JP2006184925A - 光導波路素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】導波路端面に反射膜を設け光導波路を折り返す際に入力側導波路に光が戻る問題の無い光導波路素子を提供する。
【解決手段】2つの導波路がY字状に合流する部分を備えた光導波路素子において、合流した更に先の位置に、光を反射する反射手段を備え、合流光導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が、出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子、あるいは複数の導波路が合流する導波路を備えた光導波路素子において、前記複数の導波路の中心軸同士が合流する位置から更に進んだ位置に、反射手段を備え、導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が、出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。
【選択図】図10
【解決手段】2つの導波路がY字状に合流する部分を備えた光導波路素子において、合流した更に先の位置に、光を反射する反射手段を備え、合流光導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が、出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子、あるいは複数の導波路が合流する導波路を備えた光導波路素子において、前記複数の導波路の中心軸同士が合流する位置から更に進んだ位置に、反射手段を備え、導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が、出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。
【選択図】図10
Description
近年,高度情報化社会の進展とともに膨大な情報量の処理が必要とされ,これらの情報を伝送する手段として光ファイバを用いた光通信システムが活用されている。この光通信システムでも変調速度の高速化によって年々伝送容量の増大が図られ、高速化のための光外部変調器や波長多重通信のための光波長フィルタなど新しい導波路型光回路デバイスが使用されている。
また、近年計測の分野にも各種光導波路部品を使う試みが成されており、この分野でも重要である。本発明はこのような種々の幅広い要求に対して共通技術で幅広く設計性良く対応できる光導波路技術を用いた導波路型光素子に関するものである。
従来の光導波路デバイスでは,一般に導波路幅は狭いものの,所望の機能を実現するためには素子長が長くなり,1チップ内で所望の性能を実現することが困難であった。また,光導波路は本来電気ICのように,各種デバイスを集積化して形成することが望まれていたが,やはり,幅は数μm〜数十μmと細いが,長さが数cm以上と長く,1チップ内に集積化して形成することが困難であった。
この対策としてチップ内で導波路型反射器を用いて導波路を折り返し,素子長を長くした物が従来例としてある。これを図1に示す(1995年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会,C─151)。これは,マッハツェンダ型変調器で導波路が端面で折り返され,反射部に波長板が設けてあるとともに反射鏡が設けてあり,反射によってTEがTMに,TMがTEに変換されて導波することで,偏光依存性の無い変調器を実現している。
しかし,この例では単に幾何学的に導波路を折り返した構造(折り返し角9度)を取っているだけであり,反射器の性能が問題となる。つまり,このような単純な構成で反射器を形成する場合には,合流部分の長さが短かくなり,カッティングソー等で切断して反射面を出す場合にも10μm程度の位置ズレで も,幾何学的反射構造からズレ,大きな損失を産むこととなる。
この例でも2dBの損失を生じている。また,数度程度に折り返し角を小さくした場合には,反射した光が一部入射導波路に戻ってくることとなり問題である。このような,大きな損失の発生や反射戻り光によって,導波路型折り返し構造は実用化はされていなかった。
また,図2に示す波長フィルタ挿入型導波路デバイスの場合(1995年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会,C─229)にも,それぞれの導波路は,やはり幾何学的反射関係に配置されており,しかも反射戻り光を避けるため,大きな反射角 (10〜40度)であるため,波長フィルタ挿入位置のトレランスはμmオ─ダと厳し い。このため,素子製造トレランスが少なく,歩留りが悪い課題をかかえている。
