JP2006185775A - 固体酸化物形燃料電池用シール材および固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流出を防ぐことができる固体酸化物形燃料電池用シール材および固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法を提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池用のシール30は、ガラス粉中にセラミックス繊維が分散されたものからなる。このようにセラミックス繊維を混合することより、SOFCスタックの動作温度によりシール中のガラスが軟化した場合であっても、この軟化したガラスをセラミックス繊維がとどめるため、シール材が所定の位置から流出することを防ぐことができる。
【選択図】 図2
【解決手段】固体酸化物形燃料電池用のシール30は、ガラス粉中にセラミックス繊維が分散されたものからなる。このようにセラミックス繊維を混合することより、SOFCスタックの動作温度によりシール中のガラスが軟化した場合であっても、この軟化したガラスをセラミックス繊維がとどめるため、シール材が所定の位置から流出することを防ぐことができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池用のシール材およびこのシール材の製造方法に関するものであり、より詳しくは固体酸化物形燃料電池の構成材料間の燃料ガスや酸化剤ガス、動作環境雰囲気間等のガスシールを保つためのシール材およびこのシール材の製造方法に関するものである。
従来より、燃料電極と酸化剤電極とをセラミックスの電解質を介して配置し、燃料として水素を、酸化剤として酸素や空気を供給することにより、水の電気分解の逆の反応を利用して発電する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cells:SOFC)が知られている。この固体酸化物形燃料電池の単位構成要素(以下、単セルという)の構成を図1に示す。図1(a)は、燃料極支持型平板型固体酸化物形燃料電池セルの構成を示す断面図、(b)は、電解質支持型平板型酸化物形燃料電池セルの構成を示す断面図である。
単セルは、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)やスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)などの電解質材料とニッケルとの混合物の多孔体からなる平板の燃料電極11と、SrドープLaMnO3やLa(NiFe)O3などの酸化物伝導体の多孔体からなる平板の酸化剤電極12と、これらの燃料電極11と酸化剤電極12との間に配設されたセラミックスからなる平板の電解質13とから構成される。このような単セル10には、予め形成された燃料電極11上に電界質13と酸化剤電極12を形成する燃料極支持型平板型固体酸化物形燃料電池セル(図1(a))と、予め形成された電解質13の両面に燃料電極11および酸化剤電極12を形成した電解質支持型平板型酸化物形燃料電池セル(図1(b))がある。
このような単セルを実際に燃料電池として動作させる際には、実用上十分な発電量を得るために単セルを積層して直列接続(スタック化)し、電池の負極側(燃料電極側)を還元雰囲気に、正極側(酸化剤電極側)を酸化雰囲気に保つとともに、十分な発電効率を得るために電解質のイオン伝導性を確保して容易に酸化還元反応が起こる600℃以上の高温に燃料電池本体を保つ必要がある。これを実現するために、互いに異なる雰囲気に晒される正極と負極間をガス不透過でかつ電気伝導性のある部品で電気的に接続し、各電極にそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスを適正に分配、供給する目的で各セル間に金属またはセラミックスで作られた部品(セパレータ)が配置される。このような単セルとセパレータとが積層されたSOFCスタックの構成例を図2,3に示す。図2は、SOFCスタックの構成を示す分解図、図3は、SOFCスタックの構成を示す断面図である。なお、図3に示す矢印は、燃料ガスとオフガスまたは酸化剤ガスと排気ガスの流れを意味する。
SOFCスタック1は、上述した単セル10と、この単セル10と隣接するセパレータ20と、単セル10とセパレータ20との間に配設されたシール30と、隣接するセパレータ20間にセパレータ20に嵌合するように設けられたセルカバー40とを有し、単セル10とセパレータ20とが交互に積層された構造を有する。
セパレータ20は、隣接する単セル10を電気的に接続するとともに燃料電極11と酸化剤電極12のそれぞれにガスマニホールド部21より供給される燃料と酸化剤とを適正に分配、供給して排出する。
シール30は、少なくとも単セル10とセパレータ20との間および隣接するセパレータ20間に配設され、これらをシールする。なお、シール30は、SOFCスタック1の構造上ガスシールが必要な場所にも配設される。
セルカバー40は、隣接するセパレータ20間に設けられ、セパレータ20と協働して単セル10を保持する。なお、セルカバー40は、設けないようにしてもよい。
このようなSOFCスタック1では、上述したように使用される燃料および酸化剤は全て気体であるため、単セル10とセパレータ20間、セパレータ20相互間、その他構造上ガスシールが必要な箇所のシールが不十分であると、ガス漏れが生じて電池の性能低下や破損などを招いてしまう。このため、従来では、シール30をガラスやろう材などの溶融する材料で構成することにより、十分な気密性を確保するようにしていた。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
