JP2006182230A - 車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents

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史紀 窪谷
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Abstract

【課題】 4輪駆動車両の操作フィーリングを向上させる。
【解決手段】 車両CRの挙動を検知する挙動検知手段としての各センサ91〜94からの信号に基づき車両CRの挙動を安定化させる挙動制御手段21と、各車輪Tの路面に対するスリップ量に基づいてスリップ制御をするスリップ制御手段24とを備えた車両用ブレーキ制御装置100である。車両用ブレーキ制御装置100は、異常検知手段23により駆動力配分装置を含むFI/AT ECU30の異常を検知したときに、スリップ条件変更手段24aによりスリップ条件を変更することで車両CRの挙動を安定化させる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、4輪駆動車の車両用ブレーキ制御装置に関し、詳しくはブレーキ装置を制御して車両の挙動を安定化させる挙動制御を行う車両用ブレーキ制御装置に関する。
これまで、車両の挙動を検知するセンサの出力に基づき、車両の各車輪に備えられたブレーキ装置を制御して旋回中の車両のヨーモーメントを調節し、車両の挙動を安定化させる車両用ブレーキ(制動力)制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、駆動力の配分を適宜変えながら前輪と後輪に駆動力を伝達することによって車両の走行性能を高める駆動力配分装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。これらの装置を車両に搭載することによって、駆動力配分装置によって走行性能を高めつつ、車両の挙動が不安定になると車両用ブレーキ制御装置によって、車両の挙動を安定化させることができる。
また、副駆動車輪と駆動伝達経路の切り離しおよび結合動作を行うクラッチ機構の異常を検出することで駆動力配分装置の異常を検出する技術も知られている(特許文献3参照)。
特開平04−185562号公報 特開2003−182393号公報 特開平9−30285号公報
ところで、車両用ブレーキ制御装置と駆動力配分装置の両方を搭載した車両においては、車両用ブレーキ制御装置は、駆動力配分装置が正常に駆動力を配分していることを前提としてブレーキ装置の制御を行っている。そのため、駆動力配分装置に異常が生じて駆動力の配分が適切に行われない場合には、車両用ブレーキ制御装置が車両の挙動を安定化させようとしても適切な制御が行えない場合がある。
例えば、駆動力の配分が正常な場合には、図7(a)に示すように、前後輪とも25の駆動力が与えられた状態で、車両が左旋回してオーバステアになった場合には、右前輪に50の制動力を与えることで車両の挙動を適切に制御できるとする。これと同じ状況で、駆動力配分装置に異常があったとすると、例えば図7(b)に示すように、前輪と後輪に17.5:32.5の割合で駆動力が配分される場合がある。この場合に、車両用ブレーキ制御装置が駆動力配分装置の異常を検知せずに右前輪に50の制動力を与えると、右前輪に過度な制動力が付与されて、車両の挙動が安定せず、操作フィーリングが良くないという問題があった。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、駆動力配分装置に異常があった場合でも、車両を安定化させることができる車両用ブレーキ制御装置を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、各前輪と各後輪に駆動力を配分する駆動力配分装置を備えた車両の、各車輪に設けられた各ブレーキ装置に対し独立に制動力を発生させる制御を行う車両用ブレーキ制御装置であって、前記車両の挙動を検知する挙動検知手段により検知された挙動が、走行状態に応じた安定条件を満たすか否かを判定し、満たさないと判定した場合に前記安定条件を満たすように前記ブレーキ装置を制御して前記車両の挙動を安定化させる挙動制御手段と、前記各車輪の路面に対するスリップ量を検知するスリップ検知手段と、前記スリップ検知手段で検知された前記スリップ量がスリップ条件を満たすか否かを判定し、スリップ条件を満たさないと判定した場合に前記車輪のスリップ量が前記スリップ条件を満たすように前記ブレーキ装置を制御するスリップ制御を行うスリップ制御手段と、前記駆動力配分装置の異常を検知する異常検知手段とを備え、前記スリップ制御手段は、前記異常検知手段によって異常が検知された場合に、前記スリップ条件を変更するスリップ条件変更手段を有することを特徴とする。
このような車両用ブレーキ制御装置では、駆動力配分装置に異常がある場合には、スリップ条件、つまり、スリップ制御をするかどうかの条件を変更することにより、車両の挙動を安全側に振ることができ、車両の動作を安定させることができる。
この作用についてより詳しくいうと次のようになる。従来のスリップ制御は、駆動力の配分状態に関わらず車輪単独の状態に基づいて制動力が調整されていた。例えば、駆動力が正常時に比べて過多の状態であっても、スリップ制御による制動力の調節によって余分な駆動力も吸収して車輪がスリップ過多にならないように制御していた。
