JP2006195259A - レゾネータ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】
開口部に連通する閉塞空間を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させることにより、この仕切り部材の内端部にて閉塞空間から流通する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となるレゾネータ構造の提供を目的とする。
【解決手段】
開口部2から該開口部2に連通する閉塞空間3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、閉塞空間3を上下に仕切る所定厚さtの仕切り部材5を該閉塞空間3内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させたことを特徴とする。
【選択図】 図6
開口部に連通する閉塞空間を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させることにより、この仕切り部材の内端部にて閉塞空間から流通する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となるレゾネータ構造の提供を目的とする。
【解決手段】
開口部2から該開口部2に連通する閉塞空間3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、閉塞空間3を上下に仕切る所定厚さtの仕切り部材5を該閉塞空間3内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させたことを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
この発明は、ヘルムホルツの理論を用いて、開口部から該開口部に連通する閉塞空間(レゾナンスチャンバ)に音波が入射した時、音(空気の圧力変動)のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するようなレゾネータ構造に関する。
従来、車両の騒音を低減する手段としては、吸音材を用いたものがある。すなわち、PETフェルト基材をメイン基材として用い、このメイン基材の両面にフェノール樹脂含浸ガラスマット製の補強材を積層し、さらに、これら補強材の両外面にPETフィルムを積層して、何れか一方のPETフィルムに適宜間隔を隔てて複数の小孔を穿設し、小孔が穿設されたPETフィルムの外面に表皮材を接合して構成されたものを車両用成形天井として用いるものである(特許文献1参照)。
このように、吸音材を用いて剛性および質感を有する成形天井を成形することは、コスト及び品質の面で不利となるうえ、周波数が500〜1000HZの高い周波数の吸音には効果がある反面、低周数域の騒音低減性能を確保することは困難であると共に、上述のように多層構造に形成すると、車両重量が増加するため、燃費が悪化する問題点があった。
一方、ヘルムホルツの理論を用いてレゾネータを構成した従来技術としては次のような各種の構造があった。
つまり、トラックの運転席としてのキャブ構造体の天井部を構成するルーフパネルと、このルーフパネルに形成した補強用ビードとの間の隙間を利用して吸気レゾネータを構成して、騒音を低減するもの(特許文献2参照)、
シートバック上部に設けられるヘッドレストにレゾネータとなる空洞部を設け、この空洞部を、開口部を介して車室内に連通させて、騒音を低減するもの(特許文献3参照)、
リヤウエスト部の連通路を共鳴器のスロート部(いわゆる首部)として車室に連なるレゾネータを構成し、トランクルーム内で発生する低周波騒音の車室内への伝達を低下させるように構成したもの(特許文献4参照)、
車室とトランクルームとをレゾネータの首部としての穴部で連通し、この穴部のフランジの長さと、トランクルームの容積とにより決定されるレゾネータ最大吸音周波数(共鳴周波数と同意)を、車室内の特定のこもり音の周波数域にチューニングし、上記こもり音を低減すべく構成したもの(特許文献5参照)、
がある。
つまり、トラックの運転席としてのキャブ構造体の天井部を構成するルーフパネルと、このルーフパネルに形成した補強用ビードとの間の隙間を利用して吸気レゾネータを構成して、騒音を低減するもの(特許文献2参照)、
シートバック上部に設けられるヘッドレストにレゾネータとなる空洞部を設け、この空洞部を、開口部を介して車室内に連通させて、騒音を低減するもの(特許文献3参照)、
リヤウエスト部の連通路を共鳴器のスロート部(いわゆる首部)として車室に連なるレゾネータを構成し、トランクルーム内で発生する低周波騒音の車室内への伝達を低下させるように構成したもの(特許文献4参照)、
車室とトランクルームとをレゾネータの首部としての穴部で連通し、この穴部のフランジの長さと、トランクルームの容積とにより決定されるレゾネータ最大吸音周波数(共鳴周波数と同意)を、車室内の特定のこもり音の周波数域にチューニングし、上記こもり音を低減すべく構成したもの(特許文献5参照)、
がある。