6th European SOLID OXIDE FUEL CELL FORUM Proceedings vol.2(2004) p.774-783,p.792-799
6th European SOLID OXIDE FUEL CELL FORUM Proceedings vol.2(2004) p.774-783,p.792-799
しかしながら、SOFCスタックの動作温度は600〜1000℃と高いため、SOFCスタックの動作温度がシール材の軟化点と近いまたは上回る場合には、シール材の粘度が低下し、液状となって流出してしまい、ガス漏れが発生するおそれがある。そこで、本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、流出を防ぐことができる固体酸化物形燃料電池用シール材および固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池用シール材は、ガラスと、このガラス中に分散されたセラミックス繊維とを有することを特徴とする。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材において、セラミックス繊維の繊維長は、高々500mmであるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材において、セラミックス繊維の繊維径は、高々50μmであるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材において、セラミックス繊維は、アルミナ、シリカ、カルシアおよびジルコニアのうち少なくとも1つからなるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材において、ガラスの軟化点は、高々1000℃であるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材において、ガラスの熱膨張係数は、80〜150×10-7℃-1であるようにしてもよい。
また、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法は、ガラス中にセラミックス繊維が分散された固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法であって、ガラスの重量に対して5〜50%の割合のセラミックス繊維を混合する混合ステップを有することを特徴とする。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法において、セラミックス繊維の平均繊維径は、高々50μmであるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法において、ガラスと、有機溶媒と、分散材とを混合してガラスペーストを生成する生成ステップとをさらに備え、混合ステップは、ガラスペーストにセラミックス繊維を混合させるようにしてもよい。
上記固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法において、生成ステップは、ガラスペーストの重量に対して60〜80%の割合のガラスを混合させるようにしてもよい。
本発明によれば、ガラス中にセラミックス繊維を分散させることにより、ガラスが溶融してもセミラック繊維により保持されるので、固体電解質形燃料電池の動作温度がシール材の軟化点と近いまたは上回る場合であっても、シール材の流出を防ぐことができる。
また、本発明によれば、ガラス中に繊維状のセラミックスを混合することにより、このセラミックス繊維がガラス中で骨格のような働きをするため、固体酸化物形燃料電池の温度が動作温度と室温との間で上下する熱サイクルの影響によってシール材にクラックや破損等が発生することを防ぐことがことができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態にかかるシール材は、背景技術の欄で図1〜3を参照して説明したSOFCスタック1のシール30を構成するものである。よって、背景技術の欄で説明したのと同等の構成要素には、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
以下、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態にかかるシール材は、背景技術の欄で図1〜3を参照して説明したSOFCスタック1のシール30を構成するものである。よって、背景技術の欄で説明したのと同等の構成要素には、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施の形態にかかるシール材は、粉末状のガラス中にセラミックス繊維を分散させたものから構成される。
上記ガラスには、軟化点が500℃以上800℃以下、より望ましくは600℃以上700℃以下のガラス材料が用いられる。これらの条件を満たすガラスであれば何れのガラスも本実施の形態のシール材に使用することができる。なお、ガラスは、セラミックス繊維との混合を考えると、粉末であることが望ましい。
