JP2006179792A - 化合物半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチMMICに採用するHEMTは、ゲート電極となるPtの蒸着膜厚を40Å〜60Åにするとよい。しかし、膜厚数十Åの蒸着金属の測定については、通常の触針式の段差計では測定不可能である。膜厚を正確に測定するにはTEM観察しか方法がないが、その準備として試料作成に非常に時間を要する。また1回の測定で数十万円の費用が発生する。
【解決手段】 シート抵抗値と実蒸着膜厚の一義的な相関データを算出しておき、モニターウエハのシート抵抗値からモニターウエハの実蒸着膜厚を換算し、蒸着機を管理する。管理された蒸着機によってHEMTを形成することにより、TEM観察を行うことなく、日常管理において頻繁にかつ迅速に蒸着金属の膜厚を管理できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、化合物半導体装置の製造方法に関わり、特に薄いゲート金属層の膜厚を精度良く測定する化合物半導体装置の製造方法に関する。
HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)に代表されるヘテロ接合を有するデバイスは、GaAs MESFET(Metal Semiconductor FET)、GaAs JFET(Junction FET)と比較して効率性、利得性、歪特性が優れているため、MMICの主流デバイスに成りつつある。
HEMTはMESFETと同様に、ゲート電圧が0Vの場合にチャネルが形成されるか否かによりディプレッション型(以下本明細書ではD型と称する)と、エンハンスメント型(以下本明細書ではE型と称する)があり、これらを1チップに集積化したものも知られている。
図16および図17の断面図を参照し、E型HEMTとD型HEMTを同一基板に集積化した従来の化合物半導体装置の製造方法について説明する。
半絶縁性GaAs基板231上にノンドープのバッファ層232、電子供給層のn+AlGaAs層233、スペーサ層234、チャネル層のノンドープInGaAs層235、スペーサ層234、電子供給層のn+AlGaAs層233、障壁層となるノンドープのAlGaAs層236、キャップ層となるn+GaAs層237の複数の半導体層を積層する。
全面にスルーイオン注入用の第1窒化膜2511を形成し、ボロン(B+)をイオン注入してバッファ層232に達する絶縁化層260を設けることにより、HEMTを構成する動作領域300としての不純物領域が分離される(図16(A))。
次に、オーミック金属層(AuGe/Ni/Au)310を所定のパターンに蒸着し、第1ソース電極315および第1ドレイン電極316を形成する。(図16(B))。
次にキャップ層237の一部をエッチングし、ゲート電極の形成領域に障壁層236を露出させる。全面にゲート金属層320を蒸着した後、リフトオフし、障壁層236とショットキー接合を形成する第1ゲート電極327(D型HEMT)を形成する(図17(A))。同様にE型HEMTの第2ゲート電極の形成領域には障壁層236を露出させ、所定の深さまでエッチング後、ゲート金属層320を蒸着、リフトオフし、第2ゲート電極328を形成する(図17(B))。
所望の形状にパッド金属層(Ti/Pt/Au)330を蒸着、リフトオフし、第2ソース電極335、第2ドレイン電極336を形成する(図17(C))(例えば特許文献1参照。)。
また、図18の如く、ゲート電極GateがコンタクトするノンドープのAlGaAs層(障壁層)およびノンドープのGaAs層(安定層)を複数積層し、それらを選択的にエッチングすることにより、ピンチオフ電圧の異なるE型HEMTとD型HEMTを形成する構造も知られている(例えば非特許文献1参照。)。
更に、図19に示す構造のシングルへテロ接合HEMTも知られている。これは半導体基板1にバッファ層2、チャネル層3、スペーサ層4、キャリア供給層5、ショットキ層6、被覆層7、オーミックコンタクト層8を積層してドレイン電極9、ゲート電極10、ソース電極11を設けたものである。位相ノイズが低いゲート電極構造として、ゲート電極10の最下層金属の一部を動作領域表面に埋め込んで合金層10aを形成した、Pt埋め込みゲート構造を有している(例えば特許文献2参照。)。
上記のオーミック金属層310、ゲート金属層320、パッド金属層330等のような蒸着金属の実際の蒸着膜厚は、一般的には触針式の段差計によって測定している(例えば特許文献3参照)。
特公平1−23955号公報 特開2003−7726号公報 特開平9−22782号公報 田原和弘、他3名、「シングルコントロールSPDTスイッチICの開発」、NEC技報 Vol.55 No.4/2002
HEMTにおいては、ゲート電極底部の高さのばらつきがピンチオフ電圧(以下Vpと称する)のばらつきに影響する。具体的にはゲート電極底部の高さが約10〜15Åばらつくと、HEMTのVpが0.1Vばらつくことになる。一般にHEMTのVpばらつきの許容範囲はD型HEMTもE型HEMTも最大で±0.2V程度である。従ってVpばらつきを最大で±0.2Vの範囲内に収めるためには、ゲート電極底部の高さのばらつきを最大で±20〜30Å程度に抑える必要がある。
ゲート電極底部とは、ゲート電極を構成するゲート金属層の最下部を指す。図17(B)の如くE型HEMTにおいてノンドープAlGaAs層を所定の深さまでエッチングしてゲート電極を蒸着させる場合には、エッチングのばらつきがゲート電極底部のばらつきとなる。一般にエッチングのばらつきを最大で±20〜30Å程度に抑えるのは大変困難である。
また、図18では、要求されるピンチオフ電圧に応じて所定の半導体層を露出するようにエッチングしている。しかし、エンハンスメントとディプレッションのわずか2種類のピンチオフ電圧に対応するため、半導体層(エピタキシャル層)を数層にも渡って複数積層しなければならず、工数が多くなるためウエハのコストが高くなる問題がある。
一方、図19のごとくゲート金属層の最下層(Pt)を埋め込んだ埋め込みゲート構造の場合には、埋め込まれたゲート金属層の一部がゲート電極として機能する。つまり埋め込まれたゲート金属層の底部の高さが、ゲート電極底部と同等となる。
従って、埋め込みゲート構造の場合には埋め込まれたゲート金属層(ゲート電極)の底部の高さのばらつきが、Vpのばらつきに影響する。
詳細は後述するが、埋め込みゲート構造の場合には、Pt蒸着膜厚によってゲート電極の埋め込み深さが決定する。つまり、唯一Pt蒸着膜厚のばらつきによってのみ、HEMTのVpばらつきが発生する。そしてPt蒸着膜厚が薄い方が、Vpばらつきを小さくすることができる。
従って、Pt蒸着膜厚のばらつきを所定の範囲内に常に保持しておく必要がある。このため蒸着プロセスの日常管理が非常に重要である。しかし、HEMTスイッチMMICウエハに限らず、商品となるすべての半導体ウエハそのものについては、ウエハ上に蒸着された金属の膜厚を測定することは不可能である。
なぜなら、通常商品となる半導体ウエハの金属パターンは微細なパターンとなっており金属膜厚の測定が容易ではないためである。また、金属膜厚測定時に商品となるウエハにいかなる機械的な損傷も与えることができないためである。従って蒸着機によって蒸着された金属の膜厚が何Åあるか把握するには、商品となるウエハ以外の、蒸着金属膜厚測定専用のモニターウエハに蒸着し、その膜厚を測定するのが一般的である。
蒸着金属の膜厚は、一般的には上記の特許文献3の如く触針式の段差計で測定される。蒸着金属は通常千Å以上であるため、モニター用の蒸着金属を測定可能な程度の大きさにパターンニングしておくことで、段差計によって十分膜厚の測定が可能である。
前述の如くHEMTスイッチMMICのゲート電極については、Vpばらつきを小さくする必要から、Pt蒸着膜厚を数十Å以下にすることが望ましい。しかし膜厚数十Åの蒸着金属の膜厚測定については、通常の段差計では測定不可能である。膜厚を直接正確に測定するにはTEM(Transmission Electron Microscopy)観察しか方法がないが、その準備として試料作成に非常に時間を要する。またTEM装置は高価で、取り扱いに高度な専門的知識と技能が要求されるため、保有、維持管理などができず、TEM観察を外部委託するケースが多い。その場合1回の測定で数十万円の費用が発生する。
