JP2006179759A - 光学素子及び投影露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液浸法を適用した投影光学系に用いられる光学素子であって、液体と接する界面における露光光の反射を防止した光学素子を提供する。
【解決手段】 露光ビームILでマスクRを照明し、投影光学系PLを介して前記マスクRのパターンを基板W上に転写し、前記基板Wの表面と前記投影光学系PLとの間に所定の液体7を介在させた投影露光装置に使用される光学素子であって、前記投影光学系PLの前記基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子4の表面に露光光の反射を防止するための、少なくとも最表面層が酸化物膜により構成された反射防止膜が成膜されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 露光ビームILでマスクRを照明し、投影光学系PLを介して前記マスクRのパターンを基板W上に転写し、前記基板Wの表面と前記投影光学系PLとの間に所定の液体7を介在させた投影露光装置に使用される光学素子であって、前記投影光学系PLの前記基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子4の表面に露光光の反射を防止するための、少なくとも最表面層が酸化物膜により構成された反射防止膜が成膜されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、半導体素子、撮像素子(CCD等)、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクのパターンを感光性基板上に転写するために用いられる液浸法を用いた投影露光装置に使用される光学素子、及び該光学素子を用いた投影露光装置に関するものである。
半導体素子等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンの像を投影光学系を介して、感光性基板としてのレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に転写する投影露光装置が使用されている。従来は投影露光装置として、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型の露光装置(ステッパ)が多用されていたが、最近ではレチクルとウエハとを同期走査して露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置も注目されている。
投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短くなるほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。そして、現在主流の露光波長は、KrFエキシマレーザの248nmであるが、さらに短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されている。
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1 ・λ/NA (1)
δ=k2 ・λ/NA2 (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。従来より投影露光装置では、オートフォーカス方式でウエハの表面を投影光学系の像面に合わせ込んで露光を行っているため、焦点深度δはある程度広いことが望ましい。そこで、実質的に焦点深度を広くするために位相シフトレチクル法、変形照明法、多層レジスト法等が提案されている。
δ=k2 ・λ/NA2 (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。従来より投影露光装置では、オートフォーカス方式でウエハの表面を投影光学系の像面に合わせ込んで露光を行っているため、焦点深度δはある程度広いことが望ましい。そこで、実質的に焦点深度を広くするために位相シフトレチクル法、変形照明法、多層レジスト法等が提案されている。
しかしながら、半導体集積回路の一層の高集積化に対応するために、露光波長のさらなる短波長も研究されており、このままでは焦点深度が狭くなり過ぎて、露光動作時のマージンが不足する恐れがある。
そこで、実質的に露光波長を短くして、かつ焦点深度を広くする液浸法を用いた投影露光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは投影光学系の下面とウエハ表面との間を水、または有機溶媒等の液体で満たし、液体中での露光光の波長が、空気中の1/n倍(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上すると共に、焦点深度を約n倍に拡大する投影露光装置である。
ここで、図17〜図19を用いて、従来の液浸型の投影露光装置における投影光学系の基板に対向した光学素子における露光光の反射の状態を説明する。この液浸型の投影露光装置においては、図17に示すように、投影光学系の基板に対向した光学素子131は合成石英ガラスにより構成され、光学素子131とレジストを塗布したシリコンにより構成される基板136との間には液体として水135を介在させている。
図18は、図17に示す光学素子131のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と出射角との関係を示す図である。ここで、合成石英ガラスおよび水の屈折率はそれぞれ1.55および1.44である。図18に示すように、S偏光の反射率(Rs)とP偏光の反射率(Rp)との平均反射率(Ra)は、出射角θが約55度を超えると0.5%を超え、出射角θが60度以上になると、平均反射率が1%を超えてくる。また、液浸型の投影光学系の開口数NAは、
NA=n×sinθ (3)
である。ここで、nは液体の屈折率であり、θは基板への入射角となる。図17に示す投影光学系においては、水135を介して基板136に対向して配置される光学素子131は一般的に平面形状であるため、基板136への入射角は、光学素子131面からの出射角と同値である。従って、式(3)の関係を用いて、図19に図17に示す光学素子131のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と開口数NAとの関係を示す。図19に示すように、開口数NAが1.2を超えると平均反射率Raが0.5%を超え、さらに開口数NAを上げるにつれて、反射率が増大していくため、ゴーストやフレア等が発生しやすくなり、所望の光学性能が得られにくくなる。
