JP2006200263A - 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物 - Google Patents

木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物 Download PDF

Info

Publication number
JP2006200263A
JP2006200263A JP2005014456A JP2005014456A JP2006200263A JP 2006200263 A JP2006200263 A JP 2006200263A JP 2005014456 A JP2005014456 A JP 2005014456A JP 2005014456 A JP2005014456 A JP 2005014456A JP 2006200263 A JP2006200263 A JP 2006200263A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foundation
wooden
ventilation
wooden building
packing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005014456A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4508887B2 (ja
Inventor
Seisuke Omito
征介 近江戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Joto Techno Co Ltd
Original Assignee
Joto Techno Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Joto Techno Co Ltd filed Critical Joto Techno Co Ltd
Priority to JP2005014456A priority Critical patent/JP4508887B2/ja
Publication of JP2006200263A publication Critical patent/JP2006200263A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4508887B2 publication Critical patent/JP4508887B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)

Abstract

【課題】 耐シロアリ用薬剤を用いることなく、木造建築物の蟻害を完全に防止することを可能とする木造建築物の蟻害防止方法を提供すること。
【解決手段】 耐シロアリ用薬剤を用いることなく木造建築物の蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、前記木造建築物の床下空間を、コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により形成するとともに、前記木製土台及び前記床材を床上への気流漏れが生じないように配設し、前記基礎と前記木製土台との間に換気のためのスリットを設けることにより床下空間全域の換気気流を確保するとともに、該スリットにおける換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、スリットの大きさを設定することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
【選択図】 図1

