JP2006179732A - 半導体パワーモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】
樹脂封止半導体パワーモジュールのハンダ接続部の熱疲労寿命と耐湿性とを、同時に向上させる。
【解決手段】
本発明の半導体パワーモジュールは、セラミックス基板に高純度AlもしくはAl合金を直接接触させて接合させた絶縁基板にハンダを介してSiチップを搭載し、このSiチップと絶縁基板とを、線膨張係数が10×10-6〜40×10-6/℃、ヤング率が3〜20GPa、ガラス転移温度Tgが150℃以上であるのエポキシ系樹脂で封止した。
【選択図】図1

Description

本願発明は、家電用、産業用、車両用等に広く用いられる樹脂封止した半導体パワーモジュールに関する。
IGBTやパワーMOSFET、ダイオードなどのパワー半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュールは、スイッチング素子の発熱量が大きいので、一般に、熱伝導率が高く電気絶縁性も高い材料を絶縁板に用いる。発熱量が大きな中容量から大容量の半導体パワーモジュールでは、絶縁板に、熱伝導率の高いセラミックスが主として用いられている。このような半導体モジュールには、コスト低減化と信頼性の維持向上との両立が要求されている。なお、以下の記述では、半導体パワーモジュールを単にモジュールと略す。
特許文献1には、部品類の全面保護としてシリコーンゲルが注入され、シリコーンゲルの上にエポキシ樹脂を注入するモジュール構造と、線膨張係数が5×10-6/℃〜25×10-6/℃の樹脂で半導体チップを直接封止するモジュール構造とが開示されている。特許文献2には、セラミックス基板に高純度溶融Alを直接接合させた金属−セラミックス複合基板が開示されている。なお、特許文献2には、モジュール構成の詳細について開示がない。特許文献3には、比較的硬いAl合金をセラミックス板に接合した複合基を用いたシリコーンゲルを注入したモジュールが開示されている。
特開平6−5742号公報 ((0002)段落〜(0006)段落、(0009)段落〜(0010)段落、図1、図2) 特開2001−144224号公報 ((0024)段落、図7) 特開2003−258150号公報 ((0015)段落、(0027)段落、(0029)段落、(0031)段落〜(0034)段落、(0036)段落、図2、図3)
前記従来技術のモジュールで、より高熱伝導性と低コスト化を考えると、セラミックス絶縁板と金属基板とをろう材、もしくはハンダ材等で接合するために、セラミックス絶縁板と金属基板とにNiを主にしたメタライズ層を形成するので、製造工程がかさむことや、メタライズ層などの介在による接合層の熱損出の問題がある。さらに、メタライズ層、ろう付け部、ハンダ接合部等の線膨張係数、剛性の違いなどから生ずる接合後の基板の反りや、基板の反りに絡むモジュール内の接続部の歩留まり低下、性能低下等の問題があった。
特許文献1と特許文献3とが開示しているシリコーンゲルを充填するモジュールでは、チップ、基板等がシリコーンゲルで直接被覆されていて、ヤング率が低いのシリコーンゲルでは半導体チップや基板等の熱膨張による変位を拘束できない。このために、ハンダ接合部に応力が集中し、モジュールの寿命が向上しない。さらに、モジュールのセラミックス基板が厚いAlベースと一体になっているので、セラミックス基板の見掛けの線膨張係数が大きくなり、半導体チップとセラミックス基板間のハンダの寿命がさらに厳しくなる。また、一体化したAlとセラミックス基板間の接合端部でも、Alの疲労劣化や端部セラミックスの破損などが予想される。
また、特許文献1が開示している半導体チップを直接封止する構成では、封止樹脂の線膨張係数が25×10-6/℃より大きな樹脂には適用できないことが(0023)段落に開示されている。
本願発明の目的は、高い信頼性の樹脂封止した半導体パワーモジュールを提供することである。
本願発明の半導体パワーモジュールは、物性を適正化したエポキシ系樹脂で封止して、ハンダ接合部の寿命を大幅に向上させた。本願発明の半導体パワーモジュールは、セラミックス基板に高純度AlもしくはAl合金を直接接合し、ハンダ接合部が1階層の構造である。
本願発明の半導体パワーモジュールは、封止用エポキシ系樹脂のヤング率を下げて、かつ封止用エポキシ系樹脂の線膨張係数をハンダの線膨張係数に近づけ、しかも封止用エポキシ系樹脂の線膨張係数がセラミックス・Alベース複合基板の線膨張係数に近いので、ハンダ付け後のモジュールの反りを抑えられ、さらに、高温時には複合基板のAlベース基板が膨らむように反る(外側に反る)ので、放熱板とAlベース基板との間に介在する熱伝導グリースとの接触が途切れない。この結果、本願発明の半導体パワーモジュールは、接続部の信頼性が一層高くなり、熱性能が高く寿命も長い。