これらの各特許文献に開示されたレゾネータ構造を総括して模式的に図示すると図13のようになる。なお、図13において図13(イ)は斜視図、図13(ロ)は図13(イ)の中央部縦断面図であって、この点に関しては他図についても同様である。
すなわち、このレゾネータ構造Bは直径D1の開口部91と、この開口部91に連通する拡張室としての閉塞空間92とを備えており、開口部91の開口面積をS、開口部50の管長(スロートの長さ)をL、閉塞空間92の容積をVとする時、共鳴周波数f0は次の[数1]で求めることができる。
つまり、上記各特許文献に開示された従来構造(図13参照)においては、開口部91と、この開口部91に連通する閉塞空間92としての所定容積のレゾナンスチャンバのみによるものであるから、充分なレゾネータ効果を確保することができず、特に、低周波の騒音を低減させる場合には閉塞空間92を大きく設定する必要があり、レゾネータ構造の小型化が困難であった。
特開2000−272432号公報
実開平6−44681号公報
実開平5−74969号公報
特開平10−129525号公報
特開平8−80872号公報
そこで、この発明は、開口部に連通する閉塞空間(レゾナンスチャンバ)を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させることにより、この仕切り部材の内端部にて閉塞空間から流出する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となるレゾネータ構造の提供を目的とする。
この発明によるレゾネータ構造は、開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、上記閉塞空間を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させたものである。
上記構成によれば、水平方向(開口部の面と平行な方向)、かつ所定厚さの仕切り部材にて閉塞空間内を上下(開口部側と空間内奥側)に仕切って、共鳴現象を阻害しないように上下の空間を連通させたので、該仕切り部材の内端部にて、閉塞空間から流出する空気の摩擦面積が増加し、この結果、音のエネルギが熱エネルギに変換される量が大きくなる。
したがって、閉塞区間(レゾナンスチャンバ)を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果の向上と、レゾネータ構造の小型化とが図れ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ低周波騒音を低減させたい場合に有効となる。
したがって、閉塞区間(レゾナンスチャンバ)を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果の向上と、レゾネータ構造の小型化とが図れ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ低周波騒音を低減させたい場合に有効となる。
この発明の一実施態様においては、上記仕切り部材には開口部と対応する位置に連通孔が形成されたものである。
上記構成によれば、連通孔の孔壁部にて摩擦面積を確保することができ、この結果、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
上記構成によれば、連通孔の孔壁部にて摩擦面積を確保することができ、この結果、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記連通孔は開口部より大きく設定されたものである。
上記構成によれば、連通孔が開口部よりも大きいので、開口部から入射した音波が仕切り部材の開口部側の面で反射されることがなく、共鳴現象を阻害しない。また開口部よりも大きい連通孔の孔壁部にて充分な摩擦面積が確保でき、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
上記構成によれば、連通孔が開口部よりも大きいので、開口部から入射した音波が仕切り部材の開口部側の面で反射されることがなく、共鳴現象を阻害しない。また開口部よりも大きい連通孔の孔壁部にて充分な摩擦面積が確保でき、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記連通孔は開口部から見て該開口部とオーバラップしない大きさに設定されたものである。
上記構成によれば、開口部から閉塞空間への空気の流入が阻害されないので、適切なレゾネータ効果を確保することができる。
因に、開口部から見て該開口部と連通孔の一部分とがオーバラップする場合には、開口部から閉塞空間に流入する空気が該オーバラップ部にて阻害され、開口部から入射した音波がオーバラップ部の開口部側の面で反射されるため、望ましくない。
因に、開口部から見て該開口部と連通孔の一部分とがオーバラップする場合には、開口部から閉塞空間に流入する空気が該オーバラップ部にて阻害され、開口部から入射した音波がオーバラップ部の開口部側の面で反射されるため、望ましくない。
この発明の一実施態様においては、上記仕切り部材は開口部から所定距離離間すると共に、閉塞空間の底面から所定距離離間する位置に設定されたものである。
