JP2006196297A - 導電用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性に優れた導電用組成物を提供する。
【解決手段】 導電用組成物は、導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物を主成分とし、有機バインダーを含有するものである。この混合物中の導電性カーボンは20〜85質量%であることが好ましく、フラーレン類は80〜15質量%であることが好ましい。導電用組成物は、均一分散性及び塗布作業性の観点から、前記導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが有機溶剤中に溶解又は分散されて形成されていることが望ましい。このような導電用組成物は、面状発熱体用などとして好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電用インク組成物、面状発熱体用組成物などとして利用され、電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性に優れた導電用組成物に関するものである。
従来、電気回路などを転写する場合には、導電性カーボンブラック、グラファイトなどを主成分とした導電性インク組成物が用いられてきた。そのような導電性インク組成物により転写された電気回路の電気抵抗値を変える際には印刷の幅や長さを変えることが一般的に行われてきた。その他、導電性インク組成物自体の電気抵抗値を変動させる方法として、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウムなどの絶縁性充填剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、導電性インク組成物としては、水性又は有機液体ベヒクルと、着色剤としてのフラーレン又はフラーレン混合物とを含むインクジェット用の組成物も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特開平8−120182号公報(第2頁から第4頁) 特開平5−194892号公報(第2頁及び第4頁)
前記特許文献1においては、絶縁性充填剤の添加量は約5〜30容積%、好ましくは約10〜25容積%であると記載されている。しかしながら、そのような範囲の添加量では、電気抵抗値が大幅に変化してしまい、電気抵抗値を細かく変化させることは難しかった。さらに、絶縁性充填剤の添加量が30容積%を上回る場合には、組成物中でカーボンブラックなどの導電性成分や絶縁性充填剤の分散が不十分となり、それぞれに凝集が起こるため、転写された電気回路の電気抵抗値の再現性に問題があることが多かった。一方、絶縁性充填剤の添加量が5容積%を下回る場合には、少量の絶縁性充填剤が凝集して組成物中で均一な分散が起こらず、電気抵抗値が変化しないことがあった。
また、前記特許文献2に記載されているインクジェット用の組成物は、フラーレン又はフラーレン混合物が良好な着色性を示し、その組成物を用いて印刷を行ったとき、バックグラウンドの汚れのない優れた解像力の像が得られる。しかし、このインクジェット用組成物を導電用組成物として利用する場合、導電性カーボンより電気絶縁性の高い材料であるフラーレン又はフラーレン混合物だけではインクジェット用組成物の電気抵抗値を変化させることができなかった。
そこで、本発明の目的とするところは、電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性に優れた導電用組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の導電用組成物は、導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物を主成分とし、有機バインダーを含有することを特徴とするものである。
第2の発明の導電用組成物は、第1の発明において、前記混合物中の導電性カーボンは20〜85質量%であり、フラーレン類は80〜15質量%であることを特徴とするものである。
第3の発明の導電用組成物は、第1又は第2の発明において、前記導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが有機溶剤中に溶解又は分散されて形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の導電用組成物には、主成分として導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物が含まれている。フラーレン類は導電性カーボンに比べて電気絶縁性の高い成分であり、その含有量に比例して電気抵抗値が上昇する性質を有している。このため、導電性の成分である導電性カーボンにフラーレン類を含有させると、その含有量に応じて導電用組成物の電気抵抗値を変化させることができる。さらに、フラーレン類は有機バインダーに相溶し、かつ導電用組成物中における導電性カーボンの分散性を改善させる。従って、第1の発明の導電用組成物によれば、電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性に優れている。
