JP2006168120A - 樹脂成形体 - Google Patents

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Junichi Nakanishi
純一 中西
Toshiji Nagamine
敏次 永峰
Takashi Takayama
隆司 高山
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Abstract

【課題】雨樋、幕板、破風板を除く樹脂成形体であって、線膨張率が小さく機械的強度を保持できる樹脂成形体を提供する。
【解決手段】雨樋、幕板、破風板を除く樹脂成形体であって、液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂よりなり且つ液晶樹脂が繊維化して配向している複数の薄層11から形成された基材層1と、この基材層1の表面に積層一体化された熱可塑性樹脂よりなる表面層2とを具備した樹脂成形体とする。基材層1を形成する各薄層11の液晶樹脂の繊維化と配向が厚さ方向全体に生じて線膨張率が十分に低下しているため、樹脂成形体の線膨張率が小さくなる。また、基材層1表面に積層一体化された熱可塑性樹脂の表面層2で補強されているため、樹脂成形体が容易に割れることもない。
【選択図】図1

Description

本発明は、線膨張率が小さく機械的強度を保持した樹脂成形体に関する。
塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂で成形された樹脂成形体は、この熱可塑性樹脂の線膨張率が大きいため、樹脂成形体の熱伸縮による寸法差が大きく、設置後に初期の位置からずれたり、収縮により突合せ部分が離れたり、膨張により成形体が蛇行したりする問題があった。そこで、負の線膨張率を有する液晶樹脂を熱可塑性樹脂に混合し、この混合樹脂を押出成形する際に液晶樹脂を繊維化させて押出方向に配向させることにより、成形品の線膨張率を低下させた樹脂成形品が開発されている(特許文献1参照)。しかし、この樹脂成形品は液晶樹脂が押出し方向に配向しているために機械的強度に異方性があり、押出方向に沿って割れ易いという問題がある。
また、延伸可能な液晶樹脂層と非ポリエステル樹脂層とが積層された多層ラミネート体も開発されている(特許文献2参照)。しかし、この多層ラミネート体は液晶層が1層で線膨張率を十分に低下させることができず、また非ポリエステル樹脂層との積層性にも劣っていた。
特開平9−85796号 特開平11−188815号
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、線膨張率が小さく、機械的強度を保持した樹脂成形体を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る樹脂成形体は、雨樋、幕板、破風板を除く樹脂成形体であって、液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂よりなり且つ液晶樹脂が繊維化して配向している複数の薄層から形成された基材層と、この基材層の表面に積層一体化された熱可塑性樹脂よりなる表面層とを具備していることを特徴とするものである。
本発明の樹脂成形体においては、基材層の厚さを樹脂成形体の厚さの10〜50%となして樹脂成形体の線膨張率を4×10−5/℃以下とすることが好ましい。また、基材層に液晶樹脂が5〜50質量%含有されていること、基材層が2〜20層の薄層から形成されていること、薄層の厚さが30〜300μmであることも好ましい。
本発明の樹脂成形体は、基材層が複数の薄層から形成されており、各薄層の液晶樹脂の繊維化と配向が厚さ方向全体に亘って線膨張率が十分に低下しているため、樹脂成形体の線膨張率が小さくなる。そして、液晶樹脂が繊維化して配向している基材層の表面に熱可塑性樹脂の表面層を積層一体化して補強しているので、樹脂成形体に衝撃力などの外力が加わっても該表面層で吸収され、樹脂成形体が容易に割れることはない。
また、基材層の厚さを樹脂成形体の厚さの10〜50%にすると、樹脂成形体の機械的強度を表面層で維持することができ、しかも、線膨張率を基材層で十分に低下させることができるので、熱可塑性樹脂の表面層が積層されていても樹脂成形体の線膨張率を抑制して4×10−5/℃以下とすることができる。従って、設置後に樹脂成形体の位置がずれることもないし、たとえ樹脂成形体が長尺体であっても突合せ部分で離れたり或は蛇行することを防止できる。
