JP2006176892A - 紙塗工用塗料組成物およびそれを用いた塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速塗工においても、塗工層が嵩高で、白紙光沢、印刷適正、耐ブリスター性などに優れた塗工紙用塗料組成物を提供することである。
【解決手段】ヒドロキシル基を有する化合物にエチレンオキシド単独またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを(共)付加した水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから誘導される、オキシエチレン単位の含有量が少なくとも60質量%であり、かつ数平均分子量5,000〜500,000である水溶性ウレタン樹脂(A)、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを必須成分とすることを特徴とする紙塗工用塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は紙塗工用塗料組成物に関する。更に詳しくは、高速塗工においても、塗工層が嵩高で、白紙光沢、印刷適正、耐ブリスター性等に優れた塗工紙を与える紙塗工用塗料組成物およびそれを用いた塗工紙に関する。
従来、塗工紙用塗料には、塗料に保水性を付与する等の目的で、デンプン系等の水溶性バインダーが使用されている。また、光沢が高く、印刷適正が良好な塗工紙を与える塗工紙用バインダー組成物としては、アクリルアミド系熱可逆型増粘剤、例えばポリN−イソプロピルアクリルアミドと樹脂エマルジョンからなるもの(例えば特許文献1等)が提案されている。しかしながら、デンプン系の水溶性バインダーでは、1000m/分以上の高速塗工においては、塗工液の保水性が不充分で、塗工中または加熱乾燥中に塗工液が原紙内部に浸透してしまい、充分に嵩高い塗工層を得ることが出来なかった。また、その他改良方法が提案(たとえば、特許文献2等)されているが、浸透を抑える効果が不充分であり、光沢及び印刷適正がまだ不充分であるという問題は解決されていない。
特開平1−1426号公報 特開平10-168358号公報
本発明の課題は、高速塗工においても、塗工層が嵩高で、白紙光沢、印刷適正、耐ブリスター性などに優れた塗工紙用塗料組成物を提供することである。
本発明者等は、高速塗工においても、塗工層が嵩高で、高度の光沢および印刷適正を有する塗工紙を製造する方法について鋭意検討した結果、水性バインダーとして特定の水溶性ウレタン樹脂(A)を用い、樹脂バインダーとして、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを用いることによって、塗工層のクッション性に優れ、光沢に優れる塗工紙が得られることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1)ヒドロキシル基を有する化合物にエチレンオキシド単独またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを(共)付加した水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから誘導される、オキシエチレン単位の含有量が少なくとも60質量%であり、かつ数平均分子量5,000〜500,000である水溶性ウレタン樹脂(A)、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを必須成分とすることを特徴とする紙塗工用塗料組成物。
2)前記水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)が、数平均分子量400〜30,000の、ポリエチレングリコール(a1)及び/またはポリプロピレングリコールのエチレンオキシドブロック付加物(a2)であることを特徴とする前記1)記載の紙塗工用塗料組成物。
3)前記水溶性ウレタン樹脂(A)における前記水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)のヒドロキシル基と前記有機ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基とのOH/NCO当量比が(1.05〜2.0)/1であることを特徴とする前記1)または2)に記載の紙塗工用塗料組成物。
4)前記水溶性ウレタン樹脂(A)と前記高分子化合物(B)の固形分合計100質量部当たり前記水溶性ウレタン樹脂(A)を0.1〜40質量部(固形分)の割合で含有することを特徴とする前記1)〜3)のいずれか1つに記載の紙塗工用塗料組成物
5)前記1)〜4)のいずれか1つに記載の紙塗工用塗料組成物を用いてなることを特徴とする塗工紙。
本発明をもちいれば、高速塗工においても、塗工層が嵩高で、白紙光沢、印刷適正、耐ブリスター性などに優れた塗工紙を提供することができる。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明の水溶性ウレタン樹脂(A)(以下、(A)と略記することもある。)における水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)(以下、(a)と略記することもある。)の出発物質であるヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、水、脂肪族1価アルコール(メタノール、エタノール、オクチルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール等);一価フェノール類(フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等);脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシメチルベンゼン,ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等);多価フェノール類(ハイドロキノン、カテコール、及びビスフェノールA、ビスフェノールS等のビスフェノール類)などが挙げられる。これらのうちでは、水、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが好ましい。