蒸着プロセスの日常管理においては、頻繁にかつ迅速に蒸着金属の膜厚測定をする必要があるため、TEM観察を採用することはできない。
本発明は上述した諸々の事情に鑑み成されたもので、第1に、第1基板に少なくとも1つの金属による第1金属層を蒸着し、トランジスタを形成する化合物半導体装置の製造方法において、前記1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程と、前記第2基板のシート抵抗値を測定し、該シート抵抗値に基づいて該第2金属層の実蒸着膜厚を測定し前記1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程と、前記蒸着機で前記第1基板に前記第1金属層を蒸着しトランジスタを形成する工程と、を具備することにより解決するものである。
第2に、半導体基板上に複数の半導体層を積層した第1基板に、少なくとも1つの金属による第1金属層を含むゲート金属層を蒸着し、HEMTを形成する化合物半導体装置の製造方法において、前記1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程と、前記第2基板のシート抵抗値を測定し、該シート抵抗値に基づいて該第2金属層の実蒸着膜厚を測定し前記1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程と、前記第1基板にオーミック金属層を蒸着し、所定のパターンの第1ソース電極および第1ドレイン電極を形成する工程と、前記蒸着機で前記第1基板に前記ゲート金属層を蒸着しゲート電極を形成する工程と、前記第1基板の前記第1ソース電極および第1ドレイン電極上にパッド金属層を蒸着し、第2ソース電極および第2ドレイン電極を形成する工程と、を具備することにより解決するものである。
本実施形態によれば、第1に、膜厚数十ÅのPtの蒸着膜厚を高精度に管理することができる。すなわち製品となるウエハのゲート金属層を構成するPtと同程度の膜厚設定によりPtをモニターウエハ全面に蒸着する。そして渦電流を利用したシート抵抗測定器を用いることによりモニターウエハの蒸着金属のシート抵抗値を測定する。これにより、非接触で、且つ数十秒という短時間で蒸着金属のシート抵抗値が測定できる。シート抵抗値と実蒸着膜厚には一義的な相関関係がある。つまり予めその相関データを算出しておくことにより、毎回TEM観察を行うことなく、モニターウエハのシート抵抗値からモニターウエハの実蒸着膜厚を換算できる。
モニターウエハの実蒸着膜厚と膜厚設定値との差が規格内である場合、蒸着機の状態は問題ないと判断できる。従って、その状態の蒸着機でゲート金属層が蒸着されたHEMTの蒸着膜厚は規格内に収まると判断できる。
更に、数十Åの膜厚のPtのシート抵抗値は数十Ω/□から200Ω/□の間の値を示す。そしてシート抵抗値が数十Ω/□〜200Ω/□の場合、通常化合物半導体製造工場でイオン注入層の活性化率を測定するのに使用しているシート抵抗測定器の測定精度は±1〜2%である。つまり本実施形態ではモニターウエハのシート抵抗値を実蒸着膜厚に換算することにより、製品となるHEMTの数十Åのゲート金属蒸着膜厚を非常に高い精度で測定することができる。
第2に、シート抵抗測定器は、イオン注入型FETのプロセスにおいてイオン注入領域の活性化率をモニタするためにGaAsウエハ生産ラインに通常備えつけてあるシート抵抗測定器である。従ってPtの蒸着膜厚を管理するための新たな投資は必要ない。また、シート抵抗値とPtの蒸着膜厚との関係は一義的に決まっているので、一度相関関係のデータを取得しておけば、その相関式または相関グラフを使って測定したシート抵抗値から簡単にPt蒸着膜厚を計算することができる。
すなわち、蒸着プロセスの日常管理において、頻繁にかつ迅速に蒸着金属の膜厚の管理を行った、化合物半導体装置の製造方法を提供できる。
以下に図1から図15を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態は、化合物半導体基板に金属層を蒸着し、トランジスタを形成する化合物半導体装置の製造方法に適用できる。以下、好適な実施形態としてE型HEMTとD型HEMTを同一基板に集積化した化合物半導体装置の製造方法を例に説明する。
本実施形態のHEMTは、ゲート電極を構成するPtの蒸着膜厚が数十Åと薄い膜厚を有している。そこでまずその理由について説明する。
図1を参照し、本実施形態の構造について説明する。図1は、本実施形態のHEMTの構造を示す図であり、半導体基板に複数の半導体層を積層し、ディプレッション型(以下
D型)HEMTとエンハンスメント型(以下E型)HEMTを1チップに集積化したものである。
例えば、D型HEMT150により構成される高周波アナログ信号をスイッチングするスイッチ回路と、ロジック回路を同一基板に集積化する。ロジック回路は、E型HEMT160およびスイッチ回路のD型HEMT150と同じ構造のD型HEMT(またはE型HEMT160および抵抗)により構成された例えばインバータである。
なお、図1(A)はロジック回路の一例としてE/D型DCFL(Direct Coupled FET Logic)と呼ばれるインバータの平面パターン図であり、図1(B)は図1(A)のa−a線断面図である。尚、スイッチ回路は図1のD型HEMT150を複数組配置したFETにより構成され、断面構造はD型HEMT150部分と同様であるので図示は省略する。
D型HEMT150はパッド金属層よりなる第2ソース電極135と第2ドレイン電極136間に第1ゲート電極127が配置される。第2ソース電極135および第2ドレイン電極136の下方にはオーミック金属層よりなる第1ソース電極115及び第1ドレイン電極116が配置され、破線で示す動作領域100内のソース領域37sおよびドレイン領域37dとコンタクトする。第1ゲート電極127は第2ソース電極135および第2ドレイン電極136間に配置され、動作領域100外で第2ドレイン電極136に接続する。
E型HEMT160はパッド金属層よりなる第2ソース電極135と第2ドレイン電極136が交互に配置され、その間に第2ゲート電極128が配置される。E型HEMT160の端部の第2ドレイン電極136(第1ドレイン電極116も同様)はD型HEMT150と共用している。
図1(B)のごとく、HEMTの基板は、半絶縁性GaAs基板31上に複数の半導体層を積層してなる。複数の半導体層は、ノンドープのバッファ層32、電子供給層33、チャネル(電子走行)層35、第1ノンドープ層36、第2ノンドープ層38、キャップ層37である。チャネル層35の上下には電子供給層33が配置され、さらにチャネル層35と電子供給層33間にはスペーサ層34が配置される。
このようにチャネル層35の上下の層に電子供給層33を配置するダブルへテロ接合構造とすることにより、キャリア密度が増えオン抵抗Ronを非常に小さくできる。
バッファ層32は、不純物が添加されていない高抵抗層であり、その膜厚は、数千Å程度である。障壁層となる第1ノンドープ層36は、電子供給層33と当接してその上に設けられる。すなわち安定層38と電子供給層33間に配置され、所定の耐圧とピンチオフ電圧を確保している。障壁層36はノンドープのAlGaAs層であり膜厚は150Åである。安定層である第2ノンドープ層38は、第1ノンドープ層36と当接してその上に設けられ、酸化しにくいため外部からの化学的ストレスに強く信頼性上安定なノンドープInGaP層であり、膜厚は100Å程度である。又、安定層38はエッチストップ層としても機能する。更にキャップ層となるn+GaAs層37を最上層に積層する。キャップ層37の厚みは600Å以上、不純物濃度は、2×1018cm−3以上であり、好適には膜厚が1000Å程度、不純物濃度が3×1018cm−3以上である。電子供給層33は、チャネル層35よりバンドギャップが大きい材料が用いられる。また、電子供給層33のn+AlGaAs層のn型不純物(例えばSi)の不純物濃度は、Vp、オン抵抗Ron、耐圧に関係するが本実施形態では2.6×1018cm−3とする。
