しかしながら、上記従来技術では、複数の装置へ設定データを一括送信した後、いくつかの装置において、一括送信された設定データに起因する何らかのエラーが発生したとしても、エラーが発生した装置のみを対象にして、その装置の設定を、設定データの一括送信前の状態に戻すようなことはできなかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のデバイスに対して設定データの一括転送を行うことができ、しかも、必要があれば、いくつかのデバイスについては、そのデバイスの設定を、設定データの一括送信前の状態に簡単に戻すことができる設定データ伝送プログラム、設定データ伝送方法、設定データ伝送システム、および設定データ伝送装置を提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の設定データ伝送プログラムは、ネットワークに接続された複数のデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を、コンピュータに実行させるための設定データ伝送プログラムであって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手順と、前記既設定データ読出手順において読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手順と、前記新設定データ決定手順において決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手順と、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
この設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、まず、設定対象デバイス選択手順において、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の設定対象デバイスを選択する。この手順において選択される設定対象デバイスは、利用者からの指示に従って選択されるものであるが、利用者からの指示としては、例えば「入力装置からの手入力で特定のデバイスを指定する指示」、「ネットワーク上に存在するデバイスをサーチするとともに、そのサーチ結果として検出されたデバイスを設定対象デバイスとすべき旨の指示」などを挙げることができ、これらの指示を併用することもできる。
また、コンピュータは、新設定データ決定手順において、設定対象デバイスに対して伝送しようとする新設定データを決定する。この手順における新設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、新設定データとなり得る初期値をあらかじめ用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値そのものまたは手直しした値を新設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、新設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を新設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、新設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。新設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。なお、この新設定データ決定手順は、上述の設定対象デバイス選択手順より先に実施しても後に実施しても構わない。
さらに、コンピュータは、既設定データ読出手順において、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスから、設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出し、その既設定データを、回復用設定データ保存手順において、回復用設定データとして保存する。この回復用設定データは、後述するデータ回復手順において利用されるデータである。なお、既設定データ読出手順および回復用設定データ保存手順は、上述の設定対象デバイス選択手順より後に実施する手順となるが、上述の新設定データ決定手順より先に実施しても後に実施しても構わない。
以上の各手順を終えたら、続いて、コンピュータは、設定データ伝送手順において、新設定データを設定対象デバイスに対して伝送する。この設定データ伝送手順では、設定対象デバイスが複数存在する場合、同じ新設定データを複数の設定対象デバイスに対して伝送する。これにより、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了する。
ただし、以上のような手順によって、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了した後、送信対象となった設定対象デバイスのいずれかにおいて、設定データの一括送信を行ったことに起因して、何らかのエラーが発生する可能性もある。
そこで、このようなエラーが発生した場合の対策として、コンピュータは、設定データ回復手順を実行することができ、具体的には、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す。
したがって、この設定データ伝送プログラムを利用すれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して設定データを一括送信することができ、しかも、その一括送信の後、いくつかの設定対象デバイスにおいて、一括送信された設定データに起因する何らかのエラーが発生したとしても、エラーが発生したデバイスのみを対象にして、そのデバイスの設定を、設定データの一括送信前の状態に戻すことができる。
なお、本発明の設定データ伝送プログラムは、さらに次のような構成を備えていても望ましい。
まず、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、回復用設定データ保存手順は、既に保存されている回復用設定データに加えて、新たな回復用設定データを保存することにより、複数組の回復用設定データを保存可能で、保存の際には、前記複数組の回復用設定データの保存順序を識別するための情報をも保存する手順であり、前記複数組の回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる回復用設定データ選択手順を備えていて、前記設定データ回復手順は、前記回復用設定データ選択手順において選択された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する手順とされていると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、回復用設定データ保存手順においては、複数組の回復用設定データを、その保存順序を識別するための情報とともに保存する。保存順序を識別するための情報は、単なる連番であってもよいし、保存日時など連番よりも詳細な情報であってもよい。また、保存順序を識別するための情報は、回復用設定データとともにファイル内のデータとしてファイルに格納されてもよいし、保存順序を識別するための情報を含むファイル名でファイルを作成し、そのファイル内に回復用設定データを保存するようになっていてもよい。
回復用設定データ選択手順においては、上記のような複数組の回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。ここで、利用者は、保存順序を識別するための情報も参考にしながら、少なくとも1組の回復用設定データを選択する。こうして、少なくとも1組の回復用設定データが選択されたら、設定データ回復手順においては、回復用設定データ選択手順において選択された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する。
したがって、設定データの送信が複数回にわたって行われている場合でも、デバイスの設定を何回か前の設定内容に戻すことができ、その際、保存順序も考慮して、どの程度前の設定内容に戻すのかを利用者が判断し、その設定内容に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、前記回復用設定データに含まれ得る複数の設定項目の中から、1以上の設定項目を利用者に指定させる設定項目指定手順と、前記複数組の回復用設定データの中から、前記設定項目指定手順において指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データを抽出する第1の回復用設定データ抽出手順とを備えていてもよく、この場合、前記回復用設定データ選択手順は、前記第1の回復用設定データ抽出手順において抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる手順とされていると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、第1の回復用設定データ抽出手順において、複数組の回復用設定データの中から、設定項目指定手順において指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データを抽出する。そして、回復用設定データ選択手順においては、第1の回復用設定データ抽出手順において抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。
したがって、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させるに当たって、その候補を、設定項目指定手順において指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データにあらかじめ絞り込むことができるので、特定の設定項目を元に戻したい場合に、その特定の設定項目に関連しない回復用設定データまで候補となることがなく、利用者が簡単に所期の回復用設定データを選択できるようになる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、日付を利用者に指定させる日付指定手順と、前記複数組の回復用設定データの中から、前記日付指定手順において指定された日付に対応する回復用設定データを抽出する第2の回復用設定データ抽出手順とを備えており、前記回復用設定データ選択手順は、前記第2の回復用設定データ抽出手順において抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる手順とされていても望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、第2の回復用設定データ抽出手順において、複数組の回復用設定データの中から、日付指定手順において指定された日付に対応する回復用設定データを抽出する。そして、回復用設定データ選択手順においては、第2の回復用設定データ抽出手順において抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。
したがって、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させるに当たって、その候補を、日付指定手順において指定された日付に対応する回復用設定データにあらかじめ絞り込むことができるので、特定の日付以前の状態に設定を戻したい場合に、その特定の日付に関連しない回復用設定データまで候補となることがなく、利用者が簡単に所期の回復用設定データを選択できるようになる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、回復対象となる前記設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する前に、その回復用設定データを表示する回復用設定データ表示手順を備えていても望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、回復対象となる設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する前に、回復用設定データ表示手順において、回復用設定データを表示するので、どのような設定内容に戻るのかを事前に確認した上で、確実に戻したい設定内容に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、前記回復用設定データ表示手順において表示された前記回復用設定データに含まれる複数の設定項目それぞれについて、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送するか否かを利用者に選択させる回復項目選択手順を備えており、前記設定データ回復手順は、前記回復項目選択手順において伝送する旨が選択された設定項目について、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する手順とされていると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、回復項目選択手順においては、回復用設定データ表示手順において表示された回復用設定データに含まれる複数の設定項目それぞれについて、回復対象となる設定対象デバイスへ伝送するか否かを利用者に選択させ、設定データ回復手順では、回復項目選択手順において伝送する旨が選択された設定項目について、回復対象となる設定対象デバイスへ伝送するので、複数の設定項目の中から、いくつかの設定項目だけを選んで、その設定内容を元に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、前記新設定データ決定手順において決定された新設定データと、前記既設定データ読出手順において読み出された既設定データとを、両設定データに含まれる設定項目毎に比較する比較手順を備えており、前記回復用設定データ保存手順は、前記比較手順において両設定データが異なっていた場合に、その異なる設定項目に対応する既設定データのみを、回復用設定データとして保存する手順とされていると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、比較手順において、新設定データ決定手順において決定された新設定データと、既設定データ読出手順において読み出された既設定データとを、両設定データに含まれる設定項目毎に比較し、回復用設定データ保存手順においては、比較手順において両設定データが異なっていた場合に、その異なる設定項目に対応する既設定データのみを、回復用設定データとして保存するので、設定変更の前後で内容に変化がない設定項目もすべて含む既設定データを回復用設定データとして保存する場合に比べ、回復用設定データのデータ量を削減することができる。また、回復用設定データの内容を表示する場合には、単に保存された回復用設定データを表示するだけで、設定変更の前後で内容に変化があった設定項目だけを抜粋して表示できるので、利用者は回復用設定データの内容を確認しやすくなる。
また、本発明の設定データ伝送プログラムは、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送される回復用設定データと同じ日付で、別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されている場合に、その旨を報知する報知手順を備えると望ましい。
このような設定データ伝送プログラムに従った処理をコンピュータが実行すると、コンピュータは、報知手順において、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送される回復用設定データと同じ日付で、別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されている場合に、その旨を報知する。したがって、利用者は、回復対象となる設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する際に、同じ日付で別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されていることをも認識でき、必要があれば、設定データの一括送信に起因して、その別のデバイスにおいても、回復対象となる設定対象デバイスと同様の問題が発生していないかどうかを確認するなどの対処を行うことができる。
なお、上述の説明から明らかなように、本発明の設定データ伝送プログラムは、新設定データの伝送時と回復用設定データの伝送時に利用されるが、これらは通常同じタイミングではないので、新設定データの伝送に関連する処理と回復用設定データの伝送に関連する処理は、それぞれ別のプログラムとして用意されていてもよく、それら別のプログラムを組み合わせて利用するようにしてもよい。
すなわち、新設定データの伝送時に利用される設定データ伝送プログラムとしては、ネットワークに接続された複数のデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を、コンピュータに実行させるための設定データ伝送プログラムであって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手順と、前記既設定データ読出手順において読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手順と、前記新設定データ決定手順において決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムが用意されていればよい。
