JP2006196723A - 溶解性プリント基板、水溶性icタグ、磁気吸着icタグ、素材の再生処理方法及び紙材の再生処理方法 - Google Patents

溶解性プリント基板、水溶性icタグ、磁気吸着icタグ、素材の再生処理方法及び紙材の再生処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ダンボール紙等の紙材にプリント基板を貼付け、あるいは内装してなる紙製品を、そのまま紙材のリサイクル工程に投入しても基板を溶解できるため固形物のない溶解液にして紙材を再利用することが可能な溶解性プリント基板、水溶性ICタグ、磁気吸着ICタグ、素材の再生処理方法及び紙材の再生処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
導電部を印刷するための基材の材質を、液体に溶解される溶解性の材質で形成した溶解性プリント基板を用いれば、該溶解性プリント基板を液体により溶解できるため、ゴミ等の固形物として残存しなくなる。従って、廃棄に適した液体に溶け込ませることができるほか高品質のリサイクル利用が可能になる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、例えば航空タグ、物流管理ラベル、無人改札パス等のICタグの構造に係わり、特に、ダンボール、古紙等の紙材のリサイクルシステム内で、紙材を再生することが可能な溶解性プリント基板、水溶性ICタグ、磁気吸着ICタグ、素材の再生処理方法及び紙材の再生処理方法に関する。
一般に、物流の自動化を進めていくには、個々の物品に識別用の伝票を貼付け、この貼付けられた個々の伝票に記録されている情報を機械読み取ることが重要である。従来、このような機械読み取りを実現するためには、個々の伝票に対応したバーコードラベルを貼付け、これをバーコードリーダで読み取るようにしている。
しかしながら、バーコードリーダを用いてバーコードラベルを読み取るためには、両者間に一定の距離的並びに方向的な関係付けを、かなり高精度に行う必要があり、物流の自動化及び円滑化を図るうえでの障害になっていた。さらに、バーコードには入力できる情報量が少なく、物流の管理範囲も狭い区域に限られていた。
そこで近年、電磁波を用いて非接触に読み取りが可能なIC(Integrated Circuit)タグが使用されてきている(例えば特許文献1参照)。このICタグによれば、読取媒体として電磁波を用いていることから、読み取りに際して両者間の距離的並びに方向的な制約をさほど受けることがなくなり、具体的には、読み取りの方向性に制約を受けることなく1メートル離れた距離からでも、その内容を確実に読み取らせることができる。
また、このICタグ内のICには、管理対象物品の個体情報を大容量で記憶することができ、用途によっては、この個体情報を該個体を特定するためのセキュリティ情報に用いることも可能である。
図1は交信周波数帯としてUHFを用いる場合の一般的なICタグの形態を示し、図1(A)にICタグ10の平面図を、図1(B)にICタグ10の側面図を示す。このICタグ10は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる基板11上に形成された、例えばアルミニュウム製のアンテナ回路12と、該アンテナ回路12に実装されたICチップ13とから構成されている。
ところで、ダンボール紙等の多くの紙製品は、各自治体あるいは事業所単位で回収され、一旦、水に溶かした後、再度、板紙としてすかれて再利用されている(例えば特許文献2参照)。
このダンボール等に前記ICタグを貼付け、あるいは内装して物流工程等で使用した後のことを一考した場合、紙材の再生にはICタグが不純物となり、高品質の紙材の再生が得られない。従って、紙材の再生を可能にするためには、該ICタグを剥離して紙材とICタグとに分離してからリサイクルシステムに投入するか、板紙としてすく前にフィルターを通してICタグを削除するかが考えられるが、前者の分離方法ではICタグの剥離に手間が掛かる問題があり、後者のフィルターを用いる方法ではフィルターの目詰まりが頻発してリサイクルの生産性を著しく阻害する。このため、現状ではICタグ付きの紙製品を可燃物として焼却することになり、古紙としてリサイクルできないという問題を有していた。
特開2001−156110号公報 特開平9−31879号公報
そこでこの発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、例えばダンボール等の紙材にプリント基板を貼付け、あるいは内装してなる紙製品を、そのまま紙材のリサイクル工程に投入することが可能な溶解性を有する溶解性プリント基板、水溶性ICタグ、磁気吸着ICタグ、素材の再生処理方法及び紙材の再生処理方法を提供することを目的とする。