そして、このような構造により、電子供給層33であるn+AlGaAs層のドナー不純物から発生した電子が、チャネル層35側へ移動し、電流パスとなるチャネルが形成される。この結果、電子とドナー・イオンは、ヘテロ接合界面を境として空間的に分離されることになる。電子はチャネル層35を走行するが、チャネル層35にはドナー・イオンが存在しないためクーロン散乱の影響が非常に少なく、高電子移動度を持つことができる。
キャップ層37は、所望の形状にパターンニングされ、第1ソース電極115および第1ドレイン電極116がそれぞれコンタクトするソース領域37s、ドレイン領域37dとなる。第1ソース電極115および第1ドレイン電極116上には、パッド金属層130で形成される第2ソース電極135、第2ドレイン電極136がそれぞれコンタクトする。第1ゲート電極127および第2ゲート電極128は、ソース領域37s、ドレイン領域37d間に配置される。
また、本実施形態の安定層38は、E型HEMTではその上層のキャップ層37と同じパターンでエッチングされているがD型HEMTではエッチングされていない。
図1(A)のごとくHEMTの動作領域100は、バッファ層32に達する絶縁化層(ここでは不図示)を設けて分離することにより設けられる。以下、動作領域100とは、絶縁化層で分離され、HEMTのソース電極115、135、ドレイン電極116、136およびゲート電極127、128が配置される領域の半導体層をいう。すなわち電子供給層33、チャネル(電子走行)層35、スペーサ層34、障壁層36、安定層38、キャップ層37などのHEMTを構成する各半導体層をすべて含んだトータルとしての領域を動作領域100とする。
第1ゲート電極127は、ソース領域37sおよびドレイン領域37d間の動作領域100の安定層38表面に蒸着により形成されるが、蒸着金属の最下層金属(Pt:白金)の一部は熱処理により動作領域100表面に埋め込まれる。埋め込まれたPt(以下この領域を埋め込み部127bと称する)も第1ゲート電極127として機能し、その底部は障壁層36に達している。つまり、第1ゲート電極127および埋め込み部127bは安定層38および障壁層36とショットキー接合を形成する。
また、第2ゲート電極128は、ソース領域37sおよびドレイン領域37d間に露出した動作領域100の障壁層36表面に蒸着により形成されるが、蒸着金属の最下層金属(Pt)の一部は熱処理により動作領域100表面に埋め込まれる。埋め込まれたPt(以下この領域を埋め込み部128bと称する)も第2ゲート電極128として機能し、その底部は障壁層36中にある。つまり、第2ゲート電極128および埋め込み部128bは障壁層36のみとショットキー接合を形成する。
そして、第1ゲート電極127と、その両側のソース領域37s、第1ソース電極115、第2ソース電極135およびドレイン領域37d、第1ドレイン電極116、第2ドレイン領域136によりD型HEMT150が構成される。同様に、第2ゲート電極128と、その両側のソース領域37s、第1ソース電極115、第2ソース電極135およびドレイン領域37d、第1ドレイン電極116、第2ドレイン領域136によりE型HEMT160が構成される。
D型HEMT150の第1ゲート電極127は例えばPt/Mo(モリブデン)のゲート金属層120aを蒸着してなり、これらの蒸着膜厚はPtが45Å、Moが50Åである。そして、埋め込み部127bの深さは108Åであり、その底部は安定層38を貫通し、障壁層36内に位置する。これにより、ピンチオフ電圧Vp=−0.8Vを実現している。
E型HEMT160の第2ゲート電極128は例えばPt/Moのゲート金属層120bを蒸着してなり、これらの蒸着膜厚はPtが55Å、Moが50Åである。そして、埋め込埋め込み部128bの深さは132Åであり、その底部は障壁層36内に位置する。これにより、ピンチオフ電圧Vp=+0.2Vを実現している。
尚、安定層38の厚みや埋め込み部127bの底部の位置はVpの値に応じて適宜選択する。例えば安定層38を厚くし、埋め込み部127bの底部を安定層38内に位置させることにより、Vpを大きくすることができる。
このように、図1(B)の構造では、Ptを含む多層金属(例えばPt/Mo)よりなるゲート金属層120を蒸着し、第2ノンドープ層である安定層38表面に第1ゲート電極127を蒸着することによりD型HEMT150を形成する。また、安定層38をエッチングして第1ノンドープ層である障壁層36表面に第2ゲート電極128を蒸着することにより、E型HEMT160を形成する。
そして、Vpに応じて、第1埋め込み部127b、第2埋め込み部128bの底部を障壁層36内の所定の深さに位置させる。埋め込み部はゲート電極として作用するため、実質的に蒸着金属よりなる第1ゲート電極127および第2ゲート電極128の底部をそれぞれの埋め込み部127b、128bの厚み分だけ深い位置に設けたことと同等となる。
電子供給層33の設計はスイッチ回路を構成するD型HEMT150が最大限の特性が得られるよう設計されている。そこで同一基板に集積化されるE型HEMT160が所定のVpの値を得るには、E型HEMT160の第2ゲート電極128を形成する電子供給層33の上のノンドープのAlGaAs層(障壁層)36の膜厚と、ゲートのPt蒸着厚みをコントロールする必要がある。
ところで、Vpを決定する埋め込み部の底部の位置とPtの蒸着膜厚には、以下の関係がある。
すなわち、Pt蒸着膜厚がある一定の膜厚以下であれば埋め込み部の深さは常に蒸着膜厚の2.4倍となり、リニアな特性を示す。一方、一定の蒸着膜厚以上になると埋め込み部の深さが飽和傾向を示す。この一定の蒸着膜厚とは、約110Åである。したがって、蒸着膜厚が約110Å以下であれば、Ptの蒸着膜厚のみでリニアに埋め込み部の深さを制御することができ、すなわちVpの制御が可能となる。
このようなことから、ゲート電極にPt埋め込み構造を採用したHEMTを設計する際は、生産ばらつきも考慮してPt蒸着膜厚設定を100Å以下とするとよい。一方で、EB蒸着機での蒸着においてPt蒸着はかなり大きなパワーを必要とする。これは、Ptの薄過ぎる膜厚の蒸着は膜厚の制御性が悪いことを意味する。つまりPt蒸着膜厚を40Åより薄くすると、蒸着そのものが数秒で終わってしまう。蒸着開始直後は蒸着膜厚のレート(1秒間に蒸着される膜厚)が不安定なため、逆に蒸着膜厚のばらつきが大きくなってしまう。
すなわち、Pt蒸着膜厚が40Å以上100Å以下であれば、Pt蒸着膜厚で埋め込み部の底部の位置を制御することができ、Vpを容易にかつ再現性良く制御することが可能となる。
ここで、スイッチMMICにおいてスイッチ回路のリニアリティ特性を向上させるには、スイッチ回路を構成するD型HEMTのVpばらつきを小さくすることが望ましい。またロジック回路を構成するE型HEMTのVpばらつきを小さくすることによってもスイッチMMICのリニアリティ特性を向上させることができる。一般的にVpばらつきの許容範囲は、D型HEMTおよびE型HEMT共に±0.2V程度である。
Vpのばらつきを低減するには、埋め込み部の底部の位置のばらつきを低減すればよい。ところで蒸着膜厚の生産ばらつきは常に最大で±10%である。そして蒸着膜厚が厚くなるとそのばらつきも大きくなる。
すなわちPtの蒸着膜厚が厚い程、膜厚のばらつきはその10%であるため大きくなる。さらに埋め込み部は蒸着膜厚の2.4倍となるため、蒸着膜厚が厚いほど埋め込み部の底部の位置のばらつきが大きくなる。すなわちVpのばらつきを低減するには、Pt蒸着膜厚を低減すればよい。
前述の如くスイッチMMICを構成するE型HEMT160およびD型HEMT150は、共にVpばらつきが小さい方が望ましい。従って第1ゲート電極127、第2ゲート電極128の蒸着膜厚はともに薄くする方がよい。
そこで、Pt蒸着膜厚は、40Å〜100Åの範囲内でなるべく上限の蒸着膜厚を薄くし、例えば蒸着膜厚を40Å〜60Åとする。
上限を60Åとした理由は以下の通りである。HEMTにおいて、埋め込み部の底部のばらつきの約10〜15ÅがHEMTのVpばらつき0.1Vに相当する。Pt蒸着膜厚がもっとも厚い60Åの場合に、Vpばらつきを計算すると、±0.096[V](60Å×0.1×2.4×(0.1V/15Å))〜±0.144V(60Å×0.1×2.4×(0.1V/10Å))となる。つまり、60Å以下であればPt蒸着の生産ばらつき±10%を考慮してもVpばらつきをD型HEMT、E型HEMT共に要求される±0.2V以内に収めることができる。
