JP2006183006A - 抗酸化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】
CoQ10の抗酸化活性を効果的に利用できる抗酸化剤の提供およびこれを含有せしめた化粧品または食品の提供。
【解決手段】
CoQ10およびγCDの複合体とすることでCoQ10の抗酸化活性を効果的にすることができ、これを含有せしめたことで、高い抗酸化活性を有する化粧品および食品を提供できる。
CoQ10の抗酸化活性を効果的に利用できる抗酸化剤の提供およびこれを含有せしめた化粧品または食品の提供。
【解決手段】
CoQ10およびγCDの複合体とすることでCoQ10の抗酸化活性を効果的にすることができ、これを含有せしめたことで、高い抗酸化活性を有する化粧品および食品を提供できる。
Description
本発明は補酵素Q10(以下、CoQ10と示す。)およびγシクロデキストリン(以下、γCDと示す)の複合体を有効成分とする抗酸化剤に関する。さらに、この抗酸化剤を含有せしめた化粧品および食品に関する。
CoQ10は、ミトコンドリアの電子伝達の際にATPの生産に関わる重要な内細胞性成分であり、細胞の呼吸鎖を改善し、ミトコンドリア膜を強化する。また、生体中のエネルギー放出の改善や、抗酸化活性を有しフリーラジカル捕捉剤として作用することが知られている。
CoQ10はその性質や作用により、心臓疾患や変性性疾患等の治療、老化の防止等に有効とされ、医薬製剤、化粧品、食品等に利用されている。さらに近年、CoQ10がビタミンEの抗酸化作用の維持に不可欠であることが確認され、ビタミンEの抗酸化作用を維持し、適量以上のCoQ10が摂取できる抗酸化活性の高い加工食品(例えば、特許文献1参照)等も開発されている。
CoQ10はその性質や作用により、心臓疾患や変性性疾患等の治療、老化の防止等に有効とされ、医薬製剤、化粧品、食品等に利用されている。さらに近年、CoQ10がビタミンEの抗酸化作用の維持に不可欠であることが確認され、ビタミンEの抗酸化作用を維持し、適量以上のCoQ10が摂取できる抗酸化活性の高い加工食品(例えば、特許文献1参照)等も開発されている。
しかし、CoQ10は脂溶性物質のため水への溶解度が極めて低く、光分解性があり、空気中においても安定性が低いため、食品等への製造にあたり取り扱いが難しかった。さらに、摂取による吸収率が低いという問題があり、十分な効果が得られなかった。そこで、CoQ10の抗酸化活性をより効果的に利用できる抗酸化剤やこれを含有せしめた化粧品、食品等の開発が望まれていた。
特開2003−289828号公報
本発明は、CoQ10の抗酸化活性を効果的に利用できる抗酸化剤の提供を課題とする。さらに、これを含有せしめた化粧品および食品の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、CoQ10およびγCDの複合体が、CoQ10の効果的な抗酸化活性を有することを見出した。さらに、この抗酸化剤を含有せしめたことで、高い抗酸化活性を有する化粧品および食品を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
γCDは、ブドウ糖からなる環状のオリゴ糖であり、天然に存在する物質である。γCDは、その内部が疎水性で、外部が親水性の構造を有することから、内部に親油性物質のCoQ10を安定に含有せしめることができ、さらに、外部の親水性により、水への溶解度が高めることができる。
また、γCDは、食品添加物合同専門家会議(JECFA)によって、1日許容摂取量(ADI)を特定する必要のない安全性の高い物質と認定されており、CoQ10も厚生労働省医薬局において食品と認められているため、本発明のCoQ10およびγCDの複合体を有効成分とする抗酸化剤は人体に対し、安全な物質であり、化粧品および食品に利用できる。
また、γCDは、食品添加物合同専門家会議(JECFA)によって、1日許容摂取量(ADI)を特定する必要のない安全性の高い物質と認定されており、CoQ10も厚生労働省医薬局において食品と認められているため、本発明のCoQ10およびγCDの複合体を有効成分とする抗酸化剤は人体に対し、安全な物質であり、化粧品および食品に利用できる。
すなわち、本発明は次の(1)〜(3)のいずれかの抗酸化剤およびそれを用いた化粧品または食品に関する。
(1)補酵素Q10(CoQ10)およびγシクロデキストリン(γCD)の複合体を有効成分とする抗酸化剤。
(2)上記(1)に記載の抗酸化剤を含有せしめた化粧品。