本願発明の半導体パワーモジュールは、封止用エポキシ系樹脂の線膨張係数が14×10-6〜24×10-6/℃であり、室温(15℃〜20℃)のヤング率が3GPa〜18GPa、より望ましくは5GPa〜10GPaである。封止用エポキシ系樹脂のヤング率、線膨張係数をこのように選定したので、ハンダのクラック起点での応力集中を抑えて長寿命化を達成し、かつ、半導体チップの破壊を起さないレベルの応力で拘束し、チップ端部及び素子を保護する。この結果、本願発明の半導体パワーモジュールは、封止用エポキシ系樹脂で半導体チップを拘束でき、半導体チップ界面剥離を防止でき、ハンダ接合部の寿命が一層向上する。
本願発明の半導体パワーモジュールは、封止用エポキシ系樹脂のガラス転移温度Tgが150℃以上であるので、ガラス転移温度Tg以上の線膨張係数の急激な上昇(2倍〜3倍)を避けることで、半導体パワーモジュールの信頼性が向上する。これにより、半導体素子及びチップ端部に大きな応力を作用させないように隔離するように機械的に保護し、半導体チップの保護、界面剥離防止を向上させ、かつ、パワーサイクル、温度サイクルにおけるハンダの寿命を向上させ、さらにモジュールの反りを抑えることができる。これにより、電気的絶縁、機械的保護等を兼ね備えた高性能・小型・軽量、低コストモジュールが実現できる。
本願発明によれば、汎用のAl23基板、AlN基板、Si34基板、SiC基板等に、高純度AlもしくはAl合金を直接溶湯接続したセラミックス絶縁基板を使用して、プロセスを簡素にし、ハンダの熱疲労寿命を向上させ、モジュールの反りを抑え、かつ素子部の保護を兼ねた低コストの半導体パワーモジュールを提供できる。
以下、本願発明の詳細を図面を参照しながら説明する。
図1に、本実施例によるエポキシ系樹脂10で封止し、セラミックス基板102の片方の面に金属の電極15とハンダ3とを介して半導体チップであるSiチップ1を搭載した半導体パワーモジュールの断面図を示す。図1に示すように、セラミックス基板102の別の面には、放熱用のAl製のベース基板4が配置され、このベース基板4はセラミックス基板102より面積が広い。
なお、ベース基板4の材質は、Alに限られず、Alを含む合金や、Cuや、Cuを含む合金や、Feや、Feを含む合金を用いることができる。また、図1のSiチップ1は、IGBTあるいはパワーMOSFETあるいはダイオードの何れであっても良く、セラミックス基板102に1個あるいは2個以上搭載しても良い。
図1に示すセラミックス基板102は、99〜99.99% 純度のAlが直接張り合わされているAl−セラミックス複合部材である。このようなAl−セラミックス複合部材は、Al23、AlN、Si34等のセラミックス基板上に高純度Al溶湯を直接接触させた状態で移動し、溶湯でぬらした後冷却して作られたものである。このAl−セラミックス複合部材のAl−セラミックス界面の接合状態は、例えば特開平11−263676号公報に開示されているように、物理接合か化学接合か区別できないが、工業的に界面を清浄化し、強固に接合させている。また、基板の反りを、柔軟な高純度Alの変形で開放するので、脆い基板でも界面破壊発生を回避できる。また、Alとセラミックスとの接合部には十分なピール強度があって、高純度Alを用いるため熱伝導にも優れている。
本実施例では、セラミックス基板102表面でハンダ接続に必要な箇所のAl部分を、NiもしくはNi/Auフラッシュメッキし、チップ裏面に薄膜メタライズしたパワーMOSFET、IGBT、ダイオードなどのパワー半導体のSiチップ1とリード2とを、予めSn−3Ag−0.5Cu の鉛フリーハンダペーストを塗布した上に位置決め配置し、次いで、Siチップ1とリード2、電気回路部品等を一括して窒素で置換した雰囲気に入れ、その後で、真空ハンダ付けでリフロー接続を行った。洗浄後、Al線8でSiチップ1や電気回路6、リード2を超音波ワイヤボンド(WBと略す。)で接続する。この後、エポキシ系樹脂10をポッティング、あるいはトランスファモールドして図1に示すように樹脂封止する。
モジュールのハンダ3の寿命を向上するためにはSiチップ1、セラミックス基板102、Alのベース基板4等を拘束し、かつSiチップ1を保護できて、Siチップ1外周部の応力集中を緩和できる低いヤング率で、線膨張係数をハンダの線膨張係数に合わせたエポキシ系樹脂10の拘束効果が重要である。
なお、剛性が強いAl合金をAl−セラミックス複合部材のAlの代わりに用いてもよい。Al合金の場合は、セラミックスに接着した後のAl合金の変形は少ないが、密着強度が高く反り難い。Al合金−セラミックス複合部材で基板製作後は、上記高純度Al−セラミックス複合部材と同様なプロセスでモジュールを製作した。この場合もパワーサイクル試験、温度サイクル試験等で評価したところ、高純度Al−セラミックス複合部材の場合と同等な信頼性を確認した。