NA=n×sinθ (3)
である。ここで、nは液体の屈折率であり、θは基板への入射角となる。図17に示す投影光学系においては、水135を介して基板136に対向して配置される光学素子131は一般的に平面形状であるため、基板136への入射角は、光学素子131面からの出射角と同値である。従って、式(3)の関係を用いて、図19に図17に示す光学素子131のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と開口数NAとの関係を示す。図19に示すように、開口数NAが1.2を超えると平均反射率Raが0.5%を超え、さらに開口数NAを上げるにつれて、反射率が増大していくため、ゴーストやフレア等が発生しやすくなり、所望の光学性能が得られにくくなる。
この露光光の界面反射率は液体とその液体と接する光学素子基材の屈折率によって決まる。即ち、屈折率の差が大きいほど、界面反射率も大きくなるため、例えば、ゴーストやフレア等が発生しやすくなり、結像性能を低下させる。さらにこの界面反射率は入射角度が大きく、より斜め入射になるにつれて大きくなる傾向があるため、解像度を上げるために開口数NAを大きくすると、斜め入射の弊害が大きくなるため、結像性能の低下はより深刻になり、所望の光学性能が得られないという問題があった。
この発明の課題は、液浸法を適用した投影光学系に用いられる光学素子であって、液体と接する界面における透過性能の優れた光学素子及び該光学素子を備えた投影露光装置を提供することである。
請求項1記載の光学素子は、露光ビームでマスクを照明し、投影光学系を介して前記マスクのパターンを基板上に転写し、前記基板の表面と前記投影光学系との間に所定の液体を介在させた投影露光装置に使用される光学素子であって、前記投影光学系の前記基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に露光光の反射を防止する反射防止膜が成膜されていることを特徴とする。
この請求項1記載の光学素子によれば、投影光学系の基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に、液体との界面における露光光の反射を防止する反射防止膜が成膜されている。従って、この透過光学素子を液浸型の投影露光装置に用いた場合、透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を防止することができるため、投影露光装置において所望の光学特性を得ることができる。
また、請求項2記載の光学素子は、前記反射防止膜が多層膜により構成され、少なくとも該多層膜の最表面層が酸化物膜により構成されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の光学素子は、前記最表面層の酸化物膜が酸化シリコン(SiO2)膜であることを特徴とする。
この請求項2及び請求項3記載の光学素子によれば、多層膜により構成される反射防止膜の最表面層が酸化物膜、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜により構成されている。従って、反射防止膜の表面の酸化を防止することができるため透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を長期間適切に防止することができ、この光学素子を投影露光装置に用いた場合に、適切な結像性能を得ることができる。
また、請求項4記載の光学素子は、前記反射防止膜が、酸化物膜から成る多層膜により構成されていることを特徴とする。この請求項4記載の光学素子は、酸化物膜から成る多層膜により反射防止膜が構成されているため、反射防止膜の酸化を防止することができ、透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を長期間適切に防止することができる。
また、請求項5記載の光学素子は、前記露光ビームがArFエキシマレーザ光であることを特徴とする。
また、請求項6記載の光学素子は、前記露光ビームがKrFエキシマレーザ光であることを特徴とする。
この請求項5及び請求項6記載の光学素子によれば、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)や、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)を露光ビームとして用いた場合に、光学素子の液体と接する界面における反射を適切に防止することができる。従って、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長248nm)を露光光として用いた液浸型の投影露光装置にこの光学素子を用いた場合に、透過型光学素子の表面と液体との界面における露光光の反射を適切に防止し、適切な結像特性を得ることができる。
また、請求項7記載の光学素子は、前記液体が、純水もしくは純水を主成分とする液体であることを特徴とする。この請求項7記載の光学素子によれば、基板と投影光学系との間に純水もしくは純水を主成分とする液体を介在させた場合に、光学素子の液体と接する界面における反射を適切に防止することができる。
また、請求項8記載の投影露光装置は、露光ビームでマスクを照明し、前記マスクのパターンを投影光学系を介して基板上に転写し、前記基板の表面と前記投影光学系との間に所定の液体を介在させた投影露光装置であって、前記投影光学系の前記基板側の基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に露光光の反射を防止する反射防止膜を備えることを特徴とする。
この請求項8記載の投影露光装置によれば、投影光学系の基板側の基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に、液体との界面における露光光の反射を防止する反射防止膜を備えている。従って、透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を防止することができるため、所望の光学特性を得ることができる。
また、請求項9記載の投影露光装置は、前記反射防止膜が多層膜により構成され、少なくとも該多層膜の最表面層が酸化物膜により構成されていることを特徴とする。
また、請求項10記載の投影露光装置は、前記最表面層の酸化物膜が酸化シリコン(SiO2)膜であることを特徴とする。
