JP2006196520A - 磁気シールド装置 - Google Patents

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正裕 三田
Hiromitsu Itabashi
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Abstract

【課題】 必要十分な磁気シールド特性を持つ、脳磁計や心磁計などの生体磁場計測用の磁気シールド装置を提供することであり、必要な周波数領域(50Hz以下)において必要かつ十分な磁気シールド装置を実現する。
【解決手段】 0〜50Hzの周波数に対して磁気シールド特性がほぼ同等の合金薄帯をシールド材として磁気シールド空間を画定した生体磁場計測用の磁気シールド装置であり、磁気シールド特性(dB)は、シールド特性の最大値と最小値の差が、最大値に対して20%以内である。このシールド材はCo基非晶質合金薄帯を主原料とすることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、SQUID等を使用して生体から発生する微弱磁場を計測する生体磁場計測用の磁気シールド装置に関する。
心臓の心筋の動き、あるいは、脳の脳細胞の活動を観測し、疾病診断に用いたり予防診断を行うのは、医学上大変有用な手段である。現在これらの活動を観測するには心電図や脳波計等が用いられているが、共に脳や心臓の特定の部分における活動や心筋梗塞などの起こっている位置を正確に知ることは難しい。
最近、高精度の磁場測定センサーを用いて、これら脳の活動や、心筋梗塞のマッピングを行う技術が開発され、臨床的に使用されるようになってきた。この原理は、多数の磁場測定センサーをマトリックス状に設置してその場所における磁場強度を測定、各磁場測定センサーからの情報を処理することにより、心臓や脳の活動状況をマッピング可能とする技術である。
これら生体磁場計測装置である心磁計、脳磁計などは、生体が発生する大変微小な磁場を測定する必要があり、周囲の磁気ノイズに大変敏感である。心臓や脳から発生する微弱な検出磁場強度は10のマイナス10乗テスラ(T)程度の弱いものであるために、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気でさえも障害となる。このため、これらの磁気センサーは通常磁気シールドルームなどの磁気遮蔽構造物の中に設置される。
磁気シールドルームの壁面や床、天井に用いられるシールド材はパーマロイなどの高比透磁率材料によって構成され、外部からの磁気ノイズはこのシールド材によって遮蔽されて、磁気シールドルーム内部は磁気的に大変静かな環境を実現することができる。
従来の磁気シールド装置の基本構造としては、アルミニウムや軽量鉄骨等で構成する箱型の構造フレームに、壁材や床材としてFe−Ni合金である高比透磁率のパーマロイの板やケイ素鋼板を隙間なくボルト等で固定して磁気シールド空間を画定しており、例えば、特許文献1等に記載されている。
特開平5−183288号公報(第2頁、図1)
心磁計、脳磁計の扱う波形は、心磁計の場合心臓が活動する周波数(パルスを伴う高調波まで考慮すると)約50Hz以下である。脳磁計の場合はさらに低く、脳の活動の活発化を測定する場合1Hz以下まで測定する場合が多い。
従来の磁気シールドルームは前述の如くパーマロイを高比透磁率材料として用いていたが、パーマロイは約40Hzを頂点としてその両側が急激に低下する磁気シールド特性を有しており、心磁計、脳磁計に用いる場合に問題を生じていた。たとえば、10Hzの磁気遮蔽能力を実現するには50Hzでの磁気遮蔽能力が過剰になり、必要以上の厚さのシールド材を設置してしまうなど最適設計が難しい。過剰磁気シールド材料によりシールドルームが重くなり、その結果病院などの上階に設置できないため、設置場所が限られてしまう。
