以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子音楽装置の全体構成を示すブロック図である。本装置は、例えば、機能説明のデモ曲やユーザの演奏練習等のために複数の自動演奏用の楽曲データを複数内蔵した鍵盤装置として構成されるが、装置の形態はこれに限るものでなく、他の電子楽器、カラオケ装置、パーソナルコンピュータとして構成してもよい。
本装置は、押鍵検出回路3、スイッチ検出回路4、ROM6、RAM7、タイマ8、表示制御回路9、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)10、ハードディスクドライブ(HDD)11、CD−ROM(コンパクトディスク−リード・オンリ・メモリ)ドライブ12、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)インターフェイス(MIDII/F)13、通信インターフェイス(通信I/F)14、音源回路15、効果回路16及びフラッシュメモリ21が、バス18を介してCPU5にそれぞれ接続されて構成される。
さらに、押鍵検出回路3には鍵盤1が接続され、スイッチ検出回路4にはパネルスイッチ2が接続されている。表示制御回路9には例えばLCD等で構成される表示装置19が接続されている。CPU5にはタイマ8が接続され、MIDII/F13には他のMIDI機器100が接続されている。音源回路15には効果回路16を介してサウンドシステム17が接続されている。
通信I/F14には、通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102が接続される。通信I/F14にはさらに、パーソナルコンピュータ等の外部装置20が接続されている。通信I/F14は、RS−232CやUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェース機能をも有しており、これらによって、外部装置20との間でデータの送受信が行える。
押鍵検出回路3は鍵盤1の各鍵(不図示)の押鍵状態を検出する。パネルスイッチ2は、各種情報を入力するための複数のスイッチ(不図示)を備える。スイッチ検出回路4は、パネルスイッチ2の各スイッチの押下状態を検出する。CPU5は、本装置全体の制御を司る。RAM7(以下、「ワークメモリ」とも称する)は、自動演奏データ、テキストデータ等の各種入力情報、各種フラグやバッファデータ及び演算結果等を一時的に記憶する。タイマ8は、タイマ割り込み処理における割り込み時間や各種時間を計時する。表示制御回路9は、表示装置19に楽譜等の各種情報を表示させる。
ROM6は、第1ROM6A及び第2ROM6Bで成る。第1ROM6Aは、後述するように、CPU5が実行する各種制御処理プログラムや各種テーブルデータ等を記憶する。第2ROM6B(以下、「プリセットメモリ」とも称する)は、SMF(Standard Midi File)形式等の楽曲データを、プリセットされたデモ曲等として予め記憶している。
フラッシュメモリ21は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等で構成される。フラッシュメモリ21は、後述するように、第2ROM6Bの楽曲データの再記憶や外部からの楽曲データの記憶を行える。
FDD10は、記憶媒体であるフロッピー(登録商標)ディスク(FD)24をドライブする。FD24には、上記プログラム、各種アプリケーションプログラム、及び各種データ等が格納される。HDD11は、上記制御処理プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶する。CD−ROMドライブ12は、上記制御処理プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等が格納されているCD−ROM(不図示)をドライブする。
MIDII/F13は、他のMIDI機器100等の外部装置からのMIDI信号を入力したり、MIDI信号を外部装置に出力したりする。通信I/F14は、通信ネットワーク101を介して、例えばサーバコンピュータ102とデータの送受信を行う。通信I/F14はまた、外部装置20ともデータの送受信を行う。音源回路15は、楽曲データを楽音信号に変換する。効果回路16は、音源回路15から入力される楽音信号に各種効果を付与し、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム17は、効果回路16から入力される楽音信号等を音響に変換する。