水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)は、上記ヒドロキシ基を有する化合物にエチレンオキシド単独及び/またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを(共)付加することにより得られる。
エチレンオキシドとプロピレンオキシドとを共付加する場合、(a)中のオキシエチレン単位の割合は、水溶性ウレタン樹脂(A)の水溶性の観点から65質量%以上、好ましくは70質量%以上であり、100質量%即ち、エチレンオキシドの単独付加でもよい。
(a)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の場合、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加様式はランダム付加でもブロック付加でもよいが、得られる(A)の塗料の保水性付与効果が高い点で、プロピレンオキシド付加後にエチレンオキシドを付加したブロック付加物が好ましい。
(a)の数平均分子量は通常200〜50,000、好ましくは400〜30,000である。数平均分子量が200未満であると水溶性ウレタン樹脂(A)の水溶性が不充分となり、塗料の保水性が不足し、50,000を超えると(a)の粘度が高くなりすぎ取り扱いが困難となる。(a)としては、数平均分子量が400〜30,000の、ポリエチレングリコール(a1)及び/またはポリプロピレングリコールのエチレンオキシドブロック付加物(a2)が好ましく、数平均分子量が400〜30,000のポリエチレングリコール(a1)が特に好ましい。
また、上記(a)とともに、水溶性ウレタン樹脂(A)の分子量を調節する目的で
(a)以外の1分子中に1個の活性水素を有する化合物や、粘度調節等の目的で(a)以外の2個以上の活性水素を有する化合物を併用することが出来る。(a)以外の1分子中に1個の活性水素を有する化合物としては、1価のアルコール類(メタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール等)、1価フェノール類(フェノール等)、2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジベンジルアミン等)、1価カルボン酸(酢酸、酪酸、安息香酸等)およびこれらのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等)付加物のうち(a)
を除くものが挙げられる。(a)以外の2個以上の活性水素を有する化合物としては、多価アルコール類、多価フェノール類、ビスフェノール類、ポリエステルポリオール類、ポリアミドポリオール類、ポリウレタンポリオール類、エポキシ樹脂、ポリカーボネートポリオール類、ポリオレフィングリコール類及びシリコーン系ポリオール類、エチレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ナフタレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソフォロンジアミン、キシリレンジアミン、アジピン酸、フタル酸等およびこれらのアルキレンオキシド付加物のうち(a)を除くものが挙げられる。これらの化合物を併用する場合の使用量は、(a)に対して通常30質量%以下である。
水溶性ウレタン樹脂(A)を構成する有機ポリイソシアネート(b)(以下、(b)と略記することもある。)の具体例としては、エチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びこれらの多量体(イソシアヌレート体、ビウレット体等)が挙げられる。
(A)を構成する(a)中のヒドロキシル基と(b)中のイソシアネート基との当量比(OH/NCO)が(1.05〜2.0)/1である場合、塗料の保水性および流動性が優れるため好ましい。また、該(A)の数平均分子量は、通常5,000〜500,000である。数平均分子量が5,000未満であると、塗料の保水性が不足する結果、塗工時の塗料の原紙への浸透が過剰となり、数平均分子量が500,000を超えると塗料の粘度が高くなりすぎ、塗工し難くなる。
(A)中のオキシエチレン単位の重量割合は、塗料の保水性の観点から60質量%以上、好ましくは70質量%以上であり、100質量%即ち、エチレンオキシドの単独付加でもよい。
(A)の製法については特に制限されず、たとえば、(a)及び(b)を30〜200℃で、0.1〜30時間反応させることによって得られる。該ウレタン化反応は、溶媒の存在下または非存在下いずれでも行われる。溶媒を使用する場合の溶剤としては、(b)に対して不活性なものであれば特に制限は無く、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶剤は、通常反応後除去される。
前記反応は、必要により公知の触媒の存在下に行ってもよい。触媒としては、有機チタネート化合物[イソプロピルトリ(イソステアロイル)チタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルジ(ラウリルホスファイト)チタネート等]、有機アルミニウム系化合物(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピネート等)、有機スズ系化合物(ジオクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等、ジブチルスズスルフィド、ジブチルスズオキシド等)が挙げられる。該触媒の使用量は(a)及び(b)との合計量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