また、回復用設定データの伝送時に利用される設定データ伝送プログラムとしては、コンピュータが請求項9に記載の設定データ伝送プログラムに従って設定データ伝送処理を実行することにより、前記新設定データが伝送されたデバイスを対象にして、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが用意されていればよい。
これら請求項9,10に記載の設定データ伝送プログラムを組み合わせて利用すれば、請求項1に記載の設定データ伝送プログラムについて述べた通りの作用、効果を奏することになる。
なお、請求項9,10に記載の設定データ伝送プログラムは、双方とも請求項1に記載の設定データ伝送プログラムが備える一部の手順を備えるプログラムに相当するので、さらに、請求項9,10に記載の設定データ伝送プログラムにおいても、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムが備える一部の手順を備えることができ、これにより、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムについて述べた通りの作用、効果を奏するプログラムとして構成することができる。
また、以上本発明の設定データ伝送プログラムについて説明したが、本発明の技術思想は、設定データ伝送方法として把握することもできる。
すなわち、本発明の設定データ伝送方法は、ネットワークを介して複数のデバイスへ一括して設定データを伝送する設定データ伝送方法であって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手順と、前記既設定データ読出手順において読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手順と、前記新設定データ決定手順において決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手順と、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手順とを備えることを特徴とする。
このような設定データ伝送方法を実行すると、まず、設定対象デバイス選択手順において、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の設定対象デバイスを選択する。この手順において選択される設定対象デバイスは、利用者からの指示に従って選択されるものであるが、利用者からの指示としては、例えば「入力装置からの手入力で特定のデバイスを指定する指示」、「ネットワーク上に存在するデバイスをサーチするとともに、そのサーチ結果として検出されたデバイスを設定対象デバイスとすべき旨の指示」などを挙げることができ、これらの指示を併用することもできる。
また、新設定データ決定手順において、設定対象デバイスに対して伝送しようとする新設定データを決定する。この手順における新設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、新設定データとなり得る初期値をあらかじめ用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値そのものまたは手直しした値を新設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、新設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を新設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、新設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。新設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。なお、この新設定データ決定手順は、上述の設定対象デバイス選択手順より先に実施しても後に実施しても構わない。
さらに、既設定データ読出手順において、設定対象デバイス選択手順において選択された設定対象デバイスから、設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出し、その既設定データを、回復用設定データ保存手順において、回復用設定データとして保存する。この回復用設定データは、後述するデータ回復手順において利用されるデータである。なお、既設定データ読出手順および回復用設定データ保存手順は、上述の設定対象デバイス選択手順より後に実施する手順となるが、上述の新設定データ決定手順より先に実施しても後に実施しても構わない。
以上の各手順を終えたら、続いて、設定データ伝送手順において、新設定データを設定対象デバイスに対して伝送する。この設定データ伝送手順では、設定対象デバイスが複数存在する場合、同じ新設定データを複数の設定対象デバイスに対して伝送する。これにより、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了する。
ただし、以上のような手順によって、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了した後、送信対象となった設定対象デバイスのいずれかにおいて、設定データの一括送信を行ったことに起因して、何らかのエラーが発生する可能性もある。
そこで、このようなエラーが発生した場合の対策として、設定データ回復手順を実行することができ、具体的には、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す。
したがって、この設定データ伝送方法を利用すれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して設定データを一括送信することができ、しかも、その一括送信の後、いくつかの設定対象デバイスにおいて、一括送信された設定データに起因する何らかのエラーが発生したとしても、エラーが発生したデバイスのみを対象にして、そのデバイスの設定を、設定データの一括送信前の状態に戻すことができる。
なお、上述の説明から明らかなように、本発明の設定データ伝送方法を構成する各手順は、請求項1に記載の設定データ伝送プログラムを構成する各手順に対応するものばかりなので、さらに請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムと同等な手順をも備えることができ、これにより、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムに対応する設定データ伝送方法をも構成することができる。
また、本発明の設定データ伝送方法も、請求項9,10に記載の設定データ伝送プログラムと同様、新設定データの伝送時の方法と回復用設定データの伝送時の方法に概念を分けることができる。
すなわち、新設定データの伝送時の方法としては、ネットワークを介して複数のデバイスへ一括して設定データを伝送する設定データ伝送方法であって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手順と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手順と、前記設定対象デバイス選択手順において選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手順と、前記既設定データ読出手順において読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手順と、前記新設定データ決定手順において決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手順とを備えることを特徴とする設定データ伝送方法を考えることができる。
また、回復用設定データの伝送時の方法としては、請求項12に記載の設定データ伝送方法により、前記新設定データが伝送されたデバイスを対象にして、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手順において保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手順における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手順を備えることを特徴とする設定データ伝送方法を考えることができる。
次に、本発明の設定データ伝送システムについて説明する。
本発明の設定データ伝送システムは、ネットワークを構成するノードとして、単一の情報処理ノードまたは複数の情報処理ノードからなる情報処理ノード群のいずれかと、複数のデバイスとを備えてなるシステムであり、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を実行するように構成されている設定データ伝送システムであって、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手段と、前記既設定データ読出手段によって読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手段と、前記新設定データ決定手段によって決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手段と、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手段によって保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手段による新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手段とを備えることを特徴とする。
この設定データ伝送システムは、ネットワークを構成するノードとして、単一の情報処理ノードまたは複数の情報処理ノードからなる情報処理ノード群のいずれかと、複数のデバイスとを備えてなる。前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群は、複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送処理を実行可能な機器、例えばコンピュータによって構成される。ただし、これらの情報処理ノードを構成する機器は、上記設定データ伝送処理に関連する処理のみを実行可能な専用の機器であってもよいし、上記設定データ伝送処理に関連する処理に加え、上記設定データ伝送処理には関連しない処理をも実行可能な汎用の機器であってもよい。
単一の情報処理ノードが設定データ伝送処理を実行する場合、設定データ伝送処理を実行するために採用した上記各手段は、すべて単一の情報処理ノードが備え、単一の情報処理ノードが集中処理にて設定データ伝送処理を実行することになる。一方、情報処理ノード群が設定データ伝送処理を実行する場合、設定データ伝送処理を実行するために採用した上記各手段は、情報処理ノード群に含まれる複数の情報処理ノードに分散配置される。そして、ある情報処理ノードに配された手段の出力データが別の情報処理ノードに配された手段の入力データとなるのであれば、ある情報処理ノードで得られた出力データをネットワークを介して別の情報処理ノードへと伝送して、情報処理ノード群全体が、集中処理を行う単一の情報処理ノードと同等に機能するように構成する。これにより、情報処理ノード群が分散処理にて設定データ伝送処理を実行することになる。
以下、前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が備える各手段について説明する。
この設定データ伝送システムにおいて、設定対象デバイス選択手段は、ネットワークを介して接続された複数のデバイスの中から、1以上の設定対象デバイスを選択する。設定対象デバイスによって選択される設定対象デバイスは、利用者からの指示に従って選択されるものであるが、利用者からの指示としては、例えば「入力装置からの手入力で特定のデバイスを指定する指示」、「ネットワーク上に存在するデバイスをサーチするとともに、そのサーチ結果として検出されたデバイスを設定対象デバイスとすべき旨の指示」などを挙げることができ、これらの指示を併用することもできる。
また、新設定データ決定手段は、設定対象デバイスに対して伝送しようとする新設定データを決定する。この新設定データ決定手段における新設定データの決定方法は任意であるが、例えば、利用者が手入力した値を設定データと決定するといった方法でよく、この場合、新設定データとなり得る初期値をあらかじめ用意しておいて、必要な場合のみ利用者に初期値を手入力で手直しさせ、初期値そのものまたは手直しした値を新設定データと決定するといった方法にしてもよい。また、新設定データとなり得る複数の候補をあらかじめ用意しておいて、その複数の候補の中から1つ以上を利用者に選択させて、選択された候補を新設定データと決定するといった方法でもよい。あるいは、新設定データとしていくつかの項目がある場合、特定の項目については他の項目との関係で条件判定を行って最適な値や自己矛盾のない値を決定してもよい。新設定データとしていくつかの項目がある場合、上記のような決定方法を任意に混在させても構わない。
さらに、既設定データ読出手段は、設定対象デバイス選択手段によって選択された設定対象デバイスから、設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出し、その既設定データを、回復用設定データ保存手段は、回復用設定データとして保存する。この回復用設定データは、後述するデータ回復手段によって利用されるデータである。
また、設定データ伝送手段は、新設定データ決定手段によって決定された新設定データを設定対象デバイスに対して伝送する。この設定データ伝送手段では、設定対象デバイスが複数存在する場合、同じ新設定データを複数の設定対象デバイスに対して伝送する。これにより、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了する。
ただし、以上のような各手段によって、設定対象デバイスに対する設定データの一括送信が完了した後、送信対象となった設定対象デバイスのいずれかによって、設定データの一括送信を行ったことに起因して、何らかのエラーが発生する可能性もある。
そこで、このようなエラーが発生した場合の対策として、設定データ回復手段は、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手段によって保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手段における新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す。
したがって、この設定データ伝送システムによれば、ネットワーク上の複数のデバイスに対して設定データを一括送信することができ、しかも、その一括送信の後、いくつかの設定対象デバイスによって、一括送信された設定データに起因する何らかのエラーが発生したとしても、エラーが発生したデバイスのみを対象にして、そのデバイスの設定を、設定データの一括送信前の状態に戻すことができる。
なお、以上の説明から明らかなように、本発明の設定データ伝送システムが備える各手段は、請求項1に記載の設定データ伝送プログラムが備える各手順において実行される処理を実行する手段として構成されている。したがって、本発明の設定データ伝送システムにおいては、さらに、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムが備える各手順に相当する構成、すなわち、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムが備える各手順において実行される処理を実行するための手段を備えていても望ましい。以下、これら備えると望ましい手段について、具体的に説明する。
まず、本発明の設定データ伝送プログラムにおいて、回復用設定データ保存手段は、既に保存されている回復用設定データに加えて、新たな回復用設定データを保存することにより、複数組の回復用設定データを保存可能で、保存の際には、前記複数組の回復用設定データの保存順序を識別するための情報をも保存する手段であり、前記複数組の回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる回復用設定データ選択手段を備えていて、前記設定データ回復手段は、前記回復用設定データ選択手段によって選択された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する手段とされていると望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、回復用設定データ保存手段は、複数組の回復用設定データを、その保存順序を識別するための情報とともに保存する。保存順序を識別するための情報は、単なる連番であってもよいし、保存日時など連番よりも詳細な情報であってもよい。また、保存順序を識別するための情報は、回復用設定データとともにファイル内のデータとしてファイルに格納されてもよいし、保存順序を識別するための情報を含むファイル名でファイルを作成し、そのファイル内に回復用設定データを保存するようになっていてもよい。
そして、回復用設定データ選択手段は、上記のような複数組の回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。ここで、利用者は、保存順序を識別するための情報も参考にしながら、少なくとも1組の回復用設定データを選択する。こうして、少なくとも1組の回復用設定データが選択されたら、設定データ回復手段は、回復用設定データ選択手段によって選択された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する。