なお、本実施の形態では、音源回路15は、その名称の通り、すべてハードウェアで構成したが、これに限らず、一部ソフトウェアで構成し、残りの部分をハードウェアで構成してもよいし、また、すべてソフトウェアで構成するようにしてもよい。
HDD11には、前述のようにCPU5が実行する制御処理プログラムを記憶することができる。第1ROM6Aに制御処理プログラムが記憶されていない場合には、このHDD11内のハードディスクに制御処理プログラムを記憶させておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM6に制御処理プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。このようにすると、制御処理プログラムの追加やバージョンアップ等を容易に行うことができる。
CD−ROMドライブ12によりCD−ROMから読み出された制御処理プログラムや各種データは、HDD11内のハードディスクにストアされる。これにより、制御処理プログラムの新規インストールやバージョンアップ等を容易に行うことができる。なお、このCD−ROMドライブ12以外にも、外部記憶装置として、光磁気ディスク(MO)装置等、様々な形態のメディアを利用するための他の装置を設けるようにしてもよい。
通信I/F14は、上述のように、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク101に接続されており、該通信ネットワーク101を介して、サーバコンピュータ102と接続される。HDD11内のハードディスクに上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていない場合には、通信I/F14は、サーバコンピュータ102からプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形態では電子音楽装置)は、通信I/F14及び通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102へとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータ102は、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワーク101を介してコンピュータへと配信し、コンピュータが通信I/F101を介して、これらプログラムやパラメータを受信してHDD11内のハードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
この他、外部コンピュータ等との間でデータのやりとりを直接行うためのインターフェイスを備えるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、プリセットされる楽曲データは、SMFフォーマットに基づくものとし、入力、出力される場合もSMFフォーマットのままなされることを前提とする。しかし、楽曲データは、音符データが特定でき、音符、タイミングデータ等からなるシーケンサ等で多用される独自フォーマットのデータでもよい。また、楽曲データのフォーマットは、演奏イベントの発生時刻を一つ前のイベントからの時間で表した「イベント+相対時間」、演奏イベントの発生時刻や曲や小節内における絶対時間で表した「イベント+絶対時間」、音符の音高と符長(あるいは休符と休符長)で演奏データを表した音高(休符)+符長方式、演奏の最小分割能毎にメモリの領域を確保し、演奏イベントの発生する時刻に対応するメモリ領域に演奏イベントを記憶した「ベタ」方式等、どのような形式であってもよく、いずれのフォーマットを採用しても、周知の技術によって簡単に自動演奏処理を実現することができる。
図2は、各種メモリ内のデータ構成を示す概念図である。同図(a)は第2ROM6B(プリセットメモリ)、同図(b)はフラッシュメモリ21、同図(c)はRAM7(ワークメモリ)、同図(d)はFD24内の記憶内容をそれぞれ示す。
同図(a)に示すように、第2ROM6Bには、楽曲エントリデータ、スタイルエントリデータ、音色エントリデータ、設定エントリデータ、その他エントリデータ、楽曲データ(デモ曲)、スタイルデータ、音色データ、設定データ(レジストレーション)及びその他データが、本装置の出荷時点で記憶されている。