本発明で用いられる感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(B)は、単独重合することによって温度応答性(温度の変化による親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の単独重合高分子化合物、または二種類以上の主モノマー(M)の共重合高分子化合物、さらには、該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができかつ単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)との共重合高分子化合物である。主モノマー(M)と副モノマー(N)は各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
主モノマー(M)の単独重合により高い温度応答性を有する高分子化合物が得られるが
、主モノマー(M)と副モノマー(N)とを共重合することによって、主モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる感温点を持つ高分子化合物(B)が得られたり、モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる成膜性を有する高分子化合物(B)を得ることができる。
主モノマー(M)としてはN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられ、具体的には、親油性ビニル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジン、アクリロニトリル、などが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。
即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、生成する高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の
添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
本発明において、高分子化合物(B)の「感温点」とは、その親水性−疎水性が変化する温度であり、「温度応答性」とは、該親水性−疎水性の変化を示す性質を意味する。また、本発明において、「親水性」とは高分子化合物(B)と水とが共存する系において高分子化合物(B)は水と相溶した状態の方が、相分離した状態よりも安定であることを意味し、「疎水性」とは高分子化合物(B)と水とが共存する系において高分子化合物(B)は水と相分離した状態の方が、相溶した状態よりも安定であることを意味する。該親水性−疎水性の変化は例えば、高分子化合物(B)と水とが共存する系の温度変化に伴う急激な粘度変化、または高分子化合物(B)と水とが共存する系の透明性の急激な変化、高分子化合物(B)の水に対する溶解性の急激な変化として現れる。本発明においては、高分子化合物(B)と水とが共存する系の温度を、高分子化合物(B)が疎水性を示す温度領域(感温点を超える温度)から徐々に低下させたときの粘度を測定して得られる温度−粘度曲線が急激に変化する転移点として高分子化合物(B)の感温点を求める。
本発明の高分子化合物(B)は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の何れであっても良い。
得られる塗工層の耐擦過性、印刷して得られる画像の発色性等の観点から高分子化合物(B)がカルボキシル基を有することは好ましく、該カルボキシル基を有する高分子化合物(B)は例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カルボン酸基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができる。該カルボン酸基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
カルボン酸基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマーなどが好ましい例として挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸を用いることはより好ましい。
主モノマー(M)と前記カルボン酸基を持つエチレン性不飽和モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
本発明に用いる、高分子化合物(B)中のカルボン酸基を持つエチレン性不飽和モノマー単位の含有率は、用いるモノマーの種類や組み合わせによって好ましい範囲が異なるが、概して、塗工液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から30質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜10質量%である。
カチオン性の高分子化合物(B)は例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができる。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウ
ム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレンおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミンおよびその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドンおよびその4級アンモニウム塩、N,N’−ジビニルエチレン尿素およびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピリジンおよびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピペリジンおよびその4級アンモニウム塩、2−,または4−ビニルキノリンおよびその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、得られる塗工紙の表面光沢の観点から、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドが好ましく用いられる。