また、基材層に液晶樹脂が5〜50質量%含有されていると、基材層に占める液晶樹脂の割合が線膨張率を低下させるに十分な割合であるため、樹脂成形体を4×10−5/℃以下の線膨張率とすることができる。また、薄層を2〜20層積層して基材層を形成していると、各薄層の低下した線膨張率が個々に作用し、その結果、樹脂成形体の線膨張率を十分に低下させることができる。さらに、基材層の各薄層の厚さを30〜300μmにすると、薄層の厚さ方向中央部分の液晶樹脂まで繊維化して配向させることができるので、十分に薄層の線膨張率を低下させることができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る樹脂成形体の断面図である。この樹脂成形体は、基材層1の表裏両面に表面層2、2を積層一体化してなるものであり、基材層1は3層の薄層11、11,11を積層一体化することにより形成されている。
本発明の樹脂成形体は、雨樋と幕板と破風板とを除く建材用途、産業用途、文房具用途などの種々の用途、特に、熱による伸び縮みを嫌う用途、更に長尺体にて使用される用途に有用に使用される。例えば、波板、折板、採光ドーム、採光プレート、目隠し材、縁台、床化粧材、デッキ材などの屋外用樹脂成形体、或は幅木、敷居、なげし、廻り縁、床下物入れ、床下点検口、雨水貯留タンク、浴室フロア材、床材、家具、浴室パネル材などの屋内用樹脂成形体、或は、看板、排水路、機械筐体、パイプなどの産業用樹脂成形体、或は定規などの文具用樹脂成形体等に使用される。このような用途の内でも、特に熱に晒されて樹脂成形体が伸縮し、設置後に樹脂成形体の位置が移動してボルトに無理な力が加わったり、或は突合せ部分で離れたり、或は蛇行したりする用途に好ましく使用される。更には、長尺な樹脂成形体は伸縮長が大きくなるので、本発明の低伸縮成形体を使用することが好ましい。
本発明の樹脂成形体の基材層1を構成する複数の薄層11は、負の線膨張率を有する液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂からなり、該混合樹脂を押出成形中に例えば金型などで剪断力をかけるか、或は、押出成形中もしくは押出成形後に延伸することによって、液晶樹脂を繊維化して配向させた層である。
上記の基材層1に用いる液晶樹脂としては、半芳香族ポリエステル系液晶樹脂や、全芳香族ポリエステル系液晶樹脂などの公知のものが全て使用できる。この半芳香族ポリエステル系液晶樹脂としては、ユニチカ(株)製の「ロッドラン」、東レ(株)製の「シベラス」、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバキュレート」などの市販樹脂が好ましく用いられ、また、全芳香族ポリエステル系液晶樹脂としては、ポリプラスチックス(株)製の「ベクトラ」、住友化学工業(株)製の「スミカスーパーLCP」、新日本石油化学(株)製の「ザイダー」、デュポン(株)製の「ゼナイト」、上野製薬(株)製の「UENO LCP」などの市販樹脂が好ましく用いられる。
また、上記液晶樹脂と混合される熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、その他、液晶樹脂の溶融成形の際に溶融成形可能な樹脂が使用される。好ましい樹脂は、使用する液晶樹脂の液晶転移温度の−50〜+50℃の範囲で成形可能な熱可塑性樹脂である。
上記の液晶樹脂は、液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂中に5〜50質量%を占めるように混合されている。この混合樹脂中の液晶樹脂を繊維化し配向して薄層11を形成しているが、液晶樹脂が5質量%より少なくなると、液晶樹脂を繊維化して配向させても線膨張率を低下させることが難しくなり、一方、液晶樹脂が50質量%より多くなると、基材層1の液晶樹脂比率の増大により表面層2との密着性が悪くなる。これに対して、上記の範囲にすると、薄層11の線膨張率を−0.5×10−5/℃〜3×10−5/℃程度にすることができるうえに、表面層2との密着性、積層性が良くなり、線膨張率を4×10−5/℃以下にまで低下させた樹脂成形体とすることができる。なお、液晶樹脂の分散をよくするために、ホスフィネートやホスホナイト、ホスフィナイトなどの例えば、下記一般式(1)、(2)で示されるリンオキソ酸モノエステル及びジエステルから選ばれる一種または二種以上を樹脂成分100重量部に対し、0.001〜2.0重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部を更に添加することが好ましい。有機リン系化合物を添加することもできる。