この発明は、導電部を印刷するための基材の材質を、液体に溶解される溶解性の材質で形成した溶解性プリント基板であることを特徴とする。
前記液体としては、水、油、アルコール、ガソリン、シンナー、薬品液などの基材の材質に対して溶解性が得られる液体を用いる。
前記溶解性プリント基板としては、生産性の多い例えば電子部品間を配線接続するフレキシブルプリント基板やICタグの基板などが対象である。
この発明によると、溶解性プリント基板を液体により溶解できるため、ゴミ等の固形物として残存しなくなる。従って、廃棄に適した液体に溶け込ませることができるほか高品質のリサイクル利用が可能になる。例えば、溶解性の紙材または樹脂材により製作された製品に溶解性プリント基板を一体に組込んでいる場合は、その溶解性の製品をそのまま液体に浸せば、全てを溶解させることが可能になり、溶解液に溶け込んでいる紙材の繊維または樹脂材の成分を回収して紙材や樹脂材をリサイクル利用することができる。
この発明の別の構成では、液体に溶解される溶解性の材質で形成された溶解性基板と、前記溶解性基板に印刷され、材質が液体に溶解される溶解性の導電回路と、前記導電回路に搭載される微小な電子部品とから構成される溶解性プリント基板であることを特徴とする。
この発明によると、液体に浸すだけで溶解性基板と導電回路との双方が溶解する。このため、微小な電子部品を除く全ての固形物を溶解液に溶け込ませることができ、ゴミの発生量を抑制できる。このため、自然環境の保護に適した製品になる。
前記溶解性基板と前記導電回路は、溶解性に加えて可撓性を持たせて構成することができる。
この場合は、可撓性を持たせることにより、溶解性プリント基板を曲げることが可能になり、曲げが要求される部分にも取付けることができる。
前記溶解性プリント基板を溶解するための液体に水を用いることができる。
この場合は、入手しやすい水を溶解液に用いるため溶解が容易であり、低コスト化が図れる。さらに、該溶解性プリント基板だけでなく、水溶性の他部材と一体化している場合は、これらと合せて効率よく溶解することができる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、前記導電回路を形成するための基材の材質を水に溶解される水溶性とする水溶性基板で形成した水溶性ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、ICタグに用いられる基板を水溶性の基板に設けているため、この水溶性ICタグのほとんどを水溶液に溶け込ませることができ、廃棄に適した液体に変化させることができる。このため、ゴミ等の固形物として残存しなくなる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、前記導電回路の材質と、該導電回路を形成するための基材の材質とを水に溶解される水溶性にした水溶性ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、導電回路の材質と、その基材の材質とを水溶性に設けているため、これらを水溶液に溶かすことができ、ゴミ等の固形物が残存しなくなる。従って、該水溶性ICタグを水溶性の例えば紙製品に組込んでいる場合は、その紙製品をそのまま水溶液に浸せば、双方を溶解させることが可能になり、水溶液に溶け込んでいる紙製品の繊維を回収でき、紙製品をリサイクル利用することができる。
前記導電回路を形成するための基材に、水に溶解される水溶性の樹脂材を用いて水溶性ICタグを構成することができる。
この場合は、水溶性ICタグの多くを占める基板の材質を水溶性の樹脂材に設けた場合でも水溶液に溶け込ませることができ、これらを水溶液に変化させてゴミ等の固形物が残存しなくなる。従って、該水溶性ICタグを水溶性の製品に組込んでいる場合は、水溶性の製品をそのまま水溶液に浸して溶解させることができる。
前記導電回路を形成するための基材に用いる水溶性の樹脂材として、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムのうち、少なくとも1つを用いて水溶性ICタグを構成することができる。