(3)上記(1)に記載の抗酸化剤を含有せしめた食品。
(1)補酵素Q10(CoQ10)およびγシクロデキストリン(γCD)の複合体を有効成分とする抗酸化剤。
(2)上記(1)に記載の抗酸化剤を含有せしめた化粧品。
(3)上記(1)に記載の抗酸化剤を含有せしめた食品。
本発明の抗酸化剤は、効果的な抗酸化活性を有することから、食品、化粧品等に幅広く利用できる。また、水への溶解性が高くかつ安定であるため、取り扱いが容易であり、これらの製造を容易とする。
本発明の「抗酸化剤」とは、CoQ10およびγCDの複合体を有効成分とする効果的な抗酸化活性を有する物質のことをいい、CoQ10およびγCD以外に必要に応じて他の成分を含有せしめることもできる。本発明の抗酸化剤は、その用途に応じ、粉末、顆粒、水溶液等の形態で用いることができる。
CoQ10およびγCDの複合体とは、CoQ10およびγCDの包接体のことをいい、例えば、wacker社等から市販されているCoQ10およびγCDの包接体を用いることもできる。
CoQ10およびγCDの複合体とは、CoQ10およびγCDの包接体のことをいい、例えば、wacker社等から市販されているCoQ10およびγCDの包接体を用いることもできる。
本発明の抗酸化剤を製造する場合には、CoQ10およびγCDの複合体の調製として、噴霧乾燥、凍結乾燥法、飽和水溶液法、混錬法、混合粉砕法等の一般的な複合体の調製方法を用いることができる。
噴霧乾燥、凍結乾燥法とは、CDの10〜40%水溶液を調製し、一定量のゲストを添加し、ホモジナイズ(回転数;1,000〜3,000r.p.m.、30分〜5時間、室温)し、これによって得られた包接乳化液を次いで噴霧乾燥し、包接粉体を得る方法である。また、飽和水溶液法とは、CDの飽和水溶液を作り、一定量のゲスト化合物を混合し、CDの種類やゲスト化合物の種類に応じ30分〜数時間攪拌混合することで、包摂物が沈殿を得て、続いて、水を蒸発させるか、温度を下げて沈殿物を取り出した後、乾燥することで、包摂体を単離する方法である。
混練法とは、CDに水を少量加えてペースト状にして、一定量のゲストを添加してミキサー等でよく攪拌し、続いて水を蒸発させることで包摂体を単離する方法であり、混合時間は飽和水溶液法より長めとなる。そして混合粉砕法とは、CDとゲスト化合物を振動ミルにより粉砕して得る方法である。
噴霧乾燥、凍結乾燥法とは、CDの10〜40%水溶液を調製し、一定量のゲストを添加し、ホモジナイズ(回転数;1,000〜3,000r.p.m.、30分〜5時間、室温)し、これによって得られた包接乳化液を次いで噴霧乾燥し、包接粉体を得る方法である。また、飽和水溶液法とは、CDの飽和水溶液を作り、一定量のゲスト化合物を混合し、CDの種類やゲスト化合物の種類に応じ30分〜数時間攪拌混合することで、包摂物が沈殿を得て、続いて、水を蒸発させるか、温度を下げて沈殿物を取り出した後、乾燥することで、包摂体を単離する方法である。
混練法とは、CDに水を少量加えてペースト状にして、一定量のゲストを添加してミキサー等でよく攪拌し、続いて水を蒸発させることで包摂体を単離する方法であり、混合時間は飽和水溶液法より長めとなる。そして混合粉砕法とは、CDとゲスト化合物を振動ミルにより粉砕して得る方法である。
混練法または加熱方法については、Journal Acta Poloniae, Pharmaceutica(1995)、Vol.52,No5,S.379−386および(1996),Vol.53,No3,S.193−196においてCoQ10と種々のCDおよびCD誘導体との複合化が記載されている。また、特表2003−520827号公報には、γCDとCoQ10との水性混合物を用いることで、さらに迅速かつ簡便にγCD/CoQ10複合体を得る方法が記載されている。
本発明においてCoQ10およびγCDの複合体を調製する場合には、生産規模において経済的な理由により、後者の方法を用いることがより好ましい。
本発明においてCoQ10およびγCDの複合体を調製する場合には、生産規模において経済的な理由により、後者の方法を用いることがより好ましい。
後者の方法では、たとえば、濃縮された水性γCD溶液にCoQ10を添加し、ホモジナイズし、乾燥等をすることにより製造することができる。この混合物は、好ましくは10〜30質量%のγCD濃度を含有せしめ、特に16〜25質量%のγCD濃度を含有せしめることが好ましい。CoQ10とγCDとの質量比は、好ましくは1:3.5〜1:100、特に好ましくは1:3.5〜1:8、殊に好ましくは1:1〜1:6である。
