JP2006188140A - 船舶及び船舶の運航方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バラスト水の積載量を大きく低減することができ、しかも安定な航行が可能であり、更に船舶から排出されるバラスト水により特定海域に本来生息しない微生物が持ち込まれることがなく、海洋環境を破壊することもない船舶及び船舶の運航方法を提供すること。
【解決手段】 上室21と下室22が分離されたバラスト室構造2を有するものであって、下室22には、1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設される船舶。
【選択図】 図5

Description

本発明は、国際航路を運行する船舶に関し、特にバラスト水の積載量を大きく低減しても安定な航行が可能であり、且つバラスト水を積荷港に排出する際の海洋環境の問題を解決できる船舶及び船舶の運航方法に関するものである。
原油タンカー、鉱石運搬船、自動車運搬船等は空荷や積載貨物量が少ない状態で航行する場合がある。その際、船体が浮力により浮き上がり、スクリューや方向舵が水面下に没しなかったり、水面上の船体が風の影響を大きく受けて操縦性が損なわれ航行上極めて危険な状態となる。このため、通常の船舶は航行時の浮力を調整するため、通常載荷重量の40〜50重量%のバラスト水を積載する。
例えば、原油タンカーによる輸送は産油国と消費国の往復となり、消費国から産油国への航行では積荷がなく、消費国で船舶内のバラスト水槽に停泊区域の海水等を積載してバラスト水としている。一方、バラスト水を積んだ船舶は産油国の近海、あるいは港湾でバラスト水を排出して、原油を再度積載している。
近年、船舶から排出されるバラスト水により特定海域に本来生息しないプランクトン、バクテリア等の微生物が持ち込まれ、これに起因して海洋生態系の破壊が生じ、当該水域住民の生活に重大な被害を与えるだけではなく、全世界的な海洋環境の破壊が生じており、深刻な国際問題となっている。このため、バラスト水中の微生物除去を目的として、国際的な規模で各種の方法が検討されている。
バラスト水による生物学的な港湾汚染を防止する方法としては、船舶の航海中、バラスト水槽に積載されたバラスト水をクリーンな海水と一部置き換える希釈置換方法やバラスト水として汲み込まれる海水中の微生物を除去する方法などが知られている。
船舶の航海中、バラスト水槽に積載されたバラスト水をクリーンな海水と一部置き換える希釈置換方法としては、例えば特開2001−18885号公報に開示される船舶のバラスト水置換装置がある。この方法によれば、航行中に船体の姿勢、縦強度、操船上の見透しに何等悪影響を与えることなく、バラスト水を効率的に置き換えることができる。
また、バラスト水として汲み込まれる海水中の微生物を除去する方法としては、例えば海水を加熱して微生物を死滅させる方法(特開2003−181443号公報)、海水に紫外線を照射して微生物を死滅させる方法(特開平11−265684号公報)等が提案されている。
特開2001−18885号公報(請求項1) 特開2003−181443号公報(特許請求の範囲) 特開平11−265684号公報(特許請求の範囲) 特開2003−154360号公報(特許請求の範囲) 特開平1−226488号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、船舶の航海中にバラスト水槽に積載されたバラスト水をクリーンな海水と一部を置き換える希釈置換方法は、バラスト水の完全な置換は無理であり、バラスト水を積荷港に排出する際の海洋破壊の問題を解決することはできない。また、海水中の微生物を死滅させる方法は、微生物の死滅に完全を期し難く、また屍骸による汚染が生態系に与える影響も懸念されている。また、海水を濾過膜に通すことで海水中の微生物を除去する方法も知られているが(特開2003−154360号公報)、大量の海水を濾過膜により処理するには、通常、濾過面積を大きくするか、あるいは長時間を要することから非効率で、実用的ではないという問題がある。海水を濾過膜により処理する問題点に関しては、バラスト水の積載量を大きく低減できれば解決できる。
特開平1−226488号公報には、底部に開口を有し、他の部分は気密構造のバラスト室と、該バラスト室の上部に接続された空気圧調整弁と、該空気圧調整弁を介して該バラスト室に圧縮空気を供給する蓄圧器とを備える船舶等浮体のバラスト調整装置が開示されている。しかし、このバラスト水調整装置は、例えば急激な重量物の搭載等の際、迅速にバラスト水を排出する機構に関するものであり、空荷状態、すなわち、バラスト水積載状態ではバラスト水の積載量は低減できず、バラスト水の積荷港への持ち込みは回避することができない。