この水溶性の樹脂材としては、水溶性に加えて熱可塑性の接着剤いわゆるバインダとしての役目をも合せ持つ樹脂材が適しており、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムが最も適している。これらの樹脂材は単独に用いてもよく、複数種類を組合せて用いてもよい。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、導電回路を形成するための基材の材質を、該基材の取付け部の材質と同材質の水溶性素材とした水溶性ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、基材の材質が紙材、樹脂材、その他の材質であっても、取付け部の材質と同材質の水溶性であるため、基材と取付け部との双方を水溶液に溶け込ませることができ、水溶液に変化させてゴミ等の固形物が残存しなくなる。従って、該水溶性ICタグを水溶性の製品に組込んでいる場合でも、そのまま水溶液に浸せば、これらを溶解させて水溶液に溶け込んでいる紙材の繊維または樹脂材の成分を回収でき、紙材のリサイクル利用を図ることができる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、導電回路を形成するための基材の材質を、該ICタグを貼付け、あるいは内装させる取付け部の紙材と同材質の水溶性紙材とした水溶性ICタグであることを特徴とする。
この場合は、基材とその取付け部の材質とが同材質の水溶性紙材に設けているため、これらを水溶液に溶け込ませることができ、水溶液に変化させてゴミ等の固形物が残存しなくなる。従って、該水溶性ICタグを水溶性の紙製品に組込んでいる場合は、その紙製品をそのまま水溶液に浸せば、これらを溶解させて水溶液に溶け込んでいる紙材の繊維を回収でき、紙材をリサイクル利用することができる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、導電回路は、水溶性の樹脂材をバインダにして導電性粒子を分散焼成してなる印刷回路にした水溶性ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、導電回路として導電性粒子を分散焼成して形成した印刷回路を水に浸した場合に、該印刷回路を構成するバインダとしての水溶性の樹脂材が溶けて水溶液中に導電性粒子が分散するため、水溶液中に溶け込んで固形物がなくなり、廃棄時には固形物が混入していない水として廃棄処理することができる。
前記導電回路を形成する印刷インクの成分に水溶性の樹脂バインダであるポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムのうち、少なくとも1つを用いて水溶性ICタグを構成することができる。
この場合も水溶性に加えて樹脂バインダとしての役目を有するポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムが適しており、これらを成分とする導電回路を水に浸すだけで溶解させることができる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、導電回路を形成するための基材の材質と、導電回路として、水溶性の樹脂材をバインダにして導電性粒子を分散焼成してなる印刷回路の材質とを、水に溶解される水溶性にした水溶性ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、基材と導電回路とを水溶性に設けているため、ICタグの廃棄時にはこれらを水溶液中に溶かし込んでしまうことができ、固形物が残存しなくなる。
前記基材と、前記バインダに用いられる水溶性の樹脂材とを、同種の水溶性の樹脂材にして水溶性ICタグを構成することができる。
この場合は、基材と導電回路のバインダとを同じ水溶性の樹脂材に設けているため、同様に水に浸すだけで溶かすことができる。従って、ICタグの廃棄時にはこれらを水溶液中に溶かし込んでしまうことができ、ICタグを付加した水溶性の製品のリサイクル利用に適した処理が可能になる。
前記水に溶解される水溶性の基材の表面を水との反応により粘着性が付与される接着面に設けて水溶性ICタグを構成することができる。
この場合は、基材の表面を水に濡らすと接着面になり、この接着面を取付け部に押し付けるだけで接着させることができる。
この発明の別の構成では、アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、前記導電回路の材質と、該導電回路を形成するための基材の材質とは液体に溶解される溶解性に設け、前記電子部品の表面には磁性層を積層した磁気吸着ICタグであることを特徴とする。
この発明によると、この磁気吸着ICタグを再生する場合は、該磁気吸着ICタグを液体に浸すだけで導電回路と基材は溶解液に分解されて該溶解液中に溶け込ませることができる。さらに、溶解できない電子部品に対しては磁性層を持たせているため、溶解液中に固形物として混在しても、この電子部品を磁気吸着させることができる。従って、溶解液中から電子部品を回収できることになり、液体と電子部品とを分離して電子部品の再生処理が可能になる。
この発明の別の構成では、微小な電子部品を搭載した素材の再生処理工程において、液体と混錬して素材の固形が溶解された溶解液を破砕手段に導き、該破砕手段の破砕動作により溶解液中に混入した前記電子部品を破砕して粉体化処理する素材の再生処理方法であることを特徴とする。