得られた複合体のうち、包接体が形成されているか否かは、溶液状態においては円二色性スペクトルやNMRスペクトルを用い、固体状態においては熱分析DSC、粉末X線等でCD、ゲスト単独、物理的混合物と包接体を比較して確認することできる。
本発明の抗酸化剤は医薬品、食品、化粧品等に用いることができる。本発明の抗酸化剤を食品に用いる場合では、サプリメント、機能性食品、栄養ドリンク等に用いることができ、効果的な抗酸化活性を有する食品を製造することができる。また、化粧品に用いる場合では、化粧水、乳液、美容クリーム等に用いることができ、効果的な抗酸化活性を有する化粧品を製造することができる。
本発明の抗酸化剤を用い、サプリメントを製造する場合には、本発明の抗酸化剤をそのまま打錠成型することもできるが、さらに必要に応じて、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の製剤に通常用いられている添加物を加えることができる。また、本発明の抗酸化剤は、水にも油脂にもなじむ粉末であるため、いずれの形態に加工することができ、粉末、顆粒、カプセル、チュアブル等の形態で用いることができる。
本発明の抗酸化剤をセルロース、グリセリン脂肪酸エステル、リン酸カルシウムなどの賦形剤と混合し、打錠することで錠剤にすることができ、これを充填することでハードカプセルにすることもできる。また、本発明の抗酸化剤を油脂、グリセリン脂肪酸エステルなどに練りこみ、充填することでソフトカプセルとすることもできる。
本発明の抗酸化剤をセルロース、グリセリン脂肪酸エステル、リン酸カルシウムなどの賦形剤と混合し、打錠することで錠剤にすることができ、これを充填することでハードカプセルにすることもできる。また、本発明の抗酸化剤を油脂、グリセリン脂肪酸エステルなどに練りこみ、充填することでソフトカプセルとすることもできる。
本発明の抗酸化剤を用い、化粧品を製造する場合には、本発明の抗酸化剤に加え、皮膚繊維芽細胞の増殖等の効果を有するレチノール等の美容成分や、ホホバ油、植物エキス等の保湿成分を必要に応じて配合することもできる。レチノールを配合する場合、市販のレチノールを用いることができるが、特に貯蔵安定性の高いレチノール−γCD複合体(CAVAMAX W8 Retinol−Complex;wacker社製)を用いることが好ましい。
以下、本発明の詳細を実施例等で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、本発明の詳細を実施例等で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
抗酸化剤の調製
CoQ10−γCD複合体(wacker社製:CoQ10含有率:19.7%)を抗酸化剤として用いた。
CoQ10−γCD複合体(wacker社製:CoQ10含有率:19.7%)を抗酸化剤として用いた。
[試験例1]
抗酸化剤の抗酸化活性
(1)試験溶液の調製
上記実施例1の抗酸化剤にジメチルホルムアミド(以下、DMFと示す。)を用い、CoQ10濃度が10、20、50、100μMとなるように試験溶液を調製した。また、対照としてCoQ10(日清ファルマ社製)にDMFを用い、CoQ10濃度が20、50、100μMとなるように対照試験溶液Aを調製した。さらに、γCD(CAVAMAX W8 Food;Wacker社製)にDMFを用い、γCD濃度が1.0mMの対照試験溶液Bを調製した。
抗酸化剤の抗酸化活性
(1)試験溶液の調製
上記実施例1の抗酸化剤にジメチルホルムアミド(以下、DMFと示す。)を用い、CoQ10濃度が10、20、50、100μMとなるように試験溶液を調製した。また、対照としてCoQ10(日清ファルマ社製)にDMFを用い、CoQ10濃度が20、50、100μMとなるように対照試験溶液Aを調製した。さらに、γCD(CAVAMAX W8 Food;Wacker社製)にDMFを用い、γCD濃度が1.0mMの対照試験溶液Bを調製した。
(2)抗酸化活性の測定
DPPHラジカル(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)の消去活性試験により本発明の抗酸化剤における抗酸化活性を測定した。エタノールとDMFが各々1mL入った試験管に上記(1)で調製した3種類の試験溶液をそれぞれ1mL加え、さらに200μM DPPHエタノール溶液を1mL加え、正確に30分暗所で放置した後、517nmの吸光度を測定した。コントロールとして試料の代わりにDMFを用い、ブランクにはDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、エタノールの最終濃度は50%となった。下記の式を用い、得られた吸光度よりラジカル消去活性を求めた。
