JP2004278061A - 建物の防蟻構造、蟻道誘導構造及びシロアリ食害防止構造 - Google Patents

建物の防蟻構造、蟻道誘導構造及びシロアリ食害防止構造 Download PDF

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Abstract

【課題】容易かつ安価に施工でき、健康被害や住環境の悪化を引き起こすことのない建物の防蟻構造、蟻道誘導構造及びシロアリ食害防止構造を提供する。
【解決手段】シロアリは建築物のコンクリート基礎3を登って、その上側の木質部材である土台1に侵入し食害を及ぼす。木台1側へのシロアリの侵入を防止するために、シロアリの侵入経路の途中に端部が自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材2を設ける。尚、この可撓性部材2には防蟻剤は含有されない。コンクリート基礎3の上面と土台1の下面との間に挟持して可撓性部材2を取り付ける。可撓性部材2の幅は基礎3の幅よりも広く、可撓性部材2の両側部分はコンクリート基礎3の両側端よりも1cm〜10cm程度はみ出させて自由端とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロアリが地面から建物の基礎や礎石などを伝って、その上に設置された木製土台や束柱等の木質部分に侵入することを防止する建物の防蟻構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シロアリの家屋への侵入を防止するために、例えば、特許文献1に記載されるように、プラスチック板や金属製防蟻板(アリ返し)を用いた方法が提案されているが、効果が十分ではない。特に、防蟻板どうしの継ぎ目部分に蟻道が形成され、そこからシロアリが木質部材に侵入することが多いので、根本的な対策とはなっていない。また、これらの防蟻板は製造コストが嵩むこともあって、一般的に使用されるに至っていない。
【0003】
【特許文献1】
実公昭63−18650号公報(第2頁、第2図−第4図)
【0004】
他にも、ステンレス製の金網による防蟻構造(例えば、特許文献2参照。)や防蟻用薬剤を含有する防蟻シート等を用いたものが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献2】
特開2001−152567号公報(第5頁−第8頁、第2図)
【特許文献3】
特開平8−21016号公報(第2頁−第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2所載の防蟻構造では、ステンレスメッシュが非常に高価である上に、ステンレスメッシュをコンクリート布基礎と木質土台との間に隙間なく敷き詰める必要があるので、施工が難しい。また、特許文献3所載の技術では、結果的に大量の薬剤を使用することになるばかりでなく、防蟻シートと被覆シートに加えて大量の接着剤が必要となりコストが嵩む。
【0007】
また、現在、化学薬品によるシロアリ駆除が一般的に行われているが、シックハウス症候群等による健康被害や住環境の悪化などの観点から問題視されており、これに代わるレスケミカル、すなわち化学薬品を全く使わない防蟻技術、あるいは化学薬品を使用したとしても、使用量を最小限に抑えることができる防蟻技術の開発が嘱望されていた。
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、容易かつ安価に施工でき、健康被害や住環境の悪化を引き起こすことのない建物の防蟻構造及びシロアリ食害防止構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため本発明の建物の防蟻構造は、建物の基礎部とその上に設置される木質部材との間に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材の少なくとも一側端辺が前記基礎部の側方に延出するように介在させたことを第1の特徴とする。また、建物の基礎部側壁に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材の少なくとも一側端辺が前記基礎部の側方に延出するように固着したことを第2の特徴とする。さらに、建物内部に導引される配管用パイプ等の設置物の外周面に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材を捲回して設けたことを第3の特徴とする。