主モノマー(M)と前記カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
本発明に用いる、高分子化合物(B)中のカチオン基を持つエチレン性不飽和モノマー単位の含有率は、用いるモノマーの種類や組み合わせによって好ましい範囲が異なるが、概して、塗工液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
本発明に用いる、高分子化合物(B)のガラス転移点は、成膜性および得られる塗工紙の柔軟性などの観点から−50〜150℃が好ましく、生産性の観点から80〜150℃が好ましい。ただし、得られる塗工紙の柔軟性とインク吸収層の透明性を重視する場合には−50〜30℃が好ましい。
本発明に用いる高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンは、高分子化合物(B)の温度変化による親水性−疎水性の変化の影響によって急激に粘度変化を生じる感温点を有する。即ち、該感温点を超える温度領域において、高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンは水系溶媒中において安定なエマルジョンを形成し、該高分子エマルジョンを含有する塗工液は比較的低い粘度を保つことができるが、該感温点以下の温度領域では高分子化合物(B)が親水性を示すために、前記高分子エマルジョンが膨潤あるいは一部溶解し、前述の塗工液粘度が高くなり、あるいは経時的に該粘度が増加する。塗工液粘度が、例えば、20〜300mPa・s程度の比較的低粘度であれば、均質な高い表面光沢をもつ記録紙を容易に製造することができる。よって、本発明の塗工液は、本発明の高分子化合物(B)の感温点以上の温度に保たれていることが好ましい。
本発明の高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを製造するに際しては、高分子化合物(B)の感温点を超える温度領域において水性溶媒中で重合反応を行うことが好ましい。該温度領域において高分子化合物(B)は疎水性を示しエマルジョンを形成することから、該温度領域において、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることができる。具体的には、水に界面活性剤を溶解し、前記主モノマー(M)、副モノマー(N)等共重合モノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法によ
り反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を供給する方法が挙げられる。
本発明に用いる高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを製造するにおいては、界面活性剤を利用することが好ましい。
高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンがアニオン性の場合には、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、p−スチレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ナフテン酸塩等、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホ ン酸塩、N−アシルメチルタウリン、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
また高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンがカチオン性の場合には、カチオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミン塩酸塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルアンモニウムヒドロキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンが非イオン性である場合には、非イオン性界面活性剤を使用する。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンが両性の場合には、両性界面活性剤を使用することが高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンのpHの変化に対する安定性の観点から好ましいが、本発明の塗工液中で該高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンがカチオン性を示す場合にはカチオン性界面活性剤を使用する事ができ、本発明の塗工液中で該高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンがアニオン性を示す場合にはアニオン性界面活性剤を使用する事ができる。両性界面活性剤としては、例えばカルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、レシチン等が挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量としては、高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対して0.05〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜30質量部である。
本発明においては、前記界面活性剤を1種単独で使用することもできるし、また その2種以上を併用することもできる。