このような情況下、バラスト水の積載量を大きく減らしても安定な航行が可能な船舶が提供されれば、例えば船舶に搭載された微生物膜処理装置により積載されたバラスト水を船舶停泊期間内で処理して、積荷港の海域にクリーンな海水を排出でき、海洋破壊を防止する極めて有用なものとなる。
従って、本発明の目的は、バラスト水の積載量を大きく低減することができ、しかも安定な航行が可能であり、更に船舶から排出されるバラスト水により特定海域に本来生息しない微生物が持ち込まれることがなく、海洋環境を破壊することもない船舶及び船舶の運航方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、上室と下室が分離されたバラスト室構造を有するものであって、該下室には、1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設された船舶であれば、バラスト水積載運行の際、上室にバラスト水を積載でき、喫水線より下にある下室は、海水が海水流入口から入り海水流出口から排出される海水通り抜け状態にできること、この状態であれば、下室の海水は積載状態ではないものの、船舶の重心位置は積載状態と原理的に差異はなく、少量のバラスト水の積載でも安定な航行ができること、この程度のバラスト水量であれば、短い停泊期間中に例えば微生物濾過膜装置による処理が可能であり、クリーンな海水を排出できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上室と下室が分離されたバラスト室構造を有するものであって、該下室には、1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設される船舶を提供するものである。
また、本発明は、上室と下室が分離されたバラスト室構造を有し、該下室には1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設された船舶の運航方法であって、バラスト水積載運行時、該上室にはバラスト水が積載され、喫水線より下にある該下室は、海水が海水流入口から入り、海水流出口から排出される海水通り抜け状態である船舶の運航方法を提供するものである。
また、本発明は、上室と下室が分離されたバラスト室構造を有し、該下室には1又は2以上の海水流入口、1又は2以上の海水流出口及び袋体が付設された船舶の運航方法であって、バラスト水を積載しない運行時、該上室は空室であり、該下室に付設された袋体は加圧気体で膨らんだ状態にある船舶の運航方法を提供するものである。
本発明によれば、バラスト水積載運行時、上室にバラスト水を積載でき、喫水線より下にある下室は、海水が海水流入口から入り、海水流出口から排出される海水通り抜け状態にできるため、下室の海水は積載状態ではないものの、船舶の重心位置は積載状態と原理的に差異はなく安定な航行ができる。また、バラスト水を積載しない運行時、すなわち荷積載運行時、上室は空室であり、下室は該海水流入口及び海水流出口を閉じて空気が満たされた状態にあるか、あるいは下室に付設された袋体が加圧気体で膨らんだ状態にあるため、安定運行に必要な浮力を得ることができる。また、上室に積載されるバラスト水積載量は、上室及び下室共に積載状態のものと比べて、約1/3にまで低減できるため、短い停泊期間内で効率的な微生物死滅又は除去装置による処理ができる。このため、例えば積載されたバラスト水は、微生物死滅又は除去装置で処理して、該処理水を船舶から排出できるため、特定海域に本来生息しない微生物が持ち込まれることはなく、更に海洋環境を破壊することもない。また、バラスト水積載運行時、下室の海水は運搬していないため、省エネルギー運行が可能となる。また、バラスト水が積載される上室は、船体の側面の上部に位置することから、上室の底部に発生する沈殿物の除去や洗浄が効率的に行える。
次に、本発明の第1の実施の形態における船舶及び船舶の運航方法を図1〜図8を参照して説明する。図1は、本例の船舶の概略側面図、図2は図1の概略平面図、図3は船首部分の拡大された概略図、図4は船尾部分の拡大された概略図、図5は図2のA−A線に沿って見た概略図、図6はバラスト室構造を示す概略斜視図、図7(A)はバラスト室の下室における海水通り抜け状態を示す図、(B)はバラスト室の下室の海水流入口及び海水流出口を閉じた状態を示す図、図8は船舶中央右舷のバラスト室の下室の一部を示す平面概略図である。
