JP2006178040A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定着温度への立上げ開始温度が変動し、オーバーシュート量がばらつくような状況でも、状況の変化に対応して異常温度を適切に検知可能とすること。
【解決手段】 立上げ開始温度がオーバーシュートの生じる低温域か否かを定着装置の温度信号TEMP入力をもとにコンパレータ5で設定回路6の設定値を基準に判断し、コンパレータ5の判断結果によって、Dタイプフロップフロップ11とANDゲート12,13よりなる切替手段を動作させる。この切替手段の動作によって、立上げ開始温度がオーバーシュートの生じる低温域の場合、異常温度の基準値を高温とする検出手段7,8を用い、オーバーシュートの生じない温域の場合、異常温度の基準値をより低温とする検出手段9,10を用いるように、これらの検出手段を切替え、それぞれの状況に応じて、適切な異常温度の検知を可能にする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、発熱源で発生する熱を用いて記録媒体への現像材の定着処理を行う定着装置を有する画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、コピー・ファクシミリ・プリンタ等の多機能を複合させた複合機等)に関し、より特定すると、定着装置における温度異常を検知し、検知結果によって発熱源への通電の停止制御を可能とする手段を備えた画像形成装置に関する。
従来から、プリンタ、複写機等の画像形成装置においては、電子写真技術による画像形成方法が用いられている。この画像形成方法では、記録媒体(用紙)に転写されたトナー像を加熱溶融して融着させる定着処理が、定着装置によって行われる。定着装置は、電源により駆動されるヒータを加熱源として持ち、ヒータへの電源の供給をON/OFFすることにより発生する熱を管理する。
定着装置の加熱源から発生する熱の管理にとって、画像形成時に定着処理に必要な温度条件とするための制御とともに、何らかの原因で制御が効かずに、定着装置が異常な高温になってしまう温度過昇の防止も大事な要件である。
従来、定着装置の温度過昇を防止し、安全を確保するための手段として、下記1.〜3.の3手段を併用することが一般的である。
1.ソフトウエアによる温度監視と異常時に対応した処置を行う手段(電源ON等の立ち上げから画像形成時に定着処理に必要な温度条件を保ち、待機等の状態へ立ち下げるまでの、通常、ソフトウエアによる行われる温度制御の一環として、異常温度を管理する)。
2.上記1.が機能しなかった場合、ハードウエアによる異常温度の監視と異常時に対応した処置を行う手段(ソフトウエアによる行われる温度制御とは別に、温度センサの検出値をもとに異常温度を監視し、異常温度に達した場合に定着装置の駆動を強制的にOFFする)。
3.上記1.及び2.が機能しなかった場合、最低限焼損を防止するために異常温度に達すると定着装置への通電を遮断するハードウエアによる電源断手段(サーモスタット、温度ヒューズ等の安全装置)。
なお、上記1.〜3.に示す定着装置の温度過昇の管理機能を実現するための手段を提供する従来技術として、下記特許文献1を例示することができる。この従来例において、定着装置は、定着ローラの温度を感知して加熱源への給電を制御する温度センサと、定着ローラの表面温度が所定温度を越えたときに加熱源への給電を遮断する温度過昇防止装置(温度ヒューズやサーモスタット等)を備えている。
特開2002−258664号公報
ところで、昨今の省エネルギー化、即ちエネルギー消費効率の向上やZESM(ゼロエネルギー スタンバイ モード)等への対応により、定着装置においては、リロード温度まで急速に立ち上げることが求められている。
このような要請に応えて、定着装置では、定着に必要な温度への立ち上げ機能が実際に強化されているが、急速に立ち上げるような特性で制御動作を行わせると、定着温度に到達した際のオーバーシュートが大きくなってしまい、その傾向は、低い温度から立ち上げた場合に顕著に現れる。
このオーバーシュートの影響を大きく受けるのが、上記2.のハードウエアによる温度監視と異常時に対応した処置を行う手段である。即ち、立ち上げ開始温度によって、オーバーシュート量が大きくばらつき、特に低温からの立ち上げ時においてオーバーシュートが大きく、その場合の温度は、従来一般的に採用されている高温異常検出温度の設定では、余裕度が少ないために、この異常検出温度を越えてしまい、装置としては、この条件(低温からの立ち上げ)では、異常とみなす必要がない動作であるにも関わらず、高温異常として、誤検知してしまうことになる。
そこで、これまではやむを得ず、オーバーシュートが大きく現れる場合に合わせて、高温異常検出温度を上げて設定するのが、一般的な従来の解決方法であった。
