砥石車をその軸線中心に回転自在に支持する砥石車支持手段と、
    前記カップ形砥石車を軸線中心に回転させる第2回転駆動機構と、
    前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを、前記カップ形砥石車の軸線と平行な第1軸方向、並びに該第1軸及びワーク軸線の双方と直交する第2軸方向に相対移動させる送り機構と、
    前記各回転駆動機構を駆動して前記ワーク及びカップ形砥石車を回転させるとともに、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第1軸方向に相対移動させ、前記カップ形砥石車の研削作用面とワーク外周面とを接触させる制御手段とを備えてなり、
    前記制御手段は、前記カップ形砥石車の研削作用面が前記ワーク外周面に接触した状態で、該ワークを予め設定された回数回転させる毎に、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第2軸方向に相対移動させ、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるように構成されてなることを特徴とする研削装置。
  4. 円筒状をしたワークの外周面を研削加工する装置であって、
    前記ワークを保持するワーク保持手段と、
    前記ワーク保持手段によって保持されたワークをその軸線中心に回転させる第1回転駆動機構と、
    環状の研削作用面を有し、軸線が前記ワークの軸線と直交するように配置されるカップ形砥石車と、
    前記カップ形砥石車をその軸線中心に回転自在に支持する砥石車支持手段と、
    前記カップ形砥石車を軸線中心に回転させる第2回転駆動機構と、
    前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを、前記カップ形砥石車の軸線と平行な第1軸方向、並びに該第1軸及びワーク軸線の双方と直交する第2軸方向に相対移動させる送り機構と、
    前記各回転駆動機構を駆動して前記ワーク及びカップ形砥石車を回転させるとともに、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第1軸方向に相対移動させ、前記カップ形砥石車の研削作用面とワーク外周面とを接触させる制御手段とを備えてなり、
    前記制御手段は、前記ワークを予め設定された個数研削加工する毎に、前記送り機構を駆動して前記ワーク保持手段と砥石車支持手段とを前記第2軸方向に相対移動させ、前記研削作用面がワーク外周面と接触する位置を変えるように構成されてなることを特徴とする研削装置。
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