同図(b)に示すように、フラッシュメモリ21には、第2ROM6Bと同様のデータが記憶される。ただし、本装置の出荷時点ではフラッシュメモリ21には何も記憶されていない。フラッシュメモリ21には、後述する図10の外部入力処理により、通信ネットワーク101を介するダウンロード、外部装置20からの読み込み、あるいはFD24、不図示のHD(ハードディスク)、CD−ROM12等の「記録メディア」からの読み込みによって楽曲データが記憶されるほか、第2ROM6B内の楽曲データをRAM7に読み出し編集等して再度保存する場合にも記憶される。
同図(c)に示すように、RAM7には、楽曲名(ファイル名)、著作権データ、選択された楽曲データA等が記憶される。これらのデータは、図10の外部入力処理の前や、後述する図11の自動演奏処理において第2ROM6Bまたはフラッシュメモリ21からRAM7に転送されコピーされたものである。
同図(d)に示すように、FD24には、エントリデータ、複数の楽曲データA、B、C等が記憶される。本実施の形態では、楽曲データを提供する外部の記録メディアの1つとしてこのFD24を例示し、FD24からの楽曲データはフラッシュメモリ21に記憶される。なお、楽曲データを提供する記録メディアはFD24に限らず、例えば、HD(ハードディスク)、CD−ROM12等でもよい。
図3は、第2ROM6Bに記憶されているデータの詳細な構成を示す図である。なお、フラッシュメモリ21に記憶されるデータの構成もこれと同様である。
楽曲データ(デモ曲)は楽曲データA、B、Cというように通常複数存在し、例えば、楽曲エントリデータも、楽曲データA、B、Cに対応してエントリデータA、B、Cが存在する。他のデータも各楽曲データ毎に存在する。エントリデータA、B、Cはいずれも、各楽曲データのファイル毎の40バイトのデータであって、対応する楽曲データ等のファイル名、先頭アドレス、ファイルサイズ及び著作権データ等を含んでいる。この著作権データには、著作権フラグCRF(0または1)及び仕向地フラグDF(仕向地対応データ)(0または1または2)が含まれる。
ここで、著作権フラグCRFは、「0」であるとき、対応する楽曲データには保護されるべき著作権が存在せず、著作権フラグCRFが「1」であるとき、対応する楽曲データには著作権が存在することを示す。一方、仕向地フラグDFは、本実施の形態では、DF=0、1であるとき、対応する楽曲データの仕向地がそれぞれ日本、海外であることを示す。また、DF=2であるときは、対応する楽曲データの仕向地が日本及び海外の双方であることを示す。
一方、楽曲データA、B、Cはいずれも、トラックデータ(トラック1〜16)で構成され、各トラックデータは、初期値、タイミングデータ(タイミング1、2等)、MIDIイベントデータ(MIDIイベント1、2等)を含んでいる。MIDIイベントデータには、ノートオン、ノートオフのそれぞれのノート番号、ベロシティ及びチャネル(ch)番号等が含まれる。
このほか、スタイルデータは、8ビート、16ビート、ロック、ジャズ等の自動伴奏のスタイルを示すデータであり、ユーザによる演奏またはコード進行に合わせた自動伴奏を行う際の元となるデータである。音色データは、テーマ(音色の雰囲気)に合わせた音色パラメータのデータであり、カットオフ周波数の値や各種エンベロープの値等を規定するデータである。設定データ(レジストレーション)は、演奏テーマに合わせた音色、音量、キートランスポーズ値、テンポ、効果等の各設定値を規定するデータである。
図4は、第1ROM6A内のデータ構成を示す概念図である。
第1ROM6Aには、プリセットデータ、処理プログラム、仕向地情報DI(仕向地データ)等が本装置の出荷時点で記憶されている。仕向地情報DIは、本装置が販売される地方を示すデータであり、「0」または「1」のいずれかの値に設定される。本実施の形態では、DI=0、1であるときそれぞれ仕向地が日本、海外であることを示す。例えば、日本向けの電子音楽装置については、第1ROM6Aの仕向地情報DIに「0」が設定されている。
図5は、仕向地情報DI及び仕向地フラグDFに基づく楽曲データのアクセス状況を説明するための図である。
後述する図7、図8のパネルスイッチ処理において、楽曲データの一覧表示指示がされた場合、第1ROM6Aから読み出した仕向地情報DIが「0」の場合は、図2(a)、(b)に示す楽曲データ群のうち、仕向地フラグDFが「0」また「2」に設定されている楽曲データが抽出され、実際に一覧表示される(日本向けモデル)。一方、第1ROM6Aから読み出した仕向地情報DIが「1」の場合は、仕向地フラグDFが「1」また「2」に設定されている楽曲データが抽出され、実際に一覧表示される(海外向けモデル)。抽出されない楽曲データはアクセスがされ得ず、ユーザからみれば、あたかも装置内に記憶されていないかのように認識される。
