JP2006177164A - 満タン規制バルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】
給油中に第1連通孔、第2連通孔から燃料が漏出しても、その燃料を燃料タンク側へ戻し易くしてキャニスタ側への流出を防止する満タン規制バルブを提供する。
【解決手段】
燃料タンク2の上部空間2aに配設して、給油時における燃料タンク2内のエバポガスを排出すると共に満タンレベルを検知する満タン規制バルブ1のケース本体5に燃料タンク2内部と燃料タンク2外とを連通する連通路9を設け、連通路9に第1フロート体16と第2フロート体17とを内包し、第2フロート体17に設けたシールキャップ24を、第1フロート体16に設けられている弁体20よりも高い液面レベルL2で閉弁させると共にシールキャップ24は弁体20よりも低い位置で閉弁させ、更に弁体20により閉弁する第1連通孔23の開口面積を、シールキャップ24により閉弁する第2連通孔25の開口面積よりも大きく形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料タンクへの過給油を防止する満タン規制バルブに関する。
一般に、燃料タンクには燃料補給時の満タンを検知して閉弁し、過給油を防止する満タン規制バルブが設けられている。
すなわち、燃料タンクにガソリン、軽油などの燃料を補給すると、満タン規制バルブに設けられているフロートが上昇し、満タンレベルに達するとフロートに設けた弁体が排出口を閉弁する。すると、補給されている燃料は給油口に差し込まれている給油ノズル側へ上昇し、給油ノズルに設けられているセンサが燃料を検知し、補給の際に引いた給油レバーが戻され、給油が自動的に停止される。
例えば特許文献1(特開2002−285929号公報)には、燃料タンクに取付ける満タン規制バルブのケース本体に、燃料タンク側に配設する下部室と、下部室の上方に配設する上部室とを形成し、更に下部室を第1フロート室と第2フロート室とに区画し、各フロート室に、第1、第2フロート体を収容し、燃料補給により液面レベルが上昇すると、第1フロート体に設けた第1弁体が上部室に連通する第1連通孔を閉塞して、給油が自動的に停止した後、追加給油を手動により行うと、燃料の液面レベルが更に上昇し、第2フロート体に設けた第2弁体が上部室に連通する第2連通孔を閉塞することで、燃料タンクの補給が完全に停止する技術が開示されている。
この文献に開示されている満タン規制バルブによれば、第1弁体が閉弁した後、追加給油を行い、第2フロートが上昇して第2弁体が上部室に連通する第2連通孔を閉塞すると、燃料タンクの内圧が上昇し、給油口に差し込まれている給油ノズルに設けられているセンサが最終満タンを検知して追加給油を停止させることができるので、追加給油の際の過給油を防止することができる。
特開2002−285929号公報
ところで、第1連通孔と第2連通孔との一方又は双方から上部室側へ燃料が漏出した場合、第1連通孔が閉弁した後は、第2連通孔から燃料タンクに戻されることになる。
しかし、上述した文献に開示されている満タン規制バルブは、上部室に開口する第1連通孔と第2連通孔とが同じ高さに形成されているため、第2連通孔から燃料タンク側へ戻り難い。すなわち、例えば燃料タンクの傾斜により第2連通孔が第1連通孔よりも上方へ傾斜した場合、上部室に漏出した燃料が第2連通孔を介して燃料タンクに戻り難くなり、上部室に滞留する燃料量が増加してしまう不都合がある。
尚、エンジンが稼働して燃料が消費されれば、第2連通孔が開弁するので、上部室に滞留する燃料は第2連通孔から燃料タンク側へ戻されるが、上部室に滞留している燃料量が多いと、第2連通孔が開弁する前に、その燃料が上部室に連通するキャニスタ側へ流れ易くなってしまう不都合がある。
したがって、本発明の目的は、給油中に第1連通孔と第2連通孔との少なくとも一方から燃料が漏出しても、その燃料を燃料タンク側へ戻りやすくして、キャニスタ側への流出を防止することのできる満タン規制バルブを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1は、燃料タンクの上部空間に配設して、給油時における該燃料タンク内のエバポガスを排出すると共に満タンレベルを検知する満タン規制バルブにおいて、ケース本体に燃料タンク内部と燃料タンク外とを連通する連通路が設けられ、上記連通路に第1弁体と第2弁体とが内包され、上記第2弁体が当接する第2弁座が、上記第1弁体が第1弁座に当接する液面よりも高い液面レベルを検知して該第2弁体を当接する位置に設けられていると共に、上記第1弁座の開口面積が上記第2弁座の開口面積よりも大きく形成されており、更に上記第2弁座の上面が上記第1弁座の上面より低い位置に設定されていることを特徴とする満タン規制バルブを提供するものである。
