JP2006193072A - レゾネータ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となるレゾネータ構造の提供を目的とする。
【解決手段】 開口部2から該開口部2に連通する閉塞空間3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、閉塞空間3の底面3a中央または底面3a略中央から開口部2方向に延びる所定高さhの壁部材5を設け、壁部材5には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部6が設けられたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 開口部2から該開口部2に連通する閉塞空間3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、閉塞空間3の底面3a中央または底面3a略中央から開口部2方向に延びる所定高さhの壁部材5を設け、壁部材5には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部6が設けられたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
この発明は、ヘルムホルツの理論を用いて、開口部から該開口部に連通する閉塞空間(レゾナンスチャンバ)に音波が入射した時、音(空気の圧力変動)のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するようなレゾネータ構造に関する。
従来、車両の騒音を低減する手段としては、吸音材を用いたものがある。すなわち、PETフェルト基材をメイン基材として用い、このメイン基材の両面にフェノール樹脂含浸ガラスマット製の補強材を積層し、さらに、これら補強材の両外面にPETフィルムを積層して、何れか一方のPETフィルムに適宜間隔を隔てて複数の小孔を穿設し、小孔が穿設されたPETフィルムの外面に表皮材を接合して構成されたものを車両用成形天井として用いるものである(特許文献1参照)。
このように、吸音材を用いて剛性および質感を有する成形天井を成形することは、コストおよび品質の面で不利となるうえ、周波数が500〜1000HZの高い周波数の吸音には効果がある反面、低周数域の騒音低減性能を確保することは困難であると共に、上述のように多層構造に形成すると、車両重量が増加するため、燃費が悪化する問題点があった。
一方、ヘルムホルツの理論を用いてレゾネータを構成した従来技術としては次のような各種の構造があった。
つまり、トラックの運転席としてのキャブ構造体の天井部を構成するルーフパネルと、このルーフパネルに形成した補強用ビードとの間の隙間を利用して吸気レゾネータを構成して、騒音を低減するもの(特許文献2参照)、
シートバック上部に設けられるヘッドレストにレゾネータとなる空洞部を設け、この空洞部を、開口部を介して車室内に連通させて、騒音を低減するもの(特許文献3参照)、
リヤウエスト部の連通路を共鳴器のスロート部(いわゆる首部)として車室に連なるレゾネータを構成し、トランクルーム内で発生する低周波騒音の車室内への伝達を低下させるように構成したもの(特許文献4参照)、
車室とトランクルームとをレゾネータの首部としての穴部で連通し、この穴部のフランジの長さと、トランクルームの容積とにより決定されるレゾネータ最大吸音周波数(共鳴周波数と同意)を、車室内の特定のこもり音の周波数域にチューニングし、上記こもり音を低減すべく構成したもの(特許文献5参照)、
がある。
つまり、トラックの運転席としてのキャブ構造体の天井部を構成するルーフパネルと、このルーフパネルに形成した補強用ビードとの間の隙間を利用して吸気レゾネータを構成して、騒音を低減するもの(特許文献2参照)、
シートバック上部に設けられるヘッドレストにレゾネータとなる空洞部を設け、この空洞部を、開口部を介して車室内に連通させて、騒音を低減するもの(特許文献3参照)、
リヤウエスト部の連通路を共鳴器のスロート部(いわゆる首部)として車室に連なるレゾネータを構成し、トランクルーム内で発生する低周波騒音の車室内への伝達を低下させるように構成したもの(特許文献4参照)、
車室とトランクルームとをレゾネータの首部としての穴部で連通し、この穴部のフランジの長さと、トランクルームの容積とにより決定されるレゾネータ最大吸音周波数(共鳴周波数と同意)を、車室内の特定のこもり音の周波数域にチューニングし、上記こもり音を低減すべく構成したもの(特許文献5参照)、
がある。
これらの各特許文献に開示されたレゾネータ構造を総括して模式的に図示すると図11のようになる。なお、図11において図11(イ)は斜視図、図11(ロ)は平面図であって、この点に関しては他図についても同様である。
すなわち、このレゾネータ構造Zは開口部91と、この開口部91に連通する拡張室としての閉塞空間92とを備えており、開口部91の開口面積をS、開口部91の管長(スロートの長さ)をL、閉塞空間92の容積をVとする時、共鳴周波数f0は次の[数1]で求めることができる。