Description

この発明は、木造建築物の蟻害防止方法及び蟻害を防止する木造建築物に関する。
木造住宅等の建造物を建築する手法としては、例えば、建物を建てるべき部位の外殻部や内殻部にコンクリート製の基礎を作った後、この基礎の上面に木製土台を固定し、木製土台の上に柱を立て、柱の上に梁を載せるという手法がある。このような手法は、伝統的な日本建築の手法であり、木造住宅の建築において広く採用されている。
コンクリート基礎(布基礎)は、セメント、砂、水を混合して流動状にして予め組み立てた金属製又は木製の型枠に流し込み、数日放置して固化させることにより作られるので、水分を大量に含み、且つ、長期的に水分を排出するコンクリート自体の特性に起因して、コンクリート基礎が直接接触する木製土台との接触部位で、木製土台がコンクリート基礎の水分を吸って湿り乾燥しにくくなり、湿って乾燥が阻害されると経時的に木製土台の腐朽を招来するという問題があった。
また、コンクリート基礎と木製土台との間には隙間がないので、両者の間から換気するということができないのであるが、木造住宅においては、床下の換気を行う必要があるため、一般的に、コンクリート基礎の適当な部位に、例えば、縦200mm×横400mm程度の換気穴を形成するということが行われていた。しかし、コンクリート基礎には木造住宅の荷重等に耐え得るだけの充分な強度が必要であるため、このような大きな換気穴を多数形成することは困難であり、形成可能な換気穴の数には制限があった。そのため、床下空間の換気穴から遠い隅部には湿気が滞留し易い。その結果、長年の間に土台や柱が腐朽してしまったり、シロアリによって土台が喰い荒らされるという問題があった。
そこで従来から、シロアリにより土台が喰い荒らされるのを防止するためのシロアリ対策として、薬剤処理された木材を使用したり、床下の土壌を薬品で処理する方法が採られたりしている。
しかしながら、薬剤の効果には年限があり、定期的に薬剤処理を行わなければその効果を維持することができない。薬剤効果に限界があることは、木造建物の震災による倒壊の原因の多くが、その脚部の木材の著しい劣化にあったことからも示されている。
また、従来の薬剤処理は、もっぱら木材が乾燥するまでの経過措置として用いられるものであり、定期的に処理を行ったとしても、その効果を確実に維持し、シロアリによる喰害を防止することは難しい。
また、近年、シックハウス症候群と言われる建材中に含まれる薬剤によって引き起こされる健康被害が報告されており、健康に対する意識の高まりからもこのような薬剤の使用が敬遠されている。さらに、地球環境への配慮の観点からも薬剤の使用は極力避けられる必要がある。
一方、近年、異なる方法で床下の換気を図ることが試みられている。すなわち、基礎と木製土台との間に、基礎パッキンと呼ばれる介装部材を所定の間隔をあけて介装し、これにより、基礎パッキンの間に換気用の空間を形成して、床下空間全域の換気気流を確保しようとする試みである。
図5は、この基礎パッキンの一例を模式的に示す斜視図である。
基礎パッキン100は、前後辺にそれぞれ3つの窪み101を有し、長手方向端辺には突起102と窪み103とを有する。突起102と窪み103とは、雌雄嵌合可能な形状となっている。基礎パッキン100の土台と接触する面には、通気のために長手方向に伸びた溝104が形成されている。また、基礎パッキン100には、上下方向に貫通した穴105が形成されている。穴105は、コンクリート基礎から上方へ突出したアンカーボルトを挿通するためのものである。
このような基礎パッキンを、アンカーボルトが設けられたコンクリート基礎の上面に載置する。コンクリート基礎の直角の隅部では、2枚の基礎パッキンをT字型又はL字型に組み合わせて載置する。コンクリート基礎の直線部では、基礎パッキンを1枚ずつ載置することもあるが、2枚の基礎パッキンを上述したように長手方向に結合して載置することもある。そして、基礎パッキンの上面に、アンカーボルトの通し穴を穿った土台用木材を載置し、アンカーボルトにナットを螺合させて緊締することにより、コンクリート基礎と基礎パッキンと木製土台とを固定することができる。
また、基礎と木製土台との間に基礎パッキンを介装することにより、木製土台の横滑りを防止して耐震性の高い構造とすることができる。
さらに、上述のように、基礎パッキンが載置されていない部分の隙間を換気孔として利用したり、この基礎パッキンの介装により、水分が基礎から木製土台に移動するのを防止することにより、木製土台の腐朽やシロアリの喰害をある程度防止することができる。
しかしながら、乾燥した木材であっても喰害を及ぼすシロアリ(とくに、イエシロアリ)による被害が報告されており、従来においては、単に床下空間の換気を行うのみでは蟻害に対する懸念を完全に払拭することができないという問題があった。
このように、シロアリの生態が明らかでないが故に、従来では、薬剤以外の方法でシロアリによる喰害を完全に防止ことができず、薬剤等を用いて強制的にシロアリ発生を防止するに止まり、生態面からとらえた喰害防止手段は、今まで存在しなかった。
このような問題に鑑み、鋭意検討した結果、本出願人は、気流速度0.2m/秒以上の気流が確保されると、当該気流の流通箇所には、シロアリの蟻道が構築されないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) 床下空間が室内空間と漏気なく遮断されている木造建築物のシロアリによる蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
前記木造建築物の木製土台とコンクリート製基礎との間にスリット状の間隙を形成し、
前記間隙における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように間隙の断面積を設定することにより、床下空間の全域と外気の通気性を確保することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