また、本発明に係る蟻道誘導構造では、建物の基礎部側壁又は上壁面に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する帯状の可撓性部材を任意方向に向かって延出して固着したことを特徴とする。さらにまた、本発明に係るシロアリ食害防止構造では、建物の木質部材同士の接合部に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材を介在させたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、建物の木質部分にシロアリが侵入・蔓延することを防ぐものである。低コスト化と作業の簡便性はもとより、化学薬品の使用を実質的に削減し、シックハウス症候群等の健康被害を引き起こすこともなく、環境問題に配慮したものである。本発明者は、シロアリの生態行動を観察研究した知見に基づき、十分な強度を有しない薄いフィルムやシート材(可撓性部材)がシロアリにとって一種の障壁となって移動を阻害し、蟻道を形成できないことが判った。可撓性部材に殺蟻成分あるいは忌避成分を含有させる必要は全くなく、可撓性部材が自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有し、単にヒラヒラした状態となれば良い。本発明に係る防蟻構造は、可撓性部材に対するシロアリの上記生態的行動を利用したもので、シロアリの侵入経路の途中にフィルム等の可撓性部材を置いただけであるが、これにより蟻道の生成が阻止される。シロアリが建物の木質部分に侵入する主な経路としては、基礎部とその上面に配置された軒下部材等の木質部材が挙げられる。建物の基礎部にはコンクリート製の基礎土台や束石(礎石)などが含まれ、建物の木質部材には木製土台や束柱などが含まれる。
【0010】
基礎部と木質部材の間に介在させる可撓性部材は、フィルム状またはシート状に形成されたものを使用する。可撓性部材の素材としては、シロアリによって食害されにくい合成高分子材料または無機系材料が使用される。合成高分子系のものであればほとんど何でも使えるが、一部の合成高分子材料は、希にシロアリに食害されることもあるので、食害を受け難い硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン、エポキシ系樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリアセタール、ナイロン12、ポリ4フッ化エチレン、アラミドなどが使用できる。また、無機系材料としては、所要の可撓性を有する程度に薄く形成した金属箔、ガラス繊維シートなどが適している。
【0011】
可撓性部材の少なくとも一側端部は、基礎と土台の側方に所定の幅だけ、はみ出すように延出して設け、はみ出し部分は自由端とし、自重で垂れ下がるようにする。また、地面から建物まで延びる配管用パイプ等の設置物には、その外周に可撓性部材を捲回又は貼付けて固着する。すると、地中から延びてきた蟻道が可撓性部材の固着箇所以上より先に延びて形成されることを阻止することができる。また、帯状に長い可撓性部材を建物基礎の側壁面又は上壁面に任意方向に延出して固着したものでは、可撓性部材の延びる方向に沿って、蟻道の形成が誘導される。この場合、誘導地点に毒餌を置いておけば、シロアリに毒餌を運搬させることでシロアリの巣ごと退治することもできる。さらに可撓性部材を、床下を構成する木材同士の接合部分に挟み込むことで、木材内部におけるシロアリの進行を防止できる。
【0012】
すなわち、建物の基礎部と木質部の間に可撓性部材を介在させたものや建物の基礎部側壁に可撓性部材固着したものでは、シロアリが基礎部を登坂して木質部に侵入することを防止できる。また、地面から建物の導引された配管用パイプ等の外周に固着したものでは、シロアリが地面からパイプ等を伝わって建物内部の木質部に侵入することを防止できる。特に、建物下部を構成する木材同士の接合部に介在させたものでは、シロアリが木材内部に侵入して食害が蔓延することを防止できる。万一、木質部材にシロアリが侵入しても食害の蔓延を最小限に抑えることができ、食害された当該部材の交換だけで済み補修が簡単になる。
【0013】
