JP2006177777A - 光検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空容器101と、真空容器101に設けられた開口部260と、開口部260を覆い気密封着された赤外線透過窓25と、真空容器101内に収容された赤外線センサ23と、真空容器101内に収容されたゲッター10とを有する赤外線検出器100において、シート状で円筒型で螺旋状のゲッター10を赤外線センサ23を取り囲んで設置する。
【選択図】 図1
Description
この赤外線検出器は、赤外線を検出する非冷却型の赤外線センサ(赤外線検出素子)と、この赤外線センサの温度を所定の温度にするための電子冷却素子と、電気的接続端子(気密端子)と、前記赤外線センサと前記電気的接続端子間を配線するボンディングワイヤと、前記電気的接続端子を装着するステム(ベースプレート)と、赤外線を透過する赤外線透過窓(ウインドウ)と、真空中への放出ガスを吸着するゲッターと、前記ステムに固定されるパイプと、前記パイプに接合される真空排気用チップ管とを備えている。
前記赤外線透過窓が気密封着されたキャップと、前記電気的接続端子が気密封着されたステムとが気密接合されて真空容器(パッケージ)が構成されている。この真空容器の内部は、真空状態かあるいは希ガスが充填されている。また、この真空容器の内部には、入射赤外線に対応して電気的信号を出力する前記赤外線センサが前記ステムに固定され、前記赤外線センサと前記電気的接続端子は前記ボンディングワイヤによって配線され、活性ガスを吸着する前記ゲッターが封入されている。
上記のような赤外線検出器の真空容器を構成するステムとキャップは、一般的には金属材料からなり、その内側表面は光をよく反射する。
被検出物から発せられる赤外線は、レンズ等の光学系により集光され、赤外線透過窓を透過し、赤外線検出器内部に入射される。このとき、赤外線センサに入射される信号光である赤外線は、正味の信号として赤外線センサから電気信号として出力される。一方、赤外線センサの表面にて反射される赤外線も含む、赤外線センサに入射されるべきではない赤外線である雑音光は、ステムやキャップの内側表面にて反射、散乱し、赤外線センサに入射されてしまう。このような雑音光は、赤外線センサにより雑音として電気出力される。その結果、赤外線センサのS/Nが劣化する。
本発明の目的は、真空容器内部での反射光である雑音光が光検出素子に入射されることを防止し、S/Nを向上できる光検出器を提供することにある。
《実施の形態1》
図1(a)は本発明の実施の形態1の赤外線検出器の断面図、(b)は上面図、(c)はゲッターの全体斜視図である。なお、(b)の上面図においては真空容器のキャップ部は図示省略している(図2、図3、図4においても同様)。
図において、100は赤外線検出器、101は真空容器、21はステム、26はキャップ、260はキャップ26の開口部、25は赤外線透過窓、250は赤外線透過窓25をキャップ26に接着させ、気密封止を実現する低温ガラス材、200は雑音光、23は赤外線センサ、27は赤外線センサ23をステム21に接着させるダイボンド材、10はゲッター(ガス吸着素子)、28は貫通孔、29はガラス材、22は電気的接続端子、24は赤外線センサ23の電極と電気的接続端子22とを接続するボンディングワイヤ、211はステム21の周縁部、261はキャップ26の周縁部である。
ステム21とキャップ26により真空容器101が構成されている。ステム21には、外部と電気的に接続するための電気的接続端子22を貫通させるための貫通孔28が設けられている。この貫通孔28内にはガラス材29が充填されて電気的接続端子22との気密封止を実現している。赤外線センサ23の上側は、開口部260に赤外線透過窓25を固定したキャップ26で覆われ、キャップ26の周縁部261とステム21の周縁部211とは真空中にて溶接することによって、真空容器101の内部の気密が保たれ、その雰囲気は真空あるいは希ガスが充填されている。このステム21上の中央部に赤外線センサ23がダイボンド材27により固定され、赤外線センサ23上の外部接続用パッドと電気的接続端子22との間に電気配線となるボンディングワイヤ24がワイヤボンディングされている。さらに、シート状のゲッター10が赤外線センサ23を取り囲むように設置されている。
シート状のゲッター10は、上記シート型ゲッターを赤外線検出器100の真空容器101の内部形状に適合するように成型して形成することが可能であるので、赤外線検出器100の真空容器101内部にゲッター10を容易に封入することができる。
