JP2006192473A - 連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱電対式レベル計や放射線式レベル計等の他のレベル計を使用することなく、渦流式レベル計の設置時あるいは鋳造初期に渦流式レベル計の校正を簡単に行うことができる連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法を提供すること。
【解決手段】鋳型6内における特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に求め、鋳造開始時から前記特定周波数の音波をスピーカー16から鋳型6内に向けて常時発信するとともに、鋳型6内で反射された前記特定周波数の音波をマイクロフォン17にて受信してその強度レベルを常時測定し、この強度レベルが所定のしきい値より大きくなった時点の溶鋼レベルを前記特定の溶鋼レベルとし、この特定の溶鋼レベルによって渦流式レベル計9を校正し、それ以降、渦流式レベル計9で溶鋼レベルを測定する
【選択図】図2
【解決手段】鋳型6内における特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に求め、鋳造開始時から前記特定周波数の音波をスピーカー16から鋳型6内に向けて常時発信するとともに、鋳型6内で反射された前記特定周波数の音波をマイクロフォン17にて受信してその強度レベルを常時測定し、この強度レベルが所定のしきい値より大きくなった時点の溶鋼レベルを前記特定の溶鋼レベルとし、この特定の溶鋼レベルによって渦流式レベル計9を校正し、それ以降、渦流式レベル計9で溶鋼レベルを測定する
【選択図】図2
Description
本発明は、渦流式レベル計を用いた連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法に関し、とくに、渦流式レベル計の設置時あるいは鋳造初期に必要な渦流式レベル計の校正を行うための方法に関する。
連続鋳造設備おいては、レードルからタンディッシュに溶鋼が注入され、次にタンディッシュから鋳型内に溶鋼が注入され鋳片が連続的に生産されるが、その定常時の溶鋼レベル制御には時定数が小さく精度のよい渦流式レベル計が多く採用されている。
ただし、この渦流式レベル計においては、これを設置する鋳型のサイズあるいは鋳型との位置関係等により磁気的な環境差が避けられず、特定の鋳型に渦流式レベル計を設置した後に、渦流式レベル計の設置磁気環境に合わせ込むための校正が必要である。このため、渦流式レベル計の校正を熱電対式レベル計や放射線式レベル計等を併用して行い、鋳造初期から溶鋼レベル測定を必要とするオートスタート(自動で鋳片の引抜きを開始する)時にも使用できるものとしている。例えば、特許文献1では渦流式レベル計に熱電対式レベル計を併用して鋳造初期に適用できない渦流式レベル計を熱電対式レベル計から自動的に切り替える方法が提案されている。
しかし、熱電対式レベル計や放射線式レベル計等は鋳型内に設置されるため、鋳型設計の自由度が低下し、また場合によっては取り付けられないという問題がある。さらに、最近の鋳型には品質改善のための装置として鋳型内電磁撹拌装置を設置することが多くなっており、熱電対式レベル計や放射線式レベル計等の設置が困難となることが多い。その上、この電磁撹拌装置は強磁場を発生させるため、熱電対式レベル計や放射線式レベル計等への磁気によるノイズ影響も加わり細心の注意や管理も必要である。
特開2003−251445号公報
本発明が解決しようとする課題は、熱電対式レベル計や放射線式レベル計等の他のレベル計を使用することなく、渦流式レベル計の設置時あるいは鋳造初期に渦流式レベル計の校正を簡単に行うことができる連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法を提供することにある。
本発明は、鋳型内における特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に求め、鋳造開始時から前記特定周波数の音波を鋳型内に向けて常時発信するとともに、鋳型内で反射された前記特定周波数の音波を受信してその強度レベルを常時測定し、この強度レベルが所定のしきい値より大きくなった時点の溶鋼レベルを前記特定の溶鋼レベルとし、この特定の溶鋼レベルによって渦流式レベル計を校正し、それ以降、渦流式レベル計で溶鋼レベルを測定することを特徴とする。
特定周波数の音波を鋳型内に向けて発信する手段としてはスピーカーを使用でき、鋳型内で反射された特定周波数の音波を受信する手段としてはマイクロフォンを使用できる。