(1)の発明によれば、木造建築物の木製土台とコンクリート製の基礎との間にスリット状の間隙を形成するので、上記木製土台が上記基礎に接しないようになり、上記基礎から上記木製土台に湿気が移動することがなく、上記木製土台が腐朽するのを防止できる。また、上記スリット状の隙間に0.2m/秒以上の換気気流速度が生じるように、その断面積を設定するようにしているので、このような気流を嫌うシロアリは、この間隙を越えて移動しようとはせず、その結果、上記基礎と上記木製土台との間にシロアリの蟻道が構築されず、上記木製土台にシロアリが到達することを阻止することができ、シロアリによる喰害を防止することができるとともに、上記コンクリート製基礎に染み出た湿気を外部に飛ばすことができる。
従って、耐シロアリ用薬剤処理を施した木材を土台として用いた場合には、当該薬剤の効果が時間の経過とともに陳腐化した後も、薬剤による再処理を行わなくても、蟻害及び腐朽を防止することができる。また、耐シロアリ用薬剤処理をしていない木材を土台として用いた場合であっても、木製の土台の乾燥を促進でき、好適に蟻害及び腐朽を防止することができる。
また、本発明は、以下のようなものを提供する。
(2)耐シロアリ用薬剤を用いることなく木造建築物の蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
上記木造建築物の床下空間を、コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により形成するとともに、上記木製土台及び上記床材を床上への気流漏れが生じないように配設し、上記基礎と上記木製土台との間に換気のためのスリットを設けることにより床下空間全域の換気気流を確保するとともに、該スリットにおける換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、スリットの大きさを設定することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
(2)の発明によれば、基礎パッキンを上記基礎と上記木製土台との間に介装しているため、上記木製土台に湿気が移動することはなく、乾燥した木材を嫌うシロアリの喰害を防止することができる。また、上記基礎と上記木製土台との間に、その部分の換気気流速度が0.2m/秒以上となるようにスリットを形成するので、早い気流を嫌うシロアリはスリットを越えて移動しようとはしない。その結果、上記基礎と上記木製土台との間にシロアリの蟻道が構築されず、木製土台及び該木製土台に続く床部分にシロアリが到達することを阻止することができ、シロアリによる喰害を防止することができる。
また、上記方法をとれば、恒久的に防蟻効果を維持することが可能であり、従来必要とされていた薬剤処置等の定期的な処理を行う必要がなくなる。
さらに、薬剤を用いずにシロアリによる喰害を防止することが可能であるため、健康被害を防止し、地球環境を保全することが可能である。
また、本発明は、以下のようなものを提供する。
(3)耐シロアリ用薬剤を用いることなく木造建築物の蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
上記木造建築物の床下空間を、コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により形成するとともに、上記木製土台及び上記床材を床上への気流漏れが生じないように配設し、上記基礎パッキンに通気孔を設けることにより床下空間全域の換気気流を確保するとともに、上記通気孔における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、上記通気孔の大きさを設定することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
(3)の発明によれば、基礎パッキンを上記基礎と上記木製土台との間に介装しているため、上記木製土台に湿気が移動することはなく、乾燥した木材を嫌うシロアリの喰害を防止することができる。また、上記基礎と上記木製土台との間に、その部分の換気気流速度が0.2m/秒以上となるようにスリットを形成するので、早い気流を嫌うシロアリはスリットを越えて移動しようとはしない。その結果、上記基礎と上記木製土台との間にシロアリの蟻道が構築されず、木製土台及び該木製土台に続く床部分にシロアリが到達することを阻止することができ、シロアリによる喰害を防止することができる。
また、一度そのような通気孔を有する基礎パッキンを設置すれば、恒久的に防蟻効果を維持することが可能であり、従来必要とされていた薬剤処置等の定期的な処理を行う必要がなくなる。
さらに、薬剤を用いずにシロアリによる喰害を防止することが可能であるため、健康被害を防止し、地球環境を保全することが可能である。
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(4) コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により床下空間が形成され、上記木製土台及び上記床材が床上への気流漏れが生じないように配設され、
上記基礎パッキンに通気孔が設けられて床下空間全域の換気気流が確保されるとともに、
上記通気孔における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、上記通気孔の大きさが設定されていることを特徴とする木造建築物。
(4)の発明によれば、基礎パッキンを上記基礎と上記木製土台との間に介装しているため、上記木製土台に湿気が移動することはなく、乾燥した木材を嫌うシロアリの喰害を防止することができる。また、上記基礎と上記木製土台との間に、その部分の換気気流速度が0.2m/秒以上となるようにスリットを形成するので、早い気流を嫌うシロアリはスリットを越えて移動しようとはしない。その結果、上記基礎と上記木製土台との間にシロアリの蟻道が構築されず、木製土台及び該木製土台に続く床部分にシロアリが到達することを阻止することができ、シロアリによる喰害を防止することができる。
また、一度そのような通気孔を有する基礎パッキンを設置すれば、恒久的に防蟻効果を維持することが可能であり、従来必要とされていた薬剤処置等の定期的な処理を行う必要がなくなる。
また、薬剤を用いずにシロアリによる喰害を防止することが可能であるため、健康被害を防止し、さらに、地球環境を保全することが可能である。
