JP2006196846A - 多波長半導体レーザ装置 - Google Patents

多波長半導体レーザ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006196846A
JP2006196846A JP2005009564A JP2005009564A JP2006196846A JP 2006196846 A JP2006196846 A JP 2006196846A JP 2005009564 A JP2005009564 A JP 2005009564A JP 2005009564 A JP2005009564 A JP 2005009564A JP 2006196846 A JP2006196846 A JP 2006196846A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor laser
laser device
layer
coat film
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005009564A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Keiji Ito
啓司 伊藤
Keiji Yamane
啓嗣 山根
Takayuki Kajima
孝之 鹿嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005009564A priority Critical patent/JP2006196846A/ja
Publication of JP2006196846A publication Critical patent/JP2006196846A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

【課題】 波長の異なる複数の半導体レーザ部を備えた多波長半導体レーザ装置あって、高出力特性を得るために適した出射端コート膜を備えた多波長半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】 赤色半導体レーザ部1と赤外半導体レーザ部2は、半導体基板101を共有して多波長半導体レーザ装置100を構成している。共振器本体160の端面のうち、活性層104および124を伝搬する光を取り出す面に形成された出射端コート膜170は、所定の屈折率n(1.45≦n≦1.6または、2.05≦n≦2.25)の誘電体単層膜であって、所定の膜厚t(λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m、mは自然数)になっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多波長半導体レーザ装置に関する。
半導体レーザ装置は、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの多くの分野で広く使用されており、特に、大容量記録媒体(メディア)として現在盛んに用いられているCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル多用途ディスク)等の再生・書き込み装置(光ディスク装置)では、必要不可欠な光デバイスになっている。
DVDは、CDに比べてピット長およびトラック間隔が小さい。従って、用いる半導体レーザの波長も、CDに比べDVDの方が短い。具体的には、CD用のレーザの発振波長が780nm帯であるのに対し、DVD用レーザの発振波長は650nm帯である。
ひとつの光ディスク装置でCDおよびDVDの両方の情報を検出するためには、発振波長が780nm帯のレーザ(赤外半導体レーザ)素子と650nm帯のレーザ(赤色半導体レーザ)素子とを一つの光ディスク装置に備えている必要がある。近年では、光ピックアップ装置の小型化、軽量化のために、異なる波長の光を出射する半導体レーザ素子を1チップ化した多波長半導体レーザ装置(レーザアレイ、集積化半導体レーザ装置)が開発され、普及しつつある。
図9および図10は、従来の2波長半導体レーザ装置(以下、半導体レーザ装置という)の斜視図および、側面図である(例えば特許文献1、2参照)。この半導体レーザ装置は、650nm帯のレーザ光15を出射する赤色半導体レーザ部10と、780nm帯のレーザ光25を出射する赤外半導体レーザ部20とで構成されている。赤色半導体レーザ部10と赤外半導体レーザ部20との間には、これらを電気的に分離するための分離溝90が設けられている。そして、表面電極41および42と裏面電極40のそれぞれに個別にバイアスを印加することで、各半導体レーザ部10および20を個別に動作させることができる。
図10に示すように、共振器本体の前端面50と後端面55とには、誘電体材料で、それぞれ出射端コート膜70および反射端コート膜80が形成されている。レーザ光の取り出し効率を上げるために、出射端コート膜70の反射率は、反射端コート膜80の反射率よりも低くなっている。