本例の船舶1のバラスト室は、図5及び図6に示すように、外殻210と内殻220の二重構造、いわゆるダブルハル構造をしている。外殻210は、右舷外側板211、左舷外側板212及び外底板213を有している。内殻220は、同じく右舷内側板221、左舷内側板222及び内底板223を有している。これら外殻210と内殻220の上端は、甲板501によって閉塞されている。
内殻220と甲板501とで囲まれる空間部分は、石油等の積荷を搭載するための荷タンク7を構成している。荷タンク7は、船体5の船首から船尾に亘って配置されている。
本発明の船舶のバラスト室は、上室と下室が分離されていれば、特に制限されず、上室及び下室はそれぞれ、2以上に分割されていてもよい。また、分割の形態は、縦仕切り壁により分割する形態、横仕切り壁により分割する形態及び縦仕切り壁と横仕切り壁を組み合わせて分割する形態等が挙げられる。これらは船舶の大きさや使用目的などにより適宜決定される。本例の船舶1のバラスト室2は、上室21と下室22に分離され、これらは外殻210と内殻220との間に、左舷バラスト室の上室21a、左舷バラスト室の下室22a、右舷バラスト室の上室21b、右舷バラスト室の下室22b、船底の下室22cが形成されている。これらバラスト室構造2は、荷タンク7が空の状態で航行する際に、船舶1を通常運行喫水線(W.L.)まで沈めるバラスト水を積載又は海水をスルーさせるためのものであり、荷タンク7の周囲を連続して取り囲んでいる。バラスト室2の下室22は、バラスト水積載時、喫水線より下にくるように設計される。
下室22に、1又は2以上の海水流入口3と、1又は2以上の海水流出口4を備えている。海水流入口3の付設位置としては、特に制限されないが、本例では海水流入口3a、3bが左舷の下室22a、右舷の下室22bの船首側にそれぞれ付設されている。また、船底の下室22cの海水流入口も図では省略するが船首側に付設されている。また、海水流出口4の付設位置としては、特に制限されないが、本例では海水流出口4a、4bが左舷の下室22a、右舷の下室22bの船尾側にそれぞれ付設されている。また、船底の下室22cの海出流入口も図では省略するが船尾側に付設されている。また、海水流入口3及び海水流出口4は共に、開閉扉6を有している。開閉扉6は通常遠隔操作により開口を開状態又は閉状態にすることができる。また、下室22が更に分割された場合、それぞれの分割室において、海水流入口3及び海水流出口4は付設される。
1又は2以上の海水流入口3及び海水流出口4を下室22にそれぞれ設けることにより、バラスト水積載運行時、上室21にバラスト水を積載でき、喫水線より下にある下室22は、海水が海水流入口3から入り、海水流出口4から排出される海水通り抜け状態にできるため、下室22の海水は積載状態ではないものの、船体5の重心位置は積載状態と原理的に差異はなく安定な航行ができる。海水流入口3及び海水流出口4の設置個数や開口の形状等も特に制限されず、適宜決定される。しかし、海水流入口3や海水流出口4の設置個数が少ない場合、あるいは開口面積が小さい場合、下室22内における海水の流れが停滞し易くなり、荷積み港に他の海域の微生物が持ち込まれることになる点で好ましくないが、通常、下室22内に流れ状態が形成されれば、特に問題となることはない。
下室22内においては、海水の滞留を防止するため、あるいは海水の流れをよくするための種々の対策を採ることができる。例えば、図8に示すように、右舷内殻221と右舷外殻211との間あるいは中央に補強用の縦仕切り壁8がある場合、海水が滞留し易い場所にスペーサー9を設けることができる。また、下室22内に水流ポンプ33を設ければ、海水の流れを促進することができる。また、海水流入口3や海水流出口4周りも海水の滞留が起こり易く、この場所にもスペーサーを設置することが好ましい。
また、下室22は、バラスト水を積載しない運行時、すなわち荷積載運行時、海水流入口3及び海水流出口4を閉じて空気が満たされた状態になる。このため、下室22には、海水ポンプに配管の一端が接続される海水汲み出し口や海水汲み込み口(不図示)を付設しておくとよい。下室22に海水を汲み込む場合、海水汲み込み口を使用し、下室22から海水を汲み出す場合、海水汲み出し口を使用する。なお、海水汲み出し口と海水汲み込み口は1つとして兼用するものであってもよい。また、船舶1には、下室22内の海水を排出するため、下室22内を加圧状態にする加圧手段を付設してもよい。加圧手段としては、圧縮機及び配管等の公知の加圧手段を用いることができる。