ガラスの軟化点は、SOFCスタックの動作温度よりも低い温度であることが望ましい。これは、SOFCスタックの動作時にガラスが軟化することにより、SOFCスタックの構造上ガスシールが必要な箇所にガラスが流入して、SOFCスタックのガスシールがより確実に行われるからである。実際のSOFCスタックの動作温度は600〜1000℃程度であるので、500℃以上800℃以下、望ましくは600℃以上700℃以下の軟化点のガラスを用いる。
このような軟化点を有するガラス材料をSOFCスタックの動作温度に合わせて適切に選択することにより、セルとセパレータとの無用な固着やそれによる応力によるセルの破壊、ガスシールの破損を防ぐことができる。
なお、ガラスの熱膨張係数については、セルやその他のSOFCスタックの構成材料の熱膨張係数に近い値が好ましい。これは、SOFCスタックの熱サイクルによりシールが破損しないためである。セルやその他のSOFCスタックの構成材料の平均的な熱膨張係数は100〜120×10-7℃-1程度である。したがって、ガラスの熱膨張率は、100〜120×10-7℃-1程度であるのが望ましい。
また、セルの材料がジルコニア系の材料である場合、セルの平均的な熱膨張係数は熱膨張係数が90〜130×10-7℃-1である。したがって、ガラスの熱膨張率は90〜130×10-7℃-1程度であってもよい。
さらに、後述するセラミックス繊維として用いられるアルミナの熱膨張係数は80×10-7℃-1、セパレータを構成するインコネル等の耐熱合金の熱膨張係数は150×10-7℃-1である。したがって、ガラスの熱膨張率は80〜150×10-7℃-1程度であってもよい。
このような熱膨張係数を有するガラスをシール材に用いることにより、固体電解質形燃料電池のセル−セパレータ間やセパレータ相互間その他のガスシールの必要な箇所を良好にシールすることができ、燃料電池の発電−停止に付随する温度の上昇・降下の繰り返しに対しても、セルその他の部品の破損やシール性能の劣化をきたすことなく、良好な燃料電池の性能を維持することができる。
上記セラミックス繊維には、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、ジルコニア(ZrO2)のうち少なくとも1つが用いられる。このセラミックス繊維は、平均繊維径が高々50μm、望ましくは1μm以上30μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下のものが用いられる。これは、繊維径が太すぎるとガラスの流出を防ぐことが困難となり、逆に繊維径が細すぎるとガラス中に混合することが困難となるからである。
また、セラミックス繊維の長さは、高々500mm、具体的には1μm以上500mm以下程度のものが用いられるが、その大部分が100μm程度であることが望ましい。より具体的には、1μm以上50mm以下、望ましくは10μm以上10mm以下、より望ましくは10μm以上5mm以下の繊維長のセラミックス繊維が用いられる。これは、繊維長が長すぎると、ガラスと混合するのが困難であり、かつ、シール材としてSOFCスタックに配設するのも困難となるからである。また、繊維長が短すぎると、SOFCスタックの構成材料とガラスとの熱膨張係数のずれにより熱サイクルの影響で発生するシール材のクラックなどの破損を防止できなくなるからである。
また、セラミックス繊維の形状は、セラミックス繊維によってSOFCスタックの構成材料とガラスとの熱膨張係数のずれにより熱サイクルの影響で発生するシール材のクラックなどの破損を防止できるのであれば、適宜自由に設定することができるが、一例として繊維径に対して繊維長が2倍程度よりも長いのが望ましい。具体的には、繊維径が1μm以上10μm以下であり、かつ、繊維長が10μmより長く5mm以下であるのがより望ましい。
このようなセラミックス繊維をシール材に用いることにより、燃料電池の動作温度によりガラスが軟化して液状になった場合であっても、セラミックス繊維がガラスの流失をとどめるため、固体電解質形燃料電池のセル−セパレータ間、セパレータ相互間およびその他のガスシールが必要な箇所を良好にシールすることが可能となる。
次に、本実施の形態にかかるシール材の製造方法について説明する。本実施の形態にかかるシール材は、セラミックス繊維を、ガラス粉の重量に対して5〜50%、望ましくは7〜30%、より望ましくは7〜20%の割合でガラス粉に混合することにより生成される。ここで、ガラスの粒径は、1〜10μm程度が適当である。また、セラミックス繊維は、上述した繊維長のセラミックス繊維が全セラミックス繊維の重量に対して50%以上を占めるのが望ましい。
このようにセラミックス繊維をガラスに混合されたシール材を固体電解質形燃料電池のセル−セパレータ間、セパレータ相互間およびその他のガスシールが必要な箇所に配設することにより、ガラスの粘度が低下して液状となった場合であっても、セラミックス繊維間にガラスが保持されるので、シール材が流失することを防ぐことが可能となる。
また、繊維状のセラミックスをガラス中に混合することにより、ガラスとSOFCスタック構成材料との間の熱膨張率差と熱サイクルの影響とに起因するシール材のひびや破損等を防ぐことが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかるシール材は、粉末状のガラスと、有機溶媒と、分散材とを混合させたガラスペーストにセラミックス繊維を混合させたものからなる。ここで、上記ガラスおよびセラミックス繊維には、第1の実施の形態と同等のものが用いられる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかるシール材は、粉末状のガラスと、有機溶媒と、分散材とを混合させたガラスペーストにセラミックス繊維を混合させたものからなる。ここで、上記ガラスおよびセラミックス繊維には、第1の実施の形態と同等のものが用いられる。