この請求項9及び請求項10記載の投影露光装置によれば、多層膜の反射防止膜の最表面層が酸化物膜、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜により構成されている。従って、反射防止膜の表面の酸化を防止することができるため透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を長期間適切に防止することができ、適切な結像性能を得ることができる。
また、請求項11記載の投影露光装置によれば、前記反射防止膜が酸化物膜から成る多層膜により構成されていることを特徴とする。この請求項11記載の投影露光装置によれば、酸化物膜からなる多層膜により反射防止膜が構成されているため、反射防止膜の酸化を防止することができ、透過光学素子と液体との界面における露光光の反射を長期間適切に防止することができる。
また、請求項12記載の投影露光装置は、前記露光ビームがArFエキシマレーザ光であることを特徴とする。
また、請求項13記載の投影露光装置は、前記露光ビームがKrFエキシマレーザ光であることを特徴とする。
この請求項12及び請求項13記載の投影露光装置によれば、ArFエキシマレーザ光(193nm)や、KrFエキシマレーザ光(248nm)を露光ビームとして用いた場合に、透過型光学素子の表面と液体との界面における露光光の反射を適切に防止し、適切な結像特性を得ることができる。
また、請求項14記載の投影露光装置は、前記液体が純水もしくは純水を主成分とする液体であることを特徴とする。この請求項14記載の投影露光装置によれば、基板と投影光学系との間に純水もしくは純水を主成分とする液体を介在させた場合においても、透過型光学素子の表面と液体との界面における露光光の反射を適切に防止し、適切な結像特性を得ることができる。
この発明の光学素子によれば、基材として合成石英ガラスが用いられた投影光学系の透過光学素子の表面に反射防止膜が成膜されているため、光学素子と液体とが接する界面での露光光の反射を適切に防止することができる。従って、ゴーストやフレア等の発生を抑制することができ、所望の光学特性を得ることができる。
この発明の投影露光装置によれば、基材として合成石英ガラスが用いられた投影光学系の基板側の光学素子の表面に反射防止膜を備えているため、液体と接する界面での露光光の反射を適切に防止することができる。従って、ゴーストやフレア等の発生が抑制され、高い解像度を実現することができるため、最適な状態で露光を行うことができる。
以下、図面を参照して、この発明の第1の実施の形態にかかる投影露光装置の説明を行う。図1は、第1の実施の形態にかかるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置の概略構成を示す図である。以下の説明においては、図1中に示すXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
この実施の形態にかかる投影露光装置は、図1に示すように、露光光源であるArFエキシマレーザ光源を含み、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、視野絞り、コンデンサレンズ等から構成される照明光学系1を備えている。光源から射出された波長193nmの紫外パルス光よりなる露光光(露光ビーム)ILは、照明光学系1を通過し、レチクル(マスク)Rに設けられたパターンを照明する。レチクルRを通過した光は、両側(又はウエハW側に片側)テレセントリックな投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウエハ(基板)W上の露光領域に所定の投影倍率β(例えば、βは1/4、1/5等)で縮小投影露光する。
なお、露光光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、F2レーザ光(波長157nm)や水銀ランプのi線(波長365nm)等を使用してもよい。
また、レチクルRはレチクルステージRST上に保持され、レチクルステージRSTにはX方向、Y方向及び回転方向にレチクルRを微動させる機構が組み込まれている。レチクルステージRSTのX方向、Y方向及び回転方向の位置は、レチクルレーザ干渉計(図示せず)によってリアルタイムに計測、且つ制御されている。
また、ウエハWはウエハホルダ(図示せず)を介してZステージ9上に固定されている。Zステージ9は、投影光学系PLの像面と実質的に平行なXY平面に沿って移動するXYステージ10上に固定されており、ウエハWのフォーカス位置(Z方向の位置)及び傾斜角を制御する。Zステージ9のX方向、Y方向及び回転方向の位置は、Zステージ9上に位置する移動鏡12を用いたウエハレーザ干渉計13によってリアルタイムに計測、且つ制御されている。また、XYステージ10は、ベース11上に載置されており、ウエハWのX方向、Y方向及び回転方向を制御する。
この投影露光装置に備えられている主制御系14は、レチクルレーザ干渉計により計測された計測値に基づいてレチクルRのX方向、Y方向及び回転方向の位置の調整を行なう。即ち、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信し、レチクルステージRSTを微動させることによりレチクルRの位置調整を行なう。
また、主制御系14は、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式によりウエハW上の表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むため、ウエハWのフォーカス位置(Z方向の位置)及び傾斜角の調整を行なう。即ち、主制御系14は、ウエハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウエハステージ駆動系15によりZステージ9を駆動させることによりウエハWのフォーカス位置及び傾斜角の調整を行なう。更に、主制御系14は、ウエハレーザ干渉計13により計測された計測値に基づいてウエハWのX方向、Y方向及び回転方向の位置の調整を行なう。即ち、主制御系14は、ウエハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウエハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウエハWのX方向、Y方向及び回転方向の位置調整を行なう。
露光時には、主制御系14は、ウエハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウエハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウエハW上の各ショット領域を順次露光位置にステップ移動させる。即ち、ステップ・アンド・リピート方式によりレチクルRのパターン像をウエハW上に露光する動作を繰り返す。