しかしながら、オーバーシュートが大きく現れるのは、装置が低温の状態から立ち上げられた場合であり、現実的には朝一番に電源ONした場合等、ごく限られた状況に留まる。このような限られた状況のみを回避しようとして、高温異常検出温度を高く設定すると、この限られた状況以外においては、高温異常検出温度として適切であるとは言い難く、装置の安全性や信頼性を損なう結果につながるおそれがある。
本発明は、ソフトウエアによる温度制御とは別に行われる異常温度の検知において、定着に必要な温度へ立ち上げるときの立ち上げ開始温度によって、オーバーシュート量が大きくばらつくことにより、誤検知が起きたり、不具合が起きる(オーバーシュートが大きく現れる場合に合わせて、異常検出温度を上げて設定すると、オーバーシュートがない場合に適合しない)、という上記した従来技術の問題に鑑み、これを解決するためになされたもので、立ち上げ開始温度が変動し、オーバーシュート量がばらつくような状況であっても、状況の変化に対応して異常温度を適切に検知できるようにすることを解決すべき課題とする。
請求項1の発明は、発熱源で発生する熱を用いて記録媒体への現像材の定着処理を行う定着装置と、定着装置における温度異常を検知する異常検知手段を有する画像形成装置であり、前記異常検知手段は、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の立ち上げ開始時の上限温度を検出する第1温度検出手段と、オーバーシュートが発生しない動作状態になる場合の異常温度を検出する第2温度検出手段と、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の異常温度を検出する第3温度検出手段と、立ち上げ時に前記第1温度検出手段によって前記上限温度より低い状態から高い状態への温度推移が検出された場合に、第3温度検出手段による異常温度検出結果を有効にし、前記上限温度より低い状態から高い状態への温度推移が検出されなかった場合に、第2温度検出手段による異常温度検出結果を有効にする切替手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2の発明は、異常温度の検出が可能な定着装置の温度制御手段と、異常温度の発生に応じて定着装置への通電を遮断する安全装置を有する請求項1に記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第1温度検出手段の検出温度を前記温度制御手段により検出される異常温度より高く、且つ第3温度検出手段の検出温度を前記安全装置により通電が遮断される異常温度より低くした手段であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第1温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第2温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第3温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項6の発明は、電力により駆動される発熱源を有する請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段で検知された異常信号によって、発熱源への通電を停止する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によると、定着に必要な温度へ立ち上げるときの立ち上げ開始温度が、それぞれの状況によって、低い時や高い時があり、オーバーシュートの発生にばらつきが生じても、その時の立ち上げ開始温度に応じて、適正な異常温度の検知結果を得ることができる設定条件による検出手段を有効とする切替を行うことによって、誤検知や不具合が発生することのない検出動作が可能になるので、装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
以下に、本発明の画像形成装置に係わる実施形態を説明する。
本発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像を形成する装置のように、記録媒体(用紙)に転写されたトナー像を加熱溶融して融着させる定着装置を備える。
定着装置は、此の種の画像形成装置における従来の定着装置と同様に、発熱源としてのヒータへの電源の供給をON/OFF制御することにより、定着に必要な温度へ立ち上げ、画像形成時にその温度を保持する。この温度制御は、ソフトウエアにより実行され、特にエネルギー消費効率の向上やZESM(ゼロエネルギー スタンバイ モード)等へ対応し、急速な立ち上げ動作が行えるような特性を持つ。このため、立ち上げ開始時の温度が低温の場合には、オーバーシュートが発生する。このソフトウエア対応の温度制御では、制御動作の一環として、異常温度が管理される。