しかし、初期状態のスリップ条件は、正常な駆動力配分を前提として設定されているのが一般的であり、駆動力配分が異常な状況に適しているとは限らない。そこで、本発明では、駆動力配分装置の異常を検知した場合にスリップ条件を変更し、異常な状況に適したスリップ条件とすることで、スリップ制御による車輪ごとの制御を積極的に利用可能とした。
したがって、車両全体の挙動に基づいた挙動制御が駆動力配分の異常によって十分機能しない場合であっても、スリップ制御によって車輪ごとに路面との摩擦条件を適切に保ち、駆動力配分の状態如何に関わらず車両の挙動が安定し易くなる。
なお、本発明のスリップ検知手段は、スリップ量を検出するが、スリップ量は、スリップ率や、スリップ率を示す物理量またはその物理量から演算された値である。たとえば、車両速度と車輪速度の差の値などもスリップ量に相当する。
前記スリップ条件変更手段は、前記異常検知手段によって異常が検知された場合に、前記スリップ制御に移行し易くなるように前記スリップ条件を変更するのが望ましい。このように、スリップ制御に移行、つまりスリップしにくい方向にスリップ条件を変更することで、駆動力配分装置に異常があって車両の挙動制御が十分機能できない場合に、速やかにスリップ制御を行って車輪ごとに路面との摩擦条件を適切に保つことができる。
たとえば、いずれかの車輪の駆動力が正常な配分に比べて異常に減少して配分された場合では、スリップ条件を変更しない場合よりも速やかにその車輪への制動力を緩め、過剰なブレーキ力によってスリップ過多に陥るのを未然に防ぎ、車両の挙動が乱れるのを抑制することができる。同様に、正常な配分に比べて駆動力が過剰にかかった場合では、スリップ条件を変更しない場合よりも速やかにスリップ制御が実行され、当該車輪へのブレーキ力が強められる。そして、過剰な駆動力によるスリップ過多を未然に防ぐことで、車両の挙動が乱れるのを抑制することができる。
また、前記スリップ条件変更手段は、前記挙動検知手段によって検知された車両の挙動の大きさに応じて前記スリップ条件の変更量を大きくするのが望ましい。このようにすることにより、車両の挙動の大きさが大きい場合には、スリップ条件を、よりスリップしにくくなる方向に大きく変化させ、車両をより安定な挙動とさせることが可能になる。
本発明によれば、駆動力配分装置に異常があった場合にも、車両の挙動を安定化させることが可能になる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、車両用ブレーキ制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路や各種部品が設けられた油圧ユニット10と、油圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御装置20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ制御装置100の制御装置20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度を検出するための車輪速センサ91と、ステアリングSTの操舵角を検出する操舵角センサ92と、車両CRの横方向に掛かる遠心力(加速度)を検出する横Gセンサ93と、車両CRの旋回時のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ94とが車両挙動検知手段として接続されている。また、車両CRの前後方向の加速度を検出する加速度センサ95も、制御装置20に接続されている。また、これらのセンサ類は燃料噴射装置(FI)と、オートマチックトランスミッション(AT)の制御をするFI/AT ECU30にも接続され、FI/AT ECU30は、エンジン(ENG)41およびオートマチックトランスミッション(TM)42の動作を制御している。FI/AT ECU30は、駆動力配分装置としても機能しており、オートマチックトランスミッション42の制御をすることにより、車両CRの各車輪Tへの駆動力の配分を制御している。
なお、駆動力の配分は、前記オートマチックトランスミッション42の制御によってなされる構成に限らず、例えば特開2003−182393号公報に開示されるトルク配分制御クラッチに相当する要素を備え、FI/AT ECU30で制御する構成であってもよい。また、他の公知の駆動力配分技術を適宜選択し、または組み合わせて適用することもできる。
また、FI/AT ECU30は、駆動力配分装置の異常を検出する機能と、異常を検出した場合に、異常があることを示す所定の異常信号を制御装置20へ出力する機能を有する。このFI/AT ECU30による異常の検知方法は、例えば、特許文献2,3に開示されたような公知の駆動力配分装置の異常検出技術を適用することができる。
制御装置20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91、操舵角センサ92、横Gセンサ93およびヨーレイトセンサ94からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの作動力に変換する油圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ制御装置100の油圧ユニット10に接続されている。
