JP2006169830A - 弾性舗道の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 舗装材料としてゴムチップと木材チップを使用した弾性舗道であって、木材チップの剥離がなく、耐久性に一層優れた弾性舗道を施工することが出来る弾性舗道の施工方法を提供する。
【解決手段】 弾性舗道の施工方法においては、地盤(1)表面に砕石(3)を敷設し且つその表面にプライマー(6)を塗布して下地を形成した後、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーから成る混合チップを前記下地の表面に散布して混合チップ層(7)を形成する。その際、混合チップとして、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し、且つ、これを散布した際に均して転圧し、更に、混合チップ層(7)の表面に対して保護層(8)を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 弾性舗道の施工方法においては、地盤(1)表面に砕石(3)を敷設し且つその表面にプライマー(6)を塗布して下地を形成した後、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーから成る混合チップを前記下地の表面に散布して混合チップ層(7)を形成する。その際、混合チップとして、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し、且つ、これを散布した際に均して転圧し、更に、混合チップ層(7)の表面に対して保護層(8)を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、弾性舗道の施工方法に関するものであり、詳しくは、舗装材料としてゴムチップと木材チップを使用した弾性舗道であって、耐久性に一層優れた弾性舗道の施工方法に関するものである。
公園の歩道や遊歩道として、ゴムチップと木材チップを使用した弾性舗道が各種提案されている。例えば、ゴムチップと木材チップを舗装材料として利用した技術として、木材(赤松樹皮)をチップに粉砕加工し、得られた木材チップとゴムチップを重量比で6:4〜8:2の割合で混合して成る「舗装材」であって、路盤上にプライマー(樹脂接着剤)を塗布して敷設する様にしたものが開示されている。上記の舗装材を使用した舗道は、透水性と歩行に適した適度な弾力性を備えている。また、産業廃棄物として処理される廃木材や廃タイヤを有効利用できる。
特開平9−242006号公報
ところで、上記の様な舗装材によって施工される舗道は、耐候性に欠け、木材チップの収縮により縁石部分に隙間が生じたり、路面に割れが生じる場合がある。また、木材チップが剥離し、表面にささくれが生じると言う問題がある。本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、舗装材料としてゴムチップと木材チップを使用した弾性舗道であって、木材チップの剥離がなく、耐久性に一層優れた弾性舗道を施工することが出来る弾性舗道の施工方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明においては、地盤表面に砕石を敷設し且つその表面にプライマーを塗布して形成した下地、コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面にプライマーを塗布して形成した下地、あるいは、コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面に樹脂シートを敷設して形成した下地に対し、ゴムチップ、木材チップ及びバインダーから成る混合チップを散布して混合チップ層を形成するにあたり、ゴムチップと木材チップの比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し且つこれを散布した際に均して転圧することにより、混合チップ層において、木材チップの収縮をゴムチップの復元膨張で補完し、縁石部分における隙間の発生や路面の割れを防止する様にした。また、混合チップ層の表面に対して保護層を設けることにより、混合チップ層の表面において、木材チップの剥離を防止する様にした。
本発明によれば、ゴムチップと木材チップの比率が特定の比率になされた混合チップの散布転圧により混合チップ層を形成し、そして、混合チップ層の表面に保護層を設けるため、木材チップの剥離がなく、耐久性に一層優れた弾性舗道を施工することが出来る。