したがって、このような設定データ伝送システムによれば、設定データの送信が複数回にわたって行われている場合でも、デバイスの設定を何回か前の設定内容に戻すことができ、その際、保存順序も考慮して、どの程度前の設定内容に戻すのかを利用者が判断し、その設定内容に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、前記回復用設定データに含まれ得る複数の設定項目の中から、1以上の設定項目を利用者に指定させる設定項目指定手段と、前記複数組の回復用設定データの中から、前記設定項目指定手段によって指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データを抽出する第1の回復用設定データ抽出手段とを備えていてもよく、この場合、前記回復用設定データ選択手段は、前記第1の回復用設定データ抽出手段によって抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる手段とされていると望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、第1の回復用設定データ抽出手段は、複数組の回復用設定データの中から、設定項目指定手段によって指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データを抽出する。そして、回復用設定データ選択手段は、第1の回復用設定データ抽出手段によって抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。
したがって、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させるに当たって、その候補を、設定項目指定手段によって指定された設定項目に対応するデータを含む回復用設定データにあらかじめ絞り込むことができるので、特定の設定項目を元に戻したい場合に、その特定の設定項目に関連しない回復用設定データまで候補となることがなく、利用者が簡単に所期の回復用設定データを選択できるようになる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、日付を利用者に指定させる日付指定手段と、前記複数組の回復用設定データの中から、前記日付指定手段によって指定された日付に対応する回復用設定データを抽出する第2の回復用設定データ抽出手段とを備えており、前記回復用設定データ選択手段は、前記第2の回復用設定データ抽出手段によって抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる手段とされていても望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、第2の回復用設定データ抽出手段は、複数組の回復用設定データの中から、日付指定手段によって指定された日付に対応する回復用設定データを抽出する。そして、回復用設定データ選択手段は、第2の回復用設定データ抽出手段によって抽出された回復用設定データの中から、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させる。
したがって、少なくとも1組の回復用設定データを利用者に任意に選択させるに当たって、その候補を、日付指定手段によって指定された日付に対応する回復用設定データにあらかじめ絞り込むことができるので、特定の日付以前の状態に設定を戻したい場合に、その特定の日付に関連しない回復用設定データまで候補となることがなく、利用者が簡単に所期の回復用設定データを選択できるようになる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、回復対象となる前記設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する前に、その回復用設定データを表示する回復用設定データ表示手段を備えていても望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、回復対象となる設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する前に、回復用設定データ表示手段によって、回復用設定データを表示するので、どのような設定内容に戻るのかを事前に確認した上で、確実に戻したい設定内容に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、前記回復用設定データ表示手段によって表示された前記回復用設定データに含まれる複数の設定項目それぞれについて、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送するか否かを利用者に選択させる回復項目選択手段を備えており、前記設定データ回復手段は、前記回復項目選択手段によって伝送する旨が選択された設定項目について、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送する手段とされていると望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、回復項目選択手段は、回復用設定データ表示手段によって表示された回復用設定データに含まれる複数の設定項目それぞれについて、回復対象となる設定対象デバイスへ伝送するか否かを利用者に選択させ、設定データ回復手段では、回復項目選択手段によって伝送する旨が選択された設定項目について、回復対象となる設定対象デバイスへ伝送するので、複数の設定項目の中から、いくつかの設定項目だけを選んで、その設定内容を元に戻すことができる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、前記新設定データ決定手段によって決定された新設定データと、前記既設定データ読出手段によって読み出された既設定データとを、両設定データに含まれる設定項目毎に比較する比較手段を備えており、前記回復用設定データ保存手段は、前記比較手段によって両設定データが異なっていた場合に、その異なる設定項目に対応する既設定データのみを、回復用設定データとして保存する手段とされていると望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、比較手段は、新設定データ決定手段によって決定された新設定データと、既設定データ読出手段によって読み出された既設定データとを、両設定データに含まれる設定項目毎に比較し、回復用設定データ保存手段は、比較手段によって両設定データが異なっていた場合に、その異なる設定項目に対応する既設定データのみを、回復用設定データとして保存するので、設定変更の前後で内容に変化がない設定項目もすべて含む既設定データを回復用設定データとして保存する場合に比べ、回復用設定データのデータ量を削減することができる。また、回復用設定データの内容を表示する場合には、単に保存された回復用設定データを表示するだけで、設定変更の前後で内容に変化があった設定項目だけを抜粋して表示できるので、利用者は回復用設定データの内容を確認しやすくなる。
また、本発明の設定データ伝送システムは、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送される回復用設定データと同じ日付で、別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されている場合に、その旨を報知する報知手段を備えると望ましい。
このような設定データ伝送システムによれば、報知手段は、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送される回復用設定データと同じ日付で、別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されている場合に、その旨を報知する。したがって、利用者は、回復対象となる設定対象デバイスへ回復用設定データを伝送する際に、同じ日付で別のデバイスに対応する回復用設定データが保存されていることをも認識でき、必要があれば、設定データの一括送信に起因して、その別のデバイスによっても、回復対象となる設定対象デバイスと同様の問題が発生していないかどうかを確認するなどの対処を行うことができる。
次に、本発明の設定データ伝送装置について説明する。
本発明の設定データ伝送装置は、ネットワークに接続された複数のデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送装置であって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手段と、前記既設定データ読出手段によって読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手段と、前記新設定データ決定手段によって決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手段と、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手段によって保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手段による新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手段とを備えることを特徴とする。
この設定データ伝送装置は、先に説明した設定データ伝送システムにおいて前記単一の情報処理ノードまたは前記情報処理ノード群が備えていた各手段を備えている。したがって、この設定データ伝送装置は、前記単一の情報処理ノードに相当する装置として利用でき、複数のデバイスとともに、先に説明した設定データ伝送システムを構成することができる。
なお、この設定データ伝送装置は、上述の通り、先に説明した設定データ伝送システムにおける単一の情報処理ノードと同等な装置となるので、この設定データ伝送装置においても、前記単一の情報処理ノードが備え得る望ましい構成(請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムが備える各手順において実行される処理を実行するための手段)を備えることができる。
また、上述の説明から明らかなように、本発明の設定データ伝送装置は、新設定データの伝送時と回復用設定データの伝送時に利用されるが、これらは通常同じタイミングではないので、新設定データの伝送に関連する処理と回復用設定データの伝送に関連する処理は、それぞれ別の装置で実行してもよく、それら別の装置を組み合わせて利用するようにしてもよい。
すなわち、新設定データの伝送時に利用される設定データ伝送装置としては、ネットワークに接続された複数のデバイスを対象にして、前記複数のデバイスに一括して設定データを伝送可能な設定データ伝送装置であって、前記複数のデバイスの中から、設定対象となる1以上の設定対象デバイスを選択する設定対象デバイス選択手段と、前記設定対象デバイスに新たに伝送しようとする新設定データを決定する新設定データ決定手段と、前記設定対象デバイス選択手段によって選択された前記設定対象デバイスから、前記設定対象デバイスに既に設定されている既設定データを読み出す既設定データ読出手段と、前記既設定データ読出手段によって読み出された既設定データを、回復用設定データとして保存する回復用設定データ保存手段と、前記新設定データ決定手段によって決定された新設定データを、前記設定対象デバイスに対して伝送する新設定データ伝送手段とを備えることを特徴とする設定データ伝送装置が用意されていればよい。
また、回復用設定データの伝送時に利用される設定データ伝送装置としては、請求項16に記載の設定データ伝送装置により、前記新設定データが伝送されたデバイスを対象にして、利用者からの回復指示を受けた際に、前記回復用設定データ保存手段によって保存された回復用設定データを、回復対象となる前記設定対象デバイスへ伝送することにより、前記設定対象デバイスの設定データを、前記新設定データ伝送手段による新設定データの伝送を実行する前の状態に戻す設定データ回復手段を備えることを特徴とする設定データ伝送装置が用意されていればよい。
これら請求項16,17に記載の設定データ伝送装置を組み合わせて利用すれば、請求項15に記載の設定データ伝送装置について述べた通りの作用、効果を奏することになる。
なお、請求項16,17に記載の設定データ装置は、双方とも請求項15に記載の設定データ伝送装置が備える一部の手段を備える装置に相当するので、さらに、請求項16,17に記載の設定データ伝送装置においても、請求項15に記載の設定データ伝送装置が備え得る望ましい構成(請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムが備える各手順において実行される処理を実行するための手段)を備えることができ、これにより、請求項2〜請求項8に記載の設定データ伝送プログラムについて述べた通りの作用、効果を奏する装置として構成することができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1は、本発明の設定データ伝送システムに相当する構成を含むネットワークシステムの概略構成図である。
このネットワークシステムは、複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)1,1’,1”と、ルータ2と、複数のプリンタ3,4,5と、これらの機器を含む複数のノードを相互に接続するLAN(Local Area Network)7とを備えてなる。
PC1,1’,1”は、本発明でいうコンピュータに相当し、PC1を例に挙げて内部構成を説明すると、周知の通り、CPU101、ROM102、RAM103、キーボードやポインティングデバイスなどで構成される入力部105、表示部106、ハードディスクなどのストレージデバイス107、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F108等を備えている。また、これらのハードウェアを制御するため、PC1には、マルチタスク機能を有するOS(Operating System)が搭載されている。このようなOSの具体例としては、例えば、Windows(登録商標)、Linux(登録商標)、MacOS(登録商標)などを挙げることができる。これら各OSによって提供される各種機能は公知なので、ここでの詳細な説明は省略するが、以下の説明においては、PC1が、Windows(登録商標)によって提供される各種機能を有するとの前提で説明を続ける。PC1が備えるCPU101は、OSのマルチタスク機能により、複数のソフトウェアに基づく処理を時分割で並列に実行することができ、そのような処理の一つとして、後から詳述する設定データ伝送処理を実行するように構成されている。なお、PC1’,1”も、機能的にはPC1とほぼ同様に構成されているものなので、内部構成についての詳細な説明は省略する。
ルータ2は、ルータ2を介して接続された一方のネットワークから他方のネットワークへデータを中継する装置である。
プリンタ3〜5は、本発明でいうデバイスに相当し、プリンタ3を例に挙げて内部構成を説明すると、CPU301、ROM302、RAM303、NVRAM304(Non Volatile RAM)、各種メッセージ等を表示するための表示部306、記録媒体に対して画像を記録する印刷部307、LAN7に接続するために利用されるネットワークI/F308等を備えている。PC1において後述する設定データ伝送処理が実行された際には、PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得したり、PC1からプリンタ3〜5に対して設定データが伝送されたりする。
本実施形態において、PC1とプリンタ3〜5との間で設定データをやり取りする際には、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP:Simple Network Management Protocol)が利用され、各プリンタ3〜5には、SNMPにおいて利用される管理情報ベース(MIB;Management Information Base)が設けられている(例えば、プリンタ3の場合は、NVRAM304内のMIB311)。PC1がプリンタ3〜5のいずれかから設定データを取得する際には、PC1がプリンタ3〜5に対してSNMPによるデータ取得要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、PC1がプリンタ3〜5のいずれかに対して設定データを送信する際には、PC1がプリンタ3〜5に対して設定データを含む、SNMPによるデータ設定要求を発行し、プリンタ3〜5は、PC1からのデータ設定要求に応じて、プリンタ3〜5内で管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定データを格納する。
次に、PC1において実行される設定データ伝送処理について説明する。
本実施形態において、設定データ伝送処理としては、大別すると二種類の処理があり、一つは印刷系デバイス(=プリンタやプリンタ機能を有するMFP(Multi-Function Product;マルチファンクションプロダクト);本実施形態ではプリンタ3〜5など)自体の設定に関する処理(以下、第1の設定データ伝送処理という)、もう一つはその印刷系デバイスが備えるNIC(Network Interface Card;図1に例示したプリンタ3の場合、ネットワークI/F308)の設定に関する処理(以下、第2の設定データ伝送処理という)となっている。これら第1,第2の設定データ伝送処理を比較すると、起動のためのUI(ユーザーインターフェース)、設定対象、個々の設定項目などは、両処理で異なっているものの、処理全体の流れについては、一部を除き、両処理でほぼ同様の処理となっている。
そこで、以下の説明では、上記第1,第2の設定データ伝送処理で相違する箇所がある場合にのみ、その相違点について詳述することにし、相違点がない場合は、上記第1,第2の設定データ伝送処理を、特に区別することなく設定データ伝送処理として説明することにする。