DPPHラジカル(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)の消去活性試験により本発明の抗酸化剤における抗酸化活性を測定した。エタノールとDMFが各々1mL入った試験管に上記(1)で調製した3種類の試験溶液をそれぞれ1mL加え、さらに200μM DPPHエタノール溶液を1mL加え、正確に30分暗所で放置した後、517nmの吸光度を測定した。コントロールとして試料の代わりにDMFを用い、ブランクにはDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、エタノールの最終濃度は50%となった。下記の式を用い、得られた吸光度よりラジカル消去活性を求めた。
(3)結果
試験溶液および対照試験溶液AのCoQ10含有濃度ごとにおけるラジカル消去活性を図1に示した。図1において、本発明の抗酸化剤は、CoQ10のみを用いた場合と比較して、CoQ10の含有濃度が同一であるにも拘らず、最大4.3倍の消去活性を示した。そして、CoQ10のみを100μM用いた場合でのラジカル消去能は、10μMのCoQ10を含有せしめた本発明の抗酸化剤のラジカル消去能に満たなかった。
また、CoQ10含有濃度が20μMの本発明の抗酸化剤および対照試験溶液Aと、γCDのみを含む対照試験溶液Bにおけるラジカル消去活性を図2に示した。図2において、γCDのみの消去活性はで1.1%であることが示された。この結果より、本発明の抗酸化剤におけるラジカル消去活性の向上は、γCDの消去活性が影響しているのではなく、CoQ10とγCDの複合化が影響していることが示唆された。
試験溶液および対照試験溶液AのCoQ10含有濃度ごとにおけるラジカル消去活性を図1に示した。図1において、本発明の抗酸化剤は、CoQ10のみを用いた場合と比較して、CoQ10の含有濃度が同一であるにも拘らず、最大4.3倍の消去活性を示した。そして、CoQ10のみを100μM用いた場合でのラジカル消去能は、10μMのCoQ10を含有せしめた本発明の抗酸化剤のラジカル消去能に満たなかった。
また、CoQ10含有濃度が20μMの本発明の抗酸化剤および対照試験溶液Aと、γCDのみを含む対照試験溶液Bにおけるラジカル消去活性を図2に示した。図2において、γCDのみの消去活性はで1.1%であることが示された。この結果より、本発明の抗酸化剤におけるラジカル消去活性の向上は、γCDの消去活性が影響しているのではなく、CoQ10とγCDの複合化が影響していることが示唆された。
[試験例2]
αCD、βCD複合体および水溶化CoQ10との抗酸化活性の比較
(1)試験溶液の調製および測定
上記試験例1と同様に本発明の抗酸化剤を用いた試験溶液およびCoQ10のみを用いた対照試験溶液A’を調製し、さらに対照としてCoQ10−αCD複合体(cyclochem社製:CoQ10含有率20.2%)およびCoQ10−βCD複合体(cyclochem社製:CoQ10含有率21.1%)を用い、CoQ10濃度が同じである対照試験溶液C、Dを調製した。これらの試験溶液を用い、上記試験例1と同様の方法により抗酸化活性を測定した。コントロールとして試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、Tris緩衝液は50μM 、エタノールの最終濃度は50%となった。
αCD、βCD複合体および水溶化CoQ10との抗酸化活性の比較
(1)試験溶液の調製および測定
上記試験例1と同様に本発明の抗酸化剤を用いた試験溶液およびCoQ10のみを用いた対照試験溶液A’を調製し、さらに対照としてCoQ10−αCD複合体(cyclochem社製:CoQ10含有率20.2%)およびCoQ10−βCD複合体(cyclochem社製:CoQ10含有率21.1%)を用い、CoQ10濃度が同じである対照試験溶液C、Dを調製した。これらの試験溶液を用い、上記試験例1と同様の方法により抗酸化活性を測定した。コントロールとして試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、Tris緩衝液は50μM 、エタノールの最終濃度は50%となった。
さらに、水溶化CoQ10(日清ファルマ社製)を用いた水溶化CoQ10水溶液を調製し対照試験溶液Eとし、抗酸化活性を測定した。