この発明によると、溶解性の紙材や樹脂材等の素材を再生する際、唯一、溶解できない固形物である電子部品を粉体化できるため、再生時には固形物がなくなり、素材の再生が容易になる。
この発明の別の構成では、表面に磁性層を積層した微小な電子部品を搭載した素材の再生処理工程において、液体と混錬して素材の固形が溶解された溶解液中に混在する電子部品を磁気吸着手段により磁気吸着して液体と電子部品とに分離する素材の再生処理方法であることを特徴とする。
この発明によると、溶解性の紙材や樹脂材等の素材を再生する際、唯一、溶解できない固形物である電子部品に対しては磁性層を持たせているため、溶解液中に固形物として混在しても、この電子部品を磁気吸着させて、液体と微粒状の電子部品とに分離できる。このため、不純物のない高品質の素材または電子部品の再生処理が可能になる。
また、磁気吸着手段としては、例えば永久磁石や電磁石を溶解液中に介在させて溶解液中において磁気吸着させれば、溶解液中に分散している電子部品のみを効率よく回収することができ、この結果、液体と電子部品とを的確に分離させることができる。
この発明の別の構成では、IC等の電子部品を搭載したICタグを貼付け、あるいは内装した紙材の再生処理工程において、水と混錬して紙材の繊維がほぐされた水溶液を破砕手段に導き、該破砕手段の破砕動作により水溶液中に混入したIC等の電子部品を破砕して粉体化する紙材の再生処理方法であることを特徴とする。
この発明によると、水溶性のダンボール紙などの紙材を再生する際、唯一、溶解できない固形物である電子部品を粉体化できるため、再生時には固形物がなくなり、紙材の再生が容易になる。
この発明の別の構成では、表面に磁性層を積層したIC等の電子部品を搭載したICタグを貼付け、あるいは内装した紙材の再生処理工程において、水と混錬して紙材の繊維がほぐされた水溶液中に混在する電子部品を磁気吸着手段により磁気吸着して水と電子部品とに分離する紙材の再生処理方法であることを特徴とする。
この発明によると、水溶性の紙材を再生する際、唯一、溶解できない固形物である電子部品に対しては磁性層を持たせているため、水溶液中に固形物として混在しても、この電子部品を磁気吸着させて、紙材成分を含む水と微粒状の電子部品とに分離できる。このため、不純物のない高品質の紙材または電子部品の再生処理が可能になる。
この発明によれば、基材の材質を液体にて溶解できるため、該基材の廃棄時には液体に浸すだけで溶かすことができ、固形物の存在がなくなる。このため、自然環境に適した廃棄処理ができるほか、該溶解液中からのリサイクルシステムが構築し易くなる。例えば、溶解性プリント基板を紙製品に取付けて物流利用した後の使用済みの紙製品を再生する場合は、溶解液に紙製品ごと浸せば溶解させることができ、該溶解液中から紙材の繊維を回収すれば紙材を再生でき、紙材の再生使用率を向上できる。
以下、この発明に係わる実施例を添付図面に従って説明する。
先に、図1(A)及び図1(B)で説明したように、この発明に係わるICタグ10の構造を例にとって説明すると、このICタグ10は平面的な基板11上に形成されたアンテナパターン(アンテナ回路)12と該アンテナ回路12の接続部間に実装されたICチップ13とから構成される。
前記基板11は、例えば厚さ38μmで水溶性と可撓性とが得られるポリビニルアルコール(以下PVAと称す)製フィルムの樹脂材を用いる。この基板11を水溶性とするのは、水に浸した場合に水溶液中に溶け込んで固形物として残存しないようにするためである。従って、廃棄に適した液体に変化させることができるほか、リサイクル利用した場合に該基板が異物とならないように溶解させることができる。
また、基板11に可撓性を持たせるのは、該基板11を曲げることが可能になり、曲げが要求される部分への取付けに対応させるためである。
前記アンテナ回路12は、例えば銀等の導電性粒子を水溶性樹脂材、例えばPVAをバインダとして結合してなる10μm厚のアンテナ回路であり、このアンテナ回路を前記基板11の片面に形成し、該アンテナ回路の接続部間である一端にICチップ13を実装した構造である。
前記アンテナ回路12においても、導電性粒子を可撓性を有する水溶性樹脂材のバインダで結合して形成しているため折曲可能であり、また水に浸した場合に水溶液中に溶け込んで固形物として残存しなくなる。
次に、ICタグ10の製造方法を、図2及び図3に従って説明する。
[第1製造工程]
先ず、第1製造工程としてアンテナ基板20を用意する。このアンテナ基板20は、図2(A)に示すように、38μm厚のPVAフィルムの基板11の片面に、アンテナ回路12を形成する。このときのアンテナ回路12の形成は、水溶性であり、かつ熱可塑性接着剤としての効果を持つPVA樹脂をバインダとして、銀等の導電性粒子を分散させてなる印刷インクを、スクリーン印刷、あるいはグラビア印刷等の方法によって所望のアンテナ形状に塗布した後、150℃程度の温度で10分間程度乾燥させて形成する。
