JP2006176832A - 導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線並びにその製造方法 - Google Patents

導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線並びにその製造方法 Download PDF

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稔之 堀越
Hirohisa Endo
裕寿 遠藤
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Abstract

【課題】 導電性、機械的特性、及び耐熱性が良好な導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線並びにその製造方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明に係る導電用アルミニウム合金は、
Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素を0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電用アルミニウム合金に係り、特に、配線材に好適な導電用アルミニウム合金に関するものである。
従来、配線材(例えば、電線や、電磁石又はモータ用のコイルワイヤ)の構成材として、機械的強度及び導電性の観点からCu又はCu合金が用いられてきた。しかし、Cu又はCu合金で構成される銅線は、引張強さ及び導電率は高いものの、密度が高いことから単位長さ当たりの重量が大きい。よって、銅線をケーブル導体として用いた装置においては、装置の重量が増大してしまうという問題があった。このため、銅線の配線材は、絶えず小型、軽量化が進む携帯電話などの携帯用機器や医療用機器に対する実装性が劣るという問題があった。
そこで、携帯用機器や医療用機器などの配線材のように、軽量性が要求される場合については、配線材のケーブル導体としてAl又はAl合金で構成されるアルミ線が用いられている。
アルミ線においては、構成元素及びその含有量を調整することで、様々な特性を有する導電用アルミニウム合金線が得られており、例えば、強度ならびに耐熱性に優れる高品質な導電用アルミニウム合金線がある(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平8−277447号公報 特開平8−246115号公報
Alの密度はCuの密度の約1/3であり、単位長さ当たりのアルミ線は銅線よりも軽量である。
しかしながら、アルミ線は引張強さが低いため、配線材として十分な機械的強度を満足するためには、アルミ導体の断面積を大きくする必要がある。その結果、配線材が実装される機器の全容積に占めるアルミ導体の割合が大きくなってしまい、機器の小型化を阻害してしまうという問題があった。逆に、配線材として十分な機械的強度を満足するようにアルミ線の引張強さを高めると、伸びが低下して可撓性が悪化してしまい、屈曲寿命の低下を招くという問題があった。
また、アルミ線は機械的強度が小さいため、断線を生じさせることなく極細線に加工することは難しく、アルミ導体を携帯電話や医療用機器などに使用される極細ケーブルに適用することは困難であった。
さらに、高温環境下においてアルミ線を用いると、アルミ線が軟化して、強度が不足するおそれがあった。このため、配線材布設部の環境温度が高温になる場合、例えば、自動車のエンジンやモータなどの近傍に、アルミ線を用いた配線材を適用すると、配線材の耐熱性はまだまだ十分とはいえなかった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、導電性、機械的特性、及び耐熱性が良好な導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線並びにその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係る導電用アルミニウム合金は、
Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素を0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
また、本発明に係る導電用アルミニウム合金は、
Cuを0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
さらに、本発明に係る導電用アルミニウム合金は、
CuとMgを合計0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
一方、本発明に係る導電用アルミニウム合金線は、
Al-Cu系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが260〜340MPa、導電率が53〜62%IACSのものである。
また、本発明に係る導電用アルミニウム合金線は、
Al-Mg系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが250〜310MPa、導電率が53〜62%IACSのものである。
さらに、本発明に係る導電用アルミニウム合金線は、
Al-Cu-Mg系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが250〜340MPa、導電率が53〜62%IACSのものである。
ここで、Al以外の構成元素は、アルミニウム合金のマトリックス中に固溶分散されている。
他方、本発明に係る導電用アルミニウム合金線の製造方法は、
純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素、Zr及び/又はSiを溶解し、
Alが主成分であり、
Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素を0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
を含むものである。
ここで、伸線加工は、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが250MPa以上となるように減面率及び熱処理条件を調整するものである。