本発明に用いる高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョン粒子の平均粒子径は、塗工層の成膜性と高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンの製造効率などの観点から、10〜600nmのものが好ましく、さらに好ましくは10〜300nm、最も好ましくは20〜100nmである。ここで言う平均粒子径とは、高分子化合物(B)が疎水性を示す温度領域において動的光散乱法により測定される高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンの数平均粒子径である。
高分子化合物(B)を架橋し得る架橋剤を塗工液に含有させることは得られる塗工紙の耐擦過性の観点から好ましい。
特に、塗工前の塗工液中では架橋反応は進行せず、塗工後架橋反応が進行することが工
業的に望ましい。該反応としてカルボニル基とヒドラジン基またはセミカルバジド基との反応が好ましい。即ち、カルボニル基をもつ高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを重合し、ヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を架橋剤として用いることが好ましい。
カルボニル基を含有する高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンは例えば、主モノマー(M)と、カルボニル基を含有するモノマーを含む副モノマー(N)とを共重合させて得られる。主モノマー(M)、カルボニル基を含有するモノマーを含む副モノマー(N)は各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。主モノマー(M)とカルボニル基含有モノマーを含む副モノマー(N)との共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
高分子化合物(B)中のカルボニル基含有モノマー単位の含有率は、成膜性の観点から0.01〜50質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜20質量%である。
カルボニル基含有モノマーとしては、モノマー中にケト基またはアルド基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、例えばアクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等が例示される。
高分子化合物(B)がカルボニル基を含有する場合、塗工液に、架橋剤として少なくとも2個のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を用いることが、得られる記録媒体の耐水性や強度などの観点から好ましい。該ヒドラジン誘導体を、高分子化合物(B)を含有する塗工液に添加、混合し、塗布、乾燥することによりカルボニル基部位がヒドラジン誘導体によって架橋された分子構造を持つ化合物を含有する塗工層を得ることができる。ヒドラジン誘導体としては少なくとも2個のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有する化合物が用いられ、これらの内、ヒドラジン基を有する化合物としては、例えばカルボヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、水加ヒドラジンなどが例示され、セミカルバジド基を有する化合物としては、例えばポリイソシアネート化合物と該ヒドラジン化合物の反応により得られる生成物が例示される。該ヒドラジン誘導体としては、セミカルバジド基を有する化合物が、得られる記録媒体の耐水性が高く好ましい。該ヒドラジン誘導体の含有量は、得られた高分子化合物(B)中のカルボニル基含有モノマー単位に対して0.01〜10倍モル量が好ましく用いられる。
本発明の組成物からなる紙塗工用塗料100質量部(固形分)中の(A),(B)の合計含有量(固形分)は、通常、1〜70質量部である。
本発明の紙塗工用塗料組成物には、通常、クレー、焼成クレー、カオリン,焼成カオリン,炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、酸化アルミニウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アウミノケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク、プラスティックピグメント(スチレン系、スチレン/ブタジエン系、スチレン/アクリル系、アクリル系、尿素―ホルマリン樹脂等の樹脂の密実状、中空状、コアシェル状等のビーズ等)等の顔料の1種以上が配合される。また、必要に応じて、顔料分散剤[ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリ
ウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等]、消泡剤(鉱物油系消泡剤、シリコン系消泡剤等)、(A)以外の水溶性バインダー(カチオン化デンプン、酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、その他の添加剤[潤滑剤、pH調整剤、防腐剤、耐水化剤、印刷適正向上剤等]などの公知の添加剤が含有されていてもよい。
本発明の組成物からなる紙塗工用塗料および塗工紙を製造する方法について記載する。紙塗工用塗料を製造する方法としては、例えば、まず顔料を必要に応じて顔料分散剤、消泡剤の存在下、分散装置を用いて水に分散してピグメントスラリーを得る。次いで、水に溶解された水溶性バインダーを加え、均一化後、水溶性ウレタン樹脂(A)、高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンおよび必要に応じて用いられる(A)以外の水溶性バインダー、その他の添加剤などを配合する方法が挙げられる。