次に、図2のブレーキ液圧回路図を参照して、油圧ユニット10内に設けられる各種部品の機能について簡単に説明する。なお、図2において油圧ユニット10内の各種部品を繋ぐ実線は、油圧ユニット10に形成された油路を示している。
参照する図面において、図2は本発明に係る車両用ブレーキ制御装置の油圧ユニットの液圧回路図である。
図2に示すように、油圧ユニット10は、運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダMと、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、油圧ユニット10の入口ポート121に接続され、油圧ユニット10の出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は油圧ユニット10内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
ここで、出力ポートM1から始まる油路は、前輪左側の車輪ブレーキFLと後輪右側の車輪ブレーキRRに通じており、出力ポートM2から始まる油路は、前輪右側の車輪ブレーキFRと後輪左側の車輪ブレーキRLに通じている。なお、以下では、出力ポートM1から始まる油路を「第一系統」と称し、出力ポートM2から始まる油路を「第二系統」と称する。
油圧ユニット10には、その第一系統に各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられており、同様に、その第二系統に各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられている。また、この油圧ユニット10には、第一系統および第二系統のそれぞれに、リザーバ3、ポンプ4、ダンパ5、オリフィス5a、レギュレータR、吸入弁7、貯留室7aが設けられており、さらに、第一系統のポンプ4と第二系統のポンプ4とを駆動するための共通の電動モータ9を備えている。また、本実施形態では、第二系統にのみ圧力センサ8が設けられている。
なお、以下では、マスタシリンダMの出力ポートM1,M2から各レギュレータRに至る油路を「出力液圧路A」と称し、第一系統のレギュレータRから車輪ブレーキFL,RRに至る油路および第二系統のレギュレータRから車輪ブレーキRL,FRに至る油路をそれぞれ「車輪液圧路B」と称する。また、出力液圧路Aからポンプ4に至る油路を「吸入液圧路C」と称し、ポンプ4から車輪液圧路Bに至る油路を「吐出液圧路D」と称し、さらに、車輪液圧路Bから吸入液圧路Cに至る油路を「解放路E」と称する。
制御弁手段Vは、車輪液圧路Bを開放しつつ解放路Eを遮断する状態、車輪液圧路Bを遮断しつつ解放路Eを開放する状態および車輪液圧路Bを遮断しつつ解放路Eを遮断する状態を切り換える機能を有しており、入口弁1、出口弁2、チェック弁1aを備えて構成されている。
入口弁1は、車輪液圧路Bに設けられた常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪がロックしそうになったときに図1に示す制御装置20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達するブレーキ液圧を遮断する。
出口弁2は、車輪液圧路Bと解放路Eとの間に介設された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに図1に示す制御装置20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに作用するブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に、入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ3は、解放路Eに設けられており、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液圧を吸収する機能を有している。また、リザーバ3とポンプ4との間には、リザーバ3側からポンプ4側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁3aが介設されている。
ポンプ4は、出力液圧路Aに通じる吸入液圧路Cと車輪液圧路Bに通じる吐出液圧路Dとの間に介設されており、リザーバ3で貯留されているブレーキ液を吸入して吐出液圧路Dに吐出する機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された出力液圧路Aや車輪液圧路Bの圧力状態が回復される。さらに、このポンプ4は、後記するカット弁6が出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断し、且つ、後記する吸入弁7が吸入液圧路Cを開放しているときに、マスタシリンダM、出力液圧路A、吸入液圧路Cおよび貯留室7aに貯留されているブレーキ液を吸入して吐出液圧路Dに吐出する機能を有している。これにより、非ペダル操作時において各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRにブレーキ液圧を作用させることが可能となる。