上記第1の発明によれば、燃料タンク内部と燃料タンク外とを連通する連通路に配設する第1弁体と第2弁体とを各々当接する第1弁座と第2弁座について、第2弁座の上面を第1弁座の上面より低い位置に設定したので、給油中に第1連通孔と第2連通孔との少なくとも一方から燃料が漏出しても、その燃料を第1弁座よりも低い第2弁座側へ流すことができるため、第2弁座側から燃料タンク側へ戻り易くなり、キャニスタ側への流出を防止することができる。
本発明の第2は、前記第1の発明において、上記ケース本体の上記第1弁座と上記第2の弁座との上方に、該両弁座に連通する空間部が設けられ、上記第2弁座の上部に上記空間部に連通する凹部が形成されている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第2の発明によれば、第2弁座の上部に空間部に連通する凹部が形成されているので、空間部に流れ込んだ燃料を凹部側へ滞留させて、第2連通孔を通してタンク内に戻すことができ、燃料の漏出をより確実に防止することができる。
本発明の第3は、前記第2の発明において、上記連通路が下方から上方に向けて延出されて上記空間部に開口される第1連通路部と、一端が上記空間部に開口され他端が燃料タンク外から導かれている第1配管に連通される第2連通路部とを有し、上記第2連通路部の上記空間部に開口する開口縁部が上記第1弁座の上面よりも高い位置に形成されている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第3の発明によれば、燃料補給時の波立ちなどの影響で、燃料の一部がエバポガスと共にケース本体の上部に形成されている空間部に流入しても、キャニスタ側へ連通する第2連通路部の開口縁部が、第1弁座の上面よりも高い位置に形成されているので、空間部に流入した燃料がキャニスタ側へ流れ込むことがなくなる。
本発明の第4は、前記第2の発明において、上記凹部と上記第2連通路部の上記開口縁部との間が上記第1弁座を挟んで離隔された位置に配設されている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第4の発明によれば、凹部が、第2連通路部の開口縁部から隔離した位置に形成されているので、第2連通路部側への燃料の漏出をより確実に防止することができる。
本発明の第5は、前記第1の発明において、上記第1弁体が、第1フロート体と該第1フロート体の上部に設けられて上記第1弁座に当接自在な平板状弁体とを有し、上記第1フロート体が、その下部に大断面積部が形成され、該下部と上部との間に小断面積部が形成され、該上部に上記平板状弁体を支持する弁支持部が設けられている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第5の発明によれば、燃料タンク内の液面が上昇すると、第1フロート体及び第2フロート体が浮上しようとする際に、第1フロート体に形成された大断面積部により、第1フロート体に大きな浮力が発生するので、第1弁座が、第2弁座よりも高い位置にあっても、第2弁座より先に第1弁座を閉じられる。
本発明の第6は、前記第3の発明において、上記燃料タンク内に一定圧以上で開弁する第3弁体が配設され、上記第3弁体と上記第2連通路部とが上記空間部を介して連通されている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第6の発明によれば、第3弁体が、予め設定した圧力以上のとき開弁して、タンク内のエバポガスをタンク外へ排出するので、タンク破損等を防ぐことができる。
本発明の第7は、前記第6の発明において、上記第3弁体と上記空間部に形成されている上記凹部とが第2配管を介して連通されている満タン規制バルブを提供するものである。
上記第7の発明によれば、第1配管のみを燃料タンクの外部へ延出させれば良くなり、構造の簡素化を実現することができる。
本発明によれば、燃料タンク内部と燃料タンク外とを連通する連通路に配設する第1弁体と第2弁体とが各々当接する第1弁座と第2弁座とを、第2弁座の上面が第1弁座の上面より低い位置となるように設定したので、給油中に第1連通孔と第2連通孔との少なくとも一方から燃料が漏出しても、その燃料を第1弁座よりも低い第2弁座側へ流すことができるため、第2弁座側から燃料タンク側へ戻り易くなり、キャニスタ側への流出を防止することができる。