この混合樹脂中の液晶樹脂を配向させるには、混合樹脂を押出成形した後に押出方向に延伸することにより繊維化して配向させてもよいし、押出成形する際に押出機、もしくは金型内で押出方向の剪段力を与えることにより繊維化して配向させてもよい。前者の方法においては、その延伸倍率を4〜10000倍、好ましくは6〜100倍、更に好ましくは6〜50倍にすることが望ましい。この延伸倍率は、例えば金型吐出口断面積/成形品断面積で表すことができる。また、後者の方法においては、剪断速度を3〜10000/秒、好ましくは3.5〜1000/秒、更に好ましくは3.5〜500/秒にすることが望ましい。これらの範囲の延伸倍率や剪断速度であると、液晶樹脂を十分に繊維化して配向させることができ、押出方向の線膨張率を小さくすることができる。
また、この混合樹脂を延伸させたり或は剪断力を与えて繊維化した薄層11は、その厚さを30〜300μmにすることが好ましい。十分に小さな線膨張率を得るためには、混合樹脂中の液晶樹脂を繊維化させておくことが必要であるが、該薄層11の厚さが厚過ぎると、図2に模式図で示すように、薄層11の両表面は繊維化して配向するけれども、厚さ方向中央部分は粒状状態のままで繊維化されないため、線膨張率を十分に小さくした薄層11とすることができない。それゆえ、薄層11の厚さを300μm以下にして、厚さ方向全体に亘って繊維化された状態にすることが望ましいのである。
そして、この薄層11が1層のみの基材層1では、表面層2の線膨張率を抑制することができず、樹脂成形体の線膨張率を4×10−5/℃以下にすることができない。特に、成形体の厚さが1mm以上になると、表面層2の占める割合が大きくなり線膨張率を小さくすることができない。そのために、混合樹脂中の液晶樹脂の繊維化された方向が同じ方向となるように、複数の薄層11を積層して基材層1を形成することで、これに表面層2を積層しても樹脂成形体の線膨張率が4×10−5/℃以下とすることができるのである。薄層11の好ましい層数は2〜20層、より好ましくは2〜10層である。そして、樹脂成形体の好ましい線膨張率の範囲は−0.5×10−5/℃〜4×10−5/℃、更に好ましくは−0.5×10−5/℃〜3×10−5/℃である。
一方、基材層1の表面に積層一体化される表面層2は、基材層1が液晶樹脂の配向していて配向方向に沿って割れやすいので、これを抑制して樹脂成形体が割れ難くなるように補強する補強層としての役目を果たすものであり、基材層1に使用した上述の熱可塑性樹脂が使用される。その中でも、基材層1に使用した樹脂と同じ樹脂を用いると積層性や密着性が良好となるので最も好ましいが、基材層1に使用した樹脂と相溶性があり一体化可能な樹脂であってもよいし、接着層を介すれば相溶性のない樹脂であってもよい。基材層1の樹脂がポリカーボネート樹脂であれば、表面層2の樹脂としてはポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂が好ましく用いられる。そして、樹脂成形体が建材用途や建築用途や道路用途などのように、太陽光に晒される場合は、この表面層2に紫外線吸収剤や光安定剤を適量含有させて樹脂成形体の耐候性を高めたり、光触媒粒子などの防汚剤を適量含有させて耐汚染性を高めたりすることが好ましい。
表面層2の厚さは、それが厚くなると樹脂成形体の機械的強度は向上するが、樹脂成形体に占める表面層2の割合も多くなるため線膨張率も大きくなり、一方、その厚さが薄くなると表面層2での補強効果が小さくなるので、樹脂成形体に占める基材層1と表面層2との厚さを一定の範囲にすることが望ましく、具体的には基材層1の厚さを樹脂成形体の厚さの10〜50%に、表面層2の厚さを90〜50%にするのが望ましいのである。より好ましい基材層1の厚さは成形体の厚さの10〜40%である。
