JP2006197947A - エキソヌクレアーゼ活性が低減された耐熱性dnaポリメラーゼおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸の増幅効率が優れた新規な耐熱性DNAポリメラーゼを提供する。
【解決手段】3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であって、下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼおよび該酵素を使用する核酸増幅法ならびにそのための試薬。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。
【選択図】なし
【解決手段】3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であって、下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼおよび該酵素を使用する核酸増幅法ならびにそのための試薬。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。
【選択図】なし
Description
本発明はエキソヌクレアーゼ活性が低減された耐熱性DNAポリメラーゼおよび該酵素を用いた核酸の増幅方法ならびに該方法に使用する試薬に関する。
従来から、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の核酸を増幅する技術に用いる耐熱性DNAポリメラーゼに関する研究が多くなされている。PCR反応に用いられる耐熱性DNAポリメラーゼは、主としてサーマス・サーモフィラス(Thermusthermophilus) 由来のDNAポリメラーゼ(Tthポリメラ−ゼ) やサーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus) 由来のDNAポリメラ−ゼ(Taqポリメラーゼ)などが用いられてきた。しかしながら、これらの耐熱性DNAポリメラ−ゼは、核酸の取り込みの際の正確性に欠けたり、増幅効率が低いなどの問題がある。
また、超好熱始原菌由来のDNAポリメラーゼ、たとえばパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus) 由来の耐熱性DNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ、WO92/09689、特開平5-328969号公報)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来の耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Tliポリメラーゼ、特開平6-7160号公報)、パイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来の耐熱性DNAポリメラーゼ(KODポリメラーゼ、特開平7-298879号公報)なども知られている。
これら超好熱始原菌由来のポリメラーゼは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が存在し、核酸の取り込みの際の正確性は、TaqポリメラーゼやTthポリメラーゼに比べて優れている。しかしながら、これらの耐熱性DNAポリメラ−ゼは核酸の増幅効率が充分でないなどの問題がある。また、超好熱始原菌、例えばパイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来のポリメラーゼは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が存在し、PCRの反応時間、酵素量、プライマー濃度等の条件が狭いとの問題がある。
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもつDNAポリメラーゼを用いたPCR反応の上記問題点は、エキソヌクレアーゼ活性が強すぎることに起因すると考えられる。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性をもつDNAポリメラーゼのアミノ酸配列中には、このエキソヌクレアーゼに関して高度に保存されたアミノ酸領域が知られている(EXO I, EXO II, EXO III 、図1)。エキソI(EXOI)領域にはX1 DX2 EX3 モチーフが存在し、これらのアミノ酸、D(アスパラギン酸)とE(グルタミン酸)はエキソヌクレアーゼ活性に必須であることが知られている。これらのアミノ酸、DとEを中性アミノ酸であるA(アラニン)に置換することによって、エキソヌクレアーゼ活性を欠失または1万分の1以下に低減させることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この場合は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が弱くなりすぎており、核酸の取り込みの際の正確性や増幅効率に問題があり、新規な耐熱性DNAポリメラーゼが待ち望まれていた。
Kongら(1993)、Journal of Biological Chemistry, vol.268, 1965-1975
Kongら(1993)、Journal of Biological Chemistry, vol.268, 1965-1975
そこで、本発明者らは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼにおいて、該酵素のEXO1領域に存在するX1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換することにより、様々な強さの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性有する耐熱性DNAポリメラーゼが得られることを見い出した。更に、これら改変された耐熱性DNAポリメラーゼは、従来からPCRに使用されている耐熱性DNAポリメラーゼに比べて、正確性および増幅効率が優れていることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であることを特徴とする耐熱性DNAポリメラーゼである。
また、本発明は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミ酸を他のアミノ酸に置換した耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子である。
本発明は上記遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組換えベクターである。
本発明は上記遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組み換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換した組換え宿主細胞である。
本発明は上記遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組み換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換した組換え宿主細胞を培養し、培養物から耐熱性DNAポリメラ−ゼを採取することを特徴とする耐熱性DNAポリメラ−ゼの製造法である。
本発明はDNAを鋳型とし、プライマー、dNTPおよび上記耐熱性DNAポリメラーゼを反応させて、プライマーを伸長して、DNAプライマー伸長物を合成することを特徴とする核酸増幅法である。