本実施例のモジュールでは、実施例1で、線膨張係数が18×10-6/℃、室温(15℃〜20℃)のヤング率が10GPaのエポキシ系樹脂10を用いた。本実施例のモジュールでは、パワーサイクル試験や温度サイクル試験で、ハンダ3のクラック進展は殆ど認められなかった。以下詳述する。
ヤング率を下げたエポキシ系樹脂10でSiチップ1の周囲を囲むことで、素子への影響、Siチップ1の界面剥離等から開放できる。さらに、エポキシ系樹脂10がハンダ3とSiチップ1を取り囲み拘束する補強効果、即ち、Siチップ1端部でのハンダ3の応力集中を緩和することにより、ハンダ3のクラック進展を阻止する。
この場合、エポキシ系樹脂10の応力−歪特性は熱弾性で近似でき、ハンダ3の応力−歪特性は熱弾塑性で近似される。このように近似できるので、ハンダ3のヤング率(Sn−3Ag−0.5Cu;20℃で約40GPa)がエポキシ系樹脂10より高くても、モジュールをパワーサイクル試験、温度サイクル試験する温度変化域では、応力が作用するとハンダ3が塑性変形して、ハンダ3の見掛けのヤング率が低くなる。そのために、ハンダ3の見掛けのヤング率が10GPa以下になって、エポキシ系樹脂10と同様の柔らかさと見なせるので、Siチップ1周囲が柔らかい材料で包まれて保護された状態になる。
低温時に、エポキシ系樹脂10が収縮し応力が作用した場合、Siチップ1周囲にも応力が作用して、エポキシ系樹脂10とSiチップ1界面で剥離、破壊を起こす恐れがある。それを防止するためエポキシ系樹脂10のヤング率を下げる必要がある。エポキシ系樹脂の好適なヤング率はSiチップ寸法等にも依存するが、Siチップ1やセラミックス基板102等を強く拘束でき、かつ界面剥離、チップ破壊を起こさないようにするには、ヤング率を適度に低くし、かつ線膨張係数をハンダ3の線膨張係数に近づけることが必要である。
本実施例のモジュールも、実施例1と同様に図1に示す断面構造で、Al23基板に99〜99.99% 純度のAlを直接張り合わせたAl−セラミックス複合部材をセラミックス基板102として用いた。
本実施例のモジュールは、全体をエポキシ系樹脂10で覆ったので、温度サイクル、パワーサイクル試験条件下でシリコーンゲルで封止する従来技術のモジュールに比べ、ハンダ3の寿命が大幅に改善される。以下そのメカニズムの検討結果を示す。
これまで、樹脂封止型モジュールの寿命に対する樹脂の設計指針が明確になっていない。以下に示すように、適正な樹脂物性値を選定することで、シリコーンゲル封止構造に比べ、温度サイクル試験、パワーサイクル試験の熱疲労寿命を大幅に向上ができることが分かった。また、有限要素法解析でも実験結果の妥当性を確認できた。
エポキシ系樹脂で封止することで、シリコーンゲル封止構造より優れた熱疲労寿命を示すことが、Al23基板のフリップチップ実装における樹脂充填構造で知られており、例えば、電子情報通信学会論文誌C−II、Vol.J73−C−II No.9,pp516−524に記載がある。
フリップチップ実装より高出力、大型Siチップを用いる本実施例のパワーモジュールでも、高い信頼性を確保できる見通しを得た。全体を封止するエポキシ系樹脂10の線膨張係数をハンダ3の線膨張係数(21×10-6/℃)に近づけることで、Alのベース基板4の線膨張係数(24×10-6/℃)にも近づくので、モジュールの反りを防止でき、かつエポキシ系樹脂10のヤング率低くすることでハンダ3接合部の寿命も向上する。
なお、Al23基板の他に、AlN基板でも、線膨張係数の差が大きいAlN基板とAlベース基板間にハンダではなく柔軟で変形性に優れる高純度Al基板を用いることで基板の反りが開放される。また、樹脂で周囲を補強するため、AlN基板端部のAlベース基板からの剥がれや破損が生じない。
本実施例では、樹脂の基板及びチップへの熱応力的影響を調べるために、薄膜で配線を施した破壊し易いソーダガラス基板(熱膨張係数;9.3×10-6/℃) 上にSiチップをハンダバンプで接続し、その隙間及び周囲に樹脂を充填し、樹脂を硬化させたモジュールのモデルも作製し、これを温度サイクル試験(−40℃〜100℃)を実施し、樹脂物性による素子、基板の端子部破壊による断線の有無の評価もした。
図2は、封止樹脂に配合する石英フィラーと、微粒子状のシリコーン系のゴムの配合率に対する基板の端子部破壊による断線を調べたデータである。図2では、樹脂封止がない裸チップ構造(シリコーンゲル構造と同等)の寿命を基準にして、これよりも寿命が短い場合を×、長い場合を程度に応じ、優れる:△印、大幅に優れる:○印と表記した。
図2からフィラー配合量の適正範囲は20〜60Vol%である。図2では、ゴムの配合率はエポキシ樹脂100gfに対する重量部で表示した。図2に示すようにゴムの配合率は1重量部(0.99重量%に相当)から20重量部(16.7重量%に相当)の範囲が好ましく、特に5重量部(4.8重量%に相当)から10重量部(9.1重量%に相当)が好ましい。ゴムの配合率が20重量部(16.7重量%に相当) を超えると、樹脂内のゴムの分散が不均一になると共に、ゴムの線膨張係数が大きいので、混入後の樹脂組成物の線膨張係数も大きくなって、耐熱疲労性が低下する。なお、ゴムを配合するとヤング率がそれ程変わらずに、ガラス割れを起こさないことから、急激な温度変化に対する、熱衝撃緩和効果が認められる。