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1に満タン規制バルブの分解斜視図、図2〜図4に満タン規制バルブの状態別の側面断面図、図5〜図7に状態別の満タン規制バルブを燃料タンクに取付けた状態の概略断面図を示す。
本形態による満タン規制バルブ1は、図5〜図7に示すように燃料タンク2の内面上部に固設されている。燃料タンク2は、その一側に燃料を給油するためのフィラーパイプ3を備えており、このフィラーパイプ3の上端に給油口3aが形成されている。尚、符号4は給油ノズルであり、ノズル先端を給油口3aからフィラーパイプ3内に差し込んで給油を行う。
図1に示すように、満タン規制バルブ1のケース本体5は、本体部6と、この本体部6の下部に装着される下部キャップ7と、本体部6の上部に装着される上部キャップ8とを有している。本体部6の上部には両側にフランジ部6a,6bが延出されており、このフランジ部6a,6bが燃料タンク2の上部内面に第1ブラケット29を介して固設されている。
図2〜図4に示すように、本体部6には連通路9が形成されている。この連通路9は、下端から上方に向けて延出する第1連通路部10と、本体部6の一側に突出するベントポート6cに連通する第2連通路部11とに分割され、両連通路部10,11の分割部分に空間部12が形成されている。この空間部12は、本体部6の上部と、この上部に装着されている上部キャップ8とで閉塞されている。
第1連通路部10は、仕切壁13を介して、大径の第1フロート室14と、小径の第2フロート室15とに区画されている。この両フロート室14,15に、第1、第2弁体を構成する第1フロート体16と、第2フロート体17とが各々内包されている。両フロート体16,17は、ポリアミドなどの合成樹脂で形成されており、各フロート室14,15に流入する燃料による浮力で上昇する。各フロート室14,15は上方へ狭窄する所定勾配のテーパ状に形成されており、この各フロート室14,15に内包されるフロート体16,17も両フロート体16,17と同一勾配のテーパ状に形成されている。
又、図1に示すように、第1フロート体16は、その下部に筒状の大断面積部16aが形成され、その上部にセパレータ16bによって小断面積部16cが十字状に形成され、更に、上端に弁支持部16dがリング状に形成されている。この弁支持部16dに弁本体18が内装され、又、弁支持部16dの外周にバルブキャップ19が装着されている。弁本体18は、弁支持部16d内を上下方向へ移動自在に装着されており、この弁本体18の上部に平板状弁体20が装着されている。
この弁本体18の上方への移動量はバルブキャップ19にて掛止されて抜け止めされる。弁本体18がバルブキャップ19に掛止された状態では、バルブキャップ19の中央に穿設されている孔部19aから平板状弁体20が突出される。又、弁本体18の上部内面と弁支持部16dの底面との間に弁ばね21が介装されており、弁本体18は弁ばね21により上方へ常時付勢されている。
又、第1フロート体16の底面に、ばね収容凹部16eが環状に形成されており、このばね収容凹部16eの上面と下部キャップ7との間に第1フロートばね22が介装されている。この第1フロートばね22は、第1フロート体16が燃料から受ける浮力により浮上する際に、その浮上をアシストするもので、燃料の液面が低下すると、第1フロート体16は自重により第1フロートばね22を押圧しながら下降する。又、第1フロート室14の上面に空間部12に連通する第1連通孔23が開口され、この第1連通孔23の下端に、平板状弁体20を当接する第1弁座23aが形成されている。尚、第1フロート室14の上部一側には、燃料タンク2と連通する通気孔(図示せず)が穿設されている。
一方、第2フロート体17の外周に上下方向へ平行に延出する複数のガイドリブ17aがほぼ等間隔に形成されており、このガイドリブ17aが第2フロート室15の内周に摺接して上下方向への移動が許容される。又、この第2フロート体17の上端にキャップ取付け部17bが形成され、このキャップ取付け部17bにシールキャップ24が装着されている。このシールキャップ24の中央に上方へ突出する突起部24aが形成されている。
又、第2フロート室15の上面に空間部12に連通する第2連通孔25が開口され、この第2連通孔25の下端に、シールキャップ24の突起部24aが嵌着する第2弁座25aが形成されている。