本発明は、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTPおよび請求項1〜12のいずれか1項記載の耐熱性DNAポリメラーゼ、2価イオン、1価イオンおよび緩衝液を含む核酸増幅用試薬である。
本発明では、例えばパイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来のDNAポリメラーゼのDNAの合成速度や熱安定性を保持したまま、改変前の該酵素に比べて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を低下させた改変型耐熱性酵素を作り出すことができた。また、DNA合成速度が少なくとも20塩基/秒であって、pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間処理で10%以上の残存活性を保持することができる耐熱性DNAポリメラーゼであって、改変前の酵素に比べて、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下した酵素を用いることにより、改変前の酵素を用いるよりも増幅効率が上昇する。
本発明の耐熱性DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であって、X1DX2 EX3 モチーフを含むエキソ1(EXO1)領域を有する耐熱性DNAポリメラーゼは、その起源を問わない。例えば、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus) 由来の耐熱性DNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来の耐熱性DNAポリメラ−ゼ、パイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来の耐熱性DNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima) 由来の耐熱性DNAポリメラーゼなどが例示される。
本発明では、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換することによって、改変前の酵素に比べて、95%以下、好ましくは90〜0%である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素が得られる。置換するアミノ酸の種類によって、種々の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼが得られる。
本発明の一実施態様としては、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であり、さらに、下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼがある。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。
また、本発明の別な実施態様としては、さらに下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼがある。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
本発明の別な実施態様としては、下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼがある。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
至適温度:約75℃分子量:88〜90KDaアミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列のエキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
至適温度:約75℃分子量:88〜90KDaアミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列のエキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
本発明では、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフとしては、例えばPheAspIleGluThrがある。
本発明の一実施態様としては、下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼがある。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
至適温度:約75℃分子量:88〜90KDaアミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第140番目、第142番目および第144番目の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
至適温度:約75℃分子量:88〜90KDaアミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第140番目、第142番目および第144番目の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
本発明のさらに具体な例としては、配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、リジン(Lys)またはアルギニン(Arg)に置換した耐熱性DNAポリメラーゼなどが挙げられる。また、配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第144番目のX3 (Thr)をバリン(Val)に置換した耐熱性DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
本発明において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
その活性測定法は、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行う。本発明では、下記A液25μl、B液およびC液各5μlおよび滅菌水10μlをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合した後、上記酵素液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後、さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム 15mM ジチオスレイトール 100μg/ml BSA B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔 3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム 15mM ジチオスレイトール 100μg/ml BSA B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔 3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris-HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl2, 0.1% Triton X-100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンチューブにに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