このとき、アンテナ回路12を支える基板11の材料と、アンテナ回路12を構成する印刷インクのバインダの材料とを同種の材料とすることで、後述する再生紙内に混入する異種材成分の種類を抑制することができる。これにより、再生紙の品質が向上する。
なお、この第1製造工程におけるPVAフィルム及びPVAバインダの代わりに、ポリエチレンオキサイド(PEO)あるいはポリアクリル酸ナトリウムを用いてもよく、導電性粒子として導電性カーボンを用いてもよい。
[第2製造工程]
次に、図2(B)に示すように、アンテナ基板20に形成されるアンテナ回路12の搭載面において、ICチップ13を実装するアンテナ回路12の端子部12aに、熱可塑性接着剤21を塗布する。この熱可塑性接着剤21は、ポリエチレン系の接着剤を、スクリーン印刷法等を用いて塗布する。
[第3製造工程]
前記第1、第2製造工程により作製されたアンテナ基板20の熱可塑性接着剤21上に、図2(C)に示すように、ICチップ13を実装してICタグ10を完成させる。このICチップ13の実装は、例えば先行出願の特許03584404号と同様な超音波による実装方法を用いて実施すればよい。
すなわち、図3に示すように、前記ICチップ13はその底面から接続用の金属端子(バンプ)131を突出させた、いわゆる表面実装型部品として構成されている。その底部から突出するバンプ131(例えば金よりなる)に超音波振動を付加した状態で、150℃の加熱により溶融した前記熱可塑性接着剤21に押し当てる。このとき、溶融した熱可塑性接着剤21は、バンプの超音波振動によりバンプ先端の位置より機械的に除去される。この後、さらに振動による摩擦熱によりバンプ131とアンテナ回路12の表面間が加熱され、金原子が導電性粒子内に拡散した、金属融着部22を形成して接合を行う。前記ICチップ実装工程の後、付加された超音波を除去すると、溶融した熱可塑性接着剤21は再硬化して、ICチップ13とアンテナ回路12との間を接着する。
なお、このICチップ13の実装方法として、熱可塑性接着剤21の代わりに異方導電性接着剤(例えばACF、ACP)を用いて、加熱圧着による実装方法を実施してもよい。
次に、前記ICタグ10をダンボール紙などの紙材に貼付け、あるいは内装する工程について説明する。
[第1内装工程]
図4はICタグ10をダンボール紙40の表面に貼付けた場合の構造図を示し、このICタグ10は粘着性を有する接着剤41を介してダンボール紙40に接着される。このときの接着剤41としては、ICタグ10を構成する水溶性ポリマーからなる基板11自体が水溶性を有しているため、この基板11の表面に水、あるいは蒸気等の水分を付着させるだけで溶融し、この溶融により粘着性を持たせることができる。なお、この接着剤41としては、紙との接着性が得られる接着層があればよく、ICタグ10の表面に、紙との接着性を有する接着剤を塗布して用いてもよい。
[第2内装工程]
図5は第1内装工程のICタグ10上に、別のダンボール紙40を貼付けて、ICタグ10の左右両面をダンボール紙40で挟み込んだ取付け例であり、界面の接着は、第1内装工程と同様に、基板11自体の水溶性の接着剤層、あるいは接着剤で実施する。
次に、前記ダンボール紙40を再生する工程について説明する。
[第1再生工程]
ダンボール古紙は、水と共に図示しないミキサー(パルパー)内に投入され、底にある羽根の回転力により水と混錬して繊維にほぐすか、ドラム状の離解方式により、混入した異物を除去しながら繊維にほぐされる。
このとき、金属、プラスチック等、紙にならない異物はパルパー内で取り除かれるが、小片のものやフィルム状のものは取り除き難い。通常、こうした取り除き難い異物はクリーナやスクリーンによって除去されるが、粘着物等の軽い異物以外は除去できない上に、異物が多くなってくるとフィルターなどが詰まり生産ラインが停滞しやすくなることが知られている。
そこで、この取り除き難いフィルム状のものは混錬に用いた水溶液内に溶解しており、固形物が全て溶解されるためフィルターは詰らない。また、ICチップ13はシリコン、セラミック等の硬くて脆い脆性材料であるため、パルパー工程後に、図6に示すような形態で繊維の原料液61を破砕手段としての金属製の加圧ロール62間に通すことによって粉砕でき、繊維の原料液内63に粉末64の状態に分散させることができる。
このようにして、唯一、溶解できないICチップ13を粉末状態にできるため、原料液中には固形異物がなくなり、紙材の再生が容易になる。従って、その後は後述する第2、第3再生工程に示すような一般的な再生処理を施して紙材を再生するものである。