つまり、上記各特許文献に開示された従来構造(図11の従来例品Z参照)においては、開口部91と、この開口部91に連通する閉塞空間92としての所定容積のレゾナンスチャンバのみによるものであるから、充分なレゾネータ効果を確保することができず、特に、低周波の騒音を低減させる場合には閉塞空間92を大きく設定する必要があり、レゾネータ構造の小型化が困難であった。
特開2000−272432号公報
実開平6−44681号公報
実開平5−74969号公報
特開平10−129525号公報
特開平8−80872号公報
そこで、この発明は、開口部に連通する閉塞空間(レゾナンスチャンバ)の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、該壁部材には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部を設けることで、壁部材の表面積により閉塞空間から流出する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となるレゾネータ構造の提供を目的とする。
この発明によるレゾネータ構造は、開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、上記閉塞空間の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、上記壁部材には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部が設けられたものである。
上記構成によれば、閉塞空間の底面に所定高さの壁部材を立設し、この壁部材には空気の流入流出を阻害しない方向の凹凸部を設け、この凹凸部により閉塞空間から流出する空気の摩擦面積を増大するように構成したので、音のエネルギが熱エネルギに変更される量が増加する。
したがって、閉塞区間(レゾナンスチャンバ)を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果の向上と、レゾネータ構造の小型化とが図れ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ低周波騒音を低減させたい場合に有効となる。
この発明の一実施態様は、上記凹凸部は複数の凸部を有し、複数の凸部相互間を所定距離離間させたものである。
上記構成によれば、複数の凸部間の間隔を所定距離離間させたので、空気の流れを阻害することなく、摩擦面積を増大することができ、これにより、レゾネータ効果の向上を図ることができる。因に、所定距離未満の場合は、空気の流れが阻害され、レゾネータ効果が低下する。
上記構成によれば、複数の凸部間の間隔を所定距離離間させたので、空気の流れを阻害することなく、摩擦面積を増大することができ、これにより、レゾネータ効果の向上を図ることができる。因に、所定距離未満の場合は、空気の流れが阻害され、レゾネータ効果が低下する。
この発明の一実施態様は、上記凸部が多段に形成されたものである。
上記構成によれば、凸部を多段設けることで、摩擦面積のさらなる増大を図ることができる。
上記構成によれば、凸部を多段設けることで、摩擦面積のさらなる増大を図ることができる。
なお、凸部の段数は、共鳴時に反射面となる閉塞空間の底面の反射作用面積が過度に減少しない程度と成すことが望ましい。
この発明の一実施態様は、上記凹凸部は壁部材の側面に空気の流入流出方向に沿って設けられたものである。
この発明の一実施態様は、上記凹凸部は壁部材の側面に空気の流入流出方向に沿って設けられたものである。
上記構成によれば、空気の流れを阻害しないうえ、加工も容易となる。
この発明の一実施態様は、上記壁部材の高さは閉塞空間の深さの1/3に設定されたものである。
この発明の一実施態様は、上記壁部材の高さは閉塞空間の深さの1/3に設定されたものである。
上記構成によれば、壁部材の高さが閉塞空間の深さの1/3、換言すれば、壁部材の端部が開口部から閉塞空間の深さの2/3離間するので、所期のレゾネータ効果が確保できる。因に、壁部材の高さが閉塞空間の深さの1/3を超過すると、空気が流入しにくくなる一方、壁部材の高さが閉塞空間の深さの1/3未満の場合には、充分な摩擦面積の確保が困難となる。
この発明の一実施態様は、上記壁部材の幅は開口部の直径の1/3に設定され、壁部材の肉厚は開口部の直径の1/6に設定されると共に、該壁部材の両外側面に上記凸部が形成されたものである。
上記構成によれば、壁部材の高さ、幅、肉厚を上記の値に設定し、壁部材の両外側面にそれぞれ凸部を形成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
そこで、この発明によれば、開口部に連通する閉塞空間(レゾナンスチャンバ)の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、該壁部材には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部を設けたので、壁部材の表面積により閉塞空間から流出する空気との摩擦面積を大きくすることができ、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高めることができ、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効となる効果がある。