また、本発明では、ソフトウエア対応の温度制御による異常温度の管理とは別に、ハードウェアとして独立して異常温度を管理するための手段を設ける。この手段に本発明の特徴がある。
本発明の異常温度を管理するための手段は、立ち上げ開始温度が変動し、オーバーシュート量がばらつき、従来技術によると誤検知を起こした(上記[発明が解決しようとする課題]の項、参照)ような状況であっても、状況の変化に対応して誤り無く異常温度の検知を行うことができるようにする異常検知手段を備える。
そこで、先ず、本発明における異常温度の検知動作の原理について説明する。
図1は、定着装置の温度推移を示した線図であり、横軸に時間、縦軸に温度がとられている。
図1の線図において、時間の経過(横軸)は、定着装置が十分に冷えた状態(電源OFF等でほぼ室温の状態)にある原点から、定着動作が可能な状態へ直接に、さらに待機状態を経て定着動作が可能な状態へ推移する、期間Pa→期間Pb→期間Pc→期間Pd→期間Peにそれぞれ期間を分けて示している。各期間Pa〜Peは、それぞれ次に示す期間を意味する。
期間Pa: 定着装置が十分に冷えた状態(電源OFF等でほぼ室温の状態)から立ち上げ、定着動作モード(リロード温度に保つ)に移行した期間
期間Pb: 定着動作モードから低電力モードに移行した期間
期間Pc: 低電力モードから立ち上げ、定着動作モードに移行した期間
期間Pd: 定着動作モードから低電力モードを経て(図中省略)スリープモードに移行した期間
期間Pe: スリープモードから立ち上げ、定着動作モードに移行した期間
また、図1の線図において、温度軸に指示される温度T〜Tは、各動作モードの実行に必要な温度レベル或いは高温異常の検知に必要な温度レベルとして設定される値を示している。各温度T〜Tは、それぞれ次に示すレベル値を意味する。
温度T: オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の立ち上げ開始時の上限温度(即ち、この温度以下から定着装置を立ち上げた場合にオーバーシュートが発生する温度で、下記説明における「第1検出温度」)
温度T: 低電力モード時に保持する温度
温度T: 定着動作モード時に保持する温度(リロード温度)
温度T: ソフトウエア対応の温度制御で管理される高温異常の検知温度
温度T: オーバーシュートが発生しない動作状態になる場合の高温異常の検知温度(下記説明における「第2検出温度」)
温度T: オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の高温異常の検知温度(下記説明における「第3検出温度」)
温度T: 定着装置への通電を遮断するハードウエアによる電源断手段(サーモスタット、温度ヒューズ等の安全装置)の作動温度
図1を参照して、本発明に係わる異常温度の検知動作の原理について述べる。
定着装置が充分に冷えた、例えば、朝一番の立ち上げ時等の状態から、直接、定着動作が可能な状態へ立ち上げた場合(期間Pa)には、温度推移を示す線図中に矢印aで示すように、オーバーシュートが顕著な状態で発生する。他方、それ以外の場合である、低電力モードから立ち上げた場合(期間Pc)、或いはスリープモードから立ち上げた場合(期間Pe)には、オーバーシュートが顕著な状態で発生しない。これらのオーバーシュートは、所期の動作状態であり、いずれも異常温度として検知してはならない。
従来技術において、異常温度を検知するために設定した検出温度は、オーバーシュートが上記のようにモードによって異なるにもかかわらず、ただ1つで、一般的には、オーバーシュートが大きく現れる場合(期間Pa)に合わせて、異常検出温度を上げて設定していた(図1中の温度T、参照)。従って、装置が低温の状態から立ち上げられた場合という限られた状況に合わせた高めの設定では、それ以外の状況においては、適切であるとは言い難く、装置の安全性や信頼性を損なう結果につながっていた。
そこで、本発明においては、オーバーシュートが大きく現れない場合(期間Pc、期間Pe)についての異常検出温度を別の低い設定(図1中の温度T)にし、オーバーシュートが大きく現れる場合(期間Pa)を高い設定(図1中の温度T)として、それぞれに適した異常検出温度の設定値を用いるようにするものである。