具体的には、鋳型内の検出したい特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に擬似溶湯にて求め、その特定周波数の音波を鋳型上部に設けたスピーカーから鋳型内に向けて発信するとともに、鋳型内で反射された特定周波数の音波を鋳型上部に設けたマイクロフォンで受信し、その強度レベルを鋳造開始時から常時測定する。鋳型内の溶鋼レベルが特定の溶鋼レベルに到達すると鋳型内で共振が起き、マイクロフォンで受信する音波の強度レベルが大きくなる。よって、この強度レベルにしきい値を設けておき、このしきい値よりマイクロフォンで受信する音波の強度レベルが大きくなったときに、鋳型内の溶鋼レベルが特定の溶鋼レベルに到達したと判断することができる。そして、この特定の溶鋼レベルを例えばゼロ点レベルとして渦流式レベル計を校正する。その後は、渦流式レベル計で溶鋼レベルを測定する。
使用する音波の周波数は、鋳型のサイズと検出したい特定の溶鋼レベルにて決定されるが、通常、可聴周波数帯から超音波帯までの中から選択する。
本発明によれば、鋳型内に向けて発信する特定周波数の音波の共振を検出することにより鋳型内の溶鋼レベルが特定の溶鋼レベルに到達したことを検知し、この特定の溶鋼レベルによって渦流式レベル計を校正するので、熱電対式レベル計や放射線式レベル計等の他のレベル計を使用することなく、渦流式レベル計の設置時あるいは鋳造初期の校正を簡単に行うことができる。
また、特定周波数の音波の発信手段及び受信手段は、鋳型内ではなく鋳型の上部に設置できるので、鋳型内スペースの制約等を考慮する必要もない。
さらに、校正のための特定の溶鋼レベルを検出するために音波の共振を利用しており、これは、鋳型内電磁撹拌装置等による磁界の影響を受けないので、校正の精度も向上する。
よって本発明によれば、連続鋳造設備のオートスタート用レベル計等として、精度の良い渦流式レベル計を安価に提供することができる。
以下本発明を具体化した実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明を適用する連続鋳造設備における鋳型内溶鋼レベル制御装置の構成を示す概念図である。
図1に示す連続鋳造設備では、レードル溶鋼吐出操作端2の開放操作によってレードル1からタンディッシュ3に溶鋼4が注入され、次にタンディッシュ3から浸漬ノズル5を介して鋳型6内に溶鋼4を注入して鋳片8を連続的に生産する。
この連続鋳造工程においては、鋳型6内の溶鋼レベル7を渦流式レベル計9にて検出し、検出した溶鋼レベル7の信号は渦流式レベル計アンプ10を介して溶鋼レベル制御演算部11に入力される。溶鋼レベル制御演算部11は、入力された溶鋼レベル7の信号に基づき、ストッパー駆動制御装置12への制御出力を行う。この制御出力を受けてストッパー駆動制御装置12は、油圧シリンダー等からなるストッパー駆動装置13を制御して、耐火物からなるストッパー14を上下させ鋳型6内の溶鋼レベル7が安定するように制御する。
ここで、渦流式レベル計9については、使用前に実溶鋼の特定された溶鋼レベルを使用して校正(熱間校正)を行う必要がある。
図2は本発明による渦流式レベル計の熱間での自動校正方法を示す概念図である。
本発明では、発信器15にて生成した音波を鋳型6内に向けて発信するスピーカー16と、鋳型6内で反射された音波を受信するマイクロフォン17を鋳型6の上部に設ける。そして、このスピーカー16とマイクロフォン17を用いて鋳型6内における特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に求めておく。鋳型6内における特定の溶鋼レベルは、後述するように渦流式レベル計9による溶鋼レベル測定を開始するレベルであり、渦流式レベル計9の検出可能範囲に応じて決定される。一般的に渦流式レベル計9の検出可能範囲は、鋳型6の上端レベル(渦流式レベル計9の渦流センサ9aの下面)から200mm程度の範囲であるので、それ以内の近傍のレベルを特定の溶鋼レベルとする。本実施例では、特定の溶鋼レベルを、鋳型6の上端レベルから200mmのレベル(−200mm)とした。
図3は、特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を求める方法を示す概念図で、図2のA−A断面図に相当する図である。特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を求めるために、特定の溶鋼レベルに対応する鋳型6内の位置に、擬似溶鋼レベルとして5mm厚のステンレス板20を吊り下げ、この状態において、スピーカー16から周波数を変化させながら音波を発信し、同時にマイクロフォン17にて鋳型6内で反射された音波を受信し、その強度レベルを測定する。受信された音波の強度レベルか最大となる点が共振点であり、そのときの周波数が、特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数である。