特許文献1に開示される磁気シールド装置では、磁気シールド材料として高比透磁率のパーマロイ板を用い、磁気シールドする空間を囲む構造をとっている。この場合、パーマロイ板は約1mm程度の厚さが必要とされ、磁気シールド装置の組み立て構造に合せて、切断、折り曲げ加工する部品加工が必要とされる。しかし、パーマロイ板は、部品加工の際に加わる外力のために機械的強度は影響がないものの磁気特性が極端に劣化すると言う欠点がある。また、据付後、地震等による外力が磁気シールド装置に加わった場合にもパーマロイ板の磁気特性は大幅に低下する。また、パーマロイ板を用いた磁気シールド装置は、各層で使用するパーマロイの板厚が約1mm以上必要であり、2m×2m×2m程度の大きさの磁気シールド装置でも2トン以上の重量に達してしまう。更に、磁気シールド率を高めるためには、パーマロイ板の1層構造では十分でなく多層構造が必要であり、この場合には、磁気シールド装置は数トンもの重量となってしまい、磁気シールド装置の移動等が規制される問題がある。
従って、本発明の目的は、必要十分な磁気シールド特性を持つ、脳磁計や心磁計などの生体磁場計測用の磁気シールド装置を提供することであり、必要な周波数領域(50Hz以下)において必要かつ十分な磁気シールド装置を実現することである。
上記目的を達成するために、本発明の磁気シールド装置は、0〜50Hzの周波数に対して磁気シールド特性がほぼ同等の合金薄帯をシールド材として磁気シールド空間を画定した生体磁場計測用の磁気シールド装置であることを特徴とする。磁気シールド特性については実施例でも記載するが、シールド材料により磁気シールド空間を画定し、前記区画の外部から磁場を印加し、シールド前の磁場強度とシールド後の磁場強度の比を対数で表現したもので、この磁気シールド特性の最大値と最小値の差が、最大値に対して20%以内であることが好ましい。
磁気シールド特性(dB)はdB=20×log(シールド前の磁場強度/シールド後の磁場強度)で表され、例えば、シールドによって磁場が1/10になった場合を-20dB、1/100になった場合を-40dB、1/1,000になった場合を-60dB、1/10,000になった場合を-80dBと表現するものである。
シールド材はCo基非晶質合金薄帯やCo基ナノ結晶合金薄帯を主原料とするものが上記の0〜50Hzの周波数に対して磁気シールド特性がほぼ同等の合金薄帯に該当する。このCo基合金薄帯の合金成分は、組成式が(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、aが0〜6、(b+c)が18〜30、yが0〜0.2、bが8〜18、zが0〜0.13、cが7〜18を満足するものが好ましい。
この特性をもつシールド材を用いた際の磁気シールド装置の詳細な構成として、軽量金属材を骨組部材とし、このシールド材は前記合金薄帯と樹脂フィルムを順次積み重ねて多層構造としたものであり、シールド材を10mm〜200mmの間隙を介して2層以上配置し、シールド材中の合金薄帯間の間隔を10μm〜160μmとすることが好ましい。この構造とすることで、生体磁場計測用の磁気シールド装置として、シールド特性を満足し、かつ重量的に軽減されたものとすることができる。
Co基アモルファス合金薄帯を用いることで、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気をシールドすることが容易になる。磁気をシールドするための磁性材料としては、ケイ素鋼板、パーマロイ、Fe基非晶質合金、Co基非晶質合金、結晶粒界の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性Fe基合金、結晶粒界の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性Co基合金などがあるが、ケイ素鋼板やFe基非晶質合金は、1kHz以下の低周波磁場或いは静磁場をシールドするには、比透磁率が小さ過ぎるためにかなり肉厚の厚い板とする必要があり、このために重量が大きくなりすぎて実用的ではない。
結晶粒界の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性合金の比透磁率は、ケイ素鋼板やFe基非晶質合金に比べるとかなり大きく、1kHz以下の低周波磁場或いは静磁場をシールドする磁気特性の面では好ましい材料であるが、非晶質合金薄帯を結晶化するための結晶化温度に近い温度での熱処理を経るため、超微細結晶組織を持つ合金部分の機械的強度が比較的弱く外力によって容易に破断してしまう。地震等があった場合には、外見上は影響がないように見えても超微細結晶組織を持つ合金部分には材料の破断等が生ずる。