また、蒸着膜厚を40Å〜60Åの範囲に設定すると言うことは、Pt蒸着厚みを40Å〜60Åの幅で微調整できることを意味する。つまり、20Å程度の自由度があるため、D型HEMTの第1埋め込み部127bの底部を、安定層38中に位置させるか、障壁層36中に位置させるか、またはそれぞれの層の中のどの位置に持っていくかまでをある程度自由に選択することができる。
つまり、ノンドープInGaP層38の膜厚を最適化することにより、Vpの基本設計はエピタキシャル層の膜厚設定で行い、Pt蒸着厚み設定によってVpの微調整が可能となる。このとき蒸着膜厚が40Å〜60Åであれば、微調整を行ってもVpばらつきの要求規格に収めることができる。
つまり、図1(B)に示すHEMTにおいては、ゲート金属層120のPtの蒸着膜厚が40Å〜60Åとなるように、正確な膜厚で蒸着することが重要である。しかし、膜厚数十Åの蒸着金属の膜厚測定については、通常の段差計では測定不可能である。そこで、本実施形態では、化合物半導体装置の製造方法において、ゲート金属層120の蒸着プロセスの日常管理を工夫した。これにより、頻繁にかつ迅速に薄い蒸着膜厚のゲート金属層のPt膜厚を管理したHEMTの製造方法を提供することができる。
以下、本実施形態の化合物半導体装置の製造方法について、図2〜図15を参照して説明する。
化合物半導体装置の製造方法は、
半導体基板上に複数の半導体層を積層した第1基板に、少なくとも1つの金属による第1金属層を含むゲート金属層を蒸着し、HEMTを形成する化合物半導体装置の製造方法であって、1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程と、第2基板のシート抵抗値を測定し、シート抵抗値に基づいて第2金属層の実蒸着膜厚を測定し1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程と、第1基板にオーミック金属層を蒸着し、所定のパターンの第1ソース電極および第1ドレイン電極を形成する工程と、蒸着機で第1基板にゲート金属層を蒸着しゲート電極を形成する工程と、第1基板の第1ソース電極および第1ドレイン電極上にパッド金属層を蒸着し、第2ソース電極および第2ドレイン電極を形成する工程と、から構成される。
第1工程(図2):1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程。
本実施形態では第1基板と第2基板を準備する。第1基板は半導体基板上に複数の半導体層を積層し、少なくともPtを含むゲート金属層が蒸着されてHEMTが形成されるウエハ70である。
一方、第2基板はモニターウエハ80である。モニターウエハ80は、ウエハ70のゲート金属層を蒸着する蒸着機21と同じ蒸着機21内に配置される。そしてその表面にPtを蒸着し、モニター用金属層220を形成する。なお、モニターウエハ80は、モニター用金属層220のシート抵抗値を測定するため、ウエハ内を電流が流れないよう、例えばGaAs半絶縁性基板などの絶縁基板である必要がある。ゲート金属層のPtの蒸着膜厚の設定値は、機種により、またE型HEMTかD型HEMTかにより40〜60Åの幅で変化させる。一方、モニターウエハ80に蒸着するモニター用金属層220のPtの蒸着膜厚は常に例えば50Åに設定する。モニター用金属層220のPtの蒸着膜厚を50Åに固定しておくことにより蒸着機21の経時変化を容易に把握することができる。
蒸着機21は、その内部に例えば自転および公転のできるウエハ支持装置22が配置され、ウエハ支持装置22にモニターウエハ80がセットされる。真空ポンプ24により圧力を下げ、ウエハ支持装置22を回転させながら蒸発源23から蒸発するPtをモニターウエハ80表面に蒸着する。
第2工程(図3から図9):第2基板のシート抵抗値を測定し、シート抵抗値に基づいて第2金属層の実蒸着膜厚を測定し1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程。
図3はシート抵抗測定器を示す概要図である。図3(A)はシート抵抗測定器25の概要図であり、図3(B)はウエハの抵抗値を測定している状態のシート抵抗測定器25を示す。
シート抵抗測定器25は、イオン注入領域の活性化率をモニターするためにGaAsウエハ生産ラインに通常備えつけてあり、渦電流によってシート抵抗値を測定するものである。
シート抵抗測定器25は、LC共振回路の2つの高周波コイル26間に磁場が発生している。磁場中に金属を蒸着したウエハを配置すると、蒸着金属に渦電流が流れる。そしてウエハを配置する前後において合成インダクタンスが変化するため、その変化に伴う電圧の変化を測定する。
つまり、図3(B)のごとくモニターウエハ80をシート抵抗測定器25にセットし、シート抵抗測定器25を動作させる。これによりコイルの合成インダクタンスが図3(A)と図3(B)で変化する。この合成インダクタンスの変化に伴い高周波コイル26の両端の電圧VがV’に変化する。このように、非接触で、且つ数十秒という短い時間でモニター用金属層220のシート抵抗値を非常に容易に測定することができる。
そして、測定したモニター用金属層220のシート抵抗値を、予め算出した相関データに基づいて、モニター用金属層220の実際の蒸着膜厚(以下実蒸着膜厚と称する)に換算する。
図4は、Ptの蒸着膜厚とシート抵抗値の相関関係を示す図であり、理科年表に掲載されている0℃のPtの抵抗率に基づいて依存性をプロットしたものである。図におけるPtは、例えばバルクなどのPt単結晶における抵抗値である。このように、シート抵抗値とPtの蒸着膜厚との関係は一義的に決まっている。モニター金属層220のように、蒸着されたPtは完全な単結晶ではなく、単結晶より結晶がポーラスなため、抵抗値が大きくなる。また蒸着開始時に蒸着された膜質と蒸着開始後しばらく時間が経過してから蒸着された膜質とでは抵抗率が異なる。しかしこの場合でも、シート抵抗値とPtの蒸着膜厚には一義的に決まる相関関係がある。
つまり、Ptの実蒸着膜厚とシート抵抗値の相関関係を予め取得しておくことにより、その相関関係のデータ(以下相関データと称する)を使って測定したシート抵抗値を簡単にPt蒸着膜厚に換算することができる。
図5に相関データの取得方法を説明する。
まず、ウエハ70の蒸着を行う蒸着機21で、絶縁基板にPtを蒸着したサンプルウエハ81a、サンプルウエハ81bを作成する。サンプルウエハ81a、81b表面には同じ蒸着機21で、同じ蒸着膜厚設定でPtを蒸着し、それぞれサンプル用金属層230a、230bが形成される。サンプルウエハ81aはシート抵抗値を測定するために使用する。また、サンプルウエハ81bは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:以下TEM)によるPtの断面観察に用いる(図5(A))。
ここでも、サンプルウエハ81aはウエハ内を電流が流れないよう、例えばGaAs半絶縁性基板などの絶縁基板である必要がある。
そしてPt(サンプル用金属層230a、230b)の蒸着膜厚を例えば35Å、50Å、65Åの3種類に設定して3回の蒸着を行い、サンプルウエハ81aおよびサンプルウエハ81bともそれぞれ3種類作成する。このとき蒸着機の蒸着膜厚制御は蒸着機のチャンバー内に通常配置されている水晶振動子を使用した膜厚測定により行う。次にサンプルウエハ81bをカットして断面TEM観察を行い、3種類のサンプル用金属層230bの実蒸着膜厚sdを測定する。TEM観察は200万倍の倍率で観察できるため、高精度にPt(サンプル用金属層230b)の実蒸着膜厚sdを測定できる(図5(B))。
一方サンプルウエハ81aは渦電流測定によるシート抵抗測定器25でサンプル用金属層230aのシート抵抗値をそれぞれ測定する(図5(C))。
その後サンプルウエハ81aおよびサンプルウエハ81bのそれぞれ3種類のデータを使い、サンプルウエハ81bのサンプル用金属層230b実蒸着膜厚sdのデータをx軸に、サンプルウエハ81aのサンプル用金属層230aのシート抵抗値のデータをy軸にして相関グラフを作成する。