また、動作時には、現在行われている動作モードに対して、いずれの異常検出温度の設定値を用いて異常の検知を行うかを定めておく必要があり、予めこの判別が行われる。このいずれの設定値を用いるかの判別は、定着装置を定着動作が可能な状態へ立ち上げる、立ち上げ開始時の温度によって行われる。即ち、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の上限温度(第1検出温度:図1中の温度T)よりも低いか、否かによって判別される。判別の結果、低い場合には、オーバーシュートが発生するので、高い設定(第3検出温度:図1中の温度T)を用い、又低くない場合には、オーバーシュートが発生しないので、低い設定(第2検出温度:図1中の温度T)を用い、このいずれかの設定を用いて行われる異常の検出動作による検知結果が有効とされる。
なお、図1中の温度Tは、ソフトウエア対応の温度制御で管理される高温異常の検知温度を示し、図1中の温度Tは、定着装置への通電を遮断するハードウエアによる電源断手段(サーモスタット、温度ヒューズ等)の作動温度を示す。前者は、第2検出温度(図1中の温度T)と所定の関係を有し、後者は、第3検出温度(図1中の温度T)と所定の関係を有するが、これらの関係については、後記の実施形態にて詳述する。
次に、上記した異常温度の検知動作原理に従って構成される異常検知回路の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の異常検知回路を示すもので、ハードウェアで回路全体が構成される。
図2において、入力信号TEMPは、異常検知の対象とする定着装置の温度をサーミスタ等の温度センサで感知したアナログ信号であり、ここでは温度高→電圧高、温度低→電圧低とする。
この入力信号TEMPは、第1検出温度(図1中の温度T)を検出するコンパレータ5の−端子、第2検出温度(図1中の温度T)を検出するコンパレータ9の+端子及び第3検出温度(図1中の温度T)を検出するコンパレータ7の+端子にそれぞれ入力される。
第1検出温度を検出するコンパレータ5のもう一方の入力端子(+端子)は、温度Tのレベル信号を設定する第1検出温度設定回路6に接続され、又検出結果の出力端子は、Dタイプフロップフロップ11のCK端子に接続される。
第2検出温度を検出するコンパレータ9のもう一方の入力端子(−端子)は、温度Tのレベル信号を設定する第2検出温度設定回路10に接続され、又検出結果の出力端子は、ANDゲート12の反転入力端子に接続される。
第3検出温度を検出するコンパレータ7のもう一方の入力端子(−端子)は、温度Tのレベル信号を設定する第3検出温度設定回路8に接続され、又検出結果の出力端子は、ANDゲート13の反転入力端子に接続される。
入力信号/RSTは、画像形成装置のリセット信号(アクティブでLowとなる)であり、装置の電源ON時に一時的に出力される。
入力信号/TRGは、画像が形成される記録媒体(用紙)の給紙開始のトリガー信号(アクティブでLowとなる)であり、各枚の給紙毎に一時的に出力される。
これらの入力信号/RST、入力信号/TRGは、ORゲート14の反転入力端子にそれぞれ入力される。ORゲート14の反転出力端子は、Dタイプフロップフロップ11の反転入力R端子に接続される。
Dタイプフロップフロップ11のD入力端子及び反転入力S端子は電源に接続され、又Q出力端子はANDゲート12の反転入力端子に、/Q出力端子はANDゲート13の反転入力端子に接続される。
この異常検知回路の出力信号/OFFは、定着装置の強制OFF信号として、ANDゲート12又はANDゲート13の反転出力端子から出力される。
以下に、図2を参照して、この異常検知回路の動作を詳細に説明する。
電源ONされた後、回路が動作状態になると、サーミスタ等の温度センサで感知したTEMP信号がコンパレータ5,9,7にそれぞれ入力される。
コンパレータ5の出力は、TEMP信号の電圧が第1検出温度設定回路6の設定温度より低い場合はLowを、高い場合はHighを出力するので、定着動作が可能な状態への立ち上げ時に、定着装置の温度が第1検出温度(図1中の温度T)より低い状態から立ち上げた場合(図1中の期間Pa)においては、定着温度が第1検出温度(温度T)を通過する際に、LowからHighに変化し、それ以外の場合(図1中の期間Pc、Pe)は、Highのまま変化しない。
コンパレータ9の出力は、TEMP信号の電圧が第2検出温度設定回路10の設定温度より低い場合はHighを、高い場合はLowを、出力する。
また、コンパレータ7の出力は、TEMP信号の電圧が第3検出温度設定回路8の設定温度より低い場合はHighを、高い場合はLowを、出力する。
Dタイプフロップフロップ11のR入力端子には、ORゲート14の出力が接続されているので、入力信号/RST若しくは入力信号/TRGがLowになるつど、即ち装置の電源ON時及び各給紙毎に初期化され、Q出力端子の信号は、Lowに、/Q出力端子の信号はHighになる。