本発明のバラスト室2の上室21はバラスト水が貯留される貯留槽である。上室21と下室22の容積比率としては、船舶の大きさや積荷の種類等により決定されるが、例えば10万トン原油タンカーの場合、上室21の容積はバラスト室全体の容積の1/3〜1/2程度にすることができる。上室21はバラスト水貯留槽であるため、バラスト水を積載しない運行時、すなわち荷積載運行時、空の状態である。このため、上室21には、通常海水ポンプに配管の一端が接続される海水汲み出し口や海水汲み込み口(不図示)が付設されている。上室21に海水を汲み込む場合、海水汲み込み口を使用し、上室21から海水を汲み出す場合、海水汲み出し口を使用する。なお、海水汲み出し口と海水汲み込み口は1つとして兼用するものであってもよい。なお、荷積載運行時における空の状態である上室21には運行時のバランスをとるために、多少のバラスト水を残留させることがあるが、本発明では、このように運行時のバランスをとるために多少のバラスト水を残留させる場合も空の状態に含まれる。
上室21に積載されるバラスト水は、海水を微生物死滅又は除去装置、例えば微生物濾過膜に通して得られる膜濾過水とすることが、積降し港において、バラスト水を汲み込む際、陸置きの微生物濾過膜装置を使用することができ、更に積荷港において、バラスト水をそのまま排出することができる点で好ましい。また、微生物濾過膜装置を船舶に搭載し、バラスト水として汲み上げられた海水を航行中又は積荷港の停泊中において処理し、排出するようにしてもよい。従来、大型タンカーに積載するバラスト水を微生物濾過膜装置で処理することは、コスト及び容積面で大きな問題となっていたが、本例の船舶によれば、積載バラスト水量は、従来のバラスト水量の1/3〜1/2とすることができ、処理量を大幅に減らすことができる。なお、微生物死滅又は除去装置としては、上述した微生物濾過膜装置の他に、主にプランクトンをオゾン、過酸化水素等の薬剤で死滅させる化学的装置、あるいは主にプランクトンを熱や破壊によって死滅させる物理的装置等が挙げられ、これらの微生物死滅又は除去装置は状況に応じて用いることができる。
微生物濾過膜装置に用いる微生物濾過膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜が挙げられる。このうち、中空糸膜が、単位容量当りの濾過面積を最も大とすることができる点で好ましい。微生物濾過膜として精密濾過膜を用いる場合、中空糸膜の細孔の径としては、0.01〜0.4μm、好ましくは0.01〜0.3μmである。また、限外濾過膜を用いる場合は、中空糸膜の細孔の径としては、0.002〜0.01μmである。海水中又はバラスト水中に生息する細菌や幼生等の微生物の大きさは通常数μm、最小のものでも0.3〜0.5μm程度であり、従って、上記細孔径の中空糸膜を使用すれば、海水中のこれらの細菌、幼生等の微生物をほぼ完全に除去することができる。また、膜面に付着した微生物を除去して、その濾過能力を回復するために逆洗を行うが、本逆洗とは別に、濾過中に膜面の外側から気泡でバブリングして膜面に付着した微生物を剥離除去する操作ができる点で外圧式中空糸膜を使用することが好ましい。
また、中空糸膜は浸漬型中空糸膜装置又は加圧型中空糸膜装置として使用される。浸漬型中空糸膜装置を用いる方法は、海水貯槽中又はバラスト水中に浸漬された該装置の該中空糸の内側をヘッド差又は吸引ポンプによる吸引等で通水し、海水中又はバラスト水中の微生物を除去する方法である。
逆洗工程は、逆洗により微生物濾過膜を洗浄する工程である。微生物除去工程において、時間が経過するにつれ、膜の目詰まりの原因物質となる微生物等が微生物濾過膜に付着して膜の入口と出口で膜差圧が上昇してくる。このため、海水又はバラスト水の濾過を停止し、膜濾過水を洗浄水として微生物濾過膜を逆洗する。逆洗工程を行うことにより、微生物濾過膜の濾過機能が回復する。そして、逆洗工程を終えると、再度微生物除去工程に移り、これを繰り返し行うことで、長時間に亘る濾過を可能にする。なお、逆洗により生成する微生物濃縮液は、次亜塩素酸など薬剤の添加や加熱処理など公知の殺菌処理が行われれる。この微生物濃縮液は比較的少量であるため、殺菌剤の使用量も少量でよく、また加熱に伴う消費エネルギーも少ない。