この投影露光装置においては、露光波長を実質的に短くし、且つ解像度を向上させるために液浸法が適用されている。ここで、液侵法を適用した液浸型の投影露光装置においては、少なくともレチクルRのパターン像をウエハW上に転写している間は、ウエハWの表面と投影光学系PLのウエハW側の透過光学素子4との間に所定の液体7が満たされている。投影光学系PLは、投影光学系PLを構成する合成石英ガラス等により形成された複数の光学素子を収納する鏡筒3を備えている。この投影光学系PLにおいては、最もウエハW側の透過光学素子4が合成石英ガラスにより形成されており、透過光学素子4の表面のみが液体7と接触するように構成されている。これによって、金属からなる鏡筒3の腐食等が防止されている。
また、透過光学素子4の先端部4A、即ち、露光光が透過する部分には、露光光の反射を防止する反射防止膜が成膜されている。反射防止膜は、多層膜により構成されており、例えば、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子4のウエハW側の表面に第1層としてフッ化ランタン(LaF3)膜、第2層として酸化シリコン(SiO2)膜を積層させた多層膜により構成されている。
また、液体7としては、半導体製造工場等で容易に大量に入手できる純水または純水を主成分とする液体が使用されている。なお、純水は不純物の含有量が極めて低いため、ウエハWの表面を洗浄する作用が期待できる。
図2は、投影光学系PLの透過光学素子4のウエハW側の先端部4A及びテーパー面4B並びにウエハWと、そのウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BをX方向に挟む2対の排出ノズル及び流入ノズルとの位置関係を示す図である。また、図3は、投影光学系PLの透過光学素子4のウエハW側の先端部4A及びテーパー面4Bと、そのウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BをY方向に挟む2対の排出ノズル及び流入ノズルとの位置関係を示す図である。この実施の形態にかかる投影露光装置は、液体7の供給を制御する液体供給装置5及び液体7の排出を制御する液体回収装置6を備えている。
液体供給装置5は、液体7のタンク(図示せず)、加圧ポンプ(図示せず)、温度制御装置(図示せず)等により構成されている。また、液体供給装置5には、図2に示すように、供給管21を介してウエハW側の先端部4A及びテーパー面4Bの+X方向側に細い先端部を有する排出ノズル21aが、供給管22を介してウエハW側の先端部4A及びテーパー面4Bの−X方向側に細い先端部を有する排出ノズル22aが接続されている。また、液体供給装置5には、図3に示すように、供給管27を介してウエハW側の先端部4A及びテーパー面4Bの+Y方向側に細い先端部を有する排出ノズル27aが、供給管28を介してウエハW側の先端部4A及びテーパー面4Bの−Y方向側に細い先端部を有する排出ノズル28aが接続されている。液体供給装置5は、温度制御装置により液体7の温度を調整し、排出ノズル21a、22a、27a、28aの中の少なくとも1つの排出ノズルより、供給管21、22、27、28の中の少なくとも1つの供給管を介して温度調整された液体7をウエハW上に供給する。なお、液体7の温度は、温度制御装置により、例えば、この実施の形態にかかる投影露光装置が収納されているチャンバ内の温度と同程度に設定される。
液体回収装置6は、液体7のタンク(図示せず)、吸引ポンプ(図示せず)等により構成されている。また、液体回収装置6には、図2に示すように、回収管23を介してテーパー面4Bの−X方向側に広い先端部を有する流入ノズル23a,23bが、回収管24を介してテーパー面4Bの+X方向側に広い先端部を有する流入ノズル24a,24bが接続されている。なお、流入ノズル23a、23b、24a、24bは、ウエハW側の先端部4Aの中心を通りX軸に平行な軸に対して扇状に開いた形で配置されている。また、液体回収装置6には、図3に示すように、回収管29を介してテーパー面4Bの−Y方向側に広い先端部を有する流入ノズル29a,29bが、回収管30を介してテーパー面4Bの+Y方向側に広い先端部を有する流入ノズル30a,30bが接続されている。なお、流入ノズル29a、29b、30a、30bは、ウエハW側の先端部4Aの中心を通りY軸に平行な軸に対して扇状に開いた形で配置されている。
液体回収装置6は、流入ノズル23a及び23b、24a及び24b、29a及び29b、30a及び30bの中の少なくとも1つの流入ノズルより、回収管23、24、29、30の中の少なくとも1つの回収管を介して液体7をウエハW上から回収する。
次に、液体7の供給及び回収方法について説明する。図2において、実線で示す矢印25Aの方向(−X方向)にウエハWをステップ移動させる際には、液体供給装置5は、供給管21及び排出ノズル21aを介して透過光学素子4のウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BとウエハWとの間に液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管23及び流入ノズル23a,23bを介してウエハW上から液体供給装置5によりウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、液体7はウエハW上を矢印25Bの方向(−X方向)に流れており、ウエハWと透過光学素子4との間は液体7により安定に満たされている。
一方、図2において、鎖線で示す矢印26Aの方向(+X方向)にウエハWをステップ移動させる際には、液体供給装置5は、供給管22及び排出ノズル22aを介して透過光学素子4のウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BとウエハWとの間に液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管24及び流入ノズル24a,24bを介して、液体供給装置5によりウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、液体7はウエハW上を矢印26Bの方向(+X方向)に流れており、ウエハWと透過光学素子4との間は液体7により安定に満たされている。