図6は、本実施の形態におけるメインルーチンのフローチャートを示す図である。本処理は電源のオン時に開始される。
まず、初期設定、すなわち、所定プログラムの実行を開始し、各種レジスタ、フラグ、パラメータのクリア、各種インターフェイス、タイマ等のクリア、初期画面の表示等(図示せず)を行う(ステップS601)。
次に、後述する図7、図8のパネルスイッチ処理を実行、すなわちパネルスイッチ2等の操作を受け付け、音量、テンポ等の設定、楽曲、スタイル等の選択、自動演奏のスタート、ストップ、MIDI−OUT(MIDII/F13を通じてリアルタイムで楽曲データを順次出力すること)の設定、外部入出力処理等を行う(ステップS602)。
次に、後述する図11の自動演奏処理を実行、すなわち、所望の楽曲データの再生処理、MIDI−OUT処理、押鍵ガイド処理等を行う(ステップS603)。次に、押鍵処理を実行、すなわち、ユーザの押鍵操作を検出し、MIDIイベントに変換して音源回路15に送って発音させることで、そのとき指定されている音色にてリアルタイムによる演奏処理等を行う(ステップS604)。次に、その他の処理を実行して(ステップS605)、前記ステップS602に戻る。
図7は、図6のステップS602で実行されるパネルスイッチ処理のフローチャートを示す図である。
まず、設定操作に応じた設定値の変更を実行する(ステップS701)。例えば、音量、テンポ、キートランスポーズ等の設定操作があった場合は、その操作量に応じて各設定値を変更する。次に、スイッチ操作に応じて自動演奏フラグAAS、MIDI−OUTフラグMOSを「0」と「1」の間で反転する(ステップS702)。すなわち、パネルスイッチ2の不図示の自動演奏スタート/ストップが押下された場合は自動演奏フラグAASを反転し、同不図示のMIDI−OUTスイッチが押下された場合はMIDI−OUTフラグMOSを反転する。ここで、自動演奏フラグAAS、MIDI−OUTフラグMOSは、自動演奏を行うこと、MIDI−OUTを行うことをそれぞれ「1」で示す。
次に、パネルスイッチ2等により楽曲データの一覧表示の指示がなされたか否かを判別し(ステップS703)、その判別の結果、楽曲データの一覧表示の指示がなされない場合はステップS709に進む一方、楽曲データの一覧表示の指示がなされた場合はステップS704に進み、第1ROM6Aから仕向地情報DIを読み出す。
次に、読み出した仕向地情報DIが「0」であるか否かを判別する(ステップS705)。その判別の結果、DI=0である場合は、本装置が日本向けであるので、ステップS706に進み、第2ROM6B(プリセットメモリ)内の楽曲データのうち、対応する仕向地フラグDFが「0」(日本向け)または「2」(日本及び海外向け)であるものを抽出すると共に、抽出した楽曲データに連番を付して、その番号と一緒に各楽曲データのファイル名を表示装置19に表示して(図5の日本向けモデル参照)、ステップS708に進む。
一方、DI=0でない(DI=1である)場合は、本装置が海外向けであるので、ステップS707に進み、第2ROM6B内の楽曲データのうち、対応する仕向地フラグDFが「1」(海外向け)または「2」(日本及び海外向け)であるものを抽出すると共に、抽出した楽曲データに連番を付して、その番号と一緒に各楽曲データのファイル名を表示装置19に表示して(図5の海外向けモデル参照)、前記ステップS708に進む。
ステップS708では、フラッシュメモリ21内に記憶されている楽曲データについても同様に連番を付して、その番号と一緒に各楽曲データのファイル名を表示装置19に表示する。なお、この場合の連番は上記第2ROM6B内の楽曲データに付けた番号に続けて付してもよいし、100番台の番号として101番から付すようにしてもよい。
次に、ステップS709では、ユーザにより楽曲データが選択されたか否かを判別する。ここで、楽曲データの選択は、表示装置19に楽曲データが表示されている場合は、その中から選択操作により特定され得るが、ファイル名を表示させないで直接入力することによっても特定することができる。その判別の結果、楽曲データが選択されない場合はステップS713に進む一方、楽曲データが選択された場合は、ステップS710に進み、選択されている楽曲データを、対応するファイル名及び著作権データと一緒に第2ROM6Bまたはフラッシュメモリ21から読み出して、これらを対応付けてRAM7(ワークメモリ)に書き込む(図2(c)参照)。