特許文献1には、波長が長い赤色半導体レーザ部10の出射面における反射率(32%)よりも、波長が短い赤外半導体レーザの出射面における反射率(24%)が低くなる膜厚を求め、この膜厚で出射端コート膜70(酸化アルミナ(Al23)膜)を成膜することが記載されている。そして、両半導体レーザ部10および20の出射面における反射率を異ならせることによって、両半導体レーザ部10および20のキンクレベルやCODレベルをほぼ等しくすることが記載されている。
さらに、特許文献2では、赤色半導体レーザ部10における反射率を約20%、赤外半導体レーザ部20における反射率を約5%以下にするための出射端コート膜70の形成技術が開示されている。このような反射率を得るために、特許文献2では、2種類(例えば、Al23とSiO2 )の材料を2層以上に積層して出射端コート膜70を形成することが記載されている。
また、高出力化の有効な手段の一つとして、非特許文献1には、誘電体多層膜でなる端面コート膜の厚みを異ならせることによって、両端面の反射率を非対称にすることが記載されている。このように両端面の反射率を非対称にすることは、光ディスク装置への書き込みに用いる半導体レーザにおいて一般的であって、特許文献1にも、出射端側を低反射率(10%程度)に、また、反射端側を高反射率(90%程度)にすることが記載されている。なお、誘電体多層膜の反射率は、用いる誘電体の屈折率、層厚および、積層する総数によって制御することができる。
特開2001−320131号公報 特開2002−223030号公報 伊賀健一編著、「半導体レーザ」、第1版、平成6年10月、株式会社オーム社、p.238
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている多波長半導体レーザ装置は、DVD−ROMやCD−ROMなどの再生専用という、限られた範囲で利用される低出力(例えば定格出力5mW程度)な赤色半導体レーザや赤外半導体レーザの開示に留まっている。
したがって、DVD−RAM、DVD−R、CD−Rなどの記録媒体への書き込みに必要な高出力の半導体レーザには適用できない。他方で、非特許文献1に開示されている技術は、高出力動作を得るための一般的な技術であって、複数の発振波長を有する多波長半導体レーザ装置に好適な条件を提示しているとは言えない。
それ故に本発明の目的は、高出力特性を得るために適した出射端コート膜を備えた多波長半導体レーザ装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の半導体レーザ装置は、少なくとも発振波長λ1の第1の半導体レーザと、発振波長λ2(λ1<λ2)の第2の半導体レーザとを同一半導体基板に備えた多波長半導体レーザ装置であって、半導体基板の上に、波長λ1の光を端面から出射する第1の活性層と、波長λ2の光を端面から出射する第2の活性層とを備えた共振器本体と、共振器本体の一方の端面に形成され、第1および第2の活性層を伝搬する光を内部に反射する反射端コート膜と、共振器本体の他方の端面に形成され、第1および第2の活性層を伝搬する光を外部に取り出す出射端コート膜とを備え、出射端コート膜は所定の屈折率nの誘電体材料でなる膜であって、出射端コート膜の膜厚tが、λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m(mは自然数)を満たすことを特徴とする。
出射面コート膜の屈折率nは、1.45≦n≦1.6であることが好ましい。その場合、出射面コート膜は、SiO2 、SiONであってもよい。
また、出射面コート膜の屈折率nは、2.05≦n≦2.25であることが好ましい。その場合、出射面コート膜は、ZrO2 、Ta25またはNb25であってもよい。
共振器本体は、第1および第2の活性層の下に形成した第1のクラッド層と、第1および第2の活性層の上に形成した第2のクラッド層と、各第2クラッド層の上に選択的に形成した第3のクラッド層とを有し、各第3のクラッド層の幅は、1μm〜5μmであってもよい。
出射端コート膜の反射率は、1%〜7%の範囲内にあることが望ましい。
第1の活性層が、AlGaInP系半導体材料でなり、第2の活性層が、AlGaAs系半導体材料であってもよい。
本発明の多波長半導体レーザ装置は、所定の屈折率(屈折率nが1.45≦n≦1.6または、2.05≦n≦2.25)を有する誘電体膜を、所定の膜厚(膜厚tがλ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m)で堆積することで、高出力動作に適した出射端面の反射率を容易に得ることができる。その結果、キンクレベルの向上を図ることができ、2波長半導体レーザ装置の歩留まりを向上させることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る多波長半導体レーザ装置100(以下、半導体レーザ装置100という。)の斜視図である。半導体レーザ装置100は、発信波長が異なる2つのレーザ(650nm帯に発振波長λ1を有する赤色半導体レーザ部1と、780nm帯に発振波長λ2を有する赤外半導体レーザ部2)を備えた2波長半導体レーザ装置である。赤色半導体レーザ部1と赤外半導体レーザ部2とは、半導体基板101を共有して半導体レーザ装置100を構成している。また、半導体レーザ装置100は、共振器本体160と、出射面コート膜170および、反射端コート膜180で構成されている。