閉塞空間から流出する空気との摩擦面積を大きくし、これにより閉塞空間を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果を高め、特に、閉塞空間の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい時に有効になるという目的を、
開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造において、閉塞空間の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、上記壁部材に、摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部を設けるという構成にて実現した。
開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造において、閉塞空間の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、上記壁部材に、摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部を設けるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はレゾネータ構造を示し、図1は実施例品A1の外観斜視図、図2(イ)は一部を切欠いて示す実施例品A1の斜視図、図2(ロ)は図2(イ)の平面図(この点に関しては他図についても同様)であって、このレゾネータ構造は直径D、スロート部1の長さLの円筒状の開口部2と、この開口部2に連通する拡張室としての閉塞空間3(以下、レゾナンスチャンバと略記する)とを備え、レゾナンスチャンバ3をチャンバハウジング4にて形成し、このレゾナンスチャンバ3の深さをdに設定している。
図面はレゾネータ構造を示し、図1は実施例品A1の外観斜視図、図2(イ)は一部を切欠いて示す実施例品A1の斜視図、図2(ロ)は図2(イ)の平面図(この点に関しては他図についても同様)であって、このレゾネータ構造は直径D、スロート部1の長さLの円筒状の開口部2と、この開口部2に連通する拡張室としての閉塞空間3(以下、レゾナンスチャンバと略記する)とを備え、レゾナンスチャンバ3をチャンバハウジング4にて形成し、このレゾナンスチャンバ3の深さをdに設定している。
ここで、開口部2の開口面積をS、スロート部1官長をL、レゾナンスチャンバ3の容積をVとする時、共鳴周波数f0は前述の[数1]で求めることができる。
この共鳴周波数f0(つまり吸音周波数)を低周波に設定すべく、各部の寸法が決定されるが、この実施例ではf0=408HZとなるように各部の寸法が設定されており、レゾナンスチャンバ3の深さdは12cmに設定されている。
しかも、上述のレゾナンスチャンバ3の底面3a中央には、該底面3aから開口部2方向に垂直または略垂直に延びる所定高さhの壁部材5を設け、この壁部材5には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向(図2、イの上下方向)に沿う凹凸部6が設けられている。
この実施例品A1では、壁部材5の高さhを、レゾナンスチャンバ3の深さの1/3に設定し、壁部材5の幅aを開口部2の直径Dの1/3に設定し、壁部材5の肉厚bを開口部2の直径Dの1/6に設定し、この壁部材5の両外側面に互に平行となるように凸部6b,6bを形成して、凸部6b,6b間に凹部6aを形成すると共に、凸部6b,6b間の間隔を壁部材5の肉厚bと同一に設定している。
すなわち、凹凸部6は複数の凸部6b,6bを有し、複数の互に平行な凸部6b,6b相互間を所定距離離間させると共に、該凹凸部6は壁部材5の側面に空気の流入流出方向に沿って設けられたものであり、かつ壁部材5の高さhはレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3に設定されたものである。換言すれば、壁部材5の端部(図2の上端部)が開口部2からレゾナンスチャンバ3の深さdの2/3の距離だけ離間するものである。
なお、上述の凸部6bの凹部6aに対する突出量は、壁部材5の幅aの約10%程度が望ましい。
図1、図2に示す実施例品A1のレゾネータ構造において、開口部2から該開口部2に連通するレゾナンスチャンバ3に音波が入射すると、このレゾナンスチャンバ3内で共鳴現象が発生し、開口部2から入射する空気とレゾナンスチャンバ3から開口部2を介して再放出する空気との間で空気通過時の粘性によるエネルギ損失に加えて、レゾナンスチャンバ3から出る空気が壁部材5およびその凹凸部6と摩擦して、音のエネルギが摩擦による熱エネルギに変換されるので、騒音を低減することができる。