次に、選択されている楽曲データを外部出力する指示がなされたか否かを判別し(ステップS711)、その判別の結果、外部出力する指示がなされた場合は、後述する図9の外部出力処理を実行し(ステップS712)、ステップS713に進む一方、外部出力する指示がなされない場合は直ちに前記ステップS713に進む。
ステップS713では、外部から楽曲データを取り込む指示(例えば、通信ネットワーク101を介するダウンロード、あるいは記録メディアや外部装置20からの読み込みの指示)がなされたか否かを判別し、その判別の結果、外部から楽曲データを取り込む指示がなされた場合は、後述する図10の外部入力処理を実行し(ステップS714)、ステップS715に進む一方、外部から楽曲データを取り込む指示がなされない場合は直ちに前記ステップS715に進む。
ステップS715では、その他のスイッチ操作に応じた処理を行って、本処理を終了する。
図9は、図7、図8のステップS712で実行される外部出力処理のフローチャートを示す図である。
まず、選択されている楽曲データに対応する著作権データ内の著作権フラグCRFを読み出し(ステップS901)、著作権フラグCRFが「1」であるか否かを判別する(ステップS902)。
なお、選択されている楽曲データは、図7、図8のステップS710で、著作権データと一緒に既にRAM7に書き込まれているので、前記ステップS901では、著作権フラグCRFをRAM7から読み出すようにして処理を迅速にしている。なお、第2ROM6Bまたはフラッシュメモリ21に元々記憶されている対応する著作権フラグCRFを読み出して判別に用いるようにしてもよい。
その判別の結果、CRF=1である場合は、著作権保護の必要有りと判断してステップS903に進み、出力禁止メッセージを表示装置19に表示して、外部出力を行うことなく本処理を終了する。ここで、出力禁止メッセージとしては、例えば、「選択されている楽曲データは、著作権があり保護されているので、外部出力及び複製ができません」等の旨のメッセージが採用される。
一方、前記ステップS902の判別の結果、CRF=1でない(CRF=0である)場合は、著作権保護の必要無しと判断してステップS904に進み、外部出力指示が、通信I/F14を介しての出力を指示するものであるか否かを判別する。その判別の結果、外部出力指示が、通信I/F14を介しての出力を指示するものである場合は、ステップS905に進み、選択されている楽曲データのファイルを通信I/F14を介して出力する。例えば、通信I/F14に接続された外部装置20(例えば、パーソナルコンピュータ、他の電子音楽装置等)、サーバコンピュータ102にアップロードする。その後、本処理を終了する。
なお、MIDII/F13を通じて楽曲データを出力する場合、相手機器が所定のソフトウェアを利用でき、楽曲データをバルクデータとして受信可能な環境を有していれば、楽曲データをファイルとして転送することが可能である(MDRモード)。従って、このような環境が整っていれば、外部出力指示がMIDII/F13を通じての出力を指示する場合も、前記ステップS904から前記ステップS905に進んで、通信I/F14からの出力と同様に処理するようにしてもよい。
一方、前記ステップS904の判別の結果、外部出力指示が、通信I/F14を介しての出力を指示するものでない場合は、ステップS906に進み、選択されている楽曲データを指示に従った記録メディア(FD24等)にコピーして、本処理を終了する。
本処理によれば、著作権フラグCRFが「1」である場合は、選択されている楽曲データについて著作権保護の必要有りと判断され、そのアップロードや複写等による外部出力が禁止される。
図10は、図7、図8のステップS714で実行される外部入力処理のフローチャートを示す図である。
まず、ダウンロードや読み込みにより楽曲データを取り込むことが可能な取り込み元となり得る外部装置(外部装置20、サーバコンピュータ102等)及び記録メディア(FD24等)の一覧を表示装置19に表示する(ステップS1001)。次に、表示された外部装置及び記録メディアの中から、実際の取り込み元と、その取り込み元内の楽曲データとをユーザに選択させ、その選択に応じて、楽曲データを取り込み元から取り込む(ステップS1002)。
なお、本実施の形態では、前記ステップS1001において、取り込み元の候補として第2ROM6Bも表示されるものとする。第2ROM6Bが取り込み元となった場合は、楽曲データが編集等を経てフラッシュメモリ21に際記憶されることになる。なお、上記のような楽曲データをバルクデータとして送受信可能な装置があれば、それも一覧表示に含めるようにしてもよい。