図6はこのように作成した相関グラフである。測定値は上述の3点で、その3点から相関線を引いた。35Å、50Å、65Åの3種類に設定して3回の蒸着を行ったサンプルウエハ81bの、サンプル用金属層230bの膜厚をそれぞれTEMで測定したところ、47Å、60Å、73Åであった。これは蒸着膜厚制御に通常の水晶振動子を使用したが、膜厚設定と実蒸着膜厚に10Å程度のずれが生じたことを示す。また図6の蒸着したPtの相関グラフは図4のバルクのPtの相関グラフに比べシート抵抗値が大きくなっている。その理由は蒸着されたPtは単結晶ではなく、単結晶より結晶がポーラスなためである。また蒸着開始時に蒸着された膜質と蒸着開始後しばらく時間が経過してから蒸着された膜質とでは抵抗率が異なっている。図6の相関グラフにより、あらゆるPtのシート抵抗測定値について、そのときのPtの実蒸着膜厚sdが何Åであるか、換算することができる。
この相関データは1回作成しておけばよい。TEM観察を行うには、試料作成に非常に時間を要し、外部委託すると1回の測定で数十万円の費用が発生する。しかし、図6の相関データを一度取得しておけば、相関データはその後同じ蒸着機21で蒸着するPt蒸着膜厚の管理に何度でも利用できる。
この相関データに基づいて、図3(B)で測定したモニター金属層220のシート抵抗値を、実蒸着膜厚に換算する。そして、蒸着膜厚の設定値と、モニター金属層220の実蒸着膜厚とを比較する。例えば、本実施形態のモニター金属層220の蒸着膜厚の設定値は50Åである。そしてシート抵抗値から換算した実蒸着膜厚が、設定値の例えば±10%などの規格内であれば、その蒸着機21は正常な蒸着が行えることになる。従って、その蒸着機21でウエハ70に蒸着されたゲート金属層120aは、正常な値で蒸着されたと判断できる。また、モニター金属層220の実蒸着膜厚が規格の範囲を逸脱する場合には、蒸着機21のメンテナンスを行うなどして正常な状態に戻すことにより蒸着機を日常的に管理する。
更に、図7には渦電流測定によるシート抵抗測定器25の測定精度を示す。このシート抵抗測定器はイオン注入型FETプロセスにおいて、イオン注入層の活性化率を測るために、通常GaAsの生産ラインに備えつけてある測定器である。図7はその測定器の仕様書のデータである。図6のPtシート抵抗値のPt蒸着膜厚依存性によれば、数十Åの膜厚のPtのシート抵抗値は数十Ω/□から200Ω/□の間の値を示す。そして、図7によれば、シート抵抗値が数十Ω/□〜200Ω/□の場合のシート抵抗測定の測定精度は±1〜2%と非常に高い精度である。つまり、シート抵抗測定器25では、Ptの蒸着膜厚が数十Å程度であれば、±1〜2%と非常に高い精度で測定することができる。
一方GaAsMMICやSiMMICにおいてはAuを電極、配線およびパッドに使用するが、本実施形態におけるスイッチMMICのゲート金属層以外のAuの蒸着は通常千Å以上の厚みである。
図8はAuのシート抵抗値と蒸着膜厚の依存性を示す。これは理科年表に掲載されている0℃のAuの抵抗率に基づいて依存性をプロットしたものである。図の如くAuの蒸着厚みは1000Åを超えてしまうとシート抵抗値は0.2Ω/□以下となる。図8におけるAuはバルクなどのAu単結晶における抵抗値であるため、蒸着されたAuのシート抵抗値は、Ptの図4と図6の違いと同様に、図8の数倍となる。しかし0.2Ω/□の数倍として1Ω/□以下のシート抵抗値は、図7によればシート抵抗測定器25では測定することはできない。
1Ω以下のシート抵抗値を測定できるシート抵抗測定器も市販されているが、そのシート抵抗測定器はイオン注入層の活性化率を測定するシート抵抗測定器とは仕様が異なる。すなわち1Ω以下のシート抵抗値を測定するには、別仕様のシート抵抗測定器を新たに購入する必要がある。
すなわち、本実施形態の実蒸着膜厚の測定方法は、数十Åの蒸着膜厚のPtの測定に好適であり、非常に高い精度で測定できる。更に、シート抵抗測定器はGaAsウエハ生産ラインに通常備えつけてある。従ってPtの蒸着膜厚を管理するための新たな投資を必要としない。
尚、スイッチMMICのゲート電極には、交流接地となる制御端子の直流電位に対してゲート電極を介して高周波信号が漏出することを防止する目的で10KΩ程度以上のコントロール抵抗が直列に接続されているため、ゲート電極そのものの抵抗値を低くする必要は無い。
従って、スイッチMMICに採用されるHEMTでは、ゲート電極として数百〜千Åの蒸着は必要無く、図1(B)のごとく数十Å〜百Å程度で十分である。これはPt埋め込みゲート構造のイオン注入型FETのよるスイッチMMICの場合についても同様である。埋め込みゲート構造の場合、埋め込みに使用するPtの上にはMoが蒸着されるが、その膜厚は50Å程度で十分であり、これ以上厚くすると応力が発生する。
モニターウエハ80のモニター用金属層220が、蒸着膜厚の設定値に対して正常な実蒸着膜厚を有している場合には、以下の工程によって同じ蒸着機21内でウエハ70にゲート金属層120を蒸着するなどし、HEMTを形成する。
第3工程(図9):第1基板にオーミック金属層を蒸着し、所定のパターンの第1ソース電極および第1ドレイン電極を形成する工程。
第1基板は、半絶縁性GaAs基板31上に複数の半導体層が積層され、HEMTが形成されるウエハ70である。
半導体層は、バッファ層32、電子供給層33、チャネル(電子走行)層35、電子供給層33、障壁層36、安定層38、キャップ層37であり、電子供給層33とチャネル層35間には、スペーサ層34が配置される。
ノンドープのバッファ層32は、不純物が添加されていない高抵抗層であり、その膜厚は、数千Å程度で、複数の層で形成される場合が多い。
バッファ層32上に、電子供給層のn+AlGaAs層33、スペーサ層34、チャネル層のノンドープInGaAs層35、スペーサ層34、電子供給層のn+AlGaAs層33を順次形成する。電子供給層33は、チャネル層35よりバンドギャップが大きい材料が用いられ、n型不純物(例えばSi)が2〜4ラ1018cm−3程度(例えば2.6×1018cm−3)に添加されている。
障壁層36は、所定の耐圧とピンチオフ電圧を確保するため、電子供給層33上に積層され、電子供給層33と格子整合するノンドープAlGaAs層である。その上層に酸化しにくいため外部からの化学的ストレスに強く信頼性上安定な安定層38を設ける。安定層38は、障壁層36と格子整合するノンドープInGaP層であり、エッチストップ層としても機能する。更にキャップ層となるn+GaAs層37を最上層に積層する。安定層38はキャップ層37とも格子整合する。このように格子整合することにより結晶に歪みが発生することによるスリットなどの結晶欠陥を防止できる。
安定層38は、100Åの膜厚であり、その下層の障壁層36は、150Åの膜厚である。また、キャップ層37は、1000Åであり、不純物濃度は、3×1018cm−3以上である。
そして、基板全面に、初期窒化膜50を堆積する。初期窒化膜50は、ウエハ投入後の基板表面の保護膜となる。または、後の工程で絶縁化層を形成する際に注入される不純物の活性化アニールの保護膜となる。あるいは、これらの両方に共用される。
レジスト(不図示)を設けてフォトリソグラフィプロセスによりアライメントマークのパターンが開口されたマスクを形成する。このマスクにより初期窒化膜50およびキャップ層37の一部をエッチングしてアライメントマーク(不図示)を形成する。
レジスト除去後新たなレジスト(不図示)を設けてフォトリソグラフィプロセスにより絶縁化層を形成するためのマスクを形成する。初期窒化膜50上からボロン(B+)をイオン注入し、レジストを除去した後、500℃、30秒程度のアニールを行う。これにより、バッファ層32に達する絶縁化層60が形成される。
絶縁化層60は、電気的に完全な絶縁ではなく、不純物(B+)をイオン注入することによりエピタキシャル層にキャリアトラップを設け、絶縁化した領域である。つまり、絶縁化層60にもエピタキシャル層として不純物は存在しているが、絶縁化のためのB+注入により不活性化されている。
すなわち、所定のパターンに絶縁化層60を形成することにより、HEMTの動作領域や、他の構成要素を分離する。
ここで、動作領域100とは、絶縁化層60で分離され、HEMTの第1ソース電極115、第2ソース電極135、第1ドレイン電極116、第2ドレイン電極136およびゲート電極127、128が配置される領域の半導体層をいう。第1ソース電極115および第1ドレイン電極116がコンタクトするキャップ層37は、後の工程で分離されてソース領域37s、ドレイン領域37dとなる。