このように、樹脂成形体の線膨張率は、薄層11に占める液晶樹脂の割合、液晶樹脂の延伸倍率或は剪断速度、薄層11の厚さ、基材層1中の薄層11の層数、表面層2の厚さ(基材層1と表面層2との厚さ割合)などにより影響されるので、これらを適宜組み合わせて、樹脂成形体の線膨張率を4×10−5/℃以下にすることが望まれる。そうすることにより、熱伸縮を小さくできるので、樹脂成形体を設置した後で位置ずれを起こしたりせず、また、樹脂成形体を突合せて配置しても該部分に隙間が生じることが抑制されるし、膨張で曲がったり蛇行したりすることも抑制される。そのためには、薄層11に占める液晶樹脂の割合を5〜50質量%に、液晶樹脂の延伸倍率を4〜10000倍若しくは剪断速度を3〜10000/秒に、薄層11の厚さを30〜300μmに、基材層1中の薄層11の数を2〜20層に、基材層1の厚さを樹脂成形体の10〜50%にすることが好ましいのである。
基材層1と表面層2とを積層一体化するには、例えば次のようにする。第1の方法は、多層(例えば5層)共押出成形金型を用い、真中の層(例えば3層)は熱可塑性樹脂と液晶樹脂との混合樹脂を成形金型内で押出し方向への剪断力を与えつつ押出して繊維化しながら配向させ、両外側の層(例えば表裏の各1層)は熱可塑性樹脂を押出しすることで、多層の薄層11(3層の薄層11)からなる基材層1の表裏両面に熱可塑性樹脂層(表面層2)が積層一体化された本発明の樹脂成形体を得ることができる。
また、他の方法は、熱可塑性樹脂と液晶樹脂との混合樹脂を押出した後に押出方向に延伸することにより、液晶樹脂が繊維化して配向した薄層用フィルムを作製するか、或は、混合樹脂を押出成形する際に金型で剪段力を与えつつ押出すことにより、押出方向に液晶樹脂が繊維化して配向した薄層用フィルムを作製する。そして、これらの方法で得られたフィルムを、その押出し方向(繊維化した液晶樹脂の配向方向)を同一にして複数枚重ね合せ、その上下に熱可塑性樹脂シートを配置して熱圧着することで本発明の樹脂成形体を得ることができる。また、押出し成形されている熱可塑性樹脂の間に、前記薄層用フィルムの複数枚をインサートしてラミネートすることでも容易に得ることができる。
上記実施形態は基材層1の両面に表面層2を形成した樹脂成形体を示したが、基材層1の片面のみに表面層2を形成してもよい。また、表面層2に紫外線吸収剤などを含有させずに、その外表面に更に紫外線吸収剤を含有させた耐候層を形成して、紫外線吸収性能を効果的に発揮させてもよい。さらに、樹脂成形体の形状は板体に限定されるものではなく、板体以外のいかなる形状でもよい。
また、薄層11は全て繊維化及び配向の方向を同じ方向に揃えて積層しているが、その一部の薄層11については繊維化及び配向の方向を変えて(例えば薄層11の半数について繊維化及び配向の方向を90°方向を変えて)積層することもできる。このようにすると、樹脂成形体の一方向のみならず、二方向の線膨張率を低下させることができるし、基材層1における配向の方向性がなくなるので、基材層1は割れ難くなり、樹脂成形体の機械的強度も向上する。
次に、更に具体的な実施例と比較例について説明する。
(薄層膜厚の決定)
ポリプラスチックス(株)製の液晶樹脂「べクトラA−950」と、帝人化成(株)製のポリカーボネート樹脂「パンライトK−1300Y」とを25:75の質量比で均一に混合した。そして、単層押出金型を用い、伸張応力を混合樹脂に与えつつ該混合樹脂を押出成形し、厚さ100μm(49.5倍)、200μm(26.5倍)、300μm(17.3倍)、600μm(7.1倍)の各フィルムを得た。なお、上記金型吐出口断面積と各押出しフィルム断面積とから、得られた各フィルムの各延伸倍率を計算し、括弧内に記載した。この各フィルムの線膨張率をJIS K−7197に基づき測定し、−25〜65℃の平均値を求めた。その結果を図3に図示した。
この図3から明らかなように、フィルムの厚さが300μm以下である100μm、200μm、300μmの各フィルムは、線膨張率が全て1×10−5/℃以下でほぼ一定して安定しているが、厚さが600μmのフィルムは線膨張率が6×10−5/℃であり、300μmを超えると急激に線膨張率が大きくなることがわかる。これは、300μm以下のフィルムでは厚さ方向全体にわたって液晶樹脂が繊維化して押出方向に配向するのに対し、これ以上の厚さのフィルムでは図2で模式的に示すように厚さ方向中間部分の液晶樹脂が繊維化しないためであろうと推測される。