なお、ダンパ5およびオリフィス5aは、その協働作用によってポンプ4から吐出されたブレーキ液の圧力の脈動および後記するレギュレータRが作動することにより発生する脈動を減衰させている。
レギュレータRは、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換える機能と、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入が遮断されているときに車輪液圧路Bおよび吐出液圧路Dのブレーキ液圧を設定値以下に調節する機能とを有しており、カット弁6、チェック弁6aおよびリリーフ弁6bを備えて構成されている。
カット弁6は、マスタシリンダMに通じる出力液圧路Aと各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに通じる車輪液圧路Bとの間に介設された常開型の電磁弁であり、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換えるものである。カット弁6は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、カット弁6は、非ペダル操作時であってポンプ4を作動させるとき、言い換えれば、非ペダル操作時において各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRにブレーキ液圧を作用させるときに制御装置20により閉塞される。
チェック弁6aは、各カット弁6に並列に接続されている。このチェック弁6aは、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、各カット弁6を閉じた状態にしたときにおいてブレーキペダルPからの入力があっても、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容する。
リリーフ弁6bは、各カット弁6に並列に接続されており、車輪液圧路Bおよび吐出液圧路Dのブレーキ液圧が設定値以上になるのに応じて開弁する。
吸入弁7は、吸入液圧路Cに設けられた常閉型の電磁弁であり、吸入液圧路Cを開放する状態および遮断する状態を切り換えるものである。吸入弁7は、非ペダル操作時であってカット弁6が出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断する状態にあるとき、言い換えれば、非ペダル操作時において各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRにブレーキ液圧を作用させるときに制御装置20により開放(開弁)される。
貯留室7aは、吸入液圧路Cであってポンプ4と吸入弁7との間に設けられている。この貯留室7aは、ブレーキ液を貯留するものであり、これにより、吸入液圧路Cに貯留されるブレーキ液の容量が実質的に増大する。
圧力センサ8は、出力液圧路Aのブレーキ液圧を計測するものであり、その計測結果は制御装置20に随時取り込まれ、かかる制御装置20によりマスタシリンダMからブレーキ液圧が出力されているか否か、すなわち、ブレーキペダルPが踏まれているか否かが判定され、さらに、圧力センサ8で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、車両の横滑り制御、トラクション制御などが行われる。
以上のような油圧ユニット10を制御装置20で制御してなる本発明の車両用ブレーキ制御装置100の構成について説明する。図3は、実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の機能ブロック図である。
図3に示すように、車両用ブレーキ制御装置100は、各種のセンサ91〜95やFI/AT ECU30からの信号に基づき、ブレーキ装置としての車輪ブレーキFL,RR,RL,RFを制御することで車両の挙動制御と、車輪Tのスリップ制御を行う。
より具体的には、車両用ブレーキ制御装置100は、挙動制御手段21と、スリップ検知手段22と、異常検知手段23と、スリップ制御手段24とを有する。
挙動制御手段21は、挙動検知手段としての車輪速センサ91、操舵角センサ92、横Gセンサ93、およびヨーレイトセンサ94からの検出信号を受け、車両の挙動が、走行状態に応じた安定条件を満たすか否かを判定し、満たさないと判定した場合に安定条件を満たすように車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの制御を行う。この挙動制御手段21は、特開平04−185562号公報に記載の制動力制御装置などと同様に、例えば操舵角センサ92から得られる運転手の操作と、ヨーレイトセンサ94からの検出信号とに所定量以上のずれがある場合(これが、安定条件を満たさない場合である)に、オーバステアまたはアンダステアであると判断し、油圧ユニット10を制御することにより一部の車輪に所定の制動力を付与することで車両を安定させる。例えば、左旋回時にオーバステアになったときには、右前輪に制動力を付与することで、右旋回力を発生し、全体として車両の挙動を安定させる制御を行う。挙動検知手段としてのセンサは、前記したセンサ91〜94の一部だけを用いてもよいし、センサ91〜94以外のセンサ、例えばアクセルペダルの開度センサや、加速度センサ95などを利用することもできる。