また、本発明に係る導電用アルミニウム合金線の製造方法は、
純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu、Zr及び/又はSiを溶解し、
Alが主成分であり、
Cuを0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
を含むものである。
ここで、伸線加工は、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが260〜340MPaとなるように減面率及び熱処理条件を調整するものである。
さらに、本発明に係る導電用アルミニウム合金線の製造方法は、
純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu、Mg、Zr及び/又はSiを溶解し、
Alが主成分であり、
CuとMgを合計0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
を含むものである。
ここで、伸線加工は、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが250〜340MPaとなるように減面率及び熱処理条件を調整するものである。
本発明によれば、純アルミニウムと比較してほとんど遜色がない導電性を有し、純アルミニウムよりも高強度で十分な引張強さを有し、かつ、良好な耐熱性を有する導電用アルミニウム合金が得られるという優れた効果を発揮する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適一実施の形態を説明する。
本発明の好適一実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、Al-Cu-Zr(又はAl-Cu-Si)系合金で構成されるものである。
より具体的には、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、
Cuを0.3〜10.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは2.0〜4.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%(又はSiを0.02〜2.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
最良の形態の導電用アルミニウム合金は、
Cuを3.0重量%、
Zrを0.02重量%、(又はSiを0.1重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
ここで、Cu含有量を0.3〜10.0重量%に規定したのは、Cu含有量が0.3重量%未満だと、引張強さの向上効果が十分に得られないためである。また、Cu含有量が10.0重量%を超えると、導電率が著しく低下すると共に、合金密度が高くなりすぎるためである。
Zr含有量を0.01〜1.0重量%(又はSi含有量を0.02〜2.0重量%)に規定したのは、Zr含有量が0.01重量%(又はSi含有量が0.02重量%)未満だと、引張強さ及び耐熱性の向上効果が十分に得られないためである。また、Zr含有量が1.0重量%(又はSi含有量が2.0重量%)を超えると、導電率が著しく低下するためである。ZrはSiよりも耐熱性の向上効果が高く、Zr含有量が微量であっても耐熱性は著しく向上する。また、Zrは、Siよりも少ない量(含有量)、例えば、Si含有量の約1/5の量であっても、同等の引張強さを得ることができる。よって、Al、Cuに添加する第3元素としては、Zrが好ましい。
次に、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金を用いた導電用アルミニウム合金線及びその製造方法を説明する。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線は、Al-Cu-Zr(又はAl-Cu-Si)系合金、好ましくはAl-0.3〜10.0重量%Cu-0.01〜1.0重量%Zr(又はAl-0.3〜10.0重量%Cu-0.02〜2.0重量%Si)系合金で構成され、引張強さが260〜340MPa、好ましくは270〜330MPa、導電率が53〜62%IACS、好ましくは53〜58%IACSのものである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線は、その耐熱温度が200〜300℃、好ましくは230〜280℃となるように調整される。ここで言う耐熱温度は、その温度条件で1時間保持した時の強度が初期の強度に対して90%以上となる条件を満足する温度を示している。耐熱温度を200〜300℃に規定したのは、耐熱温度が200℃未満だと、導電用アルミニウム合金線の耐熱性が不十分となるためである。また、耐熱温度が300℃を超える場合、導電用アルミニウム合金線の導電率が著しく低下するためである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線は、その直径がφ0.1mm以下(又は断面積が0.1mm2以下)となるように調整される。ここで、直径をφ0.1mm以下(又は断面積を0.1mm2以下)に規定したのは、直径がφ0.1mm(又は断面積が0.1mm2)を超えると、極細ケーブル用のアルミ導体として好ましくないためである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線は、例えば、以下に示す手順で製造される。
先ず、純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu、Zr(又はSi)を溶解し、
Alが主成分であり、
Cuを0.3〜10.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%(又はSiを0.02〜2.0重量%)、
の割合で含む合金溶湯が溶解製造される(溶解製造ステップ)。ここで、合金溶湯の溶解製造に用いる純アルミニウムの純度を99.95%以上と規定したのは、純度が99.95%未満だと、最終的に得られる導電用アルミニウム合金線の導電率が53%IACS未満となるためである。言い換えると、純アルミニウムは、0.05重量%未満であれば不可避不純物を含んでいてもよい。