本発明によれば、上記基礎と上記木製土台とが接触しないように構成され、かつ、上記基礎と上記木製土台との間に形成されたスリットの換気気流速度が0.2m/秒以上に維持されるため、上記基礎と上記木製土台との間にシロアリの蟻道が構築されず、シロアリによる喰害を防止することができる。
また、恒久的に防蟻効果を維持することが可能であり、従来必要とされていた薬剤処置等の定期的な処理を行う必要がなくなる。
さらに、薬剤を用いずにシロアリによる喰害を防止することが可能であるため、健康被害を防止し、地球環境を保全することが可能である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
勿論、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
図1(a)は、本発明に係る蟻害防止方法を用いる木造建築物の一例を示す断面斜視図であり、図1(b)は、本発明に係る蟻害防止方法を用いる木造建築物の別の一例を示す断面斜視図である。
また、図2は、図1(a)に示した木造建築物の床下に流れる気流の状態を示した断面図であり、図3は、図1(a)に示した木造建築物の床下全体の基礎パッキンの配置状態を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、コンクリート製の基礎200の上面に基礎パッキン10が載置され、さらにその上に木製土台110が載置され、図示しないアンカーボルトにナットが螺合され、緊締されている。木製土台110の部分には、床断熱材350が互いに隙間がないように配設され、その上に床材400が載置され、床下を流れる気流が床上に漏れないようになっている。
また、図3に示すように、この木造建築物の周囲は、玄関203のような換気の必要がない部分を除いて、全て図1に示したような基礎200の上に基礎パッキン10が配置された構造となっており、木造建築物の内部に形成した基礎200にも、同様にその上に基礎パッキン10が載置された構成となっている。なお、図3では、省略しているが、図1と同様に、基礎パッキン10の上に木製土台110が固定され、床断熱材350及び床材400が配設されている。
そして、換気型基礎パッキン10には、多数の通気孔(スリット)15が設けられている。基礎パッキンについては後述するが、通気孔(スリット)15は、そのなかを空気が抜けることが可能なように形成されており、換気の必要がない部分を除いて、この木造建築物の床下のほぼ全体に基礎パッキン10が配置されているため、例えば、図3に示した床下のほぼ全体を空気が通りぬけることができるようになっており、木製土台110の乾燥状態を維持することができるとともに、基礎200の湿気や床断熱材300の湿気を効果的に排除することができる。このため、乾燥した木材を嫌うシロアリの喰害を防止することができる。
本発明者らは、以下のような実験を行った。
すなわち、図1、3に示したような基礎100と木製土台110との間に基礎パッキン10が介装された構成の木造建築物を建築し、その際に、基礎パッキン10に形成する通気孔の高さを変化させるか、又は、床下の気流を変化させる等により、通気孔(スリット)15を通過する気流の速度を変化させ、シロアリの蟻道が構築されるか否かを長年にわたって観察した。
その結果、通気孔(スリット)15の換気気流速度を0.2m/秒以上に設定することにより、早い気流を嫌うシロアリはスリットを越えて移動せず、シロアリの蟻道の構築を防止することができ、木製土台及び該木製土台に続く部分にシロアリが到達することを阻止することができることを見出し、本発明を完成させたのである。
上記のような換気気流速度を得るためには、基礎パッキン10に形成する通気孔(スリット)の高さは、5〜32mmが好ましく、通気孔(スリット)の幅は、なるべく広い方が好ましいが、余り広いと基礎パッキン10の強度が低下する。従って、ある程度の幅の通気孔(スリット)が短い間隔で形成されているのが好ましい。通気孔(スリット)の広さや間隔は、基礎パッキン10に必要とされる強度により決定される。
通気孔(スリット)の高さを上記のように設定したのは、以下のような理由による。日本国内の各地において、充分に換気がなされている床下の気流速度を、スモーク流動測定法により測定したところ、通常、図2に示す床下の高さXが40cmの床下空間で、最低限1.6cm/秒の気流は流れているという結果を得たのである。
ここで、スモーク流動測定法とは、図2に示すように、標準発煙片410からスモークを発生させ、発生時から風下の通気孔15に到達するまでの経過時間を測定し、床下の気流速度を決定することをいう。具体的には、以下の方法により行う。
まず、木造建築物の外部を流れる気流を測定して風上・風下を確認し、スモーク発煙点(標準発煙片410を設置する地点)を測定対象となる通気孔15の風上となるように設定する。
このとき、スモークが流通する床下空間401aの容積と、標準発煙片410の発煙量が同程度〜3倍程度となる位置に発煙点を設定することが好ましい。
発煙点が通気孔15から遠い場合、スモークが床下空間401の空気に希釈されて薄くなり、通気孔15への到達を確認できないからであり、発煙点が通気孔15から近い場合、測定誤差が大きくなるからである。
次に、標準発煙片410からスモークを発生させると同時に計時を開始する。スモークは、標準発煙片410の噴出口近傍では同心円上に拡がるが、やがて、スモーク部分と空気部分との界面が形成され、その界面が床下空間401を移動し、通気孔15に到達するとスモークが外部へ流出する。スモークの流出を目視により確認した時点で計時を終了し、発煙点から通気孔15までの距離と計時した時間とから空間気流速度を求めるのである。
空間気流速度の測定は、1日に複数回行うとともに、1週間のうちの複数の日にちについてこの測定を行い、また、測定を行う日によっては、測定の時間を変化させて、1日のうちで、どのように気流速度が変わるかを測定により把握し、この測定データに基づいて、上記気流速度を決定したのである。
なお、1.6cm/秒以上の気流は流れているとは、1年を通して床下の平均気流速度が1.6cm/秒以上であり、かつ、気流速度が1.6cm/秒を下回る時間が1時間以上ないことをいう。