まず、第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIについて説明する。
第1の設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1においてデバイス設定管理ツールを起動する。すると、PC1の表示部には、図2に示すような、デバイス設定管理ツール初期画面11が表示される。このデバイス設定管理ツール初期画面11には、ネットワーク上で検出された印刷系デバイス(プリンタやMFP;本実施形態ではプリンタ3〜5など)が一覧表示される。このデバイス設定管理ツール初期画面11において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして選択して、図3に示すように、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリック(=ポインティングデバイスを使って「Control」をポイントして、ポインティングデバイスが有するボタンを押す操作;以下、単にクリックという)し、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Printer」をクリックすると、図4に示すような、プリンタ設定機能初期画面13が表示される。このプリンタ設定機能初期画面13は、印刷系デバイス(プリンタやMFP)の設定を行うための画面で、プリンタ設定機能初期画面13内には、デバイス設定管理ツール初期画面11において選択した1つの印刷系デバイスに関し、現在設定されている設定内容などが表示されている。このプリンタ設定機能初期画面13において、図5に示すように、画面内にあるメニューバー上で「Config」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Send Settings to Printer(s)」をクリックすると、PC1は、第1の設定データ伝送処理を開始することになる。
一方、第2の設定データ伝送処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1において上述のデバイス設定管理ツールを起動して、上述のデバイス設定管理ツール初期画面11を表示した後、デバイス設定管理ツール初期画面11(図2参照)において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして、その代表デバイスをダブルクリックするか、あるいは、その代表デバイスをクリックした上で、デバイス設定管理ツール初期画面11内にあるメニューバー上で「Control」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Configure Print Server」をクリックすると、図6に示すような、NIC設定ダイアログ15が表示される。このNIC設定ダイアログ15において、画面内の「General」タブを選択したきに表示される“Send to Multiple Printer”ボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を開始することになる。
以下、第1,第2の設定データ伝送処理を開始した後の説明については、特に断りがない限り、両処理を区別することなく設定データ伝送処理として説明を続ける。
設定データ伝送処理を開始すると、PC1は、図7に示すように、まず“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を実行する(S101)。この“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理は、詳しくは図8に示すような処理となる。
“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図8に示すように、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21(図9参照)を表示する(S201)。“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21は、図9に示すように、送信対象選択用ラジオボタン23、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35、OKボタン37、Cancelボタン39などを備えた画面である。初期表示状態では、送信対象選択用ラジオボタン23は“Current Printer”にセットされ、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Removeボタン31、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35は、全てグレーアウト表示(=利用者が操作できないことを示す表示状態;以下同様)となっている。また、処理内容の詳細については後述するが、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、図10に示すように、設定送信種類切り替え指示欄25、デバイスリスト表示欄27、Searchボタン29、Addデバイス入力テキストボックス33、Addボタン35のグレーアウト表示は解除される。グレーアウト表示が解除された場合、設定送信種類切り替え指示欄25においては、1:Send all Current Values、2:Send all Update Values、3:Send Current and Update Values、以上3つの選択肢のうち、いずれかを選択できるようになる。さらに、後述する処理の中で、デバイスリスト表示欄27に1以上の印刷系デバイス(以下、単にデバイスという)が表示された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン31のグレーアウト表示は解除される。
以上のような“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21を表示したら、続いて、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”のデバイスリスト(デバイスリスト表示欄27の内容)を表示する(S203)。初期表示状態では、上述の通り、デバイスリスト表示欄27はグレーアウト表示となっており、実際には表示を行わない(図9参照)。また、後述の処理で、利用者が送信対象選択用ラジオボタン23を“Multiple Printers”にした場合、グレーアウト表示は解除され、デバイスの検索が自動的に実施される。デバイスの検索で検出されたデバイスに関する情報はデバイスリストに登録され、その情報がデバイスリスト表示欄27に表示されることになる(図10参照)。
S203の処理を終えたら、PC1は、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21のボタンとキーの入力を受け付ける(S205)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、送信対象選択用ラジオボタン23の切り替え入力、設定送信種類切り替え指示欄25の切り替え入力、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力、Searchボタン29、Removeボタン31、Addボタン35、OKボタン37、またはCancelボタン39の押下操作などを行うことができる。
そして、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力が行われていた場合(S207:YES)、Addデバイス入力テキストボックス33への文字列入力に関する処理を行い(S209)、S205の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addデバイス入力テキストボックス33へのアドレス入力ではなく(S207:NO)、Addボタン35が押されていた場合は(S211:YES)、S207の処理にてAddデバイス入力テキストボックス33にアドレスを入力することによって指定されたデバイスについて、デバイスリストに追加する処理を実行する(S213)。このS213の処理は、詳しくは図11に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図11に示すように、まず、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスからノード名、ロケーション等の情報を取得する(S301)。ここで、情報の取得に成功した場合は(S303:YES)、デバイスリストにデバイスを追加する(S305)。その結果、デバイスリスト表示欄27には、Addデバイス入力テキストボックス33に入力されたアドレスを持つデバイスについての情報が追加表示される。一方、S301の処理で、情報の取得に失敗した場合は(S303:NO)、通信エラーのメッセージボックスを表示してRetry/Cancelボタンの入力を待つ(S307)。ここで、利用者がRetry/Cancelボタンのいずれかを押下するとS307の処理を抜け、Retryボタンが入力された場合は(S309:Retry)、S301の処理へと戻る。そして、S305の処理を終えるか、S307の処理においてCancelボタンが入力されていた場合は(S309:Cancel)、図11に示した処理を終了し、これにより、図8に示したS213の処理を終えることになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、Addボタン35が押されたのではなく(S211:NO)、Removeボタン31が押されていた場合は(S215:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S217)、S203の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン31を押す前にデバイスリスト表示欄27において行われ、Removeボタン31を押すと、デバイスリスト表示欄27において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄27から削除される。
また、S205の処理において、Removeボタン31が押されたのではなく(S215:NO)、Searchボタン29が押されていた場合は(S219:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを更新する(S221)。より具体的には、PC1は、SNMPを利用して、デバイスからの応答を要求するパケットをブロードキャストして、数秒間応答を待つ。ここで、ネットワーク上のデバイスの中に、上記パケットに対する応答を返すことができるデバイスが存在する場合、そのデバイスは応答を返す。また、上記パケットに対する応答を返すことができないデバイスは、受信したパケットを単に破棄する。したがって、PC1は、パケットに対する応答を取得し、この応答を返したデバイスについて、本システムによる設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを更新し、デバイスリスト表示欄27に追加表示する。そして、S221の処理を終えたら、S203の処理へと戻る。なお、このS221の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン31を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S205の処理において、Searchボタン29が押されたのではなく(S215:NO)、送信対象選択用ラジオボタン23および設定送信種類切り替え指示欄25を利用して設定送信種類の切り替え操作が行われた場合は(S223:YES)、設定送信の種類を変更して、その変更に合わせてダイアログ21内のグレーアウト状態等も変更し、ダイアログ21内の再表示を行う(S225)。そして、必要に応じてデバイスの検索とデバイスリストの更新を行う(S227)。このS227の処理は、詳しくは図12に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図12に示すように、まず、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていば(S401:YES)、デバイスリスト作成済みでない場合は(S403:NO)、デバイスの検索を行って、新たにデバイスリストを作成し(S405)、既にデバイスリスト作成済みである場合は(S403:YES)、S405の処理をスキップする。そして、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”も指定されていない場合(S409:NO)、“Send all Update Values”が指定されていることになるので、デバイスリスト内のカレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)を示すエントリを有効とする(S411)。このS411の処理により、デバイスリスト内で有効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象とされることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されておらず(S407:NO)、且つ、“Send Current and Update Values”が指定されていた場合(S409:YES)、カレントデバイスに対して未反映の更新設定値があるかどうかをチェックする(S413)。ここで、未反映の更新設定値があれば(S413:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを有効とし(S411)、未反映の更新設定値がなければ(S413:NO)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。このS415の処理により、デバイスリスト内で無効とされたエントリは、以後、表示や設定送信などの処理を行う際に、処理対象から除外されることになる。また、設定送信種類切り替え指示欄25において“Send all Current Values”が指定されていれば(S407:YES)、デバイスリスト内のカレントデバイス(=代表デバイス)を示すエントリを無効とする(S415)。一方、S401の処理において、送信対象選択用ラジオボタン23で、“Multiple Printers”が選択されていなければ(S401:NO)、“Current Printer”が選択されていることになるので、デバイスリストを削除する(S417)。こうして図12中にあるS411,S415,S417の処理のいずれかを終えると、図12に示した処理を終え、その結果、図8に示したS227の処理を終えたことになるので、S203の処理へと戻る。
また、S205の処理において、設定送信種類の切り替え操作が行われておらず(S223:NO)、OKボタン37が押された場合(S229:YES)、あるいはCancelボタン39が押された場合は(S229:NO,S231:YES)、“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の表示を消去する(S233)。OKボタン37は、処理の続行を指示するボタンであり、Cancelボタン39は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS103の処理で参照されることになる。なお、S205の処理において、Cancelボタン39が押されていない場合は(S231:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS205の処理へと戻る。
こうして図8中にあるS233の処理を終えると、図8に示した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理を終了し、その結果、図7に示したS101の処理を終えたことになるので、続いて、PC1は、図7に示した通り、上述のS205の処理においてOKボタン37が押されたのか否かを判断する(S103)。ここで、OKボタン37が押されていなかった場合は(S103:NO)、Cancelボタン39が押されていたことになるので、以降の処理は中止して、そのまま設定データ伝送処理を終えることになる。
一方、OKボタン37が押されていた場合は(S103:YES)、送信実行確認ダイアログ処理を実行する(S105)。この送信実行確認ダイアログ処理は、詳しくは図13に示すような処理となる。
送信実行確認ダイアログ処理を開始すると、PC1は、図13に示すように、送信実行確認ダイアログ41(図14参照)を表示する(S501)。送信実行確認ダイアログ41は、デバイスへ設定データを送信した場合に設定変更がなされるか否かを示す情報や、デバイスが現在通信可能な状態にあるか否かを示す情報などを表示するためのダイアログで、図14に示すように、デバイスリスト表示欄43、Searchボタン45、Refreshボタン47、Removeボタン49、Cancelボタン51、Sendボタン53などを備えた画面となっている。ただし、図14中、デバイスリスト表示欄43内の個々の情報は、後述するS505の処理において表示されることになる。
送信実行確認ダイアログ41を表示したら、続いて、PC1は、デバイスの設定値取得処理を実行する(S503)。このS503の処理は、詳しくは図15に示すような処理となる。