このように,折り返し構造で魅力的なデバイスが作製できることは知られていたが,具体的にこの折り返し構造をいかに作製するかが実現できていなかった。
特開平8−248262号公報
特開昭59−131903号公報
本発明では,導波路型光デバイスにおいて,低損失で製造トレランスが緩い光導波路折り返し器を導入し,チップ長に制約されていたデバイス性能を向上させるとともに,チップ中の幅方向の集積度を高め,多数の導波路デバイスを集積化して形成することを可能とするとともに,小型で信頼性が高く,安価で高機能の導波路型光素子を実現しようとするものである。
上記課題の解決は,
1)2つの導波路がY字状に合流する部分を備えた光導波路素子において、
前記2つの導波路が前記Y字の合流部分で合流した更に先の位置に光を反射する反射手段、を備え、
前記合流光導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子、あるいは
複数の導波路が合流する導波路を備えた光導波路素子において、
2) 前記複数の導波路の中心軸同士が合流する位置から更に進んだ位置に反射手段、
を備え、
前記導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。
1)2つの導波路がY字状に合流する部分を備えた光導波路素子において、
前記2つの導波路が前記Y字の合流部分で合流した更に先の位置に光を反射する反射手段、を備え、
前記合流光導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子、あるいは
複数の導波路が合流する導波路を備えた光導波路素子において、
2) 前記複数の導波路の中心軸同士が合流する位置から更に進んだ位置に反射手段、
を備え、
前記導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。
本発明では、光導波路の分岐角と光導波路が合流した位置から反射器までの合流導波路(交差導波路)の長さを入射側の導波路に戻らない長さにすることで、素子を小型集積化して形成できるため、コスト、機能、信頼性,量産性などに対して幅広い優位性、を発揮することができる。
本発明によれば,基板上に形成された二本のシングルモ─ド入出力光導波路が合流して一本となった合流光導波路の端に反射器が形成されるとともに,一方から入射した光を他方の導波路に集中して反射導波し,入射側の導波路に戻る光が極小となるように入出力導波路の幅,分岐角,合流光導波路の形状を設計して構成した折り返し導波路では,従来の幾何学的反射構造に比べて,反射面を形成する場合の作成精度を飛躍的に緩くでき,従来大きな過剰損と低い歩留りによって事業化困難であった,光導波路デバイスのチップ内折り返し構造の導入を可能とした。
この技術によって幅方向には数十μmと狭いが,長さ方向に数十mmと長い特徴を有し,集積化が困難であった光導波路デバイスの集積化を可能とした。また,これまでチップ長さの制約によって制限されていた駆動電圧,フィルタ半値幅,消光比などのデバイスの特性がチップサイズの制約から開放されて飛躍的に向上させることができている。
また,従来個別部品として別々に作成し,ファイバ等で接続して構成していた光回路が一体化して形成できるため,小型,低価格,量産化に有利となっただけでなく,低損失で且つ信頼性の高いデバイスとして1チップ内に構成することを可能とした。
1 シングルモード入出力導波路
2 シングルモード入出力導波路
3 シングルモード入出力導波路
4 シングルモード入出力導波路
5 基板端面
6 反射器
7 基板
8 合流導波路
9 矩形くさび
10 方向性結合器
11 ハーフミラー
12 波長フィルタ12
13 折り返し導波路
14 光導波路素子
15 やとい板
16 反射膜
17 PBS
18 薄膜付加型SAWガイド
19 対称面
20 IDT
21 光導波路中心線
22 出射光
23 入射光
24 出射光
25 入射光
26 出射光
2 シングルモード入出力導波路
3 シングルモード入出力導波路
4 シングルモード入出力導波路
5 基板端面
6 反射器
7 基板
8 合流導波路
9 矩形くさび
10 方向性結合器
11 ハーフミラー
12 波長フィルタ12
13 折り返し導波路
14 光導波路素子
15 やとい板
16 反射膜
17 PBS
18 薄膜付加型SAWガイド
19 対称面