本発明において、DNA合成速度とは、単位時間当たりのDNAの合成数をいう。その測定法はDNAポリメラーゼの反応液(20mM Tris-HCl(pH7.5), 8mM塩化マグネシウム、7.5mM ジチオスレイトール、100 μg/ml BSA, 0.1mM dNTP, 0.2μCi [α-32P]dCTP)を、プライマーをアニーリングさせたM13mp181本鎖DNAと75℃で反応させる。反応停止は等量の反応停止液(50mM 水酸化ナトリウム、10mM EDTA, 5% フィコール、0.05% ブロモフェノールブルー) を加えることにより行う。上記反応にて合成されたDNAをアルカリアガロースゲル電気泳動にて分画した後、ゲルを乾燥させオートラジオグラフィーを行う。DNAサイズマーカーとしてはラベルしたλ/HindIIIを用いる。このマーカーのバンドを指標として合成されたDNAのサイズを測定することによって、DNA合成速度を求める。
本発明において、熱安定性とは、pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理での残存活性を意味する。
これらの改変された酵素を製造する方法としては、天然型KODポリメラーゼをコードする遺伝子に変異を導入して、蛋白工学的手法により、天然型KODポリメラーゼに比べて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下した新規な酵素を製造する方法がある。
変異を導入するためのKODポリメラーゼをコードする遺伝子は特に限定されないが、本発明の一実施態様は、パイロコッカス(Pyrococcous) sp.KOD由来の配列表・配列番号3に記載の遺伝子を用いた。
本発明の別な実施態様は、配列番号1に記載されたアミノ酸配列をコードする遺伝子に変異を導入して、天然型KODポリメラーゼに比べて3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が低下した新規な酵素を製造する。
天然型KODポリメラーゼ遺伝子に変異を導入する方法は、既知のいかなる方法でも用いることができる。例えば天然型KODポリメラーゼ遺伝子DNAと変異源となる薬剤を接触させる方法や紫外線照射による方法などから、蛋白工学的な手法、例えばPCR法や部位特異的変異などの方法を用いることができる。また、遺伝子修復機構が欠損されたため、高頻度に遺伝子に変異が起こる大腸菌を用いた in vivoでの変異の導入も可能である。本発明で使用したカメレオン site-directed mutagenesisキット(ストラタジーン社製)とは、(1) 目的とする遺伝子を挿入したプラスミドを変性させ、該プラスミドに変異プライマーと選択プライマーとアニーリングさせる。(2) 次にDNAポリメラーゼでDNA合成を行った後、ライゲースにてライゲーション反応を行う。(3) 選択プライマー中に存在しないが、鋳型となるプラスミドに存在する制限酵素でプラスミドを切断し、変異の挿入されていないDNAを切断する。(4) 次に残されたプラスミドで大腸菌を形質転換する。(5) 形質転換体から変異プラスミドを調製し、(3),(4) を繰り返し、目的とする変異の挿入されたプラスミドを得る方法である。
上記改変ポリメラーゼ遺伝子をベクターに挿入して、例えば大腸菌を形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12〜20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。菌体を破砕する方法は、公知のいかなる手法を用いてもよく、例えば超音波処理やガラスビール破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。この粗酵素を熱処理、例えば80℃、30分間処理し、宿主由来のポリメラーゼを失活させ、DNAポリメラーゼ活性を測定する。次に3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定し、両者の活性比率を天然型KODポリメラーゼを比較することにより、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の低下した酵素をスクリーニングすることができる。
上記方法により選抜された菌株から精製DNAポリメラーゼを取得する方法は、公知のいかなる手法を用いても良く、例えば下記方法がある。栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的または物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から熱処理、例えば80℃、30分間処理し、その後、硫安沈殿によりKODポリメラーゼ画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(ファルマシア・バイオテク)ゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。この操作の後、Qセファロース、ヘパリンセファロースなどのカラムクロマトグラフィーにより分離、精製し、精製酵素標品を得ることができる。この精製酵素標品はSDS−PAGEによってほぼ単一のバンドを示す程度に純化される。
本発明の改変された耐熱性DNAポリメラーゼを使用して、DNAを鋳型とし、プライマー、dNTPを反応させて、プライマーを伸長して、DNAプライマー伸長物を合成することができる。プライマーは2種のオリゴヌクレオチドであって、1方は他方のDNA伸長生成物に相補的であるプライマーであることが好ましい。また、加熱および冷却を繰り返す。本発明のDNAポリメラーゼは、その活性を維持するために、2価イオン、例えばマグネシウムイオンおよび1価イオン、例えばアンモニウムイオンおよび/またはカリウムイオンを共存させることが好ましい。また、PCR反応液には、緩衝液およびこれらのイオンを含むともに、BSA、非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100および緩衝液が存在していてもよい。
本発明の核酸増幅用試薬は、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTPおよび上記耐熱性DNAポリメラーゼ、2価イオン、1価イオンおよび緩衝液を含み、さらに具体的には、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTPおよび上記耐熱性DNAポリメラーゼ、マグネシウムイオンおよびアンモニウムイオンまたは/およびカリウムイオン、BSAおよび非イオン界面活性剤および緩衝液を含む。
次に実施例を用いて本発明を説明する。
参考例1
超好熱始原菌KOD由来のDNAポリメラーゼ遺伝子のクローニング
鹿児島県子宝島にて単離した超好熱始原菌KOD1株を95℃にて培養後、菌体を回収した。得られた菌体から常法に従い、超好熱始原菌KOD株の染色体DNAを調製した。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus) 由来のDNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ) の保存領域アミノ酸配列に基づき、2種のプライマー(5'-GGATTAGTATAGTGCCAATGGSSGGCGA-3' および5'-GAGGGCAGAAGTTTATTCCGAGCTT-3')を合成した。この2種のプライマーを使用し、調製したDNAを鋳型として、PCR反応を行った。