本発明は、建物の基礎部、木製床下部材、配管用パイプなどの所定位置に安価な可撓性部材を取り付けるだけで済むので施工が容易である。したがって、コストの削減効果も高く、実用性が高い。また忌避剤等の化学薬品を一切使うことなくシロアリを効果的に排除することができ、シックハウス症候群等の健康被害を防止できるので、住環境の観点からも好ましいものとなる。また、有害な化学薬品を使用しないことで建物の解体や廃棄を行う際も利点となる。さらに副次的な効果として、ワラジムシ、ヤスデ等の不快害虫の家屋内への侵入をも阻止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は本発明に係る建物の防蟻構造の一実施例を示す断面図、図2、図3及び図4は本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す断面図、図5は本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す斜視図、図6は配管用パイプに可撓性部材を固定した状態を示す斜視図、図7は木材同士の接合部に可撓性部材を介装させた状態を示す断面図、図8は本発明に係る蟻道誘導構造を示す斜視図である。
【0015】
【実施例1】
シロアリは建築物のコンクリート製基礎3を登って、その上側の木質部材である土台1に侵入し食害を及ぼす。木台1側へのシロアリの侵入を防止するために、シロアリの侵入経路の途中に端部が自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材2を設ける。尚、この可撓性部材2には防蟻剤は含有されない。図1に示す防蟻構造例では、建築物のコンクリート製基礎3の上に土台1が載置され、コンクリート基礎3の上面と土台1の下面との間に挟持して可撓性部材2が取り付けられている。可撓性部材2の幅は基礎3の幅よりも広く、可撓性部材2の両側部分はコンクリート基礎3の両側端よりも1cm〜10cm程度はみ出させて自由端とする。尚、はみ出し幅は自重で自由端が垂れ下がる程度であれば任意である。
【0016】
すなわち、可撓性部材2は、自重で端部が垂れ下がる程度の柔軟性を有している。可撓性部材2の素材としては、前記程度の柔軟性を有するフレキシブルフィルム又はシートが使用される。本実施例における可撓性部材2の材質は、厚さが1ミリ未満の有機合成高分子材料又は無機系材料、好ましくは厚さ0.03mm程度のナイロン12、厚さ0.035mm程度のポリエチレン、工事用ブルーシート断片を使用するのがよい。
【0017】
コンクリート基礎3又は土台1に対する可撓性部材2の固定手段は特に必要としないが、必要ならば一般的に行われている固定方法で良い。例えば、基礎部3と木製土台1との間に可撓性部材2を介在させて、アンカーボルト等の連結金具によりこれらを一体化させればよい。可撓性部材2は、自重で端部が垂れ下がる程度の柔軟性を持ち可撓性部材2の固定されていない側端部分は、ヒラヒラと不安定に動くようになる。コンクリート基礎3と土台1の間に可撓性部材2を介装したことにより、コンクリート基礎3から土台1に向かうシロアリは、可撓性部材2に到達した地点で土台1側への登坂侵入が阻止される。
【0018】
【実施例2】
図2に示す防蟻構造は、実施例1とは可撓性部材2の固定方法が異なるが、それ以外はほぼ同じである。すなわち、コンクリート基礎3の中央部分を除く上面に可撓性部材2を置き、その間に接着剤等の固着型固定手段2aを塗布して可撓性部材2を固定したものである。固定手段2aとしては感圧接着剤、いわゆる粘着テープやホットメルトタイプ接着剤、あるいはセメント系接着剤など既知の接着剤を使用できる。接着剤自体には防蟻剤は含有されない。その他、釘打ち等の既知の方法により固定するものでもよい。
【0019】
【実施例3】
図3に示す防蟻構造は、土台1が載置されたコンクリート基礎3の側壁面に、可撓性部材2の基端部を固着したものである。帯状の可撓性部材2の一端はコンクリート基礎3の側壁面において、水平方向に延びるように接着剤等の固着型固定手段2aでもって固定される。また、コンクリート基礎3の打設時に、直接埋め込むこともできる。固定された可撓性部材2の固定端から自由端までは、1cm〜数cmあれば十分である。
【0020】
【実施例4】
図4に示す防蟻構造は、基礎部である束石4の上に可撓性部材2を置き、この可撓性部材2の上に、木製の束柱5を立設したものである。束石4の上面縁部には傾斜面が形成され、可撓性部材2の外周端部は、束石4の傾斜面から離間している。可撓性部材2の面積は束石4のそれよりも広く、可撓性部材2の外周部は、束石4の外縁から所定幅だけはみ出している。本実施例では、可撓性部材2の一部は束石4の上面平坦部と接触しており、この場合、束石4からの可撓性部材2のはみ出し幅は10cm程度必要であるが、可撓性部材2の非固定面が束石4の表面から離間している場合は、束柱5からの可撓性部材2のはみ出し幅は1cm〜数cmでよい。尚、上記はみ出し幅を越える大きな可撓性部材2を用いても、所期の防蟻効果が損なわれることは勿論ない。