共振器本体160の赤色半導体レーザ部1は、半導体基板101上に第1導電型のクラッド層102、活性層104、第2導電型のクラッド層106、エッチング停止層107、第2導電型のクラッド層109、コンタクト層110、絶縁層108および、表面電極141を備えている。また、半導体基板101の裏面には裏面電極140が設けられている。
また、共振器本体160の赤外半導体レーザ部2は、半導体基板101上に、第1導電型のクラッド層122、活性層124、第2導電型のクラッド層126、エッチング停止層127、第2導電型のクラッド層129、コンタクト層130および、絶縁層128および、表面電極142を備えている。
そして、共振器本体150の前面には、活性層104および124を伝搬する光の一部を取り出すための出射端コート膜170が、また、共振器本体150の後面には、活性層104および124を伝搬する光を活性層140および124の内部に反射させる反射端コート膜180が形成されている。出射端コート膜170および反射端コート膜180は、誘電体材料で成膜した所望の反射率が得られる厚みの膜である。なお、反射率は、誘電体の屈折率、層厚および積層する層の数を変化させることによって制御することができる。
赤色半導体レーザ部1と赤外半導体レーザ部2との間には、これらを電気的に分離するための分離溝190が設けられている。表面電極141、142および裏面電極140に個別にバイアスを印加することによって、それぞれのレーザを個別に動作させることができる。
図2は、図1のA−A線断面の一例を示している。また、図3は、図2のB−B線(括弧内はC−C線)断面の一例を示している。以下、図2および図3を用いて、より具体的な数値や材料を例示して、各半導体レーザ部1、2を説明する。なお、図2において、図1に示す各部に相当する部分には、下2桁が同じ数字の参照符号を付している。
図2に示すように、赤色半導体レーザ部1側のn型GaAs基板201上には、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pでなる第1クラッド層202(厚さ2μm)、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pでなる光ガイド層203(厚さ0.01μm)、AlGaInP障壁層/GaInP井戸層を含む多重量子井戸活性層204、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pでなる光ガイド層205(厚さ0.01μm)、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pでなる第2クラッド層206(厚さ0.3μm)、p型Ga0.5In0.5Pエッチング停止層207(厚さ0.007μm)が順に積層されている。
そして、エッチング停止層207上には、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pでなる第3クラッド層209(厚さ1.0μm)、p型Ga0.5In0.5Pでなる第4クラッド層210(0.05μm)、p型GaAsでなるコンタクト層211(厚さ0.1μ)が順に積層されて、リッジストライプ構造部213を構成している。また、エッチング停止層207の露出面とリッジストライプ構造部212の側面は、SiO2材料の絶縁層208(厚さ0.1μm)で覆われている。多重量子井戸活性層204は、6nmの井戸層と7nmの障壁層とを含み、3つの井戸層を備えた多重量子井戸構造(MQW構造:Multi-quantum well structure)をしている。表面電極141は、Ti/Au材料で1μmの厚さに形成されており、裏面電極140は、Au/Ge/Ni/Au材料で0.5μmの厚さに形成されている。
一方、赤外半導体レーザ部2側のn型GaAs基板201上には、n型(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pでなる第1クラッド層222(厚さ2μm)、AlGaAsでなる光ガイド層223(厚さ0.01μm)、AlGaAsを含む多重量子井戸活性層224、AlGaAsでなる光ガイド層225(厚さ0.01μm)、p型(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pでなる第2クラッド層226(厚さ0.3μm)、p型Ga0.5In0.5Pでなるエッチング停止層227(厚さ0.01μm)が順に積層されている。