海水又はバラスト水を微生物濾過膜で処理する前に予め、海水中又はバラスト水中の微量油分を除去することが、微生物濾過膜の目詰まりを防止し、濾過能力の低下を防止することができる点で好ましい。すなわち、海水中の油分も微生物濾過膜で捕捉されるが、微生物や他の濁質と異なり、油分は膜面に付着すると前記のバブリングや逆洗工程では容易に除去することができず、微生物濾過膜を目詰まりさせ、濾過能力の低下の原因となる。海水の油分を除去する方法としては、特に制限されず、公知の油水分離装置を用いることができる。
次に、本例の船舶1の運行方法について説明する。本例の船舶1の運行工程としては、バラスト水積載運行、積荷港におけるバラスト水排出工程、バラスト水を積載しない運行、積降し港におけるバラスト水積載工程をこの順序で繰り返し行う工程が挙げられる。
船舶1におけるバラスト水積載運行を図3〜図7(A)を参照して説明する。このバラスト水積載運行時、上室21にはバラスト水が積載され、喫水線より下にある下室22は、海水が海水流入口3から入り、海水流出口4から排出される海水通り抜け状態である。すなわち、左舷上室21aと右舷上室21bにはバラスト水が貯留されている。このバラスト水の積載量は、上室と下室の合計容積の1/3〜1/2程度の量である。該バラスト水は、積降し港の海水であるか、あるいは積降し港の海水を微生物濾過膜に通して得られる膜透過水であってもよい。
下室22を構成する左舷下室22a、右舷下室22b及び船底下室22cにおいては、それぞれの海水流入口3a、3b及び3cから流入した海水がそれぞれの海水流出口4a、4b及び4cから流出する、いわゆる海水スルー状態にある。図6において、矢印aは左舷下室22a内の海水の流れ、矢印bは右舷下室22b内の海水の流れ、矢印cは船底下室22c内の海水の流れをそれぞれ示し、図7(A)は左舷下室22a及び右舷下室22bにおける海水のスルー状態を示す。このバラスト水積載運行時において、下室22の海水は積載状態ではないものの、船舶の重心位置は積載状態と原理的に差異はなく安定な航行ができる。従来、バラスト水積載運行時に安定な航行をするには、積荷重量の30〜40重量%もの大量のバラスト水が必要であったものの、本発明によれば、その1/3〜1/2程度の積載量であっても安定した航行が可能である等、劇的な効果をもたらす。
積荷港におけるバラスト水排出工程において、上室21に積載されたバラスト水は、既に微生物濾過膜で処理された膜濾過水であれば、そのまま積荷港の海域に排出することができる。また、微生物濾過膜により処理されていないバラスト水であれば、微生物濾過膜を通して、その膜濾過水を排出するようにする。なお、上室21に積載されたバラスト水が微生物濾過膜装置により処理された膜濾過水であっても、更に安全性を高めるために、積荷港に排出する際、再度微生物濾過膜を通して、その膜濾過水を排出してもよい。微生物濾過膜処理は、処理対象となるバラスト水の量が顕著に低減されているため、船舶の短い停泊期間中に処理することができる。一方、下室22の海水は、航行中、海水スルー状態であるため、積荷港に停泊した際もその積荷港の海水に置換されており、当該海域を異なる海域に生息する微生物で汚染することはない。この工程においては、積荷作業を行うと同時に、上室21のバラスト水が排出され、更に下室22の海水流入口3及び海水流出口4を閉じて、下室22の海水を抜く。下室22の海水を抜く方法としては、加圧手段により、例えば圧縮空気を送り海水を抜く方法あるいは海水ポンプにより海水を汲み上げる方法等が挙げられる。
バラスト水を積載しない運行、すなわち荷積載運行時、上室は空室であり、下室は該海水流入口及び海水流出口を閉じて空気が満たされた状態にあるため、安定運行に必要な浮力を得ることができる。図5において、荷タンク7には荷が積載され、左舷上室21a、右舷上室21b、左舷下室22a、右舷下室22b及び船底下室22cは共に、空気が満たされた状態にある。そして、図7(B)に示すように、海水は右舷外側板211、左舷外側板212及び外底板213の外側を流れることになる。
積降し港におけるバラスト水積載工程においては、積荷が降ろされると共に、上室21にはバラスト水が積載され、海水流入口3及び海水流出口4が開けられて下室22に海水が導入される。上室21に積載するバラスト水としては、停泊域の海水であってもよいし、あるいはこの海水を微生物濾過膜で処理した膜濾過水であってもよい。この工程においても、積載するバラスト水量は従来のバラスト水と比べて著しく低減されているため、短い停泊期間であっても、微生物濾過膜処理が可能となる。バラスト水として停泊域の海水を使用する場合、航行中又は荷積み港において、微生物濾過膜処理を行い、その膜濾過水を排出することが、荷積み港域に本来生息しない微生物が持ち込まれることはなく、更に海洋環境を破壊することもない点で好ましい。下室22への海水の導入は、海水ポンプで海水を汲み上げ下室22内を海水で満たす方法であってもよい。