上記構成によれば、仕切り部材が開口部から離間しているので、該開口部から空気が流入しやすいうえ、仕切り部材は閉塞空間の底面からも離間しているので、共鳴時に反射面として作用する底面の反射作用面積が該仕切り部材にて低減されることもなく、この結果、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。
上記構成によれば、仕切り部材が開口部から離間しているので、該開口部から空気が流入しやすいうえ、仕切り部材は閉塞空間の底面からも離間しているので、共鳴時に反射面として作用する底面の反射作用面積が該仕切り部材にて低減されることもなく、この結果、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記仕切り部材が開口部から離間する距離に対して、仕切り部材が閉塞空間の底面から離間する距離を小さく設定したものである。
上記構成によれば、仕切り部材の底面からの離間距離を小に設定して、共鳴時の反射面を確保しつつ、仕切り部材の開口部からの離間距離を大に設定して、空気をより一層流入しやすく成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
上記構成によれば、仕切り部材の底面からの離間距離を小に設定して、共鳴時の反射面を確保しつつ、仕切り部材の開口部からの離間距離を大に設定して、空気をより一層流入しやすく成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
この発明の一実施態様においては、上記仕切り部材は車両用内装材の補強リブに設定されたものである。
上記構成によれば、上述の補強リブにて内装材の強度を向上することができ、レゾネータ効果の向上と、衝撃吸収効果の向上との両立を図ることができ、特に、レゾネータ効果により乗員の快適性向上を図ることができる。
上記構成によれば、上述の補強リブにて内装材の強度を向上することができ、レゾネータ効果の向上と、衝撃吸収効果の向上との両立を図ることができ、特に、レゾネータ効果により乗員の快適性向上を図ることができる。
この発明によれば、開口部に連通する閉塞空間を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させたので、この仕切り部材の内端部にて閉塞空間から流出する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となる効果がある。
閉塞空間(レゾナンスチャンバ)から流出する空気の摩擦面積を大きくして、閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高め、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効になるという目的を、開口部と連通する閉塞空間を上下(開口部側と空間内奥側)に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内部に水平方向(開口部の面と平行な方向)に配設すると共に、上下の空間(入口側の空間と内奥側の空間)を連通させるという構造にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はレゾネータ構造を示し、図1(イ)は実施例品A1の斜視図、図1(ロ)は図1(イ)の中央部縦断面図であって、このレゾネータ構造は直径D1、スロート部1の長さLの円筒状の開口部2と、この開口部2に連通する拡張室としての閉塞空間3(以下、レゾナンスチャンバと略記する)とを備え、レゾナンスチャンバ3をチャンバハウジング4にて形成し、このレゾナンスチャンバ3の深さをdに設定している。
図面はレゾネータ構造を示し、図1(イ)は実施例品A1の斜視図、図1(ロ)は図1(イ)の中央部縦断面図であって、このレゾネータ構造は直径D1、スロート部1の長さLの円筒状の開口部2と、この開口部2に連通する拡張室としての閉塞空間3(以下、レゾナンスチャンバと略記する)とを備え、レゾナンスチャンバ3をチャンバハウジング4にて形成し、このレゾナンスチャンバ3の深さをdに設定している。
ここで、開口部2の開口面積をS、スロート部1官長をL、レゾナンスチャンバ3の容積をVとする時、共鳴周波数f0は前述の[数1]で求めることができる。
この共鳴周波数f0(つまり吸音周波数)を低周波に設定すべく、各部の寸法が決定されるが、この実施例ではf0=408HZとなるように各部の寸法が設定されており、レゾナンスチャンバ3の深さdは12cmに設定されている。
しかも、上述のレゾナンスチャンバ3を上下つまり開口部2側とチャンバ3内奥側とに仕切る所定厚さtの仕切り部材としてのリブ5を設け、このリブ5をレゾナンスチャンバ3内に水平方向(開口部2の面と平行な方向)に配設すると共に、上下の空間つまり入口側(開口部2側)の空間とチャンバ3内奥側の空間とを連通させている。
この実施例では、リブ5の開口部2と対応する位置に、開口部2の直径D1よりも大きい直径D2(つまりD2>D1)の連通部としての連通孔6を形成して、この連通孔6により上下の空間を連通させている。
また、図2に平面図で示すように、上述の連通孔6は開口部2側から見て該開口部2とオーバラップしない所定の大きさに設定されている。ここで、連通孔6は開口部2と同心円に形成されているが、この連通孔6は開口部2側から見て該開口部2とオーバラップしない大きさであれば必ずしも同心円でなくてもよい。