[第2再生工程]
次に、前記第1再生工程により、ほぐされた繊維の原料液を容器(バット)内に入れ、表面に網を張ったシリンダーを回転させることで網の表面に紙の層を作る。このパッドをいつか並べて紙の層を重ね合わせることで、厚い板紙を作る。
[第3再生工程]
この板紙をプレス工程(脱水)、ドライヤー工程(乾燥)、カレンダー工程(光沢加工)を経て巻き取り、最後にワインダーで製品に仕上げる。
図7に、実施例1で説明したICタグ10とは構造の異なる別のICタグ70の製造について説明する。
このICタグ70は、13.56MHzを通信周波数として用いるICタグの一例であり、基板71上に形成された渦巻き状のアンテナ回路72と、該アンテナ回路を跨ぐようにして配置された電子部品モジュール73、及び該電子部品モジュールの回路上に実装されたICチップ74とから構成されている。
前記ICタグ70の一例としては、導電性の粒子(例えば銀)を水溶性の樹脂、例えばPVAをバインダに用いて結合した10μm厚のアンテナ回路72を、38μm厚のPVA製フィルムの基板71の片面に形成し、さらに25μm厚のPVAフィルムを基板とし、該基板上に形成した導電性の粒子(例えば銀)を水溶性の樹脂、例えばPVAをバインダに用いて結合した10μm厚のアンテナ回路71上に、ICチップ74を実装した電子部品モジュール73の端子を、前記アンテナ回路72の外周部と内周部の両端部721、722に機械的に締結したものである。
この構造のICタグ70は、部品点数としては実施例1の場合よりも多くなるが、構成材料が実施例1と同じ水溶性樹脂を主体としたものであり、リサイクル工程においては、実施例1と同じ効果が得られる。
前記した実施例1及び実施例2においては、アンテナ回路12を形成する素材として、導電性の粒子(例えば銀)を水溶性の樹脂、例えばPVAをバインダに用いて結合した印刷回路を用いたが、この印刷回路の代りに、銅あるいはアルミニュウムの金属導体回路を用いる場合を次に説明する。
この場合のICタグ10、70の構成は、例えば、9μm厚のCu、あるいは15μm厚のアルミニュウム箔をエッチングしてなるアンテナ回路を38μm厚のPVA製フィルムの基板の片面に形成し、このアンテナ回路上にICチップを実装した構造、あるいは、さらに、25μm厚のPVAフィルムの基板上に形成した35μm厚のCu、あるいはアルミニュウムのエッチング回路基板上にICチップを実装した電子部品モジュールを、前記アンテナ回路の両端部に機械的に締結した構造である。
この実施例における金属導体回路アンテナ、及び電子部品モジュール基板の形成方法は、先ず第1の工程として、設定厚のPVAフィルムの基板の片面に、ウレタン系接着剤を介して所定厚さの金属箔を重ね、これを150℃、圧力5kg/cm2の条件で熱ラミネートを経て積層接着させた金属箔ーPVA積層フィルムを用意し、前記積層フィルムの金属箔の表面上に所要パターン形状のエッチングレジストパターンを形成する。この後、形成されたエッチングレジストから露出する金属箔部分をエッチング処理を行うことにより除去し、配線回路パターンを形成することからなる。
このように構成されたICタグを内装したダンボール紙などの古紙を再生する場合、金属製の回路部分は、基板が水に溶融することによって紙材より分離され、パルパー工程内で容易に分離することができる。
前記した実施例1、2、3では、アンテナ回路等を形成する基板としてPVA等の水溶性樹脂フィルムを用いたが、この基板は水に溶解されるものであればよく、例えば、ダンボール紙と同質の紙をこの基板に用いてもよい。
但し、紙材を使用する場合、表面のアンテナ回路等の形成に実施例3のような金属箔のエッチング処理による方法を用いると、紙材が水分を急速に吸収して基板が破断してしまうおそれがある。この基板の破断現象を解決するためにアンテナ回路等の導体回路の形成は、実施例1のような導電インクの印刷法を用いるか、金属箔をプレス等で所望の形態で打ち抜いた後、接着剤で貼り付ける方法(例えば特開平6−334310号参照)を用いればよい。
前記実施例1の第1再生工程では、パルパー工程後に、図6に示すような形態で繊維の原料液61を金属製のロール62に通すことによって原料液61内に残ったICチップ13を粉砕し、粉末64の状態で繊維の原料液内63にICチップを分散させる方法を例示した。
ところが、前記のような方法でICチップ13を粉砕して原料液内に分散させた場合は、ICチップの数量、あるいはサイズが大きくなって分散粒子の総体積が大きくなると品質が低下してしまい、通常5〜6回の再生が可能なダンボール紙の再生回数が低下してしまうことが考えられる。さらに、ダンボール紙の表面印刷に使用したインク材、あるいは比重の軽い不純物は、原料液61に混ぜたアルカリ系洗剤、あるいはジイソシアネートによって発生する泡で原料液から分離されているが、ICチップ等の重量物を、このような方法で取り除くことは困難である。