スリップ検知手段22は、スリップ量に相当する値を取得する手段である。スリップ量は、例えばスリップ率SLであり、スリップ率SLは、下記式(1)
SL=(車両速度V−車輪速度VW)/車両速度V×100(%) ・・・(1)
で求められる。この時の車両速度Vは、本実施形態では、加速度センサ95と車輪速センサ91との信号から推定される。すなわち、基本的に車輪速センサ91から得られる車輪速度VWを車両速度Vとし、加速度センサ95において加速度aを検知したときに適宜修正を加えることで車両速度Vを推定する。
本発明では、スリップ量としてスリップ率SLを必ずしも用いる必要はなく、スリップ量に相当する値を取得しさえすればよい。例えば、車両速度Vと車輪速度VWの差である速度差ΔVの値も、スリップ量に相当する値として利用できる。
異常検知手段23は、駆動力配分装置の異常を検知する手段であり、本実施形態では、駆動力配分装置としてのFI/AT ECU30から異常信号を受け取ることにより検知する。
スリップ制御手段24は、スリップ検知手段22が取得したスリップ量に相当する値と、異常検知手段23が検知した駆動力配分装置の異常の有無に応じてスリップ制御、いわゆるアンチスキッド制御を行う。スリップ制御手段24では、スリップ制御を行うか否かの判断の基準として、スリップ条件が設定されている。例えば、スリップ率によりスリップ条件を設定する場合には、一例としてSLth=30%のスリップ率をスリップ条件の閾値とする。そして、スリップ検知手段22から取得したスリップ率SLの値が下記式(2)
SL>SLth ・・・(2)
を満たせば、スリップ制御を開始する。
このスリップ条件の定め方は、スリップ率SLを用いる場合に限らず、前記した速度差ΔVを用いてもよい。この場合には、図5に示した閾値のグラフの「通常時」の線のように、閾値ΔVthを車両速度Vが高くなるほど徐々に大きくなるようにマッピングしておくことができる。そして、下記式(3)
ΔV>ΔVth ・・・(3)
を満たす場合にスリップ制御を開始する。
本実施形態では、スリップ制御手段24は、スリップ条件変更手段24aを有し、異常検知手段23の出力に応じてスリップ条件を適宜変更する。具体的には、異常検知手段23が異常を検知したことを示す信号を出力した場合には、スリップ条件変更手段24aは、スリップ制御に移行し易くなるようにスリップ条件を変更する。そうすることにより、駆動力配分装置が異常の場合に、車両CRの挙動を安全側に振ることができ、車両CRの運転フィーリングがより良好になる。
例えば、スリップ率SLを基準にスリップ条件を設定した場合には、前記した閾値となるスリップ率SLthを30%から20%に変更することができる。もしくは、式(1)でスリップ率SLを算出するときに、10%を差し引いてスリップ率SLを計算し、その後、式(2)で、閾値のスリップ率SLthと比較してもよい。すなわち、スリップ率SLの算出によりスリップ条件を変更することもできる。
また、速度差ΔVを基準にスリップ条件を設定した場合には、図5のグラフにおける「異常時」の線のように、通常時に対して小さい係数で車両速度Vと閾値ΔVthの関係をマッピングすることができる。また、閾値ΔVthのマップは変更することなく、速度差ΔVを算出するときに、車両速度Vまたは車輪速度VWを所定量オフセットさせてもスリップ条件を変更することができる。
さらに、スリップ条件の変更は、車両CRの挙動の大きさに応じて、変更量を変えることもできる。すなわち、ヨーモーメントや、横G、車輪速度などの、車両の挙動が大きい場合には、その分車両CRが不安定な状態にあるため、スリップ条件を大きくスリップ制御側にオフセットさせることで、より早く安全な挙動へと戻すことが可能になる。例えば、速度差ΔVを基準にスリップ条件を設定した場合には、図5のグラフにおける「異常時(挙動大)」のように、車両の挙動が所定基準より大きい場合に閾値ΔVthの線を「異常時」の場合の係数よりもさらに小さくした係数のマップとすることができる。
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置の動作について図4のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、車両CRの走行中に、挙動検知手段である車輪速センサ91、操舵角センサ92、横Gセンサ93、およびヨーレイトセンサ94からの各信号が挙動制御手段21に入力され、車両の挙動が所定の安定条件を満たすかどうかが判定され、安定条件を満たさない場合に車両挙動制御に入る。つまり、制御装置20が、油圧ユニット10を制御して、各車輪Tに独立に適宜な制動力を付与することで車両の挙動を安定化させる制御に入る。そして、車両挙動制御に入っていない場合には(S1,No)、スリップ制御に入ることなく処理を終了し、車両挙動制御に入っている場合には(S1,Yes)、異常検知手段23が駆動力配分装置の異常の有無を検知する。