さらに、上述のリブ5は開口部2から所定距離離間すると共に、レゾナンスチャンバ3の底面3aからも所定距離離間する位置に設定されている。
実施例品A11においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをレゾナンスチャンバ3の深さdの10/12に設定している。
図1、図2に示す実施例品A1のレゾネータ構造において、開口部2から該開口部2に連通するレゾナンスチャンバ3に音波が入射すると、このレゾナンスチャンバ3内で共鳴現象が発生し、開口部2から入射する空気とレゾナンスチャンバ3から開口部2を介して再放出する空気との間で空気通過時の粘性によるエネルギ損失に加えて、レゾナンスチャンバ3から出る空気がリブ5の連通孔6における孔壁部6a(この孔壁部6aは空気の入射、再放出の方向に沿って形成されている)、並びに開口部2の内壁面と摩擦して、音のエネルギが摩擦による熱エネルギに変換されるので、騒音を低減することができる。
この図1、図2に示す実施例品A1の周波数に対する音圧の特性(図8参照、但し、図8においては実施例品A1の特性を実線で示し、従来例品Bの特性を点線で示す)を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A1の効果代が5.2dBであり、図13で示したリブが全くない従来例品Bの効果代4.3dBに対して、レゾネータ効果の向上が認められた。なお、図13で示した従来例品Bは4.3dBに対して、レゾネータ効果の向上が認められた。なお、図13で示した従来例品Bはリブ5を有さない点が図1、図2と異なるのみで、各部の寸法等の他の条件は図1、図2と同一に設定されている。
図2(イ)(ロ)は、実施例品A2を示し、実施例品A2においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの3/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをレゾナンスチャンバ3の深さdの8/12に設定し、各部の寸法等の他の条件は図1、図2の実施例品A1と同一に設定している。
この図3(イ)(ロ)に示す実施例品A2の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A2の効果代は5.4dBであり、実施例品A1に対して離間距離aが大きいので、この分、開口部2から空気が流入しやすくなって、レゾネータ効果のさらなる向上が認められた。
図4(イ)(ロ)は実施例品A3を示し、実施例品A3においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの5/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをレゾナンスチャンバ3の深さdの6/12に設定し、各部の寸法等の他の条件は図1、図2の実施例品A1と同一に設定している。
この図4(イ)(ロ)に示す実施例品A3の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A3の効果代は5.6dBであり、実施例品A1,A2に対して離間距離aがさらに大きいので、開口部2から空気が流入しやすくなって、レゾネータ効果をより一層向上させることができる。
図5(イ)(ロ)は実施例品A4を示し、実施例品A4においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの7/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをレゾナンスチャンバ3の深さdの4/12に設定し、各部の寸法等の他の条件は図1、図2の実施例品A1と同一に設定している。
この図5(イ)(ロ)に示す実施例品A4の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A4の効果代は5.9dBであり、実施例品A1,A2,A3よりも離間距離aがさらに大となるので、開口部2からさらに空気が流入しやすくなり、高いレゾネータ効果を確実に確保することができる。
図6(イ)(ロ)は実施例品A5を示し、実施例品A5においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの9/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをレゾナンスチャンバ3の深さdの2/12に設定し、各部の寸法等の他の条件は図1、図2の実施例品A1と同一に設定している。
この図6(イ)(ロ)に示す実施例品A5の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A5の効果代は6.2dBであり、共鳴時に空気の反射面として作用する底面3aの反射作用面を低減しない条件下において、実施例品A1,A2,A3,A4よりも離間距離aがより一層大きくなるので、開口部2から空気がさらに流入しやすくなり、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