また、第2の発明の導電用組成物では、前記混合物中の導電性カーボンが20〜85質量%であり、フラーレン類が80〜15質量%である。従って、第2の発明の導電用組成物によれば、第1の発明の効果を向上させることができる。
さらに、第3の発明の導電用組成物では、導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが有機溶剤中に溶解又は分散されて形成されている。このため、導電用組成物を低粘度化することができ、第1又は第2の発明の効果に加え、対象物に対する塗布を容易にできるとともに、一定厚みの被膜を容易に形成することができる。従って、導電用組成物は面状発熱体、印刷による電気抵抗体、印刷による半導体などの用途に好適に用いられる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の導電用組成物は、導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物を主成分とし、有機バインダーを含有するものである。この導電用組成物は、主成分である導電性カーボンと、その導電性カーボンより電気絶縁性の高いフラーレン類との混合物の混合割合を変えることにより、導電用組成物から得られる被膜の電気抵抗値を調整することができる機能を発現できるものである。
導電性カーボンは電気的に導電性の成分であって、カーボンブラック、グラファイト等が用いられる。これらの導電性カーボンは、それぞれ単独又は組合せて用いられる。カーボンブラックは製造方法によってファーネスブラック、チャンネルブラック及びサーマルブラックに分類されるが、ストラクチャーが小さく、平均粒子径が約30〜150μm程度と比較的大きなものが好適に用いられる。そのようなカーボンブラックとして例えばSRF(Semi Reinforcing Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、FT(Fine Thermal)などに分類されるソフトカーボンが挙げられる。ここで、ストラクチャーとは、カーボンブラックの粒子同士が融着した状態で存在するアグリゲート(ぶどうの房状のもの)の発達度合いを意味し、ハイ(高)、ノーマル(中)及びロー(低)に分類される。このストラクチャーの高低が、導電用組成物の分散性、導電性などの物性に影響を与える。また、グラファイト(黒鉛)としては、天然黒鉛及び人造黒鉛の鱗片状のものや、塊状のものなど任意のものが使用できる。
次に、フラーレン類は、C2n(nは30以上)で表される炭素5員環、炭素6員環などからなる閉じた球状又はチューブ状の分子などを指し、前記導電性カーボンに比べて電気絶縁性の高い成分である。一方、前記導電性カーボンは、炭素6員環のみからなる平面状の単位構造が積層されたグラファイト構造を有している。フラーレン類としては、フラーレン、ナノムブラック等が用いられる。フラーレンは、炭素5員環と6員環から構成される、球状に閉じた多様な多面体構造を有する炭素分子である。代表的なフラーレンは、グラファイト、ダイヤモンドに続く第3の炭素同素体として1985年にH.W.KrotoとR.E.Smalleyなどによって発見された新規な炭素材料である。
代表的なフラーレンとしては、60個の炭素原子が12個の五員環と20個の六員環とからなる球状の切頭正二十面体を構成するC60が挙げられ、同様に70個の炭素原子からなるC70、さらに炭素数の多い高次フラーレンなどが存在する。なお、切頭正二十面体は正二十面体の各頂点を切り落として正五角形の面とした形状(サッカーボールの形状)をいう。これらフラーレン類はその構造から極めて特異な性質を発現し、例えば炭素同素体にも拘わらず、ベンゼンやトルエンなどの有機溶媒に可溶であることが挙げられる。
また、これまで知られている分子の中で、最も高い対称性を有する構造により、多くの縮重軌道を持つ。この特徴的な内部の電子状態に関連して、超伝導体や半導体、光機能材などへ応用される。例えば、C60は比較的低い還元電位を有し、電子受容体としての機能が注目されている(C60結晶の電気伝導率は10-8〜10-14(Ω・cm)-1であり、ダイヤモンドの電気伝導率10-10〜10-16(Ω・cm)-1の値に近く、電気絶縁性の高い領域にある)。なお、電気伝導率(Ω・cm)-1は、電気抵抗率(Ω・cm)の逆数である。さらに熱伝導に関しては、C60は伝導電子を持たないため、格子振動による熱伝導となり、室温で約0.4Wm-1-1と、ダイヤモンドの約2kWm-1-1、グラファイトの約100Wm-1-1程度と比較して著しく小さい。
フラーレン類の製造方法としては、レーザー蒸発法、抵抗加熱法、アーク放電法、熱分解法など、種々の方法が挙げられるが、近年、経済的で効率の良い大量製造法として燃焼法が実用化されている。燃焼法の例としては、バーナーが減圧チャンバー内に設置された装置を使用し、減圧チャンバー内を真空ポンプにて排気し、減圧しつつ炭化水素原料と酸素とを混合してバーナーの火炎に供給する。その後、火炎により生成した煤状物質を下流に設けた回収装置により回収する。フラーレンは回収された煤中の溶媒可溶分として得られ、溶媒抽出、昇華などの方法により単離される。得られたフラーレンは通常C60、C70及び高次フラーレンの混合物として得られ、さらに精製してC60、C70などを単離することができる。