抗酸化活性は、エタノールと200μM Tris緩衝液(pH7.0)が各々1mL入った試験管に上記試験溶液を1mL加え、さらに200μM DPPHエタノール溶液を1mL加え、正確に30分暗所で放置した後、517nmの吸光度を測定した。コントロールとして試料の代わりに精製水を用い、ブランクにはDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、エタノールの最終濃度は50%となった。試験例1と同様の式を用い、得られた吸光度よりラジカル消去活性を求めた。
抗酸化活性は、エタノールと200μM Tris緩衝液(pH7.0)が各々1mL入った試験管に上記試験溶液を1mL加え、さらに200μM DPPHエタノール溶液を1mL加え、正確に30分暗所で放置した後、517nmの吸光度を測定した。コントロールとして試料の代わりに精製水を用い、ブランクにはDPPH溶液の代わりにエタノールを用いた。試料に含まれるDPPHの最終濃度は50μM、エタノールの最終濃度は50%となった。試験例1と同様の式を用い、得られた吸光度よりラジカル消去活性を求めた。
(2)結果
試験溶液および対照試験溶液A’、C、DのCoQ10含有濃度ごとにおけるラジカル消去活性を図3に示した。また、CoQ10含有濃度が20μMの本発明の抗酸化剤および対照試験溶液A’、C、D、Eにおけるラジカル消去活性を図4に示した。図3、図4において、本発明の抗酸化剤と比較して、αCDやβCDの複合体および水溶化CoQ10は、CoQ10のみの消去活性とほぼ同等であった。よって、αCDやβCDおよび水溶化CoQ10ではCoQ10のラジカル消去活性を向上できないことが示された。以上の結果より、CoQ10の抗酸化活性を大幅に向上させるには、γCDの複合体とすることが重要であることが示唆された。
試験溶液および対照試験溶液A’、C、DのCoQ10含有濃度ごとにおけるラジカル消去活性を図3に示した。また、CoQ10含有濃度が20μMの本発明の抗酸化剤および対照試験溶液A’、C、D、Eにおけるラジカル消去活性を図4に示した。図3、図4において、本発明の抗酸化剤と比較して、αCDやβCDの複合体および水溶化CoQ10は、CoQ10のみの消去活性とほぼ同等であった。よって、αCDやβCDおよび水溶化CoQ10ではCoQ10のラジカル消去活性を向上できないことが示された。以上の結果より、CoQ10の抗酸化活性を大幅に向上させるには、γCDの複合体とすることが重要であることが示唆された。
抗酸化剤を用いた化粧品の製造
表1に示した成分を原料として混合し、上記実施例1の抗酸化剤を有効成分とする化粧品Aを製造した。また、上記実施例1の抗酸化剤を有効成分とし、さらに美容成分としてレチノールを加え、表2に示した成分を原料として混合した化粧品Bを製造した。レチノールはレチノール−γCD複合体(CAVAMAX W8 Retinol−Complex;wacker社製)を用いた。
表1に示した成分を原料として混合し、上記実施例1の抗酸化剤を有効成分とする化粧品Aを製造した。また、上記実施例1の抗酸化剤を有効成分とし、さらに美容成分としてレチノールを加え、表2に示した成分を原料として混合した化粧品Bを製造した。レチノールはレチノール−γCD複合体(CAVAMAX W8 Retinol−Complex;wacker社製)を用いた。
本発明の化粧品AおよびBは配合されているCoQ10により紫外線、活性酸素による皮脂の酸化を防止し、皮膚繊維芽細胞の賦活に有効であることが確認された。さらに化粧品Bではレチノールの作用も加わり、皮膚線維芽細胞の増殖に有効であることも確認された。
抗酸化剤を用いた食品の製造
上記実施例1の抗酸化剤500mg(CoQ10含有量約100mg)を用い、セルロース、グリセリン脂肪酸エステル、リン酸カルシウムなどの賦形剤と混合し、打錠することで錠剤のサプリメントを得た。
上記実施例1の抗酸化剤500mg(CoQ10含有量約100mg)を用い、セルロース、グリセリン脂肪酸エステル、リン酸カルシウムなどの賦形剤と混合し、打錠することで錠剤のサプリメントを得た。
本発明によりCoQ10の抗酸化活性が高められた抗酸化剤を得ることができ、さらにこれを含有せしめたことにより、抗酸化活性の高められた高品質な化粧品および食品を提供することができる。
Claims (3)
- 補酵素Q10(CoQ10)およびγシクロデキストリン(γCD)の複合体を有効成分とする抗酸化剤。
- 請求項1に記載の抗酸化剤を含有せしめた化粧品。
- 請求項1に記載の抗酸化剤を含有せしめた食品。
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