図3は、樹脂封止構造パワーモジュールの設計指針を得るための封止用のエポキシ系樹脂10の線膨張係数に対する、Siチップ1の応力と、ハンダ歪との関係を示すグラフである。図3(a)のグラフ中に示す断面モデル構造で、パワーサイクル試験におけるSiチップ1の端部Bの相当応力と、ハンダ3のクラック起点Aの相当歪とを、有限要素法による3次元弾塑性解析を行った。温度プロファイルは、実績のある120℃→20℃→120℃→20℃の変化で、1.5 サイクルの温度変化で発生したSiチップ1端部Bの相当応力振幅及びハンダ3のクラック起点Aでの相当歪振幅を求めた。なお、Siチップ1表面に作用する応力として、相当応力の他に主応力、σx、σy、σz等での評価も行ったが、ほぼ相当応力に比例していることから、ここでは相当応力で評価した。図3(a)、図3(b)中に示した各枠の内側はエポキシ系樹脂10の線膨張係数の適正領域(14×10-6/℃〜24×10-6/℃)を示す。
図3(a)から、封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率が、Siチップ1の端部Bの応力に直接に影響を与えることが分かる。同一ヤング率の場合、ヤング率が低い15GPaレベルでは、エポキシ系樹脂10の線膨張係数が10×10-6/℃〜40×10-6/℃の広い範囲で、相当応力は変わらない。適正領域ではさらにその傾向が強い。封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率が約20GPaを超える(図3(a)では20GPaの曲線を省略している。)とSiチップ1の端部Bにかかる相当応力は、線膨張係数30×10-6/℃以上で上昇する傾向が強い。封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率が高いと、Siチップ1の端部Bの相当応力が上昇し、またエポキシ系樹脂10のヤング率が約20GPaより小さいと、封止用のエポキシ系樹脂10の線膨張係数が30×10-6/℃より小さい場合には、小さくなるにつれて相当応力が多少上昇する傾向はあるが、線膨張係数10×10-6/℃〜30×10-6/℃の広い範囲で、相当応力はあまり変わらない。
図3(b)から、封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率が同じ場合、エポキシ系樹脂10の線膨張係数が増す程、ハンダ3のクラック起点Aの相当歪が大きくなる。しかし、破線で示した従来技術のシリコーンゲル充填構造の値と比べると、エポキシ系樹脂10の線膨張係数が10×10-6/℃〜40×10-6/℃を超える広い範囲で、ハンダ3の相当歪は低い値を示しており、シリコーンゲル充填構造よりハンダ3の寿命が長いことを示している。実際のパワーサイクル加速試験でも、この樹脂構造では、ハンダ3に起因する寿命低下は生じていないことを確認した。これらのことは、封止用のエポキシ系樹脂10の物性を適切に選定すればハンダ3の応力集中を緩和することを示し、有限要素法解析でも確認できた。
図4は、封止用のエポキシ系樹脂10の線膨張係数に対する、Siチップの端部Bの応力と、ハンダ歪の関係図である。図4中に示した枠内は、エポキシ系樹脂10の線膨張係数の適正領域(14×10-6/℃〜24×10-6/℃)を示す。図4は、エポキシ系樹脂10の線膨張係数を横軸にとり、縦軸にハンダのクラック起点Aの相当歪(左)とSiチップ1表面素子端部Bに作用する相当応力(右)をとって、プロットしたものである。また、破線はシリコーンゲルで全体を充填した従来技術のモジュールのハンダのクラック起点の相当歪を示す。エポキシ系樹脂10の線膨張係数が14×10-6/℃〜24×10-6/℃の範囲では、ハンダ3のクラック起点Aでの相当歪は、シリコーンゲルで全体を被覆した構造のハンダの相当歪よりも小さい。従って、図4に示すように、線膨張係数が14×10-6/℃〜24×10-6/℃の範囲のエポキシ系樹脂10を用いると、シリコーンゲル封止構造に比べ、ハンダ3の歪は小さくなることから、ハンダ3に起因する断線の確率がより少くなる。また、Siチップ1の端部Bの相当応力σ(窓枠部)の値も小さく、Siチップ1の破壊応力(100MPa)以下であり、素子部の破壊、界面での剥離等が起こり難くなる。