また、ナノムブラックはフラーレン製造時の副生炭素粒子であり、上記煤中の溶媒不溶分として得られる。この粒子はフラーレン製造過程で副生することから、グラファイトやカーボンブラックとは異なり、グラファイト構造がほとんど存在しないという特徴を有している。具体的には、CuKα線を使用したX線回折測定結果における回折角3〜30°の範囲内で、最も強いピークが回折角10〜18°の範囲に存在し、グラファイト構造の面間に相当する回折角23〜27°にピークが存在しないか、或いは極めて小さい。
また、励起波長5145Åでのラマンスペクトルの結果において、バンドG=1590±20cm-1とバンドD=1340±40cm-1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0の範囲であるという特徴を有している。このことは、ナノムブラックの炭素粒子がグラファイト構造とは異なるが、規則性の高い構造を有することを意味している。ナノムブラックの構造としては、グラファイトに見られる平面構造ではなく、フラーレンに類似した、炭素5員環に由来する湾曲した単位構造を有する特異的な内部構造を有すると推測され、このことが本発明における効果に寄与するものと考えられる。このような内部構造による特異的性質の一つは導電性に見ることができ、ナノムブラックの電気伝導率が10-2〜10-8(Ω・cm)-1という値を示し、同じく燃焼法で得られるカーボンブラックの電気伝導率が102〜10-1(Ω・cm)-1と比較して小さな値を示す。
従って、導電性カーボンに対してフラーレン類の含有量が増加すると、体積当たりの電気抵抗値が上昇する一方、その含有量が減少すると、体積当たりの電気抵抗値が低下し、次第に導電性カーボンだけで作られた導電用組成物の特性に近づく傾向を示す。
フラーレン類の平均粒子径は、0.5〜500μm程度であることが望ましい。この平均粒子径が0.5μm未満の場合にはフラーレン類が細かくなり過ぎて製造に手間を要し、製造効率が低下し、500μmを越える場合には導電用組成物中における分散性が低下し、導電用組成物から得られる被膜の電気抵抗値のばらつきが大きくなる傾向を示す。
導電用組成物の主成分である導電性カーボンとフラーレン類との混合物中における導電性カーボンの含有量は10〜90質量%であり、フラーレン類の含有量は90〜10質量%である。導電性カーボンの含有量は好ましくは15〜90質量%、より好ましくは20〜85質量%であり、フラーレン類の含有量は好ましくは85〜10質量%、より好ましくは80〜15質量%である。導電性カーボンの含有量が10質量%未満又はフラーレン類の含有量が90質量%を越える場合には、導電用組成物から得られる被膜の電気抵抗値が大きくなり過ぎるとともに、フラーレン類の分散性が低下して被膜の電気抵抗値がばらついてその再現性が悪くなる。一方、導電性カーボンの含有量が90質量%を越える場合又はフラーレン類の含有量が10質量%未満の場合には、導電用組成物から得られる被膜の導電性が良くなり、電気抵抗値が小さくなり過ぎ、面状発熱体等の用途には適さなくなる。
次に、有機バインダーについて説明する。
有機バインダーは、導電性カーボンとフラーレン類とを分散させるもので、導電用組成物を例えば対象物に塗布したとき、固体状の被膜が形成できるものであればよい。また、有機バインダーは導電用組成物を対象物に塗布したとき、対象物に対する密着性を向上させる機能も有している。有機バインダーとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアルキルアクリレート、天然ゴム又はポリイソプレン、NBR、EPDMなどの合成ゴムなどの重合体、各種ワックス類、アルキルアクリレートなどの単量体が用いられる。入手性や取り扱い易さの観点から好ましくは、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアルキルアクリレートなどが挙げられ、転写した電気回路などの強度や柔軟性の観点から好ましくは、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、NBR、EPDMなどの合成ゴムが挙げられる。
有機バインダーの含有量は、導電性カーボンとフラーレン類との混合物の組成に応じて適宜決定されるが、その混合物に対して10〜50質量%程度が好ましい。この含有量が10質量%未満の場合には導電性カーボンの分散性が低下する傾向を示すとともに、対象物に対する導電用組成物の密着性も低下し、50質量%を越える場合には導電用組成物中の導電性カーボンやフラーレン類の濃度が相対的に低下し、電気抵抗値の調整を効率良く行うことが難しくなる。
導電用組成物としては、導電性カーボンとして導電性の良いカーボンブラックと、フラーレン類としてカーボンブラックに対して親和性の高いC60と、それらを良好に分散させる有機バインダーとしてポリアルキルアクリレートとの組合せが好ましい。そのような導電用組成物は、カーボンブラックとフラーレンC60の分散性が良く、カーボンブラックのもつ導電性とC60のもつ電気絶縁性とが相俟って電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性を向上させることができる。