そして、エッチング停止層227の上には、p型(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pでなる第3クラッド層229(厚さ0.3μm)、p型Ga0.5In0.5Pでなる第4クラッド層230(厚さ0.05μm)、p型GaAsでなるコンタクト層231(厚さ0.1μm)が順に積層されて、リッジストライプ構造部232を構成している。エッチング停止層227の露出面とリッジストライプ構造部232の側面は、SiO2材料の絶縁層228で覆われている。多重量子井戸活性層224は、3nmの井戸層と7nmの障壁層とを含み、2つの井戸層を備えた多重量子井戸構造をしている。表面電極142は、Ti/Au材料で1μmの厚さに形成されている。
リッジストライプ構造部213、233には、表面電極141および142からキャリア(ホール)が注入されるようになっている。このように、第2クラッド層206、226の上に選択的に第3クラッド層209、229を設けることによって、レーザ光のスポット径を小さくすることができる。なお、リッジストライプ構造部213、233は、図2に示すような断面台形状に限定されるものではなく、側面が略垂直に立ち上がった断面四角形状になっていてもよい。
図3に示すように、半導体レーザ装置100は、COD(光学損失)による端面破壊を防止して高出力動作を得るために、共振器本体160の両端面近傍に窓領域301を備えている。そして、窓領域301にキャリアが注入されることを防止するために、窓領域301の上部は絶縁層302で被覆されている。以上のように構成された共振部本体の長さ、幅および、厚さ(高さ)は、それぞれ、1200μm、120μmおよび、80μmである。また、リッジストライプ構造部212、232の幅は約1〜5μm(望ましくは2.5μm)、高さは1.15μmである。
詳細については後述するが、高出力特性を得るためには、共振器本体150の前端面に形成される出射端コート膜170の反射率を1〜7%とすればよい。また、反射端コート膜180の反射率は80%(好ましくは90%以上)にすればよい。
上記の反射率を得るために、反射端コート膜180は、低屈折率材料層と高屈折率材料層との多層構造にしてもよい。例えば、低屈折率材料としてSiO2(屈折率1.48)、高屈折率材料として水素添加アモルファスSi(屈折率の実部n=3.3)を用いて3周期積層すれば、上記の反射率を得ることができる。
図4は、赤色半導体レーザ部1側の出射端コート膜170の反射率と、特性温度T0およびキンクレベルの関係を示している。図4において、実線は反射率と特性温度T0の関係を、破線は、反射率とキンクレベルの関係を示している。図4中の領域Bに示すように、反射率が1%を切ると、特性温度T0が低下する。これは、反射率の低下によりミラー損失が増大して、しきい値利得が増大することでしきい値電流が増加するためである。この傾向は、微分利得が低下する高温で顕著であり、その結果、高温(例えば70℃以上)での動作電流が大きく増大してしまう。
一方、図4中の領域Cに示すように、出射端における反射率が7%を越えると、キンクレベルが低下してしまう。これは、外部微分量子効率(または、スロープ効率)の低下に起因する。図4は、赤色半導体レーザ部1について示しているが、赤外半導体レーザ部2も同様の特性を有している。以上の理由から、出射端コート膜170の反射率は1〜7%の間であればよいことがわかる。
本実施形態に係る半導体レーザ装置100では、出射端における反射率を1〜7%の間に制御するため、屈折率nの誘電体単層膜でなる出射端コート膜170の膜厚tの条件を次式(1)のように定める。
λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m …(1)
ここで、λ1は、赤色半導体レーザ部1の発振波長であり、λ2は赤外半導体レーザ部2の発振波長であり、mは自然数である。また、後述する理由により、誘電体膜の屈折率nの最適値は次式(2)または(3)になる。
1.45≦n≦1.6 …(2)
2.05≦n≦2.25 …(3)
図5および図6は、誘電体単層膜でなる出射端コート膜170の屈折率の変化による反射率の変化を示している。図5および図6において、実線は赤色半導体レーザ部1について、破線は赤外半導体レーザ部2について示している。図5は、出射端コート膜170の膜厚tが下限値、すなわちt=λ1/(4n)×mである場合を示している。図5から、反射率を1〜7%にするためには、出射端コート膜170の屈折率nが1.45≦n≦1.6、または、2.05≦n≦2.25であればよいことがわかる。
また、図6は、出射端コート膜170の膜厚tが上限値、すなわちt=λ2/(4n)×mである場合を示している。図6から、反射率を1〜7%にするためには、出射端コート膜170の屈折率nが1.45≦n≦1.6、または、2.05≦n≦2.25であればよいことがわかる。
ところで、屈折率nが、1.45≦n≦1.6となる誘電体膜としては、SiO2 (屈折率1.48)やSiON(屈折率1.48〜1.6)が例として挙げられる。SiONの屈折率は、OとNの比率を変えることで制御可能である。