これを確認するために、出願人は上記組成の混合樹脂を用い、吐出断面積の異なる金型を用いて同様に押出成形し、延伸倍率が4倍で厚さが300μmのフィルムを得た。このフィルムと前記薄層膜厚の決定に使用した600μm(延伸倍率:7.1倍)の各フィルムを用いて、その断面を電子顕微鏡にて観察した。厚さ600μmのフィルムを150倍に拡大した断面写真と、厚さ300μmのフィルムを150倍に拡大した断面写真を、図4(A)、図4(B)に示す。図4(B)から理解されるように、厚さ300μmのフィルムは厚さ方向全体にわたって繊維化されていることが確認できた。しかし、図4(A)から理解されるように、厚さ600μmのフィルムは上下の表面側では繊維化されているが、厚さ方向中央部分では繊維化されていないことが確認され、上記の推測が裏付けられた。
このことより、フィルムの厚さが300μm以下であれば、厚さ方向中央部分でも液晶樹脂が繊維化して配向し、1×10−5/℃以下の安定した線膨張率のフィルムが得られることがわかった。
(薄層フィルムの形成)
ポリプラスチックス(株)製の液晶樹脂「べクトラA−950」と、帝人化成(株)製のポリカーボネート樹脂「パンライトK−1300Y」とを25:75の質量比で混合した。単層押出金型を用い、前記の薄層膜厚の決定と同様にして伸張応力を与えつつ上記混合樹脂を押出し、厚さ100μm(49.5倍)、200μm(26.5倍)、600μm(7.1倍)の各薄層フィルムA、B、Cを得た。
また、上記液晶樹脂とポリカーボネート樹脂とを35:65の質量比で混合し、前記と同様にして伸張応力を与えつつ混合樹脂を押出して厚さ100μm(49.5倍)の薄層フィルムDを得た、
(実施例1)
前記の厚さ100μmの薄層フィルムA(液晶樹脂含有率:25質量%)を押出方向を同一にして6枚重ね、その上面に厚さ300μmのポリカーボネートシートを、また下面に厚さ400μmのポリカーボネートシートをそれぞれ重ねて熱圧成形することにより、厚さ600μmの基材層の上下にポリカーボネート表面層を積層一体化した厚さ1.3mmの樹脂成形シートを得た。これを実施例1とする。
上記実施例1の樹脂成形シートの線膨張率(薄層フィルムの押出方向における線膨張率)を、JIS K−7197に基づき測定し、−25〜65℃の平均値を求めた。また機械的強度(耐衝撃性)を、JIS K−5400に記載されているデュポン衝撃試験機を用い、重りの質量を300gとして樹脂成形シートに落下させ、5枚の樹脂成形シートの過半数が表面に割れ或は亀裂が生じる最低限の高さを測定し、その結果を表1に記載する。
(実施例2)
前記の厚さ200μmの薄層フィルムB(液晶樹脂含有率:25質量%)を押出方向を同一にして3枚重ね、その上面に厚さ300μmのポリカーボネートシートを、また下面に厚さ400μmのポリカーボネートシートをそれぞれ重ねて熱圧成形することにより、厚さ600μmの基材層の上下にポリカーボネート表面層を積層一体化した厚さ1.3mmの樹脂成形シートを得た。これを実施例2とする。この実施例2の樹脂成形シートの線膨張率、耐衝撃性を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記する。
(実施例3)
前記の厚さ100μmの薄層フィルムD(液晶樹脂含有率:35質量%)を延伸方向を同一にして6枚重ね、その上面に厚さ300μmのポリカーボネートシートを、また下面に厚さ400μmのポリカーボネートシートをそれぞれ重ねて熱圧成形することにより、厚さ600μmの基材層の上下にポリカーボネート表面層を積層一体化した厚さ1.3mmの樹脂成形シートを得た。これを実施例3とする。この実施例3の樹脂成形シートの線膨張率、耐衝撃性を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記する。
(実施例4)
前記の厚さ100μmの薄層フィルムD(液晶樹脂含有率:35質量%)を延伸方向を同一にして4枚重ね、その上面に厚さ400μmのポリカーボネートシートを、また下面に厚さ500μmのポリカーボネートシートをそれぞれ重ねて熱圧成形することにより、厚さ400μmの基材層の上下にポリカーボネート表面層を積層一体化した厚さ1.3mmの樹脂成形シートを得た。これを実施例4とする。この実施例4の樹脂成形シートの線膨張率、耐衝撃性を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記する。
(比較例1)
前記の厚さ600μmの薄層フィルムCを1枚用い、その上面に厚さ300μmのポリカーボネートシートを、また下面に厚さ400μmのポリカーボネートシートをそれぞれ重ねて熱圧成形することにより、厚さ600μmの基材層の上下にポリカーボネート表面層を積層一体化した厚さ1.3mmの樹脂成形シートを得た。これを比較例1とする。この比較例1の樹脂成形シートの線膨張率、耐衝撃性を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記する。