図7(イ)(ロ)は実施例品A6を示し、実施例品A6においてはリブ5の厚さtをレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12に設定し、リブ5の開口部2からの離間距離aをレゾナンスチャンバ3の深さdの11/12設定し、リブ5の底面3aからの離間距離bをゼロに設定し、各部の寸法等の他の条件は図1、図2の実施例品A1と同一に設定している。
この図7(イ)(ロ)に示す実施例品A6の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図9のようになる。つまり、この実施例品A6の効果代は5.8dBであり、上述の各実施例品A1〜A5に対して離間距離aが大きくなり、この分、開口部2から空気が流入しやすくなる一方で、リブ5がレゾナンスチャンバ3の底面3aに当接し、共鳴時に空気の反射面として作用する底面3a反射作用面積が減少するので、各実施例品A5の効果代6.2dBよりも効果代が低下する。
図9に示す各実施例品A1〜A6の効果代の比較から考察して、上述のリブ5は共鳴時の反射面積(底面3a参照)を確保した条件下において、開口部2から最大限レゾナンスチャンバ3内の内奥部に横架することが最も望ましいものと認められる。
このように図1〜図9で示した実施例のレゾネータ構造は、開口部2から該開口部2に連通するレゾナンスチャンバ3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数f0の騒音を低減するレゾネータ構造であって、上記レゾナンスチャンバ3を上下に仕切る所定厚さtのリブ5を該レゾナンスチャンバ3内に水平方向に配設すると共に、上下の空間を連通させたものである。
この構成によれば、水平方向(開口部の面と平行な方向)、かつ所定厚さtのリブ5にてレゾナンスチャンバ3内をに上下(開口部側と空間内奥側)に仕切って、共鳴現象を阻害しないように上下の空間を連通させたので、リブ3の内端部(連通部)としての連通孔6における孔壁部6aにて、レゾナンスチャンバ3から流出する空気の摩擦面積が増加し、この結果、音のエネルギが熱エネルギに変換される量が大きくなる。
したがって、レゾナンスチャンバ3を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果の向上と、レゾネータ構造の小型化とが図れ、特に、レゾナンスチャンバ3の容積確保が困難な部位で、かつ低周波騒音を低減させたい場合に有効となる。
ここで、リブ5の厚さtはレゾナンスチャンバ3の深さdの1/12程度が望ましく、厚さtが過大になると共鳴現象が阻害され、厚さtが過小となると摩擦面積の確保が困難となる。
また、上記リブ5には開口部2と対応する位置に連通孔6が形成されたものである。
この構成によれば、連通孔6の孔壁部6aにて摩擦面積を確保することができ、この結果、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
この構成によれば、連通孔6の孔壁部6aにて摩擦面積を確保することができ、この結果、レゾネータ効果の向上を図ることができる。
さらに、上記連通孔6は開口部2より大きく設定されたものである。
この構成によれば、連通孔6が開口部2よりも大きいので、開口部2から入射した音波がリブ5の開口部2側の面で反射されることがなく、共鳴現象を阻害しない。また開口部2よりも大きい連通孔6の孔壁部6aにて充分な摩擦面積が確保でき、レゾネータ効果の向上を図ることができる。つまり、連通孔6が大径になる程、その孔壁部6aによる摩擦面積が大きくなる一方、リブ5による剛性は小さくなる。このレゾネータ構造を車両の内装材に適用する場合には、上述のリブ5を補強用リブとして用いることができるので、リブ5による補強の強度と孔壁部6aによる摩擦面積の確保とを考慮して連通孔6の直径を設定するとよい。
この構成によれば、連通孔6が開口部2よりも大きいので、開口部2から入射した音波がリブ5の開口部2側の面で反射されることがなく、共鳴現象を阻害しない。また開口部2よりも大きい連通孔6の孔壁部6aにて充分な摩擦面積が確保でき、レゾネータ効果の向上を図ることができる。つまり、連通孔6が大径になる程、その孔壁部6aによる摩擦面積が大きくなる一方、リブ5による剛性は小さくなる。このレゾネータ構造を車両の内装材に適用する場合には、上述のリブ5を補強用リブとして用いることができるので、リブ5による補強の強度と孔壁部6aによる摩擦面積の確保とを考慮して連通孔6の直径を設定するとよい。
加えて、上記連通孔6は開口部2から見て該開口部2とオーバラップしない大きさに設定されたものである。
この構成によれば、開口部2からレゾナンスチャンバ3への空気の流入が阻害されないので、適切なレゾネータ効果を確保することができる。
この構成によれば、開口部2からレゾナンスチャンバ3への空気の流入が阻害されないので、適切なレゾネータ効果を確保することができる。
因に、開口部2から見て該開口部2と連通孔6の一部分とがオーバラップする場合には、開口部2からレゾナンスチャンバ3に流入する空気が該オーバラップ部にて阻害され、開口部2から入射した音波がオーバラップ部の開口部2側の面で反射されるため、望ましくない。