実際に、内面縦300mm×内面横400mm×高さ800mmの鋳型を用い、鋳型の上端レベルから200mmのレベルに擬似溶鋼レベルとしてステンレス板を吊り下げて試験を行ったところ、共振する特定周波数は1.5kHzであった。
なお、実際の操業において、上述の擬似溶鋼レベルを用いた特定周波数の事前決定は、鋳型のサイズが変更となる場合に必要となるものであって、例えば、鋳型のサイズが変更なく溶湯の成分が変更、すなわち、連続鋳造する鋼種が変更となる場合には必要ない。
次に、渦流式レベル計9を熱間で自動校正する方法について説明する。図2において、鋳造開始時から前記特定周波数(実施例では1.5kHz)の音波をスピーカー16から鋳型6内に向けて常時発信するとともに、鋳型6内で反射された前記特定周波数の音波をマイクロフォン17にて受信してその強度レベルを常時測定する。具体的には。マイクロフォン17で検出した微小信号を増幅器18で適切な電圧値に増幅し、この増幅器18からの電圧値をレベル検出回路19に入力する。
図4には、溶鋼レベルの変化に伴う増幅器18の出力電圧値の変化を示す。鋳造開始後、溶鋼レベルは徐々に上昇し、その溶鋼レベルが特定の溶鋼レベル(−200mm)に到達すると特定周波数の音波の共振が生じ、図4に示すように増幅器18から出力される電圧値(音波の強度レベル)が上昇する。レベル検出回路19は、その電圧値が所定のしきい値(実施例では1V)より大きくなったときに、溶鋼レベルが特定の溶鋼レベルに到達したと判断して渦流式レベル計9の熱間校正指令の信号を渦流式レベル計アンプ10に出力する。
渦流式レベル計9は、ある溶鋼レベルを用いた熱間校正の機能を有しており、渦流式レベル計アンプ10が熱間校正指令を受信すると、前記特定の溶鋼レベルを例えばゼロ点レベルとして熱間校正を自動的に行う。
それ以降、すなわち、溶鋼レベルが特定の溶鋼レベルに到達し渦流式レベル計9の熱間校正が終わった以降は、渦流式レベル計9で溶鋼レベルを測定し、その出力がレベル制御演算部11に入力される。レベル制御演算部11は、先に図1で説明したとおり、渦流式レベル計9からの溶鋼レベル7の信号に基づき鋳型6内の溶鋼レベルが安定するようにストッパー14を制御する。実際の操業では、例えば、溶鋼レベルが鋳型6の上端レベルから100±50mmとなるように制御する。
なお、スピーカー16とマイクロフォン17は鋳型6上部に設置されるため、この設置環境は100℃前後と高温で、且つ溶鋼表面に散布されるパウダー等の塵埃も多い。したがって、実際の設置においては、スピーカー16とマイクロフォン17を収納する収納箱は、工場空気などを用いてその内部をプラス圧として塵埃の進入を防止すると同時に、冷却のために適正流量を流すことにより、設置機器であるスピーカー16とマイクロフォン17を保護することが好ましい。
1 レードル
2 レードル溶鋼吐出操作端
3 タンディッシュ
4 溶鋼
5 浸漬ノズル
6 鋳型
7 鋳型内の溶鋼レベル
8 鋳片
9 渦流式レベル計
9a 渦流センサ
10 渦流式レベル計アンプ
11 溶鋼レベル制御演算部
12 ストッパー駆動制御装置
13 ストッパー駆動装置
14 ストッパー
15 発信器
16 スピーカー
17 マイクロフォン
18 受信音の増幅器
19 レベル検出回路
20 ステンレス板
2 レードル溶鋼吐出操作端
3 タンディッシュ
4 溶鋼
5 浸漬ノズル
6 鋳型
7 鋳型内の溶鋼レベル
8 鋳片
9 渦流式レベル計
9a 渦流センサ
10 渦流式レベル計アンプ
11 溶鋼レベル制御演算部
12 ストッパー駆動制御装置
13 ストッパー駆動装置
14 ストッパー
15 発信器
16 スピーカー
17 マイクロフォン
18 受信音の増幅器
19 レベル検出回路
20 ステンレス板
Claims (3)
- 鋳型内における特定の溶鋼レベルにて共振する音波の特定周波数を事前に求め、鋳造開始時から前記特定周波数の音波を鋳型内に向けて常時発信するとともに、鋳型内で反射された前記特定周波数の音波を受信してその強度レベルを常時測定し、この強度レベルが所定のしきい値より大きくなった時点の溶鋼レベルを前記特定の溶鋼レベルとし、この特定の溶鋼レベルによって渦流式レベル計を校正し、それ以降、渦流式レベル計で溶鋼レベルを測定することを特徴とする連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法。
- 前記特定の溶鋼レベルを渦流式レベル計におけるゼロ点レベルとして渦流式レベル計を校正する請求項1に記載の連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法。
- 前記特定周波数の音波の発信をスピーカーで、鋳型内で反射された前記特定周波数の音波の受信をマイクロフォンで行う請求項1又は2記載の連続鋳造設備の鋳型内溶鋼レベル測定方法。
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