分散装置としては、ハイスピードミキサー、ケディミル、スピードミル、シギマブレードニーダー、モアハウスミル、リードニーダー等が挙げられる。
塗工紙は、上記のようにして得られた塗料を塗工機で紙に塗工後、ドライヤーで乾燥し、必要により平滑化処理することによって得られる。塗料の塗工量は、乾燥後の重量として通常1〜50g/m、好ましくは5〜25g/mである。
塗工は、塗工機によって、一層あるいは多層に分けて行われる。塗工機としては、ロールコーター、両面同時塗工型コーター、各種ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター等を設けたオンマシンあるいはオフマシンコーターが挙げられる。
乾燥及び平滑化処理は、ドライヤーで乾燥した後、スーパーカレンダーで平滑化仕上げしてもよいし、ウエットキャスト法、リウエットキャスト法またはゲル化キャスト法等のいわゆるキャスト仕上げによっても良い。本発明の塗料組成物を用いることにより、キャスト仕上げにおいても、従来のキャスト仕上げの難点の一つであった塗工層の乾燥性が悪いことによる生産性の低さを改善できる。また、高速でキャスト仕上げを行っても、乾燥が不充分で塗工層がドラムに付着するなどのドラムに汚れが発生し難い。従って、本発明の塗料組成物は、高速キャストにも好適に用いることが出来る。
ドライヤーとしては、赤外線ドラヤー、ドラムドライヤー、エアキャップドライヤー、エアホイルドライヤー、エアコンベアドライヤー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
乾燥温度は、塗工方法、ドライヤーの種類、塗工量等によって任意に選択されるが、ドライヤー内部の温度は通常50〜200℃である。
平滑化処理は、通常のカレンダー(スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、マシンカレンダー等)をオンマシンあるいはオフマシンで用いることにより行うことが出来、キャストドラムによって行うことも出来る。処理圧力および温度については特に制限はないが、ニップ圧は通常20〜300kg/cm、温度は通常室温〜250℃で行われる。加圧ニップ数は、通常1〜15である。また、仕上げ後の塗工紙の調湿、加湿のためのロールによる水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を前記カレンダーとともに配置することも出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
以下の実施例及び比較例において、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。また、諸物性は以下のように評価を行った。
印刷試験は明製作所(株)製RI印刷機を用いて、オフセット用インキをベタ塗りした。
白紙光沢は、蛍光灯の映り込みを見て官能的に評価した。その評価結果は5段階評価を行い、極めて良好な結果を5、良好な結果を4、やや良好な結果を3、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
ドライピックは、RI印刷機を用い、ピッキングテスト用インキによって印刷面のピッキングの程度を目視判定した。その評価結果は5段階評価を行い、極めて良好な結果を5、良好な結果を4、やや良好な結果を3、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
耐ブリスター性は、塗工紙の両面にRI印刷機でオフセット用インキをベタ塗りし、25℃、湿度60%で24時間調湿後、温調したシリコンオイル中に素早く浸漬し、ブリスター発生の有無を目視判定した。その評価結果は5段階評価を行い、極めて良好な結果を5、良好な結果を4、やや良好な結果を3、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
印刷適正は、上記評価結果および印刷部の光沢、印刷の均質性等の観点から総合的に評価した。その評価結果は5段階評価を行い、極めて良好な結果を5、良好な結果を4、やや良好な結果を3、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
(調整例1)
ポリエチレングリコール(数平均分子量20000)200部、ポリエチレングリコール(数平均分子量1000)10部およびヘキサメチレンジイソシアネート2.8部(OH/NCO=1.2)を160℃で10時間反応させ、数平均分子量64,000の水溶性ウレタン樹脂1(以下「樹脂1」という)を得た。
(調整例2)
ポリエチレングリコール(数平均分子量20000)100部、プロピレングリコール(数平均分子量1600)のエチレンオキシド付加物(数平均分子量8000、エチレンオキシド80質量%)40部およびトリレンジイソシアネート1.6部(OH/NCO=1.1)を160℃で10時間反応させ、数平均分子量150000の水溶性ウレタン樹脂2(以下「樹脂2」という)を得た。
(調製例3)
攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水360部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「エレミノールJS−2」の38%水溶液21部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)12部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に過硫酸アンモニウムの2%水溶液8部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸ブチル9部、スチレン9部、ダイアセトンアクリルアミド2部およびアクリル酸2部を混合した液を該反応器内に30分かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は11nmであった。