20 IDT
21 光導波路中心線
22 出射光
23 入射光
24 出射光
25 入射光
26 出射光
本特許の基本となる反射を実現する光導波路素子では,図3に示すように,基板上に形成された二本のシングルモ─ド導波路からなる入出力光導波路の端が合流して一本となる光導波路(合流導波路)とその端面部に金属反射膜などからなる反射器7が形成された構造を取るが,この機能は図4に示すように反射器の反射面を対称面19として対称図形を描いた構造で説明すると分かりやすい。
つまり,図3で導波路1から入射した光が,全て導波路2に導波することと,図4で導波路1から入射した光が全て導波路4に導波することと等価である。また,図4で導波路3へ導波する光は図3では反射戻り光として導波路1に導波する。 図3での放射損失はやはり図4でも放射損失となる。以下にこの原理を説明する。
図5に示すように直線が交差した交差導波路構造ではその交差角θが数十度など大きい場合,一方の導波路1から入射した光は殆ど直進し導波路4に導波される。残りの一部の光は分岐導波路3に導波されるが、その量は少量である。具体的な例として、導波路1,2,3,4の幅6μm,導波路1,2及び導波路3,4の交差角20度の場合,交差部の長さは35μmと短く,この距離では導波光の回折は少なく,分岐導波路3への漏れ込み光(図3の様な折り返し導波路では,反射戻り光となる。)は殆ど無いためである。
しかし,図5の構成をもとに、図3の様な折り返し構造する場合は、折り返し導波路用の端面形成精度や、導波路用端面に構成する反射手段(反射膜,波長フィルタなど)を挿入するための溝の位置決め精度を10μmとすると、折り返し構造ではその誤差が2倍の20μmとなる。この誤差は対称図形で表現すると図6に示すように3.5μmの導波路のズレが起きた構造となる。
このように導波路幅が半分以上ズレた構造では,導波光は殆ど放射損(導波路の段差部より漏れだす光)となってしまう。しかも,反射膜や波長フィルタなどを挿入するためにはある程度余裕を持って溝幅を形成する必要があり,この場合には反射面の位置がさらに誤差を生むこととなり,その影響は大きい。
一方導波路1,2及び導波路3,4の交差角θが数度と小さい場合はを考える。一例として、導波路幅が6μmの場合で交差角θを2度とすると、交差部の長さは344μmとなる。この場合,同じ溝の位置決め精度10μmに対する導波路のズレは0.3μmと小さい。
このため,導波路ズレによる損失は少ないが,交差部の長さが344μmと長いため,この間で光が回折して広がり,導波路より漏れだす光が多くなり、場合によっては10%以上の光が分岐導波路つまりは反射戻り光となってしまう。光通信ではこの様な反射戻り光を0.03%(35dB)以下に抑えれば,一般に問題ないと考えられているが,アイソレ─タなど他の要素も含めた場合も考慮すると,3% (15dB)以下には反射戻り光を抑える必要がある。
しかし,10%以上の戻り光など論外である。このことが主要因となって分岐角が小さいあるいは交差部の長い折り返し導波路は用いられて来なかった。
このように,基板上に形成された二本の入出力光導波路の端が合流して一本となる光導波路と反射器が形成された構造による光導波路では,損失低減と反射戻り光低減にトレ─ドオフの関係があり,問題となっていた。
このように,基板上に形成された二本の入出力光導波路の端が合流して一本となる光導波路と反射器が形成された構造による光導波路では,損失低減と反射戻り光低減にトレ─ドオフの関係があり,問題となっていた。
一方,交差導波路で交差部の長さをパラメ─タとして直進導波路(入射項光を入れた導波路に対して直線性で結ばれる導波路)に進む光の様子を示した物が図7である。この図に示すように出力光の分岐比は周期的に変化する。この理由をまず説明する。
図8に示すように交差導波路へ入射する光は導波路が接近した時点ですでに最低次数の偶モード光(実線)と奇モ─ド光(点線)にパワーが分割されて伝搬する。この間では導波路形状が伝搬とともに次々変化するため,光のモ─ド形状,伝搬定数も連続的に変化する。
この間で一般的には偶モード光は偶モード光の間で,奇モード光は奇モ─ドの間でパワー交換を行い,偶モード光と奇モ─ド光の間でパワー交換を行うことは無い。このように変化しつつ伝搬して行き,完全に分岐した時点で両モ─ドの状態が図8 (a)の状態となっていれば,直線導波路4に,(b)の状態となっていれば分岐導波路3に光が導波することとなる。