Dタイプフロップフロップ11のCK入力端子には、上記したように、第1検出温度(温度T)の通過を検出するコンパレータ5の出力が接続されているので、この通過によりコンパレータ5の出力がLowからHighに変化した場合のみ、Dタイプフロップフロップ11のQ出力はHighに、且つ/Q出力はLowに変化し、その出力状態を次にR入力端子にLowが入力されるまで保持する。つまり、定着温度が第1検出温度より低い状態から立ち上げを開始した場合(期間Pa)においては、Dタイプフロップフロップ11のQ出力はHighに且つ/Q出力はLowに変化し、それ以外の場合(期間Pc、Pe)は、Q出力はLowに、/Q出力はHighのままとなる。
ここで、Dタイプフロップフロップ11のQ出力端子にはANDゲート12が、/Q出力端子にはANDゲート13がそれぞれ接続されているので、定着温度が第1検出温度より低い状態から立ち上げを開始した場合(期間Pa)においては、ANDゲート13が有効となるが、他方のANDゲート12は無効となる切替動作を行い、コンパレータ7の出力、即ち第3検出温度(温度T)を基準として判断された検出信号が異常検知回路の出力信号/OFFとして選択される。
また、それ以外の、定着温度が第1検出温度より低い状態から立ち上げを開始しない場合場合(期間Pc、Pe)においては、ANDゲート12が有効となるが、他方のANDゲート13は無効となる切替動作を行い、コンパレータ9の出力、即ち第2検出温度(温度T)を基準として判断された検出信号が異常検知回路の出力信号/OFFとして選択される。
上記した実施形態では、第1検出温度(立ち上げの開始温度を判断する基準)によってオーバーシュートが発生するか、否かを判断し、それぞれに応じた設定温度(第2,第3検出温度)を用いて行われる異常の検出により、適切な検知を可能とするための基本的な要素を備えた実施形態を示した。
次に示す実施形態は、ソフトウエア対応の温度制御による異常温度の管理手段及び異常温度の発生に応じて定着装置への通電を遮断する温度ヒューズやサーモスタット等の安全装置を有する装置への適用形態を示すもので、これらの異常温度の管理手段や安全装置との適合性を考慮し、第1検出温度及び第3検出温度に特定の条件を付与することを特徴とするものである。
即ち、本発明の異常検知回路は、ソフトウエア対応の温度制御による異常温度の管理手段及び異常温度の発生に応じて定着装置への通電を遮断する安全装置とは別に、ハードウェアとして独立し、上記異常温度の管理手段や安全装置を補間する手段とし機能させるようにすることを目的とするものである。
このため、本発明の異常検知回路によって行う異常検知が、ソフトウエア対応の温度制御の一環として行われる異常温度の検出よりも前に機能せず、且つ、装置の最終的な焼損防止手段としての温度ヒューズやサーモスタット等の安全装置の動作に先立って機能する条件を設定することにより、所期の目的を達成し得るようにする。
従って、実施形態としては、オーバーシュートが発生しない動作状態になる場合の高温異常の検知温度として設定される第2検出温度(図1中の温度T)をソフトウエア対応の温度制御で管理される高温異常の検知温度(図1中の温度T)より高くなる様に、その温度に対応した電圧値を第2検出温度設定回路10にて設定する。且つ、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の高温異常の検知温度として設定される第3検出温度(図1中の温度T)を装置の最終的な焼損防止手段としての温度ヒューズやサーモスタット等の安全装置の作動温度(図1中の温度T)より低くなる様に、その温度に対応した電圧値を第3検出温度設定回路8にて設定する。
上記のような条件に従って第2検出温度(温度T)及び第3検出温度(温度T)を設定することにより、本実施形態に係わる異常検知回路による異常検知が、ソフトウエア対応の温度制御で行われる異常温度の検出に先立つこと無く、ソフトウエア対応の温度制御の異常時において機能することが可能になり、且つ最終的な焼損防止手段としての安全装置の作動以前に機能し、焼損以前に装置が熱によるダメージを受ける前に安全処置を施すので、装置の安全性・信頼性をより向上させることが可能になる。
次の実施形態は、画像形成装置の装置条件に応じて、第1検出温度、第2検出温度及び第3検出温度の設定を調整することにより、異常温度の検知動作を最適化することを可能にするものである。
画像形成装置に用いる定着装置は、機種の違い或いは同機種であっても、使用する地域(国内/北米/欧州等)によってハードウェアやソフトウェアを変更して装置の能力を変える、といったことが行われる。従って、装置は個々に装置条件が異なり、定着温度への立ち上げ時の動作もそれぞれの特性を有することになるので、本発明の異常温度の検知原理に従った動作を行わせるために必要となる第1検出温度、第2検出温度及び第3検出温度の設定を固定として、異なる特性を有する装置に用いても、一定の異常温度の検知動作が保証できない。
