JP2006168418A - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブレーキペダル1の踏込量に応じて、マスタシリンダ2及びポンプ9の何れか一方を液圧源としてホイルシリンダ6a,6bの制動力を制御するブレーキ制御装置において、ブレーキペダル1とマスタシリンダ2とを連結するロッド2gと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材14を備え、ブレーキペダル1の踏み戻し時の摺動抵抗力をブレーキペダル1の踏込み時より大きくする。
【選択図】 図1
Description
そこで、本発明は、ブレーキペダルの踏込み量と踏力との関係において、所定のヒステリシス特性を得ることができるブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
図1は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成図を示しており、図中符号1はブレーキペダル、符号2はブレーキペダル1の踏込量に応じて昇圧されるマスタシリンダである。
マスタシリンダ2は、圧力発生室2a及び2bを有し、これらの圧力発生室2a,2bはシリンダ内のピストン2c,2dによって形成される。また、圧力発生室2a内にはスプリング2eが設置され、圧力発生室2bにはスプリング2fが設置されている。
そして、圧力発生室2a,2bから夫々ブレーキペダル1の踏込量に応じた作動流体圧が出力される。つまり、マスタシリンダ2は2つの出力系統を有し、これらの出力系統に作動流体圧を出力する。以下、圧力発生室2aからの出力系統をプライマリ系統と称し、圧力発生室2bからの出力系統をセカンダリ系統と称す。
また、マスタシリンダ2の各出力側には、作動流体圧を検出するための圧力センサであるマスタシリンダ圧センサ7a,7bが介装されている。
さらに、ホイルシリンダ6a及び6bとリザーバ8とは常閉型電磁弁(ノーマル状態時閉)11a及び11bを介して接続されており、ホイルシリンダ6a及び6bからリザーバ8への液圧の排出を制御するように構成されている。
また、マスタシリンダ2のブレーキペダル1側には、ロッド2gと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材14が配置されている。この摩擦部材14はマスタシリンダ2のシリンダボディに固定されたダストカバーとしてのゴムブーツ15と一体形成されている。そして、この摩擦部材14によって、ロッド2gのストローク方向に応じて即ちブレーキペダル1の踏込み時と踏み戻し時とで、ロッド2gの軸直方向へ作用する押付力(垂直抗力)に差を生じさせることで、摺動抵抗力を変化させるように構成されている。この構成が押付力変化手段に対応している。
そして、マスタシリンダカット弁3a,3b、常開型電磁弁4a,4b、系統遮断弁10、常閉型電磁弁11a,11b及びストロークシミュレータカット弁13の夫々は、ソレノイドに供給されるコントロールユニット30からの制御信号によって開閉状態が制御され、当該制御信号がオフ状態(非通電状態)であるときにノーマル状態となり、オン状態(通電状態)であるときにオフセット位置に切り換わるように構成されている。
一方、異常発生時には、マスタシリンダカット弁3a,3bを開状態とすることによりマスタシリンダ2とホイルシリンダ6a,6bとを連通し、マスタシリンダ2の液圧によって直接ホイルシリンダ6a,6bの液圧を発生させる。このとき、系統遮断弁10を閉じることによって、マスタシリンダのプライマリとセカンダリとの2系統が独立に液圧を発生させる。
なお、この異常発生時には、ストロークシミュレータカット弁13を閉じることによりストロークシミュレータ12にブレーキ液が流入しない構造とし、ストロークシミュレータ12でのブレーキ液吸収によるロスストロークを低減する。
マスタシリンダ2のシリンダボディにおけるブレーキペダル1側には、ゴムブーツ15と一体形成された摩擦材14aが支持されている。摩擦材14aは、弾性変形可能なゴム等の素材により構成されており、ロッド2gの外径方向でブレーキペダル1の踏込みに対して不動な箇所に固定された固定側(摩擦材14aでの支持側)に対してロッド2gとの接触側を、ブレーキペダル1の踏込み時にロッド2gがストロークする方向でロッド2gの軸心に向けて斜めにする。本実施形態では、ブレーキペダル1が踏込まれたとき、ロッド2gはマスタシリンダ側にストロークする。すなわち、摩擦材14aは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14aでの支持側に対してマスタシリンダ側に位置するように、ロッド2gの進行方向に対して所定角度αで配置されている。
ブレーキペダル1の踏込み時には、A部を拡大した図2(a)に示すように、ロッド2gはマスタシリンダ2側に摺動する。このとき摩擦材14aはロッド2gとの角度αを維持した状態であり、垂直抗力(摩擦材の押付力)N1は略一定の値となる。
ロッドと摩擦材との間の摺動抵抗力Fは、摩擦材とロッドの間の摩擦係数μと、摩擦材のロッドに対する押付力Nと、摩擦材とロッドとの接触面積Aとの積(F=μ×N×A)によって表されるので、ブレーキペダル1の踏み戻し時の摺動抵抗力は踏込み時の摺動抵抗力よりも大きくなる。その結果、図3に示すように、ブレーキペダルの踏力とストロークとの関係にはヒステリシス特性を得る。
異常が発生していない状態で、運転者によってブレーキペダル1が踏込まれると、ブレーキペダル1の踏込量に応じた作動流体がストロークシミュレータ12に導入されて、その液圧によってピストン12aがコイルスプリング12bを押し縮める。コイルスプリング12bが縮むほどその弾撥力は大きくなるため、コイルスプリング12bがピストン12aに与える反力も大きくなる。ここで、マスタシリンダ2のロッド2gに対する摩擦材14の押付力は略一定であるため、コイルスプリング12bの弾撥力に応じた反力がブレーキペダル1の踏力となる。