上記した床下の気流速度とシロアリの観察結果に基づき、通気孔(スリット)15の高さYを上記のように設定したのである。すなわち、上記した速度の気流が高さY(図2参照)の通気孔(スリット)15を通過すると、通気孔(スリット)15を通過する気流の速度Aは、下記の(1)式のようになる。
A=(400/Y)×1.6・・・(1)
上記(1)式に基づき、通気孔(スリット)15の高さYを求めようとすると、Yを求めるための計算式は、下記の(2)式のようになる。
Y=(400/A)×1.6・・・(2)
上記(1)式は、床下を流れる気流が基礎200上に形成された通気孔(スリット)15に流れ込む際、基礎200のほぼ全体に通気孔(スリット)15が形成されており、そのため、床の高さと通気孔(スリット)15の高さに比例して、気流速度が増加すると仮定した計算式である。
上記(2)式により通気孔(スリット)15の高さを計算すると、Aは、20cm/秒以上(0.2m/秒以上)であるので、通気孔(スリット)15の高さYは、32mm以下となる。
なお、本発明において、通気孔(スリット)15の換気気流速度が0.2m/秒以上に維持されているとは、上記の場合と同様、1年を通しての通気孔(スリット)15の平均気流速度が0.02m/秒以上であり、かつ、気流速度が0.02m/秒を下回る時間が1時間以上ないことをいう。
このように通気孔(スリット)15の高さを設定することにより、基礎パッキン10の通気孔(スリット)15の換気気流速度を0.2m/秒以上に維持することができ、このような早い気流を嫌うシロアリ(イエシロアリ)の蟻道の構築を防止することができる。
通気孔(スリット)15では、ごく短時間、換気気流速度が0.2m/秒より小さいことがあるが、殆どの時間、0.2m/秒以上の速度で気流が流れているので、実際的にシロアリ(イエシロアリ)の蟻道は、構築されない。
本発明では、図1(b)に示すように、基礎パッキン30に通気孔(スリット)35を形成するとともに、基礎パッキン10を所定間隔で配置し、基礎200と木製土台110との間の空隙を通気用のスリット36としてもよい。
ただし、基礎200と木製土台110との間のスリット36の高さは、32mm以下に設定する必要があり、このためには、基礎パッキン30の厚さを32mm以下にする必要がある。
なお、スリットの高さを32mm以上とした場合であっても、例えば、床下にファンを設ける等、強制的に気流を作り出し、スリットの気流速度を0.2m/秒以上に維持し、蟻害防止を図ることも可能である。
次に、本発明の木造建築物の蟻害防止方法に使用される基礎パッキンについて説明する。
図4は、上記基礎パッキンの一例を模式的に示す斜視図である。
基礎パッキン20は、いわゆる長尺の換気型基礎パッキンと言われるものである。この基礎パッキン20は、所定の厚さを有する略矩形板状をなしており、長辺方向に伸びた一対の基体21、22と、一対の基体21、22を短辺方向に接続する4箇所の結合部23とから構成され、これらは一体的に形成されている。なお、結合部23は、4箇所に限られず、3箇所でも、5箇所以上でもよい。
基体21、22は四角柱形状を有しているが、一方の先端の接続部27aには、切り欠き(突起)が形成され、他方の先端の接続部27bには、上下に貫通した溝が形成されており、別の基礎パッキンと接続部27a、27b同士を嵌合させることにより、連結することができるようになっている。
基体21、22の寸法は限定されるものではないが、例えば、長さは500〜2000mm、幅20〜70mm、高さ10〜35mmである。なお、接続部27a、27bに相当する部分は、切り欠きや溝が形成されておらず、平坦であってよい。
基礎パッキン20の長さは500〜2000mm、幅は70〜200mm、高さは10〜35mmが望ましい。基体21、22及び結合部23によって囲まれた空間が、アンカーボルトを挿通するためのボルト挿通孔である。
この基礎パッキン20では、床下の換気を行うとともに、軽量化を図るため、短辺方向に貫通する側面視矩形状の多数の通気孔25が設けられている。通気孔25は、結合部23が形成されている部分にも形成され、通気孔25は、結合部23を貫通している。
通気孔25の高さは、5〜32mmが好ましく、横幅は5〜45mmが望ましい。換気気流速度0.2m/秒以上を確保するためである。
また、通気孔25の間隔は特に限定されるものではないが、なるべく間隔が短いことが望ましく、例えば、5〜10mm間隔が好ましい。シロアリの蟻道の構築を防止するためである。
図4に示した基礎パッキン20では、長辺方向に伸びた一対の基体21、22と、一対の基体21、22を短辺方向に接続する4箇所の結合部23とから構成されているが、基礎パッキンは、図3に示す基礎パッキン10のように、小さなボルト挿通孔を除いて平面視略矩形状の1個の基体から構成されていてもよく、図5に示すような短尺の基礎パッキンであってもよいが、通気孔が形成されている必要がある。
短尺の基礎パッキンを用いた場合には、基礎パッキンを所定間隔で配置し、基礎200と木製土台110との間の空隙を通気用のスリットとして利用することとなるが、シロアリの蟻道の構築を防止するためには、気流が発生しない部分をできるだけ少なくする必要があるからである。
(a)、(b)は、本発明の蟻害防止方法の一例を示す断面斜視図である。 図1に示した木造建築物における床下の気流の状態を示す断面図である。 コンクリート基礎の上面の全周域を覆うように長尺の基礎パッキンを載置した様子を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る基礎パッキンの一例を模式的に示す斜視図である。 従来の基礎パッキンの一例を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
10、20、30 基礎パッキン
15、35 通気孔
21、22 基体
21a、22a 外側面
23 結合部
25 通気孔(スリット)
26 縦孔
27(27a、27b) 結合部
36 スリット
100 基礎パッキン
110 木製土台
200 コンクリート基礎
350 床断熱材
400 床材
401 床下空間
402 換気気流