更に、第2フロート体17の底面に、ばね収容凹部17cが形成されており、このばね収容凹部17cの上面と下部キャップ7との間に第2フロートばね26が介装されている。この第2フロートばね26は、第2フロート体17が燃料から受ける浮力により浮上する際に、その浮上をアシストするもので、燃料の液面が低下すると、第2フロート体17は自重により第2フロートばね26を押圧しながら下降する。
又、第1連通孔23の開口面積が大きく形成され、第2連通孔25の開口面積が小さく形成されている。従って、燃料補給の際に第1連通孔23が開口されている場合、燃料供給量が多くても、燃料タンク2の上部空間2aに滞留するエバポガスは、第1連通孔23から空間部12側へスムーズに排出されるが、第1連通孔23の下端に形成されている第1弁座23aに平板状弁体20が当接して閉弁されると、第2連通孔25側のみからエバポガスが空間部12側へ流れるので、燃料の流入量が規制され、流入量が規制された状態でシールキャップ24の突起部24aが第2弁座25aに嵌着し、閉弁するまで、追加補給が可能となる。尚、図3、図6の符号L1は、平板状弁体20が第1弁座23aに当接して、第1連通孔23が閉弁されたときの初期満タンを示す液面レベルである。
ケース本体5の第2フロート室15に対応する部位の側面の、少なくともシールキャップ24の突起部24aが第2弁座25aに嵌着したときの最終満タンを示す液面レベルL2(図4、図7参照)よりもやや上部に、燃料タンク2の上部空間2aと第2フロート室15とを連通する第3連通孔27が穿設されている。従って、燃料タンク2の上部空間2aに滞留するエバポガスは第3連通孔27から第2連通孔25を介して空間部12側に流入される。尚、初期満タンを示す液面レベルL1と最終満タンを示す液面レベルL2とは、第1フロート体16と第2フロート体17との浮力、及び各フロートばね22,26のばね定数などにより設定することができる。
この空間部12の第2連通孔25側上部に、凹部12aが形成されている。従って、第2連通孔25は第1連通孔23よりも低い位置に形成されており、この凹部12aの第2連通孔25側にエバポポート28が形成されている。
又、凹部12aに対して第1連通孔23を挟んで離隔した位置に第2連通路部11の開口縁部11aが形成されている。この開口縁部11aは第1連通孔23が開口されている空間部12の底面から上方へ突出する筒状の堰12bの上端面に形成され、第1連通孔23よりも高い位置に配設されている。
又、この第2連通路部11に連通するベントポート6cが、燃料タンク2の外部へ延出する第1配管31に接続されている。この第1配管31は、燃料タンク2の外部に配設されているキャニスタ32に連通され、更に、キャニスタ32が、図示しないエンジンの吸気系に連通されている。
一方、エバポポート28は、燃料タンク2の内面上部に固設されている第3弁体としてのチェックバルブ34に第2配管35を介して連通されている。このチェックバルブ34は燃料タンク2の内面上部に第2ブラケット30を介して固設されており、外部に連通する吸気口(図示せず)を有している。このチェックバルブ34は、満タン規制バルブの2つの連通孔が閉塞している状態で、燃料タンクの内圧が上昇した際に、一定の圧力以上になると開弁し、エバポガスをタンク外へ排出し、タンクの破損等を防ぐものである。
更に、チェックバルブ34は、燃料タンク2の内面上部に第3ブラケット36を介して固設されたカットバルブ37に連結されている。カットバルブ37は、内部にフロート弁を有しており、例えば自動車の旋回時や転倒時に、燃料がエバポ配管内に入るのを遮断して、燃料漏れを防止するものである。
次に、このような構成による満タン規制バルブの動作について説明する。
先ず、図5に示すように、燃料タンク2に貯留されている燃料残量が少ない状態で、フィラーパイプ3の給油口3aに給油ノズル4のノズル先端を差し込み、図示しない給油レバーを引いて、燃料タンク2内に燃料を補給する。給油ノズル4から燃料タンク2内に燃料が補給されると、燃料タンク2に滞留する燃料の液面が次第に上昇する。その結果、燃料タンク2の上部空間2aの容積が次第に小さくなり、この上部空間2aに滞留するエバポガスは、ケース本体5の一側に穿設されている通気孔(図示せず)から第1フロート室14、第1連通孔23を通り、ケース本体5の上部に形成されている空間部12に流入する。