図5は、樹脂101のヤング率と樹脂101による拘束の関係を示す解析結果のグラフである。Siチップ1(10×0.5mm 厚さ)とAl23基板103(10×1mm厚さ)間に樹脂101を入れ、150℃から−55℃に変化させ、樹脂101のヤング率を変えた場合に、最外周部の両者の相対変位(ΔL)を2次元熱弾塑性解析で求め縦軸に示した。樹脂101の線膨張係数は25×10-6/℃として計算した。図5より、変位を拘束する樹脂101のヤング率は少なくとも1GPa以上必要であることが分かる。
さらに、有限要素法解析結果によって、変位を拘束する樹脂101のヤング率は少なくとも1GPa以上であることが必要であり、しかもSiチップを1拘束する効果が確実に現われるためには、モジュールの封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率が3GPa以上必要であることを確認した。ヤング率が15GPa以上では変位は余り変わらないが、Siチップ1の界面に作用する応力が大きくなり、チップ素子部への影響、Siチップ1界面剥離、素子部の破壊、チップ割れ等を起こしやすくなる。このため、弱いSiチップ1表面を保護する意味からも、ヤング率が高過ぎる樹脂は好ましくない。
また、実際に製造する製品では、弱い素子もあり、高い歩留まりで高い信頼性を確保するには封止用のエポキシ系樹脂10のヤング率を下げることが重要である。有限要素法による3次元弾塑性解析でも物性による違いを確認できた。なお、ヤング率(曲げ弾性率)の測定は、樹脂硬化物を5×10×100mmに切削し、JIS−6911規定の曲げ試験片を作製した。これを、島津製作所製オートグラフDSS−5000を用いて、曲げ速度1mm/min、支点間距離80mmの条件で、両端指示中央集中荷重法によって測定した。
以上の検討結果をまとめ素子への影響を考慮し、高い信頼性を得るための封止用エポキシ系樹脂10の物性を整理すると次の(1)〜(6)に示すようになる。
(1)線膨張係数:10×10-6/℃〜40×10-6/℃、望ましくは14×10-6/℃〜24×10-6/℃。
(2)ヤング率:3GPa〜20GPa、望ましくは5GPa〜10GPa。
(3)先に塗布されるポリイミド系樹脂9に対して密着性に優れること。
(4)ガラス転移温度Tgが150℃以上、望ましくは170℃以上であること。
(5)シリコーンゲル等の高温で安定な微粒子ゴムを可撓化剤としてエポキシ系樹脂に分散させて衝撃を緩和。
(6)不純物濃度:Na+,K+≦1ppm、Cl-≦5ppm
さらに、以下の新たな機能が追加されることになる。
(7)エポキシ系樹脂で封止する前に、実装したSi基板表面を、予め耐熱性のある柔らかいポリアミドイミド系、あるいはポリイミド系樹脂を、薄くスプレー等で塗布する。耐熱性に優れる柔らかいポリイミド系樹脂を薄く塗布することでエポキシ系樹脂にはない新たな変形機能付加により、応力を逃がす役割を果たす。この結果、半導体パワーモジュールで、高信頼実装を実現することが可能になった。
本実施例では、実施例1から実施例4で説明したモジュールで、封止用のエポキシ系樹脂10の線膨張係数とガラス転移点Tgとを検討した。本実施例のモジュールは、(1)パワーサイクル、温度サイクルにおけるハンダの熱疲労寿命向上、(2)Siチップ端部における樹脂との界面剥離防止、(3)素子部の樹脂からの応力に対する保護、(4)界面からの浸水防止(耐湿性向上)、(5)モジュール基板の反り低減、(6)機械的負荷に対する保護等を満たす。
機械的に特定した物性を有するエポキシ系樹脂10で封止することで、チップ下ハンダの寿命を大幅に向上できる。この寿命向上のためには、エポキシ系樹脂10の線膨張係数を20×10-6/℃〜45×10-6/℃にすればよい。また、基板の反り防止のためには、基板の線膨張係数に合わすか、それより線膨張係数を低めにすることで、基板の反りを中央部が凸状に外側に変形させて、熱伝導性グリースとの接触を良くする。例えば、ベース基板がCuの場合、基板の線膨張係数17×10-6/℃であり、ばらつきを考慮し、エポキシ系樹脂10の線膨張係数の下限を14×10-6/℃に設定した。
また、Al基板の場合は、線膨張係数が24×10-6/℃、Cu基板の場合は線膨張係数17×10-6/℃であり、Sn系ハンダの線膨張係数20.5×10-6/℃であることを考慮し、エポキシ系樹脂10の線膨張係数の上限を24×10-6/℃とした。
このように、本実施例のモジュールでは、14×10-6/℃〜24×10-6/℃の線膨張係数を有し、低いヤング率のエポキシ系樹脂10を使用することで、基板の反り防止、ハンダの寿命向上等を同時に達成することができる。
ハンダと同じ21×10-6/℃前後の線膨張係数のエポキシ系樹脂10で封じることで、エポキシ系樹脂10及びハンダ3がSiチップ1を取り囲むことで応力による素子の破壊を防止できる。同時にハンダ3の寿命を向上させるため、Siチップ1及びセラミックス基板102、ベース基板4等も拘束できるエポキシ系樹脂10の補強効果が必要である。即ち、応力的に最も厳しい位置であるSiチップ1の端部、セラミックス基板の端部でのハンダ3の応力集中を緩和する役割を果たすことにより、ハンダ3のクラック進展を阻止できる。このため、Siチップ1表面を保護する柔らかさと、強い拘束力が必要となる。