すなわち電子供給層33、チャネル(電子走行)層35、スペーサ層34、障壁層36、安定層38、キャップ層37などのHEMTを構成する各半導体層をすべて含んだトータルとしての領域を動作領域100とする。(図9(A))
その後、全面の初期窒化膜50を除去する。表面には、キャップ層37が露出する。本工程で、ウエハ投入後表面の保護のために堆積した初期窒化膜50および/又は絶縁化層60のイオン注入の活性化アニールの際の保護膜として堆積した初期窒化膜50が除去される。従来は、この窒化膜をゲート電極形成のマスクとして利用していたが、本実施形態では後の工程で新たにゲートのリセスエッチングのためのマスクとなる窒化膜を堆積する。本工程で初期窒化膜50を全面除去することにより、後の窒化膜を均一な膜厚に形成することができる(図9(B))。
新たなレジストPRを全面に塗布し、フォトリソグラフィプロセスによりオーミック電極を形成するためのマスクを形成する。そして全面にオーミック金属層110(AuGe/Ni/Au)を蒸着する。
その後、リフトオフし、アロイする。これにより、HEMTの動作領域100の一部にコンタクトする第1ソース電極115および第1ドレイン電極116が形成される。
その後、全面に、第1窒化膜511を形成する。この第1窒化膜511は、ゲートのリセスエッチングのマスクとなる。第1窒化膜511は、ほぼ均一な膜厚および膜質で、第1ソース電極115および第1ドレイン電極116の表面および側面と、これらの付近のキャップ層37に密着して被覆する。すなわち第1ソース電極115(第1ドレイン電極116も同様)とキャップ層37の段差はまんべんなく覆われる。つまり、従来のスルーイオン用窒化膜2511(ゲート電極形成のマスクとなる窒化膜)と、第1ソース電極315(第1ドレイン電極316)間に形成される隙間を防止できる。
従って、以降の製造工程中、またはウエハ完成後において薬液及び水分から、第1ソース電極115および第1ドレイン電極116電極の付近のキャップ層37表面を完全に保護することができる。これによりガルバニック効果の発生を防止できる。
また、第1窒化膜511は、最終構造(図1(B))において第1ソース電極115および第2ソース電極135(ドレイン電極も同様)の周囲を被覆する窒化膜51を構成する(図9(C))。
第4工程:(図10から図13):蒸着機で第1基板にゲート金属層を蒸着しゲート電極を形成する工程。
D型HEMTの第1ゲート電極形成のために新たなレジストPRを設ける。フォトリソグラフィプロセスにより第1ゲート電極の形成領域がパターンニングされたマスクを形成する。そして、マスクの開口部分に露出した第1窒化膜511を除去して開口部OPを形成する。この開口部OPの開口幅がゲート長となる(図10(A))。
その後、ゲートのリセスエッチングを行う。すなわち第1窒化膜511の開口部OPに露出したキャップ層37を更にウェットエッチングにより除去する。開口部OPには安定層(第2ノンドープ層)であるノンドープInGaP層38が露出する。
また、キャップ層37は耐圧を確保するため、開口部OPより大きい所定の寸法にサイドエッチングされる。所定の寸法とは、例えば後に形成されるゲート電極から0.3μmの距離である。このときキャップ層のGaAs層とその下の安定層のInGaP層とは選択エッチングされるため、サイドエッチングの際InGaP層がエッチングされることは無い。キャップ層37のエッチングにより動作領域100のキャップ層37が分離される。また、キャップ層37のサイドエッチングにより、キャップ層37の端部から開口部OP付近の第1窒化膜511が張り出したひさし部となる。このひさし部は表面にレジストが密着しているため、裏側からプラズマエッチングにより除去する。このとき、ドライエッチングのプラズマにさらされる動作領域100表面は安定なInGaP層38で覆われているため、動作領域100にダメージを与えずに、エッチングができる。また、ドライエッチングであるので、ひさし部のみ除去することができ、第1窒化膜511はオーバエッチングされることはない(図10(B))。
そして、図11のごとくレジストPRにより所定のパターンが開口したマスクを設け、モニターウエハ80の蒸着を行った蒸着機21によって、ウエハ70全面にゲート金属層120aを蒸着する。
ゲート金属層120aは、例えばPt/Moであり、蒸着膜厚の設定値は、Ptが45Å、Moが50Åである(図11(A))。
蒸着機21は第2工程において、モニターウエハ80のモニター用金属層220(Pt)のシート抵抗値の測定により、正常な蒸着が行えるよう管理されている。従って、ウエハ70のゲート金属層120aも、正常な蒸着が行える。
その後、リフトオフし、動作領域の電子供給層に連続する安定層38表面にD型HEMTを構成する第1ゲート電極127を蒸着する(図11(B))。
ゲート電極を形成するゲート金属層としてPtの上にはMoなどPt埋め込み熱処理においてGaAsと反応しない金属を、Ptに引き続き連続して蒸着することが望ましい。ゲート電極をPtのみで形成すると、Pt蒸着後、Pt埋め込み熱処理までの間にPt表面に異物が付着した場合、その異物までPt埋め込み熱処理反応に関与することになり、HEMTの特性が劣化する。従って熱によりGaAsと反応しないMoでPtの上を覆うことによりMo上に同様の異物が付着したとしても、Moがバリアとなりその異物がPt埋め込み熱処理反応に関与することは無い。
またウエハ完成後においても実装時に半田付けの熱が加わることなどが有る。この場合、ゲート電極をPtのみで形成するとPtの上に異物が付着している場合、その異物が半田付けの熱などによってGaAsと反応しHEMTの特性が劣化する場合がある。その際にもMoでPtの上を覆うことによりMo上に異物があってもMoがバリアとなりその異物が半田付けの熱などによってGaAsと反応することは無い。Moの厚みはあまり厚くするとPtとの間でストレスが発生するため、最大でもPtの厚みと同程度とすることが望ましい。後に詳述するがPt厚みは40〜60Åが好ましいためMoも50Å程度とする。
スイッチMMICの場合、ゲート電極から制御端子までの間に10KΩ程度以上の抵抗が挿入されるため、ゲート電極自体の抵抗値は高くても問題なく、Pt40〜60Å/Mo50Åというゲート金属構造が最適である。
また熱によりGaAsと反応しない金属としてMoの替わりにW(タングステン)も考えられるが、Wは融点が高いため一般にはスパッタで形成しており蒸着では形成できない。従ってPtの蒸着と連続してWは形成できず、またスパッタの場合高熱が発生するためレジストが耐えらえずリフトオフによる形成も不可能である。
次に、図12のごとく、E型HEMT160のゲート電極を形成する。すなわち、D型HEMT150と同様にキャップ層を除去し、ひさし部を除去した後第2ノンドープ層を除去する。そして、第2ゲート電極形成領域のノンドープの障壁層(第1ノンドープ層)36を露出させる。
安定層38となるInGaP層および障壁層となるAlGaAs層36の膜厚設定はD型HEMT、E型HEMTがそれぞれ目標のVpが得られるよう基本設計される。このとき、安定層であるInGaP層38と、AlGaAs層(障壁層)36は、エッチングの選択性がよい。従来ではE型HEMTの第2ゲート電極を形成するため、ノンドープAlGaAsを所定の深さでエッチングしていたが、これは数nmの精度を必要とするため非常に難しく、歩留りが悪かった(図17(B)参照)。しかし本実施形態では選択エッチングによりAlGaAs層36を再現性よく露出させることができる。
また、ひさし部を除去する際ドライエッチングのプラズマにさらされる動作領域100表面はInGaP層38で覆われているため、動作領域100にダメージを与えずに、エッチングができ、またドライエッチングであるため第1窒化膜511はオーバエッチングされることはない。
そして、動作領域の第1ノンドープ層の表面にゲート金属層120bを蒸着する。ゲート金属層120bは、例えばPt/Moであり、蒸着膜厚は、Ptが55Å、Moが50Åである(図12(A))。
ゲート金属層120bの蒸着を行う蒸着機21は、前述の如く蒸着膜厚の設定値と実蒸着膜厚の誤差が少なくなるよう管理されている。従って、ゲート金属層120bも、正常な値で蒸着される。
その後、リフトオフし、電子供給層33に連続する清浄な障壁層36表面にE型HEMT160を構成する第2ゲート電極128を蒸着する(図12(B))。