導電用組成物には、導電性カーボンなどの分散性を良くするとともに、粘度を低下させて塗布作業性を向上させるために、必要に応じて有機溶剤を配合することが好ましい。そのような有機溶剤としては、フラーレン類を分散又は溶解し、かつ有機バインダーを溶解するものが良く、例えばトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ソルベントナフサ、石油エーテル、ミネラルスピリットなどが用いられる。これらの有機溶剤のうち、入手の容易性や取り扱い性の観点から、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ソルベントナフサ又は石油エーテルが好ましく、フラーレン類との親和性の観点から、トルエン又はキシレンが好ましい。
有機溶剤の含有量は、導電用組成物の粘度を各成分の分散性が良く、塗布性が良好となるように配慮して適宜設定される。具体的には、前記導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーの合計量に対して1〜10倍を目安にして設定される。有機溶剤の含有量が少ない場合には導電用組成物中の各成分の分散性が不十分で、粘度が高く塗布性が悪くなる一方、その含有量が多い場合には前記各成分の濃度が低下したり、塗布後の乾燥に時間を要することとなる。
導電用組成物には、前記の主成分、有機バインダー及び有機溶剤以外にも導電性を損なわない範囲内で、一般には約10質量%以下、好ましくは約5質量%以下の割合で紫外線吸収剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋促進剤、加工助剤、酸化防止剤、湿潤剤、分散剤、界面活性剤、pH調整剤などを配合することができる。
次に、導電用組成物の製造方法について説明する。導電用組成物は、前記の導電性カーボンと、フラーレン類と、有機バインダーとを混合することにより得られるが、好ましくは有機バインダーを予め有機溶剤に溶解し、導電性カーボンとフラーレン類とを添加すると分散を効率良く行うことができる。その際、導電性カーボンとフラーレン類との添加順序は特に制限されない。また、その際の温度は、有機溶剤の沸点以下であれば高いほど有機バインダーの溶解やその他の成分の分散を効率良く行うことができる。
これらの成分の混合を行う際には、撹拌棒を用いた手による撹拌でも、撹拌モータに取り付けられた撹拌羽根やマグネチックスターラを用いても混合が十分であれば問題はないが、インク製造用の三本ローラなどを用いることで、さらに効率の良い混合を行うことができる。このようにして、例えばインク状又はペースト状の導電用インク組成物などの導電用組成物が得られる。
得られる導電用組成物は、対象物に塗布、乾燥して得られる被膜の体積当たりの電気抵抗値が面状発熱体などの用途を考えると、200〜4000Ω/cm3であることが好ましく、1000〜4000Ω/cm3であることがより好ましい。この電気抵抗値が200Ω/cm3未満の場合、電気抵抗値が低くなり過ぎ、被膜中を電流が流れ過ぎて十分な発熱性能などが発揮できなかったり、バッテリーの消耗が大きくなったりして好ましくない。一方、電気抵抗値が4000Ω/cm3を越える場合、高電圧を印加しなければ発熱性能などの性能を十分に発揮することができず、効率が悪い。
対象物となる基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、セルロース、セルロイドなどの樹脂フィルムやセラミックス板などが用いられる。基材は、一般に厚さ10μm以上のものが使用される。基材への導電用組成物の塗布方法はスクリーン印刷法のほか、ナイフコータ、グラビアコータなどを用いる方法が採用される。電気回路の転写など特定のパターンとして形成させる場合には、スクリーン印刷法を採用することが好ましい。
基材上に塗布された導電用組成物を約10〜150℃で約1〜100分程度乾燥させることにより、膜厚10〜50μm程度の導電性の被膜が形成される。その際の乾燥温度は、20〜50℃程度が表面の均一性などの点から好ましい。乾燥温度が20℃未満の場合には乾燥に時間を要し、その間に異物混入のおそれがあり、50℃を越える場合には乾燥が早過ぎるため被膜にクラックが入るおそれがある。
導電用組成物から形成された被膜は、その電気的特性を安定化させるとともに、弾性率などの強度特性を向上させるために、加熱、紫外線照射、放射線照射などの手段によって架橋させておくことが好ましい。加熱架橋は、オーブン加熱或いは熱プレスなどによって行われる。放射線架橋は、電子線などを用いて行われ、照射量は基材の種類によって異なる。例えば、基材が高密度ポリエチレンの場合には約3〜10Mrad、好ましくは約3〜5Mrad、また基材がポリオシキエチレンの場合には約10〜20Mrad、好ましくは約10〜18Mradである。