【0021】
【実施例5】
図5に示す防蟻構造は、コンクリート基礎3の側壁面に、帯状の可撓性部材2の幅方向中央部分を固定したものである。コンクリート基礎3の上には土台1が載置されている。帯状の可撓性部材2は、コンクリート基礎3の側壁面に沿って幅方向の中央部分を固着し、上端側又は下端側のどちらか一方、または上下端の双方は自由端とされている。可撓性部材2の固定方法は、接着剤等の固定手段2aを用いることができる。
【0022】
【実施例6】
図6に示す防蟻構造は、配管用パイプ7の外周面に、可撓性部材2の中央部分を捲回して固着したものである。配管用パイプ7は地中から地上に延びた設置物で、配管用パイプ7の上端部は、図示しない建物内部まで延びている。可撓性部材2の固定方法としては、接着剤等の固定手段2aを用いることができる。本実施例では、針金又はバンド8により可撓性部材2を配管用パイプ7に捲回して固定する。可撓性部材2の上下両端は自由端とされている。これによりシロアリが地中から配管用パイプ7の外周面を登坂して建物内部に侵入することを阻止できる。
【0023】
【実施例7】
図7に示すシロアリ食害防止構造は、建物下部を構成する木材9a、9b同士の接合部分に、可撓性部材2を固定したものである。下側の木材9aは上下方向に伸び、その上端面に木材9bが水平方向に載置接合されている。可撓性部材2の面積は木材9aの上面よりも広く、可撓性部材2の外周端部が木材9aの外周縁よりも1cm〜10cm幅程度はみ出している。可撓性部材2の固定方式は、木材9a、9bの設置場所や用途などによっては、木材9a、9b同士の上下接合面の間に可撓性部材2を単に介装させるだけでもよい。固定強度を高めたい場合は、接着剤又は釘打ちにより固定することができる。図7で示した接合部材は双方とも木材9a、9bであるが、接合部材の上側がシロアリ食害をうけやすい繊維素材などにも広く適用できる。例えば、木材の上に繊維素材が接合されている場合、両者の間に可撓性部材2を介装させる。地面側木材9aと建物側木材9bの間に可撓性部材2を固定したことにより、シロアリが地面側木材9aの表面を登って建物側木材9bに向かおうとしても、可撓性部材2により建物側木材9bへの侵入は阻止される。また、シロアリが木材内部に侵入して食害が蔓延することを防止できる。万一、木質部材にシロアリが侵入しても食害の蔓延を最小限に抑えることができる。
【0024】
【実施例8】
図8に示す防蟻構造は、コンクリート基礎3の側壁面に可撓性部材2を水平に固定し、その任意箇所に毒餌6を配置しておき、シリアリを可撓性部材2に沿って毒餌6に到達するように誘導し、蟻道を形成させるようにしたものである。毒餌6として使用する毒性物質は、既知のシロアリ防除用の毒性物質であれば何でもよいが、シロアリを巣ごと根絶させるためにはベイト剤が好ましい。コンクリート基礎3を登坂して土台1に向かうシロアリは、可撓性部材2により上方への移動が阻止される。このためシロアリは可撓性部材2に沿って水平方向に移動する。つまり、シロアリを毒餌6に向かって強制移動させ蟻道を形成させるものである。
【0025】
【試験例】
上記実施例について防蟻効果の確認試験を行なった。
縦70cm×横70cm×高さ100cmのステンレス製シロアリ飼育槽の中で飼育しているイエシロアリのコロニーに対し、ポリエチレン製の可撓性部材2による蟻道形成阻止効果の確認試験を行った。1.5cm幅の両面テープを用いて、7cm幅の帯状の可撓性部材2の中心部をシロアリ飼育槽内面に固定し、シロアリ飼育槽内面を水平に一周させて設けた。そして、所定時間経過後(72時間経過後)にイエシロアリによる蟻道の形成状況を調べた。その結果、シロアリ飼育槽の底面からステンレス内壁の上方部に向かって延びてきた蟻道は、可撓性部材2を固定した部分で水平方向に向きを変え、それよりも上方側領域に蟻道が延びることはなかった。可撓性部材2によって蟻道の上方への形成進行が阻止される、ということが判明した。また、可撓性部材2により蟻道の形成が上方方向から水平方向に直角に方向転換し、可撓性部材2の長さ方向に沿って横方向に蟻道が誘導されるということが判明した。
【0026】