図1、図2に示す実施例品A1のレゾネータ構造において、開口部2から該開口部2に連通するレゾナンスチャンバ3に音波が入射すると、このレゾナンスチャンバ3内で共鳴現象が発生し、開口部2から入射する空気とレゾナンスチャンバ3から開口部2を介して再放出する空気との間で空気通過時の粘性によるエネルギ損失に加えて、レゾナンスチャンバ3から出る空気が壁部材5およびその凹凸部6と摩擦して、音のエネルギが摩擦による熱エネルギに変換されるので、騒音を低減することができる。
この図1、図2に示す実施例品A1の周波数に対する音圧の特性(図6参照、但し、図6においては実施例品A1の特性を実線で示し、従来例品Zの特性を点線で示す)を実測し、f0=408HZにおいて騒音低減の効果代を求めると図7のようになる。
つまり、この実施例品A1の効果代は6.2dBであり、図11で示した壁部材および凹凸部が全くない従来例品Zの効果代4.3dBに対して、著るしいレゾネータ効果の向上が認められた。なお、図11で示した従来例品Zは壁部材5および凹凸部6を有さない点が図1、図2と異なるのみで、各部の寸法等の他の条件は図1、図2と同一に設定されている。
この図3(イ)(ロ)は実施例品A2を示し、この実施例品A2においては凸部6bを平行かつ多段に形成したものである。すなわち、互に平行な凸部6b,6b間の間隔bを開口部2の直径Dの1/6に設定した条件下において壁部材5の左右両側面に片側3つ、合計6つの凸部6bを形成し、直径D、スロート部1の長さL、レゾナンスチャンバ3の深さd,壁部材5の高さh等の他の条件は図1、図2と同一に設定したものである。
この図3に示す実施例品A2の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて、騒音低減の効果代を求めると図7のようになる。つまり、この実施例品A2の効果代は5.8dBであり、図11で示した従来例品Zに対して、良好なレゾネータ効果の向上が認められるが、図1、図2で示した先の実施例品A1よりもレゾネータ効果が低下する。すなわち、実施例品A2においては凸部6bの多段形成により摩擦面積が増加する一方で、壁部材5および凹凸部6により、共鳴時に反射面として作用するレゾナンスチャンバ3の底面3aにおける反射作用面積が減少するので、実施例品A1よりも効果代が低下する。
この図4(イ)(ロ)は実施例品A3を示し、この実施例品A3においては凸部6bを平行かつ多段に形成したものである。すなわち、互に平行な凸部6b,6b間の間隔bを開口部2の直径Dの1/12に設定すると共に、壁部材5の左右両側面に片側3つ、合計6つの凸部6bを形成し、直径D、スロート部1の長さL、レゾナンスチャンバ3の深さd,壁部材5の高さh等の他の条件は図1、図2と同一に設定したものである。
この図4に示す実施例品A3の周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて、騒音低減の効果代を求めると図7のようになる。つまり、この実施例品A3の効果代は5.5dBであり、図11で示した従来例品Zに対して、良好なレゾネータ効果の向上が認められるが、図1、図2で示した先の実施例品A1よりもレゾネータ効果が低下する。すなわち、実施例品A3においては凸部6bの多段形成により摩擦面積が増加する一方で、凸部6b,6b間の間隔bが過少となって、空気の流れが阻害されるので、実施例品A1よりも効果代が低下する。
図5(イ)(ロ)は比較例品Bを示し、この比較例品Bにおいては壁部材5の幅aが開口部2の直径Dの1/3、肉厚bが開口部2の直径Dの1/6、壁部材5の底面3aからの突出高さhがレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3にそれぞれ設定され、凹凸部を一切有さないものであり、直系D、スロート部1の長さL、レゾナンスチャンバ3の深さd、壁部材5の高さh等の他の条件は図1、図2と同一に設定したものである。
この図5に示す比較例品Bの周波数に対する音圧の特性を実測し、f0=408HZにおいて、騒音低減の効果代を求めると図7のようになる。つまり、この比較例品Bの効果代は5.4dBであり、図11で示した従来例品Zの効果代=4.3dBよりもレゾネータ効果の向上が認められるが、凹凸部を一切有さない関係上、充分な摩擦面積が得られないので、何れの実施例品A1,A2,A3よりもその効果代が低下する。
このように上記実施例のレゾネータ構造(実施例品A1,A2,A3参照)は、開口部2から該開口部2に連通するレゾナンスチャンバ3に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数f0の騒音を低減するレゾネータ構造であって、上記レゾナンスチャンバ3の底面3a中央または底面3a略中央から開口部2方向に延びる所定高さhの壁部材5を設け、上記壁部材5には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部6が設けられたものである。
この構成によれば、レゾナンスチャンバ3の底面3aに所定高さhの壁部材5を立設し、この壁部材5には空気の流入流出を阻害しない方向の凹凸部6を設け、この凹凸部6によりレゾナンスチャンバ3から流出する空気の摩擦面積を増大するように構成したので、音のエネルギが熱エネルギに変更される量が増加する。
