図1は本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の一例を示す側面図、図2は図1に示した自動販売機の商品搬出装置を商品通路外側(図1の矢視A)から見た斜視図、図3は図1で示した自動販売機の商品搬出装置を商品通路内側(図1の矢視B)から見た斜視図、図4および図5は本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の動作を示す側面図である。
図1に示すように、商品搬出装置1は、自動販売機の商品収納庫内において、例えば缶入り飲料、ペットボトル飲料または紙パック入り飲料などの商品Gを上下方向に渡って収納する商品通路Rの下部に設けてある。商品通路Rは、商品搬出装置1を設けてある金属材からなる基板2と、当該基板2と対向配置してある商品出口通路板3とを有している。また、図には明示しないが、基板2および商品出口通路板3の両側部には、側板が設けてある。
図1〜図3に示すように、商品搬出装置1の基板2には、商品通路Rの内外に通じる開口部21が設けてある。また、基板2には、商品通路Rの内側に突出するガイド突起22が開口部21の上方の位置に設けてある。そして、この基板2には、軸受部材4,5、リンク部材6、第一保持部としての下ペダル7、回動ストッパ8、第二保持部としての上ペダル9および売切検出部10が設けてあって商品搬出装置1が構成してある。
軸受部材4,5は、対をなして構成してあり、それぞれ基板2の開口部21の上端縁と下端縁との間に架かって上下方向に平行に延在して設けてある。軸受部材4,5は、側方に互いに対向する態様でリンク部材6、下ペダル7、回動ストッパ8および上ペダル9に関わる各軸を支持してある。なお、軸受部材4,5は、上記各軸を支持する構成をほぼ対称の構成としてあり、以下の説明では、軸受部材4を主に説明して軸受部材5に係る構成の符号を括弧で付す。
軸受部材4(5)には、上下方向に延在する長溝41(51)および長溝42(52)が設けてある。長溝41(51)は軸受部材4(5)の上側に設けてあり、長溝42(52)は軸受部材4(5)の下側に設けてある。長溝41および長溝(51)、長溝42および長溝(52)は、側方にそれぞれ対向して配置してある。そして、長溝41および長溝(51)には、リンク部材6に関わる上リンク軸101が上下方向に移動可能に支持してある。長溝42および長溝(52)には、リンク部材6に関わる下リンク軸102が上下方向に移動可能に支持してある。上リンク軸101および下リンク軸102は、互いに平行に設けてある。
軸受部材4(5)には、上下方向のほぼ中央の位置に支軸穴43(53)が設けてある。支軸穴43および支軸穴(53)は、側方にそれぞれ対向して配置してある。そして、支軸穴43および支軸穴(53)には、下ペダル7に関わる下ペダル軸103が支持してある。この下ペダル軸103は、上リンク軸101および下リンク軸102と平行に配置してあって、基板2の開口部21における上下方向のほぼ中央部に位置し、当該開口部21の側方に渡る態様で開口部21の両側縁に支持してある。
軸受部材4(5)には、下端位置に、上下方向に延在する支軸穴44(54)が設けてある。支軸穴44および支軸穴(54)は、側方にそれぞれ対向して配置してある。そして、支軸穴44および支軸穴(54)には、回動ストッパ8に関わる回動ストッパ軸104が上下方向に移動可能に支持してある。回動ストッパ軸104は、上リンク軸101、下リンク軸102および下ペダル軸103と平行に配置してある。
軸受部材4(5)には、上下方向のほぼ中央の位置であって支軸穴43(53)の上方の位置に支軸穴45(55)が設けてある。支軸穴45および支軸穴(55)は、側方にそれぞれ対向して配置してある。そして、支軸穴45および支軸穴(55)には、上ペダル9に関わる上ペダル軸105が支持してある。この上ペダル軸105は、基板2の開口部21における上下方向のほぼ中央部に位置し、当該開口部21の側方に渡る態様で開口部21の両側縁に支持してある。
リンク部材6は、駆動部としてのソレノイド61に対して係合してある。ソレノイド61は、基板2における商品通路Rの外側位置であって開口部21の上方の位置に配置してある。ソレノイド61は、プランジャ61Aを下方に向けて設けてある。プランジャ61Aは、ソレノイド61が通電されることによって上方に引かれる。