すなわち、PC1は、図15に示すように、まず、設定値取得中デバイスを示す番号を初期化する(S601)。この設定値取得中デバイスを示す番号は、デバイスリスト(=初期値は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ処理にて生成されたデバイスリスト。ただし、後述の処理で更新されることもあり。)内のエントリを先頭から順に処理するための指標として用いられる変数であり、S601の処理では、例えば、デバイスリスト内の先頭エントリを指し示すため、設定値取得中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。続いて、PC1は、全デバイス処理済みか否かを判断する(S603)。ここでは、例えば、全デバイスがn台ある場合、上述の設定値取得中デバイスを示す番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S603の処理で、全デバイス処理済みでないと判断された場合(S603:NO)、設定値取得中デバイスから設定値を取得する(S605)。ここで、設定値取得中デバイスとは、デバイスリスト内にあるn台のデバイスのうち、デバイスリスト中でi番目(iは設定値取得中デバイスを示す番号)のエントリに対応するデバイスのことである。設定値取得中デバイスからの設定値の取得は、具体的には、SNMPプロトコルを利用し、PC1が設定値取得中デバイスに対してデータ取得要求を発行し、設定値取得中デバイスが、PC1からのデータ取得要求に対する応答として、設定値取得中デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に格納されている設定データをPC1に提供する。また、各デバイスから設定値を取得する設定項目は、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類に応じて変わる。具体的には、設定送信の種類が“Send all Current Values”または“Send Current and Update Values”の場合は、全ての設定項目(但し、デバイスで設定可能な全項目ではなく、本設定データ伝送処理での設定対象としてデバイスのモデル毎にあらかじめ決められているいくつかの項目すべて)、“Send all Update Values”の場合は実際に更新する予定になっている設定項目、以上の設定項目について設定値が取得される。PC1では、設定値取得中デバイスから設定値を取得できたか否かを判断し(S607)、設定値を取得できた場合は(S607:YES)、設定値をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)登録する(S609)。このとき、取得した設定値が送信しようとしている設定値と全て一致するなら“Identical”、一部でも相違するなら“Change”、以上いずれかの状態情報も併せてデバイスリストに登録する。また、設定値を取得できなかった場合は(S607:NO)、エラー情報をデバイスリストに(=デバイスリスト内の該当デバイスエントリに)書き込む(S611)。具体的には、上述の状態情報(“Identical”または“Change”)の代わりに、状態情報として“Connection Error”を登録する。そして、S609またはS611いずれかの処理を終えたら、設定取得中デバイスを示す番号を更新して(S613)、S603の処理へと戻る。S613の処理は、例えば、設定値取得中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップする処理となる。こうしてS603〜S613の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S603の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされ(S603:YES)、図15に示した処理を終了し、これにより、図13に示したS503の処理を終えることになる。なお、上記S603〜S613の処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
こうしてS503の処理を終えたら、引き続いて、PC1は、図13に示すように、送信実行確認ダイアログ41のデバイスリストを表示する(S505)。このS505の処理により、図14中のデバイスリスト表示欄43内には、個々のデバイスに関する情報が表示され、各デバイス毎に上述のS609またはS611いずれかの処理でデバイスリストに登録された状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)が表示される。
続いて、PC1は、送信実行確認ダイアログ41のボタン入力を受け付ける(S507)。ここで、利用者は、PC1の入力部を利用し、Searchボタン45、Refreshボタン47、Removeボタン49、Cancelボタン51、またはSendボタン53の押下操作などを行うことができる。
そして、S507の処理において、Removeボタン49が押されていた場合は(S509:YES)、デバイスリストから指定デバイスを削除して(S511)、S505の処理へと戻る。削除するデバイスの指定は、Removeボタン49を押す前にデバイスリスト表示欄43において行われ、Removeボタン49を押すと、デバイスリスト表示欄43において指定されていたデバイスが、デバイスリスト表示欄43から削除される。なお、Removeボタン49は初期表示状態でグレーアウト表示となっているが(図14参照)、図16に示すように、デバイスリスト表示欄43において削除するデバイスが指定された(選択状態とされた)場合に、Removeボタン49のグレーアウト表示は解除される。
また、S507の処理において、Removeボタン49が押されたのではなく(S509:NO)、Refreshボタン47が押されていた場合は(S513:YES)、S503の処理へと戻る。これにより、再びS503のデバイスの設定値取得処理が実行され、デバイスリスト表示欄43内の情報が最新の情報に更新される。
また、S507の処理において、Refreshボタン47が押されたのではなく(S513:NO)、Searchボタン45が押されていた場合は(S515:YES)、ネットワーク上のデバイスの検索を実行し、デバイスリストを作り直す(S517)。より具体的には、PC1は、SNMPを利用して、デバイスからの応答を要求するパケットをブロードキャストして、数秒間応答を待つ。ここで、ネットワーク上のデバイスの中に、上記パケットに対する応答を返すことができるデバイスが存在する場合、そのデバイスは応答を返す。また、上記パケットに対する応答を返すことができないデバイスは、受信したパケットを単に破棄する。したがって、PC1は、パケットに対する応答を取得し、この応答を返したデバイスについて、本システムによる設定対象となるデバイスと認識してデバイスリストを作り直し、デバイスリスト表示欄43内の情報を再表示する。このS517の処理を終えたら、S503の処理へと戻る。なお、このS517の処理では、利用者が望まないデバイスまで追加されることがあるが、その場合は、上述したRemoveボタン49を利用して不要なデバイスについて削除(選択の解除)を行えばよい。
また、S507の処理において、Searchボタン45が押されたのではなく(S515:NO)、Sendボタン53が押されていた場合は(S519:YES)、上述の状態情報(“Identical”/“Change”/“Connection Error”)を含むデバイスリストの内容を、ログファイルとして記録し(S521)、送信実行確認ダイアログ41の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
また、S507の処理において、Sendボタン53が押されたのではなく(S519:NO)、Cancelボタン51が押されていた場合は(S527:YES)、送信実行確認ダイアログ41の表示を消去して(S523)、送信実行確認ダイアログ処理を終了する。
つまり、Sendボタン53が押されていた場合、Cancelボタン51が押されていた場合、いずれの場合とも、S523の処理を実行した上で、送信実行確認ダイアログ処理を終了することになるが、Sendボタン53が押されていた場合は、S521の処理が実行されるのに対し、Cancelボタン51が押されていた場合は、S521の処理が実行されないことになる。なお、Sendボタン53は、処理の続行を指示するボタンに相当し、Cancelボタン51は、処理の中止を指示するボタンであるが、ここで処理続行を指示したか処理中止を指示したかは、後述するS107の処理で参照されることになる。
ところで、S507の処理において、Cancelボタン51が押されてたのではなく(S527:NO)、デバイスリスト表示欄43内の1デバイスがダブルクリックされてもいない場合は(S529:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS507の処理へと戻る。一方、デバイスリスト表示欄43内に表示されたデバイスのうち、いずれかがダブルクリックされていた場合(S529:YES)、PC1は、設定変更内容詳細ウィンドウ処理を実行する。
この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、ダブルクリックされた特定のデバイスについて個別設定を行うための処理であり、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理の対象とされなかったデバイスについては、代表デバイスと同内容の設定データまたはこの設定データの一部を変更した設定データが、後述する処理の中で送信されるのに対し、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理において個別設定が行われた個別設定対象デバイスについては、この設定変更内容詳細ウィンドウ処理内で設定された個別設定データが、後述する処理の中で送信されることになる。この設定変更内容詳細ウィンドウ処理は、詳しくは図17に示すような処理となる。
設定変更内容詳細ウィンドウ処理を開始すると、PC1は、図17に示すように、設定変更内容詳細ウィンドウを表示する(S701)。デバイス本体とデバイスが備えるNICとで設定項目が異なるため、デバイス本体の設定を行う第1の設定データ伝送処理と、デバイスが備えるNICの設定を行う第2の設定データ伝送処理とでは、設定変更内容詳細ウィンドウの表示内容に違いがあり、具体的には、第1の設定データ伝送処理の場合は図18に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ55、第2の設定データ伝送処理の場合は図19に示すような設定変更内容詳細ウィンドウ57が表示される。
これら設定変更内容詳細ウィンドウ55,57において、“Item”は、設定値を送信する設定項目、“Current Value”は個別設定対象デバイスから取得した設定値、“Update Value”は設定送信により更新される設定値である。“Update Value”が空欄となっている項目は、“Current Value”と“Update Vaule”が同一であることを示している。また、デバイスリスト表示欄43において、“Connection Error”が表示されているデバイスをダブルクリックした場合も、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57は表示されるが、その場合は、“Current Value”、“Update Vaule”ともに空欄となる。なお、これら二種類の設定変更内容詳細ウィンドウ55,57は、設定項目の内容に違いがあるだけで、機能的にはまったく同等なものである。
続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S703)。このS703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にある個々の設定項目がダブルクリックされた場合、PC1は、設定値の変更が指示されたものと判断し(S705:YES)、設定値変更処理を実行する(S707)。この設定値変更処理は、詳しくは図20に示すような処理となる。
設定値変更処理を開始すると、PC1は、図20に示すように、設定値変更ダイアログを表示する(S801)。この設定値変更ダイアログは、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にあるどの設定項目をダブルクリックしたかにより、表示内容の若干異なるものが表示されるが、例えば、設定変更内容詳細ウィンドウ55内にある設定項目“Paper Size”をダブルクリックした場合、図21に示すような、“Paper Size”設定用の設定値変更ダイアログ61が表示される。この設定値変更ダイアログ61は、図21に示すように、設定値選択欄63、OKボタン65、Cancelボタン67などを備えており、これらは設定項目によらず共通となっている。
このような設定値変更ダイアログを表示したら、続いて、PC1は、マウス/キーの入力を受け付ける(S803)。このS803の処理において、設定値選択欄63に表示された設定値のいずれかがクリックされたら、設定値変更入力がなされたと判断し(S805:YES)、その設定値の変更を設定値選択欄63の表示に反映させ(S807)、S803の処理へと戻る。
また、S803の処理において、設定値変更入力がなされたのではなく(S805:NO)、OKボタン65が押されていた場合は(S809:YES)、その設定値変更をデバイスリスト内の対象デバイスを示すエントリに反映する(S811)。これにより、デバイスリスト内にある個別設定対象デバイスのエントリには、個別設定データが登録されることになる。この個別設定データは、個別設定対象デバイス固有の設定であり、他の設定対象デバイスにおいて共通する設定値変更とは別に記憶される。そして、設定値変更ダイアログ61の表示を消去して(S813)、図20に示した設定値変更処理を終了する。
なお、S803の処理において、OKボタン65が押されたのではなく(S809:NO)、Cancelボタン67が押されていた場合は(S815:YES)、上述のS811の処理を実行することなく、上述のS813の処理を実行した上で、設定値変更処理を終了する。また、S803の処理において、Cancelボタン67が押されていない場合は(S815:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS803の処理へと戻る。
以上のようにしてS801〜S813の処理を終えると、図17に示したS707の処理を終えたことになるので、引き続いて、PC1は、S707の処理において設定値が変更されたか否かを判断する(S709)。具体的には、S709の処理では、上述のS803の処理において、OKボタン65が押されたのかCancelボタン67が押されたのかを判断すればよい。そして、S707の処理において設定値が変更されていた場合は(S709:YES)、設定値変更を設定変更内容詳細ウィンドウ55,57に反映し(S711)、S703の処理へと戻り、S707の処理において設定値が変更されていなかった場合は(S709:NO)、上記S711の処理を実行することなく、S703の処理へと戻る。
一方、上記S703の処理において、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57内にある個々の設定項目がダブルクリックされていない場合(すなわち、設定値の変更が指示されていない場合)は(S705:NO)、終了指示(例えば、ウィンドウ右上の×ボタンをクリック、Alt+F4キーの押下等)がなされたか否かを判断し(S713)、終了指示がなされていなければ(S713:NO)、有効な操作がなされていないことになるので、そのままS703の処理へと戻る。また、終了指示がなされていれば(S713:YES)、設定変更内容詳細ウィンドウ55,57を消去して(S715)、図17に示した設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了する。
このようにして設定変更内容詳細ウィンドウ処理を終了すると、図13に示したS531の処理を終えたことになるので、この場合、S507の処理へと戻る。
さて、以上説明したように、図13に示したS501〜S531の送信実行確認ダイアログ処理を実行し、その中でSendボタン53またはCancelボタン51が押されて、送信実行確認ダイアログ処理を終了すると、図7に示したS105の処理を終えたことになるので、引き続いてPC1は、上述のS507の処理においてSendボタン53が押されたのか否かを判断する(S107)。ここで、Sendボタン53が押されていなかった場合は(S107:NO)、Cancelボタン51が押されていたことになるので、S101の処理へと戻って、設定データ伝送処理を最初からやり直す。
一方、Sendボタン53が押されていた場合は(S107:YES)、複数デバイス設定一括送信処理を実行する(S109)。この複数デバイス設定一括送信処理は、詳しくは図22に示すような処理となる。
複数デバイス設定一括送信処理を開始すると、PC1は、図22に示すように、送信実行プログレスダイアログ71(図23参照)を表示する(S901)。送信実行プログレスダイアログ71は、処理の進捗状況を表示するためのダイアログで、図23(a)および同図(b)に示すように、プログレスバー表示欄73、Cancelボタン75などを備えた画面となっている。初期状態では、プログレスバー表示欄73は、図23(a)に示すように、プログレスバーが全く表示されていない状態になっている。