パーマロイは、加工の際に加わる外力のために磁気特性が極端に劣化し、また、地震等による外力が磁気シールド装置に加わった場合には、大幅に磁気特性が低下するという問題がある。磁気特性の劣化したパーマロイ板の特性を回復するには再度熱処理をするなどの手段を取る必要がある。また、パーマロイ板を用いた磁気シールド装置は、使用するパーマロイの板厚が約1mm以上必要であり2m×2m×2m程度の大きさの磁気シールド装置でも2トン以上の重量に達してしまうという問題がある。
磁気シールド率を高めるためには、合金薄帯1層分の構造では十分でなく多層構造が必要であるが、この場合に、合金薄帯を接着剤を介して単に重ねるだけでは合金薄帯の間隔が不定であり望ましい値にすることは困難である。この間隔が小さいと多層構造にしても重量が大きくなるだけであって磁気シールド効果は大幅には向上しない。合金薄帯の間隔を期待する値とするために、一定の厚みの樹脂フィルムを介在して接着剤で接合する手段を採用する。樹脂フィルムを利用して、合金薄帯の間隔を10μm〜160μmの間のほぼ一定の間隔とすることにより、重量の大幅な増加無く合金薄帯の磁気シールド特性を最大限に生かすことができ、磁気シールド効果の大幅向上を図ることができる。合金薄帯を隙間をもたせて積層することにより、軽量でありながら合金薄帯の磁気シールド特性を最大限に生かすことができる。
各々のシールド材において合金薄帯と樹脂フィルムを順次積み重ねて合金薄帯を15層以上の多層構造とすることが好ましい。パーマロイの磁気シールド板と比較して、Co基非晶質などの合金薄帯と樹脂フィルムを順次積み重ねて形成した本発明のシールド部材は、より軽量でありながらパーマロイ以上の磁気シールド効果を発揮することができる。磁気シールド空間を画定するシールド材を多重にする場合にも同様の事情があり、シールド材間の間隔を一定の間隔、10mm〜200mmとする必要がある。アルミニウム等の軽量金属材を骨組部材とすることにより、磁気シールド装置全体の軽量化も図る。
シールド材の間隙には、例えば、発泡スチロールを充当して、磁気シールド装置の機械的強度を高めると共に、磁気シールド装置内部空間の空調効率を高めることができる。合金薄板の積層数は、30層以上とすることにより、容易に、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を最低限50dB減衰させることができる。さらに高いシールドの効率(性能)が要求される脳磁計測装置等に必要な磁気シールド装置では、さらに積層数を増やして300層よりも多くすることや、2重以上の多重シールドとすることで、必要なシールドの効率(性能)を得ることが可能であり、このような方法は、本技術を応用することで可能となる。
本発明の磁気シールド装置では、磁気シールド材料として結晶粒界が存在しない非晶質合金と樹脂フィルムを接着剤を介して積層した磁性積層板を用いるので、超微細結晶組織を持つ合金を使用する場合とは相違して、多少の外力が加わっても非晶質合金部分の機械的強度が強いので破断するようなことは殆どない。地震等があった場合にも、内部の非晶質合金部分に機械的破壊が生ずることは殆どない。
従来のパーマロイ等の磁気シールド特性に周波数ピークを有する材料で磁気シールド構造を構成する場合に比べ、特に低周波数領域においてシールドルーム、シールドボックス等のシールド構造体を特に低周波領域において同等のシールド特性を得、かつ軽量な磁気シールド構造を得ることが出来る。
さらに、本発明の磁気シールド装置は、機械的強度に優れ、軽量であり、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を最低限50dB減衰させることができる磁気シールド装置を作ることができる。地震等の外力が加わった場合でも磁気特性の劣化は殆ど発生することが無い。本発明に従って、あらかじめパネル部材を作り上げておき、これを組み合わせることにより磁気シールド装置を製作することは、製作工程を簡単化でき、組み立て時間も早くできることとなる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