尚,この様な現象が起こるのは、交差部長Lが(a)と(b)で異なるためである。即ち、図8(a)の交差路長Lは(a)図7のア,エ,カ,クの長さで、図8(b)の交差路長Lは図7のウ,オ,キ,ケの長さである。また,(a)の状態と(b)の状態とでは,交差導波路中で偶,奇それぞれのモ─ドでπの奇数倍位相ズレを生じた状態に相当する。
この図で勿論,交差導波路部の中央に反射面が形成されていれば,入射した光は(a)の状態では全て出力導波路2に伝搬し,(b)の状態では全て入射導波路1に戻っていく。このため,良好な折り返し導波路を作製するためには(a)の状態を実現すれば良い。ここで,交差角あるいは分岐部の長さの特性について説明する。
図8で説明した物では交差導波路中央でも偶,奇それぞれのモ─ドが存在する必要があるが,実際には入出力導波路はシングルモ─ド導波路であり,入出力導波路とほぼ同じ幅となる交差導波路中央では奇モ─ドは存在しない。しかし,急にモ─ドとしての数値解が無くなったとしても,光が消えてしまうのではなく,その状態では放射モ─ド状態となっており,パワー分布や伝搬定数や位相状態は導波モ─ドとして存在していた状態に近い値が保たれている。
交差角が大きい,あるいは合流部の長さが短い場合には,この放射モ─ドが広がり変化する前に再び導波路幅が太くなるため,奇モ─ドが励起可能となるとなり,放射モードは再びこの奇モ─ドに結合し,伝搬していく。この時,放射モ─ドの間に変形した分だけが損失となる。一方,交差角が小さいあるいは合流部の長さが長い場合には,奇モ─ドが放射モ─ドとして存在している距離が長く,この間で放射モ─ドは大きく変化するこのため,再び導波路幅が太くなり奇モ─ドが励起可能となっても,そこに励起する奇モ─ドとはパワー分布,伝搬定数,位相状態が大きく異なり,奇モ─ドとはほとんど結合することができず,大きな損失を発生する。
この対策として,交差導波路の導波路幅を本来の幅よりも太くしておけば良い。一般的には,入出力導波路の幅よりも合流部の導波路幅をいずれの場所においても太く形成しておけばよい。ただここで重要なことは,あまり太くすると,さらに高次のモ─ドが励起したり,放射モードがなかなか導波路外に出て行かなくなり,消光比劣化の原因(これは折り返し導波路では,反射戻り光となる。)となる。
また交差角が大きい場合,一般には波面の角度も問題となる。つまり,図8で示されるパワー分布は実現できても,分岐導波路に進む光は波面が分岐導波路に対して傾いているため,損失を生ずる。しかし,本願発明では折り返し導波路として直進状態だけを使うため問題は小さい。
以上の説明では直線が純粋に交わった交差導波路について説明して来たが,本来は必ずしもこのような構造を取る必要は無い。図9に示すような構造を用いると,十分小さい分岐角(後述するが,0.55*θc 度以下)で入出力導波路1,2または3,4を作成することで,入射光を合流導波路8の 偶,奇それぞれのモードに損失少なく,また,高次モ─ド光を発生させることなく結合させることができる。
図8(a)の条件を満たすよう合流導波路8では,その幅,長さ,形状,屈折率の選択で図3に示す様に反射器を合流導波路8の中央に設けることで、放射損失を低減する条件を共に満足する構造を分岐角とは独立に選択することができる(当然,分岐導波路が接近した所では,直進,分岐現象に影響を与えるため,これを考慮した構成とする。)
ここで図9の構成に通常の光導波路として用いられる基板に対する導波路の屈折率0.2%を用いた構成で分岐角が2度以下の場合には、損失につながる高次モ─ドの発生が低減する効果が出始めることが分かった。
ここで図9の構成に通常の光導波路として用いられる基板に対する導波路の屈折率0.2%を用いた構成で分岐角が2度以下の場合には、損失につながる高次モ─ドの発生が低減する効果が出始めることが分かった。
また,各種の波長,導波路幅などについて検討した結果,この値は導波路(コア部)と基板(クラッド部)の屈折率差に大きく左右されることが分かった。このため,導波路の屈折率差によって決まる全反射余角θc で分岐角θを略規格化できることが分かった。
Ti拡散LiNbO3 導波路では導波路屈折率が2.144,基板屈折率が2.14であるため全反射余角θcは
θc = 3.5度
となる。
θc = 3.5度
となる。
これを用いると2度の条件は,2度 ≒ 0.55*θc
と記述できる。
と記述できる。
つまり分岐角θをθ < 0.55*θc (1)式
とすることが,良好な折り返し導波路実現に必要となる。
なお,より良好な折り返し導波路を実現するためには,分岐角θを1度以下つまり,
θ < 0.29*θc (2)式
とすると良い。しかし,あまり小さくすると導波路間隔を広げるのに非常に長い距離を要するため,通常は分岐角θを0.2〜1度つまり