Claims (4)

  1. 床下空間が室内空間と漏気なく遮断されている木造建築物のシロアリによる蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
    前記木造建築物の木製土台とコンクリート製の基礎との間にスリット状の間隙を形成し、前記間隙における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように間隙の断面積を設定することにより、床下空間の全域と外気の通気性を確保することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
  2. 耐シロアリ用薬剤を用いることなく木造建築物の蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
    前記木造建築物の床下空間を、コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により形成するとともに、前記木製土台及び前記床材を床上への気流漏れが生じないように配設し、
    前記基礎と前記木製土台との間に換気のためのスリットを設けることにより床下空間全域の換気気流を確保するとともに、
    該スリットにおける換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、スリットの大きさを設定することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
  3. 耐シロアリ用薬剤を用いることなく木造建築物の蟻害を防止する木造建築物の蟻害防止方法であって、
    前記木造建築物の床下空間を、コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により形成するとともに、前記木製土台及び前記床材を床上への気流漏れが生じないように配設し、
    前記基礎パッキンに換気のための通気孔を設けることにより床下空間全域の換気気流を確保するとともに、
    前記通気孔における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、前記通気孔の大きさを設定することを特徴とする木造建築物の蟻害防止方法。
  4. コンクリート製の基礎、該基礎上に配置された基礎パッキン、該基礎パッキン上に配置された耐シロアリ用薬剤を塗布していない木製土台、及び、該木製土台上に配置された床材により床下空間が形成され、前記木製土台及び前記床材が床上への気流漏れが生じないように配設され、
    前記基礎パッキンに通気孔が設けられて床下空間全域の換気気流が確保されるとともに、
    前記通気孔における換気気流速度が0.2m/秒以上となるように、前記通気孔の大きさが設定されていることを特徴とする木造建築物。
JP2005014456A 2005-01-21 2005-01-21 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物 Expired - Fee Related JP4508887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005014456A JP4508887B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005014456A JP4508887B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006200263A true JP2006200263A (ja) 2006-08-03
JP4508887B2 JP4508887B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=36958500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005014456A Expired - Fee Related JP4508887B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4508887B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019210732A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 ダイナガ株式会社 木造建物及びこれに使用する基礎部用防蟻マット並びに基礎部用防蟻パッキン