さらに、樹脂特有の問題として、ガラス転移温度Tgがある。特にパワーモジュールにおいては高温時の特性が重視されるので、ガラス転移温度Tgは信頼性に大きく影響を及ぼす。一般に、ガラス転移温度Tgが低い樹脂は作業性に優れることから、使い勝手性に優れるが、ガラス転移温度Tg以上の温度では線膨張係数が約3倍に急上昇するので、高温でのマージンが少ないと良い結果が得られない場合がある。従って、使用環境条件、加速試験等はガラス転移温度Tg以下であることが高信頼性確保の必要条件である。厳しいパワーサイクル試験を考慮すると、ガラス転移温度Tgは150℃以上が必要で、170℃位であることが望ましい。これにより厳しい環境条件、熱処理等の高温での熱の影響によるダメージを最小限に抑え、高い信頼性を確保できる。なお、ガラス転移点温度Tgの上限は、モジュールの動作上限温度を考慮すれば250℃で十分である。
線膨張係数とガラス転移温度Tgの測定は、真空理工製の熱物理試験機TMA−1500を用いた。厚さ4mmの硬化試験片を圧縮モード、毎分1℃の速度で昇温し、伸びの温度特性を測定した。線膨張係数αは伸びの温度特性から求め、ガラス転移温度Tgを伸びの温度特性グラフの変曲点とした。
本実施例のパワーモジュールの断面を図6(a)に示す。本実施例では、Siチップ1の上方及びその周辺のモジュールの応力的負担が少ない位置にフェライト部材116を配置し、高周波ノイズ対策、電磁的遮断効果を持たせた構造としたことが、実施例1から実施例5と異なる。
図6(a)のフェライト部材116は、フェライト板をモジュール上面に固定してもよいし、フェライト粉末を耐熱性のある接着剤で固着した板でも良く、あるいは封止用樹脂のフィラー材として混合してもよい。本実施例に用いるフェライト粉末には一例として、NiFe24・ZnFe24があるが、これに限定されるものではない。図6(a)に示す構造でパワーサイクル試験を行った結果、ジャンクション温度Tjが50〜150℃では、10000サイクルでも破壊せず、ハンダのクラック進展は殆ど認められないことが分かった。
図6(b)は本実施例のモジュールをトランスファモールドで成型する模式図である。上下の金型117は図6(b)に示していないヒータを埋め込んだ上下のプラテンで固定される。モールドしたエポキシ系樹脂10がベース基板4から剥がれ難いようにベース基板4のAl板の端部に溝7を加工した。
本実施例のモジュールをパワーサイクル試験した結果、ジャンクション温度Tjが50℃〜150℃では、10000サイクルでも破壊せず、ハンダのクラック進展は殆ど認められないことが分かった。本実施例では、実施例1で説明したように、セラミックス基板にAlを直接に接合した構造なので、材料、工程が大幅に削減でき、ハンダの鉛フリー化も容易になり、信頼性を向上した小型・軽量の半導体パワーモジュールを提供できる。
本実施例のモジュールを図7に示す。図7(a)、図7(b)は平面図を、図7(c)は断面図を示す。本実施例では、Alのベース基板4の実装面側のセラミックス基板102の外周部に、予め機械加工やエッチング等で連続した溝7を形成し、セラミックス基板102とベース基板4間の外周部界面に、図示していないエポキシ系樹脂10からの応力がストレートに伝わらぬようにした。同様にSiチップ1を搭載するAlの電極15の外周部にも、溝7′を配置した。なお、Al電極部の溝7′とAlのベース基板4に設けた溝7は界面にから浸透する水が通る距離を長くし、モジュールの耐湿性を向上させる。ここで、Alの電極15に図7(b)に示すよう応力が集中するSiチップ1の角に相当する部分に互いに不連続な溝11を複数個配置しても良い。同様に、ベース基板4の角部に不連続な溝を複数個配置しても良い。
本実施例では、プロセス簡素化のため、外部リードはNiメッキしたCu板を打ち抜いたものとし、これをSiチップ1や他の部品等と同時に鉛フリーハンダペーストで一括真空リフローで接続し、真空ハンダ付け後に、洗浄、ワイヤボンド、トランスファモールドもしくはポッテイングによる樹脂封止工程を行った。樹脂封止後は必要に応じて脱泡処理、硬化処理し、外部リードを切断し、リードのフォーミングを行った。
本実施例の1辺が7mmの概略正方形のチップを搭載し、線膨張係数が21×10-6/℃、室温(15℃〜20℃)のヤング率が13GPaのエポキシ系樹脂10を用いたモジュールで、パワーサイクル試験及び温度サイクル試験を行ったが、ハンダ3のクラック進展は殆ど認められなかった。即ち、シリコーンゲルで充填した従来技術のモジュール構造に比べると、約3倍〜10倍にハンダ3の寿命が向上した。このように寿命が向上するメカニズムは、適正な樹脂物性の選定により、ハンダクラック起点での応力集中を抑え、Siチップ1の破壊を起さないレベルの応力でチップを保護、拘束したためである。