参考例1
超好熱始原菌KOD由来のDNAポリメラーゼ遺伝子のクローニング
鹿児島県子宝島にて単離した超好熱始原菌KOD1株を95℃にて培養後、菌体を回収した。得られた菌体から常法に従い、超好熱始原菌KOD株の染色体DNAを調製した。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus) 由来のDNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ) の保存領域アミノ酸配列に基づき、2種のプライマー(5'-GGATTAGTATAGTGCCAATGGSSGGCGA-3' および5'-GAGGGCAGAAGTTTATTCCGAGCTT-3')を合成した。この2種のプライマーを使用し、調製したDNAを鋳型として、PCR反応を行った。
PCR増幅DNA断片の塩基配列を決定し、アミノ酸配列を決定した後、この増幅DNA断片をプローブとして、KOD1株染色体DNA制限酵素処理産物に対してサザンハイブリダイゼーションを行い、DNAポリメラーゼをコードする断片のサイズを求めた(約4〜7Kbp)。さらに、この大きさのDNA断片をアガロースゲルから回収し、プラスミドpBS(ストラタジーン社製)に挿入し、これらの混合物より大腸菌(E.coli JM109)を形質転換して、ライブラリーを作製した。サザンハイブリダイゼーションに使用したプローブを用いて、コロニーハイブリダイゼーションを行い、上記ライブラリーから、KOD1株由来のDNAポリメラーゼ遺伝子を含有すると考えられるクローン株(E.coli JM109/pSBKOD1)を取得した。
取得したクローン株、(E.coli JM109/pSBKOD1)よりプラスミド、pSBKOD1を回収し、常法に従い、塩基配列を決定した。さらに求められた塩基配列からアミノ酸配列を推定した。KOD1株由来のDNAポリメラーゼ遺伝子は5010塩基からなり、1670個のアミノ酸がコードされていた(配列番号1)。
完全なポリメラーゼ遺伝子を作成するため、2箇所の介在配列(1374〜2453bp:2708〜4316bp)をPCR融合法により取り除いた。PCR融合法では、クローン株より回収したプラスミドを鋳型に、3組のプライマーを組み合わせて、各々PCRを行い、介在配列を除いた3断片を増幅した。この際、PCRに用いるプライマーは、他の断片と結合する側に結合相手と同様な配列がくるように設計した。また、両端には別々な制限酵素サイト(N末端側:EcoRV、C末端側:BamHI)が創出されるように設計した。次いで、PCR増幅断片中、構造上中央に位置する断片と、N末端側に位置する断片を混合し、PCRを各々の断片をプライマーとして行った。また、同様に構造上、中央に位置する断片と、C末端側に位置する断片を混合し、PCRを各々の断片をプライマーとして行った。このようにして得られた2種の断片を用いて再度PCRを行い、介在配列が取り除かれ、N末端にEcoRV、C末端にBamHIサイトを有するKOD1株由来のDNAポリメラーゼをコードする完全な形の遺伝子断片を取得した。更に、同遺伝子をT7プロモーターで誘導可能な発現ベクター、pET−8cのNcoI/BamHIサイト、先に創出した制限酵素サイトを利用し、サブクローニングして、組換え発現ベクター(pET−pol)を得た。なお、E.coli BL21(DE3)/pET−polは、生命工学工業研究所へ寄託されている(FERM BP−5513)。
実施例1
KODポリメラーゼ遺伝子のサブクローニング
耐熱性DNAポリメラーゼを改変するために、プラスミドpET−polからKODポリメラーゼ遺伝子を切り出し、pBluescriptにサブクローニングした。すなわちpET−polを制限酵素、XbaIとBamHI(東洋紡製)で切断し、約2.3kbのKODポリメラーゼ遺伝子を切り出した。次にこのDNA断片をライゲーションキット(東洋紡製 Ligation high) を用いて、XbaIとBamHIで切断したプラスミドpBluescript SK(−)と連結した。次に、市販のコンピテントセル(東洋紡製 competent high JM109)を用いて形質転換を行った。100μg/mlのアンピシリンを含んだLB寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、1.5%寒天、ギブコ社製)で35℃で16時間培養し、得られたコロニーからプラスミドを調製した。さらに、部分塩基配列を確認してKODポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミドpKOD1を得た。
KODポリメラーゼ遺伝子のサブクローニング
耐熱性DNAポリメラーゼを改変するために、プラスミドpET−polからKODポリメラーゼ遺伝子を切り出し、pBluescriptにサブクローニングした。すなわちpET−polを制限酵素、XbaIとBamHI(東洋紡製)で切断し、約2.3kbのKODポリメラーゼ遺伝子を切り出した。次にこのDNA断片をライゲーションキット(東洋紡製 Ligation high) を用いて、XbaIとBamHIで切断したプラスミドpBluescript SK(−)と連結した。次に、市販のコンピテントセル(東洋紡製 competent high JM109)を用いて形質転換を行った。100μg/mlのアンピシリンを含んだLB寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、1.5%寒天、ギブコ社製)で35℃で16時間培養し、得られたコロニーからプラスミドを調製した。さらに、部分塩基配列を確認してKODポリメラーゼ遺伝子を含むプラスミドpKOD1を得た。
実施例2
改変型遺伝子(IN)の作製および改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例1で得られたプラスミドpKOD1を用いて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをアスパラギンに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子をもつプラスミドを作製した(pKODIN)。作製はカメレオンsite-directed mutagenesisキット(ストラタジーン社製)を用いた。方法は取扱説明書に準じて行った。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号5に記載のプライマーを用いた。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、JM109(pKODIN)を得た。
改変型遺伝子(IN)の作製および改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例1で得られたプラスミドpKOD1を用いて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをアスパラギンに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子をもつプラスミドを作製した(pKODIN)。作製はカメレオンsite-directed mutagenesisキット(ストラタジーン社製)を用いた。方法は取扱説明書に準じて行った。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号5に記載のプライマーを用いた。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、JM109(pKODIN)を得た。