リンク部材6は、板体からなり、基板2における商品通路Rの外側位置であって開口部21の位置に上下方向に渡って設けてある。リンク部材6は、その上端がプランジャ61Aに取り付けてある。このリンク部材6には、上記上リンク軸101に係合する上係合部6aが設けてある。上係合部6aは、上リンク軸101を上下方向に移動できるように設けてある。また、リンク部材6には、上記下リンク軸102に係合する下係合部6bが設けてある。さらに、リンク部材6の下端部には、コイルバネなどからなる弾性手段としてのリンクバネ6cを有している。リンクバネ6cは、下リンク軸102と回動ストッパ軸104との間に取り付けてあってリンク部材6を下方に向けて常に付勢する。
なお、図2に示すように上述した軸受部材4,5、リンク部材6およびソレノイド61は、商品搬出装置1において上リンク軸101、下リンク軸102、下ペダル軸103および回動ストッパ軸104の軸方向での一側寄りに配置してある。これは、複数の商品通路Rを組んで構成する場合に、図に示す商品搬出装置1と対称に形成した商品搬出装置(図示せず)を背合わせにして配置することによってスペース効率をよくするためであって、背合わせにした互いの軸受部材4,5、リンク部材6およびソレノイド61の構成が干渉しないようにするためである。
下ペダル7は、基板2の開口部21の両側端縁の間に介在してあり、上記下ペダル軸103に回動可能に支持してある。下ペダル7は、下ペダル軸103を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に移動可能に設けてある。下ペダル軸103には、捩りコイルバネからなる弾性手段としての下ペダルバネ103aが巻装してある。下ペダル7は、下ペダルバネ103aの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されている。
下ペダル7は、突出位置においてその上面が商品Gを保持する保持面71として形成してあり、その下側には下ペダル軸103の軸線方向に対向する2つの軸受台72が設けてある。各軸受台72には、下ペダル軸103の軸線方向に互いに対向する態様で異形溝73がそれぞれ設けてある。異形溝73は、下ペダル7が突出位置にある形態で、上下方向に延在して設けた第一案内面73aと、当該第一案内面73aの上端から下ペダル軸103に向かって保持面71とほぼ平行に設けた第二案内面73bと、当該第二案内面73bの下ペダル軸103側の端部から第一案内面73aの下端側に向かって延在して設けた第三案内面73cと、第一案内面73aの下端側に切欠73eが設けてあることで下方に向けて形成した当接面73dとを有してなる。なお、異形溝73は、本実施例において各軸受台72の対向する面に凹設してあるが、各軸受台72を貫通して設けてあってもよい。
回動ストッパ8は、上記各軸受部材4,5の間に介在してあり、上記回動ストッパ軸104に回動可能に支持してある。回動ストッパ8は、回動ストッパ軸104を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動ストッパ軸104には、捩りコイルバネからなる弾性手段としての回動ストッパバネ104aが巻装してある。回動ストッパ8は、回動ストッパバネ104aの弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されている。
回動ストッパ8には、商品通路Rの内側に突出する先端部において側方に延出する支持軸106が設けてある。支持軸106は、上リンク軸101、下リンク軸102、下ペダル軸103および回動ストッパ軸104と平行に配置してある。この支持軸106は、両端部が下ペダル7における各軸受台72の異形溝73に係合する。また、回動ストッパ8には、突出位置において下リンク軸102に係合可能に設けたロック溝81が設けてある。回動ストッパ8は、ロック溝81が下リンク軸102に係合している状態で突出位置を維持される。