次に、楽曲データの取り込み元が記録メディアであったか否かを判別し(ステップS1003)、その判別の結果、楽曲データの取り込み元が記録メディアであった場合は、記録メディア内の楽曲データ全体が保護対象であるか否かを判別する(ステップS1004)。ここで、この判別は、記録メディア内に著作権保護を示す特定ファイルが含まれているか否かによってなされ、特定ファイルが含まれている場合は、楽曲データのすべてが保護対象であると判別される。なお、特定ファイルは、本装置が解釈できるものであればどのような形式のものであってもよく、ルートディレクトリに所定の情報が付されている等のように、何らかの保護対策がメディア単位でなされていればよい。
その判別の結果、記録メディア内の楽曲データ全体が保護対象である場合は、エントリデータを作成すると共に、これを、取り込んだ楽曲データと一緒にフラッシュメモリ21に記憶し(ステップS1005)(図2(b)参照)、ステップS1009に進む。ここで、作成するエントリデータにおいて、著作権データ中の著作権フラグCRFは「1」に設定される。
一方、前記ステップS1003の判別の結果、楽曲データの取り込み元が記録メディアでなかった場合は、ステップS1006に進む。また、前記ステップS1004の判別の結果、「記録メディア内の楽曲データ全体が保護対象である」に該当しない場合も、前記ステップS1006に進む。
ステップS1006では、取り込み元から取り込んだ楽曲データが保護対象であるか否かを判別する。この判別は楽曲データ単位でなされ、例えば、楽曲データ中に著作権表示のデータがある場合や、所定のスクランブルがかかっている場合や、所定の透かし情報が含まれている場合等に保護対象であると判別される。なお、楽曲データ単位で保護対象であることを示す情報であって本装置が解釈できるものであれば、これら以外のものであってもよく、何らかの保護対策が楽曲データ単位でなされていればよい。
その判別の結果、取り込み元から取り込んだ楽曲データが保護対象である場合は、前記ステップS1005と同様に、「著作権フラグCRFを「1」に設定したエントリデータ(権利データ)」を作成すると共に、これを、楽曲データと一緒にフラッシュメモリ21に記憶して(ステップS1007)、ステップS1009に進む。前記ステップS1005、S1007により、記録メディアから取り込まれる著作権付きの楽曲データについても、本装置における著作権フラグCRFによる統一した(所定の形態の)情報によって保護が可能となる。
一方、前記ステップS1006の判別の結果、取り込み元から取り込んだ楽曲データが保護対象でない場合は、ステップS1008に進み、エントリデータを作成すると共に、これを、取り込んだ楽曲データと一緒にフラッシュメモリ21に記憶する。ここでは、取り込んだ楽曲データは著作権保護の必要がないので、作成するエントリデータにおいて、著作権データ中の著作権フラグCRFは「0」に設定される。
次に、ステップS1009では、楽曲データの取り込みを終了するか否かを判別し、その判別の結果、楽曲データの取り込みを終了しない場合は、前記ステップS1001に戻る一方、楽曲データの取り込みを終了する場合は、本処理を終了する。
本処理によれば、楽曲データが記録メディアまたは外部装置から取り込まれ、その際、著作権保護がかかっている場合は、著作権フラグCRFを「1」に設定したエントリデータと共に楽曲データがフラッシュメモリ21に記憶される。
図11は、図6のステップS603で実行される自動演奏処理のフローチャートを示す図である。
まず、自動演奏フラグAASが「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS1101)、その判別の結果、AAS=1でない場合は直ちに本処理を終了する一方、AAS=1である場合は、自動演奏を行う場合であるので、ステップS1102に進み、RAM7(ワークメモリ)内の楽曲データについて、MIDIイベントの読み出しタイミングであるか否かを判別する(ステップS1102)。その判別の結果、MIDIイベントの読み出しタイミングでない場合は本処理を終了する一方、MIDIイベントの読み出しタイミングである場合は、ステップS1103に進んで、今回のMIDIイベントが「END」以外のデータであるか否かを判別する。