また、上述のようにシート型ゲッターおよびゲッター10は多孔質構造である。一般的に、その空孔に光が入射されると、その光は内部で反射を繰り返し、最終的に光吸収されて熱に変わる。
雑音光200は、シート型ゲッターを成型してなるゲッター10によって吸収されるので、ゲッター10を信号光の妨げにならないように、赤外線センサ23を取り囲むように設置すれば、赤外線センサ23に入射される雑音光200を低減することができ、その結果、赤外線センサ23のS/Nを向上することができる。
また、ゲッター10は、金属薄板上にゲッター粉末が塗布されており、真空容器101の内部形状に適合する形状に成型されている。このように金属薄板上にゲッター粉末が塗布されたゲッター10の表面は、多孔質構造であり、この多孔質構造によって雑音光200を効率良く吸収することができる。また、ゲッター10は真空容器101の内部形状に適合する形状に成型されているので、真空容器101の内部に容易に設置できる。
また、真空容器101内に設置されるゲッター10の少なくとも赤外線センサ23側の面には前記ゲッター粉末が塗布され、多孔質に焼結されている。このように赤外線センサ23側の片面のみに前記ゲッター粉末を塗布することにより真空容器101内部の雑音光200を光吸収できるとともに、ゲッター10の製造コストを低減できる。もちろん、両方の面にゲッター粉末を塗布、焼結することも可能である。
また、ゲッター10が螺旋状に形成されている。これによりパッケージである真空容器101に、高さの異なった数種類存在する場合でも、螺旋状のゲッター10は高さが可変なので、1種類の形状のゲッター10により数種類のパッケージに対応することができるとともに、赤外線センサ23を効率良く覆うことができる。
図2(a)は本発明の実施の形態2の赤外線検出器の断面図、(b)は上面図である。本実施の形態では、真空容器101内に設置されたゲッター10が、その平面形状が多角形状(ここでは八角形)の筒状に形成されている。これにより、ゲッター10を真空容器101の内部形状に適合する形状に成型しやすい。
図3(a)は本発明の実施の形態3の赤外線検出器の断面図、(b)は上面図である。本実施の形態では、真空容器101内に設置された状態のゲッター10が、図3(a)、(b)に示すように、円錐面の一部を成している。このような構成により図3(b)に示すように、赤外線センサ23を取り囲むゲッター10によってキャップ26の内側側面ばかりか内側上面を覆うことができる。すなわち、本実施の形態では、真空容器101が、開口部260を有するキャップ26と、電気的接続端子22が気密封着されたステム21とからなり、ゲッター10が、図3(b)に示すようにキャップ26の内側側面および内側上面を覆っている。本実施の形態では、図1〜図3に示した実施の形態1〜3に比較してキャップ26の内側上面も覆うことができるので、雑音光200をより吸収除去することができ、赤外線センサ23のS/Nがより向上する。なお、ゲッター10の形状は、角錐面の一部を成すように形成しても同様の効果を得ることができる。
図4(a)は本発明の実施の形態4の赤外線検出器の断面図、(b)は上面図、(c)はゲッター(2枚分)の全体平面図である。本実施の形態は、真空容器101内に配置された状態のゲッター10の少なくとも一辺(ここでは四辺のうち一辺)が図4(c)に示すように鋸歯状になっている。110は切り込みである。本実施の形態では、キャップ26の内側上面の反射面を覆うように赤外線センサ23を取り囲み、かつ、シート型ゲッターの材料を余すとこなく効率良く使うための例である。図3に示した実施の形態3のものはシート型ゲッターから切り出した際、廃却部が多く、コスト高となる。本実施の形態では、キャップ26の内側上面を覆うことができるので、実施の形態1、2と比較し雑音光をより吸収することができ、S/Nが向上するとともに、実施の形態3に比べ、シート型ゲッターを無駄無く使用することができるので、低コスト化することができる。また、本実施の形態では、ゲッター10を鋸歯状に切断し、円筒形に丸め、鋸歯状の部位を折り曲げて収納している。この折り曲げは、真空容器101への組込前に加工しておいても良いし、真空容器101への組込時に押し込むことで折り曲げてもよい。
次に、図4に示した実施の形態4の赤外線検出器100の組立て方法の一例について、図5(a)〜(e)を用いて説明する。図5(a)〜(e)は、赤外線検出器100の組立て工程断面図である。