次に、その合金溶湯を鋳型内に流し込んで鋳込みを行い、アルミニウム合金鋳造体(アルミ荒引き線)が作製される(鋳造ステップ)。アルミニウム合金鋳造体におけるAl以外の構成元素は、アルミニウム合金のマトリックス中に固溶分散される。これによって、マトリックスが各構成元素で固溶強化され、純アルミニウムと比較して強度が向上される。アルミニウム合金鋳造体の作製は、連続鋳造設備を用いて行うことが好ましいが、バッチ式の鋳造設備を用いてもよい。
次に、得られたアルミニウム合金鋳造体に伸線加工が施される(線材形成ステップ)。これによって、最終製品と同形状(又はほぼ同形状)の、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線(線材)が得られる。伸線加工は、減面加工工程と熱処理工程を含んでおり、必要に応じて多段階にわたって繰り返し行われる。線材の引張強さが260〜340MPaとなるように、また、最終的に得られた線材の直径がφ0.1mm以下(又は断面積が0.1mm2以下)となるように、アルミニウム合金鋳造体に対する減面加工の減面率及び熱処理条件が調整される。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、Alの特長である軽量性、良好な導電性を維持しつつ、伸びを低下させることなく(良好な伸びを保ったまま)、十分な引張強さが得られ、かつ、耐熱性を向上させることができるように、添加元素であるCu、Zr(又はSi)の含有量の調整を行っている。
これによって、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金を用いた導電用アルミニウム合金線は、純アルミ線と比較してほとんど遜色がない導電率を有し(導電率:53〜62%IACS)、純アルミ線よりも高強度で十分な引張強さを有し(引張強さ:260〜340MPa)、かつ、高い耐熱性を有する(耐熱温度:200〜300℃)。
この導電用アルミニウム合金線は、携帯用機器や医療用機器などの配線材のケーブル導体、特に、自動車のエンジンやモータなどの近傍に布設され、高温に晒される配線材のケーブル導体として好適である。また、この導電用アルミニウム合金線は、その他にも、電線や、電磁石、モータ、又はその他のアッセンブリに用いられる巻線などに好適である。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金においては、Zr又はSiのいずれか一方を含んだAl-Cu系合金について説明を行ったが、特にこれに限定するものではない。例えば、Zrを0.01〜1.0重量%、かつ、Siを0.02〜2.0重量%の割合で含んだAl-Cu系合金であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
(第2の実施形態)
前述した第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金は、Al-Cu-Zr(又はAl-Cu-Si)系合金で構成されるものであった。
これに対して、本発明の他の好適一実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金におけるCuの代わりにMgを用いたものであり、Al-Mg-Zr(又はAl-Mg-Si)系合金で構成されるものである。
より具体的には、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、
Mgを0.3〜10.0重量%、好ましくは0.3〜5.0重量%、より好ましくは0.3〜2.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%(又はSiを0.02〜2.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
最良の形態の導電用アルミニウム合金は、
Mgを1.0重量%、
Zrを0.02重量%(又はSiを0.1重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
ここで、Mg含有量を0.3〜10.0重量%に規定したのは、Mg含有量が0.3重量%未満だと、引張強さの向上効果が十分に得られないためである。また、Mg含有量が10.0重量%を超えると、導電率が著しく低下すると共に、合金密度が高くなりすぎるためである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金を用いた導電用アルミニウム合金線は、Al-Mg-Zr(又はAl-Mg-Si)系合金、好ましくはAl-0.3〜10.0重量%Mg-0.01〜1.0重量%Zr(又はAl-0.3〜10.0重量%Mg-0.02〜2.0重量%Si)系合金で構成され、引張強さが250〜310MPa、好ましくは250〜300MPa、導電率が53〜62%IACS、好ましくは53〜58%IACSのものである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線の製造方法の手順は、第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金線を製造する際に、Cuの代わりにMgを用いる以外は、同じとされる。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線においても、第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線と同様の効果が得られる。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金においては、Zr又はSiのいずれか一方を含んだAl-Mg系合金について説明を行ったが、特にこれに限定するものではない。例えば、Zrを0.01〜1.0重量%、かつ、Siを0.02〜2.0重量%の割合で含んだAl-Mg系合金であってもよい。
(第3の実施形態)
前述した第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金は、Al-Cu-Zr(又はAl-Cu-Si)系合金で構成され、また、前述した第2の実施形態に係る導電用アルミニウム合金は、Al-Mg-Zr(又はAl-Mg-Si)系合金で構成されるものであった。