そこでこの実施例では、ICチップを原料液から分離除去することにより、原料液は不純物が取除かれて高品質のダンボール紙の再生を可能にするものである。この原料液とICチップとの分離手段としては、非磁性材料であるSi(シリコン)により形成されるICチップの表面に、ニッケル、あるいは鉄系合金等の磁性を持った材料からなる磁性層を積層し、該磁性層を電磁石、あるいは永久磁石によって発生する磁場によって吸引することで、ICチップを原料液から分離除去し、これによりICチップが除去された不純物のない原料液となり、この再生純度の高い原料液から紙材を再生する方法である。具体的には、以下に示す第1、第2再生分離工程によって実行する。
[第1再生分離工程]
先ず、図8(A)〜(C)の製造工程に対応する実施例1の第1〜第3製造工程によって得られたICタグ10上のICチップ13の表面に、図8(D)に示すような磁性層80を積層して多層化する。これにより、ICチップ13に磁性を持たせるものである。
[磁性層の形成工程]
この磁性層80の形成方法としては、例えば、図9に示す熱転写による方法を用いる。すなわち、
(第1磁性層形成工程)
図9(A)に示すように、厚さ20μmのPETフィルムの基板91上に、粒径5μm程度に粉砕された鉄−ニオブ系合金粒子を熱可塑性樹脂であるポリエステル系の樹脂バインダに分散させて形成した磁性層92となるペーストを40〜50μm厚で塗布した熱転写リボン90を作成する。
(第2磁性層形成工程)
次に、図9(B)に示すように、ICチップ13の表面上に前記熱転写リボン90を接触させて配置した上で、120℃程度に加熱した加熱ヘッド93をリボンに押し当てる。
(第3磁性層形成工程)
さらに、図9(C)に示すように、加熱ヘッド93によって加熱された熱可塑性樹脂からなる樹脂バインダに相当する磁性層92は、加熱ヘッド93を離すことによって冷却、再硬化し、ICチップ13上に接着して同じ面的に切取られた磁性層92が転写される。
[第2再生分離工程]
前記第1磁性層形成工程によって作成されたICチップ13は表面に磁性層92が形成される。このICチップ13の表面に磁性層92を形成することによって再生分離促進用の磁気吸着ICタグ94が得られる。従って、この磁気吸着ICタグ94を組込んだダンボール紙などの紙材を再生利用する場合は、紙材及び該磁気吸着ICタグ94が溶解したときに、ICチップ13上に形成された磁性層92は永久磁石、あるいは電磁石等の図示しない磁気吸着装置によって吸着して原料液中から回収できるため、実施例1の第1再生工程において作成された原料溶液61内に磁気吸着装置を挿入することで、ICチップ13を吸着して除去できる。
この発明は上述の一実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
UHFを用いる場合の一般的なICタグの平面図と側面図。 ICタグの製造工程を示す説明図。 ICチップの実装構造を示す要部拡大縦断面図。 ICタグをダンボール紙に貼付けた一例を示す縦断面図。 ICタグをダンボール紙間に内装させた一例を示す縦断面図。 紙材の再生処理動作を示す説明図。 渦巻状のアンテナ回路を備えたICタグを示す平面図と、そのA−A断面図。 この発明の別のICタグの製造工程を示す製造工程図。 ICチップに磁性層を積層する磁性層の積層工程図。
符号の説明
10,70,94…ICタグ
11,71,91…基板
12,72…アンテナ回路
13,74…ICチップ
40…ダンボール紙
41…接着剤
62…加圧ロール
64…粉末
80,92…磁性層

Claims (20)

  1. 導電部を印刷するための基材の材質を、液体に溶解される溶解性の材質で形成したことを特徴とする
    溶解性プリント基板。
  2. 液体に溶解される溶解性の材質で形成された溶解性基板と、
    前記溶解性基板に印刷され、材質が液体に溶解される溶解性の導電回路と、
    前記導電回路に搭載される微小な電子部品と、
    から構成される溶解性プリント基板。
  3. 前記溶解性基板と前記導電回路は、溶解性に加えて可撓性を有することを特徴とする
    請求項1または2記載の溶解性プリント基板。
  4. 前記液体は水であることを特徴とする
    請求項1、2または3記載の溶解性プリント基板。