しかも、上記リブ5は開口部2から所定距離離間(離間距離a参照)すると共に、レゾナンスチャンバ3の底面3aから所定距離離間(離間距離b参照)する位置に設定されたものである。
この構成によれば、リブ5が開口部2から離間しているので、該開口部2から空気が流入しやすいうえ、リブ5はレゾナンスチャンバ3の底面からも離間しているので、共鳴時に反射面として作用する底面3a反射作用面積が該リブ5にて低減されることもなく、この結果、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。さらに、このレゾネータ構造は剛性が必要な内装材に適用した場合に極めて有効となる。
この構成によれば、リブ5が開口部2から離間しているので、該開口部2から空気が流入しやすいうえ、リブ5はレゾナンスチャンバ3の底面からも離間しているので、共鳴時に反射面として作用する底面3a反射作用面積が該リブ5にて低減されることもなく、この結果、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。さらに、このレゾネータ構造は剛性が必要な内装材に適用した場合に極めて有効となる。
さらに、上記リブ5が開口部2から離間する距離aに対して、リブ5がレゾナンスチャンバ3の底面3aから離間する距離bを小さく設定したものである(実施例品A4,A5参照)。
この構成によれば、リブ5の底面3aからの離間距離bを小に設定して、共鳴時の反射面を確保しつつ、リブ5の開口部2からの離間距離aを大に設定して、空気をより一層流入しやすく成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
この構成によれば、リブ5の底面3aからの離間距離bを小に設定して、共鳴時の反射面を確保しつつ、リブ5の開口部2からの離間距離aを大に設定して、空気をより一層流入しやすく成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
図10は上記構成のレゾネータ構造を車両内装材と一体化する実施例を示し、特に、低周波騒音を低減させたいが細長い空間しか存在しないような場合に、複数のリブ5…を多段状または多列状に設けて低周波騒音を低下させる時に有効となる構造を示している。
すなわち、開口部2を有する舌片7(開口部形成片)と、底面3aを形成する舌片8(底面形成片)と、これら各舌片7,8間に位置し、連通孔6が形成された複数のリブ5…とを設け、一側に位置する舌片7と、他側に位置する舌片8との間に複数のリブ5,5を等間隔で配置し、これら各要素7,5,8を連接片9にて一体化して、リブ構造体10を構成している。
そして、上述のリブ構造体10の車室側にトリム部材11を被せることで、レゾナンスチャンバ3を形成するものである。
そして、上述のリブ構造体10の車室側にトリム部材11を被せることで、レゾナンスチャンバ3を形成するものである。
このようにリブ5を車両用内装材の補強リブに設定すると、該補強リブにて内装材の強度を向上することができ、レゾネータ効果の向上と、衝撃吸収効果の向上との両立を図ることができ、特に、レゾネータ効果により乗員の快適性向上を図ることができる。
しかも、図10で示した構成においては細長い空間しか存在しない場合においても、連通孔6をもった複数のリブ5を所定間隔を隔てて多段状または多列状に配設してレゾネータ構造一体型の内装材を構成するので、斯る制約条件下においても低周波騒音を有効に低下させることができる。
図10において、舌片7,8およびリブ5を連接片9に一体形成する構成に代えて、これら舌片7,8およびリブ5をトリム部材11に一体形成して連接片9を省略し、インナパネルの車体パネルとトリム部材11とでレゾナンスチャンバ3を形成するように構成してもよいことは勿論である。
図11は上記構成のレゾネータ構造を車両用内装材と一体化する他の実施例を示し、図10の実施例と同様に、低周波騒音を低減させたいが細長い空間しか存在しないような場合に、複数の略L字状のリブ5をレゾナンスチャンバ3の合計4つのコーナ部に交互に、かつ多段状または多列状に設けて低周波騒音を低下させる時に有効となる構造を示している。
すなわち、開口部2を有する舌片7(開口部形成片)と、底面3aを形成する舌片8(底面形成片)と、これら各舌片7,8間に位置し、上下空間連通部としての壁部6bが形成された略L字状の複数のリブ5,5…とを設け、一側に位置する舌片7と、他側に位置する舌片8との間に複数のリブ5,5を等間隔で、かつ、レゾナンスチャンバ3の合計4つのコーナ部に対して、1つのコーナ部には1つのリブ5のみが位置するように各リブ5の配置位置を交互に変更して、これら各要素7,5,8を連接片9またはトリム部材11に一体形成したものである。
そして、リブ構造体10の車室側にトリム部材11を被せることで、レゾナンスチャンバ3を形成するものである。
そして、リブ構造体10の車室側にトリム部材11を被せることで、レゾナンスチャンバ3を形成するものである。
このような構成により、リブ5を車両用内装材の補強リブに設定しても、これら複数のリブ5…により内装材全体の剛性向上を図ることができ、レゾネータ効果の向上と、衝撃吸収効果の向上との両立を図ることができ、特に、レゾネータ効果により乗員の快適性向上を図ることができる。