この状態から、運転者がブレーキペダル1を踏込む力を緩めると、コイルスプリング12bの弾撥力によりピストン12aが押し戻され、それに応じてストロークシミュレータ12内の作動流体がマスタシリンダ2に排出されるので、ブレーキペダル1が押し戻される。つまり、マスタシリンダ2のロッド2gがブレーキペダル1側に戻される。
さらに、既存のゴムブーツに摩擦部材を一体形成するので、極めて安価に実現することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、摩擦部材は、ロッドの軸周方向に環状に配置されていても、軸周方向の一部のみに配置されていてもよい。
さらに、上記第1の実施形態においては、摩擦部材をゴムブーツと一体形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、別部材によって構成するようにしてもよい。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における摩擦部材を、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドとの接触面積が異なるように設置するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態における摩擦部材14及びゴムブーツ15の詳細を図5に示すように、前述した第1の実施形態における摩擦材14aの代わりに摩擦材14bを配置したことを除いては図2と同様の構成を有し、図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
つまり、ブレーキペダル1の踏み込み時には、B部を拡大した図5(a)に示すように、摩擦材14bは左に撓んでロッド2gと接触面積A1で接触し、ブレーキペダル1の踏み戻し時には、図5(b)に示すように、摩擦材14bは右に撓んでロッド2gと接触面積A1より大きい接触面積A2で接触する。この構成が接触面積変化手段に対応している。
したがって、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係は、図3に示すように、前述した第1の実施形態と同様のヒステリシス特性を得る。
なお、上記第2の実施形態においては、摩擦材14bの形状を、ブレーキペダル1の踏込み時と踏み戻し時とでロッド2gとの接触面積が変化するように設定するだけでなく、前述した第1の実施形態のように、摩擦材14bを斜めに配置する構成を加えてもよい。
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態において、リンク機構を設け、このリンク機構の作用によって、ブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドに対する摩擦部材の押付力が異なるようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態の摩擦部材14とゴムブーツ15との詳細を図6に示すように、摩擦部材14とゴムブーツ15とを別部材によって構成し、ゴムブーツ15にリンク機構としてのリンク部材15aを支持させ、このリンク部材15aと摩擦部材14とを連結したことを除いては図2と同様の構成を有する。図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
各リンク部材15aのブレーキペダル1側の端部(リンク支点P)は夫々支持部材14mを介して共通の摩擦材14cに連結されている。この摩擦材14cはロッド2gと同一軸心の環状に形成されており、常時ロッド2gと接触してリンク作動用の摩擦材として機能する。
さらに、ロッド2gの軸直方向に対向する2つの摩擦材14dは、図示しない連結部材によって連結されており、下方の摩擦材14d及び支持部材14nがリンク支点Qを中心に回転してロッド2gから離れる方向に倒れてしまわないようになっている。この連結部材は、ロッド2gに接触しないような所定の長さ及び形状を有すると共に、ブレーキペダル1の踏込みに応じた摩擦材14dの移動の妨げとならないように構成するものとする。
したがって、ブレーキペダル1の踏み戻し時におけるロッド2gに対する摩擦材14dの押付力は、踏込み時と比較して大きくなるので、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係は、図3に示すように、前述した第1の実施形態と同様のヒステリシス特性を得る。
さらに、前述した第1及び第2の実施形態のように摩擦部材の弾性変形を考慮する必要がないので、比較的容易に設計することができる。
また、上記第3の実施形態においては、リンク支点Qを設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、リンク支点Qを設けずリンク部材15aと支持部材14nとを一体形成するようにしてもよい。
さらに、上記第3の実施形態においては、前述した第1の実施形態のように摩擦材14dを斜めに配置するような構成や、前述した第2の実施形態のようにブレーキペダルが踏み戻されたときロッド2gとの接触面積が大きくなる構成を加えてもよい。
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態においてブレーキペダルの踏込み時と踏み戻し時とでロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を異なる大きさに設定するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態の摩擦部材14とゴムブーツ15との詳細を図7に示すように、摩擦材14aの代わりに、ロッド2gの進行方向に対して所定角度βで配置された摩擦材14eと、ロッド2gの進行方向に対して所定角度βで配置された摩擦材14fとを配置し、ロッド2gの摩擦材14eと接触する面の摩擦係数μ1を、摩擦材14fと接触する面の摩擦係数μ2より低く設定したことを除いては図2と同様の構成を有し、図2と同様の構成を有する部分には図2と同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