図1〜図3に示すように上ペダル9は、基板2の開口部21の両側端縁の間に介在してあり、上記上ペダル軸105に回動可能に支持してある。上ペダル9は、上ペダル軸105を中心として回動して、基板2の開口部21から商品通路Rの内側に突出する突出位置と、開口部21を閉塞する態様で商品通路Rから退く退避位置との間に移動可能に設けてある。上ペダル軸105には、捩りコイルバネからなる弾性手段としての上ペダルバネ105aが巻装してある。上ペダル9は、上ペダルバネ105aの弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。
上ペダル9は、突出位置において商品通路Rの内側に延出する先端側の面が商品Gを保持する先端面91として形成してある。また、上ペダル9には、退避位置において上記上リンク軸101を内装する凹溝92が設けてある。この凹溝92には、上ペダル9が退避位置から突出位置に至る過程で上リンク軸101が摺接する摺接面92aを設けてある。また、上ペダル9には、上ペダル軸105に支持された軸受部分の近傍において、商品通路Rの内側に向けて突出する当接凸部93が設けてある。
図2および図3に示すように売切検出部10は、基板2において開口部21の上方の位置であってソレノイド61に並んで配置してある。売切検出部10は、検出片11と、当該検出片11によってON/OFFされるスイッチ12とを有している。
検出片11は、その上端が基板2に支承してあり、商品通路Rに突出する突出位置と、商品通路Rから退避する退避位置との間に移動可能に設けてある。この検出片11は、基板2に設けた検出片バネ13に係合しており、当該検出片バネ13の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されている。また、検出片11の上端には、商品通路Rの外側に延在するアーム11aが一体に設けてある。
スイッチ12は、基板2における商品通路Rの外側位置に設けてある。このスイッチ12は、本実施例ではノーマリオフ型を採用してある。このスイッチ12は、検出片11が商品通路Rの商品Gに押されて退避位置にあるとき、アーム11aがアクチュエータ12aから離間することによってOFF状態になる。これにより、商品通路Rに商品Gがあることが検出される。一方、スイッチ12は、検出片11が突出位置にあるときに、アーム11aがアクチュエータ12aを押すことによってON状態になる。これにより、商品通路Rに商品Gがなく売り切れであることが検出される。
なお、図1に示すように上述した商品搬出装置1とともに商品通路Rをなす商品出口通路板3は、図1で示す商品Gよりも大きい径の商品(図示せず)が収納できる通路幅となるように商品搬出装置1と対向配置してある。また、商品出口通路板3において商品通路Rの内側に突出する突起部3aは、図1に示す商品Gや当該商品Gより小さい径の商品(図示せず)を、商品搬出装置1の下ペダル7側に寄せて保持しやすい姿勢に案内するためのものである。
以下、上記自動販売機の商品搬出装置の動作について図1、図4および図5に基づいて説明する。
図1に示す形態は、販売待機状態である。販売待機状態は、ソレノイド61が通電されていない状態であって、リンク部材6がリンクバネ6cによって下方に付勢されている状態である。すなわち、上リンク軸101が軸受部材4(5)の長溝41(51)に沿って下方に移動し、下リンク軸102が軸受部材4(5)の長溝42(52)に沿って下方に移動している。この販売待機状態において、下ペダル7は、下ペダルバネ103aの弾性付勢力によって突出位置にある。さらに、下ペダル7は、保持面71に商品通路Rの最下位置にある商品Gが当接していることで商品Gの荷重を受けている。また、販売待機状態において、回動ストッパ8は、回動ストッパバネ104aの弾性付勢力によって突出位置にある。さらに、回動ストッパ8は、支持軸106が下ペダル7における異形溝73の当接面73dに当接していることで下ペダル7にかかる商品Gの荷重を受けている。さらにまた、回動ストッパ8は、ロック溝81に下リンク軸102が嵌合していることによってリンク部材6に係止されて自身の突出位置が維持されている。これにより、回動ストッパ8は、下ペダル7の突出位置を維持して下ペダル7の退避位置への移動を阻止している。また、販売待機状態において、上ペダル9は、上ペダルバネ105aの弾性付勢力によって退避位置にある。すなわち、販売待機状態では、回動ストッパ8によって突出位置を維持されている下ペダル7の保持面71に商品通路Rの最下位置にある商品Gが保持されていることにともなって全ての商品Gが保持されている。また、販売待機状態では、上ペダル9が退避位置にあるので商品Gには関与していない。