次に、屋外に自然状態で生息するイエシロアリ(宮崎県宮崎市の海岸松林内に生息)に対し、可撓性部材2による蟻道形成阻止の確認試験を行った。イエシロアリの巣の近傍に11cm角、高さ4cmのレンガを置き、その上部に餌木となるアカマツ材を載せた。これらの上に風雨を防ぐ目的で、上下計四箇所に穴をあけたプラスチック製容器を二重にかぶせた。それから1〜3週間経過後にレンガの表面を観察したところ、すべてのレンガと餌木に蟻道が形成されたことを確認した。そのあと、使用した餌木を別の餌木と交換し、レンガと餌木の間に可撓性部材2を挟んで固定した。供試した可撓性部材2は、厚さ0.03mmのナイロン12(供試例1)、厚さ0.035mmのポリエチレン(供試例2)、工事用ブルーシート断片(供試例3)とした。供試例1〜3は、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有していた。また、比較のために厚さ2.00ミリのアクリル板(比較例1)、厚さ1.00ミリのアルミ板(比較例2)についても同様な試験を行った。比較例1、2は硬くて柔軟性がなく、自重で垂れ下がることがなかった。供試例1〜3及び比較例1、2のサイズは、すべて13cm角とした。また、供試例1〜3及び比較例1、2の外周部はレンガの外周から数cmだけはみ出すように設定した。
【0027】
1〜3週間経過後にレンガの表面を観察したところ、比較例1、2では、すべてのレンガと餌木に蟻道が形成されたのに対して、供試例1〜3では蟻道の形成が少なくなり、餌木には蟻道の形成がみられなかった。これにより、供試例1〜3の方が比較例1、2に比べて蟻道の形成阻止効果が顕著にあらわれることを確認した。同様の試験を前記試験地内で、イエシロアリに代えてヤマトシロアリについて行った。ヤマトシロアリに対しても上記と同様の試験結果が得られ、比較例1、2では全てのレンガと餌木に蟻道が形成された一方、供試例1〜3では蟻道の形成が阻害され、餌木には蟻道形成がみられなかった。本実施例に係るシート状またはフィルム状の可撓性部材2を使用すれば、蟻道の形成阻止効果が有効に生ずることが判明した。この蟻道形成阻止効果は、自重で垂れ下がる可撓性部材2の柔軟性にあり、使用時に可撓性部材2の外周部がヒラヒラと自由に動けることが、シロアリに対して生態的行動習性になんらかの影響を与えていると考えられる。
【0028】
次に、テストピースとしてのコンクリート製の円柱部材を縦置きにして用い、この外周面に可撓性部材2を水平に巻き付け、可撓性部材2による蟻道形成阻止の確認試験を行った。すなわち、直径12.5cm、高さ25cmのコンクリート製テストピースの上下方向中央付近の周面に、幅7cmの可撓性部材2を一周して巻き付け針金で捲回固定した。この場合、可撓性部材2の上側端部は固定せずに自由に動けるようにした。供試した可撓性部材2の材質は、上記供試例1〜3と同一とした。コンクリート製テストピースの上面に餌木となるアカマツ材のブロックを載せ、屋外に自然状態で生息するイエシロアリ(宮崎県串間市の海岸松林内に生息)、及びヤマトシロアリ(宮崎県新富町の海岸松林内に生息)の巣の近傍に設置した。コンクリート製テストピースの大きさは10cm角とし、可撓性部材2の大きさは14cm角とした。可撓性部材2の固定端から自由端までは1cm〜数cmとした。
【0029】
比較のために、可撓性部材2が巻付け固定されていないコンクリート製テストピースの上面に、餌木となるアカマツ材のブロックを載せ、上記同様にイエシロアリ及びヤマトシロアリの巣の近傍に設置した。数週間経過後にアカマツ材のブロック表面を観察した。その結果、可撓性部材2を巻き付けていないテストピースの上に置かれたアカマツブロックは、イエシロアリ及びヤマトシロアリにより著しい食害を受けたが、可撓性部材2を巻き付けたテストピースの上に置かれたアカマツブロックは、全く食害を受けることがなく、しかも、蟻道が可撓性部材2を越えてアカマツブロックに形成されることは全くなかった。これにより可撓性部材2は、イエシロアリによる食害蔓延を有効に防止できることが判明した。
【0030】