また、ウエハWをY方向にステップ移動させる際には、Y方向から液体7の供給及び回収を行なう。即ち、図3において、実線で示す矢印31Aの方向(−Y方向)にウエハWをステップ移動させる際には、液体供給装置5は、供給管27及び排出ノズル27aを介して、液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管29及び流入ノズル29a,29bを介して、液体供給装置5によりウエハW側の先端部4A及びテーパー面4BとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、露光領域上を矢印31Bの方向(−Y方向)に流れており、ウエハWと透過光学素子4との間は液体7により安定に満たされている。
また、ウエハWを+Y方向にステップ移動させる際には、液体供給装置5は、供給管28及び排出ノズル28aを介して、液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管30及び流入ノズル30a,30bを介して、液体供給装置5によりウエハW側の先端部4AとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、液体7は、露光領域上を+Y方向に流れており、ウエハWと透過光学素子4との間は液体7により安定に満たされている。
なお、X方向またはY方向から液体7の供給及び回収を行うノズルだけでなく、例えば斜めの方向から液体7の供給及び回収を行うためのノズルを設けてもよい。
次に、液体7の供給量及び回収量の制御方法について説明する。図4は、投影光学系PLを構成する透過光学素子4とウエハWの間に液体7を供給及び回収している状態を示す図である。図4に示すように、ウエハWが矢印25Aの方向(−X方向)に移動している場合において、排出ノズル21aより供給された液体7は、矢印25Bの方向(−X方向)に流れ、流入ノズル23a,23bにより回収される。ウエハWが移動中であっても透過光学素子4とウエハWとの間に充填される液体7の量を一定に保つため、液体7の供給量と回収量とを等しくする。また、XYステージ10(ウエハW)の移動速度に基づいて液体7の供給量及び回収量を調整することにより、液体7は透過光学素子4とウエハWとの間に常時満たされる。
この第1の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、投影光学系PLの透過光学素子4のウエハW側の表面に反射防止膜が成膜されているため、透過光学素子と液体とが接する界面における露光光の反射を防止することができる。従って、ゴーストやフレア等の発生を抑制することができ、所望の光学特性を得ることができる。
また、この第1の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、波長が200nm程度の露光光に対する純水の屈折率nは約1.44であり、波長193nmであるArFエキシマレーザ光は、ウエハW上において1/n、即ち134nmに短波長化されるため、高い解像度を得ることができる。
また、X方向及びY方向に互いに反転した2対の排出ノズルと流入ノズルとを備えているため、ウエハを+X方向、−X方向、+Y方向または−Y方向に移動する場合においても、ウエハと光学素子との間を液体により安定に満たし続けることができる。
また、液体がウエハ上を流れるため、ウエハ上に異物が付着している場合であっても、その異物を液体により流し去ることができる。また、液体が液体供給装置により所定の温度に調整されているため、ウエハ表面の温度も一定となり、露光の際に生じるウエハの熱膨張による重ね合わせ精度の低下を防止することができる。従って、EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のアライメントのように、アライメントと露光とに時間差のある場合であっても、ウエハの熱膨張による重ね合わせ精度の低下を防ぐことができる。
また、この第1の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、ウエハを移動させる方向と同一の方向に液体が流れているため、異物や熱を吸収した液体を透過光学素子の表面の直下の露光領域上に滞留させることなく液体回収装置により回収することができる。
なお、この第1の実施の形態にかかる投影露光装置においては、投影光学系の透過光学素子のウエハ側の表面に反射防止膜として第1層がフッ化ランタン(LaF3)膜、第2層が酸化シリコン(SiO2)膜により構成される多層膜を成膜しているが、第1層が酸化アルミニウム(Al2O3)膜、第2層が酸化シリコン(SiO2)膜、第3層が酸化アルミニウム(Al2O3)膜、第4層が酸化シリコン(SiO2)膜により構成される多層膜を反射防止膜として成膜してもよい。なお、多層膜の最表面層、即ち、液体と接する層は酸化物膜、例えば酸化シリコン(SiO2)膜により構成されていることが好ましい。
また、露光ビームとして用いられるレーザ光に応じて、例えば、露光ビームとしてArFエキシマレーザ光を用いる場合と、KrFエキシマレーザ光を用いる場合とにおいて、何れのエキシマレーザ光を用いるかにより反射防止膜を構成する各層の膜厚は調整される。
次に、図面を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる投影露光装置について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかるステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置の投影光学系PLAの下部、液体供給装置5及び液体回収装置6等を示す正面図である。以下の説明においては、図5中に示すXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。なお、図5においては、第1の実施の形態にかかる投影露光装置と同一の構成には、第1の実施の形態で用いたのと同一の符号を付して説明を行なう。
この投影露光装置においては、投影光学系PLAの最下端の透過光学素子32は、ウエハW側の先端部32Aが走査露光に必要な部分だけを残してY方向(非走査方向)に細長い矩形に削られている。走査露光時には、ウエハW側の先端部32Aの直下の矩形の露光領域にレチクル(図示せず)の一部のパターン像が投影され、投影光学系PLAに対して、レチクル(図示せず)が−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、XYステージ10を介してウエハWが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、ウエハWのステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域への露光が順次行われる。