商品搬出装置1は、自動販売機の販売指令に応じて図4および図5に示すように商品Gの搬出を行う。図4に示すように販売指令に応じてソレノイド61が通電されると、プランジャ61Aを介してリンク部材6がリンクバネ6cの弾性付勢力に抗して上方に引き上げられる。すると、下リンク軸102が回動ストッパ8のロック溝81から外れる。下リンク軸102がロック溝81から外れると、回動ストッパ8は、回動ストッパ軸104を中心として退避位置への移動を許可される。ここで、回動ストッパ8によって突出位置が維持されている下ペダル7には、商品Gの荷重がかかっている。すなわち、回動ストッパ8が退避位置への移動を許可されたことによって、下ペダル7も下ペダル軸103を中心として退避位置への移動を許可されて商品Gの荷重によって下ペダルバネ103aの弾性付勢力に抗して退避位置に向けて移動する。この結果、回動ストッパ8の支持軸106が下ペダル7の当接面73dとの当接から外れて第一案内面73aに接触する。続いて、支持軸106が下ペダル7の第一案内面73aから続いて第二案内面73bに摺接して案内されることによって回動ストッパ8が回動ストッパバネ104aの弾性付勢力に抗して退避位置に向けて移動する。
図5に示すようにソレノイド61が引き続き通電されて、リンク部材6がリンクバネ6cの弾性付勢力に抗して最も上方に引き上げられる。すると、商品Gの荷重によって下ペダル7が退避位置に至る。この下ペダル7に移動にともなって、回動ストッパ8は、支持軸106が下ペダル7の第二案内面73bに摺接して案内されて退避位置に至る。このとき、最下位置にある商品Gは、下ペダル7の保持面71と商品出口通路板3との間を通過できる場合に、商品搬出装置1の下側から離脱して自動販売機の商品取出口(図示せず)に至る。
また、図4および図5に示すように販売待機状態から、リンク部材6が上方に引き上げられると、上リンク軸101は、リンク部材6の上係合部6aによって上方に引き上げられて、上ペダル9の凹溝92から離脱するように当該凹溝92の摺接面92aに摺接する。すると、上ペダル9は、上方に移動する上リンク軸101によって摺接面92aが押されることで上ペダル軸105を中心として上ペダルバネ105aの弾性付勢力に抗して突出位置に向けて移動する。上ペダル9は、ソレノイド61が通電されている間は、摺接面92aに上リンク軸101が当接していることによって突出位置を維持される。そして、突出位置に至る上ペダル9は、先端面91が下から2番目位置にある商品Gに当接して、当該先端面91と商品出口通路板3(突起部3a)との間で2番目位置の商品Gを保持する。この結果、最下位置の商品Gのみが搬出されることになる。
最下位置の商品Gが搬出されると、突出位置にある上ペダル9によって下から2番目位置の商品Gが保持されているため、下ペダル7は、商品Gの荷重から解放される。すると、下ペダル7が下ペダルバネ103aの弾性付勢力によって突出位置に向かって移動するとともに、回動ストッパ8が回動ストッパバネ104aの弾性付勢力によって突出位置に向かって移動する。そして、回動ストッパ8に設けた支持軸106は、下ペダル7の切欠73eから異形溝73の外部に外れる。すると、下ペダル7は、下ペダルバネ103aの弾性付勢力によって突出位置を超えて、当該弾性付勢力を伴って下ペダル7が上ペダル9の当接凸部93に当接する。この当接は、上ペダル9が退避位置へ向かう衝撃となる。その後、下ペダル7は、上ペダル9から離れて突出位置に戻り、先に突出位置に戻っている回動ストッパ8の支持軸106に当接面73dが当接する(図1参照)。これにより、下ペダル7は、突出位置を維持されて回動ストッパ8によって退避位置への移動を阻止される。