しかも、図11で示した構成においても、細長い空間しか存在しないような場合にあっても、前述の連通孔6の孔壁部6aに相当する壁部6bをもった複数のリブ5を所定間隔を隔てて多段状または多列状に配設してレゾネータ構造一体型の内装材を構成するので、上記制約条件下においても低周波騒音を有効に低下させることができる。
なお、図10,図11に示す構成は車両のセンタピラー、リヤピラー、ルーフサイドレール等を車室内側から覆う内装材に適用してもよい。
なお、図10,図11に示す構成は車両のセンタピラー、リヤピラー、ルーフサイドレール等を車室内側から覆う内装材に適用してもよい。
図12は図5で示した実施例品A4のさらに他の実施例を示し、図12で示すこの実施例においてはリブ5の連通孔6に複数の凹部6cを形成し、開口部2側から見た連通孔6の形状を凹凸リング形成と成したものである。
このように連通孔6に空気の流入流出方向に沿う孔壁面をもった凹部6cを形成すると、摩擦面積がさらに増大するので、図5で示した実施例品A4の効果代=5.9dBよりも、さらに良好なレゾネータ効果を確保することができる。この図12で示す実施例においても、その他の構成、作用、効果については図5の実施例と同様であるから、図12において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の閉塞空間は、実施例のレゾナンスチャンバ3に対応し、
以下同様に、特定の共鳴周波数は408HZに対応し、
仕切り部材は、リブ5に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
この発明の閉塞空間は、実施例のレゾナンスチャンバ3に対応し、
以下同様に、特定の共鳴周波数は408HZに対応し、
仕切り部材は、リブ5に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
すなわち、上記構成のレゾネータ構造は車室内のみならずエンジンルームにも適用でき、
また、特定の共鳴周波数f0は、開口部2の直径D1とレゾナンスチャンバ3の容積Vとのチューニングにより408HZ以下のロードノイズに対応する周波数に設定してもよい。さらに、開口部2の形状は円形に限定されることなく、楕円形や方形状等の非円形であってもよい。
また、特定の共鳴周波数f0は、開口部2の直径D1とレゾナンスチャンバ3の容積Vとのチューニングにより408HZ以下のロードノイズに対応する周波数に設定してもよい。さらに、開口部2の形状は円形に限定されることなく、楕円形や方形状等の非円形であってもよい。
2・・・開口部
3・・・レゾナンスチャンバ(閉塞空間)
5・・・リブ(仕切り部材)
6・・・連通孔
3・・・レゾナンスチャンバ(閉塞空間)
5・・・リブ(仕切り部材)
6・・・連通孔
Claims (7)
- 開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、
上記閉塞空間を上下に仕切る所定厚さの仕切り部材を該閉塞空間内に水平方向に配置すると共に、上下の空間を連通させた
レゾネータ構造。 - 上記仕切り部材には開口部と対応する位置に連通孔が形成された
請求項1記載のレゾネータ構造。 - 上記連通孔は開口部より大きく設定された
請求項2記載のレゾネータ構造。 - 上記連通孔は開口部から見て該開口部とオーバラップしない大きさに設定された
請求項3記載のレゾネータ構造。 - 上記仕切り部材は開口部から所定距離離間すると共に、閉塞空間の底面から所定距離離間する位置に設定された
請求項1〜4の何れか1に記載のレゾネータ構造。 - 上記仕切り部材が開口部から離間する距離に対して、仕切り部材が閉塞空間の底面から離間する距離を小さく設定した
請求項5記載のレゾネータ構造。 - 上記仕切り部材は車両用内装材の補強リブに設定された
請求項1〜6の何れか1に記載のレゾネータ構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005007875A JP2006195259A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | レゾネータ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006195259A true JP2006195259A (ja) | 2006-07-27 |
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ID=36801380
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JP2005007875A Pending JP2006195259A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | レゾネータ構造 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006195259A (ja) |
-
2005
- 2005-01-14 JP JP2005007875A patent/JP2006195259A/ja active Pending
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