本実施の形態にかかるシール材は以下に説明する方法により製造される。まず、粉末状のガラスと、テレピン油等の有機溶媒と、ブチル酸オクテルエステルなどのエステル類や脂肪族アルコール類からなる分散材とを混合してガラスペーストを生成する。ここで、ガラス粉は、ガラスペースト重量に対して60〜80%の割合で混合するのが望ましい。なお、ガラスの粒径は、1〜10μm程度が適当である。
次に、ガラスペースト中にセラミックス繊維を混合する。これにより、本実施の形態にかかるシール材が生成される。ここで、セラミックス繊維は、ガラス粉の重量に対して5〜50%、望ましくは7〜30%、より望ましくは7〜20%の割合でガラス粉に混合される。
本実施の形態によれば、シール材をペースト状とすることにより、SOFCスタックの形成時に所定の位置に配設するのが容易となる。また、セラミックス繊維がガラスに混合されているため、ガラスの粘度が低下して液状となった場合であっても、セラミックス繊維間にガラスが保持されるので、シール材が流失することを防ぐことが可能となる。さらに、セラミックス繊維をガラスに混合することにより、SOFCスタックのサーマルサイクル時などにシール材に発生しやすいひびやわれなどの破損を防止することができる。
一例として、700〜800℃で動作する低温動作型の燃料電池に用いるシール材の製造方法について以下に説明する。
まず、ガラスは、燃料電池の動作温度に近くなるよう、軟化点が700℃以下の材料を選択する。また、ガラスは、セラミックス繊維との混合を考えると、粉末であることが望ましい。ガラスの粒径は、1〜10μm程度が適当である。
このようなガラス材料には、例えば、シリカ−アルミナ−酸化カリウム系ガラスや旭硝子社製ASF700など各種のガラス粉が知られている。特にASF700は、軟化点が696℃であり、熱膨張係数も97×10-7/℃程度とジルコニア系電解質を用いたセルの熱膨張係数と近いため好適である。
このように選択されたガラス粉にテレピン油を主成分とする有機溶媒と、ブチル酸オクテルエステルからなる分散材とを十分に混合させてペースト状にする。この場合、全ペースト重量に占めるガラスの割合は、60〜80%程度とする。この割合で生成されたガラスペーストは、粘度が好適であり、SOFCスタックの形成時に所定の位置に配設する際に液だれ等が発生しない。
次に、上記ガラス粉またはガラスペーストに対して、平均繊維径が50μm以下、望ましくは1μm以上30μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下であり、平均繊維長が1μm以上500mm以下、望ましくは10μm以上10mm以下、より望ましくは10μm以上5mm以下であるようなセラミックス繊維を混合する。例えば、イソライト工業社製のISOWOOLを用いることができる。このセラミックス繊維は、アルミナおよびシリカを主成分とし、平均繊維径が2.8μm、繊維長が250mm以下であるため、本実施の形態のシール材に用いるのに好適である。
この場合のセラミックス繊維は、ガラス粉の重量に対して5〜50%、望ましくは7〜30%、より望ましくは7〜20%の重量で混合する。この割合で混合することにより、液状となったガラスをより効果的に所定の位置にとどめておくことが可能となる。
例えば、72%ガラス含有ペースト50gにセラミックス繊維5gを混合した場合、ガラス粉の重量は、50×0.72=36gとなる。したがって、セラミックス繊維の混合比は、5÷(36+5)×100=12.2%となり、上記条件(混合比7〜20%)を満足する。
このようにして作成したシール材を図2,3に示すような構造のSOFCスタックに適用したところ、シール材の流出が発生せず、良好なシール特性を示すとともに、熱サイクルによる劣化も見られないことが確認された。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかるシール材は、上述した第1,2の実施の形態とはシール材に含まれるガラスに要求される特性が異なるものであり、第1の実施の形態に示す粉末状のシール材と第2の実施の形態に示すペースト状のシール材の何れにも適用することが可能である。よって、第1,2の実施の形態と同等の構成要素等については説明を適宜省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかるシール材は、上述した第1,2の実施の形態とはシール材に含まれるガラスに要求される特性が異なるものであり、第1の実施の形態に示す粉末状のシール材と第2の実施の形態に示すペースト状のシール材の何れにも適用することが可能である。よって、第1,2の実施の形態と同等の構成要素等については説明を適宜省略する。
本実施の形態のシール材に含まれるガラスには、軟化点が常温より高く1000℃以下のガラス材料が用いられる。これらの条件を満たすガラスであれば何れのガラスも本実施の形態のシール材に使用することができる。