本発明に係る弾性舗道の施工方法の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る弾性舗道の施工方法の一態様および施工された弾性舗道を層構成で模式的に示す縦断面図である。図2及び図3は、本発明に係る弾性舗道の施工方法の他の態様および更に他の態様によって施工された弾性舗道を層構成で模式的に示す縦断面図である。また、図4は、本発明に係る弾性舗道の施工方法によって施工され且つゴムチップによって保護層が形成された弾性舗道の一例を層構成で模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明においては、弾性舗道の施工方法を「施工方法」と略記する。
本発明の施工方法は、公園の歩道、遊歩道、ジョギングコース、遊技施設の周囲の他、建物の屋上、テラス、エントランス等の歩行すべき場所に弾性舗道を敷設する際に適用される。本発明の施工方法は、公園などの屋外において地盤表面に施工する場合と、建物の屋上などの構築物表面に施工する場合とで下地施工が異なる。先ず、地盤表面に施工する場合を図1に基づいて説明する。
本発明の施工方法においては、図1(a)に示す様に、先ず、予め平坦に均した地盤(1)の表面に路盤として砕石(3)を敷設し且つその表面にプライマー(6)を塗布して下地を形成する。砕石(3)は、後述の混合チップ層(7)を支持するための支持層であり、混合チップにおけるゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の大きさ(粒径)との関係から、砕石(3)としては、粒度範囲40〜20及び40〜0の砕石を使用するのが好ましい。すなわち、砕石(3)の層は、砕石40〜0の下層、砕石40〜20の上層の2層で構成するのがよい。砕石(3)の層の表面は、略平坦に均した後、締固め機械によって押し固める。通常、砕石(3)の層の厚さは50〜100mm程度とされる。
また、舗道の路肩に相当する部分には、砕石(3)の上から縁石、レンガ等の仕切を配置する。そして、押し固めた砕石(3)の表面側の隙間をある程度埋めるため、押し固めた砕石(3)の表面からプライマー(6)を塗布する。プライマー(6)としては、上記の砕石(3)と後述の混合チップ層(7)を強固に接着するため、通常はウレタン系プライマーが使用される。プライマー(6)の粘度は、樹脂の種類にもよるが、塗布作業を容易に行える様に、0.5〜3Pa・s程度とされる。プライマー(6)を塗布した後は、これを乾燥させて指触乾燥した下地を形成する。
次いで、図1(b)に示す様に、上記の様に形成された下地の表面に対し、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダー(樹脂接着剤)から成る混合チップを散布、すなわち、散蒔いて混合チップ層(7)を形成する。なお、散布する混合チップは、原料ゴムを粉砕処理し且つ篩分処理して得られたゴムチップ(71)、原料木材を粉砕処理し且つ篩分処理して得られた木材チップ(72)、および、バインダーを所定の割合でミキサーを使用して現場で予め混合調製される。
上記の混合チップに使用されるゴムチップ(71)としては、天然ゴム、合成ゴムまたはこららの混合物にカーボン、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤を配合して成る加硫ゴムを粉砕して得たチップ、あるいは、廃タイヤを粉砕して得られたチップが挙げられる。ゴムチップ(71)の構成材料としては、特に制限はないが、具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、多硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム−塩化ビニル樹脂ブレンド、ニトリルゴム/EPDMブレンド等が挙げられる。
ゴムチップ(71)には、必要に応じ、一般的なゴム製品に使用されている従来公知の添加剤、例えば、老化防止剤、上記以外の充填剤、補強性充填剤、加工助剤、加硫剤、加硫促進剤などが配合されていてもよい。また、ゴムチップ(71)は、顔料の添加により各種の色に着色されていてもよい。ゴムチップ(71)が着色されている場合には、点在するゴムチップ(71)により舗道表面において色彩感が得られ、意匠性を高めることが出来る。