送信実行プログレスダイアログ71を表示したら、続いて、PC1は、設定値送信中デバイスを示す番号を初期化する(S903)。この設定値送信中デバイスを示す番号は、デバイスリスト内のエントリを先頭から順に処理するための指標として用いられる変数であり、S903の処理では、例えば、デバイスリスト内の先頭エントリを指し示すため、設定値送信中デバイスを示す番号iがi=1として初期化される。続いて、PC1は、全デバイス処理済みか否かを判断する(S905)。ここでは、例えば、全デバイスがn台(=デバイスリスト内のエントリがn個)ある場合、上述の設定値送信中デバイスを示す番号iがi≦nか否かを判断すればよい。S905の処理で、全デバイス処理済みでないと判断された場合(S905:NO)、上述の設定変更内容詳細ウィンドウ処理(図17参照)で、個別設定がなされたかどうかを判断する(S907)。
ここで、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていない場合は(S907:NO)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、全デバイス共通で更新する設定値(本発明でいう新設定データ)を送信する(S909)。具体的には、カレントデバイス(=第1,第2の設定データ伝送処理それぞれを開始するまでのUIで選択した代表デバイス)から取得した設置値をベースにして、先に説明した“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ21の設定送信種類切り替え指示欄25にて選択された設定送信の種類が、“Send all Current Values”の場合は、カレントデバイスと同じ設定データを送信し、“Send all Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられた設定データのみを送信し、“Send Current and Update Values”の場合は、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられていない項目はカレントデバイスと同じ設定データ、カレントデバイスの元の設定データに対して更新が加えられている項目は更新後の設定データ、双方を送信する。
一方、設定変更内容詳細ウィンドウ処理での設定変更がなされていた場合は(S907:YES)、設定送信中デバイス(デバイスリスト中のi番目のデバイス)に、設定変更内容詳細ウィンドウ処理で設定された固有の更新設定値(個別設定データ)を送信する(S911)。
S909,S911の処理は、各処理での送信対象となるデータの内容が異なるものの、同等な手順でデータの更新を行うことになる。このデータ更新のためのサブルーチンについては、いくつかの具体例があるので後からまとめて詳述する。
続いて、PC1は、設定値送信中デバイスがカレントデバイス(代表デバイス)であるかどうかを判断し(S913)、カレントデバイスである場合は(S913:YES)、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目について変更された設定値を送信する(S915)。カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目は、あらかじめ決められており、例えば、NIC設定の場合であれば、Node Name(NICのノード名)、Password(アドミニストレーターパスワード)、サービスフィルタ設定、IP Address(NICのIPアドレス)、Subnet Mask(NICのサブネットマスク)、Gateway(ゲートウェイ(ルーター)アドレス設定)、IP Config(IP取得方法の設定)、Printer E-mail Address(プリンタ/MFPに割り当てるEメールアドレス)、POP3 Account Name(Eメールサーバーアクセス時のメールボックスアカウント名)、POP3 Account Password(メールボックスアカウントに対応するパスワード)などは、NIC毎に設定すべき設定項目となるので、カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目と決められている。
なお、S915の処理は、S909,S911の処理とは送信対象となるデータの内容が異なるものの、同等な手順でデータの更新を行うことになる。このデータ更新のためのサブルーチンについては、上述の通り、いくつかの具体例があるので後からまとめて詳述する。
続いて、PC1は、Cancelボタンが入力されたか否かを判断し(S917)、Cancelボタンが入力されていなければ(S917:NO)、設定送信が成功したか否かを判断して(S919)、成功していれば(S919:YES)、デバイスリストに設定送信中デバイスへの設定送信OKという情報を書き込み(S921)、成功していなければ(S919:NO)、デバイスリストに設定送信中デバイスへの設定送信NGという情報と失敗理由を書き込む(S923)。
成功/失敗いずれかの情報を書き込んだら、続いて、設定送信中デバイスを示す番号を更新する(S925)。S925の処理は、例えば、設定値送信中デバイスを示す番号iを1だけカウントアップする処理となる。そして、送信実行プログレスダイアログ71(図23参照)のプログレスバー表示欄73に表示されるプログレスバーを更新する(S927)。具体的には、プログレスバー表示欄73に表示されるプログレスバーの長さを、次の計算式:[プログレスバーの長さ]=[プログレスバー表示欄73に表示可能なプログレスバーの最大長]*[終了台数]/[全台数]から求め、求めた長さのプログレスバーをプログレスバー表示欄73に表示する。その結果、例えば、図23(b)に示すように、プログレスバー表示欄73に現在の進捗状況を表す長さのプログレスバーが表示されることになり、その後は、S905の処理へと戻る。こうしてS905〜S927の処理を繰り返すと、デバイスリスト内のエントリが順に処理されて最終的に全デバイスが処理されるので、S905の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされることになる(S905:YES)。なお、上記S905〜S927の処理では、1からnまでカウントアップされる変数iを指標として用いたが、デバイスリスト内のデバイスエントリを順に指定する方法は任意であり、たとえばリスト内の各デバイスエントリをメモリ上のアドレス値で指し示すポインタ変数等を使っても構わない。
S905の処理において全デバイス処理済みとの判断がなされた場合(S905:YES)、続いて、PC1は、送信実行プログレスダイアログ71の表示を消去する(S931)。そして、送信実行結果ダイアログ77を表示し(図24参照)、OKボタン81の入力を待つ(S933)。送信実行結果ダイアログ77は、図24に示すように、送信結果表示欄79、OKボタン81などを備えた画面となっている。送信結果表示欄79には、先に説明したS921の処理でデバイスリストに書き込まれた“設定送信OKという情報”、もしくは、先に説明したS923の処理でデバイスリストに書き込まれた“設定送信NGという情報”および失敗理由が表示される。なお、失敗理由としては、例えば、“Connection Error”:デバイスへの接続に失敗し設定が未完了、“Password Incorrect”:パスワードが違うため設定不可能、といったものが表示される。利用者は、送信結果表示欄79の表示内容から更新状況を確認し、必要な対処を行うことができ、送信結果表示欄79の表示が不要となれば、OKボタン81を押すことになる。そして、OKボタン81が押された場合は、送信実行結果ダイアログ77の表示を消去し(S935)、図22に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了し、これにより、図7に示したS109の処理を終えたことになるので、設定データ伝送処理全体を終了することになる。なお、上記S917の処理において、Cancelボタンが入力されていれば(S917:YES)、この場合も、送信実行結果ダイアログ77の表示を消去し(S935)、図22に示した複数デバイス設定一括送信処理を終了するので、これにより、図7に示したS109の処理を終えたことになり、設定データ伝送処理全体を終了することになる。
ところで、以上が設定データ伝送処理についての説明であるが、上述の通り、NIC設定の場合、NIC設定ダイアログ15(図6参照)において、画面内の「General」タブを選択したときに表示される“Send to Multiple Printer”ボタン17をクリックすると、PC1は、第2の設定データ伝送処理を実行することになり、その結果、設定データが伝送されることになるが、NIC設定ダイアログ15自体にも各種設定データの入力欄があり、ここで利用者が設定値を入力すると、その前に第2の設定データ伝送処理で伝送した設定値とは異なる設定値が入力されることもある。そこで、NIC設定ダイアログ表示処理では、図25に示すような処理を行っている。
すなわち、PC1は、まず、NIC設定ダイアログを表示し(S1001)、マウス/キーの入力を受け付ける状態になる(S1003)。
そして、S1003の処理において、OKボタンが押されたか否か(S1005)、Cancelボタンが押されたか否か(S1007)、Sendボタン(=“Send to Multiple Printer”ボタン17;以下同様)が押されたか否か(S1009)、以上を順に判断し、Sendボタンが押されていた場合には(S1005:NO,S1007:NO,S1009:YES)、先に説明した第2の設定データ伝送処理(複数デバイス一括設定処理)を実行して、S1003の処理へと戻る。
一方、S1009の処理において、Sendボタンが押されていなかった場合には(S1009:NO)、その他のボタン処理または設定値変更処理などがなされ(S1013)、S1003の処理へと戻る。
このようなS1013の処理が行われているため、S1003の処理において、OKボタンが押されていた場合は(S1005:YES)、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄に利用者が設定値を入力している可能性があり、その場合は、その設定値についても、S1011の処理とは別に、設定データをカレントデバイス(代表デバイス)に伝送する必要がある。
そこで、PC1は、NIC設定ダイアログ15自体が備える入力欄を対象にして、未反映の設定変更があるか否かを判断し(S1015)、そのような設定変更があった場合は(S1015:YES)、未反映の設定変更をカレントデバイスに送信する(S1017)。そして、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1019)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。なお、S1007の処理において、Cancelボタンが押されていた場合は(S1007:YES)、NIC設定ダイアログ15の表示を消去して(S1019)、NIC設定ダイアログ表示処理を終了する。
以上のようなNIC設定ダイアログ表示処理において、S1017の処理も、先に説明したS909,S911,S915の処理と同等なデータ更新サブルーチンによる処理が行われることになる。
以下は、S909,S911,S915,S1017の処理で呼び出されるデータ更新サブルーチンの詳細と、そのデータ更新サブルーチンによって保存される回復用データを利用した回復処理の詳細について、いくつかの具体例を順に説明する。なお、以下の説明においては、S909,S911,S915,S1017のいずれの処理であるのかを、特に区別することなく説明を行うが、S909,S911,S915,S1017の各処理においては、各処理での送信対象となるデータが、以下に説明するデータ更新サブルーチンを利用して送信されることになる。
[具体例1]
図26に示す処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスから、設定箇所の現在の設定値(本発明でいう既設定データ)を読み出す(S1101)。このS1101の処理は、SNMPを利用して実行される。具体的には、まず、PC1が、SNMPを利用して、設定対象となるデバイスに対してデータ取得要求を発行する。すると、設定対象となるデバイスは、PC1からのデータ取得要求に応じて、デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内の設定値を応答パケットとして返す。PC1は、この応答パケットを受信して、そのパケット中の設定値を取得する。なお、このS1101の処理では、設定箇所が複数項目分ある場合には、その複数項目分すべてを対象にした処理が行われる。
続いて、PC1は、設定履歴ファイルを生成または上書きモードで開く(S1103)。このS1103の処理により、PC1が備えるストレージデバイス107(例えば、ハードディスク装置)には、設定履歴ファイルが作成される。この設定履歴ファイルは、設定対象となるデバイスを一意に特定可能なファイル名で作成される。設定対象となるデバイスを一意に特定可能なファイル名の具体例としては、例えば、ファイル名の一部または全部が、ノード名、IPアドレス、MACアドレス等のいずれかで構成されるファイル名を考えることができる。これらノード名、IPアドレス、MACアドレスのいくつかを組み合わせて構成されるファイル名でもよい。この設定履歴ファイルの作成時に、同一ファイル名のファイルが存在しない場合、設定履歴ファイルは新規生成される。また、過去に作成された同一ファイル名のファイルが既に存在する場合は、既に存在する設定履歴ファイルの内容が上書きされることになる。ただし、上記S909,S911,S915,S1017の各処理は、いくつかの処理が順に実行される場合があるので、その場合には、前の処理で生成したファイルが後の処理で上書きされることはない。なお、既に説明した通り、S909,S911の処理は、デバイスリストに登録されたデバイスの数と同数回繰り返される繰り返し処理の中で実行される処理なので、利用者が一回の設定変更を行うと、一括設定を行ったデバイスの数だけ設定履歴ファイルが作成されることになる。
続いて、PC1は、設定箇所の現在の設定値(S1101の処理で取得した設定値)をファイルに保存する(S1105)。このS1105の処理においても、設定箇所が複数項目分ある場合には、その複数項目分すべてを対象にした処理が行われる。このS1105の処理で保存された設定値が、後述する回復処理において、回復用設定データとして利用されることになる。
そして、設定値送信中デバイスに対し、送信対象となる設定値を送信し(S1107)、このデータ更新サブルーチンを終える。S1107の処理で送信対象となる設定値は、上記S909,S911,S915,S1017の各処理によって異なる。具体的には、S909の処理の場合は「全デバイス共通で更新する設定値」であり、S911の処理の場合は「設定変更内容詳細ウィンドウ処理で設定された固有の更新設定値」であり、S915の処理の場合は「カレントデバイスに対してのみ設定すべき設定項目について変更された設定値」であり、S1017の処理の場合は「NIC設定ダイアログ15で設定変更された未反映の設定値」である。このS1107の処理は、SNMPを利用して実行される。具体的には、まず、PC1が、SNMPを利用して、設定対象となるデバイスに対してデータセット要求を発行する。すると、設定対象となるデバイスは、PC1からのデータセット要求に応じて、デバイスが内部的に管理しているMIB(例えば、プリンタ3の場合はMIB311)内に設定値を格納する。
以上説明したようなデータ更新サブルーチンを利用して、設定値の更新を行うことにより、設定対象となったデバイス毎に、設定履歴ファイルが作成されることになる。こうして作成された設定履歴ファイルは、後述する回復処理において利用される。なお、この設定履歴ファイルの具体的なデータ格納形式は、任意に設計できるものであるが、代表的な例としては、いわゆるCSV(Comma Separated Values)形式のファイルを挙げることができる。この設定履歴ファイル内には、例えば、下記表1に示すようなデータが格納される。
1回の設定変更において設定項目n項目分の設定変更がなされた場合、設定履歴ファイル内にはn組のデータが保存され、上記表1に示すように、各組毎に、Oid、値のタイプ、および設定値が保存される。「Oid」は、MIBに格納された個々の情報に割り振られたユニークな識別子であり、PC1とデバイスとの間でSNMPによる情報伝送を行う際に、このOidを指定することにより、特定の情報をMIBから読み出したりMIBに格納したりすることができる。「値のタイプ」は、設定値が整数なのか文字列なのかを示す情報であり、本実施形態では、MIBで用いるプリミティブタイプ値(2:Integer、4:String)を用いている。「設定値」は、この設定履歴ファイル内を生成する契機となった設定変更が行われる前にデバイスに設定されていた設定値である。
次に、回復処理について説明する。回復処理は、上述の設定データ伝送処理によるデバイスへの設定データの伝送後に、デバイスの設定を設定データの伝送前の状態に戻すための処理であり、例えば、設定データの伝送に起因して、デバイス側で何らかの障害が発生したような場合に利用される処理である。
回復処理を開始したい場合、利用者は、まずPC1においてデバイス設定管理ツールを起動し、デバイス設定管理ツール初期画面11(図2参照)を表示する。このデバイス設定管理ツール初期画面11において、1つの印刷系デバイスを代表デバイスとして選択して、マウスを右クリックすると、図27に示すように、メニュー83(一般に、コンテキストメニュー、右クリックメニュー等と称されるメニュー画面)が多重表示される。このメニュー83の中にある「Recover Printer Setting」または「Recover Print Server Setting」を利用者が選択すると(=マウスでクリックすると)、回復処理が実行される。
ここで、「Recover Printer Setting」を選択した場合は、上述した印刷系デバイス自体の設定(第1の設定データ伝送処理による設定)を元に戻すための回復処理が実行される。また、「Recover Print Server Setting」を選択した場合は、上述した印刷系デバイスが備えるNICの設定(第2の設定データ伝送処理による設定)を元に戻すための回復処理が実行される。