図7は、出射端コート膜170にSiO2 を採用した場合の、出射端コート膜170(SiO2 膜)の膜厚と屈折率の関係を示している。図7において、実線は赤色半導体レーザ部1について、破線は赤外半導体レーザ部2について示している。ここで、出射面コート膜170のうち、赤色半導体レーザ部1側の実効屈折率を3.3とし、赤外半導体レーザ部2側の実効屈折率を3.2としている。反射率は、膜厚の増加に伴って一旦減少し、その後増加する。赤色半導体レーザ部1では、λ1/(4n)で最小値(約4%)となる。また、赤外半導体レーザ部2では、λ2/(4n)で最小値(約3%)となる。従って、図7から、λ1/(4n)≦t≦λ2/(4n)とすれば、反射率を1〜7%にできることがわかる。
なお、図7はm=1の場合を示しているが、反射率は、(波長)/(2n)の周期で周期的に変化することから、mの値は任意の自然数であればよい。つまり、λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×mであればよい。なお、出射面コート膜170の実効屈折率は、上記の値に限定されるものではない。ただし、赤外半導体レーザ2側の実効屈折率が、赤色半導体レーザ1側の実効屈折率よりも小さければ、両レーザの出射面コート膜170における反射率の差を小さくできることが本願発明者の検討によりわかっており、より好ましい。
ところで、屈折率nが2.05≦n≦2.25である誘電体材料としては、ZrO2 (屈折率2.18)、Ta25(屈折率2.12)、Nb25(屈折率2.29)が例として挙げられる。
図8は、Ta25を採用した場合の出射端コート膜170の膜厚と反射率の関係を示している。図8において、実線は赤色半導体レーザ部1について、破線は赤外半導体レーザ部2について示している。ここでも、出射端コート膜170のうち、赤色半導体レーザ部1側の実効屈折率を3.3とし、赤外半導体レーザ部2側の実効屈折率を3.2としている。反射率は、膜厚の増加に伴って一旦減少し、その後増加する。赤色半導体レーザ部1側ではλ1/(4n)で最小値(約2%)となり、赤外半導体レーザ部2側ではλ2/(4n)で最小値(約3%)となる。
従って、図8から、λ1/(4n)≦t≦λ2/(4n)とすれば、赤色半導体レーザ部1側でも赤外半導体レーザ部2側でも、出射端コート膜170の反射率が1〜7%に納まることがわかる。なお、図8ではm=1の場合を示しているが、反射率は、(波長)/(2n)の周期で周期的に変化することから、mの値は任意の自然数であればよい。つまり、出射端コート膜170の厚みtは、λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m(mは自然数)であればよい。
なお、酸化物である誘電体膜は、その堆積方法にも依存するが、窒化物よりも応力が小さく、半導体レーザの端面コート膜として適している。SiO2 やTa25など酸化物でなる誘電体薄膜が形成された面における応力ほぼ同じであり、GaAs半導体は、約2E9dyne/cm2 程度の応力を受ける。特に、高出力の半導体レーザは、動作電流が大きいために前面近傍での発熱量が大きく、出射端コート膜170の応力の影響を受けやすくなることから、出射端コート膜170には、できるだけ薄膜化できる材料を選定することが望ましい。従って、出射端コート膜170となる誘電体膜は、薄膜化が可能で屈折率が大きいことが望ましく、より好ましくは屈折率2.05以上の材料であればよい。
出射端コート膜170および反射端コート膜180は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタやマグネトロンスパッタ、電子ビーム蒸着(EB蒸着)等で材料を堆積して形成することができる。特にECRスパッタは、純度の高い金属(SiO2の場合はSi)をターゲットに用いることができ、光吸収のない誘電体膜を高い堆積レートで堆積することが可能であるため、好適である。例えば、Ta25を材料とする薄膜は、ターゲットとして金属Taを、また、反応性ガスとしてO2 を用いることで200オングストローム/分程度の高い堆積レートで成膜できるため、生産性に優れている。
以上に説明したように、本発明に係る多波長半導体レーザ装置は、所定の屈折率(屈折率nが1.45≦n≦1.6または、2.05≦n≦2.25)を有する誘電体単層膜を、所定の膜厚t(λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m)にした出射端コート膜を備える。出射端コート膜がこのような条件を満たしていれば、高出力動作にも適した多波長半導体レーザ装置になる。よって、CDやDVDの書き込み装置(光ディスク装置、光記憶装置)の光源として採用することができる。
出射端コート膜170は、共振器本体160の前面に単層膜を一体形成すればよいので、製造工程は従来と変わらない。よって、従来と比べて製造コストや製造時間が増大することもない。また、上記の条件を満たしていれば、キンクレベルが高くなるために、半導体レーザ装置の歩留まりを向上させることができる。
なお、本発明に係る多波長半導体レーザ装置は、発振波長がλ1とλ2(λ1<λ2)の2つの半導体レーザ部を含む、2以上の半導体レーザ部を備えていればよい。また、本発明に係る半導体レーザ装置の用途は限定されず、レーザ医療機器等に用いてもよい。