その後、第1ゲート電極127および第2ゲート電極128の最下層金属のPtを埋め込む熱処理を施す。これにより、第1ゲート電極127のPtは安定層38とショットキー接合を保ったまま一部が動作領域100に埋め込まれ、第1埋め込み部127bが形成される。同時に第2ゲート電極128のPtは障壁層36とショットキー接合を保ったまま一部が障壁層36内に埋め込まれ、第2埋め込み部128bが形成される。
ここで、既述の如くPtの蒸着膜厚が約110Å以下の場合、埋め込み部の深さは常に蒸着膜厚の2.4倍とリニアな関係を保つ。従って、本工程によって第1ゲート電極127の埋め込まれたPt(第1埋め込み部127b)深さは108Åとなり、底部は障壁層36に達する。また第2ゲート電極128の埋め込まれたPt(第2埋め込み部128b)深さは132Åとなる。そして埋め込まれたPtの底部は障壁層36内に位置する。
つまり、第1ゲート電極127から電子供給層33に至るまでの間に不純物が添加された層が無く、実質的に電子供給層33に連続する第1ノンドープ層36に、第1ゲート電極127が設けられたこととなる(図12(C))。
このように、安定層38および障壁層36の膜厚を所定の厚みとし、埋め込みゲート構造を採用する。そしてゲート電極のPtの蒸着膜厚を±10Åの幅(40Å〜60Åの蒸着膜厚)で変動させることにより、D型HEMT150、E型HEMT160ともにVpの微調整が可能となる。
蒸着膜厚は最大でも60Åで、Vpばらつきは±0.096〜0.144Vとなるので、HEMTに要求されるVpばらつき(最大で±0.2V)に十分収まる特性が得られる。
さらに、モニターウエハ80に蒸着したモニター用金属層220のシート抵抗値を測定することにより蒸着機21が管理され、ゲート金属層120の実蒸着膜厚が正常に管理されている。従って40Å〜60Åの薄いPtが精度良く蒸着できる。
ゲート電極の最下層金属の一部を基板表面に埋め込んだ、埋め込みゲート構造ではD型HEMT150の特性を向上させることができる。これは第1埋め込み部127bは底部の端が丸いためである(図1(B)参照)。これにより、底部の端が尖っている埋め込みゲート構造ではないゲート電極(例えばTi/Pt/Au)に比べ、ゲート電極に逆バイアスが印加される際、電界強度が分散される。つまり埋め込みゲート構造は、最大電界強度が弱まり耐圧が大幅に上がるためである。
逆に所定の耐圧に設計する場合、埋め込みゲート構造では第1ゲート電極付近の電界強度が弱まる分、電子供給層33の不純物濃度を大幅に上げることができ、オン抵抗Ronを大幅に小さくすることができる。つまり、D型HEMT150が最大限の特性が得られるよう、設計されている。
一方、ロジック回路を構成するE型HEMT160も、Ptを埋め込んだ埋め込みゲート構造を採用する。第2ゲート電極128を設けるノンドープAlGaAs層はAlを含むため表面が酸化されやすくDXセンターと呼ばれるキャリアトラップ持つことが知られているが、埋め込みゲート構造とすることでその影響を大幅に減らすことができる。
尚、図11の第1ゲート電極127は、蒸着時の熱で最下層のPtはわずかながら動作領域100(安定層38)表面に埋め込まれるので、その後のプロセスで第1ゲート電極127が剥離することはない。従って、本工程でPtを埋め込む熱処理を行い、第1ゲート電極127および第2ゲート電極128の最下層のPtを同時に埋め込めばよい。
更に、D型HEMT150の第1ゲート電極127を形成するノンドープInGaP層38の上部は、キャップ層37(n+GaAs層)のエッチングマスクとしてのひさし部をプラズマエッチングで除去する際に多少のプラズマダメージが発生したことが考えられる。またInGaP層38上部はn+GaAs層37との界面となるためInGaP/GaAs遷移層としてAsが含まれており、特性的にあまり良好ではない。しかし、本実施形態では第1ゲート電極127はPt埋め込みにより第1埋め込み部127bの底部がInGaP層38表面より下がっている。したがって、これらの影響を受けることは無く良好なHEMT特性が得られる。
第5工程(図13):第1基板の第1ソース電極および第1ドレイン電極上にパッド金属層を蒸着し、第2ソース電極および第2ドレイン電極を形成する工程。
まず、ゲート電極を覆う第2絶縁膜を形成する。すなわち、全面にパッシベーション膜となる第2窒化膜512をデポジションする。第1ゲート電極127および第2ゲート電極128と、その周辺に露出した安定層38および障壁層36は、第2窒化膜512により被覆される。このとき、第1窒化膜511はほぼ均一な厚みで、第1ソース電極115(第1ドレイン電極116)とその端部周辺のキャップ層37を覆っている。従って、第1窒化膜511上層に形成する第2窒化膜512も、成膜の密度が均一となり、これらをまんべんなく被覆することができる。従って、ウエハ完成後においても水分または薬剤などの滲入を防ぎ、ガルバニック効果を防止できる。また、第2窒化膜512も、最終構造(図1(B))で、各電極周囲を被覆する窒化膜51を構成する。
その後、新たなレジスト(不図示)を設けてコンタクトホール形成のためのマスクを形成し、第1ソース電極115、第1ドレイン電極116上の第1窒化膜511、第2窒化膜512をエッチングする。これにより、第1ソース電極115、第2ドレイン電極116(および他の所定の領域)上にコンタクトホールCHが形成され、その深さは、第1窒化膜511および第2窒化膜512の合計膜厚T3となる(図13(A))。
新たなレジスト(不図示)を設けてマスクを形成し、パッド金属層(Ti/Pt/Au)130を蒸着、リフトオフする。これにより、第1ソース電極115および第1ドレイン電極116にそれぞれコンタクトする第2ソース電極135および第2ドレイン電極136が形成される。これにより、第1ゲート電極127両側の第1ソース電極115、第2ソース電極135および第1ドレイン電極116、第2ドレイン電極136によりD型HEMT150が構成される。また第2ゲート電極128両側の第1ソース電極115、第2ソース電極135および第1ドレイン電極116、第2ドレイン電極136によりE型HEMT160が構成される。
更に、全面にジャケット膜となる第3窒化膜513を形成する。第3窒化膜は、第2窒化膜512および、第2ソース電極135と第2ドレイン電極136上を被覆する。
また、第3窒化膜513は、窒化膜51を構成する。従って、第1ゲート電極127および第2ゲート電極128上の窒化膜51の膜厚T1と、第1ソース電極115(第1ドレイン電極116)上のコンタクトホールCH周囲の窒化膜51の膜厚T3と、第2ソース電極135(第2ドレイン電極136)上の窒化膜51の膜厚T2には、以下の関係が成り立つ。
T3−(T1−T2)>0
すなわちT3−(T1−T2)とは第1窒化膜511の厚みであり、この不等式は第1窒化膜511がコンタクトホールCHの部分まで達していることを示す(図13(B))。
尚、図示は省くがボンディングパッド部分のジャケット窒化膜にはワイヤボンド用の開口が設けられる。
尚、D型HEMT150の第1ゲート電極127は、E型HEMT160の第2ゲート電極128の形成工程より先に行う。この理由は、D型HEMT150の第1ゲート電極127形成後、第1ゲート電極127の周囲に露出する動作領域100の表面は安定なInGaP層38である。しかし、E型HEMT160の第2ゲート電極128形成後、第2ゲート電極128の周囲に露出する動作領域100表面は酸化されやすいAlを含むAlGaAs層36である。つまり、E型HEMT160の第2ゲート電極128形成後はただちにパッシベーション絶縁膜512でゲート電極近傍のAlGaAs層による動作領域100表面を保護する必要がある。一方D型HEMTの第1ゲート電極127の場合はその周辺が安定なInGaP層であり、表面を保護する必要がないためである。
尚、モニターウエハ80による実蒸着膜厚の測定は、1日に1回あるいは1週間に1回など定期的にモニターウエハ80の蒸着を行い、蒸着機21の状態を管理すると良い。
以上、D型HEMT150とE型HEMT160を同一基板上に集積化した場合を例に説明したが、D型HEMT150とE型HEMT160をそれぞれ単体で形成する場合であっても同様に実施できる。更に、動作領域をイオン注入により形成したFETであっても同様に実施できる。