さて、導電用組成物を調製する場合には、前記の導電性カーボンと、フラーレン類と、有機バインダーとを有機溶剤を用いて混合、分散することにより得られる。この場合、導電用組成物中の導電性カーボンの含有量を10〜90質量%及びフラーレン類の含有量を90〜10質量%の範囲内で調整することにより、導電用組成物から得られる被膜の電気抵抗値を面状発熱体などの用途に応じて適した値に簡単に設定することができる。これは、フラーレン類が導電性カーボンに比べて電気絶縁性の高い成分であり、その含有量に比例して電気抵抗値が上昇する性質を示すと同時に、フラーレン類が有機バインダーに相溶し、導電性カーボンの分散性を良好にするためと考えられる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の導電用組成物には、主成分として導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物が含まれている。このため、導電性の成分である導電性カーボンにそれより電気絶縁性の高いフラーレン類を含有させると、その含有量に応じて導電用組成物の電気抵抗値を変化させることができる。従って、導電用組成物によれば、導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが相乗的に作用し、電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性を向上させることができる。
・ 前記混合物中の導電性カーボンは20〜85質量%であり、フラーレン類は80〜15質量%であることが好ましい。そのようにすれば、上記効果を向上させることができる。
・ また、導電用組成物は、導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが有機溶剤中に溶解又は分散されて形成されていることが好ましい。その場合、導電用組成物を低粘度化することができ、対象物に対する塗布を容易にできるとともに、一定厚みの被膜を容易に形成することができる。従って、導電用組成物は面状発熱体、印刷による電気抵抗体、印刷による半導体などの用途に適している。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部、%は特に断らない限り質量部及び質量%を示す。
(実施例1)
有機バインダーとしてポリイソブチルメタクリレート20質量部と、その他の配合剤である帯電防止剤として第4級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体1質量部と、その他の配合剤である紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物2質量部とを、それら成分の1.5倍量のソルベントナフサ中に加え、攪拌して溶解又は分散させた。その分散液に、導電性カーボンとしてのカーボンブラック(電気化学工業(株)製、デンカブラック、平均粒子径23nm)65質量部と、フラーレン類としてのフラーレンC60(フロンティアカーボン(株)製)12質量部とを加え、200rpmの撹拌条件下で10分間遠心攪拌した。その後、3本ロールに3回通し、導電用組成物としての導電用インク組成物を得た。表1中の導電性カーボン及びフラーレン類の( )内の数値は、それら2成分中の含有量(質量%)を表す。
次いで、スクリーン印刷装置を用い、PETフィルム上に乾燥後の厚さが約40μmになるように前記の導電用インク組成物を均一に塗布した後、印刷幅10mm、全長200mmの印刷を施した。その後、120℃のオーブン中で20分間乾燥させた。得られた被膜について、測定温度を−200℃、−100℃、0℃及び100℃に変え、体積当たりの電気抵抗値(Ω/mm3)を下記に示す測定方法で測定した。さらに、体積当たりの電気抵抗値について、下記に示す方法でばらつき(%)を算出した。それらの結果を表1に示す。
(体積当たりの電気抵抗値の測定方法)
前記印刷の幅を10mm、厚さを200μmとし、電気抵抗計(菊水電子工業(株)製、TOS9000)を用いて体積当たりの電気抵抗値(Ω/mm3)を測定した。
(電気抵抗値のばらつきの算出法)
上記の電気抵抗値を5回測定し、それらの測定値の平均値を計算し、各測定値の標準偏差を平均値で割り、100倍して算出した。
(実施例2〜4)
導電性カーボンと、フラーレン類との配合割合(質量部)を表1に示すように変えた以外は、実施例1に準じて各導電用インク組成物を得た。得られた各導電用インク組成物を用い、実施例1に準じて印刷を行い、乾燥させて被膜を得た。その被膜について、体積当たりの電気抵抗値(Ω/mm3)及びばらつき(%)を求めた。それらの結果を表1に示す。
Figure 2006196297
表1に示した結果から、実施例1では導電性カーボンの含有量が多く、フラーレン類の含有量が少ないため、被膜の体積当たりの電気抵抗値は244〜261(Ω/mm3)という低い値を示し、そのばらつきは3.9〜5.2(%)であった。また、電気抵抗値は−100℃で最も低い値を示し、−200℃及び100℃に近づくほど大きくなる傾向を示した。実施例1より導電性カーボンの含有量を減らし、フラーレン類の含有量を増やすと(実施例2、実施例4及び実施例3)、被膜の電気抵抗値は上昇する傾向を示し、実施例3では体積当たりの電気抵抗値が2975〜3300(Ω/mm3)であった。従って、フラーレン類の種類に応じてその配合割合を増加させることにより、被膜の電気抵抗値を容易に調整することができる。しかも、導電性カーボンの含有量を20〜85質量%、フラーレン類の含有量を80〜15質量%に設定することにより、電気抵抗値のばらつきを5.4(%)以下に抑制でき、電気抵抗値の再現性を向上させることができた。また、温度による電気抵抗値の変化は、実施例2〜実施例4においても、実施例1と同様の傾向を示した。