また、最下位置の商品Gが搬出されると同時に、図示しない商品搬出検知手段が商品Gの搬出を検知することによってソレノイド61の通電が切られる。すなわち、リンク部材6がリンクバネ6cの弾性付勢力によって下方に移動する。すると、下リンク軸102は、リンク部材6の下係合部6bによって下方に押し下げられて、軸受部材4(5)の長溝42(52)に沿って下方に移動する。この結果、下リンク軸102が回動ストッパ8のロック溝81に嵌合して、下ペダル7および回動ストッパ8が突出位置(図1に示す販売待機状態の位置)に戻る。
一方、ソレノイド61の通電が切られて、リンク部材6がリンクバネ6cの弾性付勢力によって下方に移動すると、上リンク軸101は、リンク部材6の上係合部6aによって下方に押し下げられて、軸受部材4(5)の長溝41(51)に沿って下方に移動する。この結果、上ペダル9は、上リンク軸101から解放されて上ペダルバネ105aの弾性付勢力によって退避位置(図1に示す販売待機状態の位置)に戻る。そして、上ペダル9で保持していた下から2番目位置にあった商品Gが解放されて、突出位置に戻っている下ペダル7の保持面71に至る。
以下、上述した自動販売機の商品搬出装置1において、駆動部としてのソレノイド61の基板2への取付構造について説明する。図6は駆動部の取付構造の実施例1を示す斜視図、図7は図6で示した駆動部の取付構造を示す商品通路外側(図1の矢視A)から見た図である。
ソレノイド61は、上述したように基板2の板面2aに配置してある。具体的にソレノイド61は、図1に示すように基板2の板面2aに対して接触する態様で、その取付ベース61Bが保持してある。取付ベース61Bは、所定厚さを有した板状に形成してあり、プランジャ61Aを上方に吸引するためのコイル(図示せず)が設けてある。また、図6および図7に示すように取付ベース61Bの両側縁には、側方に向いて凹設された切欠61Baがそれぞれ形成してある。
図6および図7に示すように基板2には、取付ベース61Bに係合する係合部材23A,23B,23C,24Aが設けてある。この係合部材23A,23B,23C,24Aは、基板2の板面2aに対して離間する方向への取付ベース61Bの移動、および基板2の板面2aに沿う方向への取付ベース61Bの移動を規制する態様で当該取付ベース61Bに係合するものである。
係合部材23Aは、図1および図7に示すように取付ベース61Bの上端側裏面に当接するように基板2に切り起こして設けてある。係合部材23Bは、図1、図6および図7に示すように取付ベース61Bの上端側表面に当接するように基板2に折曲して設けてある。すなわち、係合部材23Aおよび係合部材23Bは、その間に取付ベース61Bの上端を挟むようにして支持し、基板2の板面2aに対して近接/離間する方向へのソレノイド61の上端の移動を規制する。
係合部材23Cは、図6および図7に示すように取付ベース61Bに設けた各切欠61Baに挿通するように基板2に切り起こしてそれぞれの板面2aに立設してある。すなわち、各係合部材23Cは、切欠61Baにそれぞれ挿通することによって、基板2の板面2aに沿う上下方向および両側方向へのソレノイド61の移動を規制する。
係合部材24Aは、可撓性を有する合成樹脂材からなる配線ガイド24に設けてある。ここで、配線ガイド24は、図2に示すように基板2の一側部に沿って下方に向けて配置してあるもので、ソレノイド61のリード線61C、および売切検出部10におけるスイッチ12のリード線12bを案内するためのものである。さらに、配線ガイド24は、下ペダル軸103および上ペダル軸105の基板2からの抜け止めとしても用いられる。係合部材24Aは、上記配線ガイド24に一体に設けてあり可撓性を有している。この係合部材24Aは、取付ベース61Bの下端側に係合するように延在してあり、基板2の板面2aに沿う方向への取付ベース61Bの移動を当接によって規制する当接部24Aaと、基板2の板面2aに対して離間する方向への取付ベース61Bの移動を掛止によって規制する鉤部24Abとからなる。本実施例では、2つの係合部材24Aが設けてあり、一方が取付ベース61Bの下端縁に係合し、他方が取付ベース61Bの下端近傍の側部に係合する態様で設けてある。すなわち、係合部材24Aは、当接部24Aaによって基板2の板面2aに沿う下方向および一側方向へのソレノイド61の下端の移動を規制し、かつ、鉤部24Abによって基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の下端の移動を規制する。