0.057*θc < θ < 0.29*θc (3)式
とすると良い。
とすることが,良好な折り返し導波路実現に必要となる。
なお,より良好な折り返し導波路を実現するためには,分岐角θを1度以下つまり,
θ < 0.29*θc (2)式
とすると良い。しかし,あまり小さくすると導波路間隔を広げるのに非常に長い距離を要するため,通常は分岐角θを0.2〜1度つまり
0.057*θc < θ < 0.29*θc (3)式
とすると良い。
勿論,入出力導波路は直線に限定されるものではなく、湾曲した曲線導波路を採用しても良い。この場合,充分曲率半径を大きくし、導波路間の干渉が小さくなるまでの距離を略直線的に計り,同等の角度に納まる設計とすれば良い。図10は図9の構成をふまえ、反射型の導波路を構成した場合を示している。
本発明の入射光を反射する反射膜16を設ける位置は図1や図3の純粋な交差導波路形状の場合に見られるような、入出力導波路1,2の交点上に来るのではなく、入出力導波路1,2の中心線の交点以外の位置に設ける。また,折り返し導波路の分岐部の根元は図11や図12のようにプロセス精度的,再現性的に充分な幅に面取りを行ったり、矩形くさびを入れておくことで,プロセスのバラツキによる製造歩留りを向上させることが出来る。
また,この入れる位置や幅を調整することで,有意な高次モ─ド光を故意に発生させて干渉させ,折り返し現象をより高性能に実現させることができる。また,図12の延長形状として図13に示すような方向性結合器形態も考えられるが,この構成の場合には導波路間のギャップの幅に特性が大きく依存する。実際には,プロセスの誤差以下のギャップ幅の変化に対しても最適の長さが大きく変化してしまい実用上問題である。
このため,図12とは本質的に異なる物である。ここで,図7に戻ると,ア,エ,カ,クの状態が図8(a)の状態であり,ウ,オ, キ,ケの状態が図8(b)の状態となる。図7で交差角が充分大きい状態がアの状態であるが,この状態では上記のように交差部長Lの長さが短く,反射面を形成する場合の精度によって損失の発生をもたらす。
これを軽減すため,交差部長Lを長くすると,イの状態となるが,この状態では反射戻り光が発生したり,損失が発生したりする。ここで図8で説明した偶モ─ドと奇モ─ドの位相差が折り返しで2πの整数倍となる エ,カ,クの条件を用いるとこの条件は良好な折り返し条件を満足しているとともに,長さ軸に対して極値となっているため,反射面形成位置ズレに対しても影響が少ない。
また,エ→カと長くすると,交差導波路では交差角(分岐角)も小さくなるため,余計な高次モ─ドへの結合が少なくなり,損失低減や反射戻り光低減には有効であるが,伝搬光の伝搬定数の波長依存性や偏光依存性によって波長依存性が出やすくなったり,偏光依存性が出やすくなったりする問題があり,長すぎても問題を発生する。
このため,折り返し導波路の設計にあたっては,これらを勘案して最適値を求め,設計する必要がある。さらに,扱う光導波路が複屈折率導波路の場合にはTEモード光とTMモード光で光の伝搬定数が異なるため,図7に示すような対応曲線がTEモ─ド光とTMモ─ド光でそれぞれ別に描くことができる。このような複屈折率導波路で折り返し導波路を実現するためには,TE/TM両偏光に対して同時にエやカの条件を満足させる必要がある。
このため,折り返し導波路の設計にあたっては,これらを勘案して最適値を求め,設計する必要がある。さらに,扱う光導波路が複屈折率導波路の場合にはTEモード光とTMモード光で光の伝搬定数が異なるため,図7に示すような対応曲線がTEモ─ド光とTMモ─ド光でそれぞれ別に描くことができる。このような複屈折率導波路で折り返し導波路を実現するためには,TE/TM両偏光に対して同時にエやカの条件を満足させる必要がある。
これらは,単純に作製したのでは極値を一致させることは難しいが,導波路の分岐角度,合流部の形(図11,図12のような分岐部の形,幅,絞り込み),導波路形成条件(Ti厚 さ,拡散温度,時間,雰囲気)などの設計によって図14に示すように一致させることができる。以上は導波路伝搬光を全て反射させるように形成した反射器について記述して来たが,この反射器としては各種の物が考えられる。
この反射器として光の一部を反射させるハーフミラー11を用いることで,図15に示す構成でカプラの機能を実現できる。つまり,1から入射した光を一部出射光22側に取り出し,残りを2側に導波させることができる。また,出射光22側から光を合流させることもできる。