また、ゲート金属層120は、Ptのみで構成されていてもよい。その場合には、第1工程と、第4工程のゲート金属層120(ゲート金属層120aまたはゲート金属層120bのいずれか)の蒸着とを同一工程で実施できる。
すなわち、図14の如く、モニターウエハ80とHEMTを形成するウエハ70を同一蒸着機21内に配置し、同一のバッチ処理を行う。これによりゲート金属層120の蒸着と同時にモニターウエハ80のモニター用金属層220を蒸着する。
そして、モニター用金属層220のシート抵抗値を測定し(図3(B)参照)、図6の相関データを用いて実蒸着膜厚に換算する。これにより蒸着機21の状態を把握する。つまり、蒸着機21で蒸着したPtの実蒸着膜厚が規格内(例えば蒸着膜厚の設定値の±10%など)に収まった場合に、ウエハ70のゲート金属層120は規格内の実蒸着膜厚を有すると判断できる。このとき、ゲート金属層120と、モニター用金属層220の蒸着膜厚の設定は同一である。
またゲート金属層120がPt/Moにより構成されている場合、Pt/Moの連続蒸着により蒸着機21を管理してもよい。
すなわち、図14の如く、同一の蒸着機21において同一のバッチ処理で、モニターウエハ80とHEMTを形成するウエハ70にゲート金属のPt/Moを連続蒸着し、モニター用金属層220をPt/Moで構成する。このとき、ゲート金属層120と、モニター用金属層220の蒸着膜厚の設定は同一である。
そして、この場合モニター用金属層220のシート抵抗値はPtとMoの両方の抵抗値が合成されたシート抵抗値となる。
理科年表に掲載されているMoの0℃における抵抗率の値から計算したMoのシート抵抗値と蒸着膜厚の依存性を図15に示す。図によれば50Åの膜厚のMoのシート抵抗値は約10Ωである。図15におけるMoはバルクなどのMo単結晶における抵抗値であるため、蒸着されたMoのシート抵抗値は、Ptの図4と図6の違いと同様に、図15の数倍となる。従ってモニターウエハ80に蒸着されたPt/Moのシート抵抗値は1〜100Ωの範囲内に入っておりシート抵抗測定の測定精度は±1%と非常に良好である。
本発明を説明するための(A)平面図、(B)断面図である。 本発明の製造方法を説明するための装置概要図である。 本発明の製造方法を説明するための装置概要図である。 本発明の製造方法を説明するための特性図である。 本発明の製造方法を説明するための装置概要図である。 本発明の製造方法を説明するための特性図である。 本発明の製造方法を説明するための特性図である。 本発明の製造方法を説明するための特性図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の製造方法を説明するための装置概要図である。 本発明の製造方法を説明するための特性図である。 従来の製造方法を説明するための断面図である。 従来の製造方法を説明するための断面図である。 従来技術を説明するための断面図である。 従来技術を説明するための断面図である。
符号の説明
21 蒸着機
22 ウエハ支持装置
23 蒸着源
24 真空ポンプ
25 シート抵抗測定器
26 高周波コイル
31 GaAs基板
32 バッファ層
33 電子供給層
34 スペーサ層
35 電子走行層
36 第1ノンドープ層
37 キャップ層
38 第2ノンドープ層
37s ソース領域
37d ドレイン領域
50 初期窒化膜
51 窒化膜
60 絶縁化層
70 ウエハ
80 モニターウエハ
81a、81b サンプルウエハ
100 動作領域
110 オーミック金属層
115、135 ソース電極
116、136 ドレイン電極
120、120a、120b ゲート金属層
127 第1ゲート電極
127b 埋め込み部
128 第2ゲート電極
128b 埋め込み部
130 パッド金属層
150 D型HEMT
160 E型HEMT
220 モニター用金属層
230a、230b サンプル用金属層
231 GaAs基板
232 バッファ層
233 電子供給層
234 スペーサ層
235 電子走行層
236 障壁層
237 キャップ層
237s ソース領域
237d ドレイン領域
260 絶縁化層
251 窒化膜
2511 第1窒化膜
2512 第2窒化膜
300 動作領域
310 オーミック金属層
315、335 ソース電極
316、336 ドレイン電極
320 ゲート金属層
327 第1ゲート電極
328 第2ゲート電極
330 パッド金属層
511 第1窒化膜
512 第2窒化膜
513 第3窒化膜
OP 開口部
CH コンタクトホール
PR レジスト
sd 実蒸着膜厚

Claims (10)

  1. 第1基板に少なくとも1つの金属による第1金属層を蒸着し、トランジスタを形成する化合物半導体装置の製造方法において、
    前記1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程と、
    前記第2基板のシート抵抗値を測定し、該シート抵抗値に基づいて該第2金属層の実蒸着膜厚を測定し前記1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程と、
    前記蒸着機で前記第1基板に前記第1金属層を蒸着しトランジスタを形成する工程と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
  2. 半導体基板上に複数の半導体層を積層した第1基板に、少なくとも1つの金属による第1金属層を含むゲート金属層を蒸着し、HEMTを形成する化合物半導体装置の製造方法において、
    前記1つの金属による第2金属層を第2基板に蒸着する工程と、
    前記第2基板のシート抵抗値を測定し、該シート抵抗値に基づいて該第2金属層の実蒸着膜厚を測定し前記1つの金属の蒸着を行う蒸着機の状態を管理する工程と、
    前記第1基板にオーミック金属層を蒸着し、所定のパターンの第1ソース電極および第1ドレイン電極を形成する工程と、
    前記蒸着機で前記第1基板に前記ゲート金属層を蒸着しゲート電極を形成する工程と、
    前記第1基板の前記第1ソース電極および第1ドレイン電極上にパッド金属層を蒸着し、第2ソース電極および第2ドレイン電極を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
  3. 予め算出した前記第2金属層の実蒸着膜厚とシート抵抗値の相関データに基づき、前記第2基板の前記シート抵抗値を前記第2基板上の前記第2金属層の実蒸着膜厚に換算し、前記蒸着機で蒸着する前記1つの金属の実蒸着膜厚と蒸着機の膜厚設定値との誤差を管理することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  4. 前記1つの金属はPtであり、前記第1金属層の該Ptの一部は前記第1基板表面に埋め込まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  5. 前記Ptはそれぞれ60Å以下の膜厚に蒸着することを特徴とする請求項4に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  6. 前記第1金属層と前記第2金属層を同時に蒸着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  7. 前記シート抵抗値は、渦電流により測定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  8. 前記第2金属層の蒸着膜厚設定は前記第1金属層の蒸着膜厚設定と同一であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  9. 前記第1基板に高周波アナログ信号をスイッチングするスイッチ回路装置を形成することを特徴とする請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
  10. 前記ゲート金属層は200Å以下の膜厚に形成されることを特徴とする請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
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