(比較例1〜3)
比較例1では、実施例1において、フラーレン類を配合せず、導電性カーボンのみとし、その他の配合剤である紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物4質量部をさらに配合した以外は実施例1と同様に実施した。比較例2では、実施例1において、導電性カーボンの含有量を6質量%、フラーレン類の含有量を94質量%とした以外は実施例1と同様に実施した。比較例3では、実施例4において、導電性カーボンの含有量を6質量%、フラーレン類の含有量を94質量%とした以外は実施例4と同様に実施した。
そして、得られた被膜について、体積当たりの電気抵抗値(Ω/mm3)及びばらつき(%)を求めた。それらの結果を表2に示す。
Figure 2006196297
表2に示した結果から、比較例1では導電性カーボンのみであることから、被膜の体積当たりの電気抵抗値が49〜53(Ω/mm3)という非常に低い値を示し、一定の電気抵抗値が必要とされる面状発熱体等の用途には適していないことがわかった。比較例2及び比較例3では導電性カーボンの含有量が非常に少なく、フラーレン類の含有量が非常に多いため、電気抵抗値は6310〜7830(Ω/mm3)まで上昇し、面状発熱体等の用途に使用する場合には所要の電流を流すために高い電圧が必要となって、不適当であることがわかった。しかも、電気抵抗値のばらつきは11.3〜17.7(%)と大きく、電気抵抗値の再現性が悪いことが明らかとなった。
なお、本実施形態を、次のように変更して実施することも可能である。
・ フラーレン類として、炭素原子数240のC240や炭素原子数540のC540などを用いることも可能である。
・ 電気抵抗値の異なる複数の導電性カーボンや複数のフラーレン類を用い、得られる被膜の電気抵抗値を細かく調整できるように構成することもできる。
・ 電気抵抗値の異なる複数の導電性カーボンの含有量を変化させ、複数のフラーレン類の含有量を変化させ、得られる被膜の電気抵抗値を調整するように構成することもできる。
・ カーボンブラックとして、FF(Fine Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)などのハードカーボンを用いることも可能である。
・ 導電性カーボンとして、繊維状骨格又は粒子状骨格を有するポーラスカーボンなどを用いることもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記フラーレン類は、炭素原子数60個若しくは70個のフラーレン又はナノムブラックであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電用組成物。この場合、フラーレン類の取得が容易で、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
・ 前記導電性カーボンはカーボンブラックであり、フラーレン類は炭素原子数60個のフラーレンであり、有機バインダーはポリアルキルアクリレートであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電用組成物。この場合、カーボンブラックのもつ導電性と炭素原子数60個のフラーレンのもつ電気絶縁性と、ポリアルキルアクリレートのもつ良好な分散性とが相乗的に作用して電気抵抗値を容易に調整することができるとともに、電気抵抗値の再現性を向上させることができる。
・ 導電用インク組成物として用いられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電用組成物。この場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を導電用インク組成物において発揮させることができる。
・ 面状発熱体として用いられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電用組成物。この場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を面状発熱体において発揮させることができる。

Claims (3)

  1. 導電性カーボン10〜90質量%と、フラーレン類90〜10質量%との混合物を主成分とし、有機バインダーを含有することを特徴とする導電用組成物。
  2. 前記混合物中の導電性カーボンは20〜85質量%であり、フラーレン類は80〜15質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電用組成物。
  3. 前記導電性カーボン、フラーレン類及び有機バインダーが有機溶剤中に溶解又は分散されて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20140134756A (ko) * 2013-05-13 2014-11-25 주식회사 엘지화학 고분자 수지 조성물과 제조 방법, 및 플라스틱 사출 성형품

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