厚み23μmのコバルト系アモルファス金属の箔体をハンドリングを容易にするためにプラスチックフィルムによって多数枚のリボンをほぼ平行に並べ、お互いのリボン端部同士を数mmオーバーラップさせることで磁気接続を確保したシールド材(以降シートと呼ぶ)によって、直径140mm、軸長470mm、シート巻き回数10回の磁気シールド円筒を作成した。なお、23μmの厚みの磁性体を10回巻き回しているため、このシールド円筒の総体磁性体厚みは0.23mmに相当する。この円筒に円筒外部に設置した直径1800mm、コイル間隔600mmのヘルムホルツコイルを用いて磁場を印加し、磁気シールド円筒の有無による、中央点における磁場強度の比較を行った。前述磁場シールド円筒の有無による観測された磁場強度比をシールド率と定義した。図2に測定の模式図を示す。
また、比較として同様に、厚み1mm、直径140mm、軸長470mmの円筒を(JISグレードPCの)パーマロイによって作成し、同様に上記ヘルムホルツコイルを用いて磁場を印加し、磁気シールド円筒の有無による、中央点における磁場強度の比較を行った。
磁場強度は磁気シールド円筒を設置しない場合に中央で40μTとなるように印加した。磁場の周波数は0.1Hzから100Hzまで変化させた。
測定された磁気シールド周波数特性を図1に示す。明らかにパーマロイを用いたシールド円筒では40Hz付近で磁気シールド周波数特性のピークを示すのに対し、コバルト系アモルファスシートを用いた場合にはほぼ平坦な磁気シールド周波数特性を示した。
15Hzより低い領域では、パーマロイの厚みが1mm、アモルファス磁性体の厚みが0.23mm相当と厚みに差があるにも関わらず、アモルファス磁性体で作成した円筒のほうがシールド率が高い結果となり、低周波数領域ではパーマロイで作成するシールド構造に比べてアモルファス磁性体で作成するシールド構造が、より薄い構成でより高いシールド率を得られる事が明らかになった。又、シールド率は磁性体厚みにほぼ比例することが知られており、アモルファス磁性体の厚みを当実験で使用したパーマロイと同じ1mmに合わせると、シールド率は約4倍、約12dB増加し、ほぼ67dBの値を取る。このシールド率はパーマロイのピーク値とほぼ同じ値で、しかも他の周波数においても同様な高いシールド率を得られるという利点があり、特に低周波領域でのシールド率の必要である心磁計や脳磁計等を含む生体磁気測定には大変有利である。
同様な周波数特性はシールドルーム等箱の形状でも同様に示される。又、同様な周波数特性はコバルト基以外の鉄基アモルファス、あるいは、ナノ結晶磁性材料においても見出せる
以下、磁気シールド装置の形状について図面に基づいて更に説明する。
図3は、本発明の磁気シールド装置に使用するシールド材1の部分斜視図であり、図4は図3に示したシールド材1の層構造を示す部分縦断面図である。図3、図4に示すように、本発明の磁気シールド装置用シールド材1は、20μmの厚さのCo基非晶質合金薄板11と20μmの厚さの樹脂フィルム13とを接着剤12を介して順次積み重ねてCo基非晶質合金薄板について50層の多層構造としたものである。Co基非晶質合金薄板間の間隔を1μm〜160μmとすることが、磁気シールド効果を高める。この間隔が狭すぎても、逆に大き過ぎても磁気シールドの効率が低下する。シールド材1の上下両面には樹脂フィルム13が配置されるようにすれば美観も良く、耐食性も高めることができる。
これらシールド材1をアルミニウム製の軽量金属骨組部材15に固定し、磁気シールド装置用パネル部材とすれば磁気シールド装置の組立工程を簡便化できる。このようなパネルとしたものの一例につき、その部分断面図を図5に示す。図5に示す磁気シールド装置用パネル部材2の上下に配置する2枚のシールド材1で形成する間隙166には、発泡スチロール板16を充当することにより、重量を殆ど増加することなく磁気シールドパネル2の機械的強度を高めると共に断熱効果を高めることができる。上下に配置したシールド材1間の間隙を10mm〜200mmの間隙とすることにより、上下2枚のシールド材1が相まって磁気シールドの効率を高める。磁気シールドパネル2を磁気シールド装置に組み上げた際に、隣り合う磁気シールドパネル2のシールド材1の端部どうしが密着し磁気的に結合していることが重要である。密着させることにより端部での磁気抵抗を小さくしシールド材1を通る磁束が端部で漏れることを防ぐ。また、磁気的結合を実現するには必ずしも端部どうしを密着させる必要はなく、ギャップがあっても一方のシールド材1から発した磁束が対向する他方のシールド材1に吸収される限りは磁気的に結合しているものとすることができる。若干のギャップがありシールド材1を通る磁束がそのギャップから磁気シールド空間65側に漏れることがあっても許容値以内であれば実用上問題はないからである。