本発明の集積化半導体レーザ装置は、例えば、安定で高出力な2波長半導体レーザを必要とする光記録装置等の光源として有用であり、また、その他、レーザ医療機器等にも有用である。
本発明の実施形態に係る多波長半導体レーザ装置の斜視図 図1に示す半導体レーザ装置のA−A線断面図の一例 図2に示す半導体レーザ装置のB−B線(C−C線)断面図の一例 赤色半導体レーザにおける出射端コート膜の反射率と、特性温度T0およびキンクレベルの関係を示した図 出射端コート膜の厚みtが、t=λ1/(4n)であるときの屈折率nと反射率との関係を示した図 出射端コート膜の厚みtが、t=λ2/(4n)であるときの屈折率nと反射率との関係を示した図 出射端コート膜にSiO2 材料を用いた場合の、屈折率と膜厚との関係を示した図 出射端コート膜にTa25材料を用いた場合の、屈折率と膜厚との関係を示した図 従来の2波長半導体レーザ装置の斜視図 図9に示す従来の2波長半導体レーザの断面図
符号の説明
1 赤色半導体レーザ部
2 赤外半導体レーザ部
101 半導体基板
102 第1導電型のクラッド層
104 活性層
106 第2導電型のクラッド層
107 エッチング停止層
109 第2導電型のクラッド層
108 絶縁膜
110 コンタクト層
122 第1導電型のクラッド層
124 活性層
126 第2導電型のクラッド層
127 エッチング停止層
128 絶縁層
129 第2導電型のクラッド層
130 コンタクト層
140 裏面電極
141 表面電極
160 共振器本体
170 出射面コート膜
180 反射端コート膜
201 n型GaAs基板
202 第1クラッド層
203 光ガイド層
204 多重量子井戸活性層
205 光ガイド層
206 第2クラッド層
207 エッチング停止層
208 絶縁層
209 第3クラッド層
210 第4クラッド層
211 コンタクト層
213 リッジストライプ構造部
222 第1クラッド層
223 光ガイド層
224 多重量子井戸活性層
225 光ガイド層
226 第2クラッド層
227 エッチング停止層
229 第3クラッド層
230 第4クラッド層
231 コンタクト層
232 リッジストライプ構造部

Claims (8)

  1. 少なくとも発振波長λ1の第1の半導体レーザと、発振波長λ2(λ1<λ2)の第2の半導体レーザとを同一半導体基板に備えた多波長半導体レーザ装置であって、
    前記半導体基板上に、波長λ1の光を端面から出射する第1の活性層と、波長λ2の光を端面から出射する第2の活性層とを備えた共振器本体と、
    前記共振器本体の一方の端面に形成され、前記第1および第2の活性層を伝搬する光を当該活性層の内部に反射する反射端コート膜と、
    前記共振器本体の他方の端面に形成され、前記第1および第2の活性層を伝搬する光を外部に取り出す出射端コート膜とを備え、
    前記出射端コート膜は所定の屈折率nの誘電体材料でなる膜であって、
    前記出射端コート膜の膜厚tが、λ1/(4n)×m≦t≦λ2/(4n)×m(mは自然数)を満たすことを特徴とする、多波長半導体レーザ装置。
  2. 前記所定の屈折率nが、1.45≦n≦1.6であることを特徴とする、請求項1に記載の多波長半導体レーザ装置。
  3. 前記出射端コート膜は、SiO2 あるいはSiONを材料とすることを特徴とする、請求項2に記載の多波長半導体レーザ装置。
  4. 前記所定の屈折率nが、2.05≦n≦2.25であることを特徴とする、請求項1に記載の多波長半導体レーザ装置。
  5. 前記出射端コート膜は、ZrO2 、Ta25またはNb25を材料とすることを特徴とする、請求項4に記載の多波長半導体レーザ装置。
  6. 前記共振器本体は
    前記第1および第2の活性層の下に形成した第1のクラッド層と、
    前記第1および第2の活性層の上に形成した第2のクラッド層と、
    前記各第2クラッド層の上に選択的に形成した第3のクラッド層とを有し、
    前記各第3のクラッド層の幅は、1μm〜5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の多波長半導体レーザ装置。
  7. 前記出射端コート膜の反射率が、1%〜7%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の多波長半導体レーザ装置。
  8. 前記第1の活性層が、AlGaInP系半導体材料でなり、
    前記第2の活性層が、AlGaAs系半導体材料でなることを特徴とする、請求項1に記載の多波長半導体レーザ装置。