摩擦材14e及び14fは、ゴムブーツ15と一体形成され、弾性変形可能なゴム等の素材により構成されている。また、摩擦材14eは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14eでの支持側に対してブレーキペダル1側に位置するように傾斜して配置されており、摩擦材14fは、ロッド2gとの接触側が摩擦材14fでの支持側に対してマスタシリンダ2側に位置するように傾斜して配置されている。これにより、各摩擦材14e,14fは、ロッド2gのストローク方向に応じて、ロッド2gへの押付力を変化させるようになっている。
ここで、前述したように、摩擦材14eとロッド2gとの間の摩擦係数を低く、摩擦材14fとロッド2gとの間の摩擦係数を高く設定しているので、ロッド2gのストローク方向に応じてロッドと摩擦材との接触面の摩擦係数が異なることになる。そして、摩擦材14fが押し付けられる踏み戻し時の摺動抵抗力の方が、摩擦材14eが押し付けられる踏み込み時の摺動抵抗力よりも大きくなる。この構成が摩擦係数変化手段に対応している。
このように、上記第4の実施形態では、ブレーキペダルの踏み戻し時におけるロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を踏込み時より大きくするので、ブレーキペダルの踏み戻し時の摺動抵抗力を踏込み時より大きくすることができ、ブレーキペダルのストロークと踏力との関係に所定のヒステリシス特性を得ることができる。
なお、上記第4の実施形態においては、マスタシリンダのロッドに摩擦係数の異なる2つの面を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロッドの摩擦係数を同一として、摩擦材14eのロッドとの接触面を摩擦材14fのロッドとの接触面より摩擦係数の低くするようにしてもよい。
また、上記第4の実施形態においては、ロッドのストローク方向に応じてロッドと摩擦部材との間の摩擦係数を変化させるだけでなく、摩擦材の剛性を調整して摩擦材14eと14fとで押付力を変化させたり、接触面積を変化させたりする構成を加えてもよい。
2 マスタシリンダ
3a,3b マスタシリンダカット弁
4a,4b 常開型電磁弁
5a,5b 車輪
6a,6b ホイルシリンダ
7a,7b マスタシリンダ圧センサ
8 リザーバ
9 ポンプ
10 系統遮断弁
11a,11b 常閉電磁弁
12 ストロークシミュレータ
13 ストロークシミュレータカット弁
14 摩擦部材
15 ゴムブーツ
18 ストロークセンサ
19a,19b ホイルシリンダ圧センサ
30 コントロールユニット
Claims (8)
- ブレーキペダルの踏込量に応じた踏込力がロッドを介して入力され、その入力に応じた作動流体圧を出力するマスタシリンダを備えるブレーキ制御装置において、
前記ロッドと摺接して摺動抵抗力を発生させる摩擦部材と、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摺動抵抗力を変化させる摺動抵抗力変化手段とを備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記摺動抵抗力を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材を前記ロッドに押付ける押付力を変化させる押付力変化手段を有し、該押付力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記押付力を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置。
- 前記押付力変化手段は弾性変形可能な部材により構成され、前記ロッドの外径方向で前記ブレーキペダルの踏込みに対して不動な箇所に固定された固定側に対して前記摩擦部材と前記ロッドとの接触側を、前記ブレーキペダルの踏込み時に前記ロッドがストロークする方向で前記ロッド軸心に向けて斜めにすることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
- 前記押付力変化手段は、前記ブレーキペダルの踏込み時は前記摩擦部材の前記ロッドへの押付力を減少させ、前記ブレーキペダルの踏み戻し時は前記摩擦部材の前記ロッドへの押付力を増加させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
- 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材と前記ロッドとの接触面積を変化させる接触面積変化手段を有し、該接触面積変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記接触面積を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求1〜5の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
- 前記摺動抵抗力変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記摩擦部材と前記ロッドとの間の摩擦係数を異ならせる摩擦係数変化手段を有し、該摩擦係数変化手段は、前記ブレーキペダルの踏み戻し時の前記摩擦係数を前記ブレーキペダルの踏込み時より大きくすることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
- 前記摩擦係数変化手段は、前記ロッドのストローク方向に応じて前記ロッドと前記摩擦部材との接触面が異なり、且つこれらの接触面の摩擦係数が異なるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のブレーキ制御装置。
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