これに対して、本発明の別の好適一実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、CuとMgを両方含むものであり、Al-Cu-Mg-Zr(又はAl-Cu-Mg-Si)系合金で構成されるものである。
より具体的には、本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金は、
CuとMgを合計0.3〜10.0重量%、好ましくは0.3〜5.0重量%、より好ましくは0.3〜2.0重量%、
Zrを0.01〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%(又はSiを0.02〜2.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
最良の形態の導電用アルミニウム合金は、
Cuを3.0重量%、
Mgを1.0重量%、
Zrを0.02重量%(又はSiを0.1重量%)の割合で含有し、
残部が主成分であるAlと不可避不純物、
で構成されるものである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金を用いた導電用アルミニウム合金線は、Al-Cu-Mg-Zr(又はAl-Cu-Mg-Si)系合金、好ましくはAl-0.3〜10.0重量%(Cu+Mg)-0.01〜1.0重量%Zr(又はAl-0.3〜10.0重量%(Cu+Mg)-0.02〜2.0重量%Si)系合金で構成され、引張強さが250〜340MPa、好ましくは260〜320MPa、導電率が53〜62%IACS、好ましくは53〜58%IACSのものである。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金線の製造方法の手順は、第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金線を製造する際に、Cuの代わりにCuとMgの両方を用いる以外は、同じとされる。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線においても、第1の実施形態に係る導電用アルミニウム合金及び導電用アルミニウム合金線と同様の効果が得られる。
本実施の形態に係る導電用アルミニウム合金においては、Zr又はSiのいずれか一方を含んだAl-Cu-Mg系合金について説明を行ったが、特にこれに限定するものではない。例えば、Zrを0.01〜1.0重量%、かつ、Siを0.02〜2.0重量%の割合で含んだAl-Cu-Mg系合金であってもよい。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
化学組成がAl-3.0Cu-0.02Zr(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いて、直径がφ9.5mmの荒引き線を鋳造により作製した。この荒引き線に断面減少率が90%の減面加工を施して伸線し、直径がφ3.0mmの線材を作製した。この線材に250〜350℃×約1時間の熱処理を施した後、再び減面加工を施し、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料1)。
(実施例2)
化学組成がAl-3.0Cu-0.1Si(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料2)。
(実施例3)
化学組成がAl-1.0Mg-0.02Zr(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料3)。
(実施例4)
化学組成がAl-1.0Mg-0.1Si(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料4)。
(従来例1)
純度が99.95%の純アルミニウム溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム線を作製した(試料5)。
(比較例1)
化学組成がAl-3.0Cu(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料6)。
(比較例2)
化学組成がAl-1.0Mg(単位は重量%)のアルミ合金溶湯を用いる以外は、実施例1と同様にして、直径がφ0.04mmの導電用アルミニウム合金線を作製した(試料7)。
試料1〜7について、導電率(%IACS)、室温(20℃)での引張強さ(MPa)、及び耐熱性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
ここで、耐熱性は、各試料に対して250℃×1時間の熱処理を行った後の引張強さと各試料の室温(20℃)での引張強さの比(熱処理後の引張強さ×100/熱処理前の引張強さ)によって評価を行った。この引張強さの比が95%を超えるものを非常に良好(◎)、90%〜95%未満を良好(○)、70%〜90%未満を不十分(△)、70%未満を不足(×)とした。
Figure 2006176832
表1に示すように、純アルミニウムで構成される試料5は、61〜62%IACSという高い導電率が得られるものの、引張強さが220〜240MPaと低く、また、耐熱性は完全に不足していた。
これに対して、本発明の導電用アルミニウム合金で構成される試料1,2及び試料3,4は、純アルミニウムとほぼ変わらない良好な導電率(55〜56%IACS)を有しつつ、純アルミニウムよりも大幅に高い引張強さを有し(280〜320MPa及び260〜290MPa)、かつ、耐熱性は良好又は非常に良好であった。
一方、試料1,2の化学組成において、第3元素であるZr又はSiの添加がない試料6は、純アルミニウムとほぼ変わらない良好な導電率(55〜57%IACS)を有しつつ、純アルミニウムよりも大幅に高い引張強さを有する(270〜300MPa)ものの、耐熱性は未だ不十分であった。
また、試料3,4の化学組成において、第3元素であるZr又はSiの添加がない試料7は、純アルミニウムとほぼ変わらない良好な導電率(55〜57%IACS)を有しつつ、純アルミニウムよりも高い引張強さを有する(250〜280MPa)ものの、耐熱性は未だ不十分であった。