また、ソレノイド61を基板2に取り付ける場合には、先に取付ベース61Bの上端側を係合部材23Aと係合部材23Bとの間に挿通して、取付ベース61Bの各切欠61Baを各係合部材23Cにそれぞれ係合しつつ、各係合部材24Aの鉤部24Abを乗り越えるように当接部24Aaを撓ませて取付ベース61Bの下端側を各係合部材24Aに係合する。これにより、係合部材23Bおよび係合部材24Aの鉤部24Abによって基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の上端および下端の移動が規制され、かつ、各係合部材23Cおよび係合部材24Aの当接部24Aaによって基板2の板面2aに沿う各方向へのソレノイド61の移動が規制される形態で基板2の板面2aにソレノイド61が取り付けられる。
以上説明したように、実施例1における自動販売機の商品搬出装置では、基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の移動を係合部材23Bおよび係合部材24Aの鉤部24Abで規制する。また、基板2の板面2aに沿う方向へのソレノイド61の移動を各係合部材23Cおよび係合部材24Aの当接部24Aaで規制する。さらに、係合部材24Aの当接部24Aaが可撓性を備える。このため、ソレノイド61を基板2の板面2aに取り付ける場合に、従来のごとくネジおよび当該ネジを締め付ける工具を必要としない。この結果、ソレノイド61を基板2に取り付ける際の作業に要する時間を短縮して組み立て作業性を向上することが可能になる。また、ネジを必要としないためソレノイド61の駆動時の振動によってネジが緩む事態が解消されるのでソレノイド61の取り付けを安定させることが可能になる。
なお、上述した実施例1では、係合部材23Cをソレノイド61の取付ベース61Bに設けた切欠61Baに係合する構成としたが、切欠61Baを貫通孔(図示せず)に換えて、当該貫通孔に係合部材23Cを挿通する構成としてもよい。
また、上述した実施例1では、係合部材23Cを取付ベース61Bの両側部に設けた切欠61Baに係合する構成とし、係合部材24Aを取付ベース61Bの下端側に係合する構成としたがこの限りではない。例えば図8に示すように係合部材23Cを取付ベース61Bの下端に当接して係合する構成とし、係合部材24Aを取付ベース61Bの両側部に係合する構成とする。このように構成しても、上述と同様の作用効果を得ることが可能である。
図9は駆動部の取付構造の実施例2を示す斜視図、図10は図9における側断面図である。なお、以下に説明する実施例2では、駆動部(ソレノイド61)の取付構造のみが異なり、基本となる自動販売機の搬出装置の構成は上述した実施例1と同様であるため、当該実施例1と同等部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
ソレノイド61は、上述したように基板2の板面2aに配置してある。具体的にソレノイド61は、図1に示すように基板2の板面2aに対して接触する態様で、その取付ベース61Bが保持してある。取付ベース61Bは、所定厚さを有した板状に形成してあり、プランジャ61Aを上方に吸引するためのコイル(図示せず)が設けてある。また、図9に示すように取付ベース61Bの上端寄りの両側には、上下方向に長手状のスリット孔61Bbがそれぞれ形成してある。さらに、取付ベース61Bの上端側には、ネジ25を挿通する単一のネジ貫通孔61Bcが形成してある。
図9および図10に示すように基板2には、取付ベース61Bに係合する係合部材23A,23D,23Eが設けてある。この係合部材23A,23D,23Eは、基板2の板面2aに対して離間する方向への取付ベース61Bの移動、および基板2の板面2aに沿う方向への取付ベース61Bの移動を規制する態様で当該取付ベース61Bに係合するものである。