滅菌処理した100μg/mlのアンピシリンを含んだTB培地(MolecularCloning 、p.A.2に記載)6Lを10Lジャーファーメンターに分注した。この培地に予め100μg/mlのアンピシリンを含んだ50mlのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、ギブコ社製)で30℃、16時間培養した大腸菌JM109(pKODIN)(500ml坂口フラスコ使用)を接種し、35℃で12時間通気攪拌培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、400mlの破砕緩衝液(10mMTris-HCl(pH8.0), 80mM KCl, 5mM 2-メルカプトエタノール、1mM EDTA) に懸濁後、超音波処理によって菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に, 細胞破砕液を85℃にて30分処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。さらにポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、 硫安分画、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris-HCl(pH8.0), 50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20, 0.1%ノニデットP40, 50%グリセリン)に置換し、改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IN)を得た。上記精製工程のDNAポリメラーゼ活性測定は以下の操作で行った。また、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行った。
(試薬)
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム 15mM ジチオスレイトール 100μg/ml BSAB: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNAC: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔 3H〕dTTPD: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム 15mM ジチオスレイトール 100μg/ml BSAB: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNAC: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔 3H〕dTTPD: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
(方法)A液25μl、B液およびC液各5μlおよび滅菌水10μlをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合後、上記熱処理液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定した。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とした。
実施例3
変異体(IE)遺伝子の作製および改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをグルタミン酸に置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIE)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号6に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IE)を得た。
変異体(IE)遺伝子の作製および改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをグルタミン酸に置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIE)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号6に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IE)を得た。
実施例4
変異体(IQ)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをグルタミンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIQ)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号7に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IQ)を得た。
変異体(IQ)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをグルタミンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIQ)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号7に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IQ)を得た。
実施例5
変異体(ID)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをアスパラギン酸に置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODID)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号8に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(ID)を得た。
変異体(ID)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にて、KODポリメラーゼのEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X2 のイソロイシンをアスパラギン酸に置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODID)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号8に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(ID)を得た。
実施例6
変異体(TV)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEX01領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X3 のチロシンをバリンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODTV))。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(TV)を得た。