回復処理を起動するためのUIは、他の画面にも用意されており、具体的には、既に例示したプリンタ設定機能初期画面13(図5参照)において、画面内にあるメニューバー上で「Config」をクリックし、そのクリックに伴って表示されるプルダウンメニューの中で、「Recover Printer Setting」をクリックすると、上述した印刷系デバイス自体の設定(第1の設定データ伝送処理による設定)を元に戻すための回復処理が実行される。また、既に例示したNIC設定ダイアログ15(図6参照)において、画面内の「General」タブを選択したときに表示される“Recover Setting”ボタン18をクリックすると、上述した印刷系デバイスが備えるNICの設定(第2の設定データ伝送処理による設定)を元に戻すための回復処理が実行される。
これらの回復処理は、起動のためのUIが相違し、回復対象、回復させる個々の設定項目なども相違する場合があるものの、処理全体の流れは同等なので、以下、特に区別することなく回復処理として説明する。
図28は、回復処理を示すフローチャートである。
回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスの設定履歴ファイルを探す(S1201)。設定履歴ファイルは、既に説明した通り、設定対象となるデバイスを一意に特定可能なファイル名で作成されているので、S1201の処理では、ファイル名が異なる複数の設定履歴ファイルの中から、ファイル名に基づいて対象デバイスに対応する設定履歴ファイルを探し出す。
続いて、PC1は、S1201の処理で探し出した設定履歴ファイルを読み込む(S1203)。これにより、PC1には、既に説明した表1に示したようなデータが読み込まれることなる。
続いて、PC1は、S1203の処理で読み込んだ設定値を、対象デバイスに対して送信する(S1205)。より具体的には、このS1205の処理では、PC1は、SNMPを利用して、対象デバイスに対するデータセット要求を発行する。このとき、PC1は、S1203の処理で読み込んだファイル中にある複数組のデータを1組ずつ順に処理対象とし、各組毎に含まれるOidと設定値とを含むパケットをデバイスに送信する。このパケットを受信したデバイスは、パケット内のOidで指定されたMIB内の記憶領域に設定値を格納する。
こうして設定の送信を終えたら、PC1は、使用した設定履歴ファイルを削除して(S1207)、回復処理を終了する。
以上説明したように、上記設定データ伝送処理によれば、新設定データをネットワーク上の複数のデバイスに対して一括送信することができる。しかも、その一括送信の際には、設定変更前のデバイスの設定値が設定履歴ファイルに保存され、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
[具体例2]
次に、上記具体例1とは異なるデータ更新サブルーチンと、それに対応する回復処理の具体例について説明する。なお、以下に説明するデータ更新サブルーチンおよび回復処理は、上記具体例1において図26に例示したデータ更新サブルーチンおよび図28に例示した回復処理を代替する処理である。各処理を起動する契機、起動に至るまでに利用するUI等は、上記具体例1と同じなので、これらの説明については省略する。
図29に示す処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスから、設定箇所の現在の設定値(本発明でいう既設定データ)を読み出す(S1301)。このS1301の処理は、上記S1101の処理と同等な処理となる。
続いて、PC1は、対象デバイスの設定履歴ファイルを検索する(S1303)。設定履歴ファイルは、既に説明した通り、設定対象となるデバイスを一意に特定可能なファイル名で作成されているので、S1303の処理では、ファイル名が異なる複数の設定履歴ファイルの中から、ファイル名に基づいて対象デバイスに対応する設定履歴ファイルを探し出す。そして、設定履歴ファイルがあるか否かを判断し(S1305)、設定履歴ファイルがある場合は(S1305:TRUE)、ファイル名の変更ないしファイルの削除を行う(S1307)。より具体的には、本実施形態においては、同じデバイスの設定履歴ファイルを最大3つまで保持することがあらかじめ取り決められており、同じデバイスの設定履歴ファイルには、設定対象となるデバイスを一意に特定可能な文字列に加え、これら3つのファイルを区別するための連番(1,2,3)のいずれかを含むファイル名が与えられている。これらの連番のうち、最新の設定履歴ファイルには、上記常に“1”が付与される。S1307の処理では、連番“3”を含む設定履歴ファイルがあれば、その設定履歴ファイルを削除し、続いて、連番“2”を含むファイル名の設定履歴ファイルがあれば、その連番部分を“3”に変更し、続いて、連番“1”を含むファイル名の設定履歴ファイルがあれば、その連番部分を“2”に変更する処理を行う。
そして、S1307の処理を終えるか、S1305の処理において、設定履歴ファイルがないと判断した場合(S1305:FALSE)、続いて、PC1は、設定履歴ファイルを生成する(S1309)。このS1309の処理では、上述の連番“1”を含むファイル名の設定履歴ファイルが生成される。S1307の処理時点で、連番“1”を含むファイル名の設定履歴ファイルが既に存在していた場合、そのファイルは、連番“2”を含むファイル名に変更されているので、S1309の処理時点では、連番“1”を含むファイル名の設定履歴ファイルは存在せず、この点で、上書きが行われていた上記具体例1とは相違する。
続いて、PC1は、設定箇所の現在の設定値(S1301の処理で取得した設定値)をファイルに保存する(S1311)。このS1311の処理は、上記S1105の処理と同等な処理になる。そして、設定値送信中デバイスに対し、送信対象となる設定値を送信し(S1313)、このデータ更新サブルーチンを終える。このS1313の処理は、上記S1107の処理と同等な処理になる。
以上説明したようなデータ更新サブルーチンを利用して、設定値の更新を行うことにより、設定対象となったデバイス毎に、設定履歴ファイルが最大3つまで作成されることになる。なお、設定履歴ファイルの中身は上記具体例1と同じなので、その詳細な説明については省略する。
次に、具体例2における回復処理について説明する。
図30は、回復処理を示すフローチャートである。
回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスの設定履歴ファイルを探し(S1401)、S1401の処理で探し出した設定履歴ファイルを読み込み(S1403)、S1403の処理で読み込んだ設定値を、対象デバイスに対して送信し(S1405)、設定の送信を終えたら、使用した設定履歴ファイルを削除する(S1407)。これらS1401〜S1407の処理は、上記S1201〜S1207の処理に相当する手順である。
そして、S1407の処理を終えたら、他の設定履歴ファイルのファイル名を変更し(S1409)、回復処理を終了する。S1409の処理では、連番“2”を含む設定履歴ファイルがあれば、その連番部分を“1”に変更し、続いて、連番“3”を含むファイル名の設定履歴ファイルがあれば、その連番部分を“2”に変更する処理を行う。
以上説明したように、この具体例2において採用したデータ更新サブルーチンおよび回復処理を利用しても、設定データの一括送信の際には、設定変更前のデバイスの設定値が設定履歴ファイルに保存され、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、設定履歴ファイルには3つの連番が付与されて、最大3回まで過去の設定変更に遡るかたちで設定を元に戻すことができるので、具体例1の場合よりも古い設定に戻すことができ、その分だけデバイス設定変更に伴う問題を解消できる可能性を高くすることができる。
なお、説明を簡便にするため、上記具体例2の説明では、1つのデバイスにつき、最大3つまで設定履歴ファイルを残すことができる旨の説明を行ったが、いくつまで設定履歴ファイルを残すことができるかは、システムの規模や設定変更の頻度等を考慮して任意に決めればよいことであり、必要があれば、いくつまで設定履歴ファイルを残すことができるかを、利用者が任意に指定できるように構成されていてもよい。
また、上記具体例2の説明では、1つのデバイスに対する1回の設定を1つのファイルに保存しているが、1つのデバイスに対する複数回の設定を1つのファイルに保持することもできる。その場合は、例えば、1回の設定を識別できるようなヘッダとともに、設定履歴を追記し、回復の際には、ヘッダ情報を読み取って目的の設定履歴を特定することになる。
[具体例3]
次に、上記具体例2とは異なる回復処理の具体例について説明する。なお、以下に説明する回復処理は、上記具体例2において例示した回復処理を代替する処理である。この回復処理を利用するに当たっては、上記具体例2と同様なデータ更新サブルーチンを利用して設定履歴ファイルを残しておく必要があるが、データ更新サブルーチン自体は上記具体例2と差異がないので、その説明を省略する。
図31は、具体例3における回復処理を示すフローチャートである。
回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスの設定履歴ファイルを検索し(S1501)、S1501の処理で探し出した設定履歴ファイルを読み込む(S1503)。これらS1501,S1503の処理は、上記1401,S1403の処理に相当する手順である。
続いて、PC1は、復元する設定項目・設定値を表示する(S1505)。このS1505の処理において、PC1では、図32に示すような、“Recover Setting”ダイアログ85を表示部106に表示する。“Recover Setting”ダイアログ85は、情報表示欄86、Sendボタン87、Cancelボタン88などを備えた画面である。情報表示欄86には、設定項目(Item)、現在の設定値(Current Value)、回復処理後の設定値(Recover Value)が表示され、これらの内容を利用者が確認できるようになっている。
この内容を確認した利用者は、設定の復元を行うか否かをPC1に指令することができ、具体的には、設定の復元を行う場合にはSendボタン87の押下操作を行い、設定の復元を行わない場合にはCancelボタン88の押下操作を行う。
PC1は、利用者から与えられる指令に基づき、復元するか否かを判断し(S1507)、復元しない場合は(S1507:FALSE)、そのまま回復処理を終了する。一方、S1507の処理において復元すると判断した場合は(S1507:TRUE)、S1503の処理で読み込んだ設定値を、対象デバイスに対して送信し(S1509)、設定の送信を終えたら、使用した設定履歴ファイルを削除し(S1511)、他の設定履歴ファイルのファイル名を変更し(S1513)、回復処理を終了する。これらS1509〜S1513の処理は、上記1405〜1409の処理に相当する手順である。
以上説明したように、この具体例3において採用した回復処理を利用しても、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、設定変更前の状態に戻す際には、事前に元に戻される前の設定内容と元に戻した後の設定内容とを表示し、その表示を見た利用者が設定変更前の状態に戻すか否かを指令できるので、上記具体例2に比べ、どのような設定に戻るのかを利用者が容易に確認できる。また、その確認結果によっては、設定変更前の状態に戻すことを取りやめることもできるので、利便性が高い。
[具体例4]
次に、上記具体例3とは異なる回復処理の具体例について説明する。なお、以下に説明する回復処理は、上記具体例3において例示した回復処理を代替する処理である。この回復処理を利用するに当たっては、上記具体例3の場合と同様に、上記具体例2と同様なデータ更新サブルーチンを利用して設定履歴ファイルを残しておく必要があるが、データ更新サブルーチン自体は上記具体例2と差異がないので、その説明を省略する。
図33は、具体例4における回復処理を示すフローチャートである。
回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスの設定履歴ファイルを探し(S1601)、S1601の処理で探し出した設定履歴ファイルを読み込む(S1603)。これらS1601,S1603の処理は、上記1501,S1503の処理に相当する手順である。
続いて、PC1は、復元する設定項目・設定値を表示する(S1605)。このS1605の処理において、PC1では、図34に示すような、“Recover Setting”ダイアログ85を表示部106に表示する。この“Recover Setting”ダイアログ85は、上記具体例3とほぼ同様な画面構成を持ち、情報表示欄86、Sendボタン87、Cancelボタン88などを備えているが、さらに、上記具体例3では備えていない構成として、“Recover?Yes/No”ボタン89を備えている。
利用者は、情報表示欄86に表示される、設定項目(Item)、現在の設定値(Current Value)、回復処理後の設定値(Recover Value)などを確認し、個々の設定項目(Item)について、“Recover?Yes/No”ボタン89を使って、送信対処とするか否かを切り替えることにより、復元する項目を選択する(S1607)。個々の設定項目(Item)が、送信対象となっているか否かは、情報表示欄86に“Yes”または“No”で表示され、“Recover?Yes/No”ボタン89を押下操作するたびに、情報表示欄86に表示された“Yes”と“No”が交互に切り替わる。
このような操作により、利用者が、個々の設定項目(Item)について送信対象とするか否かを設定したら、その後は、設定の復元を行うか否かをPC1に指令することができ、具体的には、設定の復元を行う場合にはSendボタン87の押下操作を行い、設定の復元を行わない場合にはCancelボタン88の押下操作を行う。
後は、PC1は、利用者から与えられる指令に基づき、復元するか否かを判断し(S1609)、復元しない場合は(S1609:FALSE)、そのまま回復処理を終了する。一方、S1609の処理において復元すると判断した場合は(S1609:TRUE)、S1603の処理で読み込んだ設定値のうち、S1607の処理で選択された設定値を、対象デバイスに対して送信し(S1611)、設定の送信を終えたら、使用した設定履歴ファイルを削除し(S1613)、他の設定履歴ファイルのファイル名を変更し(S1615)、回復処理を終了する。これらS1609〜S1615の処理は、S1607で選択された設定値のみが送信対象となる点で上記具体例3とは相違するものの、処理の手順そのものは、上記1507〜1513の処理に相当する手順となる。
以上説明したように、この具体例4において採用した回復処理を利用しても、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、設定変更前の状態に戻す際には、事前に元に戻される前の設定内容と元に戻した後の設定内容とを表示し、その表示を見た利用者が設定変更前の状態に戻すか否かを、設定項目毎に設定できるので、上記具体例3に比べ、よりきめ細かく必要な設定のみを選んで、設定変更前の状態に戻すことができる。
[具体例5]
次に、上記具体例2とは異なるデータ更新サブルーチンについて説明する。なお、以下に説明するデータ更新サブルーチンは、上記具体例2において例示したデータ更新サブルーチンを代替する処理である。
図35に示すデータ更新サブルーチンを開始すると、PC1は、まず、対象デバイスから、設定箇所の現在の設定値(本発明でいう既設定データ)を読み出す(S1701)。このS1701の処理は、上記S1301の処理と同等な処理となる。
続いて、PC1は、設定箇所の現在の値(本発明でいう既設定データ)と設定しようとする値(本発明でいう新設定データ)が一致するか否かを比較する(S1703)。この比較結果は、例えば、フラグ等のかたちでRAM303に一時的に記憶され、後述するS1713の処理で利用されることになる。
続いて、PC1は、対象デバイスの設定履歴ファイルを検索し(S1705)、設定履歴ファイルがある場合は(S1707:TRUE)、ファイル名の変更ないしファイルの削除を行い(S1709)、設定履歴ファイルを生成する(S1711)。これらS1705〜S1711の処理は、上記S1305〜S1309の処理と同等な処理になる。
続いて、PC1は、設定箇所の現在の設定値のうち、設定値が変わる項目のみをファイルに保存する(S1713)。より具体的には、S1703の処理での比較結果に基づき、「新たな設定値を送信しても元の設定値が更新されない項目」については、S1713の処理における保存対象とはせず、「新たな設定値を送信することによって元の設定値が更新される項目」のみを、S1713の処理における保存対象とし、その保存対象とした項目のみ、設定履歴ファイルに保存する。
そして、設定値送信中デバイスに対し、送信対象となる設定値を送信し(S1715)、このデータ更新サブルーチンを終える。このS1715の処理は、上記S1313の処理と同等な処理になる。
以上説明したように、この具体例5において採用したデータ更新サブルーチンを利用しても、設定データの一括送信の際には、設定変更前のデバイスの設定値が設定履歴ファイルに保存される。
しかも、設定履歴ファイルには、「新たな設定値を送信することによって元の設定値が更新される項目」のみ、元の設定値が保存されるので、元の設定値が更新されるか否かによらず、元の設定値すべてを保存するように構成されている場合に比べ、設定履歴ファイルのファイルサイズを小さくすることができる。
[具体例6]
次に、上記各具体例とは異なる回復処理の具体例についてさらに説明する。
図36は、具体例6としての回復処理を示すフローチャートである。
この回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象デバイスの設定履歴ファイルを探す(S1801)。このS1801の処理は、上記S1201の処理に相当する手順である。