  5. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    前記導電回路を形成するための基材の材質を水に溶解される水溶性とする水溶性基板で形成したことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  6. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    前記導電回路の材質と、該導電回路を形成するための基材の材質とを水に溶解される水溶性にしたことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  7. 前記導電回路を形成するための基材に水に溶解される水溶性の樹脂材を用いたことを特徴とする
    請求項5または6記載の水溶性ICタグ。
  8. 前記導電回路を形成するための基材に用いる水溶性の樹脂材として、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムのうち、少なくとも1つを用いたことを特徴とする
    請求項5、6または7記載の水溶性ICタグ。
  9. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    導電回路を形成するための基材の材質を、該基材の取付け部の材質と同材質の水溶性素材としたことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  10. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    導電回路を形成するための基材の材質を、該ICタグを貼付け、あるいは内装させる取付け部の紙材と同材質の水溶性紙材としたことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  11. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    導電回路は、水溶性の樹脂材をバインダにして導電性粒子を分散焼成してなる印刷回路にしたことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  12. 前記導電回路を形成する印刷インクの成分に水溶性の樹脂バインダであるポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウムのうち、少なくとも1つを用いたことを特徴とする
    請求項11記載の水溶性ICタグ。
  13. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    導電回路を形成するための基材の材質と、
    導電回路として、水溶性の樹脂材をバインダにして導電性粒子を分散焼成してなる印刷回路の材質とを、水に溶解される水溶性にしたことを特徴とする
    水溶性ICタグ。
  14. 前記基材と、
    前記バインダに用いられる水溶性の樹脂材とを、同種の水溶性の樹脂材にしたことを特徴とする
    請求項13記載の水溶性ICタグ。
  15. 前記水に溶解される水溶性の基材の表面を水との反応により粘着性が付与される接着面に設けたことを特徴とする
    請求項5、6または13記載の水溶性ICタグ。
  16. アンテナ等の導電回路と、IC等の電子部品からなる非接触通信可能なICタグにおいて、
    前記導電回路の材質と、該導電回路を形成するための基材の材質とは液体に溶解される溶解性に設け、
    前記導電回路に搭載される前記電子部品の表面には磁性層を積層したことを特徴とする
    磁気吸着ICタグ。
  17. 微小な電子部品を搭載した素材の再生処理工程において、
    液体と混錬して素材の固形が溶解された溶解液を破砕手段に導き、該破砕手段の破砕動作により溶解液中に混入した前記電子部品を破砕して粉体化処理することを特徴とする
    素材の再生処理方法。
  18. 表面に磁性層を積層してなる微小な電子部品を搭載した素材の再生処理工程において、
    液体と混錬して素材の固形が溶解された溶解液中に混在する電子部品を磁気吸着手段により磁気吸着して液体と電子部品とに分離することを特徴とする
    素材の再生処理方法。
  19. IC等の電子部品を搭載してなるICタグを貼付け、あるいは内装した紙材の再生処理工程において、
    水と混錬して紙材の繊維がほぐされた水溶液を破砕手段に導き、該破砕手段の破砕動作により水溶液中に混入したIC等の電子部品を破砕して粉体化することを特徴とする
    紙材の再生処理方法。
  20. 表面に磁性層を積層したIC等の電子部品を搭載したICタグを貼付け、あるいは内装した紙材の再生処理工程において、
    水と混錬して紙材の繊維がほぐされた水溶液中に混在する電子部品を磁気吸着手段により磁気吸着して水と電子部品とに分離することを特徴とする
    紙材の再生処理方法。
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