また、透過光学素子32の基材は合成石英ガラスであり、透過光学素子32のウエハ側の先端部32A、即ち、露光光が透過する部分には、露光光の反射を防止する反射防止膜が成膜されている。反射防止膜は、多層膜により構成されており、基材として合成石英ガラスが用いられる透過光学素子4のウエハW側の表面に第1層としてフッ化ランタン(LaF3)膜、第2層として酸化シリコン(SiO2)膜を積層させた多層膜により構成されている。
この第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、液浸法が適用されるため、走査露光中に透過光学素子32とウエハWの表面との間に液体7が満たされる。液体7としては、純水または、純水を主成分とする液体が使用されている。液体7の供給及び回収は、それぞれ液体供給装置5及び液体回収装置6によって行われる。
図6は、投影光学系PLAの透過光学素子32の表面(ウエハW側の先端部32A及びテーパー面32B)と液体7をX方向に供給及び回収するための排出ノズル及び流入ノズルとの位置関係を示す図である。液体供給装置5には、図6に示すように、供給管21を介してY方向に細長い矩形状である先端部32A及びテーパー面32Bの+X方向側に3個の排出ノズル21a〜21cが、先端部32A及びテーパー面32Bの−X方向側に3個の排出ノズル22a〜22cが接続されている。また、液体回収装置6には、図6に示すように、回収管23を介して先端部32A及びテーパー面32Bの−X方向側に2個の流入ノズル23a,23bが、回収管24を介して先端部32A及びテーパー面32Bの+X方向側に2個の流入ノズル24a,24bが接続されている。
実線の矢印で示す走査方向(−X方向)にウエハWを移動させて走査露光を行う場合には、液体供給装置5は、供給管21及び排出ノズル21a〜21cを介して透過光学素子32の先端部32A及びテーパー面32BとウエハWとの間に液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管23及び流入ノズル23a,23bを介して、液体供給装置5により先端部32A及びテーパー面32BとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、液体7はウエハW上を−X方向に流れており、透過光学素子32とウエハWとの間は液体7により満たされる。
また、鎖線の矢印で示す方向(+X方向)にウエハWを移動させて走査露光を行う場合には、液体供給装置5は、供給管22及び排出ノズル22a〜22cを介して透過光学素子32の先端部32A及びテーパー面32BとウエハWとの間に液体7を供給する。液体回収装置6は、回収管24及び流入ノズル24a,24bを介して、液体供給装置5により先端部32A及びテーパー面32BとウエハWとの間に供給された液体7を回収する。この場合においては、液体7はウエハW上を+X方向に流れており、透過光学素子32とウエハWとの間は液体7により満たされる。また、液体7の供給量及び回収量を調整することにより、走査露光中においても透過光学素子32とウエハWとの間に液体7は安定に満たされる。また、ウエハWをY方向にステップ移動させる際には、第1の実施の形態と同一の方法によりY方向から液体7の供給及び回収を行なう。
図7は、投影光学系PLAの透過光学素子32の先端部32AとY方向用の排出ノズル及び流入ノズルとの位置関係を示す図である。図7に示すように、ウエハWを走査方向に直交する非走査方向(−Y方向)にステップ移動させる場合には、Y方向に配列された排出ノズル27a及び流入ノズル29a,29bを使用して液体7の供給及び回収を行なう。また、ウエハWを+Y方向にステップ移動させる場合には、Y方向に配列された排出ノズル28a及び流入ノズル30a,30bを使用して液体7の供給及び回収を行なう。第1の実施の形態と同様に、Y方向にステップ移動させる際にもウエハWの移動速度に応じて液体7の供給量を調整することにより、透過光学素子32とウエハWとの間を液体7により満たし続けることができる。
この第2の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、投影光学系PLの透過光学素子4のウエハW側の表面に反射防止膜が成膜されているため、透過光学素子と液体とが接する界面における露光光の反射を防止することができる。従って、ゴーストやフレア等の発生を抑制することができ、所望の光学特性を得ることができる。
また、この第2の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、波長が200nm程度の露光光に対する純水の屈折率nは約1.44であり、波長193nmであるArFエキシマレーザ光は、ウエハW上において1/n、即ち134nmに短波長化されるため、高い解像度を得ることができる。
また、X方向及びY方向に互いに反転した2対の排出ノズルと流入ノズルとを備えているため、ウエハを+X方向、−X方向、+Y方向または−Y方向に移動する場合においても、ウエハと光学素子との間を液体により安定に満たし続けることができる。
また、液体がウエハ上を流れるため、ウエハ上に異物が付着している場合であっても、その異物を液体により流し去ることができる。また、液体が液体供給装置により所定の温度に調整されているため、ウエハ表面の温度も一定となり、露光の際に生じるウエハの熱膨張による重ね合わせ精度の低下を防止することができる。従って、EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のアライメントのように、アライメントと露光とに時間差のある場合であっても、ウエハの熱膨張による重ね合わせ精度の低下を防ぐことができる。
また、この第2の実施の形態にかかる投影露光装置によれば、ウエハを移動させる方向と同一の方向に液体が流れているため、異物や熱を吸収した液体を透過光学素子の表面の直下の露光領域上に滞留させることなく液体回収装置により回収することができる。
なお、この第2の実施の形態にかかる投影露光装置においては、透過光学素子の先端部に反射防止膜として第1層がフッ化ランタン(LaF3)膜、第2層が酸化シリコン(SiO2)膜により構成される多層膜を成膜しているが、第1層が酸化アルミニウム(Al2O3)膜、第2層が酸化シリコン(SiO2)膜、第3層が酸化アルミニウム(Al2O3)膜、第4層が酸化シリコン(SiO2)膜により構成される多層膜を反射防止膜として成膜してもよい。また、露光ビームとして用いられるレーザ光に応じて、例えば、露光ビームとしてArFエキシマレーザ光を用いる場合と、KrFエキシマレーザ光を用いる場合とにおいて、何れのエキシマレーザ光をもちいるかにより反射防止膜を構成する各層の膜厚は調整される。