なお、エポキシ系樹脂10の線膨張係数は、高い精度でハンダ3の線膨張係数に合わせる必要はなく、14×10-6〜24×10-6/℃の範囲であれば、Sn−Ag−Cu系のハンダ組成、Alのベース基板4の値を包含し、基板の反りを抑えることができる。Siチップ1の線膨張係数はハンダ3の線膨張係数に比べかなり低いので、エポキシ系樹脂10には密着力が必要であり、かつヤング率を低くする必要がある。なお、エポキシ樹脂系10のヤング率が20GPa以上では、エポキシ系樹脂10とSiチップ1との界面での樹脂剥離、Siチップ割れ、素子部の破損等を起こす確率が高くなり好ましくない。エポキシ樹脂系10のヤング率が18GPa〜20GPaでは、チップ寸法・構造、試験条件の厳しさによって起きる場合と、起きない場合の境界レベルにある。
また、エポキシ系樹脂10中にシリコーン系ゴムの微細粒子を5重量%〜10重量%分散させると、多少ヤング率を下げられるが、そのマクロな物性効果以上にゴム添加による耐熱衝撃緩和材として優れた効果がある。このシリコーン系ゴムの微細粒子を含んだエポキシ系樹脂10を用いたモジュールでパワーサイクル試験を行った結果、ジャンクション温度Tjが50℃〜150℃では、10000サイクルでも破壊せず、ハンダのクラック進展は殆ど認められなかった。
本実施例ではモジュールに用いたハンダ3が、Sn−Ag−Cu系の典型的な組成であるSn−3Ag−0.5Cuであるが、他の組成として例えばSn−1Ag−0.5Cu、Sn−Cu系では、例えばSn−0.7Cu等を用いることもできる。あるいは上記ハンダにIn、Bi、Ge、Zn、Ni等を1種類以上微量添加した組成でも良い。
また、環境を考慮した高温系鉛フリーハンダである、Sn−Sb系のSn−(5〜10)Sb(融点:232℃〜240℃)を用いてモジュールを組み立て、他の基板にモジュールを実装する場合には、低温系ハンダとして、Sn−Ag−Cu、Sn−Cu共晶系にInを5〜10%添加した低融点高信頼ハンダを用いて温度階層を持たせればよい。このようにすれば、機械的性質に優れ、比較的柔軟であり、温度分布の優れた炉を使用してmax230℃でのハンダ接続ができる。同様に低温系でさらに融点を下げられるハンダとして、Sn−9Zn(融点;199℃)もしくはSn−9Znに微量のIn、Bi、Ag、Cu、Al、Ge、Ni等を1種類以上添加したものも適用できる。
図8、図9に本実施例のパワーモジュールの断面図を示す。パワー素子では大電流を流す必要からチップ当たり10本レベルのφ300μmのAl線を超音波ワイヤボンディング接続に比べ、放熱効果に優れたリードフレームが注目されている(例えば、池田他5;リードフレームハンダ接合と熱特性の検討;Mate.2004,p375)。本実施例のパワーモジュールは、Al線の代わりにCuリードフレーム等をSiチップ1にハンダ付けした点が、実施例1と異なる。
図8ではリードフレームの伸び剛性による影響が直接にハンダ付け部である素子部に及ぼさないために、リードフレームの伸縮を吸収するベローズ状の複数の折り曲げ部分を備えたベローズ型リードフレーム17にした。このベローズ型リードフレーム17は、無酸素Cuをプレス圧延加工で型を形成後、アニールし軟化させた。Siチップ1のジャンクション部で発生する熱は、チップ下に伝導するだけでなく、熱容量のあるSiチップ1上のローズ型リードフレーム17のCuブロック部で一旦均熱化され、リードフレームを伝わってセラミックス基板102、ベース基板4に伝導し放熱する。
本実施例では、セラミックス基板102の熱流路となっているチップ下ではない部分も、新たな熱流路になるため、効率の良い放熱ができる。Siチップ1とリードフレーム間は線膨張係数の差が大きいので、シリコーンゲル等で被覆しただけでは、ハンダ3の寿命が短く特性への影響が大きくなる。そこで、本実施例のモジュールでは、リードフレームが伸縮して熱応力を緩和できるベローズ部を備えたことで、Siチップ1上のハンダ3の接合部の寿命が向上し、特性への影響を小さくできる。本実施例のモジュールの構造で出力が大きなモジュールには、特にCuのリードフレーム、AlN基板、Cuのベース基板の組合せが特に好ましい。
図9は図8と同様に、リードフレームの伸び剛性を下げるためのリードフレームの変形例を示す。図9の折り曲げリードフレーム19は、ハンダ3の接続部の間に折り曲げ部を備えた形状である。
リードフレーム方式ではSiチップ1への熱衝撃は緩和されるが、ジャンクション部に直接リードフレームがハンダ付けされるため、融点が低いハンダでは、ジャンクション部の温度がハンダ接合に伝わり、熱疲労劣化を解決しなければならない。そこで、本実施例では、実施例1から実施例4と同様の樹脂物性を有し、かつ、ガラス転移温度Tgが150℃以上のエポキシ系樹脂10でモジュールを封止して、ハンダの熱疲労劣化が少ない、高出力モジュールを得る。