そして、この空間部12に流入したエバポガスは、第2連通路部11から第1配管31を介してキャニスタ32側へ流れ、このキャニスタ32に吸着される。第1連通孔23は、その開口面積が比較的大きく形成されているため、燃料補給時に燃料タンク2の上部空間2aの内圧が必要以上に上昇することが無く、スムーズに燃料を補給することができる。
その後、図6に示すように、燃料タンク2内の液面が上昇し、この液面がケース本体5の底部よりも高くなると、このケース本体5に形成されている第1フロート室14に燃料が流入し、この第1フロート室14に内包されている第1フロート体16が、自己の浮力と第1フロートばね22の付勢力との合力により浮上する。その際、第2フロート室15にも燃料が流入するので、この第2フロート室15に内包されている第2フロート体17も自己の浮力と第2フロートばね26との合力で浮上しようとするが、第1フロート体16は、その下部が筒状の大断面積部16aとなっているため、大きな浮力が発生する。従って、第1弁座23aが、第2弁座25aよりも高い位置にあっても、第2弁座25aより先に第1弁座23aが閉じられる。
そして、図3に示すように、液面が初期満タンを示す液面レベルL1に達すると、第1フロート体16の上部に、弁本体18を介して設けられている平板状弁体20が、第1フロート室14の上部に開口されている第1連通孔23に形成されている第1弁座23aに当接して、第1連通孔23を閉塞する。
すると、燃料タンク2の上部空間2aに滞留するエバポガスが、第1連通孔23からキャニスタ32側へ流れなくなり、相対的に燃料タンク2の内圧が上昇する。その結果、燃料がフィラーパイプ3を上昇し、給油ノズル4内に設けられているセンサが燃料を検知し、給油が自動的に停止して、燃料タンク2内が初期満タン状態となる。
一方、燃料の液面レベルがケース本体5の底部よりも高くなると、第2フロート室15内にも燃料が流入するが、この第2フロート室15に内包されている第2フロート体17の上部に設けたシールキャップ24の突起部24aと第2連通孔25との間に間隙が形成されているため、燃料タンク2の上部に滞留するエバポガスは、ケース本体5の一側に穿設されている第3連通孔27から第2フロート室15に入り、第2連通孔25からケース本体5の上部に形成されている空間部12に流入する。
その際、第2連通孔25の開口面積が比較的小さく形成されているので、給油ノズルから多量の燃料を補給することができないため、手動により追加給油を行う。そして、燃料タンク2内に燃料を追加給油すると、第2フロート体17が上昇する。その後、図4、図7に示すように、液面が最終満タンを示す液面レベルL2に達すると、第2フロート体17の上部に設けたシールキャップ24の突起部24aが、第2フロート室15の上部に開口されている第2連通孔25に形成されている第1弁座23aに当接して、第1連通孔23を閉塞する。
すると、燃料がフィラーパイプ3を上昇し、給油ノズル4内に設けられているセンサが最終満タンを検知して追加給油を停止させる。
このように、本形態では、第1フロート体16に設けられている平板状弁体20と第2フロート体17に設けられているシールキャップ24とで、第1連通孔23と第2連通孔25とを異なる液面レベルL1,L2で閉塞するようにしたので、最初の液面レベルL1で初期満タンを検知した後、手動により追加給油を行うことができ、液面レベルL2に達すると第2連通孔25が閉塞して最終満タンが検知される。最終満タンが検知されると、それ以上の給油ができないため、その後の過給油を防止することができる。
又、燃料補給時の波立ちなどの影響で、燃料の一部がエバポガスと共にケース本体5の上部に形成されている空間部12に流入しても、キャニスタ32側へ連通する第2連通路部11の開口縁部11aが筒状の堰12bの上端面に形成されているため、空間部12に流入した燃料がキャニスタ32側へ流れ込むことがない。
更に、この空間部12には凹部12aが形成されているので、空間部12に流れ込んだ燃料を、走行時の振動や車体の傾きなどで凹部12a側へ滞留させて、第2連通路部11側への燃料の漏出をより一層防止することができる。しかもこの凹部12aが、第1連通孔23を挟んで第2連通路部11の開口縁部11aから隔離した位置に形成されているので、第2連通路部11側への燃料の漏出をより確実に防止することができる。
又、凹部12aの底部に第2連通孔25が開口されているので、燃料タンク2内の燃料が消費されて第2フロート体17が下降すれば、第2連通孔25が開弁し、凹部12aに滞留する燃料を第2連通孔25から燃料タンク2へ戻すことができる。従って、空間部12に燃料が常時滞留することが無く、第2連通路部11側への燃料漏出を有効に防止することができる。