その判別の結果、今回のMIDIイベントが「END」以外のデータである場合は、読み出しタイミングのMIDIイベントを音源回路15に送り、発音させて(ステップS1104)、ステップS1105に進む一方、今回のMIDIイベントが「END」以外のデータでない(ENDデータである)場合は、自動演奏フラグAASを「0」に設定して(ステップS1109)、本処理を終了する。
ステップS1105では、MIDI−OUTフラグMOSが「1」に設定されており且つ著作権フラグCRFが「0」に設定されているか否かを判別する。なお、ここで、処理の迅速化の観点から、図7、図8のステップS901と同様に、著作権フラグCRFは、RAM7に書き込まれているものを読み出すようにしている。
その判別の結果、MOS=1且つCRF=0である場合は、MIDI−OUTが設定されており、且つ著作権保護による規制を受けないでMIDI−OUTが可能な楽曲データであるので、ステップS1106に進み、読み出しタイミングのMIDIイベントをMIDII/F13を介してMIDI−OUT、すなわち、リアルタイムで楽曲データを順次出力し、ステップS1107に進む。一方、MOS=0またはCRF=1の少なくとも一方である場合は、MIDI−OUTが設定されていないか、設定されていたとしても著作権保護による規制を受けた楽曲データであるので、MIDI−OUTを行うことなく前記ステップS1107に進む。これにより、たとえMIDI−OUTが設定されていても、著作権フラグCRFが「1」である楽曲データについてはMIDI−OUTが禁止される。
ステップS1107では、押鍵ガイドの設定があるか否かを判別し、その判別の結果、押鍵ガイドの設定がない場合は本処理を終了する一方、押鍵ガイドの設定がある場合は、読み出しタイミングのMIDIイベントに応じて不図示の押鍵ランプを点灯/消灯制御して(ステップS1108)、本処理を終了する。例えば、MIDIイベントがノートオン/ノートオフの場合は、対応するランプを点灯/消灯する。
本処理によれば、自動演奏を行う場合において、著作権フラグCRFが「1」である楽曲データについては著作権保護の必要有りと判断され、MIDI−OUTによる出力が禁止される。
本実施の形態によれば、第2ROM6Bにプリセットされる楽曲データに著作権データを対応させて記憶しておき、楽曲データをアップロードや複写等により外部出力しようとした場合、著作権データ中の著作権フラグCRFに応じて出力を制御するようにしたので、例えば、CRF=1である楽曲データについては外部出力を一律に禁止することで、著作権を保護する一方で、PD曲のように著作権保護の不要な楽曲データについては、外部出力を許容して自由な利用を可能にしてユーザの便宜を図ることができる。よって、著作権を有する楽曲データの無制限の外部出力を曲毎に個別的に制限して権利を保護すると共に、権利を有しない楽曲データの有効利用を図ることができる。また、外部出力の際や自動演奏でMIDI−OUTを行う際、楽曲データが一旦RAM7に書き込まれるが、その場合にも著作権フラグCRFによるチェックがなされるので、楽曲データが別の記憶手段を介して外部出力される場合やMIDIアウトされる場合についても、権利保護を厚く、確実にすることができる。
さらに、楽曲データを外部出力する際には、楽曲データと共に対応する著作権データをRAM7に書き込み、著作権フラグCRFはRAM7内のものを参照するようにしたので、出力可否の判別処理を迅速に行うことができる。
また、外部から著作権保護がかかっている楽曲データを取り込む場合、著作権フラグCRFを「1」としたエントリデータを作成し、楽曲データと共にフラッシュメモリ21に記憶し、フラッシュメモリ21内に記憶された楽曲データについても著作権フラグCRFによる出力可否判別を行うようにしたので、第2ROM6B内の内蔵曲だけでなく、事後的に得た楽曲データについても適切に権利保護または有効利用を図ることができる。しかも、フラッシュメモリ21には、第2ROM6B内の楽曲データを編集等して再記憶が可能であり、その際、著作権フラグCRFが変更されることなく楽曲データに付随されるようにしたので、プリセット曲についてファイル名の変更や編集等を経て再記憶が行われても権利を一貫して保護することができる。
さらに、楽曲データを外部から取り込む場合、楽曲データに何らかの著作権保護対策がなされていれば、フラッシュメモリ21に記憶する際に本装置で規定した形態に(著作権フラグCRFとして)変換して保護の要否を判別可能に維持するので、外部から取り込んだ楽曲データの著作権データの形態がまちまちであっても、装置内部における著作権データの形態を統一して管理を容易にすることで、権利保護をより確実にすることができる。