変異体(TV)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEX01領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのうち、X3 のチロシンをバリンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODTV))。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(TV)を得た。
実施例7
変異体(IK)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのXのうち、X2 のイソロイシンをリジンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIK)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IK)を得た。
変異体(IK)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのXのうち、X2 のイソロイシンをリジンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIK)。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IK)を得た。
実施例8
変異体(IR)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのXのうち、X2 のイソロイシンをアルギニンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIR))。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IR)を得た。
変異体(IR)遺伝子の作製及び改変型耐熱性DNAポリメラーゼの精製
実施例2と同様の方法にてEXO1領域に存在するX1 DX2 EX 3モチーフのXのうち、X2 のイソロイシンをアルギニンに置換した耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を作製した(pKODIR))。選択プライマーとしては配列番号4に記載のプライマーを使用した。変異プライマーは配列番号9に記載のプライマーを用いた。更に、実施例2と同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(IR)を得た。
実施例9
改変型耐熱性DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性の確認
上記実施例2〜8で得られた改変型耐熱性DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を以下の方法にて測定した。対照として、天然型のKODポリメラーゼ(東洋紡製)を用いた。50μlの反応液(120mM Tris-HCl(pH8.8 at 25℃),10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム, 1mM MgCl2, 0.1% Triton X-100, 0.001% BSA, 5μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンチューブにに分注し、上記DNAポリメラーゼをそれぞれ0.5ユニット、1ユニット、1.5ユニット加えて、75℃で10分間反応させた。氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして0.1%のBSAを50ml加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合した。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離した。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定した。図2R>2に各DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性とDNAの分解率を示した。更に天然型のKODポリメラーゼとのエキソヌクレアーゼ活性の比を図3に示した。このように本発明によれば様々な強さの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼが得られることを示した。天然型のKODポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対して、INは約95%、IEは約76%、IQは約64%、IDは約52%、TVは約48%、IKは約30%、IRは約0%の同活性を有していた。
改変型耐熱性DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性の確認
上記実施例2〜8で得られた改変型耐熱性DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を以下の方法にて測定した。対照として、天然型のKODポリメラーゼ(東洋紡製)を用いた。50μlの反応液(120mM Tris-HCl(pH8.8 at 25℃),10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム, 1mM MgCl2, 0.1% Triton X-100, 0.001% BSA, 5μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンチューブにに分注し、上記DNAポリメラーゼをそれぞれ0.5ユニット、1ユニット、1.5ユニット加えて、75℃で10分間反応させた。氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして0.1%のBSAを50ml加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合した。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離した。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定した。図2R>2に各DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性とDNAの分解率を示した。更に天然型のKODポリメラーゼとのエキソヌクレアーゼ活性の比を図3に示した。このように本発明によれば様々な強さの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼが得られることを示した。天然型のKODポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対して、INは約95%、IEは約76%、IQは約64%、IDは約52%、TVは約48%、IKは約30%、IRは約0%の同活性を有していた。
実施例10
改変型DNAポリメラーゼを用いたPCR