図8は、実施例1にかかる透過光学素子の構成を模式的に示した図である。図8に示すように、合成石英ガラス基板101上に第1層としてフッ化ランタン(LaF3)膜102、第2層として酸化シリコン(SiO2)膜103が積層された多層膜が成膜されている。また、合成石英ガラス基板101とレジストを塗布したシリコン基板(ウエハ)106との間に介在する液体は、水(純水)105である。以下に、λ(波長193nm)を設計主波長とする場合のフッ化ランタン(LaF3)膜102、酸化シリコン(SiO2)膜103、合成石英ガラス基板101、水106の屈折率および各層の光学的膜厚を示す。
媒質 水 1.44
2層目 SiO2 1.54 0.33λ
1層目 LaF3 1.69 0.57λ
基板 合成石英ガラス 1.50
なお、フッ化ランタン(LaF3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、真空蒸着法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、真空蒸着法に限定されるものではなく、各種スパッタリング法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法により成膜してもよい。
2層目 SiO2 1.54 0.33λ
1層目 LaF3 1.69 0.57λ
基板 合成石英ガラス 1.50
なお、フッ化ランタン(LaF3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、真空蒸着法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、真空蒸着法に限定されるものではなく、各種スパッタリング法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法により成膜してもよい。
図9は、実施例1の光学素子のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と出射角との関係を示す図である。図9に示すように、S偏光の反射率(Rs)とP偏光の反射率(Rp)との平均反射率(Ra)は、出射角θが0〜65度の範囲において約0.5%以下となっており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系と液体とが接する界面において十分使用可能である。
図10は、実施例1の光学素子のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と開口数NAとの関係を示す図である。図10に示すように、開口数NAが1.3程度まで平均反射率Raが0.5%以下を維持しており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系の液体と接する界面において十分使用可能である。
図11は、実施例2にかかる透過光学素子の構成を模式的に示した図である。図11に示すように、合成石英ガラス基板111上に、反射防止膜として多層膜114が成膜されている。多層膜114は4層構成で合成石英ガラス基板111側から順に第1層として酸化アルミニウム(Al2O3)膜112、第2層として酸化シリコン(SiO2)膜113、第3層として酸化アルミニウム(Al2O3)膜112、第4層(最表面層)として酸化シリコン(SiO2)膜113の順に成膜され構成されている。また、合成石英ガラス基板111とレジストを塗布したシリコン基板(ウエハ)116との間に介在する液体は、水(純水)115である。以下に、λ(波長193nm)を設計主波長とする場合の第1層及び第3層の酸化アルミニウム(Al2O3)膜112、第2層及び第4層の酸化シリコン(SiO2)膜113、合成石英ガラス基板111、水115の屈折率および各層の光学的膜厚を示す。
媒質 水 1.44
4層目 SiO2 1.54 0.35λ
3層目 Al2O3 1.85 0.60λ
2層目 SiO2 1.54 0.16λ
1層目 Al2O3 1.85 0.06λ
基板 合成石英ガラス 1.55
なお、酸化アルミニウム(Al2O3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、イオンビームスパッタリング法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、特にイオンビームスパッタリング法に限定されるものではなく、その他の各種スパッタリング法、蒸着法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法により成膜してもよい。
4層目 SiO2 1.54 0.35λ
3層目 Al2O3 1.85 0.60λ
2層目 SiO2 1.54 0.16λ
1層目 Al2O3 1.85 0.06λ
基板 合成石英ガラス 1.55
なお、酸化アルミニウム(Al2O3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、イオンビームスパッタリング法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、特にイオンビームスパッタリング法に限定されるものではなく、その他の各種スパッタリング法、蒸着法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法により成膜してもよい。
図12は、実施例2の光学素子のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と出射角との関係を示す図である。図12に示すように、S偏光の反射率(Rs)とP偏光の反射率(Rp)との平均反射率(Ra)は、出射角θが0〜65度の範囲において約0.3%以下となっており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系の液体と接する界面において十分使用可能である。
図13は、実施例2の光学素子のArFエキシマレーザ(波長193nm)における、反射率と開口数NAとの関係を示す図である。図13に示すように、開口数NAが1.3程度まで平均反射率Raが0.3%以下を維持しており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系の液体と接する界面において十分使用可能である。