この反射器として光の一部を反射させるハーフミラー11を用いることで,図15に示す構成でカプラの機能を実現できる。つまり,1から入射した光を一部出射光22側に取り出し,残りを2側に導波させることができる。また,出射光22側から光を合流させることもできる。
この場合には,出射光22側から入れた光は光導波路1,2両側へ光が出てしまう問題がある。図15変形を図16に示す。図16はハ─フミラー11は合流導波路8の中央に設置することで、導波路1から入射した光の一部を導波路4側に出力し(3側には出さず),残りを導波路2側に導波させることができる。(導波路1側には出力せず)
また導波路3側からの入射光に対しては、導波路2側に導波すると共に導波路4に光を導波路することができる。
また導波路3側からの入射光に対しては、導波路2側に導波すると共に導波路4に光を導波路することができる。
また,図17に示すように反射器として波長フィルタ12を用いることで,1から入射した多数の光の中から波長フィルタの透過特性に対応した波長の光だけを出射光22側に取り出すことができ,残りを導波路2側へ導波させることができる。また,図18に示すように波長フィルタ12の後方にも,合流導波路,入出力導波路を形成すると,導波路1から入射した多数の光の中から波長フィルタの透過特性に対応した波長の光だけを導波路4側に取り出すことができ,残りを導波路2側へ導波させることができ,また,波長フィルタの透過特性に対応した波長の光を3側から入射させることによって全て2側に合流させることができ,このチップ一つで光ADM( add drop multiplexer)を構成することができる。
この場合,波長フィルタの位置は一般に中央とはならない。つまり,反射させる波長の光に対する折り返し条件と透過光の波長に対する条件が異なるためである。(波長により図14の交差部長Lに対するピーク特性が異なるため)この他,偏光分離反射膜などを用いると偏光を制御して合,分岐が実現できる。
このように,ここに用いる反射器の種類を変えることで,集積化され,コンパクトで,量産性に富み,低損失,低戻り光で,高機能の各種のデバイスを作製・実現できる。また本発明の導波路折り返し構造を導入することでを用いることにより,変調器や光回路を構成する素子を通常実現可能なチップ長よりも長く形成することで,機能を向上させることができる。
例えば図1に示す折り返し構造によるマッハツェンダ型変調器はすでにこのような折り返しによって偏光依存性が無く,低駆動電圧の変調器を実現する方法として提案されているが,この場合には具体的な反射器を構成する方法において大きな過剰損失を発生する課題を抱えている。この反射部に本発明の折り返し導波路を導入することで,この機能素子を低損失,低戻り光,高歩留りで良好に実現できる。
また,個別の素子を複数個基板上に接続,配置して形成することも重要であるが,これもやはり1チップ上で形成することは寸法的に困難であり,これまで成されていなかっ た。これらの素子は幅は極めて狭く,平行に並べた場合,高度の集積化が可能となる。
また,個別の素子を複数個基板上に接続,配置して形成することも重要であるが,これもやはり1チップ上で形成することは寸法的に困難であり,これまで成されていなかっ た。これらの素子は幅は極めて狭く,平行に並べた場合,高度の集積化が可能となる。
このため,本願発明による折り返し導波路を用いることで,このような集積デバイスの1チップ形成が可能となる。図19は変調器のような1入力1出力の素子を1チップ内に複数配置した物である。また,図20に示すような光導波路素子14として2入力2出力の素子(光スイッチ,フィルタなど)を本願発明の折り返し導波路を用いて多段接続することができる。
このように,一体集積化して形成することで,個別に作製した場合に比較して小型,低損失,低価格,高量産性である他,チップ内各素子の均一性を向上させた物を作製でき る。また,電気信号を供給して駆動する物では,同一チップ上であるため,これら信号の位相を調整したり,周波数を調整したり,強度を調整したりすることが容易にできる利点がある。
また反射器の形状としては,光の進行方向に対してほぼ垂直な面に形成された構造や、深さ方向には光の進行方向に対してほぼ垂直な面に形成されるとともに基板表面方向では円弧状に形成される場合もある。この場合,後者の方が,合流部導波路端と反射器の隙間を長く取ることができる。
具体的には,反射器が、深さ方向に光の進行方向に対して垂直な面に導波路端面が形成されるとともに該垂直面に光反射膜が形成された構造で構成できる。この場合,光反射膜は誘電体多層膜からなる反射膜や金属膜からなる反射膜のいずれでも実現できるが,後者の方が安価となる。特に,後者では光反射膜が銀,銅あるいは銅合金膜からなる反射膜で形成することで良好な反射率を達成できる。