天然型KODポリメラーゼまたは改変型耐熱性DNAポリメラーゼIN,IE,IQ,ID,TV,IK,IRを用いて、PCR反応を行った。50mlの反応液(120mM Tris-HCl(pH8.0 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム, 1mM MgCl2, 0.2mM dNTP, 0.1% Triton X-100, 0.001% BSA, 1ng の制限酵素ScaIで直鎖状にしたプラスミドpBR322、10ピコモルの配列表12、13記載のプライマー)に各酵素を2.5ユニット加えてPCR反応を行った。サーマルサイクラーはパーキンエルマー社製のモデルPJ2000を用いた。また反応条件は94℃、30秒→68℃、2分30秒を25サイクル行った。また、Taqポリメラーゼ(東洋紡製)も同様にしてPCR反応を行った。ただし、反応液組成は(10mM Tris-HCl(pH8.8 at 25 ℃), 50mM KCl,1.5mM MgCl2,0.2mM dNTP, 0.1% Triton X-100, 1ng の制限酵素ScaIで直鎖状にしたプラスミドpBR322、10ピコモルの配列表12および13記載のプライマー)で行った。反応終了後、5mlの反応液についてアガロースゲル電気泳動を行い、約4.3kbのターゲットの増幅を確認した。図4にアガロースゲル電気泳動の結果を示した。この結果、改変型DNAポリメラーゼIN,IE,IQ,ID,TV,IK,IRを用いてPCRを行った場合、天然型のKODポリメラーゼを用いるよりも良好な増幅であった。
改変型DNAポリメラーゼを用いたPCR
天然型KODポリメラーゼまたは改変型耐熱性DNAポリメラーゼIN,IE,IQ,ID,TV,IK,IRを用いて、PCR反応を行った。50mlの反応液(120mM Tris-HCl(pH8.0 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム, 1mM MgCl2, 0.2mM dNTP, 0.1% Triton X-100, 0.001% BSA, 1ng の制限酵素ScaIで直鎖状にしたプラスミドpBR322、10ピコモルの配列表12、13記載のプライマー)に各酵素を2.5ユニット加えてPCR反応を行った。サーマルサイクラーはパーキンエルマー社製のモデルPJ2000を用いた。また反応条件は94℃、30秒→68℃、2分30秒を25サイクル行った。また、Taqポリメラーゼ(東洋紡製)も同様にしてPCR反応を行った。ただし、反応液組成は(10mM Tris-HCl(pH8.8 at 25 ℃), 50mM KCl,1.5mM MgCl2,0.2mM dNTP, 0.1% Triton X-100, 1ng の制限酵素ScaIで直鎖状にしたプラスミドpBR322、10ピコモルの配列表12および13記載のプライマー)で行った。反応終了後、5mlの反応液についてアガロースゲル電気泳動を行い、約4.3kbのターゲットの増幅を確認した。図4にアガロースゲル電気泳動の結果を示した。この結果、改変型DNAポリメラーゼIN,IE,IQ,ID,TV,IK,IRを用いてPCRを行った場合、天然型のKODポリメラーゼを用いるよりも良好な増幅であった。
実施例11
改変型DNAポリメラーゼのPCRでのDNA合成の正確性の測定
天然型のKODポリメラーゼ、改変型耐熱性DNAポリメラーゼIE、ID、IK、IRおよびTaqポリメラーゼについて、PCRでのDNA合成の正確性を以下の方法にて測定した。プラスミドpUR288(Current Protocols in Molecular Biology 1.5.6に記載)を制限酵素ScaIで切断した。このプラスミドを1ng用いて実施例10記載の方法と同様の方法にてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液についてアガロースゲル電気泳動を行い、約5.3kbのターゲットの増幅を確認した。残りの反応液をフェノール/クロロホルム処理し、次にエタノール沈殿を行った。沈殿を乾燥後50μlのHighバッファー(50mM Tris-HCl(pH7.5),100mMNaCl,10mM MgCl2, 1mM DTT)に溶解した。さらに制限酵素ScaI(東洋紡製)を10ユニット加えて、37℃で16時間反応させた。アガロースゲル電気泳動にて目的の増幅産物を分離し、その部分のアガロースを切り出した。このアガロースからジーンクリーン2(BIO101社製)を用いてDNAを精製した。精製したDNA10ngを10μlになるようにTEバッファー(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)で希釈し、ライゲーションキット(東洋紡製 Ligationhigh)の反応液10μlを加えて16℃で30分間反応した。次に市販のコンピーテントセル(東洋紡製 competent high JM109) を用いて形質転換を行った。
改変型DNAポリメラーゼのPCRでのDNA合成の正確性の測定
天然型のKODポリメラーゼ、改変型耐熱性DNAポリメラーゼIE、ID、IK、IRおよびTaqポリメラーゼについて、PCRでのDNA合成の正確性を以下の方法にて測定した。プラスミドpUR288(Current Protocols in Molecular Biology 1.5.6に記載)を制限酵素ScaIで切断した。このプラスミドを1ng用いて実施例10記載の方法と同様の方法にてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液についてアガロースゲル電気泳動を行い、約5.3kbのターゲットの増幅を確認した。残りの反応液をフェノール/クロロホルム処理し、次にエタノール沈殿を行った。沈殿を乾燥後50μlのHighバッファー(50mM Tris-HCl(pH7.5),100mMNaCl,10mM MgCl2, 1mM DTT)に溶解した。さらに制限酵素ScaI(東洋紡製)を10ユニット加えて、37℃で16時間反応させた。アガロースゲル電気泳動にて目的の増幅産物を分離し、その部分のアガロースを切り出した。このアガロースからジーンクリーン2(BIO101社製)を用いてDNAを精製した。精製したDNA10ngを10μlになるようにTEバッファー(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)で希釈し、ライゲーションキット(東洋紡製 Ligationhigh)の反応液10μlを加えて16℃で30分間反応した。次に市販のコンピーテントセル(東洋紡製 competent high JM109) を用いて形質転換を行った。
100μg/mlのアンピシリン、1mMのイソプロピルチオ−β−ガラクトシド(IPTG、ナカライテスク社製)、0.7%の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−gal(ナカライテスク社製))を含んだLB寒天培地(1%バクトトリプトン、0.5%イーストエキストラクト、0.5%塩化ナトリウム、1.5%寒天、ギブコ社製)で35℃で16時間培養し、コロニーをカウントした。pUR288にはlacZ遺伝子(β−ガラクトシダーゼ)が存在する。従って、PCR中のDNA合成が正確に行われた場合、上記寒天培地では青いコロニーを形成する。逆にDNA合成中に誤りが起こり、lacZ遺伝子のコードするβ−ガラクトシダーゼ活性が低下あるいは欠失した場合、薄い青色ないしは白色のコロニーを形成する。この薄い青コロニーと白コロニーを変異コロニーとして、各酵素を用いた場合の変異率(%)を表1に示した。
表1に示したように、本発明で得られた改変型耐熱性DNAポリメラーゼIE、ID、IK、IRは、天然型のKODポリメラーゼには劣るものの、Taqポリメラーゼより変異率が低く、すなわちDNA合成の正確性が高かった。
Claims (26)
- 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、パイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来の耐熱性DNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima) のいずれかに由来する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した酵素であることを特徴とする耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼである請求項1記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。 - 下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼ。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
アミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列のエキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列 - 下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼ。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
アミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第140番目、第142番目および第144番目の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列 - 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、リジン(Lys)またはアルギニン(Arg)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をアスパラギン酸(Asp)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をグルタミン酸(Glu)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をアスパラギン(Asn)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をグルタミン(Gln)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をリジン(Lys)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第142番目のX2 (Ile)をアルギニン(Arg)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第144番目のX3 (Thr)をバリン(Val)に置換した請求項4記載の耐熱性DNAポリメラーゼ。
- 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、エキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換した新規な耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子。
- 下記理化学的性質を有する改変された、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、パイロコッカス(Pyrococcus)sp.KOD1由来の耐熱性DNAポリメラーゼ、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima) のいずれかに由来する耐熱性DNAポリメラーゼである請求項13記載の耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも20塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で10%以上の残存活性を保持することができる。 - 下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
アミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列のエキソ1(EXO1)領域に存在するアミノ酸配列、X1 DX2 EX3 モチーフのうち、X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列 - 下記理化学的性質を有する改変された耐熱性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子。
作用:DNA合成活性を有し、改変前の酵素に比べて、95%以下である3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNA合成速度:少なくとも30塩基/秒熱安定性:pH8.8(25℃での測定値)にて95℃、6時間の処理で60%以上の残存活性を保持することができる。
アミノ酸配列:配列番号2に記載のアミノ酸配列中、第140番目、第142番目および第144番目の少なくとも1つのアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列 - 請求項13〜16のいずれか1項に記載される遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組換えベクター。
- ベクターが、pLED−M1またはpBluescript由来のベクターである請求項17記載の遺伝子組換えベクター。
- 請求項13〜16のいずれか1項に記載される遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組み換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換した組換え宿主細胞。
- 宿主細胞が大腸菌E.coliである請求項19記載の組換え宿主細胞。
- 請求項13〜16のいずれか1項に記載される遺伝子をベクターに挿入した遺伝子組み換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換した組換え宿主細胞を培養し、培養物から耐熱性DNAポリメラーゼを採取することを特徴とする耐熱性DNAポリメラーゼの製造法。
- DNAを鋳型とし、プライマー、dNTPおよび請求項1〜12のいずれか1項に記載される耐熱性DNAポリメラーゼを反応させて、プライマーを伸長して、DNAプライマー伸長物を合成することを特徴とする核酸増幅法。
- プライマーが2種のオリゴヌクレオチドであって、一方は他方のDNA伸長生成物に相補的である請求項22記載の核酸増幅法。
- 加熱および冷却を繰り返す請求項22記載の核酸増幅法。
- 一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTPおよび請求項1〜12のいずれか1項記載の耐熱性DNAポリメラーゼ、2価イオン、1価イオンおよび緩衝液を含む核酸増幅用試薬。
- 一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTPおよび請求項1〜12のいずれか1項記載の耐熱性DNAポリメラーゼ、マグネシウムイオンおよびアンモニウムイオンまたは/およびカリウムイオン、BSAおよび非イオン界面活性剤および緩衝液を含む核酸増幅用試薬。
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JP2010532979A (ja) * | 2007-07-13 | 2010-10-21 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー | 変異dnaポリメラーゼ及び関連方法 |
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