したがって、レゾナンスチャンバ3を可及的大きくすることなく、レゾネータ効果の向上と、レゾネータ構造の小型化とが図れ、特に、レゾナンスチャンバ3の容積確保が困難な部位で、かつ、低周波騒音を低減させたい場合に有効となる。
また、上記凹凸部6は複数の凸部6b,6bを有し、複数の凸部6b,6b相互間を所定距離離間させたものである。
この構成によれば、複数の凸部6b,6b間の間隔bを所定距離離間させたので、空気の流れを阻害することなく、摩擦面積を増大することができ、これにより、レゾネータ効果の向上を図ることができる。因に、所定距離未満の場合には、空気の流れが阻害され、レゾネータ効果が低下する。
さらに、上記凸部が多段に形成されたものである(実施例品A2,A3参照)。
この構成によれば、凸部6bを多段設けることで、摩擦面積のさらなる増大を図ることができる。
なお、凸部6bの段数は、共鳴時に反射面となるレゾナンスチャンバ3の3aの反射作用面積が過度に減少しない程度と成すことが望ましい。
なお、凸部6bの段数は、共鳴時に反射面となるレゾナンスチャンバ3の3aの反射作用面積が過度に減少しない程度と成すことが望ましい。
加えて、上記凹凸部6は壁部材5の側面に空気の流入流出方向に沿って設けられたものである。
この構成によれば、空気の流れを阻害しないうえ、加工も容易となる。
また上記壁部材5の高さhはレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3に設定されたものである。
また上記壁部材5の高さhはレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3に設定されたものである。
この構成によれば、壁部材5の高さhがレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3、換言すれば、壁部材5の端部が開口部2からレゾナンスチャンバ3の深さdの2/3離間するので、所期のレゾネータ効果が確保できる。因に、壁部材5の高さhがレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3を超過すると、空気が流入しにくくなる一方、壁部材5の高さhがレゾナンスチャンバ3の深さdの1/3未満の場合には、充分な摩擦面積の確保が困難となる。
さらに、上記壁部材5の幅aは開口部2の直径Dの1/3に設定され、壁部材5の肉厚bは開口部2の直径Dの1/6に設定されると共に、該壁部材5の両外側面に上記凸部6b,6bが形成されたものである(実施例品A1参照)。
この構成によれば、壁部材5の高さh、幅a、肉厚bを上記の値に設定し、壁部材5の両外側面にそれぞれ凸部6b,6bを形成したので、最大のレゾネータ効果を確保することができる。
また、上記実施例のにレゾネータ構造によれば、壁部材5の設定位置、高さ、凹凸部6の表面積の設定により自由度が高いレゾネータ構造を得ることができ、レゾネータ構造の設計自由度が向上するものである。
図8(イ)(ロ)はレゾネータ構造のさらに他の実施例を示し、放射状の複数の凸部6bをもった壁部材5を設けたものである。図8に示すこの実施例品A4はレゾナンスチャンバ3の底面3a中央に、開口部2側から見て十文字状の壁部材5を立設したもので、壁部材5の底面3aからの突出高さhは、レゾナンスチャンバ3の深さdの1/3に設定し、壁部材5の幅aは、開口部2の直径Dの1/3に設定している。
この実施例品A4においては合計4つの凸部6b…が90度の開角を隔てて中央で交わり、底面3aにおける共鳴時に反射面となる反射作用面積を減少させることなく、摩擦面積の増大を図ることができるので、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。
また、実施例品A4においては互に直交する凸部6b,6b(放射状に配置した合計4つの凸部)間が凹部となり、これら凹凸部が空気の流入流出方向に沿って設けられており、空気の流れを阻害することもない。
図9はレゾネータ構造のさらに他の実施例を示し、放射状の複数の凸部6bをもった壁部材5を設けたものである。図9に示すこの実施例品A5はレゾナンスチャンバ3の底面3a中央に、開口部2側から見てY字状の壁部材5を立設したもので、壁部材5の底面3aからの突出高さhは、レゾナンスチャンバ3の深さdの1/3に設定している。
この実施例品A5においては合計3つの凸部6b…が120度の開角を隔てて中央で交わり、底面3aにおける共鳴時に反射面となる反射作用面積を減少させることなく、摩擦面積の増大を図ることができるので、レゾネータ効果のさらなる向上を図ることができる。
また、実施例品A5においては互に120度の開角で交わる凸部6b,6b(放射状に配置した合計3つの凸部)間が凹部となり、これら凹凸部が空気の流入流出方向に沿って設けられており、空気の流れを阻害することもない。