まず、図5(a)に示すように、ゲッター10を準備する。そして、ゲッター10を、セラミック製のヒーターブロック63に、可動爪64を用いて密着させて固定する。
図7(b)に示すように、キャップ26の受光部には開口部260が設けられ、それを塞ぐように赤外線透過窓25が低温ガラス材250で接着されている。そして、キャップ26の凹部を上向きにして溶接用治具61に固定する。
また、図7(c)に示すように、ステム21に赤外線センサ23をダイボンド材27にて接着する。ステム21には、外部との電気的接続用端子22がガラス材29からなるハーメチックシールによって電気的絶縁と気密封止を同時に満足させつつ設けられている。赤外線センサ23と電気的接続用端子22とは電気配線としてのボンディングワイヤ24で接続されている。そして、ステム21を、赤外線センサ23がダイボンド材27により固定された側を下向きにして溶接用治具62に固定する。
次に、上記の溶接用治具61、溶接用治具62およびヒーターブロック63の3点を真空溶接機チャンバー内の可動ステージ(図示せず)にセットし、全体を排気する。そして、約1.33×10−3Pa(≒10−5Torr)に到達したところで、ヒーターブロック63を加熱する。ゲッター10を活性化するため、その温度が400℃となるように制御して10分間加熱する。
次に、ゲッター10を冷却した後、図7(d)に示すように、キャップ26をヒーターブロック63の直下に移動させ、ヒーターブロック63の可動爪64を緩めてゲッター10をキャップ26内の所定の位置に落とす。
次に、図7(e)に示すように、キャップ26をステム21の下に移動させて、さらに上昇させ、周縁どうしを合わせて密着させる。
最後に、シーム溶接もしくは電子ビーム溶接を用いて真空チャンバー溶接機内で周縁を溶接して封止する。上記のようにして、図4に示した赤外線検出器100が完成する。
このような作製工程により作製される赤外線検出器100の内部の雰囲気は真空に保たれたものになる。赤外線検出器100の内部の雰囲気を希ガスで充填する場合は、上記作製工程の真空溶接機チャンバー内を希ガスで満たし、同様の作製工程を経るとよい。
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
21…ステム 22…電気的接続端子
23…赤外線センサ 24…ボンディングワイヤ
25…赤外線透過窓 26…キャップ
27…ダイボンド材 28…貫通孔
29…ガラス材
61…溶接用治具 62…溶接用治具
63…ヒーターブロック 64…可動爪
100…赤外線検出器 101…真空容器
110…切り込み 200…雑音光
211…ステムの周縁部 250…低温ガラス材
260…開口部 261…キャップの周縁部
Claims (9)
- 真空容器と、
前記真空容器に設けられた開口部と、
前記開口部を覆い気密封着された光透過窓と、
前記真空容器内に収容された光検出素子と、
前記真空容器内に収容されたゲッターと
を有する光検出器において、
前記ゲッターはシート状であり、前記光検出素子を取り囲んで設置されていることを特徴とする光検出器。 - 前記真空容器が、前記開口部を有するキャップと、電気的接続端子が気密封着されたステムとからなることを特徴とする請求項1記載の光検出器。
- 前記ゲッターは、金属薄板上にゲッター粉末が塗布されており、
前記真空容器の内部形状に適合する形状に成型されていることを特徴とする請求項1記載の光検出器。 - 前記真空容器内に設置された状態の前記ゲッターの少なくとも前記光検出素子側の面に前記ゲッター粉末が塗布されていることを特徴とする請求項3記載の光検出器。
- 前記ゲッターが螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の光検出器。
- 前記真空容器内に設置された状態の前記ゲッターが、平面形状が多角形状の筒状であることを特徴とする請求項3記載の光検出器。
- 前記真空容器内に設置された状態の前記ゲッターが円錐面もしくは角錐面の一部を成していることを特徴とする請求項3記載の光検出器。
- 前記真空容器内に配置された状態の前記ゲッターの少なくとも一辺が鋸歯状であることを特徴とする請求項3記載の光検出器。
- 前記真空容器が、前記開口部を有するキャップと、電気的接続端子が気密封着されたステムとからなり、
前記ゲッターが、前記キャップの内側側面および内側上面を覆っていることを特徴とする請求項7または8記載の光検出器。
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