異常検知手段23が、駆動力配分装置が異常でないと判断した場合には(S2,No)、通常通りスリップ制御を行う(S4)。一方、異常検知手段23が、駆動力配分装置が異常であると判断した場合には(S2,Yes)、スリップ条件をスリップ制御側へオフセットさせた上で(S3)、スリップ制御を行う(S4)。このときのスリップ条件の変更は、前記した通りであり、例えば速度差ΔVを所定の閾値ΔVthと比較してスリップ条件を満たすかどうか判断する場合には、図5に示すように閾値ΔVthのマップを「異常時」のように下側(係数が小さい側)へオフセットさせる。
このようにして制御された車両CRは、例えば急減速しながら旋回する場合には、図6に示すグラフのような挙動を示す。図6は、車両速度Vと、車輪速度VWの時間的変化を例示している。駆動力配分装置の異常があった場合にもスリップ条件を変更しない場合には、図6の実線に示したように、時刻t0の時点、つまり、ある程度車両速度Vと車輪速度VWの差が大きくなってからでないとスリップ制御に入らないが、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置100では、より手前の時刻t1の時点でスリップ制御に入り、破線のような挙動を示して車両を安定させる。
以上のように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置100によれば、駆動力配分装置としてのFI/AT ECU30の異常を検知したうえで、スリップ制御に入るスリップ条件を変更するので、車両CRの挙動を安定させ、操作フィーリングを向上させることができる。特に車両の挙動が大きい場合にスリップ条件の変更量を大きく変更させることで、車両の挙動をより早く安定させ、操作フィーリングをより向上させることができる。また、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置100によれば、車両の左右輪で路面の摩擦係数が異なるいわゆるスプリット路面でスリップ制御する場合にも車両の挙動を安定化させるように働かせることができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施できることはいうまでもない。
例えば、ブレーキの制御は、必ずしも油圧ユニット10によるものには限られず、電磁力によりブレーキを制御する場合でも同様に適用することができる。
本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の構成を示す図である。 実施形態に係る油圧ユニットの液圧回路図である。 実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の機能ブロック図である。 車両用ブレーキ制御装置の動作を説明するフローチャートである。 スリップ条件の変更を説明する制御マップである。 実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置により車両を挙動した例を示すグラフである。 一般的な車両の挙動制御を説明する図であり、(a)が通常時、(b)が駆動力配分装置の異常時を示す。
符号の説明
10 油圧ユニット
20 制御装置
21 挙動制御手段
22 スリップ検知手段
23 異常検知手段
23a 入力手段
23b 異常判定手段
24 スリップ制御手段
24a スリップ条件変更手段
30 FI/AT ECU(駆動力配分装置)
91 車輪速センサ
92 操舵角センサ
93 横Gセンサ
94 ヨーレイトセンサ
95 加速度センサ
100 車両用ブレーキ制御装置
CR 車両

Claims (3)

  1. 各前輪と各後輪に駆動力を配分する駆動力配分装置を備えた車両の、各車輪に設けられた各ブレーキ装置に対し独立に制動力を発生させる制御を行う車両用ブレーキ制御装置であって、
    前記車両の挙動を検知する挙動検知手段により検知された挙動が、走行状態に応じた安定条件を満たすか否かを判定し、満たさないと判定した場合に前記安定条件を満たすように前記ブレーキ装置を制御して前記車両の挙動を安定化させる挙動制御手段と、
    前記各車輪の路面に対するスリップ量を検知するスリップ検知手段と、
    前記スリップ検知手段で検知された前記スリップ量がスリップ条件を満たすか否かを判定し、スリップ条件を満たさないと判定した場合に前記車輪のスリップ量が前記スリップ条件を満たすように前記ブレーキ装置を制御するスリップ制御を行うスリップ制御手段と、
    前記駆動力配分装置の異常を検知する異常検知手段とを備え、
    前記スリップ制御手段は、前記異常検知手段によって異常が検知された場合に、前記スリップ条件を変更するスリップ条件変更手段を有することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
  2. 前記スリップ条件変更手段は、前記異常検知手段によって異常が検知された場合に、前記スリップ制御に移行し易くなるように前記スリップ条件を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ制御装置。
  3. 前記スリップ条件変更手段は、前記挙動検知手段によって検知された車両の挙動の大きさに応じて前記スリップ条件の変更量を大きくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ制御装置。
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