ゴムチップ(71)の形状には特に制限はないが、ゴムチップ(71)の粒径は、混合チップ層(7)の弾性力などを考慮し、通常は0.5〜10mm、好ましくは1〜3mmとされる。ゴムチップ(71)の粒径を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、ゴムチップ(71)の粒径が5mmよりも大きい場合は、木材チップ(72)と混合した際に当該木材チップに対する分散性が悪く、混合チップ層(7)における弾性力が不均一になる。一方、ゴムチップ(71)の粒径が0.5mm未満の場合は、ゴムチップ個々の変形量が小さいため、木材チップ(72)の収縮を補完するに足る膨張量が得られず、また、混合チップ層(7)における弾性力が不足する。なお、本発明において、粒径が0.5〜5mmのゴムチップ(71)とは、篩網によって選別した場合、略φ5mmの篩目は通過するが、略φ0.5mm未満の篩目は通過しない大きさのゴム粒子を言う。
上記の混合チップの調製においては、接着強度を高めるため、好ましくは、木材チップ(72)として、水分含有量5〜40重量%のチップが使用される。木材チップ(72)の水分含有量を規定する理由は次の通りである。すなわち、水分含有量が40重量%よりも多い場合は、バインダーの接着力が不足し、木材チップ(72)の剥離強度が低く、木材チップ(72)の脱落や混合チップ層(7)の割れが生じ易くなる。一方、水分含有量は少ない方が望ましいが、水分含有量を5%未満とするには、木材チップ(72)を強制乾燥させる必要があり、処理コストが大きくなるため実用的ではない。上記の様な条件を満足する木材チップ(72)としては、建物の取壊しや改修により廃材として発生した木材、いわゆる建築廃材を粉砕して得られる廃木材チップが好適である。
また、木材チップ(72)の形状に特に制限はないが、木材チップ(72)の大きさは、通常、篩網によって選別した場合にφ10mmの篩目は通過するがφ1mm未満の篩目は通過しない大きさとされる。斯かる大きさの木材チップ(72)は、粉砕機によって木材を粉砕処理することにより例えば略棒状に形成される。なお、木材チップ(72)の大きさを規定する理由は、混合チップ層(7)における空隙率を後述する様な範囲に設定するためである。
更に、木材チップ(72)には、タナリスCY、モクボウAAC等の防腐剤を予め混合してもよく、また、含浸させてもよい。防腐剤を含浸させるには、例えば、防腐剤の溶液に木材チップ(72)を浸漬させた状態で加圧するか、または、減圧条件下に木材チップ(72)を置いて防腐剤の溶液を供給する。上記の様な防腐剤を木材チップ(72)に混合または含浸させた場合には、混合チップ層(7)の腐朽を一層低減でき、耐久性をより向上させることが出来る。
ゴムチップ(71)及び木材チップ(72)を結合するバインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの熱可塑性合成樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等の硬化性合成樹脂、ウレタン樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマー、メラミン樹脂プレポリマー、尿素樹脂プレポリマー、フェノール樹脂プレポリマー、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体などが挙げられる。接着強度、耐候性などの観点から、通常はウレタン樹脂が使用される。
本発明においては、歩行に適した衝撃吸収性、弾力性を混合チップ層(7)にて発揮させ、しかも、混合チップ層(7)全体の収縮や割れを防止するため、混合チップとして、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用する。ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、ゴムチップ(71)の比率が上記の範囲よりも大きい場合、換言すれば木材チップ(72)の比率が上記の範囲よりも小さい場合は、木質感が損なわれ、意匠性が低下する。一方、ゴムチップ(71)の比率が上記の範囲よりも小さい場合、換言すれば木材チップ(72)の比率が上記の範囲よりも大きい場合は、転圧によって弾性変形させたゴムチップ(71)の復元量よりも木材チップ(72)の収縮量が大きくなり、チップ(71)の復元によって木材チップ(72)の収縮を補完できないため、混合チップ層(7)における収縮や割れが発生し易く、また、混合チップ層(7)において弾性力に欠ける。
また、混合チップにおいて、ゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の混合物100重量部に対する上記のバインダーの添加割合は10〜50重量部とされる。バインダーの添加割合を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、バインダーの割合が10重量部よりも小さい場合は、チップ同士の結合力が不足するため、特に木材チップ(72)の剥離強度が低下したり、混合チップ層(7)において割れが生じ易くなる。また、バインダーの割合が50重量部よりも大きい場合は、混合時の樹脂量が多くなってチップの均一な散布が困難となる。
本発明においては、上記の混合チップに対し、これを散布した際、通常、コテ、レイキ等を使用した左官工を施すことにより、略均一な厚さで且つ表面を平坦な状態に均した後、転圧ローラーを使用して混合チップを転圧し、そして、乾燥させる。すなわち、混合チップを散布して平坦に均した後、硬化前に加圧することにより、表面が平坦な混合チップ層(7)を形成する。混合チップ層(7)の厚さは、転圧した状態で10〜75mm程度とされる。上記の操作により、形成される混合チップ層(7)においては、予めゴムチップ(71)を僅かに変形させることが出来るため、木材チップ(72)が経年変化で収縮した際にゴムチップ(71)の復元によって木材チップ(72)の収縮を補完することが出来る。
また、施工された混合チップ層(7)においては、不定形のゴムチップ(71)及び木材チップ(72)が不規則に配列し、微小な空隙が内部に形成されているが、上記の様なゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の大きさの調節、バインダーの使用量の調節、並びに、転圧ローラーの加圧力の調節により、空隙率を40%以下、好ましくは5〜35%、より好ましくは15〜25%に設定できる。混合チップ層(7)の空隙率を調整する理由は次の通りである。すなわち、空隙率が5%未満の場合は、雨水に晒された際に水捌が悪く、雨天やその直後の歩行に適さない。しかも、十分な透水性能を発揮できず、内部に滞留した雨水により腐朽を生じ易くなる。一方、空隙率が40%よりも大きい場合は、バインダーによるゴムチップ(71)や木材チップ(72)の結合力が低下し、耐荷重性能に欠け、割れを生じる虞がある。
なお、混合チップ層(7)における空隙率は、混合チップ層(7)の体積に占める空隙部分の体積の比率を意味し、以下の式で表すことが出来る。
上記の様に混合チップ層(7)を形成した後は、当該混合チップ層の表面における木材チップ(72)の剥離を防止するため、図1(c)に示す様に、混合チップ層(7)の表面に対して保護層(8)を設ける。具体的には、上塗剤(トップコート)を塗布することにより保護層(8)を設ける。或いは、砕石(3)に散布したのと同様のプライマーを塗布することにより保護層(8)を設けることも出来る。すなわち、混合チップ層(7)の表面に上塗剤によって薄膜の保護層(8)を形成する。斯かる上塗剤としては、アクリルウレタン系樹脂から成る上塗剤を使用する。斯かる上塗剤の粘度は、樹脂の種類にもよるが、混合チップ層(7)の表面に薄膜を形成するに足るだけの樹脂を効率的に散布するため、0.5〜3Pa・s程度とされる。
上記の様に、本発明の施工方法は、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーから成る混合チップで混合チップ層(7)を形成するにあたり、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が前述の様な特定の比率に調整された混合チップを使用し、且つ、混合チップを散布した際に均して転圧し、ゴムチップ(71)を予め圧縮変形させるため、施工された弾性舗道の混合チップ層(7)において、水濡れや乾燥によって生じる木材チップ(72)の収縮をゴムチップ(71)の復元膨張より補完でき、その結果、縁石部分における隙間の発生や路面の割れを防止することが出来る。また、混合チップ層(7)の表面に対して保護層(8)を設けるため、保護層(8)の表面において、ゴムチップ(71)の剥離を防止でき、ささくれの発生を防止することが出来る。従って、安全性を一層高めることが出来る。換言すれば、本発明によれば、木材チップ(72)の剥離がなく、耐久性に一層優れた弾性舗道を施工することが出来る。
更に、本発明によれば、混合チップの木材チップ(72)として、前述の様な特定の水分含有量の木材チップを使用することにより、木材チップ(72)がバインダーにより一層高い結合力を発揮するため、混合チップ層(7)において、木材チップ(72)の剥離や脱落をより一層防止でき、耐久性をより向上させることが出来る。しかも、混合チップ層(7)の空隙率を上記の特定の範囲に設定した場合には、水捌が一層良好になるため、雨天でも滑ることなくより安全に歩行でき、かつ、雨水による腐朽を低減することが出来る。
次に、建物の屋上、テラス、エントランス等、或いは、既設の舗装路面などの構築物表面に弾性舗道を施工する場合を図2及び図3に基づいて説明する。弾性舗道は、例えば、屋上緑化を施す建物の屋上に小道として施工される。そして、その施工方法には、構築物と一体的化させる施工方法と、レイアウト等の変更や建物の改築を考慮して容易に撤去し得る様な施工方法の2つの態様が挙げられる。図2は、構築物と一体的化させる施工方法によって施工された弾性舗道を示しており、図3は、構築物と一体的化させない施工方法によって施工された撤去が容易な弾性舗道を示している。
図2に示す本発明の施工方法においては、先ず、コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面(床としてのモルタル(2)の表面を例に挙げて説明する。)にプライマー(4)を塗布し、乾燥させて指触乾燥した下地を形成する。プライマー(4)は、モルタル(2)の表面の防水性を高め且つモルタル(2)に対する混合チップの接着性を高めるために塗布される。プライマー(4)としては、前述の図1の態様におけるのと同等のプライマーが使用され、プライマー(4)の粘度も、塗布効率の観点から、前述の態様におけるのと同等に設定される。
次いで、上記の下地の表面に対し、前述の態様と同様に、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダー(樹脂接着剤)から成る混合チップを散布し、これを均して転圧した後、乾燥させることにより、均一な厚さで且つ表面が平坦な混合チップ層(7)を形成する。その際、使用する混合チップの構成は、前述の態様におけるのと同様である。すなわち、衝撃吸収性、弾力性を混合チップ層(7)にて発揮させ、しかも、混合チップ層(7)全体の収縮や割れを防止するため、混合チップとして、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用する。そして、前述の態様と同様に、下地の上に混合チップを散布した際、混合チップの表面を均して転圧する。混合チップ層(7)の厚さ、混合チップ層(7)における空隙率は前述の態様と同様である。
上記の様に混合チップ層(7)を形成した後は、前述の態様と同様に、混合チップ層(7)の表面における木材チップ(72)の剥離を防止するために保護層(8)を設ける。斯かる保護層(8)も、前述の態様と同様に、混合チップ層(7)の表面に上塗剤(トップコート)を塗布して設けられる。上塗剤の種類および粘度も前述の態様と同様である。
一方、図3に示す弾性舗道は、レイアウト等の変更や建物の改築の際、容易に撤去しる舗道であり、図3に示す本発明の施工方法においては、コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面(床としてのモルタル(2)の表面を例に挙げて説明する。)に樹脂シート(5)を敷設して下地を形成する。本発明において、樹脂シート(5)にはフィルムも含まれる。斯かる樹脂シート(5)としては、防水性を有し且つ混合チップに含まれるバインダーに溶解しない樹脂、具体的には、屋上緑化において耐根シートとして使用されるポリエチレン等から成るシート、または、各種の透水性シートが挙げられる。防水性、施工性、コストの観点からはポリエチレンシートが好ましい。通常、樹脂シート(5)の厚さは100〜1000μm程度である。また、樹脂シート(5)は、屋上などのモルタル(2)の表面に略シワのない状態に敷設するため、両面に粘着層が設けられたいわゆる両面粘着テープ等を使用して仮止めするのが好ましい。
次いで、上記の下地の表面に対し、前述の各態様と同様に、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダー(樹脂接着剤)から成る混合チップを散布し、その表面を均して転圧した後、乾燥させることにより、均一な厚さで且つ表面が平坦な混合チップ層(7)を形成する。混合チップの構成、すなわち、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーの各構成および配合比率、ならびに、混合チップ層(7)の厚さ、混合チップ層(7)における空隙率は、前述の各態様におけるのと同様である。そして、前述の各態様と同様に、混合チップ層(7)を形成した後は、混合チップ層(7)の表面に上塗剤を塗布して保護層(8)を設ける。斯かる保護層(8)及び上塗剤も、前述の各態様におけるのと同様である。
上記の様な図2及び図3に示す本発明の施工方法も、図1に示す態様と同様に、下地の上に混合チップ層(7)を形成するにあたり、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が前述の様な特定の比率に調整された混合チップを使用し、且つ、混合チップを散布した際に均して転圧し、ゴムチップ(71)を予め圧縮変形させるため、施工された弾性舗道の混合チップ層(7)において、水濡れや乾燥によって生じる木材チップ(72)の収縮をゴムチップ(71)の復元膨張より補完でき、その結果、縁石部分における隙間の発生や路面の割れを防止することが出来る。また、混合チップ層(7)の表面に対して保護層(8)を設けるため、保護層(8)の表面において、ゴムチップ(71)の剥離を防止でき、ささくれの発生を防止することが出来る。従って、本発明によれば、木材チップ(72)の剥離がなく、耐久性に一層優れた弾性舗道を施工することが出来る。更に、図3に示す本発明の施工方法によれば、モルタル(2)の表面に樹脂シート(5)を敷設して下地を形成するため、施工された弾性舗道を必要に応じて簡単に撤去することが出来る。
また、図4に例示する様に、本発明の施工方法では、図1〜図3に示す態様において、上塗剤に代え、ゴムチップを使用して保護層(8)を設けてもよい。すなわち、バインダーが混合されたゴムチップを混合チップ層(7)の表面に散布し、表面を平坦に均すことにより、保護層(8)を設けてもよい。保護層(8)に使用するゴムチップ及びバインダーとしては、混合チップ層(7)のものと同様のものが使用される。図4に示す様なゴムチップの保護層(8)を設けることにより、より柔軟で且つ耐久性に一層優れた弾性舗道を敷設できる。また、着色されたゴムチップを保護層(8)に使用することにより、弾性舗道を意匠的により多様化することが出来る。
実施例1:
公園の散策路として、図1(c)に示す構造の弾性舗道を施工した。施工においては、地盤(1)の表面に粒度範囲30〜20及び30〜0の砕石(3)を2層構造で且つ1mの幅で敷設し、両縁に仕切としてレンガを配置した。そして、砕石(3)の表面にウレタン樹脂から成る粘度1Pa・sのプライマー(6)を塗布し、これを乾燥させて下地を形成した。次いで、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーから成る混合チップを上記の下地の表面に散布して混合チップ層(7)を形成した。
公園の散策路として、図1(c)に示す構造の弾性舗道を施工した。施工においては、地盤(1)の表面に粒度範囲30〜20及び30〜0の砕石(3)を2層構造で且つ1mの幅で敷設し、両縁に仕切としてレンガを配置した。そして、砕石(3)の表面にウレタン樹脂から成る粘度1Pa・sのプライマー(6)を塗布し、これを乾燥させて下地を形成した。次いで、ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダーから成る混合チップを上記の下地の表面に散布して混合チップ層(7)を形成した。
使用した混合チップにおけるゴムチップ(71)は、粒径が1〜3mmの範囲で且つ平均粒径が2.8mmのものであった。木材チップ(72)は、篩網によって選別した場合にφ10mmの篩目は通過するがφ1mm未満の篩目は通過しない大きさのものであった。また、バインダーとしては、ウレタン樹脂を使用した。そして、混合チップにおけるゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率は重量比で1:0.4であり、ゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の混合物100重量部に対するバインダーの量は40重量部であった。
混合チップ層(7)の施工においては、下地表面に上記の混合チップを散布し、コテ及びレイキで均等な厚さに且つ表面を平坦に均し、更に、転圧ローラーで転圧した後、3時間放置して乾燥させた。得られた混合チップ層(7)の平均厚さは25mmであった。そして、混合チップ層(7)の表面に対し、アクリル樹脂から成る粘度1Pa・sの上塗剤を塗布して保護層(8)を設けた。
上記の様に施工した弾性舗道について、施工から1年経過後に観察したところ、両側の仕切であるレンガと混合チップ層(7)の間に隙間の発生は見られず、また、路面のひび割れも確認されなかった。
比較例1:
実施例1で施工した弾性舗道の延長部分として、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の混合比率が実施例1とは異なる混合チップ層(7)を備えた弾性舗道を施工した。すなわち、斯かる弾性舗道の施工においては、混合チップ層(7)を施工するにあたり、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:3.5、ゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の混合物100重量部に対するバインダーの量が55重量部の混合チップを使用した。ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダー自体は実施例1におけるのと同様であった。
実施例1で施工した弾性舗道の延長部分として、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の混合比率が実施例1とは異なる混合チップ層(7)を備えた弾性舗道を施工した。すなわち、斯かる弾性舗道の施工においては、混合チップ層(7)を施工するにあたり、ゴムチップ(71)と木材チップ(72)の比率が重量比で1:3.5、ゴムチップ(71)及び木材チップ(72)の混合物100重量部に対するバインダーの量が55重量部の混合チップを使用した。ゴムチップ(71)、木材チップ(72)及びバインダー自体は実施例1におけるのと同様であった。
また、混合チップ層(7)の施工においては、実施例1と同様に、下地表面に散布した上記の混合チップをコテで均等な厚さに且つ表面を平に均して乾燥させたが、転圧ローラーによる加圧は行わなかった。得られた混合チップ層(7)の平均厚さは25mmであり、そして、混合チップ層(7)の表面に対し、実施例1と同様の上塗剤を塗布して保護層(8)を設けた。
上記の様に施工した弾性舗道について、施工から1年経過後に観察したところ、両側の仕切であるレンガと混合チップ層(7)の間に2〜5mmの隙間が発生しており、また、路面に多数のひび割れも発生していた。
1 :地盤
2 :モルタル
3 :砕石
4 :プライマー
5 :樹脂シート
6 :プライマー
7 :混合チップ層
71:ゴムチップ
72:木材チップ
8 :保護層(トップコート層)
2 :モルタル
3 :砕石
4 :プライマー
5 :樹脂シート
6 :プライマー
7 :混合チップ層
71:ゴムチップ
72:木材チップ
8 :保護層(トップコート層)
Claims (6)
- 地盤表面に砕石を敷設し且つその表面にプライマーを塗布して下地を形成した後、ゴムチップ、木材チップ及びバインダーから成る混合チップを前記下地の表面に散布して混合チップ層を形成する弾性舗道の施工方法であって、前記混合チップとして、ゴムチップと木材チップの比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し、且つ、これを散布した際に均して転圧し、そして、前記混合チップ層の表面に対して保護層を設けることを特徴とする弾性舗道の施工方法。
- 下地の砕石として、粒度範囲40〜0の砕石を使用する請求項1に記載の弾性舗道の施工方法。
- コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面にプライマーを塗布して下地を形成した後、ゴムチップ、木材チップ及びバインダーから成る混合チップを前記下地の表面に散布して混合チップ層を形成する弾性舗道の施工方法であって、前記混合チップとして、ゴムチップと木材チップの比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し、且つ、これを散布した際に均して転圧し、そして、前記混合チップ層の表面に対して保護層を設けることを特徴とする弾性舗道の施工方法。
- コンクリート、モルタル又はアスファルトから成る路面または構築物の床面に樹脂シートを敷設して下地を形成した後、ゴムチップ、木材チップ及びバインダーから成る混合チップを前記下地の表面に散布して混合チップ層を形成する弾性舗道の施工方法であって、前記混合チップとして、ゴムチップと木材チップの比率が重量比で1:0.1〜1:1の混合チップを使用し、且つ、これを散布した際に均して転圧し、そして、前記混合チップ層の表面に対して保護層を設けることを特徴とする弾性舗道の施工方法。
- 上塗剤を塗布することにより保護層を設ける請求項1〜4の何れかに記載の弾性舗道の施工方法。
- バインダーが混合されたゴムチップを散布することにより保護層を設ける請求項1〜4の何れかに記載の弾性舗道の施工方法。
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---|---|---|---|
JP2004364355A JP2006169830A (ja) | 2004-12-16 | 2004-12-16 | 弾性舗道の施工方法 |
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-
2004
- 2004-12-16 JP JP2004364355A patent/JP2006169830A/ja active Pending
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