続いて、PC1は、S1801の処理で探し出した設定履歴ファイルから、対象設定日時の読み込みを行う(S1803)。ここでいう対象設定日時とは、S1801の処理で探し出した設定履歴ファイルが生成される契機となった設定データ伝送処理が行われた日時である。
そして、PC1は、すべての設定履歴ファイルを対象にして、後述するS1807〜S1811の処理を繰り返す(S1805)。この繰り返し処理内では、まず、対象となっている設定履歴ファイルから設定日時を読み込み(S1807)、その設定日時が、S1803の処理で読み込んだ対象設定日時と同一か否かを判断し(S1809)、同一日時であれば(S1809:TRUE)、対象となっている設定履歴ファイルをリストに追加する(S1811)。また、S1809の処理において、同一日時ではないと判断されれば(S1809:FALSE)、S1811の処理はスキップする。このような繰り返し処理により、リストには、S1803の処理で読み込んだ対象設定日時と同一日時に作成されたいくつかの設定履歴ファイルがリストアップされることになる。
なお、一回の一括送信で作成される複数の設定履歴ファイルは、通常、厳密には同時に作成されるものではないが、S1809の処理では、一回の一括送信で作成される複数の設定履歴ファイルを、同一日時に作成されたものと判断する。本実施形態においては、同一日時に作成されたものと判断する必要がある複数の設定履歴ファイルに対しては、そのような判断ができるようにするためのタイムスタンプが、ファイル生成時に付与されている。このようなタイムスタンプは、ファイルが標準で持っているタイムスタンプを書き換えたものでもよいし、ファイル名の一部やファイル内のヘッダにタイムスタンプに相当する情報を持たせるようにしたものでもよい。
続いて、PC1は、上記繰り返し処理で作成されたリストが空でないか否かを判断し(S1813)、リストが空である場合は(S1813:FALSE)、後述するS1819の処理へ移行する。一方、リストが空でない場合(S1813:TRUE)、設定履歴のリストを表示する(S1815)。このS1815の処理において、PC1では、図37に示すような、“Other Devices..”ダイアログ91を表示部106に表示する。“Other Devices..”ダイアログ91は、情報表示欄92、Removeボタン93、Recoverボタン94、Cancelボタン95などを備えた画面である。情報表示欄92には、ノード名(Name)、IPアドレス(Address)、デバイスの型式(Printer Type)、設置場所(Location)などが表示され、どのデバイスに対応する設定履歴ファイルなのかを利用者が確認できるようになっている。
この内容を確認した利用者は、設定の復元を行いたいデバイスなのかどうかを検討し、回復する履歴を選択する(S1817)。情報表示欄92に表示されたデバイスの内、いくつかのデバイスが設定の復元を行いたいデバイスでない場合は、そのデバイスを情報表示欄92においてクリックし、さらにRemoveボタン93の押下操作を行うことにより、該当するデバイスを情報表示欄92から削除することができる。その上で、設定の復元を行う場合には、Recoverボタン94の押下操作を行う。なお、設定の復元を行わない場合には、Removeボタン93の押下操作は不要であり、単にCancelボタン95の押下操作を行うだけでよい。
続いて、PC1は、回復するデバイスの数だけ、後述するS1821〜S1825の処理を繰り返す(S1819)。この繰り返し処理では、S1801の処理で探し出した設定履歴ファイルに対応する処理に相当する1回分の処理と、S1817の処理で選択された設定履歴ファイルがいくつかあれば、その設定履歴ファイルの数に相当する回数分の処理とが行われることになる。繰り返し処理内では、まず、対象としている設定履歴ファイルから設置値を読み込み(S1821)、その設定値を、対象デバイスに対して送信し(S1823)、設定の送信を終えたら、復元した設定履歴に対応する設定履歴ファイルを削除する(S1825)。これらS1821〜S1825の処理は、上記S1203〜S1207の処理に相当する手順である。こうして、回復するデバイスの数だけS1821〜S1825の処理を繰り返したら、この回復処理を終える。
以上説明したように、この具体例6において採用した回復処理を利用しても、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、利用者が指定したデバイスと同時に設定データ伝送処理による一括送信が行われたデバイスが存在する場合には、S1815の処理により、その旨が報知され、利用者の判断で、それらのデバイスについても設定値を元に戻すことができるので、共通の問題を引き起こす設定値を一括送信して、たまたま特定のデバイスで問題が見つかった場合に、共通の問題を引き起こす可能性がある他のデバイスの存在を、簡単に利用者が認識でき、必要な対処を施すことができる。
[具体例7]
次に、上記各具体例とは異なる回復処理の具体例についてさらに説明する。
図38は、具体例7としての回復処理を示すフローチャートである。
この回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象日時の入力を受け付ける(S1901)。このS1901の処理において、PC1は、図39に示すような、“Search Setting History”ダイアログ201を表示部106に表示する。“Search Setting History”ダイアログ201は、期間指定欄203、OKボタン205、Cancelボタン207などを備えた画面である。利用者は、期間指定欄203に、検索対象となる期間の開始年月日と終了年月日とを入力して、OKボタン205の押下操作を行うことにより、期間の指定を行うことができる。
続いて、PC1は、すべての設定履歴ファイルを対象にして、後述するS1905〜S1909の処理を繰り返す(S1903)。この繰り返し処理内では、まず、対象となっている設定履歴ファイルから設定日時を読み込み(S1905)、その設定日時が、S1901の処理で指定された期間内となる対象日時に該当するか否かを判断し(S1907)、対象日時に該当すれば(S1907:TRUE)、対象となっている設定履歴ファイルをリストに追加する(S1909)。また、S1907の処理において、対象日時に該当しないと判断されれば(S1907:FALSE)、S1909の処理はスキップする。このような繰り返し処理により、リストには、S1901の処理で指定された期間内に作成されたいくつかの設定履歴ファイルがリストアップされることになる。
続いて、PC1は、上記繰り返し処理で作成されたリストが空でないか否かを判断し(S1911)、リストが空である場合は(S1911:FALSE)、この回復処理を終える。一方、リストが空でない場合(S1911:TRUE)、設定履歴のリストを表示する(S1913)。このS1913の処理において、PC1は、図40に示すような、“Search Result”ダイアログ211を表示部106に表示する。“Search Result”ダイアログ211は、情報表示欄213、Removeボタン215、Recoverボタン217、Cancelボタン219などを備えた画面である。情報表示欄213には、日付(Date)、ノード名(Name)、IPアドレス(Address)、デバイスの型式(Printer Type)、設置場所(Location)などが表示され、いつ保存された設定履歴ファイルなのか、どのデバイスに対応する設定履歴ファイルなのかなどを、利用者が確認できるようになっている。
この内容を確認した利用者は、設定の復元を行いたいデバイスなのかどうかを検討し、回復する履歴を選択する(S1915)。情報表示欄213に表示されたデバイスの内、いくつかのデバイスが設定の復元を行いたいデバイスでない場合は、そのデバイスを情報表示欄213においてクリックし、さらにRemoveボタン215の押下操作を行うことにより、該当するデバイスを情報表示欄213から削除することができる。その上で、設定の復元を行う場合には、Recoverボタン217の押下操作を行う。なお、設定の復元を行わない場合には、Removeボタン215の押下操作は不要であり、単にCancelボタン219の押下操作を行うだけでよい。
続いて、PC1は、回復する対象となる設定履歴ファイルの数だけ、後述するS1919〜S1923の処理を繰り返す(S1917)。繰り返し処理内では、まず、対象としている設定履歴ファイルから設置値を読み込み(S1919)、その設定値を、対象デバイスに対して送信し(S1921)、設定の送信を終えたら、復元した設定履歴に対応する設定履歴ファイルを削除する(S1923)。これらS1919〜S1923の処理は、上記S1203〜S1207の処理に相当する手順である。こうして、回復する対象となる設定履歴ファイルの数だけS1919〜S1923の処理を繰り返したら、この回復処理を終える。
以上説明したように、この具体例7において採用した回復処理を利用しても、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、デバイスの指定を行う際には、利用者が任意に指定する期間に設定変更がなされたデバイスをPC1が探し出すので、問題がある個々のデバイスを具体的に把握できない場合でも、特定の期間内に設定変更がなされたデバイスに問題がありそうな場合には、この回復処理により、問題を解決できる可能性がある。
[具体例8]
次に、上記各具体例とは異なる回復処理の具体例についてさらに説明する。
図41は、具体例8としての回復処理を示すフローチャートである。
この回復処理を開始すると、PC1は、まず、対象項目の入力を受け付ける(S2001)。このS2001の処理において、利用者は、設定項目(設定項目の具体例は、例えば、図18,図19等の“Item”を参照)の指定を行うことができる。
続いて、PC1は、すべての設定履歴ファイルを対象にして、後述するS2005〜S2009の処理を繰り返す(S2003)。この繰り返し処理内では、まず、対象となっている設定履歴ファイルから設定項目を読み込み(S2005)、その設定項目中に、S2001の処理で指定された設定項目が含まれるか否かを判断し(S2007)、対象項目が含まれていれば(S2007:TRUE)、対象となっている設定履歴ファイルをリストに追加する(S2009)。また、S2007の処理において、対象項目が含まれていないと判断されれば(S2007:FALSE)、S2009の処理はスキップする。このような繰り返し処理により、リストには、S2001の処理で指定された設定項目についての設定値を含んでいるいくつかの設定履歴ファイルがリストアップされることになる。
続いて、PC1は、上記繰り返し処理で作成されたリストが空でないか否かを判断し(S2011)、リストが空である場合は(S2011:FALSE)、この回復処理を終える。一方、リストが空でない場合(S2011:TRUE)、設定履歴のリストを表示する(S2013)。このS2013の処理においても、上記S1913の処理と同様、PC1は、図40に示すような、“Search Result”ダイアログ211を表示部106に表示する。この表示内容を確認した利用者は、設定の復元を行いたいデバイスなのかどうかを検討し、回復する履歴を選択する(S2015)。
続いて、PC1は、回復する対象となる設定履歴ファイルの数だけ、後述するS2019〜S2023の処理を繰り返す(S2017)。繰り返し処理内では、まず、対象としている設定履歴ファイルから、対象項目の設置値を読み込み(S2019)、その対象項目の設定値を、対象デバイスに対して送信し(S2021)、設定の送信を終えたら、復元した設定履歴に対応する設定履歴ファイルを削除する(S2023)。これらS2019〜S2023の処理は、上記S1203〜S1207の処理に相当する手順である。ただし、S2019〜S2023の処理では、設定履歴ファイル内の設定値すべてをデバイスに送信するのではなく、S2001の処理で利用者が指定した設定項目についての設定値だけをデバイスに送信する。こうして、回復する対象となる設定履歴ファイルの数だけS2019〜S2023の処理を繰り返したら、この回復処理を終える。
以上説明したように、この具体例8において採用した回復処理を利用しても、万一、設定変更後にデバイスで何らかの問題が発生するようなことがあれば、個々のデバイスを指定して回復処理を行うことにより、問題が発生したデバイスの設定を、設定変更前の状態に戻すことができる。
しかも、デバイスの指定を行う際には、利用者が任意に指定する設定項目について設定変更がなされたデバイスをPC1が探し出すので、問題がある個々のデバイスを具体的に把握できない場合でも、特定の設定項目に関する設定変更がなされたデバイスに問題がありそうな場合には、この回復処理により、問題を解決できる可能性がある。
なお、上記処理では、S2001の処理で利用者が指定した設定項目についての設定値だけをデバイスに送信するので、設定履歴ファイル内の設定値すべてをデバイスに送信する場合より、より迅速に設定の送信を行うことができ、また、元の設定に戻す必要がない設定項目まで設定を元に戻してしまうこともない。ただし、システムによっては、あえて設定履歴ファイル内の設定値すべてをデバイスに送信したい場合もあると考えられるので、その場合は、上記具体例7の場合と同様に、設定履歴ファイル内の設定値すべてをデバイスに送信するようにしてもよい。また、S2001の処理で利用者が指定した設定項目についての設定値だけをデバイスに送信するか、設定履歴ファイル内の設定値すべてをデバイスに送信するかを、利用者が任意に指定できるようになっていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、新設定データの元になる設定データをカレントデバイス(代表デバイス)から取得した後、カレントデバイス自体も設定対象デバイスとして選択できるように構成されていたので、カレントデバイスへの設定データ送信が不要な場合には、カレントデバイスの選択をRemoveボタン等を使って解除する必要があったが、一括送信を行う場合に、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されるように構成されていてもよい。
具体的には、例えば、図15に示したデバイスの設定値取得処理に対し、図42に示したS604、S615の処理を追加することにより、S605の処理によって設定値取得中デバイスから設定値を取得する前に、設定値取得中デバイスがカレントデバイスであるか否かを判断し(S604)、カレントデバイスであれば(S604:YES)、デバイスリスト内の該当デバイスエントリを無効として(S611)、S605〜S611の処理を実行することなく、S613の処理へと移行する。これにより、デバイスリスト内のカレントデバイスに該当するエントリについては、無効である旨の情報が登録される。
そして、図22に示した複数デバイス設定一括送信処理に対し、図43に示したS906の処理を追加するとともに、S913,S915の処理については削除することにより、S907〜S911の処理によって新設定データないし個別設定データの送信を行う前に、設定値送信中デバイスに該当するデバイスリスト内のエントリが無効であるか否かを判断し(S906)、無効であった場合は(S906:YES)、S907〜S911の処理を実行することなく、S917の処理へと移行する。
その結果、カレントデバイスについては、既設定データの取得処理、および新設定データないし個別設定データの送信処理が、共にスキップされることになるので、カレントデバイスについては、あらかじめ設定対象デバイスから除外されることになる。
また、上記実施形態では、印刷系デバイスの設定を例に挙げて説明したが、本発明は印刷系以外のデバイスに対する設定、例えば、スキャナ、ネットワークカメラなどの画像入力系デバイス、ファクシミリなどの画像通信系デバイス、ネットワークルータ、ネットワークポイントなどの通信経路系デバイス、ネットワークストレージなどの情報サーバ系デバイスなど、複数の装置で共通する設定値が使われる構成であれば利用することができる。
さらに、上記実施形態では、PC1だけが単独で設定データ伝送装置として機能するように構成してあったが、設定データ伝送装置を構成するのに必要な各手段を、複数のノードに分散させて配置してもよい。その場合、あるノードに配された手段の出力データが別のノードに配された手段の入力データとなるのであれば、あるノードで得られた出力データをネットワークを介して別のノードへと伝送して、そのネットワークシステム全体が、上記設定データ伝送装置と同等に機能するように構成する。これにより、ネットワークシステム内に、本発明の設定データ伝送装置と同等に機能する分散処理システム(例えば、図1中のPC1’、PC1”とPC1が分散処理する分散処理システム)を構成することができる。
1,1’,1”・・・パーソナルコンピュータ(PC)、2・・・ルータ、3〜5…プリンタ、7・・・LAN、101,301・・・CPU、102,302・・・ROM、103,303・・・RAM、105・・・入力部、106,306・・・表示部、107・・・ストレージデバイス、304・・・NVRAM、307・・・印刷部、108,308・・・ネットワークI/F、311・・・MIB、11・・・デバイス設定管理ツール初期画面、13・・・プリンタ設定機能初期画面、15・・・NIC設定ダイアログ、21・・・“Send Settings to Printer(s)”ダイアログ、41・・・送信実行確認ダイアログ、55,57・・・設定変更内容詳細ウィンドウ、61・・・設定値変更ダイアログ、71・・・送信実行プログレスダイアログ、77・・・送信実行結果ダイアログ、85・・・“Recover Setting”ダイアログ、91・・・“Other Devices..”ダイアログ、201・・・“Search Setting History”ダイアログ、211・・・“Search Result”ダイアログ。