本実施の形態によればまた、第2ROM6B内に、日本向けと海外向けとで区別することなくすべての楽曲データを記憶すると共に、各楽曲データに仕向地フラグDFを対応させておき、且つ、本装置の第1ROM6Aの仕向地情報DIとして、日本向け装置には「0」、海外向け装置には「1」を記憶しておく。そして、一覧表示の際、第1ROM6Aから読み出した仕向地情報DIが「0」か「1」かによって、対応する楽曲データのみが表示され、適切な楽曲データのみが利用可能となるようにした。これにより、日本向けと海外向けとで第1ROM6Aを区別して作成、管理する必要がなくなるので、第1ROM6Aの作成、管理を簡単にし、第1ROM6Aの共用化により構成の簡単化及びコスト低減を図ることができる。
なお、本実施の形態では、本装置で実行される処理プログラムを仕向地毎に異ならせて記憶するようにしたが、これの代わりに、楽曲データと同様に日本向け用と海外向け用の両処理プログラムを第1ROM6Aに記憶しておき、実際に実行される処理プログラムが仕向地データDIに基づいて選択されるようにしてもよい。その場合、例えば、第1ROM6Aに図4に示す仕向地情報DIを記憶する代わりに、CPU5に繋がる不図示のI/Oポートの1ビットを用いて「0」なら日本、「1」なら海外、というように設定すればよい。
なお、本実施の形態では、仕向地は2個の場合を例示したが、3個以上いくつの場合にも適用可能であり、数に応じて仕向地情報DI、仕向地フラグDFの設定値数を増やせばよい。
なお、本実施の形態において、楽曲データの外部出力を制御する態様は、一律許容または一律禁止を例示したが、これに限らず、一定の条件付きで許容/禁止するようにしてもよい。例えば、特定の出力先だけに出力を許容してもよいし、あるいは、著作権の利用許諾の内容に従って、1世代に限りファイルとしてのコピーを可能にするための情報を付随させて出力を許容するようにしてもよい。
なお、本実施の形態において、楽曲データが予め記憶された記録メディア、及び本装置から転送された楽曲データを記憶する記録メディアは、例示した上記FD24等に限定されるものでなく、例えば、光磁気ディスク、CD−R/RW、磁気テープ、PD(Phase change Disk)、DVD−RAM、DVD−R/RW等、各種メディアを用いることができる。
なお、本実施の形態では楽曲データを第2ROM6Bまたはフラッシュメモリ21から出力する際、RAM7に一旦書き込み、RAM7から出力するようにした場合を例示したが、楽曲データの著作権フラグCRFによる出力規制は、RAM7を介してなされる場合に限らず、第2ROM6Bまたはフラッシュメモリ21から直接出力されるようにした場合にも適用可能である。
なお、本実施の形態において、スタイルデータ、音色データ、設定データ等に著作権が存在する場合は、楽曲データの場合と同様に著作権データに基づき出力規制等の制御を行うようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、保護すべき楽曲データとして著作権を有するものを例示したが、これ以外の権利等によって自由な複製が禁止されているものについても、著作権データと同様のデータを用いて出力規制を行うことが可能である。
なお、本発明を達成するためのソフトウェアによって表される制御処理プログラムを記憶した記憶媒体を、本装置に読み出すことによって同様の効果を奏するようにした場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、プログラムコードが電送媒体等を介して供給される場合は、プログラムコード自体が本発明を構成することになる。なお、これらの場合の記憶媒体としては、ROMのほか、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R/RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
2 パネルスイッチ(出力受け付け手段)、 5 CPU(保護措置検出手段、記憶制御手段、出力制御手段)、 10 フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)(外部出力手段)、 11 ハードディスクドライブ(HDD)(外部出力手段)、 13 MIDIインターフェイス(MIDII/F)(外部出力手段)、 14 通信インターフェイス(通信I/F)(楽曲データ入力手段、外部出力手段)、 20 外部装置、 21 フラッシュメモリ(記憶手段)、 CRF 著作権フラグ、 102 サーバコンピュータ(外部装置)