図6には、これらパネルにより磁気シールド空間65を画定する磁気シールド装置3の一例の部分断面図を示した。アルミニウム製の骨組部材54により内周壁を形成すると共に、磁気シールドパネル2を固定するために利用する。本発明の磁気シールド装置3は、上記のような構成でも良いし、通常の家屋のように、アルミニウムの軽量金属材の骨組部材で装置骨格を形成した後、この装置骨格にシールド材1を張り合わせることにより磁気シールド空間を形成しても良い。隣り合う磁気シールドパネル2のシールド材1の端部どうしを磁気的に結合することにより磁気回路を形成する。外部から侵入した磁束はこの磁気回路を通り再び外部へ抜けるため磁気シールド空間65側に漏れることはない。図6ではシールド材1による磁気回路を間隙を介して2重に形成した例を示したが外部の磁場環境や必要とする磁気シールド率に応じて3重以上にすることもできる。シールド材1は、10mm〜200mmの間隙をおいて多重に配置することにより、磁気シールドの効率を一段と高めることができる。
このようにして形成した磁気シールド装置内の磁気シールド空間に心磁計や脳磁計を設置して心臓や脳から発生する磁場をSQUIDを使用して測定し、心臓や脳に流れる電流の分布を画像として捉える等の手段により、生体の健康状態を把握することができる。磁気シールド装置の一側面には、人の出入り或いは医療機材搬入のために使用する扉(図示せず)を設けることが好ましい。幅広のCo基非晶質合金薄板とするために、Co基非晶質合金薄板を幅方向に多数配置することにより、一枚の幅広のCo基非晶質合金薄板と同一の効果をえることができる。Co基非晶質合金薄板を幅方向に一部重ね合わせて配置することにより、繋ぎ合わせ部分の磁気抵抗を低く抑えることができる。
軽金属の骨組部材としては、アルミニウム材が適切であるが、マグネシウム材など他の軽金属材を用いることもできる。骨組部材を中空構造化することにより強度は落とさずに軽量化をすることができる。軽金属の骨組部材は、磁気シールド装置の全体強度を高めるために使用するが、また、パネル部材において2枚のシールド材間の間隙(間隔)を当該骨組部材により規定することもできる。
骨組部材で磁気シールド装置の骨格を形成した後、シールド材を内壁、外壁を形成するように貼り合わせて磁気シールド空間を画定することもできる。また、骨組部材をパネル部材の骨組として予め作成しておいてパネルの両面にシールド材を貼り合わせて磁気シールド装置用の磁気パネルを作ることもできる。磁気シールド装置の内面や外面を保護し、清潔感を持たせるため化粧板を仕上げ材として配置することが好ましい。
Co基非晶質合金薄板は、Co基合金の溶解物を急速に回転する冷却ロールの表面に射出することにより、一般には、厚さ8μm〜80μm、通常は、16μm〜40μmの非晶質合金として得られるが、幅は、一般には25mm〜300mmものとして得る。Co基非晶質合金薄板の1kHzに於ける比透磁率は約80000以上のものを得る。合金組成としては、好ましくは、組成式:(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、aが0〜6、(b+c)が18〜30、yが0〜0.2、bが8〜18、zが0〜0.13、cが7〜18を満足するものである。本発明で使用するCo基非晶質合金薄板は、結晶粒界は無く、全くの非晶質の金属組織を有する。軟磁性非晶質薄膜は、樹脂フィルムを介して接着剤により、積層して使用する。樹脂フィルムの厚さは、10μm〜100μmのものを適宜選択して使用する。
本発明の磁気シールド装置の壁には、貫通口又は通気口等を設け、外部からの空気を取り入れたり、電子機器用のケーブル類を通すことができる。貫通口としては、本発明に使用する磁気シールド積層板を丸めて形成した管を挿入することで形成できる。このようにすれば、磁気シールド率を劣化させずに、空気の取り入れができるし、ケーブル類を通すことができる。