また,この反射部は極めて高い精度で角度等作製する必要があり,導波路パターン化時とは別工程で反射器形成用導波路端面を形成した方が良い。一般には反射部形成は,カッティングソー(スライサー,ダイシングソーなどとも呼ぶ)で形成される。ドライエッチングプロセスで導波路端面が形成される場合,導波路をパターン化して形成後,導波路幅よりも幅広くエッチングすることが,望まれる。
また、反射器はグレ─ティングで構成することも効果的であり、この場合、グレ─ティングは熱拡散,イオン交換,イオン注入,紫外線照射による手段で導波路およびこの近傍の屈折率を変化させて形成することができる。これらの、グレ─ティングによる作製方法では充分深い場所も含めて屈折率を変化させることができるため、偏光依存性の無い反射器が作製できる。
また、グレ─ティングの作製方法として、導波路を一部エッチングして形成する方法や導波路の幅を変化させる方法がある。また、クラッドの屈折率を変化させる方法でも、同様に効果を得ることができる。従来、光導波路デバイスは幅方向には数10μm程度と狭く形成できるが、長さが数cm以上と長くなり、問題であった。
しかし、本発明を用いるとタンデムに複数個繋いで形成されるスイッチ,変調器,フィルタなど各種光導波路素子をチップ内で折り返して配置することができ,一定のチップ長さで導波路の進行方向と垂直な方向の集積度を高めて、小型化が可能であるとともに、1ウェハーから多くのチップを得ることができ、安価に作製できる。
また、本特許による折り返し構造を取らなかった場合は、チップサイズに限界があるため、別々のチップに形成してこれらをつなぎ合わせることとなるが、このようなことをすると、損失増加、信頼性の低下、サイズの増大、コスト増大などが発生することとなり、逆に、本発明ではこれらに対する抜本的改善が実現できる。
図21は本発明の折り返し導波路の平面図と側面図を示している。図で基板はSiでこの上にCVD法でガラス導波路が形成されている。アンダーバッファ層の厚さは60μm,オーババッファ層の厚さは20μm,コアの 幅,厚さは共に6.5μmの光導波路を形成している。この導波路の屈折率差をGe,Pのドープ量を変えることで変化させて形成した。端面をカッティングソー(或いはスライサーとも言う。)で良好に切断するためのやとい板15を接着剤で張りつけ,分岐角θの導波路の中央で切断し,場合によって端面を研磨した後,端面に金属Ag膜が蒸着法によって形成されている。
このように作製された折れ曲がり導波路の光導波特性を波長1.3μmの光で評価した結果を図22に示す。この図で直線が折り返し光を点線が反射戻り光を示す。この図より,交差角θが2度の場合には導波路屈折率差Δnを変化させても(通常は 0.004)反射戻り光が増加するだけで,折り返し導波路は作製できていない。
交差角θが1度の場合には,導波路屈折率差0.007の場合に折り返し導波路が実現できている。図23は本発明の折り返し導波路の平面図と側面図を示している。図で基板はx─cutのLiNbO3 で,金属Tiを熱拡散させ,幅5.5μmでy伝搬の光導波路を形成している。
この導波路はTE,TM両偏光に対して異なる屈折率の導波路(複屈折率導波路)となっている。入出力導波路の分岐角θは0.85°で,合流導波路7は入出力導波路より幅広に作られている。この表面に汚れを防ぐため,SiO2 バッファ層を形成した後,やはり,端面をカッティングソー(或いはスライサーとも言う。)で切断するためのやとい板を接着剤で張りつけ,分岐角θの導波路の中央で切断し,場合によって端面を研磨した後,端面に金属Ag膜が蒸着法によって形成されている。
この折り返し光導波路に波長1.55μmの光を導波させた場合の評価結果が図24に示してある。図示のように交差部長Lが1100μmの場合にTE,TM両偏光に対して同時に折り返し導波路が作製できている。図25は本発明のる折り返し導波路の平面図および側面図を示している。
この導波路は実施例1と同じくSi基板上に形成されたガラス導波路によって構成されている。合流導波路はフィルタ透過光が一方の出力導波路に集中して導波するように設計されており,波長フィルタ12の位置はフィルタで反射される光に対して折り返し導波路となる位置に形成されている。
このフィルタはカッティングソーで幅25μm,深さ100μmの溝を形成した後,厚さ20μmの誘電体多層膜フィルタが挿入,接着剤で固定されている。この図で入射光1からは波長1.3μmと波長1.55μmの2波の光信号が導波して来,波長フィルタ12で波長1.3μmの光だけが反射され,ここが折り返し導波路となるように形成されているため,波長1.3μmの光は全て出射線路2に導波する。