図10は、図1、図2で示したレゾネータ構造を車両用内装材として一体化したもので、車体を構成するボディパネルとしてのインナパネル7と、このインナパネル7の車室側に設けられるトリム部材8との間にレゾナンスチャンバ3を形成し、トリム部材8には開口部2を形成し、インナパネル7には接着等の手段により壁部材5を取付けたものである。
図1、図2の構造によりレゾネータ効果の著るしい向上を図ることができるので、この構成を図10に示すように車両用内装材に適用することによって、レゾナンスチャンバ3の容積確保が比較的困難な車室内であっても、既存の部材(インナパネル7、トリム部材8参照)を有効利用しつつ、レゾネータ構造を確保することができ、低周波の騒音が低減できるので、乗員の快適性向上を図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の閉塞空間は、実施例のレゾナンスチャンバ3に対応し、
以下同様に、
特定の共鳴周波数は、408HZに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
この発明の閉塞空間は、実施例のレゾナンスチャンバ3に対応し、
以下同様に、
特定の共鳴周波数は、408HZに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
すなわち、上記構成のレゾネータ構造は車室内のみならずエンジンルームにも適用でき、また、特定の共鳴周波数は、開口部2の直径Dとレゾナンスチャンバ3の容積Vとのチューニングにより408HZ以下のロードノイズに対応する低周波に設定してもよい。さらに、開口部2の形状は円形に限定されることなく、楕円形や方形状等の非円形であってもよい。
2…開口部
3…レゾナンスチャンバ(閉塞空間)
3a…底面
5…壁部材
6…凹凸部
6b…凸部
3…レゾナンスチャンバ(閉塞空間)
3a…底面
5…壁部材
6…凹凸部
6b…凸部
Claims (6)
- 開口部から該開口部に連通する閉塞空間に音波が入射した時、音のエネルギを摩擦による熱エネルギに変換して特定の共鳴周波数の騒音を低減するレゾネータ構造であって、
上記閉塞空間の底面中央または底面略中央から開口部方向に延びる所定高さの壁部材を設け、
上記壁部材には摩擦面積を増大すべく空気の流入流出方向に沿う凹凸部が設けられた
レゾネータ構造。 - 上記凹凸部は複数の凸部を有し、複数の凸部相互間を所定距離離間させた
請求項1記載のレゾネータ構造。 - 上記凸部が多段に形成された
請求項2記載のレゾネータ構造。 - 上記凹凸部は壁部材の側面に空気の流入流出方向に沿って設けられた
請求項1〜3記載の何れか1に記載のレゾネータ構造。 - 上記壁部材の高さは閉塞空間の深さの1/3に設定された
請求項1〜4の何れか1に記載のレゾネータ構造。 - 上記壁部材の幅は開口部の直径の1/3に設定され、壁部材の肉厚は開口部の直径の1/6に設定されると共に、該壁部材の両外側面に上記凸部が形成された
請求項2、4または5記載のレゾネータ構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005007876A JP2006193072A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | レゾネータ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005007876A JP2006193072A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | レゾネータ構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006193072A true JP2006193072A (ja) | 2006-07-27 |
Family
ID=36799478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005007876A Pending JP2006193072A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | レゾネータ構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006193072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112660029A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-16 | 宜宾凯翼汽车有限公司 | 一种手套箱结构 |
-
2005
- 2005-01-14 JP JP2005007876A patent/JP2006193072A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112660029A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-16 | 宜宾凯翼汽车有限公司 | 一种手套箱结构 |
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