以上、試料5と試料6の比較から、純アルミニウムに3.0重量%前後、例えば2.0〜4.0重量%の割合でCuを含有させることで、導電率をほとんど低下させることなく引張強さを大幅に向上させることができ、また、耐熱性も僅かながら向上させることができることが確認された。同様に、試料5と試料7の比較から、純アルミニウムに1.0重量%前後、例えば0.5〜2.0重量%の割合でMgを含有させることで、導電率をほとんど低下させることなく引張強さを向上させることができ、また、耐熱性も僅かながら向上させることができることが確認された。
また、試料1,2と試料6の比較(又は試料3,4と試料7の比較)から、第3元素として、0.02重量%前後、例えば、0.01〜0.1重量%の割合でZr(又は0.1重量%前後、例えば、0.05〜0.5重量%の割合でSi)を含有させることで、引張強さを更に向上させることができ、また、耐熱性も大幅に向上させることができることが確認された。
さらに、試料1と試料2、及び試料3と試料4の比較から、第3元素としてはSiよりもZrの方が、より少ない添加量で引張強さ及び耐熱性を向上させることができることが確認された。また、Zrは、非常に少ない添加量で耐熱性を大幅に向上させることができることが確認された。

Claims (13)

  1. Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素を0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
    残部が主成分であるAlと不可避不純物、
    で構成されることを特徴とする導電用アルミニウム合金。
  2. Cuを0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
    残部が主成分であるAlと不可避不純物、
    で構成されることを特徴とする導電用アルミニウム合金。
  3. CuとMgを合計0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%の割合で含有し、
    残部が主成分であるAlと不可避不純物、
    で構成されることを特徴とする導電用アルミニウム合金。
  4. Al-Cu系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが260〜340MPa、導電率が53〜62%IACSであることを特徴とする導電用アルミニウム合金線。
  5. Al-Mg系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが250〜310MPa、導電率が53〜62%IACSであることを特徴とする導電用アルミニウム合金線。
  6. Al-Cu-Mg系合金で、かつ、Zr及び/又はSiを含むアルミニウム合金で構成され、引張強さが250〜340MPa、導電率が53〜62%IACSであることを特徴とする導電用アルミニウム合金線。
  7. Al以外の構成元素が、アルミニウム合金のマトリックス中に固溶分散された請求項4から6いずれかに記載の導電用アルミニウム合金線。
  8. 純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素、Zr及び/又はSiを溶解し、
    Alが主成分であり、
    Cu,Mgから選択される少なくとも1種の元素を0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
    の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
    その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
    そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
    を含むことを特徴とする導電用アルミニウム合金線の製造方法。
  9. 上記伸線加工が、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが250MPa以上となるように減面率及び熱処理条件を調整する請求項8記載の導電用アルミニウム合金線の製造方法。
  10. 純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu、Zr及び/又はSiを溶解し、
    Alが主成分であり、
    Cuを0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
    の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
    その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
    そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
    を含むことを特徴とする導電用アルミニウム合金線の製造方法。
  11. 上記伸線加工が、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが260〜340MPaとなるように減面率及び熱処理条件を調整する請求項10記載の導電用アルミニウム合金線の製造方法。
  12. 純度が99.95%以上の純アルミニウム、Cu、Mg、Zr及び/又はSiを溶解し、
    Alが主成分であり、
    CuとMgを合計0.3〜10.0重量%、
    Zrを0.01〜1.0重量%及び/又はSiを0.02〜2.0重量%、
    の割合で含む合金溶湯を溶解製造するステップ、
    その合金溶湯を用いてアルミニウム合金鋳造体を鋳造するステップ、
    そのアルミニウム合金鋳造体に伸線加工を施して線材を形成するステップ、
    を含むことを特徴とする導電用アルミニウム合金線の製造方法。
  13. 上記伸線加工が、減面加工工程と熱処理工程を含み、引張強さが250〜340MPaとなるように減面率及び熱処理条件を調整する請求項12記載の導電用アルミニウム合金線の製造方法。
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