係合部材23Aは、図9および図10に示すように取付ベース61Bの上端側裏面に当接するように基板2に切り起こして設けてある。係合部材23Aには、ネジ25が螺着されるネジ孔23Aaが形成してある。すなわち、係合部材23Aは、取付ベース61Bのネジ貫通孔61Bcを介して挿通されたネジ25をネジ孔23Aaに螺着することによって、基板2の板面2aに対して離間する一方向へのソレノイド61の上端の移動を規制する。
係合部材23Dは、図9および図10に示すように取付ベース61Bに設けた各スリット61Bbに挿通するように板片状にして基板2に切り起こしてそれぞれ設けてある。この係合部材23Dは、基板2の板面2aに立設され、その先端が取付ベース61Bの表面に掛かるように下方に向けて延在して形成してある。すなわち、各係合部材23Dは、スリット孔61Bbにそれぞれ挿通することによって、基板2の板面2aに沿う両側方向へのソレノイド61の移動を規制する。
係合部材23Eは、図9および図10に示すように取付ベース61Bの下端に当接するように板片状にして基板2に切り起こして2箇所にそれぞれ設けてある。この係合部材23Eは、基板2の板面2aに立設され、その先端が取付ベース61Bの表面に掛かるように上方に向けて延在して形成してある。すなわち、各係合部材23Eは、取付ベース61Bの下端に当接することによって、基板2の板面2aに沿う下方向へのソレノイド61の移動を規制し、かつ、先端が取付ベース61Bの下端の表面に掛かることによって、基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の下端の移動を規制する。
また、ソレノイド61を基板2に取り付ける場合には、先に取付ベース61Bの各スリット孔61Bbに各係合部材23Dを挿通しつつ、取付ベース61Bの下端側を係合部材23Eに係合し、その後取付ベース61Bのネジ貫通孔61Bcを介して挿通したネジ25を係合部材23Aのネジ孔23Aaに螺着する。これにより、ネジ25を螺着した係合部材23Aおよび係合部材23Eによって基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の上端および下端の移動が規制され、かつ、各係合部材23Dおよび係合部材23Eによって基板2の板面2aに沿う各方向へのソレノイド61の移動が規制される形態で基板2の板面2aにソレノイド61が取り付けられる。
以上説明したように、実施例2における自動販売機の商品搬出装置では、基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の移動を規制する係合部材23E、および基板2の板面2aに沿う方向へのソレノイド61の移動を規制する各係合部材23Dおよび係合部材23Eを設け、かつ、係合部材23Aに単一のネジ25を螺着して基板2の板面2aに対して離間する一方向へのソレノイド61の移動の一部を規制する。このように、基板2の板面2aに対して離間する一方向へのソレノイド61の移動の一部を規制するために単一のネジを用いているので、多方向へのソレノイド61の移動を規制するための複数のネジを必要としない。この結果、複数のネジを締め付ける場合と比較してソレノイド61を基板2に取り付ける作業性が向上して組み立て作業に要する時間を短縮することが可能になる。また、複数のネジの締め付けがないので各ネジの締め付け力の違いによって、ソレノイド61の駆動時の振動でネジが緩む事態を回避されるのでソレノイド61の取り付けを安定させることが可能になる。
なお、上述した実施例2の構成に加えて、ソレノイド61に並んで配置した売切検出部10の枠10aを取付ベース61Bの上端縁に掛かる態様で延在して設けることにより、基板2の板面2aに沿う上方向へのソレノイド61の移動をさらに規制することが可能になる。
なお、上述した実施例2における別の取付構造として、図11に示すように係合部材23Dの先端を上方に向けて延在して形成してもよい。この構成によれば、各係合部材23Dは、スリット孔61Bbにそれぞれ挿通することによって、基板2の板面2aに沿う両側方向へのソレノイド61の移動を規制し、かつ、先端が取付ベース61Bの表面に掛かることによって、基板2の板面2aに対して離間する方向へのソレノイド61の移動を規制する。この結果、上述と同様の作用効果に加え、さらにソレノイド61の取り付けを安定させることが可能になる。