本実施の形態では、ガラスの軟化点は、SOFCスタックの動作温度より高くてもよい。これは、例えば、SOFCスタックを動作させる前に、SOFCスタックの動作温度よりも高く、かつ、SOFCスタックが壊れない温度までSOFCスタックを加熱してシール材のガラスを軟化させることにより、SOFCスタックの気密性を確保することが可能だからである。SOFCスタックの耐熱温度は、酸化剤電極が一番低く、1000℃程度である。したがって、ガラスの軟化点は1000℃以下となる。ガラスの軟化点の下限については、高温になることにより揮発したり流失しなければよいので、常温よりも高い値であればよい。
また、本実施の形態では、熱膨張係数がセルやその他のSOFCスタックの構成材料の熱膨張係数と近いガラスを選択する。これは、SOFCスタックの熱サイクルによってガラスが膨張と収縮を繰り返してもシールが破損しないためである。セルやその他のSOFCスタックの構成材料の平均的な熱膨張係数は100〜120×10-7℃-1程度である。したがって、ガラスの熱膨張率は、100〜120×10-7℃-1程度であるのが望ましい。
また、セルの材料がジルコニア系の材料である場合、セルの平均的な熱膨張係数は熱膨張係数が90〜130×10-7℃-1である。したがって、ガラスの熱膨張率は90〜130×10-7℃-1程度であってもよい。
さらに、後述するセラミックス繊維として用いられるアルミナの熱膨張係数は80×10-7℃-1、セパレータを構成するインコネル等の耐熱合金の熱膨張係数は150×10-7℃-1である。したがって、ガラスの熱膨張率は80〜150×10-7℃-1程度であってもよい。
このような条件を満たすガラスを選択し、第1、2の実施の形態で示した製造方法により本実施の形態にかかるシール材が生成される。
このように本実施の形態によれば、ガラスの軟化点がSOFCスタックの動作温度より高い場合であっても、固体電解質形燃料電池のセル−セパレータ間やセパレータ相互間その他のガスシールの必要な箇所を良好にシールすることができ、燃料電池の発電−停止に付随する温度の上昇・降下の繰り返しに対しても、セルその他の部品の破損やシール性能の劣化をきたすことなく、良好な燃料電池の性能を維持することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、セラミックス繊維をガラスに混合することにより、SOFCスタックの生成時などにガラスの粘度が低下して液状となった場合であっても、セラミックス繊維間にガラスが保持されるので、シール材が流失することを防ぐことが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、セラミックス繊維をガラスに混合することにより、SOFCスタックのサーマルサイクル時などにシール材に発生しやすいひびやわれなどの破損を防止することができる。
なお、第1〜第3の本実施の形態にかかるシール材は、上述したような平板型のSOFCのみならずが、多孔質円筒支持管の上に電極、電解質、インターコネクタを形成した円筒のSOFCスタックに適用することもできる。
1…SOFCスタック、10…単セル、11…燃料電極、12…酸化剤電極、13…電解質、20…セパレータ、21…ガスマニホールド、30…シール、40…セルカバー。
Claims (10)
- ガラスと、
このガラス中に分散されたセラミックス繊維と
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用シール材。 - 前記セラミックス繊維の繊維長は、高々500mmである
ことを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池用シール材。 - 前記セラミックス繊維の繊維径は、高々50μmである
ことを特徴とする請求項1または2記載の固体酸化物形燃料電池用シール材。 - 前記セラミックス繊維は、アルミナ、シリカ、カルシアおよびジルコニアのうち少なくとも1つからなる
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用シール材。 - 前記ガラスの軟化点は、高々1000℃である
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用シール材。 - 前記ガラスの熱膨張係数は、80〜150×10-7℃-1である
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用シール材。 - ガラス中にセラミックス繊維が分散された固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法であって、
前記ガラスの重量に対して5〜50%の割合のセラミックス繊維を混合する混合ステップ
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法。 - 前記セラミックス繊維の平均繊維径は、高々50μmである
ことを特徴とする請求項7記載の固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法。 - 前記ガラスと、有機溶媒と、分散材とを混合してガラスペーストを生成する生成ステップと
をさらに備え、
前記混合ステップは、前記ガラスペーストに前記セラミックス繊維を混合させる
ことを特徴とする請求項7または8記載の固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法。 - 前記生成ステップは、前記ガラスペーストの重量に対して60〜80%の割合の前記ガラスを混合させる
ことを特徴とする請求項9記載の固体酸化物形燃料電池用シール材の製造方法。
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