又、キャニスタ32側に連通する第1配管31とチェックバルブ34側に連通する第2配管35とを空間部12に連通するベントポート6cとエバポポート28とに接続すると共に、チェックバルブ34は燃料タンク2内部に固設するようにしたので、第1配管31のみを燃料タンク2の外部へ延出させれば良くなり、構造の簡素化を実現することができる。
本発明は、燃料タンクへの過給油を防止し、給油中に第1連通孔と第2連通孔との少なくとも一方から燃料が漏出しても、その燃料を燃料タンク側へ戻りやすくして、キャニスタ側への流出を防止することのできる満タン規制バルブとして利用することができる。
本発明の満タン規制バルブの一実施形態を示す分解斜視図である。 同満タン規制バルブの燃料残量が少ないときの側面断面図である。 同満タン規制バルブの初期満タン時の側面断面図である。 同満タン規制バルブの最終満タン時の側面断面図である。 同満タン規制バルブを適用した燃料タンクの燃料残量が少ないときの概略断面図である。 同満タン規制バルブを適用した燃料タンクの初期満タン時の概略断面図である。 同満タン規制バルブを適用した燃料タンクの最終満タン時の概略断面図である。
符号の説明
1 満タン規制バルブ
2 燃料タンク
2a 上部空間
4 給油ノズル
5 ケース本体
6 本体部
6c ベントポート
7 下部キャップ
8 上部キャップ
9 連通路
10 第1連通路部
11 第2連通路部
11a 開口縁部
12 空間部
12a 凹部
12b 堰部
14 第1フロート室
15 第2フロート室
16 第1フロート体
16a 大断面積部
16c 小断面積部
16d 弁支持部
16e 収容凹部
17 第2フロート体
18 弁本体
19 バルブキャップ
20 平板状弁体
23 第1連通孔
23a 第1弁座
24 シールキャップ
25 第2連通孔
25a 第2弁座
27 第3連通孔
31 第1配管
32 キャニスタ
33 リリーフバルブ
34 チェックバルブ
35 第2配管
L1,L2 液面レベル

Claims (7)

  1. 燃料タンクの上部空間に配設して、給油時における該燃料タンク内のエバポガスを排出すると共に満タンレベルを検知する満タン規制バルブにおいて、
    ケース本体に燃料タンク内部と燃料タンク外とを連通する連通路が設けられ、
    上記連通路に第1弁体と第2弁体とが内包され、
    上記第2弁体が当接する第2弁座が、上記第1弁体が第1弁座に当接する液面よりも高い液面レベルを検知して該第2弁体を当接する位置に設けられていると共に、
    上記第1弁座の開口面積が上記第2弁座の開口面積よりも大きく形成されており、
    更に上記第2弁座の上面が上記第1弁座の上面より低い位置に設定されていることを特徴とする満タン規制バルブ。
  2. 上記ケース本体の上記第1弁座と上記第2の弁座との上方に、該両弁座に連通する空間部が設けられ、
    上記第2弁座の上部に上記空間部に連通する凹部が形成されている請求項1記載の満タン規制バルブ。
  3. 上記連通路が下方から上方に向けて延出されて上記空間部に開口される第1連通路部と、一端が上記空間部に開口され他端が燃料タンク外から導かれている第1配管に連通される第2連通路部とを有し、
    上記第2連通路部の上記空間部に開口する開口縁部が上記第1弁座の上面よりも高い位置に形成されている請求項2記載の満タン規制バルブ。
  4. 上記凹部と上記第2連通路部の上記開口縁部との間が上記第1弁座を挟んで離隔された位置に配設されていることを特徴とする請求項2記載の満タン規制バルブ。
  5. 上記第1弁体が、第1フロート体と該第1フロート体の上部に設けられて上記第1弁座に当接自在な平板状弁体とを有し、
    上記第1フロート体が、その下部に大断面積部が形成され、該下部と上部との間に小断面積部が形成され、該上部に上記平板状弁体を支持する弁支持部が設けられている請求項1記載の満タン規制バルブ。
  6. 上記燃料タンク内に一定圧以上で開弁する第3弁体が配設され、
    上記第3弁体と上記第2連通路部とが上記空間部を介して連通されている請求項3記載の満タン規制バルブ。
  7. 上記第3弁体と上記空間部に形成されている上記凹部とが第2配管を介して連通されている請求項6記載の満タン規制バルブ。
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