一方波長フィルタ12を透過した波長1.55μmの光は出射光4に全て導波するように作製されている。また,3から他の波長1.55μmの信号光を入射してやると出射光2に合流させて導波させることができる。このようにこのチップ一つで光ADM回路が実現されている。
図26はTE/TMモード変換型チューナブル波長フィルタ(AOTF)で,本発明の第4実施例になる折り返し導波路の平面図を示している。この図はxーcutのLiNbO3 基板上にTi金属膜を熱拡散させることによって光導波路が形成され,二本の導波路が交差してこの部分の形状を最適化することでPBSが形成される。
このPBS17でTEとTM偏光に分離されて導波する。一方,IDT19によって励起されたSAWは薄膜付加型SAWガイド中を伝搬し,この間でSAWの周波数に対応する特定の光だけをTE/TMモ─ド変換する。後方のPBSでは偏光を合波されるが,TE/TMモード変換された光だけがDrop側へ導波する。
このPBS17でTEとTM偏光に分離されて導波する。一方,IDT19によって励起されたSAWは薄膜付加型SAWガイド中を伝搬し,この間でSAWの周波数に対応する特定の光だけをTE/TMモ─ド変換する。後方のPBSでは偏光を合波されるが,TE/TMモード変換された光だけがDrop側へ導波する。
ここでSAWによってモ─ド変換を受けなかった光は折り返し導波路16側へ進み,TE,TM偏光依存性の無い折り返し導波路によって折り返され,第2のAOTFへ進む,ここでは第1のAOTFで除去しきれなかったDrop光を再び除去し,スルー光だけを取り出す。このように多段化することで,ドロップ光に対する消光比が向上するとともに,フィルタとしての半値幅も狭くなる利点がある。またAdd光としてしめされているポ─トからSAWに対応する波長の光を入射すると,Thru光に合波させることができる。
この場合,この光がドロップ光やIn光に回り込む可能性は極めて小さくできる。図26はTE/TMモード変換型チューナブル波長フィルタ(AOTF)をさらに多段化させた構成であり,ドロップ光,スルー光共に3段構成となっており,半値幅,消光比共に極めて良好な物ができる。
また,このような1チップ内に集積化させた多段構成では,各AOTFの特性バラツキを抑えられるとともに,印加するSAW用高周波を単独電源から連動させて動作させることができ,これら多数の電極の位相ズレや周波数ズレを防止できる利点がある。また、この構成では複数のIDTを接続した構造とすることから、基板上に構成される複数のIDTに掛ける信号の周波数を同一周波数で動作させると、SAWによって発生する光信号のドップラーシフトを一部打ち消す事ができる。
つまりドロップ光では3開AOTFを通過するが、このうちのSAWと光の進行方向が同一のものと異なるものの間でドップラーシフトを打ち消す効果が発生する。
Claims (2)
- 2つの導波路がY字状に合流する部分を備えた光導波路素子において、
前記2つの導波路が前記Y字の合流部分で合流した更に先の位置に光を反射する反射手段、を備え、
前記合流光導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。 - 複数の導波路が合流する導波路を備えた光導波路素子において、
前記複数の導波路の中心軸同士が合流する位置から更に進んだ位置に反射手段、
を備え、
前記導波路の長さにより前記反射手段から反射された入射光が出力側の光導波路に結合することを特徴とする光導波路素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006033518A JP2006184925A (ja) | 2006-02-10 | 2006-02-10 | 光導波路素子 |
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JP2006033518A Pending JP2006184925A (ja) | 2006-02-10 | 2006-02-10 | 光導波路素子 |
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- 2006-02-10 JP JP2006033518A patent/JP2006184925A/ja active Pending
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