次に、屋外に自然状態で生息するハチ目のアリに対して、侵入阻止効果の確認試験を行った。アリの巣の近傍に11cm角、高さ4cmのレンガを置き、その上部に餌となる砂糖を載せた。数時間経過後に、多数のアリが巣からレンガの上面まで登って砂糖に到達する行動、いわゆるアリの行列を確認した。一方、レンガの上に可撓性部材2を置き、その上に砂糖を載せた。可撓性部材2はレンガの上面よりも広く、可撓性部材2の外周部がレンガから1cm〜数cmはみ出るように固定した。供試した可撓性部材2の材料としては、厚さ0.03mmのナイロン12、厚さ0.035mmのポリエチレン、工事用ブルーシート断片を用いた。数時間経過後にアリの行動を観察した。その結果、供試したすべての可撓性部材2に関して、アリが可撓性部材2を越えてレンガの上面まで登ることはできず、砂糖に向かおうとするアリの移動侵入が確実に阻止された。これにより、シロアリ以外のハチ目のアリについても、可撓性部材2による侵入阻止効果が有効に発揮されることを確認した。ハチ目のアリに代えて、不快害虫たとえばワラジムシ、ヤスデについても上記と同様の試験を行ったところ、これら不快害虫についても、可撓性部材2による侵入阻止効果が有効であることを確認できた。
【0031】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、種々の応用変形が可能である。上記実施例では可撓性部材の素材を有機高分子材料としたが、無機材料を用いることもできる。すなわち、可撓性部材の周部を建物の基礎部からはみ出して固定し、はみ出し部分が、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有していれば、上記実施例と遜色のない蟻道の形成阻止効果及びシロアリや不快害虫などの侵入阻止効果が得らる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、以下の優れた効果がある。
(1)建物の基礎部、木製床下部材、配管用パイプなどの所定位置に安価な可撓性部材を取り付けるだけで済むので施工が容易で且つコストの削減効果も高く実用性がある。
(2)忌避剤等の化学薬品を一切使うことなくシロアリを効果的に排除することができ、シックハウス症候群等の健康被害を防止できるので、住環境の観点からも好ましいものとなる。
(3)有害な化学薬品を使用しないことで建物の解体や廃棄を行う際も利点となる。
(4)副次的な効果として、ワラジムシ、ヤスデ等の不快害虫の家屋内への侵入をも阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建物の防蟻構造の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る建物の防蟻構造の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】配管用パイプに可撓性部材を固定した状態を示す斜視図である。
【図7】木材同士の接合部に可撓性部材を介装させた状態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る蟻道誘導構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 木製土台(木質部材、木製軒下部材)
2 可撓性部材(シート状またはフィルム状の部材)
2a 固着型固定手段
3 コンクリート製基礎部
4 束石(建物の基礎部)
5 束柱(木質部材)
7 配管用パイプ(地面設置体)
8 巻付け型固定手段
9a 下側木材
9b 上側木材

Claims (5)

  1. 建物の基礎部とその上に設置される木質部材との間に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材の少なくとも一側端辺が前記基礎部の側方に延出するように介在させたことを特徴とする建物の防蟻構造。
  2. 建物の基礎部側壁に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材の少なくとも一側端辺が前記基礎部の側方に延出するように固着したことを特徴とする建物の防蟻構造。
  3. 建物内部に導引される配管用パイプ等の設置物の外周面に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材を捲回して設けたことを特徴とする建物の防蟻構造。
  4. 建物の基礎部側壁又は上壁面に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する帯状の可撓性部材を任意方向に向かって延出して固着したことを特徴とする蟻道誘導構造。
  5. 建物の木質部材同士の接合部に、自重で垂れ下がる程度の柔軟性を有する可撓性部材を介在させたことを特徴とするシロアリ食害防止構造。
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