(比較例2)
前記の厚さ0.3mmのポリカーボネートを4枚重ね合せて熱圧成形することにより、厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂成形シートを得た。これを比較例2とする。この比較例2の樹脂成形シートの線膨張率、耐衝撃性を、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に併記する。
Figure 2006168120
この表1の実施例1、2と比較例1とからわかるように、基材層が共に600μmと同じで且つ上下の表面層も同じ厚さであるにもかかわらず、100μm薄層フィルムを6枚用いた実施例1の樹脂成形シートの線膨張率は3.02×10−5/℃であり、200μm薄層フィルムを3枚用いた実施例2の樹脂成形シートの線膨張率は3.37×10−5/℃であり、600μm薄層フィルムを1枚用いた比較例1の樹脂成形シートの線膨張率は6.38×10−5/℃であった。このことから、線膨張率は基材層に用いた薄層フィルムの厚さが薄いほど小さな値となることがわかった。
また、実施例1と実施例3との対比から、基材層の液晶樹脂の含有割合が多くなると、樹脂成形シートの線膨張率が低下することが理解される。
また、実施例3と実施例4とからわかるように、基材層と表面層との積層割合を変えて実施例4のように表面層の樹脂シートを厚くする(表面層の積層割合を多くする)と、線膨張率は0.5×10−5/℃程度大きくなることがわかる。そして、耐衝撃性は、実施例4が20cmも高くなっている。これらのことより、基材層と表面層との積層割合を変えることで、線膨張率と機械的強度(耐衝撃性)とを必要な値にすることができることがわかる。
一方、実施例4と実施例1とを比較すると、実施例4は、基材層の液晶樹脂の含有割合が大きいため、実施例1よりも線膨張率が低く、また、耐衝撃性の大きい表面層の積層割合が増大することにより、実施例1より耐衝撃性も大きくなることがわかる。
以上の実施例及び比較例から、1枚の厚い薄層フィルムで基材層を形成するよりも、薄い薄層フィルムを複数枚重ねて基材層を形成する方が、線膨張率を低下させるうえで望ましいことがわかる。また、基材層の液晶樹脂の含有割合、基材層と表面層との積層割合を調節することにより、機械的強度に優れた樹脂成形体を作製出来ることがわかる。
本発明に係る樹脂成形体の断面図である。 薄層が厚すぎる場合の繊維化状態を示す模式図である。 薄層の厚さと線膨張率との関係を示すグラフである。 (A)は厚さ600μmの薄層フィルム断面の電子顕微鏡写真であり、(B)は厚さ300μmの薄層フィルム断面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 基材層
11 薄層
2 表面層

Claims (5)

  1. 雨樋、幕板、破風板を除く樹脂成形体であって、液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂よりなり且つ液晶樹脂が繊維化して配向している複数の薄層から形成された基材層と、この基材層の表面に積層一体化された熱可塑性樹脂よりなる表面層とを具備していることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 基材層の厚さが樹脂成形体の厚さの10〜50%であって、該樹脂成形体の線膨張率が4×10−5/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 基材層に液晶樹脂が5〜50質量%含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形体。
  4. 基材層が2〜20層の薄層から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の樹脂成形体。
  5. 薄層の厚さが30〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂成形体。
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