引き続き、水1254部にN−イソプロピルアクリルアミド290部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メチレンビスアクリルアミド0.5部、アクリル酸0.5部、「エレミノールJS−2」の38%水溶液3部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)11部および過硫酸アンモニウムの2%水溶液46部を溶解した液を該反応容器内に添加開始し、5時間かけて添加を終了させた。添加中および添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、エタノールの60%水溶液1000部を徐々に該反応容器内に添加した。エタノール水溶液の添加終了後室温まで冷却した。その後、5%アンモニア水でエマルジョンのpHを9に調整することによって樹脂固形分11%、数平均粒子径が100nmのエマルジョンを形成した「高分子エマルジョン1」を得た。その感温点を測定したところ30℃であった。
(調製例4)
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水600部及び「エレミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製、アニオン性界面活性剤:商品名)の38%水溶液15部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)9部を投入し、反応容器内を80℃とした。次に、ダイアセトンアクリルアミド4部、スチレン128部
、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸ブチル66部を混合した添加液(1)と、水100部に「エレミノールJS−2」の38%水溶液2部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)8部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液40部、を溶解した添加液(2)とを各々滴下槽より反応容器中へ4時間かけて添加した。添加中及び添加が終了してからさらに1時間、反応容器中の温度を80℃に保った後、室温まで冷却した。その後、5%アンモニア水でエマルジョンのpHを9に調整することによって樹脂固形分30%、数平均粒子径40nmのエマルジョンを形成した「高分子エマルジョン2」を得た。その感温点の測定を試みたが、感温点と判断される変化は生じなかった。
(実施例1)
水25部、分散剤[サンノプコ(株)製SNディスパーサント5040]0.3部、水酸化ナトリウム0.1部、消泡剤[サンノプコ(株)製ノプコDF122]0.1部とともに、2級クレー40部および炭酸カルシウム10部からなる顔料組成物をディスパーで、2000回転で30分間分散混合し、この分散液に、調製例1で得た「樹脂1」の30%水溶液6部、α化リン酸エステル化デンプン(30%水溶液)2.3部を加え、さらに、調製例3で得た「高分子エマルジョン1」14部及び適量の水を加え均一混合し、濃度60%の「紙塗工用塗料1」を得た。
(実施例2)
実施例1において用いた「樹脂1」に代えて、調製例2で得た「樹脂2」を同量用いた以外は実施例1と同様にして「紙塗工用塗料2」を得た。
(比較例1)
実施例1において用いた「高分子エマルジョン1」に代えて、調製例4で得た「高分子エマルジョン2」を同量用いた以外は実施例1と同様にして「紙塗工用塗料3」を得た。
(比較例2)
実施例1において用いた「樹脂1」に代えて、ポリエチレングリコール(数平均分子量20000)を同量用いた以外は実施例1と同様にして「紙塗工用塗料4」を得た。
Figure 2006176892
本発明によれば、高速塗工においても、塗工層が嵩高で、白紙光沢、印刷適正、耐ブリスター性などに優れた塗工紙用塗料組成物が得られ。産業上の利用価値は甚だ大きなものである。

Claims (5)

  1. ヒドロキシル基を有する化合物にエチレンオキシド単独またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを(共)付加した水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)と有機ポリイソシアネート(b)とから誘導される、オキシエチレン単位の含有量が少なくとも60質量%であり、かつ数平均分子量5,000〜500,000である水溶性ウレタン樹脂(A)、
    感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(B)を含有する高分子エマルジョンを必須成分とすることを特徴とする紙塗工用塗料組成物。
  2. 前記水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)が、数平均分子量400〜30,000の、ポリエチレングリコール(a1)及び/またはポリプロピレングリコールのエチレンオキシドブロック付加物(a2)であることを特徴とする請求項1記載の紙塗工用塗料組成物。
  3. 前記水溶性ウレタン樹脂(A)における前記水溶性ポリオキシアルキレン化合物(a)のヒドロキシル基と前記有機ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基とのOH/NCO当量比が(1.05〜2.0)/1であることを特徴とする請求項1または2記載の紙塗工用塗料組成物。
  4. 前記水溶性ウレタン樹脂(A)と前記高分子化合物(B)の固形分合計100質量部当たり前記水溶性ウレタン樹脂(A)を0.1〜40質量部(固形分)の割合で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の紙塗工用塗料組成物
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の紙塗工用塗料組成物を用いてなることを特徴とする塗工紙。
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