従来技術で使用されてきたパーマロイの代わりに、Co基非晶質合金薄膜を樹脂フィルムを介して接着剤で接合して積層した磁気シールド積層板は、積層構造にもよるが、一般には、厚さ80μm〜300μmの高比透磁率の積層板となる。この磁気シールド積層板は、パーマロイに比較してはるかに軽量であり、磁気シールド効率も高く、また、外力が加わっても磁気特性や機械的強度の劣化は無い。磁気シールド装置の移動や地震等に遭遇しても、大丈夫である。折り曲げ、切り取り加工も容易であり、壁紙を扱うように取り扱うこともできる。
従来技術では、壁構造体の主要な部材としてパーマロイ板を用いて、磁気シールド空間を画定していたが、本発明では、磁気シールド装置の骨組部材としてアルミニュウム等の軽金属材を使用し、磁気シールド空間の凡そを画定した後に、磁性シールド部材として上記の磁気シールド積層材を使用すれば、磁気シールド装置を簡便に作成することができる。
Co基非晶質合金薄帯を多層化することにより、厚さ1mm程度のパーマロイと同等な磁気シールド率を実現ができる。ただ単に、複数枚のCo基非晶質合金薄帯を重ね合わせるだけでは磁気シールドの効率は向上しない。Co基非晶質合金薄帯の層間距離を10μm〜160μmとすることが大切である。重ねるCo基非晶質合金薄帯の枚数は10以上が好ましいが、更に好ましくは、積層数が30層〜300層である多層構造としたものである。
周波数特性を示すグラフ。 磁気シールド測定の測定状態を示す模式図。 本発明に使用する磁気シールド積層板の一部断面図。 図1に示す磁気シールド積層板の縦断面図。 本発明に使用する磁気シールドパネルの構造を示す一部断面図。 本発明の実施例の磁気シールド装置の概略構造を示す一部断面図。
符号の説明
1…磁気シールド積層板、2…磁気シールドパネル、3…磁気シールド装置、11…Co基非晶質合金薄帯、12…接着剤、13…樹脂フィルム、15…アルミニウム骨組部材、16…シールド材間間隙、53…アルミニウム骨組部材、54…骨組部材内表面、65…磁気シールド空間

Claims (9)

  1. 0〜50Hzの周波数に対して磁気シールド特性がほぼ同等の合金薄帯をシールド材として磁気シールド空間を画定した生体磁場計測用の磁気シールド装置。
  2. 前記磁気シールド特性(dB)は、シールド特性の最大値と最小値の差が、最大値に対して20%以内であることを特徴とする請求項1に記載の磁気シールド装置。
  3. 前記シールド材はCo基非晶質合金薄帯を主原料とすることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気シールド装置。
  4. 前記シールド材はCo基ナノ結晶合金薄帯を主原料とすることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気シールド装置。
  5. 前記Co基合金薄帯の合金成分が、組成式:(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、aが0〜6、(b+c)が18〜30、yが0〜0.2、bが8〜18、zが0〜0.13、cが7〜18を満足することを特徴とする請求項3または4に記載の磁気シールド装置。
  6. 前記磁気シールド装置は軽量金属材を骨組部材とし、前記シールド材は前記合金薄帯と樹脂フィルムを順次積み重ねて多層構造としたものであり、前記シールド材を10mm〜200mmの間隙を介して2層以上配置し、前記シールド材中の前記合金薄帯間の間隔を1μm〜160μmとしたことを特徴とする請求項1〜5に記載の磁気シールド装置。
  7. 前記シールド材における合金薄帯の積層数が15層以上である多層構造としたことを特徴とする請求項6に記載の磁気シールド装置。
  8. 前記シールド材の間隙には、断熱材を充当したことを特徴とする請求項6に記載の磁気シールド装置。
  9. 前記シールド材の各々において前記合金薄帯と樹脂フィルムを順次積み重ねて、前記合金薄帯の積層数が30層〜300層である多層構造としたことを特徴とする請求項6に記載の磁気シールド装置。
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