次に、第2の実施の形態における船舶及び船舶の運航方法について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、バラスト水積載時における本例の船舶の中央部を切断して船尾側から船首側を見た概略図、図10は、図9のバラスト水を積載しない運行時の状態を説明する図、図11(A)は、バラスト室の下室における海水通リ抜け状態を示す図、(B)はバラスト室の下室の海水流入口を閉じた状態を示す図である。
図9〜図11において、図5及び図7と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について、主に説明する。すなわち、第2の実施の形態例の船舶において、第1の実施の形態例の船舶と異なる点は、下室22を1区画とした点、下室22内に袋体40を設置した点、船底部に開口28を設置した点にある。袋体40は、バラスト水を積載しない運行時、下室22内において、展張して船体5に浮力を与える役目をするものである。バラスト水積載時、袋体40は、船舶1aの下室22内において、収納状態にある。袋体40は加圧気体が導入される開口部43と、袋体本体44からなり、加圧気体が満たされた状態で下室22内をほぼ占有する大きさのものである。袋体40は、収納状態において、内殻に固定される複数個の係止部41に係り止めされ、下室22内に空間を残している。また、下室22の所定の箇所に所定の間隔でバンド部材42を付設しておくと、袋体40を展張しながら航行する際、袋体40がずれないように固定することができる点で好ましい。
また、船舶1aの外殻210の船底に開口部28を設けることにより、袋体40の展張時、下室22内の海水を開口部28から速やかに排出できる点で好ましい。船底に形成される開口部28の大きさ及び設置個数は、適宜決定すればよい。
船舶1aにおいて、下室22は2以上に分割した分割室とし、袋体40を分割室毎に設置することが、袋体40の破損時、安全性を確保することができる点で好ましい。分割の形態や分割室の個数などは適宜決定される。
第2の実施の形態例の船舶1aの運航方法において、第1の実施の形態例の船舶1の運行方法と異なる点について説明する。すなわち、第2の実施の形態例の船舶1aの運航方法は、バラスト水積載運行時、下室22の海水流入口3と海水流出口4は開かれ、且つ袋体40は収納状態にある。このため、下室22内は海水通り抜け状態を形成することができる(図9及び図11(A))。一方、バラスト水を積載しない運行時、袋体40は加圧気体により、下室22内を占有する程度に展張されている。このため、船舶1aの航行に必要な浮力を与えることができる(図10)。この際、海水流入口3は閉状態であるものの、海水流出口4は閉状態又は開状態のいずれであってもよい(図11(B))。海水流出口4は海水が流入し難いものであると共に、下室22に完全密閉状態が要求されないからである。本例の船舶1aによれば、下室22内に袋体40を設置しているため、下室22内の気密性は要求されない。このため、下室構造の製作という点ではコスト削減となる。
次に、第3の実施の形態における船舶及び船舶の運航方法について、図12を参照して説明する。図12は、バラスト水積載時における本例の船舶の中央部を切断して船尾側から船首側を見た概略図である。第3の実施の形態の船舶1bにおいて、第1の実施の形態の船舶1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、第3の実施の形態の船舶1bにおいて、第1の実施の形態の船舶1と異なる点は、バラスト室がダブルハル構造ではなく、船体5には荷タンク7のみを形成し、バラスト室を外殻210に外付けで付設した点にある。船舶1bにおいて、上室21は、外付け左舷上室21eと外付け右舷上室21fからなり、下室22は、上室21とは所定間隔離間した位置にある外付け左舷下室22e、外付け右舷下室22g及び外付け船底下室22fからなる。なお、外付け左舷上室21e、外付け右舷上室21fと外付け左舷下室22e、外付け右舷下室22gの設置方法は、上記の形態に限定されず、1つの室を横仕切り壁で区画して、例えば右舷で言えば、外付け右舷上室21fと外付け右舷下室22gが壁を隔てて形成されている構造であってもよい。この第3の実施の形態の船舶1bにおいても、第1の実施の形態の船舶1と同様の効果を奏する他、比較的小型の船舶でダブルハル構造を採らない既存の船舶を比較的容易に改造して製造することができる。