JP2005009564A 2005-01-17 2005-01-17 多波長半導体レーザ装置 Pending JP2006196846A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005009564A JP2006196846A (ja) 2005-01-17 2005-01-17 多波長半導体レーザ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005009564A JP2006196846A (ja) 2005-01-17 2005-01-17 多波長半導体レーザ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006196846A true JP2006196846A (ja) 2006-07-27

Family

ID=36802651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005009564A Pending JP2006196846A (ja) 2005-01-17 2005-01-17 多波長半導体レーザ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006196846A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009004497A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Sharp Corp 半導体発光素子およびその製造方法
US7539230B2 (en) 2006-08-11 2009-05-26 Panasonic Corporation Semiconductor laser device and method for fabricating the same

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7539230B2 (en) 2006-08-11 2009-05-26 Panasonic Corporation Semiconductor laser device and method for fabricating the same
JP2009004497A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Sharp Corp 半導体発光素子およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006310413A (ja) 半導体レーザ装置
JP5005300B2 (ja) 半導体レーザ装置
US7418019B2 (en) Multi-wavelength semiconductor laser
JP2007095758A (ja) 半導体レーザ
US6787381B2 (en) Semiconductor laser and method of production of the same
JP4295776B2 (ja) 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2011060932A (ja) 窒化物半導体発光装置
JP2004327678A (ja) 多波長半導体レーザ及びその製造方法
JP2006294984A (ja) 半導体レーザ素子とその製造方法およびそれを用いた光ピックアップ装置
JP2006351966A (ja) 多波長半導体レーザ素子
JP4136988B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP2005033077A (ja) 半導体レーザ装置
JP2006080307A (ja) 半導体レーザアレイ及びその製造方法、多波長半導体レーザ装置
JP2006196846A (ja) 多波長半導体レーザ装置
JP2008060272A (ja) 半導体レーザ装置の製造方法、および半導体レーザ装置
JP2007273681A (ja) 自励発振型半導体レーザ装置
JP2012064637A (ja) 半導体レーザ素子、半導体レーザ装置およびこれを用いた光装置
JP4317357B2 (ja) 半導体レーザ素子およびその製造方法
JP2007142227A (ja) 半導体レーザ装置
JP2009129919A (ja) 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP4613374B2 (ja) 半導体レーザ
JP4043105B2 (ja) 半導体レーザー素子及びその製造方法
JP2008172088A (ja) 半導体レーザ装置
JP2012104766A (ja) 半導体レーザ装置
WO1997041625A1 (fr) Laser a semi-conducteurs et son procede de fabrication

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20070412

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20071206

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080402