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60170409U (ja) * 1984-04-21 1985-11-12 城東化学工業株式会社 小動物侵入阻止部材

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60170409U (ja) * 1984-04-21 1985-11-12 城東化学工業株式会社 小動物侵入阻止部材

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019210732A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 ダイナガ株式会社 木造建物及びこれに使用する基礎部用防蟻マット並びに基礎部用防蟻パッキン
JP7103636B2 (ja) 2018-06-06 2022-07-20 ダイナガ株式会社 木造建物及びこれに使用する基礎部用防蟻マットの製造方法並びに基礎部用防蟻パッキンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4508887B2 (ja) 2010-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5678362A (en) Termite control device and method
JP4508887B2 (ja) 木造建築物の蟻害防止方法及び木造建築物
JP2013531751A (ja) クロールスペースの包囲システム
JP3079777U (ja) 換気型基礎パッキン
US6349888B1 (en) Surround system pest control
JP2006214211A (ja) 木造建築物の防蟻害評価方法及び木造建築物の蟻害保証システム
JP2002235383A (ja) 建築構造物とそれに使用する水切り
US20220316203A1 (en) Joint structure for column material and column base fitting
JP2005068858A (ja) 柱と柱固定金物の取付け構造
JP3187597U (ja) 建築物の床下密閉構造及び該床下密閉構造を備えた建築物
GB2255112A (en) End protector for timber.
JP2006125043A (ja) 柱材と柱脚金物の接合構造
JP4626943B2 (ja) 基礎パッキン、モルタル止め部材及び建造物の施工方法
JP2969342B2 (ja) 住宅床下腐食防止方法
JP3071626U (ja) 床下換気装置
JP2003201745A (ja) 防蟻工法及び防蟻構造
JPH08154564A (ja) シロアリ食害防止方法およびそれを用いた木質建築物
JP3027674U (ja) 建築物の防蟻防湿構造
JP4508833B2 (ja) 化粧モルタル止め部材及び建造物の施工方法
JP2004278061A (ja) 建物の防蟻構造、蟻道誘導構造及びシロアリ食害防止構造
CN108371158B (zh) 一种基于光电原理的白蚁诱集饵料发霉预警系统
JP2007330248A (ja) ゴキブリの駆除方法
JP2010024809A (ja) 強制外壁空気循環式枠組み壁工法
JP2006322719A (ja) 防蟻性能試験装置
JP5498237B2 (ja) 基礎構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070830

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090915

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090918

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100427

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4508887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees