JP2006168418A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキペダルの踏込み量と踏力との関係に、所定のヒステリシス特性を加えることができるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキペダル1の踏込量に応じて、マスタシリンダ2及びポンプ9の何れか一方を液圧源としてホイルシリンダ6a,6bの制動力を制御するブレーキ制御装置において、ブレーキペダル1とマスタシリンダ2とを連結するロッド2gと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材14を備え、ブレーキペダル1の踏み戻し時の摺動抵抗力をブレーキペダル1の踏込み時より大きくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキペダルの踏込みによって作動流体圧を昇圧するマスタシリンダとは個別に、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧を制御可能なブレーキ制御装置に関するものである。
従来のブレーキ制御装置としては、例えば、マスタシリンダからブレーキペダルの操作量に応じた作動液が導入されるストロークシミュレータを備え、このストロークシミュレータ内に複数の皿バネを設置し、皿バネ間の摺動抵抗力によってストロークシミュレータによって付与されるブレーキペダルの踏込み量と踏力との関係、特にそのヒステリシス特性を得るというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−211124号公報
しかしながら、上記従来のブレーキ制御装置にあっては、皿バネによる摩擦力によってヒステリシスを発生させているので、皿バネの磨耗によってヒステリシス特性に変化が生じてしまうという未解決の課題がある。また、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とで皿バネ間の摺動抵抗力に差がなく、ヒステリシスとしては不十分であるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、ブレーキペダルの踏込み量と踏力との関係において、所定のヒステリシス特性を得ることができるブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るブレーキ制御装置は、摩擦部材をロッドと摺接させて摺動抵抗力を発生させ、前記ロッドのストローク方向に応じて、摺動抵抗力変化手段で前記摺動抵抗力を変化させる。
本発明によれば、ロッドのストローク方向に応じて摺動抵抗力を変化させるようにするので、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドの摺動抵抗力に差を付けることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との特性に所定のヒステリシスを発生させることができると共に、運転者に違和感のないブレーキ操作を行うことができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成図を示しており、図中符号1はブレーキペダル、符号2はブレーキペダル1の踏込量に応じて昇圧されるマスタシリンダである。
マスタシリンダ2は、圧力発生室2a及び2bを有し、これらの圧力発生室2a,2bはシリンダ内のピストン2c,2dによって形成される。また、圧力発生室2a内にはスプリング2eが設置され、圧力発生室2bにはスプリング2fが設置されている。
ピストン2cとブレーキペダル1とはロッド2gを介して接続されており、運転者によってブレーキペダル1が踏込まれるとロッド2gがマスタシリンダ2側に移動してピストン2cが押されるように構成されている。
そして、圧力発生室2a,2bから夫々ブレーキペダル1の踏込量に応じた作動流体圧が出力される。つまり、マスタシリンダ2は2つの出力系統を有し、これらの出力系統に作動流体圧を出力する。以下、圧力発生室2aからの出力系統をプライマリ系統と称し、圧力発生室2bからの出力系統をセカンダリ系統と称す。
これらの作動流体圧は、マスタシリンダカット弁(ノーマル状態時開)3a及び3bと常開型電磁弁(ノーマル状態時開)4a,4bとを介して、車輪5a,5bに制動力を発生させるホイルシリンダ6a,6bに供給される。
また、マスタシリンダ2の各出力側には、作動流体圧を検出するための圧力センサであるマスタシリンダ圧センサ7a,7bが介装されている。
一方、マスタシリンダ2に並設されたリザーバ8に、液圧発生手段としてのポンプ9が接続されている。このポンプ9は、電動モータ9aと当該電動モータ9aによって回転駆動される油圧ポンプ9bとで構成され、ポンプ9から出力される制動圧はマスタシリンダカット弁3aと常開電磁弁4aとの間の流体路に供給される。また、マスタシリンダカット弁3aと常開型電磁弁4aとの間の流体路と、マスタシリンダカット弁3bと常開型電磁弁4bとの間の流体路とは常閉型(ノーマル状態時閉)の電磁開閉弁である系統遮断弁10を介して接続されている。
さらに、ホイルシリンダ6a及び6bとリザーバ8とは常閉型電磁弁(ノーマル状態時閉)11a及び11bを介して接続されており、ホイルシリンダ6a及び6bからリザーバ8への液圧の排出を制御するように構成されている。
また、マスタシリンダ2の一方の出力側におけるマスタシリンダカット弁3bの上流側には、常閉型(ノーマル状態時閉)の電磁開閉弁であるストロークシミュレータカット弁13を介してストロークシミュレータ12が接続されている。ブレーキ制御装置(ブレーキバイワイヤシステム)が起動しており且つ正常時には、マスタシリンダカット弁3a,3bが閉じられてマスタシリンダ2とホイルシリンダ6a,6bとを切断すると共に、ストロークシミュレータカット弁13は通電状態で開状態となり、当該出力側とストロークシミュレータ12とを接続する。そして、ストロークシミュレータカット弁13が開状態であるとき、ストロークシミュレータ12は、マスタシリンダ2から出力される作動流体圧を吸収するように構成されている。
このストロークシミュレータ12は、シリンダと、このシリンダ内に摺動自在に配設されたピストン12aと、ピストン12aを付勢するコイルスプリング12bとで構成されており、ブレーキペダル1のストロークに応じたペダル反力を発生する。
また、マスタシリンダ2のブレーキペダル1側には、ロッド2gと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材14が配置されている。この摩擦部材14はマスタシリンダ2のシリンダボディに固定されたダストカバーとしてのゴムブーツ15と一体形成されている。そして、この摩擦部材14によって、ロッド2gのストローク方向に応じて即ちブレーキペダル1の踏込み時と踏み戻し時とで、ロッド2gの軸直方向へ作用する押付力(垂直抗力)に差を生じさせることで、摺動抵抗力を変化させるように構成されている。この構成が押付力変化手段に対応している。
さらに、このブレーキ制御装置は、ブレーキペダル1の踏込量を検出するためのストロークセンサ18と、ホイルシリンダの作動流体圧を検出するためのホイルシリンダ圧センサ19a,19bとを備えている。
そして、マスタシリンダカット弁3a,3b、常開型電磁弁4a,4b、系統遮断弁10、常閉型電磁弁11a,11b及びストロークシミュレータカット弁13の夫々は、ソレノイドに供給されるコントロールユニット30からの制御信号によって開閉状態が制御され、当該制御信号がオフ状態(非通電状態)であるときにノーマル状態となり、オン状態(通電状態)であるときにオフセット位置に切り換わるように構成されている。
コントロールユニット30は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置を介装して構成される。そして、このコントロールユニット30では、コントロールユニット30自身やマスタシリンダ圧センサ7a,7b、ポンプ9及びストロークセンサ18の何れかに異常(故障)が発生している状態か否かを判断し、異常が発生していない場合には、マスタシリンダカット弁3a,3bが閉状態に制御されてマスタシリンダ2とホイルシリンダ6a,6bとが切断されると共に、ストロークシミュレータカット弁13が開状態に制御されてマスタシリンダ2とストロークシミュレータ12が連通され、ストロークシミュレータ12によってブレーキペダル1の踏込みを吸収する。
そして、ポンプ9を作動させて液圧を発生させ、常開型電磁弁4a,4b及び常閉型電磁弁11a,11bを制御して、ホイルシリンダ6a,6bの液圧がマスタシリンダ圧センサ検出値とストロークセンサ検出値とから算出されるブレーキ液圧指令値となるように制御されることにより、車輪が制動される。
一方、異常発生時には、マスタシリンダカット弁3a,3bを開状態とすることによりマスタシリンダ2とホイルシリンダ6a,6bとを連通し、マスタシリンダ2の液圧によって直接ホイルシリンダ6a,6bの液圧を発生させる。このとき、系統遮断弁10を閉じることによって、マスタシリンダのプライマリとセカンダリとの2系統が独立に液圧を発生させる。
なお、この異常発生時には、ストロークシミュレータカット弁13を閉じることによりストロークシミュレータ12にブレーキ液が流入しない構造とし、ストロークシミュレータ12でのブレーキ液吸収によるロスストロークを低減する。
図2は、摩擦部材14及びゴムブーツ15の詳細を示す図である。
マスタシリンダ2のシリンダボディにおけるブレーキペダル1側には、ゴムブーツ15と一体形成された摩擦材14aが支持されている。摩擦材14aは、弾性変形可能なゴム等の素材により構成されており、ロッド2gの外径方向でブレーキペダル1の踏込みに対して不動な箇所に固定された固定側(摩擦材14aでの支持側)に対してロッド2gとの接触側を、ブレーキペダル1の踏込み時にロッド2gがストロークする方向でロッド2gの軸心に向けて斜めにする。本実施形態では、ブレーキペダル1が踏込まれたとき、ロッド2gはマスタシリンダ側にストロークする。すなわち、摩擦材14aは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14aでの支持側に対してマスタシリンダ側に位置するように、ロッド2gの進行方向に対して所定角度αで配置されている。
これにより、ロッド2gのストローク方向に応じて摩擦材14aをマスタシリンダ2に押し付ける押付力を変化させて、摺動抵抗力を変化させることができる。
ブレーキペダル1の踏込み時には、A部を拡大した図2(a)に示すように、ロッド2gはマスタシリンダ2側に摺動する。このとき摩擦材14aはロッド2gとの角度αを維持した状態であり、垂直抗力(摩擦材の押付力)N1は略一定の値となる。
また、ブレーキペダル1の踏み戻し時には、図2(b)に示すように、ロッド2gはブレーキペダル1側に摺動する。このとき摩擦材14bは圧縮方向に撓んで反力が大きくなるため、押付力N2はブレーキペダル1の踏込み時の押付力N1より大きくなる。
ロッドと摩擦材との間の摺動抵抗力Fは、摩擦材とロッドの間の摩擦係数μと、摩擦材のロッドに対する押付力Nと、摩擦材とロッドとの接触面積Aとの積(F=μ×N×A)によって表されるので、ブレーキペダル1の踏み戻し時の摺動抵抗力は踏込み時の摺動抵抗力よりも大きくなる。その結果、図3に示すように、ブレーキペダルの踏力とストロークとの関係にはヒステリシス特性を得る。
次に本実施形態の動作について説明する。
異常が発生していない状態で、運転者によってブレーキペダル1が踏込まれると、ブレーキペダル1の踏込量に応じた作動流体がストロークシミュレータ12に導入されて、その液圧によってピストン12aがコイルスプリング12bを押し縮める。コイルスプリング12bが縮むほどその弾撥力は大きくなるため、コイルスプリング12bがピストン12aに与える反力も大きくなる。ここで、マスタシリンダ2のロッド2gに対する摩擦材14の押付力は略一定であるため、コイルスプリング12bの弾撥力に応じた反力がブレーキペダル1の踏力となる。
したがって、ブレーキペダル1の踏込み時において、ブレーキペダル1の踏込み量(ストローク)が大きくなるほど踏力の増加量も大きくなり、ブレーキペダル1のストロークと踏力との関係は、図3の曲線(イ)のようになる。
この状態から、運転者がブレーキペダル1を踏込む力を緩めると、コイルスプリング12bの弾撥力によりピストン12aが押し戻され、それに応じてストロークシミュレータ12内の作動流体がマスタシリンダ2に排出されるので、ブレーキペダル1が押し戻される。つまり、マスタシリンダ2のロッド2gがブレーキペダル1側に戻される。
このとき、図2(b)に示すように摩擦材14aの反力によってロッド2gとの間の摺動抵抗力が大きくなっているので、ロッド2gの戻りは妨げられることになる。したがって、ブレーキペダル1の踏み戻し時におけるブレーキペダル1のストロークと踏力との関係は、図3の曲線(ロ)のようになり、全体としてヒステリシス特性が得られることになる。
このように、上記第1の実施形態では、マスタシリンダのロッドと摺接して摺動抵抗力を発生する摩擦部材を備え、ロッドのストローク方向に応じてこの摺動抵抗力が変化するようにしたので、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでその摺動抵抗力を異ならせることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができる。
また、摩擦部材をロッドとの接触側が支持側に対してマスタシリンダ側に位置するように傾けて配置することで、ブレーキペダルの踏み戻し時に摩擦部材を圧縮方向に撓ませて反力を大きくし、ロッドへの押付力を大きくすることができるので、ブレーキペダルの踏み戻し時の摺動抵抗力を踏込み時より大きくすることができる。
さらに、既存のゴムブーツに摩擦部材を一体形成するので、極めて安価に実現することができる。
また、摩擦部材の肉厚、ロッドの軸周方向の接触長さ、軸方向の長さ、硬度等などにより、その設計自由度が高いので、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができると共に、ヒステリシス特性の設定自由度を従来装置と比較して大きくすることができる。
なお、上記第1の実施形態においては、摩擦部材は、ロッドの軸周方向に環状に配置されていても、軸周方向の一部のみに配置されていてもよい。
また、上記第1の実施形態においては、摩擦部材を所定の角度で傾斜させて配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロッドのストローク方向に応じて摩擦部材の押付力に差が生じるような構成であればよい。例えば、図4に示すように、摩擦材14aでの支持側とロッド2gとの接触側とで、摩擦材14aの肉厚が異なる構成としてもよい。つまり、角度α’は鋭角である必要はなく、図4(a)及び(b)に示すように角度α’より角度α”を大きく設定すれば、ブレーキペダル1の踏み戻し時の押付力を踏込み時より大きくすることができる。
さらに、上記第1の実施形態においては、摩擦部材をゴムブーツと一体形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、別部材によって構成するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における摩擦部材を、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドとの接触面積が異なるように設置するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態における摩擦部材14及びゴムブーツ15の詳細を図5に示すように、前述した第1の実施形態における摩擦材14aの代わりに摩擦材14bを配置したことを除いては図2と同様の構成を有し、図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
摩擦材14bは、ゴムブーツ15と一体形成されており、弾性変形可能なゴム等の素材により構成されている。そして、この摩擦材14bは、ロッド2gとの接触側に面積の異なる2つの面を有し、ロッド2gのストローク方向に応じて、これら2つの面のうち一方の面がロッド2gに接触するように構成されている。
つまり、ブレーキペダル1の踏み込み時には、B部を拡大した図5(a)に示すように、摩擦材14bは左に撓んでロッド2gと接触面積A1で接触し、ブレーキペダル1の踏み戻し時には、図5(b)に示すように、摩擦材14bは右に撓んでロッド2gと接触面積A1より大きい接触面積A2で接触する。この構成が接触面積変化手段に対応している。
前述したように、摺動抵抗力F=μ×N×Aであるので、接触面積Aが大きくなると摩擦係数μ及び押付力Nが一定であっても摺動抵抗力は大きくなる。そのため、ロッド2gとの接触面積の大きい踏み戻し時の摺動抵抗力の方が、踏込み時の摺動抵抗力より大きくなることになる。
したがって、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係は、図3に示すように、前述した第1の実施形態と同様のヒステリシス特性を得る。
このように、第2の実施形態では、ロッドのストローク方向に応じて摩擦部材の接触面積が異なるような構成とし、ブレーキペダルの踏み戻し時における接触面積が踏み込み時における接触面積より大きくなるようにしたので、ブレーキペダルの踏み戻し時の摺動抵抗力を踏込み時より大きくすることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができる。
また、前述した第1の実施形態のようにロッドに対する押付力を変化させる場合には、押付力の反力を受けるゴムブーツの剛性を考慮しないと、摩擦部材の変形による押付力の変化が生じない恐れがあるのに対し、第2の実施形態のようにロッドとの接触面積を変化させる場合には、ゴムブーツは通常の剛性を備えていれば十分であり、比較的容易に設計することができる。
なお、上記第2の実施形態においては、摩擦材14bの形状を、ブレーキペダル1の踏込み時と踏み戻し時とでロッド2gとの接触面積が変化するように設定するだけでなく、前述した第1の実施形態のように、摩擦材14bを斜めに配置する構成を加えてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態において、リンク機構を設け、このリンク機構の作用によって、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドに対する摩擦部材の押付力が異なるようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態の摩擦部材14とゴムブーツ15との詳細を図6に示すように、摩擦部材14とゴムブーツ15とを別部材によって構成し、ゴムブーツ15にリンク機構としてのリンク部材15aを支持させ、このリンク部材15aと摩擦部材14とを連結したことを除いては図2と同様の構成を有する。図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
リンク部材15aは、L字型に形成されており、このL字の角(リンク支点O)がゴムブーツ15に取り付けられて、リンク支点Oを通りロッド2gの軸直方向の回転軸を中心に遥動可能となっている。このリンク部材15aを2つ備え、これら2つのリンク部材15aを、ロッド2gを挟んで対向して配置する。
各リンク部材15aのブレーキペダル1側の端部(リンク支点P)は夫々支持部材14mを介して共通の摩擦材14cに連結されている。この摩擦材14cはロッド2gと同一軸心の環状に形成されており、常時ロッド2gと接触してリンク作動用の摩擦材として機能する。
また、リンク部材15aのマスタシリンダ2側の端部(リンク支点Q)には、夫々支持部材14nを介して摩擦材14dが支持されている。支持部材14nは、ブレーキペダル1の踏込み時に摩擦材14dがロッド2gから離れ、ブレーキペダルの踏み戻し時に摩擦材14dがロッド2gに接触するような長さとなっている。
さらに、ロッド2gの軸直方向に対向する2つの摩擦材14dは、図示しない連結部材によって連結されており、下方の摩擦材14d及び支持部材14nがリンク支点Qを中心に回転してロッド2gから離れる方向に倒れてしまわないようになっている。この連結部材は、ロッド2gに接触しないような所定の長さ及び形状を有すると共に、ブレーキペダル1の踏込みに応じた摩擦材14dの移動の妨げとならないように構成するものとする。
このような構成により、ブレーキペダル1の踏み込み時には支点Qがロッド2gから離れる方向に移動し、ブレーキペダル1の踏み戻し時には支点Qがロッド2gに近づく方向に移動する。そして、支点Qがロッド2gから離れる方向に移動するとき、摩擦材14dもロッド2gから離れる方向に移動し、支点Qがロッド2gに近づく方向に移動するとき、摩擦材14dもロッド2gに押付ける方向に移動する。
つまり、ブレーキペダル1の踏込み時には、C部を拡大した図6(a)に示すように、ロッド2gがマスタシリンダ2側に移動することにより摩擦材14cがマスタシリンダ2側に移動するので、リンク部材15aがリンク支点Oを中心に回転してリンク支点Qがロッド2gから離れる方向に移動する。これにより、摩擦材14dがロッド2gから離れる。
一方、ブレーキペダル1の踏み戻し時には、図6(b)に示すように摩擦材14cがブレーキペダル1側に移動するので、リンク支点Pもブレーキペダル1側に移動する。その結果、リンク部材15aがリンク支点Oを中心に回転してリンク支点Qがロッド2g側へ移動する。これにより、摩擦材14dがロッド2gに押付けられる。
したがって、ブレーキペダル1の踏み戻し時におけるロッド2gに対する摩擦材14dの押付力は、踏込み時と比較して大きくなるので、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係は、図3に示すように、前述した第1の実施形態と同様のヒステリシス特性を得る。
このように、上記第3の実施形態では、リンク機構を用いて、ブレーキペダルの踏込み時には摩擦部材の押付力を減少させ、踏み戻し時には摩擦部材の押付力を増加させるので、ブレーキペダルの踏み戻し時における摺動抵抗力を踏込み時より大きくすることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができる。
また、リンク機構におけるリンク比の設定の仕方によって、摩擦部材の押付力を調整することができるので、ヒステリシス特性の設定自由度を従来装置と比較して大きくすることができる。
さらに、前述した第1及び第2の実施形態のように摩擦部材の弾性変形を考慮する必要がないので、比較的容易に設計することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、摩擦材14cがロッド2gに接触している場合について説明したが、これに限定されるものではなく、摩擦材14cとロッド2gとを接着するようにしてもよい。
また、上記第3の実施形態においては、リンク支点Qを設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、リンク支点Qを設けずリンク部材15aと支持部材14nとを一体形成するようにしてもよい。
さらに、上記第3の実施形態においては、前述した第1の実施形態のように摩擦材14dを斜めに配置するような構成や、前述した第2の実施形態のようにブレーキペダルが踏み戻されたときロッド2gとの接触面積が大きくなる構成を加えてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態においてブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を異なる大きさに設定するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態の摩擦部材14とゴムブーツ15との詳細を図7に示すように、摩擦材14aの代わりに、ロッド2gの進行方向に対して所定角度βで配置された摩擦材14eと、ロッド2gの進行方向に対して所定角度βで配置された摩擦材14fとを配置し、ロッド2gの摩擦材14eと接触する面の摩擦係数μ1を、摩擦材14fと接触する面の摩擦係数μ2より低く設定したことを除いては図2と同様の構成を有し、図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ロッド2gは、摩擦係数の異なる2つの面を有し、一方の面が摩擦材14eと接触し、他方の面が摩擦材14fと接触するようになっている。
摩擦材14e及び14fは、ゴムブーツ15と一体形成され、弾性変形可能なゴム等の素材により構成されている。また、摩擦材14eは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14eでの支持側に対してブレーキペダル1側に位置するように傾斜して配置されており、摩擦材14fは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14fでの支持側に対してマスタシリンダ2側に位置するように傾斜して配置されている。これにより、各摩擦材14e,14fは、ロッド2gのストローク方向に応じて、ロッド2gへの押付力を変化させるようになっている。
つまり、ブレーキペダル1が踏込まれたときには、D部を拡大した図7(a)に示すように、摩擦材14eが圧縮方向に撓んで反力が大きくなってロッド2gに対する押付力が増大する。このとき、摩擦材14fは角度βを維持した状態であり、押付力は略一定の値である。一方、ブレーキペダル1が踏み戻されたときには、図7(b)に示すように、摩擦材14fが圧縮方向に撓んで反力が大きくなってロッド2gに対する押付力が増大する。このとき、摩擦材14eは角度βを維持した状態である。
このように、ロッド2gのストローク方向に応じて、ロッド2gに押し付ける摩擦材を異ならせることができる。これは、ロッド2gのストローク方向に応じてロッドと摩擦材との接触面を異ならせることに相当する。
ここで、前述したように、摩擦材14eとロッド2gとの間の摩擦係数を低く、摩擦材14fとロッド2gとの間の摩擦係数を高く設定しているので、ロッド2gのストローク方向に応じてロッドと摩擦材との接触面の摩擦係数が異なることになる。そして、摩擦材14fが押し付けられる踏み戻し時の摺動抵抗力の方が、摩擦材14eが押し付けられる踏み込み時の摺動抵抗力よりも大きくなる。この構成が摩擦係数変化手段に対応している。
したがって、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係は、図3に示すように、前述した第1の実施形態と同様のヒステリシス特性を得る。
このように、上記第4の実施形態では、ブレーキペダルの踏み戻し時におけるロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を踏込み時より大きくするので、ブレーキペダルの踏み戻し時の摺動抵抗力を踏込み時より大きくすることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができる。
また、ロッドの摩擦係数の設定の仕方によって、摺動抵抗力を調整することができるので、ヒステリシス特性の設定自由度を従来装置と比較して大きくすることができる。
なお、上記第4の実施形態においては、マスタシリンダのロッドに摩擦係数の異なる2つの面を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロッドの摩擦係数を同一として、摩擦材14eのロッドとの接触面を摩擦材14fのロッドとの接触面より摩擦係数の低くするようにしてもよい。
また、上記第4の実施形態においては、ロッドのストローク方向に応じてロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を変化させるだけでなく、摩擦材の剛性を調整して摩擦材14eと14fとで押付力を変化させたり、接触面積を変化させたりする構成を加えてもよい。
本発明の実施形態を示す概略構成図である。 第1の実施形態における摩擦部材とゴムブーツとの詳細図である。 ヒステリシス特性を示す図である。 第1の実施形態の別の例を示す図である。 第2の実施形態における摩擦部材とゴムブーツとの詳細図である。 第3の実施形態における摩擦部材とゴムブーツとの詳細図である。 第4の実施形態における摩擦部材とゴムブーツとの詳細図である。
符号の説明
1 ブレーキペダル
2 マスタシリンダ
3a,3b マスタシリンダカット弁
4a,4b 常開型電磁弁
5a,5b 車輪
6a,6b ホイルシリンダ
7a,7b マスタシリンダ圧センサ
8 リザーバ
9 ポンプ
10 系統遮断弁
11a,11b 常閉電磁弁
12 ストロークシミュレータ
13 ストロークシミュレータカット弁
14 摩擦部材
15 ゴムブーツ
18 ストロークセンサ
19a,19b ホイルシリンダ圧センサ
30 コントロールユニット

Claims (8)

  1. ブレーキペダルの踏込量に応じた踏込力がロッドを介して入力され、その入力に応じた作動流体圧を出力するマスタシリンダを備えるブレーキ制御装置において、
    前記ロッドと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材と、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摺動抵抗力を変化させる摺動抵抗力変化手段とを備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記摺動抵抗力を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材を前記ロッドに押付ける押付力を変化させる押付力変化手段を有し、該押付力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記押付力を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記押付力変化手段は弾性変形可能な部材により構成され、前記ロッドの外径方向で前記ブレーキペダルの踏込みに対して不動な箇所に固定された固定側に対して前記摩擦部材と前記ロッドとの接触側を、前記ブレーキペダルの踏込み時に前記ロッドがストロークする方向で前記ロッド軸心に向けて斜めにすることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
  5. 前記押付力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏込み時は前記摩擦部材の前記ロッドへの押付力を減少させ、前記ブレーキペダルの踏み戻し時は前記摩擦部材の前記ロッドへの押付力を増加させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
  6. 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材と前記ロッドとの接触面積を変化させる接触面積変化手段を有し、該接触面積変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記接触面積を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求1〜5の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
  7. 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材と前記ロッドとの間の摩擦係数を異ならせる摩擦係数変化手段を有し、該摩擦係数変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記摩擦係数を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
  8. 前記摩擦係数変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記ロッドと前記摩擦部材との接触面が異なり、且つこれらの接触面の摩擦係数が異なるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のブレーキ制御装置。
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