図14は、実施例3にかかる透過光学素子の構成を模式的に示した図である。図14に示すように、合成石英ガラス基板121上に、反射防止膜として多層膜124が成膜されている。多層膜124は4層構成で合成石英ガラス基板121側から順に第1層として酸化アルミニウム(Al2O3)膜122、第2層として酸化シリコン(SiO2)膜123、第3層として酸化アルミニウム(Al2O3)膜122、第4層(最表面層)として酸化シリコン(SiO2)膜123の順に成膜され構成されている。また、合成石英ガラス基板121とレジストを塗布したシリコン基板(ウエハ)126との間に介在する液体は、水(純水)125である。以下に、λ(波長248nm)を設計主波長とする場合の第1層及び第3層の酸化アルミニウム(Al2O3)膜122、第2層及び第4層の酸化シリコン(SiO2)膜123、合成石英ガラス基板121、水125の屈折率および各層の光学的膜厚を示す。
媒質 水 1.38
4層目 SiO2 1.49 0.34λ
3層目 Al2O3 1.71 0.61λ
2層目 SiO2 1.49 0.16λ
1層目 Al2O3 1.71 0.06λ
基板 合成石英ガラス 1.51
なお、酸化アルミニウム(Al2O3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、イオンビームスパッタリング法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、イオンビームスパッタリング法に限定されるものではなく、その他の各種スパッタリング法、蒸着法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法を用いて成膜してもよい。
4層目 SiO2 1.49 0.34λ
3層目 Al2O3 1.71 0.61λ
2層目 SiO2 1.49 0.16λ
1層目 Al2O3 1.71 0.06λ
基板 合成石英ガラス 1.51
なお、酸化アルミニウム(Al2O3)膜及び酸化シリコン(SiO2)膜の成膜は、イオンビームスパッタリング法により行ったが、反射防止膜の成膜方法は、イオンビームスパッタリング法に限定されるものではなく、その他の各種スパッタリング法、蒸着法、イオンビームアシスト法、イオンプレーティング法を用いて成膜してもよい。
図15は、実施例3の光学素子のKrFエキシマレーザ(波長248nm)における、反射率と出射角との関係を示す図である。図15に示すように、S偏光の反射率(Rs)とP偏光の反射率(Rp)との平均反射率(Ra)は、出射角θが0〜65度の範囲において約0.3%以下となっており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系の液体との界面において十分使用可能である。
図16は、実施例3の光学素子のKrFエキシマレーザ(波長248nm)における、反射率と開口数NAとの関係を示す図である。図16に示すように、開口数NAが1.3程度まで平均反射率Raが0.3%以下を維持しており、非常に良好な性能となっている。従って、この光学素子は、投影光学系の液体との界面において十分使用可能である。
R・・・レチクル、PL・・・投影光学系、W・・・ウエハ、1・・・照明光学系、4,32・・・透過光学素子、4A,32A・・・透過光学素子のウエハ側の先端部、4B,32B・・・透過光学素子のテーパー面、5・・・液体供給装置、6・・・液体回収装置、7・・・液体、9・・・Zステージ、10・・・XYステージ、14・・・主制御系、21,22・・・供給管、21a〜21c,22a〜22c・・・排出ノズル、23,24・・・回収管、23a,23b,24a,24b・・・流入ノズル。
Claims (14)
- 露光ビームでマスクを照明し、投影光学系を介して前記マスクのパターンを基板上に転写し、前記基板の表面と前記投影光学系との間に所定の液体を介在させた投影露光装置に使用される光学素子であって、
前記投影光学系の前記基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に露光光の反射を防止する反射防止膜が成膜されていることを特徴とする光学素子。 - 前記反射防止膜は、多層膜により構成され、少なくとも該多層膜の最表面層が酸化物膜により構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
- 前記最表面層の酸化物膜は、酸化シリコン(SiO2)膜であることを特徴とする請求項2記載の光学素子。
- 前記反射防止膜は、酸化物膜から成る多層膜により構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
- 前記露光ビームは、ArFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の光学素子。
- 前記露光ビームは、KrFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の光学素子。
- 前記液体は、純水もしくは純水を主成分とする液体であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の光学素子。
- 露光ビームでマスクを照明し、前記マスクのパターンを投影光学系を介して基板上に転写し、前記基板の表面と前記投影光学系との間に所定の液体を介在させた投影露光装置であって、
前記投影光学系の前記基板側の、基材として合成石英ガラスが用いられている透過光学素子の表面に露光光の反射を防止する反射防止膜を備えることを特徴とする投影露光装置。 - 前記反射防止膜は、多層膜により構成され、少なくとも該多層膜の最表面層が酸化物膜により構成されていることを特徴とする請求項8記載の投影露光装置。
- 前記最表面層の酸化物膜は、酸化シリコン(SiO2)膜であることを特徴とする請求項9記載の投影露光装置。
- 前記反射防止膜は、酸化物膜から成る多層膜により構成されていることを特徴とする請求項8記載の投影露光装置。
- 前記露光ビームは、ArFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載の投影露光装置。
- 前記露光ビームは、KrFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載の投影露光装置。
- 前記液体は、純水もしくは純水を主成分とする液体であることを特徴とする請求項8乃至請求項13の何れか一項に記載の投影露光装置。
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