第1の実施の形態例の船舶の概略側面図である。 図1の概略平面図である。 船首部分の拡大された概略図である。 船尾部分の拡大された概略図である。 図2のA−A線に沿って見た概略図である。 バラスト室構造を示す概略斜視図である。 (A)はバラスト室の下室における海水通り抜け状態を示す図、(B)はバラスト室の下室の海水流入口及び海水流出口を閉じた状態を示す図である。 船舶中央右舷のバラスト室の下室の一部を示す平面概略図である。 バラスト水積載時における第2の実施の形態例の船舶の中央部を切断して船尾側から船首側を見た概略図である。 図9のバラスト水を積載しない運行時の状態を説明する図である。 (A)は、バラスト室の下室における海水通リ抜け状態を示す図、(B)はバラスト室の下室の海水流入口を閉じた状態を示す図である。 第3の実施の形態例の船舶の中央部を切断して船尾側から船首側を見た概略図である。
符号の説明
1、1a、1b 船舶
2 バラスト室
3、3a、3b、3c 海水流入口
4、4a、4b、4c 海水流出口
5 船体
6 開閉扉
7 荷タンク
8 補強用縦仕切り壁
9 スペーサー
21 上室
22 下室
21a、21e 左舷バラスト室の上室
22a、22e 左舷バラスト室の下室
21b、21f 右舷バラスト室の上室
22b、22g 右舷バラスト室の下室
22c、22f 船底の下室
33 水流ポンプ
40 袋体
210 外殻
220 内殻
211 右舷外側板
212 左舷外側板
213 外底板
221 右舷内側板
222 左舷内側板
223 内底板
501 甲板

Claims (11)

  1. 上室と下室が分離されたバラスト室構造を有するものであって、該下室には、1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設されることを特徴とする船舶。
  2. 前記海水流入口と前記海水流出口は、共に、開閉自在であることを特徴とする請求項1記載の船舶。
  3. 前記下室は2以上に分割された分割室から構成され、前記海水流入口及び前記海水流出口は、該分割室にそれぞれ付設されることを特徴とする請求項1又は2記載の船舶。
  4. 前記下室には、袋体が付設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の船舶。
  5. バラスト水積載航行時、前記下室は喫水線より下にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の船舶。
  6. 前記上室は、バラスト水貯留室であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の船舶。
  7. 前記上室に貯留されるバラスト水は、海水を微生物死滅又は除去装置で処理した処理水であることを特徴とする請求項6記載の船舶。
  8. 上室と下室が分離されたバラスト室構造を有し、該下室には1又は2以上の海水流入口と1又は2以上の海水流出口がそれぞれ付設された船舶の運航方法であって、バラスト水積載運行時、該上室にはバラスト水が積載され、喫水線より下にある該下室は、海水が海水流入口から入り、海水流出口から排出される海水通り抜け状態であることを特徴とする船舶の運航方法。
  9. 請求項8の船舶の運航方法において、バラスト水を積載しない運行時、該上室は空室であり、該下室は該海水流入口及び海水流出口を閉じて空気が満たされた状態にあることを特徴とする船舶の運航方法。
  10. 請求項8の船舶の運航方法において、バラスト水の排水は、該上室に積載されたバラスト水を、船舶に搭載された微生物死滅又は除去装置により処理して、該処理水を停泊中の海域に排出することを特徴とする船舶の運航方法。
  11. 上室と下室が分離されたバラスト室構造を有し、該下室には1又は2以上の海水流入口、1又は2以上の海水流出口及び袋体が付設された船舶の運航方法であって、バラスト水を積載しない運行時、該上室は空室であり、該下室に付設された袋体は加圧気体で膨らんだ状態にあることを特徴とする船舶の運航方法。
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