リードフレームの材質は無酸素Cu以外に、柔らかい高純度Alリード(NiもしくはNi/Auフラッシュメッキ)、熱伝導率がCu並みに優れ、線膨張係数が約6×10-6/℃であるCu−C複合材(Cuと高純度カーボングラファイトのナノレベルの粒径で作られた粉末もしくは繊維とを焼結した複合材。)等でもよい。このCu−C複合材は、アルミナ並みの線膨張係数であり、かつ柔らかいことから、Siチップ1への応力の負担が少なく、樹脂で補強すると高い信頼性が確保できる。
鉛フリーハンダとして、高温のSn−5Sb(融点:232℃〜240℃)を使用することで、パワーサイクルに対してもジャンクション部での温度上昇に対しての温度マージンを確保できる。さらに高い温度の対応には、280℃でも強度を確保できるCu粒子混入Sn系ハンダ複合材、例えば特開2002−261105号公報に記載のもの等を用いることができる。なお、チップへの負荷が少なく、耐力が小さいSn−0.7Cu 、もしくはSn−0.7CuにInを添加した系のハンダを用いてもよい。
実施例1の半導体パワーモジュールの断面図である。 実施例3のモジュールで、封止樹脂に配合するフィラーとゴムの配合率と断線の関係を示す図である。 実施例4のジュールの封止用樹脂の線膨張係数とチップ応力との関係や、封止用樹脂の線膨張係数とハンダ歪との関係のグラフである。 実施例4のモジュールのエポキシ系樹脂の線膨張係数に対する、Siチップの端部Bの応力と、ハンダ歪の関係のグラフである。 実施例4のモジュールの樹脂による変位とヤング率の関係のグラフである。 実施例6のモジュールの断面図である。 実施例7のモジュールの平面図と断面図である。 実施例8のモジュールの断面図である。 実施例8の別のモジュールの断面図である。
符号の説明
1…Siチップ、2…リード、3…ハンダ、4…ベース基板、5…メタライズ膜、6…電気回路、7、7′…溝、8…Al線、10…エポキシ系樹脂、15…電極、17…ベローズ型リードフレーム、19…折り曲げリードフレーム、101…樹脂、102…セラミックス基板、103…Al23基板、110…ケース、116…フェライト部材、117…金型、118…樹脂注入口、119…樹脂流出口。

Claims (7)

  1. セラミックス絶縁基板と、該セラミックス絶縁基板の一方の面に配置した第1の電極と、該電極にハンダを介して接合したSi半導体チップと、前記セラミックス絶縁基板の一方の面に配置した第2の電極と、該第2の電極にハンダを介して接合したリードとを備えた半導体パワーモジュールにおいて、
    前記セラミックス絶縁基板が、溶融したAlあるいは溶融したAl合金をセラミックス絶縁基板の一方の面と該一方の面対向する他方の面に直接に接触させて凝固させて接合したAl−セラミックス複合絶縁基板であり、
    前記Si半導体チップと第1の電極とを接合するハンダが、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系、Sn−Sb系ハンダ、もしくはこれらにNi,Cu,Ag,Ge,In,Bi,Zn等のいずれか一つ以上の元素を含む鉛フリーハンダであって、
    前記第1の電極と第2の電極とが、ワイヤボンデイング接続、もしくはテープ、リードフレームを介して接続され、
    前記セラミックス絶縁基板と、Si半導体チップと、第1の電極と、Si半導体チップと第1の電極とを接合するハンダとが、エポキシ系樹脂でポッテイングもしくはトランスファモールドで封止され、
    該エポキシ系樹脂の線膨張係数が10×10-6〜40×10-6/℃であり、該エポキシ系樹脂のヤング率が3〜20GPaであることを特徴とする半導体パワーモジュール。
  2. 請求項1において、前記エポキシ系樹脂の線膨張係数が14×10-6〜24×10-6/℃であることを特徴とする半導体パワーモジュール。
  3. 請求項1あるいは請求項2の何れかにおいて、前記エポキシ系樹脂が、シリコーン系の可撓化剤を1重量%〜15重量%含むことを特徴とする半導体パワーモジュール。
  4. 請求項1から請求項3の何れかにおいて、前記エポキシ系樹脂のガラス転移温度Tgが150℃〜250℃であることを特徴とするパワーモジュール。
  5. 請求項1から請求項4の何れかにおいて、前記Si半導体チップの上面に前記エポキシ系樹脂を介してフェライト層を配置したことを特徴とする半導体パワーモジュール。
  6. 請求項1において、前記Al−セラミックス複合絶縁基板のセラミックス基板が、Al23、AlN、Si34の何れかであることを特徴とする半導体パワーモジュール。
  7. 請求項6において、前記Si半導体チップが、IGBTあるいはパワーMOSFETあるいはダイオードの何れかであることを特徴とする半導体パワーモジュール。

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