そこで、本実施形態では、第1検出温度、第2検出温度及び第3検出温度の設定を調整可能にして、個々の装置において一定の異常温度の検知動作が得られるようにすることを意図するものである。
実施形態としては、第1検出温度、第2検出温度及び第3検出温度の設定回路において、設定値を可変する手段を備える。
即ち、立ち上げ開始時の温度がオーバーシュートの発生する温度であるか、否かを判断する基準としての第1検出温度(温度T)を設定する第1検出温度設定回路6をボリューム抵抗等にて構成し、コンパレータ5の入力端子(+端子)への入力を可変とする。
また、オーバーシュートが発生しない動作状態になる場合の高温異常の検知温度として設定される第2検出温度(温度T)を設定する第2検出温度設定回路10をボリューム抵抗等にて構成し、コンパレータ9の入力端子(−端子)への入力を可変とする。
また、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の高温異常の検知温度として設定される第3検出温度(温度T)を設定する第3検出温度設定回路8をボリューム抵抗等にて構成し、コンパレータ7の入力端子(−端子)への入力を可変とする。
上記のように、第1検出温度、第2検出温度及び第3検出温度の設定を可変する手段を備え、この手段を用いて異なる装置条件に応じて設定を調整可能にしたことにより、本異常検知回路を他種の装置に共通で使用可能となり、装置のコストアップを低減させ、且つ一定の異常温度の検知動作が保証できるようになり、装置の安全性・信頼性をより向上させることが可能になる。
定着装置の温度推移を示した線図で、縦(温度)軸に各動作モードの温度レベル及び異常検知に必要な温度レベルの設定値T〜Tを示す。 本発明の実施形態に係わる定着装置の異常検知回路を示す。
符号の説明
5・・第1検出温度を検出するコンパレータ、6・・第1検出温度設定回路、7・・第3検出温度を検出するコンパレータ、8・・第3検出温度設定回路、9・・第2検出温度を検出するコンパレータ、10・・第2検出温度設定回路、11・・Dタイプフロップフロップ、12・・ANDゲート、13・・ANDゲート、14・・ORゲート。

Claims (6)

  1. 発熱源で発生する熱を用いて記録媒体への現像材の定着処理を行う定着装置と、定着装置における温度異常を検知する異常検知手段を有する画像形成装置であり、
    前記異常検知手段は、オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の立ち上げ開始時の上限温度を検出する第1温度検出手段と、
    オーバーシュートが発生しない動作状態になる場合の異常温度を検出する第2温度検出手段と、
    オーバーシュートが発生する動作状態になる場合の異常温度を検出する第3温度検出手段と、
    立ち上げ時に前記第1温度検出手段によって前記上限温度より低い状態から高い状態への温度推移が検出された場合に、第3温度検出手段による異常温度検出結果を有効にし、前記上限温度より低い状態から高い状態への温度推移が検出されなかった場合に、第2温度検出手段による異常温度検出結果を有効にする切替手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 異常温度の検出が可能な定着装置の温度制御手段と、異常温度の発生に応じて定着装置への通電を遮断する安全装置を有する請求項1に記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第1温度検出手段の検出温度を前記温度制御手段により検出される異常温度より高く、且つ第3温度検出手段の検出温度を前記安全装置により通電が遮断される異常温度より低くした手段であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第1温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第2温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段は、第3温度検出手段の検出温度を調整する手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 電力により駆動される発熱源を有する請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、前記異常検知手段で検知された異常信号によって、発熱源への通電を停止する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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